最新 ものづくり補助金とは?概要や採択されるコツをわかりやすく紹介

 ものづくり補助金とは、革新的なサービス開発や試作品開発、生産性向上を目的とした設備投資などを行う事業者に、それらにかかった資金の一部を補助する制度です。

 この記事では、ものづくり補助金について、対象者や申請要件などをわかりやすくまとめています。令和4年度2次補正予算案の発表を受けて刷新された、第14回公募の変更内容についても紹介しているので、申請するときの参考にしていただければ幸いです。

 中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金や事業再構築補助金といった補助金申請支援のエキスパートです。補助金についてお困りの人は、ぜひお問い合わせください。相談無料で受け付けています。

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ものづくり補助金とは

 ものづくり補助金とは、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善をし、生産性を向上させるための設備投資等をする事業者に対して、補助金が給付される制度です。経済産業省と中小企業庁によって行われています。補助金内容の詳細は「ものづくり補助金総合サイト」で見ることが可能です。

 ものづくり補助金は、補助対象の条件に当てはまる事業者が、応募時に事業計画書を提出し、それをもとに採択審査委員会によって補助金を給付するに値すると判断された際に給付されます。応募した事業者全員が補助金を受け取れるわけではありません。採択率は、おおよそ6割程度で推移しています。

 ものづくり補助金は、「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」という名前で2014年に始まって以降、繰り返し公募が行われ、「ものづくり補助金◯次」という形で呼ばれています。2023年1月現在、最新のものづくり補助金は「14次」で、令和5年1月11日から公募が始まりました。14次では公募内容が大きく変わったことから、あらためて注目を集めています。

 以下、ものづくり補助金14次の公募要領を参考にしながら、補助対象者や基本の申請要件、申請枠の種類や補助金・補助率をご紹介します。

ものづくり補助金の補助対象者

 補助対象者は以下の通りです。

中小企業事業者

 資本金または従業員数(常勤)が、下表の数字以下となる会社または個人であること。

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

特定事業者の一部

 資本金の額または出資の総額が10億円未満であって、常勤従業員数が下記の数字以下となるもの。

業種常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業500人
卸売業400人
サービス業又は小売業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)300人
その他の業種(上記以外)500人

その他

 一部の組合・特定非営利法人・社会福祉法人についても対象になります。詳しくは公募要領をご確認ください。

※注意点

 以下に当てはまる企業は応募することができません。特に③については、見落としがちな条件です。

①発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者

②発行済株式の総数または出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者

③大企業の役員または職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者

ものづくり補助金の基本の申請要件

 ものづくり補助金に申請するときは、事業計画期間中に以下の3要件をすべて満たす事業計画を策定することが必須です。事業計画期間とは、応募申請時に応募者が定める事業を実施する期間をいい、3~5年です。

  1. 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

  付加価値額とは、営業利益に人件費と減価償却費を加えた額のこと

  1. 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
    給与支給総額とは、非常勤を含む全従業員と役員に支払ったお金(給料・賃金・賞与および役員報酬など)の総額。福利厚生費、法定福利費や退職金は含まれない
  2. 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円の水準にする
    事業場内最低賃金とは、事業場内で最も低い賃金のこと。地域別最低賃金とは、厚生労働省が都道府県ごとに定めている最低賃金で、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」で確認できる

※注意点

 この要件を満たす事業計画書を作成すると補助金を受け取ることができますが、計画通りに進まなかった(あるいは進められなかった)場合は補助金を返還する必要が出てくるため、ただ作成すればよいわけではないことに注意が必要です。

ものづくり補助金の申請枠それぞれの申請要件と補助金・補助率

 ものづくり補助金には、5つの「枠」というものがあり、この枠によって条件が異なります。通常枠が基本となり、回復型賃上げ・雇用拡大枠やデジタル枠といった特別枠は、補助金上限額・補助率・採択率が通常枠に比べて優遇される一方、採択されるには通常枠+特別枠ならではの申請要件をクリアする必要があります。

申請枠主な申請要件補助金上限額補助率
通常枠①革新的サービス・製品の開発②生産プロセス・サービス提供方法の改善従業員数5人以下: 750万円従業員数6~20人:1,000万円従業員数21人以上:1,250万円1/2(小規模事業者は2/33)
回復型賃上げ・雇用拡大枠通常枠+賃上げ・雇用拡大への取り組み従業員数5人以下: 750万円従業員数6~20人:1,000万円従業員数21人以上:1,250万円2/3
デジタル枠通常枠+DXに資する取り組み従業員数5人以下: 750万円従業員数6~20人:1,000万円従業員数21人以上:1,250万円2/3
グリーン枠通常枠+温室効果ガス削減に資する取り組み従業員数5人以下:2,000万円従業員数6~20人:3,000万円従業員数21人以上:4,000万円2/3
グローバル市場開拓枠通常枠+海外事業の拡大・強化3,000万円1/2(小規模事業者は2/3)

 通常枠以外の枠で定められている具体的な条件については、公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金の対象経費

