事業再構築補助金の産業構造転換枠とは?申請の流れやポイントを解説

 事業再構築補助金の産業構造転換枠は、第10回公募から新設された申請枠です。自社事業に関係する業種・業態の市場規模が今後、減少すると見込まれる場合に申請できます。廃業を伴う場合は、最大9,000万円の補助金が交付されることが特徴です。

 この記事では、事業再構築補助金の産業構造転換枠の概要やスケジュール、申請の流れを解説します。

 中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金や事業再構築補助金といった補助金申請支援のエキスパートです。補助金についてお困りの人は、ぜひお問い合わせください。相談無料で受け付けています。

お問合せフォーム:https://www.sme-support.co.jp/contact/

事業再構築補助金の産業構造転換枠とは

 事業再構築補助金の産業構造転換枠とは、自社事業に関連する国内市場規模が変化したことで、事業再構築が必要な事業者に対して支援する制度を指します。2023年3月30日より開始された第10回公募から新設されている申請枠です。

 事業再構築補助金の産業構造転換枠における要件は、以下のとおりです。

 事業再構築補助金の産業構造転換枠の要件
・事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である(事業再構築要件)
・認定経営革新等支援機関に事業計画を確認してもらうこと(補助金額が3,000万円を超える場合は認定経営革新等支援機関および金融機関の確認を受けている)
・対象となる補助事業の終了後、3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、または従業員1人あたり付加価値額の年平均3.0%以上増加が見込まれる事業計画を策定する
・現在の事業が過去〜今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、別の業態・業種に転換する。または基幹大企業が撤退することで、市町村内総生産の10%以上が減少すると見込まれる地域に自社が属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めている

 「市場規模が10%以上縮小する業種・業態」は、事業再構築補助金の事務局が以下のように指定しています。

  • 出版業および書籍、雑誌小売業
  • 粘土かわら製造業

 なお、上記以外でも今後対象となる業種・業態が公開される可能性があります。詳しくは事務局のホームページを確認してください。

事業再構築補助金の産業構造転換枠におけるスケジュール

 事業再構築補助金の産業構造転換枠に申請できる第10回公募のスケジュールは、以下のとおりです。

  • 第10回公募期間:2023年3月30日(木)〜6月30日(金)18時まで
  • 採択発表時期:2023年8月下旬〜9月上旬頃予定

 ただし、申請開始時期はまだ公表されていません。事務局のホームページで公開されるスケジュールを確認してください。また、第10回公募のあとも、2023年度末までに3回の公募が予定されています。

産業構造転換枠の「事業再構築要件」とは

 事業再構築補助金の産業構造転換枠では要件の1つに、「事業再構築の定義に該当する事業であること(事業再構築要件)」が明記されています。事業再構築要件とは、中小企業庁の事業再構築指針において示された要件を指します。

 第10回公募では、以下の類型が該当します。

類型要件
新市場進出(新分野展開、業態転換)以下の①〜③を満たすこと
①新たな製品・商品・サービスを提供する、または提供方法を大幅に変更する
②新たな市場に進出する
③新規事業の売上が総売上高の10%以上を占める(付加価値額の場合は15%以上)
事業転換以下の①〜③を満たすこと
①新たな製品・商品・サービスを提供する、または提供方法を大幅に変更する
②新たな市場に進出する
③主要な業種が細分類から大分類レベルで変更となる
業種転換以下の①〜③を満たすこと
①新たな製品・商品・サービスを提供する、または提供方法を大幅に変更する
②新たな市場に進出する
③主要な業種が中分類から大分類レベルで変更となる
事業再編補助事業の開始後に会社法上の組織再編を実施し、新たな事業形態で新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、業種転換のいずれかに取り組む
国内回帰海外で製造する製品を国内の拠点で先進性を伴って生産できるように取り組む

 産業構造転換枠を申請するためには、上記(国内回帰はサプライチェーン強靭化枠に申請する事業者のみが該当するため対象外)のいずれかの類型を満たす事業計画を作成する必要があります。

 詳しくは公募要領を確認する、または専門家からのアドバイスを受けることがおすすめです。

事業再構築補助金の産業構造転換枠における補助額・補助率

 事業再構築補助金の産業構造転換枠における補助額・補助率は、下表のとおりです。

従業員数 補助額 補助率
20人以下100〜2,000万円中小企業1/2
中堅企業1/3
21〜50人100〜4,000万円
51〜100人100〜5,000万円
101人以上100〜7,000万円

 自社の廃業を伴う場合には、上記の補助額に加えて最大2,000万円が上乗せされます。異なる業種・業態にチャレンジする事業者は、ぜひ活用したい制度と言えます。

事業再構築補助金の産業構造転換枠における補助対象経費

 事業再構築補助金の産業構造転換枠において補助対象の経費となるものは、自社事業の拡大につながる事業資産への投資である必要があります。そのため、必要性や金額の妥当性を書類によって証明しなければなりません。また、対象経費は交付決定を受けた日以降に契約、または発注し、補助対象となる事業の実施期間内に支払いを済ませたものが該当します。

 対象経費は以下の区分で定められています。

対象経費 内容
建築費補助事業のために使用される事務所や生産設備、加工施設など事業計画の実施に必要と認められる建物の建築・改修に関連する経費
機械装置・システム構築費補助事業のために使用される機械装置や専用ソフトウェアなどの購入、改良、据え付け・運搬に関連する経費
技術導入費補助事業に取り組むために必要な知的財産権などの導入費
専門家経費補助事業に取り組むために依頼した専門家に支払われる経費
運搬費運搬料や宅配・郵送料など
外注費補助事業に必要な加工や設計、検査などの一部を外注する費用
知的財産権など関連経費新製品やサービスを開発して事業化する際に必要となる特許権などの知的財産権の取得を弁理士に依頼する費用など
クラウドサービス利用料サーバーの領域を借りる費用や、該当するサービスを利用する費用など
広告宣伝・販売促進費補助事業で開発する、または提供する商品やサービスの広告宣伝・販売促進に関連する費用など
研修費補助事業を進めるうえで必要な教育訓練・講座受講などの経費など
廃業費廃止手続き費や解体費、原状回復費など廃業に関連する費用

 特に、廃業費は産業構造転換枠のみ申請できる経費です。ただし、複数事業を運営している場合は、そのなかで1つ以上の事業を今後一切、運営しないことが廃業に該当します

 そのため、5店舗運営している事業で1店舗のみを営業停止するなど、事業の一部を運営しないなどは補助対象とならないので注意してください。詳しくは公募要領を確認する、または専門家に相談するとよいでしょう。

そもそも事業再構築補助金とは

 事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスなどの影響により事業の売上が低迷し、ウィズコロナ・ポストコロナ時代への対応が求められたことで、新しい分野・業態に事業再構築を目指す中小企業などを支援する制度のことです。

 令和4年度第2次補正予算で5,800億円が計上されており、新しい事業に取り組むことで売上を回復させたい中小企業者は、ぜひ活用したい制度と言えます。

 事業再構築補助金の要件は以下のとおりです。

事業再構築補助金の要件
・事業者自らが作成した事業計画を認定経営革新等支援機関が確認済みである
・対象となる補助事業の終了後、3〜5年で付加価値額の年率平均3〜5%以上を増加させる、または従業員1人あたり付加価値額の年率平均3〜5%以上を増加させる

