事業再構築補助金の原油価格・物価高騰等緊急特別枠 概要と申請方法を解説

 事業再構築補助金の原油価格・物価高騰等緊急特別枠が、第7回公募より新設されました。新型コロナウィルスの影響を受けつつ、ウクライナ情勢の緊迫化などによる原油価格・物価高騰の影響を受けた事業者の新たな挑戦を、政府が支援しようとする内容です。

 この記事では、原油価格・物価高騰等緊急特別枠の概要と申請方法について解説しています。

 中小企業経営支援事務所は、事業再構築補助金やものづくり補助金といった補助金申請支援のエキスパートです。補助金についてお困りの方は、ぜひお問い合わせください。相談無料で受け付けています。

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そもそも事業再構築補助金とは 

 

そもそも事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、新しい事業に挑戦する企業や個人事業主に対して、一定の要件を満たすことで受けられる補助金制度です。新しい事業とは、新しい分野への展開のほか、事業転換や業種転換なども当てはまります。

類型主な要件
新分野展開新たな製品等で市場に進出する
事業転換主な「事業」を転換する
業種転換主な「業種」を転換する
業態転換製造方法等を転換する
事業再編事業再編を通じて新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかを行う

事業再構築補助金の「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」とは

事業再生構築補助金は、2021年に始まってから、これまでに6回支給が行われています(2022年8月時点)。「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」は、第7回目に新たに設置された申請類型です。

申請類型とは、事業再生構築補助金の種類のようなものであり、例えば事業継続が厳しい事業者向けの「回復・再生応援枠」や、新しい研究を行おうとする事業者向けの「グリーン成長枠」などがあります。

「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」とは、新型コロナウイルスの影響だけでなく、昨今の原油価格や物価高騰などによって厳しい状況に立たされている事業者向けに設けられたものです。

「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」の申請受付はいつから?

「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」は、2022年8月下旬に申請の受付が開始される予定です。申請は、国が設置した事業再生構築補助金のホームページで行います(具体的な手続きの仕方については、後ほど説明します)。

「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」の申請のためにクリアすべき条件は?

「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」に申請するためには、次の4つの条件をクリアしている必要があります。

①事業を再構築すること

②足許で原油価格・物価高騰などの経済環境の変化の影響を受けたことにより、

・2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021 年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること

または

・2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、2019年~2021年の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること

(※)付加価値額とは、営業利益+人件費+減価償却費の合計額をいいます。

③事業計画書は、認定経営革新等支援機関と共同で策定すること。

(※)認定経営革新等支援機関とは、国によって、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者と認められた機関をいいます。

④補助事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること

(参照:中小企業等事業再構築促進事業 緊急対策枠について(申請要件)丨経済産業省

「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」の補助金額と補助率は?

補助金額、補助率については、以下の通りです。

従業員数補助金額補助率
5人以下100万円〜1,000万円中小企業3/4中堅企業2/3(※)
6人〜20人100万円〜2,000万円
21人〜50人100万円〜3,000万円
51人以上100万円〜4,000万円

(※)

中小企業:従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は2/3)

中堅企業:従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は1/2)

(引用:中小企業等事業再構築促進事業 緊急対策枠について(補助金額・補助率等)丨経済産業省

例えば、従業員数15人の中小企業で、補助金対象の経費が1,600万円だった場合、補助金額は以下となります。

1,000万×3/4+600万×2/3=750万+400万=1,150万(円)

なお、補助率をかけて計算した金額が、上限額よりも大きい場合は、その上限額が優先されます。

事業再構築補助金「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」の申請から受け取りまでの流れ

事業再構築補助金の「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」の申請から受け取りまでの大まかな流れは、次のとおりです。

  1. 申請要件や注意点を確認する
  2. 資金調達先を確保する
  3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
  4. 必要書類を集める
  5. 電子申請を行う
  6. 採択を受けたら交付申請手続きをする
  7. 事業を始める
  8. 補助事業の実績を事務局に報告する
  9. 補助金を受け取る

以下で、順に詳しくご紹介します。

申請要件や注意点を確認する

まずはこの補助金を使って実施する事業や、事業にかかる経費が、事業再構築補助金の申請要件に合致するか確認します。公募要領については、事業再構築補助金事務局のホームページからダウンロードできます。 

資金調達先を確保する

補助金が国から交付される時期は、事業にかかる経費の支払の後になります。つまり、経費の支払から補助金を交付されるまでの間の資金繰りについて、検討をする必要があります。事業を全額自己資金で実施する場合は特段問題ありませんが、融資を受けて実施する場合、日頃より取引のある金融機関への事前相談が必須です。

認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業再構築補助金の申請要件のひとつに、事業計画を認定経営革新等支援機関と共同で策定することがあります。認定経営革新等支援機関は、中小企業庁のホームページから探せるので活用すると良いでしょう。

認定経営革新等支援機関と二人三脚で、会社の歴史、強み、事業にかける思い、将来の展望などをしっかりと盛り込んだ、生の事業計画書を作成することこそが採択の近道です。そのため、認定支援機関を選定するときは、採択率、実績に加えて、どのようなプロセスで事業計画書が策定されるのかも確認することが重要です。

