ものづくり補助金はIT企業(情報通信業)でも応募できる!

ものづくり補助金は、その名前から製造業のみを対象としていると思われることも多いですが、情報通信業をはじめとする全ての業種が対象です。

この記事では、ものづくり補助金の情報通信業の採択事例を紹介し、情報通信業の企業がどのような事業で採択を受けているのか解説します。あわせて、情報通信業と親和性が高いデジタル枠についても解説しますので、ものづくり補助金の申請をお考えの情報通信業の経営者様はぜひ参考にしてください。

なお、この記事はものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇る中小企業経営支援事務所が解説します。当社は特にIT関連の支援実績が豊富で、1,000万円以上の大型案件も複数サポートしてまいりました。

初回相談無料で受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

なお、この記事の内容はものづくり補助金16次締切の公募要領に基づくものです。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金は情報通信業も申請できる

ものづくり補助金は製造業しか申請できないものと思われがちですが、全ての業種が申し込める補助金です。

そもそも、ものづくり補助金とは「革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を通じて、生産性を向上させるために設備投資を行う中小企業など」を支援するものです。企業規模が中小企業や小規模事業者に該当すれば、情報通信業でもものづくり補助金に申請できます。

中小企業とは、資本金または常勤従業員数のどちらかが以下の数字を下回っている企業のことです。

業種資本金常勤従業員数
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
その他の業種(上記以外)3億円300人

また、小規模事業者(小規模企業者)の定義については、以下のとおりです。

業種常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、その他(ソフトウェア業や情報処理サービス業など)20人以下
卸売業、小売業、サービス業5人以下

自社の規模が中小企業などに該当するIT企業は、ぜひものづくり補助金の申請を検討してみましょう。IT企業など情報通信業が得意とするデジタル技術の活用は、ものづくり補助金の審査項目に合致しているため、高く審査される可能性があります。

ものづくり補助金における審査のポイントは、公募要領で審査項目として公表されています。ものづくり補助金の審査項目は、以下の4点です。

  • 補助対象事業としての適格性
  • 技術面
  • 事業化面
  • 政策面

その中でも、政策面の④では、補助事業が先端的なデジタル技術を活用しているかどうかを審査するとしています。

④先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

ここでいう「先端的なデジタル技術」はAIやIoT、XR、ドローン、ビッグデータなどを指すと考えられます。

もちろん審査項目は他にも複数あり、採択されるにはそれらをクリアする必要がありますが、デジタル技術を活用した事業は、審査で有利になる要素があると覚えておきましょう。

審査項目については、「ものづくり補助金の採択率向上のためのポイント!審査項目・加点項目を解説 」で詳しく解説していますので、参考にしてください。

ものづくり補助金における情報通信業の採択事例

ものづくり補助金の採択事例は、公式ホームページ「ものづくり補助金総合サイト」の「成果事例のご紹介」で公開されています。ここでは、その中から情報通信業の企業の例をいくつか紹介します。

神奈川県で一次産業向けのIT・IoTサービスを提供している株式会社アクト・ノードは、一次産業の生産データの取得を容易にし、データ活用の可能性を広げるクラウドサービスを開発しました。

このクラウドサービスでは、作業記録アプリで作業内容や資材を記録したり、AIカメラで生育を記録したりなど、デジタル技術を大いに活用しています。

データは生産現場だけでなくバリューチェーンでも活用され、流通効率化などの社会課題の解決にも貢献しています。

(参照:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

栃木県のソフトウェア開発業・株式会社ジェネックスは、外国人宿泊客がルームサービスやお土産物を多言語でオーダーできる「セルフオーダーシステム」の試作開発に取り組みました。

同システムの開発では誰もが使いやすいことを重視し、アプリのダウンロード不要、会員登録不要、クレジットカード決済不要で簡単に使えるようこだわりました。

外国人観光客の満足度向上や、人手不足の解消につながるシステムとして、飲食店などへの応用が期待されています。

(参照:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

神奈川県でITコンサルティングや映像制作を手がける株式会社コヤワタオフィスは、ドローンによる農薬散布の自動化と関連サービスで事業領域の拡大に成功しました。

補助事業によってドローンの自動航行とマニュアル操作を比較し、対象の土地の形状によって使い分けることで効率的な散布を可能としました。

同社はドローンスクールを開講するなど、事業領域の拡大にも成功しています。

(参照:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

また、当社・中小企業経営支援事務所でも、情報通信業における以下のような事業で採択を勝ち取りました。

新事業の内容主な投資内容補助金額
インバウンド向け高級不動産アプリ・Webシステムの開発システム開発費1,250万円
中小EC会社向けクラウド型経営管理・原価管理システムの開発システム開発費1,000万円

これらの事例をはじめとして、当社は質と精度の高い事業計画の策定により、難易度の高い1,000万円以上の大型案件の採択実績が複数あります。当社のものづくり補助金サポートについては、「ものづくり補助金エキスパートサービス」をぜひご覧ください。

情報通信業におすすめの申請枠「デジタル枠」

ものづくり補助金には以下の5つの申請枠があり、それぞれ要件や補助率が異なります。

  • 通常枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • グローバル市場開拓枠

情報通信業に該当する企業は、デジタル技術を専門とする企業も多いことから、通常枠だけでなく補助率の高い「デジタル枠」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。ここでは、IT企業などにおすすめなデジタル枠について解説します。