 なお、第10回公募の事業再構築補助金では、以下の申請枠が用意されています。

  • 成長枠
  • グリーン成長枠(エントリー、スタンダード)
  • サプライチェーン強靭化枠
  • 産業構造転換枠
  • 物価高騰対策、回復再生応援枠
  • 最低賃金枠

 すべての申請枠は、上記の要件を満たす必要があります。また、それぞれの申請枠には他にも満たさなければならない要件や、対象となる事業者が決められています。詳しくは公募要領を確認してください。

事業再構築補助金の産業構造転換枠を申請する流れ

 事業再構築補助金の産業構造転換枠を申請する流れを紹介します。

 なお、申請する前には説明会への参加が必須です。また、採択されたあとにも事務局が実施する説明会へ参加しなければ、交付申請が受け付けられないので注意してください。

 説明会のスケジュールは事務局のホームページで確認しておきましょう。

申請要件の確認

 まずは、自社の企業規模が申請要件を満たすかを確認しなければなりません。

 対象となる中小企業者の業種や資本金、従業員は下表のとおりです。

業種 申請要件
ゴム製品製造業資本金3億円・従業員数900人
製造業、建設業、運輸業資本金3億円・従業員数300人
ソフトウェア業または情報処理サービス業資本金3億円・従業員数300人
卸売業資本金1億円・従業員数100人
旅館業資本金5,000万円・従業員数200人
サービス業資本金5,000万円・従業員数100人
小売業資本金5,000万円・従業員数50人
その他の業種資本金3億円・従業員数300人

 上記の数字以下となる事業者、または個人事業主が対象となります。ほかにも一般財団法人および一般社団法人などの中小企業者以外の法人や、対象条件を満たす中堅企業が該当します。詳しくは公募要領を確認してください。

GビズIDプライムアカウントの作成

 事業再構築補助金の申請は書類を郵送するのではなく、オンライン上で進める電子申請が採用されています。そのため、申請するシステムにログインするためのGビズIDプライムアカウントを取得しなければなりません。

 GビズIDプライムアカウントを取得する流れは、以下のとおりです。

  • アカウントの申請に必要なもの(SMS受信用のスマートフォン・印鑑証明書・登録印)を用意
  • パソコンからgBizIDの公式サイトにアクセスし、gBizIDプライム申請書を作成
  • 申請書を印刷、押印
  • 作成した申請書と印鑑証明書をGビズID運用センターに郵送

 郵送した書類はGビズID運用センターで審査され、承認されればメールで連絡が来ます。なお、GビズIDプライムアカウントを取得するまでには1週間程度かかります。申請を検討している方は早めに手続きを進めるとよいでしょう。

必要書類の準備・申請

 事業再構築補助金の産業構造転換枠を申請するためには、以下の書類を準備してください。

  • 事業計画書
  • 認定経営革新等支援機関および金融機関による確認書
  • 決算書
  • ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
  • 従業員数を示す書類(労働基準法に基づく労働者名簿の写し)
  • 市場縮小要件を満たすことを説明する書類

 特に、「市場縮小要件を満たすことを説明する書類」は産業構造転換枠のみ必要な書類となります。さらに、廃業を伴う場合は「廃業費を計上することの妥当性を説明する書類」を用意しなければなりません。

 必要書類をそろえたら、事業再構築補助金の事務局ホームページから申請してください。

採択後の流れ

 自社事業が事業再構築補助金の産業構造転換枠に採択された場合の流れは、以下のとおりに進めていきます。

  • 事業再構築補助金の交付申請
  • 補助事業の実施
  • 実績の報告
  • 精算払請求
  • 補助金の振り込み
  • 事業化状況の報告

 注意点として、採択された場合、事業再構築補助金の交付が決定する前に、補助対象となるものを購入した場合は申請金が交付されないことが挙げられます。

 なお、上記のスケジュールは第9回公募の内容です。第10回では変更となる可能性もあります。事務局のホームページで確認する、または専門家に相談することをおすすめします。

事業再構築補助金の産業構造転換枠を申請する際のポイント

 最後に、事業再構築補助金の産業構造転換枠を申請する際のポイントをまとめるので参考にしてください。

複数回の採択が認められている

 事業再構築補助金の産業構造転換枠では、過去に採択された事業者でも再申請が認められています。

 条件は以下のとおりです。

  • 第1〜9回公募のグリーン成長枠以外で採択を受けた事業者は、第10回公募以降でも申請可能
  • 1回目の採択額との差額分が第10回公募以降の補助上限となる
  • 採択される上限は2回まで

 なお、通常の申請書類に加えて、以下の資料を加えなければなりません。

  • 1回目に採択された事業再構築とは、異なる事業再構築であることを示す資料
  • 既存の事業再構築に取り組みながら、新たに申請する事業再構築を進められる体制や資金力を示す資料

複数の事業者が連携して申請できる

 事業再構築補助金の産業構造転換枠は1つの事業者で申請できますが、最大20者まで連携して申請できます。この場合は、事業再構築要件をそれぞれの事業者が満たさなければならず、それらを示す「連携体各者の事業再構築要件についての説明書類」も用意しなければなりません。

 他にもさまざまな要件が定められているので、詳しくは公募要領をチェックする、または認定経営革新等支援機関に相談してください。

申請したすべての経費が補助対象となるわけではない

 事業再構築補助金の産業構造転換枠で申請した経費は、事務局などによってその妥当性が審査されます。審査時に対象経費が認められない場合は、申請した経費の一部のみに対して補助金が交付される可能性があることも把握しておきましょう。

事業再構築補助金の産業構造転換枠をお考えなら中小企業支援事務所にご相談を

 事業再構築補助金の産業構造転換枠は、廃業に関する費用に対しても補助金が交付されるため、自社事業を再構築したい際にはぜひ活用したい制度と言えます。

 ただし、事業計画書は事業者自ら作成したり、産業構造転換枠に必要な書類をそろえたりするなど、専門家のアドバイスなしで準備することは困難な場合が想定されます。

 中小企業経営支援事務所(当社)では、事業再構築補助金の産業構造転換枠の申請サポートや、認定支援機関として経営改善計画の策定支援を行っています。

 事業再構築補助金の産業構造転換枠の申請が通るための丁寧なアドバイスや、経営者様の想いを汲み取り、金融機関がより納得しやすい事業計画の策定を心がけているので、事業再構築補助金の産業構造転換枠に関してお困りでしたら、ぜひ当社にお問い合わせくださいませ。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

事業再構築補助金の第10回の内容まとめ 変更点や申請ポイントを解説

 事業再構築補助金の第10回の公募が、2023年3月30日から開始されています。申請枠や要件が第9回の公募から大幅に変更となりました。さらに、事前着手の制度についても見直されています。

 そこで、この記事では事業再構築補助金の第10回の概要やスケジュール、第9回からの変更点、申請の流れを解説しています。

 中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金や事業再構築補助金といった補助金申請支援のエキスパートです。補助金についてお困りの人は、ぜひお問い合わせください。相談無料で受け付けています。

お問合せフォーム:https://www.sme-support.co.jp/contact/

事業再構築補助金の第10回の概要

事業再構築補助金 第10回の概要

 2021年から開始された事業再構築補助金の第10回目となる公募が、2023年3月30日から始まりました。新規事業に関連する設備投資に対して最大5億円の補助金を申請できます。物価高騰などの影響により、売上が落ちた中小企業者であればぜひ活用したい制度でしょう。