 ものづくり補助金の対象経費は以下のとおりです。 

経費内容
機械装置・システム構築費①補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費 ②補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費③ ①もしくは②と一体で行う、改良・修繕または据付けに要する経費
技術導入費本事業の実施に必要な知的財産権などの導入に要する経費
専門家経費本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
運搬費運搬料、宅配・郵送料などに要する経費
クラウドサービス利用費クラウドサービスの利用に関する経費
原材料費試作品の開発に必要な原材料および副資材の購入に要する経費
外注費新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査などの一部を外注(請負、委託など)する場合の経費
知的財産権等関連経費知的財産権の取得に要する弁理士の手続代行費用など
海外旅費(グローバル展開型のみ)本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊などに要する経費
通訳・翻訳費(グローバル展開型のみ)事業遂行に必要な通訳および翻訳を依頼する場合に支払われる経費
広告宣伝・販売促進費(グローバル展開型のみ)提供する製品・サービスの海外展開に必要な広告の作成および媒体掲載、展示会出展など、ブランディング・プロモーションに係る経費

 一方で、汎用性があり、目的外使用になり得るもの(例えば、事務用のパソコンやプリンタ、文書作成ソフトウェア)は、補助対象になりません。

 また、販売を目的とした製品、商品等の生産に係る諸経費についても、補助対象外になる可能性があるため注意が必要です。

ものづくり補助金の申請から受け取りまでの主な流れ

 ものづくり補助金の申請から受け取りまでの主な流れは次のとおりです。

  1. ものづくり補助金 公募開始
  2. 事業計画書の作成(遅くとも1カ月前には着手する必要があります)
  3. 必要書類の準備(事業計画書のほか、補助経費に関する誓約書や賃金引上げの誓約書などが必要です)
  4. GビズIDの取得(取得まで2週間程度かかりますので前広にご準備ください)
  5. 電子申請項目の入力(ミスが許されませんので遅くても1週間前から入力を開始し、複数回見直すことをおすすめします)
  6. 電子申請(当日の申請は極力避けましょう。当日に申請した応募者の採択率は低くなることがデータで示されています)
  7. 採択発表(購入予定の設備などの契約をしないようにしましょう。交付決定前に契約した経費は補助金対象外となります)
  8. 交付申請 → 交付決定(補助金額の確定)
  9. 補助事業実績報告(設備を導入した効果などを報告書として提出します)
  10. 確定検査(補助金交付額の決定)
  11. 補助金請求
  12. 補助金の受け取り

 なお、事業終了後(補助事業実績報告後)5年間にわたって、事業化状況報告・知的財産権等報告を行うことが義務付けられています。

 「ものづくり補助金」は、採択・不採択を決める事業計画書のみに目が向けられがちですが、その他の事務手続きについても、正確な事務処理を求められます。また、のちに説明する加点項目を取るための対策についても採択率に直結するので、極めて重要な要素です。公募要領を読み込むか、認定支援機関(詳細後述)に相談することをおすすめします。

ものづくり補助金に採択されるためのポイント

 ものづくり補助金に採択されるために、次のポイントをおさえておきましょう。

  1. 事業計画には、自社の想いを落とし込むこと
  2. 認定支援機関は実績とサポート体制で選ぶこと
  3. 公募要領の加点項目・審査項目を把握すること
  4. 同業他社の事例を把握すること

事業計画書には、自社の想いを落とし込むこと

 ものづくり補助金に採択されるには、事業計画書の内容が鍵を握ります。

 事業計画書を作成するときにもっとも重要なのは、「なぜその設備を導入したいのか?」「その設備を導入することで何が実現するのか?」について、自分の言葉で書き上げることです。流用している雛形を使い、会社名だけ変えて提出をしないようにしましょう。ほかの中小企業・小規模事業者から提出された事業計画書と極めて類似している場合、補助対象外とされ、ペナルティーも科されます。

 一方で、堅実で素晴らしい経営を行っていながら、そのことについて自分の言葉で書くのが苦手という人もいると思います。その場合は、認定支援機関(認定経営革新等支援機関)のサポートを受けるのも一つです。

認定支援機関とは?
経営において必要となる知識を一定レベル有していると国が認めた機関です。支援を受けることで、より採択されやすい事業計画書を作成できます。なお、認定支援機関に支援を受けた場合、申請時に支援者の名称、報酬、契約期間を記載する必要があります。

認定支援機関は実績とサポート体制で選ぶこと

 認定支援機関にサポートを依頼をする場合、採択率について確認することが重要です。9割以上の採択率を誇るコンサルタントであれば、間違いないといえます。

 また、採択率に加えて、採択数についても確認しましょう。一概にはいえませんが、そのコンサルタント個人でものづくり補助金と事業再構築補助金について20件以上の採択実績(小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金など、ものづくり補助金と事業再構築補助金以外でいくら実績があっても不十分です)があれば、任せてもよいでしょう。

 また、サポート体制についても確認してみてください。前述の通り、補助金を受け取るまでに煩雑な事務手続きが発生します。こうした事務手続きにおいて、書類の不備などのミスをしてしまうと、補助金の交付を受けられなくなる可能性もあります。