必要書類を集める

事業再構築補助金の添付書類確認シートを活用しながら、必要書類を収集します。初めての方は戸惑うこともあると思いますので、少なくとも3週間前から準備することをおすすめします。

電子申請を行う

必要な準備ができたら、いよいよ申請です。事業再生構築補助金の申請は、国が用意しているGビズIDと呼ばれるインターネットサービスを使います。以下で、事務局が用意している「電子申請システム 操作マニュアル」をもとに、申請の流れをご紹介します。

GビズIDプライムの取得

GビズIDを利用するには、GビズIDプライム(アカウント)の取得が必要です。そのためには、申請書類をはじめとする必要書類をGビズID運用センターに送付しなければいけません。

申請書類は、gBizIDのホームページから、ページ中段にある「さっそくGビズIDを作る」、「gBizIDプライム作成」の順にクリックし、ページの指示にしたがって必要事項を記入すると作成できます。プリントアウトをしたら、作成日の記入と代表者印(個人の場合は実印)の押印をします。申請書ができたら、印鑑証明書(発行日より3か月以内の原本)と一緒に、「〒530-8532 GビズID運用センター宛」に送りましょう。

書類を送ったら、GビズID運用センターによる審査が行われます。審査期間はおおよそ2週間程度です。審査が完了すると、gBizIDプライム登録申請書に入力したメールアドレス宛に通知が届きます。

電子申請システムにログインして必要情報を入力する

事業再構築補助金のトップページにある「申請はこちら」にアクセスし、①で取得したGビズIDプライムでログインします。

必要情報の入力方法については、「電子申請システム 操作マニュアル」をご確認ください。初めて入力する方は、少なくとも締切日の1週間前には入力を済ませておくと安心です。

申請内容を送信する

毎回一定程度の方が書類不備で不採択となっています。今一度添付書類に漏れがないか確認をして送信しましょう。

採択を受けたら交付申請手続きをする

事業再構築補助金では、採択を受けたら、すぐに補助金がもらえるわけではありません。採択はいわば仮決定の状態で、その後交付申請手続きにより、経費が精査されて、補助金の交付額が確定します。

交付申請手続きについては、補助金申請用のウェブサービスのjGrants(Jグランツ)を利用して行います。申請方法は事業再生構築補助金のホームページにある「採択事業者向け資料」からダウンロードできるマニュアルを活用すると良いでしょう。

ただ、交付申請手続きについても、かなり複雑な手続きになるため、自信がない方は、認定経営革新等支援機関に相談しながら進めることをおすすめします。

補助事業を始める

いよいよ、事業の開始です。発注先との契約は、交付決定後に行う必要があります。

もし、発注先との契約を交付決定前に交わす場合については、事務局に事前着手申請を提出しなければいけません。事前着手申請をせずに、交付決定前に発注先と契約をした場合、補助金の対象外となりますので、ご注意ください。

補助事業の実績を事務局に報告する

事業が完了したら、見積書、契約書、請求書、代金の支払い済の証書といった会計書類や写真、補助事業実績報告書(事業内容の結果をまとめた書類)などを事務局に送付して、実績を報告します。実績報告書の内容に基づき、事務局が審査し、最終的な補助金額を確定します。

補助事業実績報告で帳票の確認ができない場合や事業の実態が事業計画書の内容と乖離している場合、対象資産の確認ができない場合は、補助金が交付されないため十分気をつけましょう。

補助金を受け取る

実績報告の審査後、事務局から、補助金額の確定額が記載された確定通知書が送られてきます。確定通知書を確認したらjGrants(Jグランツ)で精算払い請求を行います。事務局が精算払い請求の承認後、2週間〜1か月後に指定口座へ補助金が振り込まれます。

補助金申請で困ったときの相談先

 最後に、補助金申請で困ったときの相談先をご紹介します。

事業計画書作成について相談したいとき

 国に指定された認定経営革新等支援機関に相談することをおすすめします。相談をするのにも、採択率の高い専門家にお願いしたいものです。事業再構築補助金事務局が公表している、「事業再構築補助金第5回公募の結果について」によれば、士業の中で最も採択率が高いのは中小企業診断士です(参照:事業再生構築補助金 第5回公募の結果について p.7丨事業再構築補助金事務局)。

 当社中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関です。百戦錬磨の中小企業診断士が親身になってご相談をお受けいたします。 

手続き・差し戻しについて相談したいとき

 補助金事務局とのやりとりは、認定経営革新等支援機関であっても、事業者に代わることはできません。手続き・差し戻しについて不明な点があれば、補助金事務局に問い合わせることをおすすめします。

事業計画書の作成依頼は中小企業経営支援事務所へ

 事業再構築補助金の「原油価格・物価高騰等緊急特別枠」の設置は、支援の対象を広げる、国の画期的な取り組みです。申請要件に当てはまる場合は、ぜひ前向きに検討してみると良いでしょう。

 当社、中小企業経営支援事務所事務所も認定経営革新等支援機関として国の認定を受けています。申請に必要な事業計画書の作成にあたってサポートが必要でしたら、お気軽にお問い合せください。相談については、無料で受け付けています。

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