 なお、第10回から申請できる類型に種類が変更・追加されているので注意が必要です。それに伴い、類型ごとに補助対象となる事業の要件も異なります。詳しくは公募要領の「4. 補助対象事業の要件」を確認してください。

 募集されている類型は、以下のとおりです。

  • 成長枠
  • グリーン成長枠(エントリー・スタンダード)
  • 産業構造転換枠
  • サプライチェーン強靭化枠
  • 物価高騰、回復再生応援枠
  • 卒業促進枠、大幅賃金引上促進枠
  • 最低賃金枠

 第9回からの変更点については、次章で詳しく解説します。

事業再構築補助金の第10回におけるスケジュール

 事業再構築補助金の第10回の公募期間は、2023年3月30日から6月30日の18時までです。申請の受付開始時期は、まだ公表されていません。採択結果の発表は、2023年8月下旬〜9月上旬頃が予定されています。詳しくは、事業再構築補助金の事務局ホームページを確認してください。

そもそも事業再構築補助金とは

 事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症などの影響で悪化した売上を回復させるために、新しい分野や市場への進出、業態転換に挑戦する中小企業を支援する制度のことです。

 例えば、新しい事業を始めるために必要な建物の建築・改修するための費用などが事業再構築補助金の補助対象となります。ただし、従業員の人件費やパソコン、スマートフォンの購入費などの経費は補助対象外となる可能性があるので注意が必要です。詳しくは専門家からのアドバイスを聞いたほうがよいでしょう。

 事業再構築補助金は、以下の要件を満たすことが必要です。

  • 経済産業省が示す「事業再構築指針」に基づいて3〜5年の事業計画書を作成したうえで、認定経営革新等支援機関の確認を受けている
  • 補助事業が終了した後の3〜5年において、付加価値額を年率平均3〜5%以上アップさせる、または従業員1人あたり付加価値額を年率平均3〜5%以上アップさせる

 なお、上記の要件以外にも類型ごとに他の要件も定められているので公募要領を確認してください。

 そして、事業再構築補助金の補助対象者となる条件は、以下のとおりです。

日本国内に本社がある中小企業者、および中堅企業である

 中小企業者となる資本金や従業員数は下表のとおりです。資本金・従業員数が下表の数値以下でなければなりません。

業種 資本金 従業員数
製造業、建設業、運輸業3億円300人
ゴム製品製造業3億円900人
ソフトウェア業、情報処理サービス業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業5,000万円100人
小売業5,000万円50人
旅館業5,000万円200人
上記以外のその他の業種3億円300人

 また、中堅企業となる条件は以下のとおりです。

  • 中小企業者や中小企業者以外の法人に該当しない
  • 資本金の総額が10億円未満の法人である
  • 資本金の総額が定められていない場合は、従業員数が2,000人以下である。

 これらの条件を公募開始日の時点ですべて満たす必要があります。ただし、経済産業省や中小企業庁から補助金等指定停止措置・指名停止措置を課せられている場合は、補助対象事業者となりません

 なお、事業再構築補助金の対象事業を実施している期間中に、資本金の減額や従業員数の削減などが発覚した場合は、事業再構築補助金が交付されないことがあるので注意してください。ほかにも該当する中小企業者以外の法人や、自社の事業内容が補助対象となるためのさまざまな条件が定められています。詳しくは専門家に相談することをおすすめします。

事業再構築補助金の第10回の内容 第9回からの主な変更点

 事業再構築補助金の第10回は第9回から大きく変更されています。ここでは、主な変更点をまとめていきます。

通常枠が成長枠に変更

 事業再構築補助金の第9回公募で募集されていた通常枠という名称が成長枠に変更されています。それに伴い、売上高の減少に関する要件が撤廃されました。これまでは、過去と比較して売上高が減少していることが事業再構築補助金に申請する要件であったため、第10回の成長枠からは、売上高が減少していなくても申請できます。

 ただし、成長枠は以下の要件を満たさなければなりません。

成長枠の要件
・過去から今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する業種、または業態に取り組む事業が属している
・補助対象となる事業の終了後3〜5年で、給与支給総額を年率平均2%以上増加させる

 「市場規模が10%以上拡大する業種、または業態」は事務局が公表しており、これら以外の事業は成長枠の対象とならないことに注意が必要です。

グリーン成長枠に2つの類型が追加

 グリーン成長枠とは、地球温暖化への対応を目的とした事業が該当する申請枠を指します。第10回からはグリーン成長枠に「スタンダード」「エントリー」の類型が追加されました。「エントリー」の類型は、従来のグリーン成長枠よりも要件が緩和されています。これにより、洋上風力や次世代熱エネルギー、半導体・情報通信に関連する事業に取り組みたい事業者が申請しやすくなったと言えます。

 2つの類型の要件は以下のとおりです。

スタンダード の要件
・経済産業省が策定したグリーン成長戦略の実行計画で14分野の課題解決に関連する事業である。その事業に取り組む際に2年以上の研究開発・技術開発、または従業員10%以上に年間20時間以上の人材育成をあわせて実施する
・補助対象となる事業の終了後3〜5年で、給与支給総額を年率平均2以上増加させる
エントリーの要件
・経済産業省が策定したグリーン成長戦略の実行計画で14分野の課題解決に関連する事業である。その事業に取り組む際に1年以上の研究開発・技術開発、または従業員5%以上に年間20時間以上の人材育成をあわせて実施する
・補助対象となる事業の終了後3〜5年で、給与支給総額を年率平均2%以上増加させる

成長枠とグリーン成長枠に支援措置の追加

 上記の成長枠とグリーン成長枠を対象に、「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」の支援措置に関する枠組みが追加されています。事業規模の拡大が見込まれる場合には、同時に追加申請できます

 それぞれの要件は以下のとおりです。

卒業促進枠の要件
補助対象となる事業の終了後3〜5年で、中小・中堅企業から中堅・大企業などへ企業規模が拡大すること
→企業規模を拡大できた場合には、補助上限が2倍に引き上げられる
大規模賃金引上促進枠の要件
補助対象となる事業の終了時点で、事業場内最低賃金+45円、給与支給総額+6%を達成する
→要件を達成できれば、補助上限が3,000万円上乗せされる。補助率が中小企業者1/2→3/2、中堅企業1/3→1/2にアップする

 なお、卒業促進枠と大規模賃金引上促進枠の両方を同時に申請できません。また、大規模賃金引上促進枠に採択された場合でも、事業終了後の3〜5年後で給与支給総額を年率平均2%以上増加させることが達成できないと、差額分の返還が求められます

 自社の事業で追加申請したほうがよいかなどは、専門家の意見を取り入れることがおすすめです。

サプライチェーン強靭化枠の新設

 サプライチェーン強靭化枠が第10回から新設されました。サプライチェーンとは、調達や製造、在庫管理、配送、販売など、製品が消費者の手元に届くまでの流れの全体を指す言葉です。

 サプライチェーン強靭化枠とは、サプライチェーンのなかで海外で製造している工程を国内に回帰させるために、自社の事業を強靭化することを目的とした事業者に対する支援の申請枠を指します。補助上限額が5億円と、他の申請枠と比べて高額であることが特徴です。