 例えば、前述のとおり「交付決定前に設備を購入してしまうと補助金対象外」になるといった大きな落とし穴になるルールも存在します。特に、補助金業務に不慣れな場合は、事業計画書の作成以外のサポートも行う認定支援機関を選定しましょう。

 一方で、「スピーディーに事業計画書を作成できる」などと謳う認定支援機関は避けたほうが無難です。そうした認定支援機関は事業計画書の雛形を使い回していて、自社の想いが盛り込まれていない事業計画書になる可能性があります。少し遠回りであっても、経営者の考えや事業計画をしっかりと共有してくれる認定支援機関を選定することをおすすめします。

公募要領の加点項目・審査項目を把握すること

 ものづくり補助金には加点項目が定められています。例えば、「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」や「事業継続力強化計画を提出している事業者」など、複数の加点項目が設定されており、これらをクリアするごとに、加点されていきます。この加点の数は採択率に直結しており、加点項目が0の場合の採択率が29.3%である一方、加点項目を4つとると採択率は81.7%まで引き上がります。

 また、ものづくり補助金には、審査項目が定められています。審査項目とは、採択審査委員会が、事業計画書の審査をする上で、何をもとに点数をつけるかを示したものです。公募要領には、例えば、「課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。」「 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか」など、審査官がみるポイントについて具体的に示されています。こうした、審査項目を意識して事業計画書を作成することは極めて重要になります。

同業他社の事例を把握すること

 ものづくり補助金に採択されるためには、ものづくり補助金をどう活用するのか、というイメージを具体的にふくらませることも大切です。その際には、同業他社がどのような事業で、補助金を活用しているかを調査してみることをおすすめします。調査の方法には、主に次の2つがあります。

①成功事例から調べる方法

 ものづくり補助金総合サイトの「成功事例のご紹介」から、ものづくり補助金成果事例の検索を行うことができます。例えば「情報サービス」と入力すると、情報サービスに関連する成功事例をみることができます。

 以下は一例になります。

出典:地方小売業の革新のための地域ビッグデータ(POSデータ)分析サービス丨ものづくり補助金総合サイト

②採択結果から調べる方法

 採択結果からも、どんな事業が採択されているかを確認することができます。ものづくり補助金総合サイトの「採択結果」から、ものづくり補助金の過去の採択者の一覧をみることができます。

 ここには事業計画名も掲載されており、そこからどんな事業を実施しているか推察することも可能です。例えば、ドローンを使った事業を検討されている場合はは、CTR+Fというショートカットキーを押して検索窓を開き、そこからドローンを入力して検索をすれば、ドローンに関する事業計画名を検索できます。

ものづくり補助金に関するQ&A

ものづくり補助金は、個人事業主でも応募ができる?

 ものづくり補助金では、個人事業主の人も応募することができます。

ものづくり補助金の採択率は?

 ものづくり補助金の採択率は、募集回によって3〜6割と幅がありますが、直近5回は6割程度で推移しています。4割は不採択となることから、しっかりと準備をした上で応募することが必要です。

ものづくり補助金の範囲は?

 中小企業であれば、業種を問わず応募することができます。製造業のみならず、情報通信業、宿泊業、建築業、小売業等幅広い業種で採択されています。

 ものづくり補助金は何回まで申請できる?

 3年間で2回まで応募することができます。ただし、2回目の応募をする場合は、1回目の交付決定を受けてから10カ月以上経過することが要件になります。

ものづくり補助金の入金のタイミングは?

 事業で必要な設備の契約・納品・支払いが完了し、実績報告を行ったあとに入金されます。設備購入前に補助金を受け取ることはできませんので、資金繰りが厳しい場合は必要に応じて取引がある金融機関に相談することをおすすめします。

ものづくり補助金の最新の変更点は?

 ものづくり補助金14次では、以下の点が変更されています。

  1. 大幅に賃金を上げる事業者に対して補助上限を上乗せ

 補助事業期間終了後3~5年で
 ①給与支給総額年平均6%増加
 ②事業場内最低賃金を年額45円以上引上げ、賃上げに係る計画書を提出
 をした事業者に対しては、従業員数に応じて補助上限が100万円、250万円、1,000万円に引き上げられます。

  1. グリーン枠の見直し

 第14回公募から、エントリー、スタンダード、アドバンスの3つの累計が新設されました。エントリーについては、比較的簡単な取り組みでも要件を満たすことから、対象となる事業者は多くなると予想されます。

  1. グローバル事業に関する補助対象経費が拡充

 第14回からグローバル展開型が廃止されグローバル開拓枠が新設されました。グローバル開拓枠については、新たに広告宣伝費・販売促進費、通訳・翻訳費が対象経費に追加されることになりました(これらはの経費は、ほかの枠では補助対象外になります)

ものづくり補助金の事業計画書の作成時間はどのくらい?

 一概には言えませんが、ものづくり補助金総合サイトでは、事業計画書の作成時間と採択率の関係について、公表しています。もっとも採択率が低いのが10時間以内でその採択率は42%で、もっとも採択率が高いのは30時間超40時間以内で68.8%となっています(参照:データポータル丨ものづくり補助金総合サイト)。

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