 サプライチェーン強靭化枠の要件は以下のとおりです。

サプライチェーン強靭化枠の要件
・補助事業の終了後、3〜5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、または従業員1人あたり付加価値額の年率平均5.0%以上増加が見込まれる事業計画を策定する
・取引先から国内での生産要請がある
・過去から今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する業種、または業態に取り組む事業が属している(ただし製造業に限る)
・経済産業省が公開するDX推進指標を活用して自己診断を実施し、その結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に提出している
・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★★二つ星」を宣言している
・サプライチェーン強靭化枠の交付が決定された時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い。新規立地の場合は、それに準ずる雇用計画を提出する
・「パートナーシップ構築宣言」のポータルサイトにて、宣言を公表している

 なお、事業再構築補助金の第1回〜第9回で採択、または交付決定を受けている場合でも、所定の条件を満たせばサプライチェーン強靭化枠に申請できます。詳しくは公募要領を確認してください。また、上記の要件を含んだサプライチェーンの公募要領は、事業再構築補助金の第10回のものと別で公表されているので、確認する際には注意してください。

 事業再構築補助金の第10回において、成長枠とグリーン成長枠、サプライチェーン強靭化枠では、「事業終了後の3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させる」の要件を満たすことが必須となります。満たせない場合は補助を受けられないことに注意が必要です。

産業構造転換枠の新設

 産業構造転換枠とは、新型コロナウイルス感染症などの影響により産業構造が変化して、自社事業の国内市場が縮小し、事業を再構築・転換しなければならない事業者を対象とした申請枠を指します。廃業を検討している場合は、廃業費として最大2,000万円が上乗せされることが特徴です。

  産業構造転換枠の要件は以下のとおりです。

産業構造転換枠の要件
・補助事業が終了した後の3〜5年において、付加価値額を年率平均3%以上アップさせる、または従業員1人あたり付加価値額を年率平均3%以上アップさせる
・過去から今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種、業態に自社事業が属しており、別の業種、業態に転換する
・地域の基幹大企業が撤退することで、市町村内総生産の10%以上が減少すると見込まれる地域で自社事業を実施しており、基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めている

 なお、サプライチェーン強靭化枠と同様に、事業再構築補助金の第1回〜第9回で採択、または交付決定を受けている場合でも、所定の条件を満たせば産業構造転換枠に申請できます。詳しくは公募要領を確認してください。

物価高騰対策・回復再生応援枠の新設

 事業再構築補助金の第9回で公募されていた「回復・再生応援枠と緊急対策枠」が統合し、「物価高騰対策・回復再生応援枠」が新設されました。

 新型コロナウイルスや物価高騰などの影響により、業績が悪化している事業者が対象です。

 物価高騰対策・回復再生応援枠の要件は以下のとおりです。

物価高騰対策・回復再生応援枠の要件
・補助事業が終了した後の3〜5年において、付加価値額を年率平均3%以上アップさせる、または従業員1人あたり付加価値額を年率平均3%以上アップさせる
・2022年1月以降で連続する6ヶ月のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019〜2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している
・中小企業活性化協議会から支援を受けて、再生計画などを策定している

 第9回の回復再生応援枠では、「合計売上高が30%以上減少している」ことが要件であったため、事業再構築補助金を申請するハードルが下げられたと言えます。

2回目の申請・採択が可能

 事業再構築補助金は原則として、1事業者につき採択は1回と決められています。ただし、以下の申請枠では過去に採択された実績がある事業者でも、再度申請・採択されることが認められるようになりました

  • グリーン成長枠
  • 産業構造転換枠
  • サプライチェーン強靭化枠

 例えば、事業再構築補助金の第1回〜9回において、グリーン成長枠以外で採択を受けていた場合、第10回公募では上記の申請枠に再度申請できます。また、グリーン成長枠で採択を受けていた場合、第10回公募ではサプライチェーン強靭化枠のみ再度申請できます。なお、支援を受けられる回数は合計2回までです。

 2回目を申請する際には、通常の申請書類とは別に以下の資料を提出しなければなりません。

  • すでに事業再構築補助金で取り組んでいる事業とは異なることを示す資料
  • 現在の事業に取り組みながら、新たな事業に取り組める体制や資金力を示す資料

事前着手承認制度の見直し

 事業再構築補助金の対象となる事業に取り組めるタイミングは原則として、交付決定後です。ただし、以下の申請枠については交付決定前から事業に着手できます

  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策、回復再生応援枠
  • サプライチェーン強靭化枠

 第10回公募からは、事前着手承認制度の対象期間が令和4年度第二次補正予算の成立日(2022年12月2日)以降に見直されました。なお、事前着手を承認してもらうためには、事前着手申請を提出しなければなりません。

 上記の変更点を参考にして、事業再構築補助金の第10回における類型の補助上限額・補助率をまとめると、下表のとおりです。

類型 補助上限額 補助率
成長枠最大7,000万円中小企業:1/2中堅企業:1/3
グリーン成長枠エントリー:最大1億円スタンダード:最大1億5,000万円中小企業:1/2中堅企業:1/3
サプライチェーン強靭化枠最大5億円中小企業:1/2中堅企業:1/3
産業構造転換枠最大7,000万円(廃業を伴う場合は2,000万円上乗せ)中小企業:2/3中堅企業:1/2
物価高騰対策・回復再生応援枠最大3,000万円中小企業:2/3(一部3/4)中堅企業:1/2(一部2/3)
最低賃金枠最大1,500万円中小企業:3/4中堅企業:2/3

事業再構築補助金の第10回を申請する流れ

 ここでは、事業再構築補助金の第10回を申請する流れについて解説します。

説明会に参加

 事業再構築補助金の第10回に申請する前には、事務局が開催する説明会に参加しなければなりません。第9回の公募要領には、説明会について記載されてなかったので注意が必要です。開催スケジュールは事務局のホームページを確認してください。

GビズIDプライムアカウントの取得

 事業再構築補助金の第10回を申請するためには、GビズIDプライムアカウントを取得する必要があります。

 取得するまでの流れは以下のとおりです。

  1. SMS受信用のスマートフォンまたは携帯電話、印鑑証明書、登録印を用意
  2. パソコンにてGビズIDプライム申請書を作成
  3. 申請書を印刷、押印
  4. 押印した申請書と印鑑証明書をGビズID運用センターへ郵送
  5. 審査完了メールを受け取る

 審査完了のメールからパスワードを設定すれば、IDの登録が完了します。1週間程度でアカウントは発行されますが、もし申請書に不備があれば時間を要する場合もあります。事業再構築補助金の第10回を申請したい方は、早めに準備しておくことがおすすめです。

事業計画の策定・認定計画革新等支援機関との相談

 事業再構築補助金のどの申請枠についても、事業計画の策定が必須です。事業計画は事業者自身で作成しなければなりません。難しい場合は、認定経営革新等支援機関のアドバイスを受けながら作成を進めてください。

必要書類の作成・申請

 事業再構築補助金の第10回に申請するためには、以下の書類が必要です。

  • 事業計画書・認定経営革新等支援機関、および金融機関による確認書
  • 決算書・ミラサポplus「電子サポート」の事業財務情報
  • 労働者名簿の写し
  • 直近の確定申告書別表1、および法人事業概況説明書の控え

 上記に加えて、申請枠や補助対象の事業内容によって必要な書類を用意しなければなりません。詳しくは公募要領を参考にしてください。

 書類を準備したら、申請に進みます。申請は電子申請のみです。事務局ホームページの「電子申請システム操作マニュアル」を参考にしながら申請しましょう。

審査結果の通知・公表

 事務局による審査後に、採択・不採択が通知されます。採択された事業については、自社の商号または名称、補助事業の計画名、事業計画書の概要、認定経営革新等支援機関名が公表されます。

 ただし、採択が通知されても交付決定の前に購入決定すると申請金が下りないことに注意が必要です。

採択後について

 自社事業が採択された後の流れは、以下のとおりです。

  • 交付申請
  • 補助事業の実施
  • 実績報告
  • 精算払請求
  • 補助金の振り込み
  • 事業化状況の報告

 なお、上記の流れは変更となる場合もあります。詳しくは事務局のホームページを確認してください。

事業再構築補助金の第10回に対するよくある質問と答え

 最後に、よくある質問と答えをまとめるので参考にしてください。

Q. リースを利用して機械装置などを導入する場合も補助対象となるのか

 A.中小企業とリース会社の共同申請によって、第10回事業再構築補助金に申請できます。リース会社が購入する機械装置やシステムの費用が補助金の対象となります。なお、リース会社と共同申請する場合は、リース料軽減計算書などの追加書類や、満たさなければならない条件などがあります。詳しくは専門家に相談することがおすすめです。

Q. 中小企業者の従業員数に日雇い労働者は含まれるのか

 A.日雇い労働者は含まれません。なお、2ヶ月以内などの雇用期間を定めている労働者、試用期間中の労働者も該当しないとあわせて定められています。詳しくは中小企業基本法の「常時使用する従業員」を確認するか、専門家に相談したほうがよいでしょう。

Q. 海外企業や海外の子会社は申請対象となるのか

 A.海外企業や海外の子会社は、事業再構築補助金の第10回の申請対象になりません。ただし、日本国内に本社があれば、海外中小・中堅企業の子会社は補助対象になる場合もあります。

Q. 売上高や売上高構成比率などの要件を達成できない場合に補助金を返還しなければならないのか

 A.申請要件を満たせない場合、補助金を返還する義務はありません。事業再構築補助金の補助対象事業を中止する際には、補助金交付額の返還を求める場合があります。

Q. ものづくり補助金など、他の補助事業とあわせて申請できるのか

 A.申請できます。同じ事業者でも異なる事業である、などの要件を満たす必要があります。

事業再構築補助金の第10回を申請したいとお考えなら中小企業経営支援事務所にご相談を

 事業再構築補助金の第10回公募は第9回と比べて、申請枠が大きく変更・追加されています。要件の緩和が見られ、より幅広い事業者が申請できるように調整されています。

 ただし、事業再構築補助金の第10回に申請するためには、事業者自身で事業計画書を作成しなければなりません。また、さまざまな申請枠が用意されているため、自社に適したものを判断するのが難しい場合もあるでしょう。

 中小企業経営支援事務所(当社)では、事業再構築補助金の申請サポートや、認定支援機関として経営改善計画の策定支援を行っています。

 経営改善計画策定支援事業の申請が通るための丁寧なアドバイスや、経営者様の想いを汲み取り、金融機関がより納得しやすい計画の策定を心がけているので、経営改善計画策定支援事業に関してお困りでしたら、ぜひ当社にお問い合わせくださいませ。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

事業再構築補助金の成長枠とは?要件やスケジュール、申請の流れを解説

 事業再構築補助金の成長枠とは、成長分野に向けて積極的な事業再構築を目指す事業者を支援する申請枠を指します。第9回公募の通常枠が変更となり、第10回公募から新設されました。それに伴い、補助金や補助率などの要件が変更されています。

 そこでこの記事では、事業再構築補助金の成長枠の概要や対象となる業種、スケジュール、第9回通常枠からの変更点、申請の流れについて解説します。

 中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金や事業再構築補助金といった補助金申請支援のエキスパートです。補助金についてお困りの人は、ぜひお問い合わせください。相談無料で受け付けています。

お問合せフォーム:https://www.sme-support.co.jp/contact/

事業再構築補助金の成長枠とは?

事業再構築補助金 成長枠の概要

 事業再構築補助金の成長枠とは、将来的に成長が見込まれる分野に取り組む中小企業を支援する制度の枠組みを指します。第10回公募から通常枠の名称が変更して成長枠となり、新設されました。

 以下の経費が補助対象となります。

  • 建設費
  • 機械装置費、システム構築費(リース料含む)
  • 技術導入費
  • 専門家経費など

 事業再構築補助金の成長枠における要件は、以下のとおりです。

事業再構築補助金の成長枠の要件
・過去から今後10年間において、市場規模が10%以上拡大する業種
・業態に取り組む事業が属していること
・事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である・認定経営革新等支援機関に事業計画の確認を受けている
・補助事業の終了後3〜5年で付加価値額の年率平均4%以上の増加、または従業員1人あたり付加価値額の年率平均4%以上の増加が見込める事業計画を策定している
・事業終了後、3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させる

 上記の要件をすべて満たさなければなりません。

 事業再構築補助金の成長枠の対象となる業種・業態は、以下が該当します。

  • 畜産食料品製造業
  • 調味料製造業
  • パン、菓子製造業
  • 動植物油脂製造業
  • 製氷業など

 ほかにも対象となる業種・業態が存在します。詳しくは事務局が公開している成長枠対象リストを確認してください。

 なお、上記以外の業種・業態でも、要件を満たすことを示すデータを事務局に提出して、認可されれば対象になり得ます。その場合、事業者からの申請は受け付けておらず、業界団体からの申請のみとなります。詳しくは事務局に問い合わせる、または専門家に相談したほうがよいでしょう。

事業再構築補助金の成長枠における補助金額・補助率

 事業再構築補助金の成長枠における補助金額・補助率は下表のとおりです。

補助金額 補助率
従業員数20人以下:100〜2,000万円
従業員数21〜50人:100~4,000万円
従業員数51~100人:100~5,000万円
従業員数101人以上:100~7,000万円
中小企業者など:1/2
中堅企業など:1/3

 なお、以下の追加要件を満たせば上記の補助率を引き上げることも見込めます。

追加要件 補助率
・補助事業の期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させる
・補助事業の期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げる
中小企業者など:1/2→2/3
中堅企業など:1/3→1/2

 上記の追加要件を満たせる場合は、「大規模賃金引上促進枠」を同時に申請しましょう。また、中小企業・中堅企業から中堅・大企業に事業規模を拡大できる見込みがあれば、「卒業促進枠」の申請も検討できます。採択されれば補助上限額をアップさせられます。

 ただし、「大規模賃金引上促進枠」と「卒業促進枠」の2つを同時に申請できないことに注意してください。事業再構築補助金の成長枠といずれか1つの申請枠のみです。

 なお、給与支給総額や最低賃金には、対象月の基準などの要件が定められています。詳しくは、専門家に確認することが大切です。

事業再構築補助金の成長枠におけるスケジュール

 事業再構築補助金の成長枠におけるスケジュールは、以下のとおりです。

  • 第10回公募期間:2023年3月30日〜6月30日18時
  • 申請受付開始時期:調整中
  • 採択結果発表:2023年8月下旬〜9月上旬頃

 申請可能な受付開始時期は、まだ公表されていません。スケジュールは必要に応じて変更される可能性があります。詳しくは最新のスケジュールを事務局のホームページで確認してください。

そもそも事業再構築補助金とは

 事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスや物価高騰などの影響を受けた中小企業が事業を再構築するための取り組みに対する支援制度のことです。令和4年度第二次補正予算では、事業再構築補助金に5,800億円が使われると公表されています。

 第10回の公募では、成長枠のほかにも以下の申請枠が用意されています。

  • グリーン成長枠
  • サプライチェーン強靭化枠
  • 物価高騰対策、回復再生応援枠
  • 産業構造転換枠
  • 最低賃金枠

 自社の事業内容によっては、成長枠以外のほうが適している場合もあるでしょう。ただし、それぞれの申請枠によって満たさなければならない要件が異なります。公募要領を確認することが大切です。

事業再構築補助金の成長枠の概要 第9回通常枠からの変更点

 ここでは、事業再構築補助金の成長枠が第9回の通常枠からどのように変更されたかを解説します。

指定された業種・業態のみに申請可能

 第9回公募の事業再構築補助金の通常枠から名称が成長枠に変更されました。それに伴い、以下の要件が追加されています。

過去から今後のいずれか10年間において、市場規模が10%以上拡大する業種や業態に、補助事業として取り組む自社事業が属さなければならない

 「市場規模が10%以上拡大する業種や業態」については、事務局が指定しています。つまり、指定された業種・業態のみにしか申請できないということです。成長枠の対象となる業種や業態は一覧から確認できます。

 なお、「過去の公募回にて認められた業種や業態については、その後の公募回で追加される」と事務局が公表しています。そのため、今後も追加される可能性が高いでしょう。

売上高に関する要件の撤廃

 事業再構築補助金の第9回の通常枠では、以下の要件が記載されていました。

2020年4月以降で連続する6ヶ月のうち、任意の3ヶ月における合計売上高が、新型コロナウイルス感染症の拡大以前(2019年または2020年1〜3月)の3ヶ月における合計売上高と比較して10%以上減少していること

 しかし、第10回の成長枠では撤廃されています。売上高に関する要件がなくなったため、より多くの事業者が対象となりました。

補助上限額・補助率の変更

 下表のとおり、補助上限額と補助率が変更されています。

第9回通常枠 第10回成長枠
補助金額従業員数20人以下:100〜2,000万円
従業員数21〜50人:100〜4,000万円
従業員数51〜100人:100〜6,000万円
従業員数101人以上:100〜8,000万円
従業員数20人以下:100〜2,000万円
従業員数21〜50人:100〜4,000万円
従業員数51〜100人:100〜5,000万円
従業員数101人以上:100〜7,000万円
補助率中小企業者:2/3
中堅企業:1/2
中小企業者:1/2
中堅企業:1/3

 第10回の成長枠のほうが、補助上限額・補助率が減少しています。ただし、第10回からは成長枠のほかにも、グリーン成長枠の「エントリー」や、産業構造転換枠などの申請枠が新設されています。自社事業に適した申請枠を専門家と相談しながら決めるとよいでしょう。

事業再構築補助金の成長枠を申請する流れ

 事業再構築補助金の成長枠を申請する流れについて、解説します。なお、申請前には事務局が開催する説明会への参加が必須です。事務局のホームページで開催日時を確認しておきましょう。

自社の企業規模を確認する

 事業再構築補助金の成長枠の補助対象となる事業者は、中小企業または中堅企業です。

 中小企業は下表の数字以下となる会社、または個人事業主が該当します。

製造業その他資本金3億円・従業員数300人
卸売業資本金1億円・従業員数100人以下
小売業資本金5,000万円以下・従業員数50人以下
サービス業資本金5,000万円以下・従業員数100人以下

 中堅企業の条件は以下のとおりです。

上記の中小企業に該当しない、資本金10億円未満・従業員数2,000人以下の事業者が該当する

 自社がこれらの条件を満たしているか確認してください。なお、農業組合法人や労働者協同組合も所定の条件を満たせば申請対象となります。詳しくは、公募要領を確認しておきましょう。

必要書類の準備

 事業再構築補助金を申請する際に必要な以下の書類を準備してください。参考資料は、事務局ホームページの「電子申請に当たっての添付書類および参考資料」に用意されています。

  • 事業計画書
  • 認定経営革新等支援機関、金融機関の確認書
  • 決算書
  • ミラサポplus「電子サポート」の事業財務情報
  • 従業員数を示す書類
  • 収益事業を示す書類

 なお、以下の書類は成長枠を申請する際に追加で必要なものです。

  • 市場拡大要件を満たすことを示す書類
  • 給与総額増加の要件を満たすことを示す書類
  • 補助率引上要件を満たすことを示す書類(補助率引き上げを求める場合のみ)

 ほかにも、複数の事業者が連携して事業に取り組む場合には、その必要性を示す書類などを用意しなければなりません。

電子申請

 事業再構築補助金の成長枠に申請する方法は電子申請のみです。事務局の「電子申請システム操作マニュアル」に沿って申請してください。

 なお、電子申請する際には、GビズIDプライムアカウントを取得しなければなりません。取得するまでには1週間程度かかります。申請を検討している場合は、早めに準備しておきましょう。

事務局による審査・結果の通知

 事務局が申請した書類を審査し、採択・不採択の結果が通知されます。採択された場合は事務局のホームページで公表されます。なお、採択された場合でもすぐに補助金が振り込まれるわけではありません。

 また、申請書類の不備などにより申請要件を満たしていない場合は、採択結果が公表される前に事務局から連絡があります。

補助金の交付申請

 採択された場合、補助金の交付を申請します。なお、事務局の審査によっては申請した経費が補助対象外となり、当初よりも補助額が少なくなる場合もあります。

 また、補助金の交付が決定する前に事業譲渡や会社分割などを実施して、補助金を交付申請できる権利を他者に継承できないことに注意してください。

事業再構築補助金の成長枠におけるポイント

 事業再構築補助金の成長枠を申請する際のポイントをまとめます。

「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」を追加申請できないか検討する

 事業再構築補助金の成長枠では、補助事業の終了後、3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させることが要件に含まれています。そのため、給与水準の改善に取り組むことが必須と言えます。同様に、賃上げに取り組む「卒業促進枠」や「大規模賃金引上促進枠」を追加申請できないか検討することがおすすめです。

 採択されれば、自社事業を補助できる金額を増やせます。どの申請枠を追加で申請すればよいかについては専門家のアドバイスを参考にするとよいでしょう。

補助対象外となる事業を確認する

 事業再構築補助金の成長枠では、以下の事業は対象外となります。

  • 事業所の家賃、保証金、水道光熱費
  • 電話代、インターネット利用料金などの通信費
  • 不動産の購入費・事務用のパソコン、プリンタ、タブレット端末など
  • 自社の人件費

 申請する際の計上されている経費に補助対象外が多く含まれている場合、不採択になったり、採択された場合でも取り消されたりする場合があるため注意しましょう。

 対象外の事業は、ほかにも定められています。詳しくは公募要領を確認する、または専門家に相談することがおすすめです。

事業計画は事業者自身が策定しなければならない

 事業再構築補助金の成長枠を申請する際に必要な事業計画は、事業者自身で策定する必要があります。

 さらに、事業計画には以下のポイントを含めなければなりません。

  • 現在の事業に関して、強みや弱み、事業再構築の必要性
  • 事業再構築の具体的内容
  • 事業再構築を検討している市場の状況、自社の優位性、費用対効果
  • 実施体制、事業スケジュール、資金調達計画

 これらの内容をもとに、事業実施体制や財務の妥当性、費用対効果などが審査されます。なお、認定経営革新等支援機関のアドバイスを受けることは認められているので活用するとよいでしょう。

事業再構築補助金の成長枠を申請したいとお考えなら中小企業支援事務所にご相談を

 事業再構築補助金の成長枠は、申請できる業種や業態が限られていますが、売上高に関する要件が撤廃されており、検討できる事業者も多くなるでしょう。

 ただし、事業再構築補助金の成長枠は第10回公募から新設された申請枠であるため、採択されるためには実績豊富な専門家からのアドバイスが有効です。

 中小企業経営支援事務所(当社)では、事業再構築補助金の成長枠の申請サポートや、認定支援機関として経営改善計画の策定支援を行っています。

 経営改善計画策定支援事業の申請が通るための丁寧なアドバイスや、経営者様の想いを汲み取り、金融機関がより納得しやすい計画の策定を心がけているので、経営改善計画策定支援事業に関してお困りでしたら、ぜひ当社にお問い合わせくださいませ。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

小規模事業者持続化補助金とは?補助の対象や補助額、申請の流れを解説

 小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者を対象に業務効率化や販路を新しく開拓する取り組みにかかる費用の一部を補助する制度のことです。申請類型によって最大250万円の補助額が受けられます。ただし、申請する際にはさまざまな申請要件を確認し、必要書類を用意する必要があります。

 そこでこの記事では、小規模事業者持続化補助金の概要やインボイス特例、申請の流れ、よくある質問と答えを解説しています。

 中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金や事業再構築補助金といった補助金申請支援のエキスパートです。補助金についてお困りの方は、ぜひお問い合わせください。相談無料で受け付けています。

お問合せフォーム:https://www.sme-support.co.jp/contact/

小規模事業者持続化補助金とは?

 小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者を対象として経営改善や業務の効率化、販路拡大の取り組みに関連する費用の一部を補助する制度のことです。小規模事業者の売上や生産性の向上、インボイス制度への対応、持続的な発展を促すことを目的としています。なお申請する際には、小規模事業者が事業計画書を自ら策定しなければならないなど、さまざまな要件を満たさなければなりません。

小規模事業者持続化補助金の補助対象となる経費の例

 例えば、以下の経費が小規模事業者持続化補助金の対象になります。

補助対象事例
機械装置費補助事業に取り組むために必要な機械装置の購入費など
広報費新サービスを宣伝するチラシの作成・配布や看板の設置費
ウェブサイト関連費※補助総額1/4(最大50万円)が上限ウェブサイトやECサイトなどを構築・更新・開発するために必要な経費
展示会などの出展費展示会や商談会への出展料
旅費展示会の会場までにかかる旅費など
開発費新商品の開発や試作品に関連する経費
資料購入費補助事業に関連する資料など
雑役務費補助事業を進めるために臨時的に雇用したアルバイトや派遣社員の費用
借料機器や設備のリース・レンタル料
設備処分費新サービスを展開するためにスペース確保を目的とした設備処分費
委託・外注費自社では実施困難な業務を第三者に依頼した費用

 なお、ウェブサイト関連費のみでは小規模事業者持続化補助金を申請できません。また、車やオートバイ、パソコンなど、補助事業の目的外で使用することが考えられるものは対象外です。

 補助対象となる経費や条件については、他にも要件が細かく定められています。詳しくは、専門家に相談することがおすすめです。

小規模事業者持続化補助金の申請類型と補助率・補助上限額

 小規模事業者持続化補助金の申請類型と補助率・補助上限額は、下表のとおりです。

申請類型補助率補助上限額
通常枠2/350万円
賃金引上げ枠2/3(赤字事業者は3/4)200万円
卒業枠2/3200万円
後継者支援枠2/3200万円
創業枠2/3200万円

 通常枠、または特別枠(賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠)のいずれか1つのみを申請できます。特別枠にはそれぞれ追加申請要件が定められています。どの申請類型が自社に適しているかは、専門家に相談して決めたほうがよいでしょう。

※第12回受付締切分からインボイス特例の申請類型が新設

 第12回受付締切分からインボイス特例の申請類型が新たに設けられました。免税事業者からインボイス発行事業者へ切り替えを検討している場合に申請できます。採択されると、各申請類型の補助上限額が一律50万円上乗せされま

 例えば、通常枠にインボイス特例が適用されると、補助上限額50万円に50万円が加わり100万円にアップします。特別枠に加わると、補助上限額が250万円まで上がります。

 インボイス特例の適用要件は以下のとおりです。

2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録が確認できた事業者であること

(引用:インボイス特例の適用要件

 なお、補助事業が終了した時点において、上記の要件を満たしていないとインボイス特例が適用されないので注意してください。

小規模事業者持続化補助金の対象者

 小規模事業者持続化補助金の対象者は、下表の事業者に該当する法人、個人事業主、特定非営利活動法人です。

商業・サービス業常時使用する従業員数が5人以下
宿泊業常時使用する従業員数が20人以下
製造業その他常時使用する従業員数が20人以下

 さらに、以下の要件をすべて満たす必要があります。

・資本金、または出資金が5億円以上の法人に直接的、あるいは間接的に100%株式保有されていない(法人のみが対象)

・過去3年分の各年、または各事業年度における課税所得の年平均額が15億円を超えていない

・「卒業枠」で採択を受けて補助事業を実施していない

 上記に加えて、小規模事業者持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択を受けて補助事業を実施した場合に、「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を申請までに提出しなければなりません。

 なお、以下は対象外の事業者です。

・医師、歯科医師、助産師

・個人農業者(系統出荷に寄る収入のみ)

・協同組合などの組合(企業組合、協業組合を除く)

・一般社団法人、公益社団法人

・一般財団法人、公益財団法人

 上記以外にも補助対象とならない事業者があります。公募要領を確認する、または専門家に確認するとよいでしょう。

助成金や給付金、支援金との違い

 小規模事業者持続化補助金などの補助金や助成金は原則として、補助事業の実施期間中に支払った経費のうち、特定の補助対象となる経費が事業終了後に事務局の確定検査が行われた後に補助されます給付金や支援金の使用用途は決められておらず、確定検査は実施されない違いがあります。

 また、助成金や給付金は定められた申請要件を満たせば、助成・給付されやすいですが、補助金は申請要件を満たしたすべての事業者に補助されるわけではありません事務局によって申請内容や事業計画が審査されて、評価が高い順に採択されます。

小規模事業者持続化補助金を申請して補助金が入金されるまでの流れ

 ここでは、小規模事業者持続化補助金を申請して補助金が入金されるまでの流れを解説します。

申請書類を用意する

 まず、小規模事業者持続化補助金に必要な以下の申請書類を用意します。

・小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(電子申請の場合は不要)

経営計画書兼補助事業計画書

補助事業計画書

事業支援計画書

・補助金交付申請書(郵送の場合は必要)

・宣誓・同意書

・直近1期分の貸借対照表または損益計算書

・株主名簿

 上記は法人が申請する場合の書類です。個人事業主の場合は「直近1期分の貸借対照表または損益計算書」「株主名簿」が不要となり、代わりに「直近の確定申告書または開業届の写し」が必要となります。

 特別枠(賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠)やインボイス特例を申請したい場合は、ほかにも追加で必要な書類を用意しなければなりません。詳しくは応募時提出資料・様式集を参考にしてください。

 また、当然のことながら申請書類に不備があると、審査に通りません。商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局が公表している該当回の公募要領を必ず確認してください。不安な方は専門家に相談するとよいでしょう。

申請書類を提出する

 申請書類を提出する方法は、郵送または電子申請の2つです。郵送の場合、商工会・商工会議所地区ごとに提出先が異なるため注意してください。なお、郵送で申請すると減点の対象となるので電子申請がおすすめです。

 電子申請の場合は、Jグランツと呼ばれる補助金申請システムを利用します。商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局のホームページから「jGrants 電子申請について」を閲覧してください。

 なお、Jグランツで申請する際には、GビズIDプライムアカウントを取得しなければなりません。

 GビズIDプライムアカウントの取得方法は以下のとおりです。

・「スマホまたは携帯電話」「印鑑証明書」「登録印」を準備する

・GビズIDのホームページから「gBizIDプライムID作成」を選択する

・手順に従って必要な情報を入力し、申請書をダウンロードする

・印鑑証明書と申請書の原本をGビズID運用センターに郵送する

・申請書類に不備がなければメールが届き、アカウントの取得が完了する

(参照:GビズID クイックマニュアル gBizIDプライム編

 アカウントの取得まで数週間程度かかるため、余裕を持って進めるようにしましょう。

審査の実施後、採択の結果が通知される

 申請した書類が外部有識者などによって審査されます。

 審査されるポイントは以下のとおりです。

・自社の経営状況や自社の製品・サービス、強みを適切に把握しているか

・経営方針と目標、今後のプランは自社の強みを踏まえて、対象とする市場の特性を把握しているか

・事業費の計上や積算が正確で、本当に必要な金額が計上されているか

 さらに、補助事業計画書についても審査されるポイントが定められています。採択されやすい補助事業計画書を策定するには、ポイントをおさえなければなりません。詳しくは専門家に相談することをおすすめします。

 審査が終了すると事務局のホームページに採択の案件が公表され、採択決定者には「交付決定通知書」が通知されます。

補助事業を実施し、実績報告書を提出する

 小規模事業者持続化補助金を採択された事業者は、申請した補助事業計画書どおりに事業を進めていきます。その際には、該当回の補助事業実施期限までに完了しなければなりません

 なお、申請した補助事業の内容や経費の配分を変更したい場合は、計画変更の申請が必要です。商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局のホームページの「補助事業」を参考にしてください。

 補助事業が終了すれば、その日から30日後、または最終提出期限のどちらか早い日までに、実施内容と経費内容をまとめて実績報告書を事務局に提出してください。

事務局による確認後、補助金額が決定する

 実績報告書や支出の証拠書類(見積書や発注書、請求書など)を事務局が確認し、それに応じた補助金額が決定されます。内容に不備があった場合は、修正や追加の書類を提出する必要があります。

補助金の請求・入金

 小規模事業者持続化補助金の補助額が確定されると、「補助金確定通知書」が送られてきます。金額を確認し、事務局に「精算払請求」を郵送してください。数週間後、事業者に補助金が入金されます。

小規模事業者持続化補助金のよくある質問と答え

 最後に、小規模事業者持続化補助金のよくある質問と答えをまとめるので参考にしてください。

Q.常時使用する従業員数はどのように計算すればよいか?

 A.常時使用する従業員数とは、会社役員や個人事業主本人、派遣社員、パートタイム労働者を含まない従業員の人数のことです。小規模事業者持続化補助金を申請する法人、または個人事業主と直接雇用関係を結んでいる従業員の人数を計算してください。

Q.不採択となった場合、次回の小規模事業者持続化補助金に応募できるのか?

 A.次回以降の小規模事業者持続化補助金に応募できます。ただし、様式や申請要件が変更されている場合があります。該当回の公募要領を確認してください。

Q.小規模事業者持続化補助金の申請はいつまでなのか?

 A.小規模事業者持続化補助金の第12回・第13回受付締切分の申請スケジュールは以下のとおりです。

【第12回受付締切分】

申請受付締切日2023年6月1日(木)
事業計画書交付の受付締切日2023年5月25日(木)
補助対象事業の実施期間交付決定日から2024年4月30日(火)
実施報告書の提出期限2024年5月10日(金)

【第13回受付締切分】

申請受付締切日2023年9月7日(木)
事業計画書交付の受付締切日2023年8月1日(木)
補助対象事業の実施期間交付決定日から2024年7月31日(水)
実施報告書の提出期限2024年8月10日(土)

 電子申請の場合は、23:59まで受付しており、郵送は当日の消印が有効となります。なお、申請スケジュールが変更になる可能性もあるため、申請する際には商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局のホームページをよく確認してください。

 また、補助対象事業の実施期間内で、補助対象経費の支払いと補助事業が終了した場合、その日から30日後、または実施報告書の提出期限のどちらか早い期日までに、実施事業内容と経費内容をまとめて補助金事務局へ提出する必要があります。期日までに提出できないと、補助金が支払われないので注意してください。

Q.過去に小規模事業者持続化補助金を採択されたことがあるが、再度申請できるのか?

 A.過去3年間において、全国向けの小規模事業者持続化補助金(一般型・コロナ対応型・低感染リスク型ビジネス枠)の公募で採択されて補助事業を実施した事業者は、異なる事業であれば申請可能です。ただし、各事業の「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を申請までに提出しなければなりません。提出していない場合、過去に採択された日から該当回の受付締切日までに5年以上経過していなければ、小規模事業者持続化補助金には申請できません。詳しくは、専門家に相談することがおすすめです。

Q.家賃は補助対象の経費となるのか?

 A.事務所などの家賃は補助対象外です。ただし、販路を新しく開拓するなど、経営改善に関連する取り組みとして事務所を新しく賃貸する場合は、補助対象となる場合があります。

小規模事業者持続化補助金の申請をお考えなら中小企業支援事務所にご相談を

 小規模事業者持続化補助金は、自社が小規模事業者であれば、経営改善や販路拡大のためにぜひ活用したい制度です。ただし、申請する際には事業計画書を策定しなければならず、審査のポイントもおさえる必要があります。また、細かい申請要件を満たさなければなりません。そのため、専門家に相談したほうが自社のみで対応するより採択される確率は上がるでしょう。

 中小企業経営支援事務所(当社)では、小規模事業者持続化補助金の申請サポートや、認定支援機関として経営改善計画の策定支援を行っています。

 経営改善計画策定支援事業の申請が通るための丁寧なアドバイスや、経営者様の想いを汲み取り、金融機関がより納得しやすい計画の策定を心がけているので、経営改善計画策定支援事業に関してお困りでしたら、ぜひ当社にお問い合わせくださいませ。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

株式会社中小企業経営支援事務所

〒162-0802

東京都新宿区改代町27-4-1 クレスト神楽坂2F

TEL 03-5946-8609

もくじ