デジタル枠は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関連する新製品や新サービスの開発、生産性の向上を目指す設備・システム投資などを支援する申請枠です。2022年の10次公募で新設されました。

デジタル枠の基本情報は以下のとおりです。

デジタル枠通常枠
補助金額従業員数5人以下:100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円
補助率2/31/2、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3

デジタル枠は通常枠より要件が増えるため、難度が高いといえます。しかし、通常枠では1/2である補助率が、デジタル枠は2/3である点で優遇されているといえるでしょう。

デジタル枠は、全ての申請枠で共通の基本要件に加え、デジタル枠独自の追加要件があります

まずは、以下の基本要件を押さえておきましょう。

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

基本要件とあわせて、以下のデジタル枠の3つの独自要件を満たせる場合は、デジタル枠への申請もおすすめです。

(1)次の①又は②に該当する事業であること。
①DXに資する革新的な製品・サービスの開発
(例:AI・IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)等)
②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善
(例:AIやロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設にサービスを提供するオペレーションセンターの構築等)

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

①の「DXに資する革新的な製品・サービスの開発」とは、AIやIoT、センサーなどのデジタル技術を主な内容とする製品やサービス、ソフトウェアの開発を指します。

②は、AIやIoT、ロボットシステムなどのデジタル技術を活用し、業務フローや生産プロセスを大きく改善させる事業です。

単にデジタル製品を導入する事業、アナログデータを電子化するだけの事業などは、デジタル枠の趣旨であるDXに当てはまらないため、該当しません。

(2)経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。
・DX推進指標サイト:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
・自己診断結果入力サイト:https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxpi.html

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

DX推進指標とは、DXの推進に向けて企業内で現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるためのものです。自己診断結果をIPAに提出すると、分析結果が提供されるため、自社の状況が客観的に把握でき、DX化の検討課題として活用できます。

また、後述しますが、DX推進指標の自己診断の「人材欄」を全て記入することは加点項目の一つでもあります。

DX推進指標の自己診断の作成・提出方法は、以下の動画で解説していますので、ぜひご覧ください。

(3)独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を応募申請時点で行っていること。
・「SECURITY ACTION」公式サイト(制度概要):https://www.ipa.go.jp/security/security-action/index.html
・「SECURITY ACTION自己宣言」申込みサイト:https://security-shien.ipa.go.jp/security/

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

SECURITY ACTIONとは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。

取り組みレベルによって一つ星と二つ星に分けられていますが、デジタル枠の追加要件としてはどちらでもかまいません。基本的なセキュリティ対策を行うと宣言するだけで条件を満たせるため、ぜひ早めに行っておきましょう。

ものづくり補助金では、取り組むと加点の対象となる加点項目が存在します

加点項目の数は基本的に最大6個ですが、デジタル枠は最大12個まで取得できます。加点項目の取得数は採択率と大きく関係しているため、デジタル枠で申請するならより多くの加点項目の取得を目指しましょう。

デジタル枠のみに設定されている加点項目は、以下のとおりです。

②-4:デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況(デジタル枠のみ)
A.経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性の決定
a.デジタル技術が社会や自社の競争環境にどのような影響を及ぼすかについて認識、その内容について公表
※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
b.上記a.を踏まえた経営ビジョンやビジネスモデルを策定・公表
※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
B.上記A.の経営ビジョンやビジネスモデルを実現するための戦略を公表
※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
C.上記B.の戦略を推進するための体制・組織(CIO(最高情報責任者)、CISO(最高セキュリティ責任者)の配置、担当部門の配置等)を示し、公表
※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
D.「DX推進指標」自己診断フォーマットの定量指標における「人材欄」(688~690行目/Ver.2.3以降の場合はシート「ITシステム構築の取組状況(定量指標)」の11~13行目)を全て記載
E.申請時点において、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」※を利用しているか。
※独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスhttps://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/sme/otasuketai/#list

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

a、b、B、Cでは自社ホームページにおいて、「デジタル技術の活用とDX推進の取組状況」を見て分かるように記載することが求められます。

Dはデジタル枠の独自要件で必要となるDX推進指標の自己診断において、「人材欄」という部分を全て記載すると加点が受けられます。

Eの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、中小企業のサイバーセキュリティ対策に役立つサービスをワンパッケージで提供するサービスです。Eの加点項目を取得するためには、任意の添付書類としてサイバーセキュリティお助け隊の契約書・利用申込書の写しが必要です。

他にも、全ての申請枠に共通して設定されている加点項目もあります。詳しくは「ものづくり補助金の採択率向上のためのポイント!審査項目・加点項目を解説」で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ものづくり補助金は、製造業のみならず情報通信業など全ての業種が申請できる補助金です。デジタル技術の活用は審査項目の一つであるため、IT企業ならではの高いデジタル技術力を活用した事業は、審査で有利になる可能性があります。

追加要件を満たせる場合は、通常枠より補助率が高く、情報通信業と親和性の高いデジタル枠に申請するのもおすすめです。

当社のものづくり補助金の採択実績は100%(*1)であり、1,000万円以上の大型案件を採択へとサポートした例も複数あります。経営コンサルタントならではの視点から策定する精度の高い事業計画が当社の特長です。

ものづくり補助金の申請をお考えの情報通信業の経営者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

【令和5年度】事業承継・引継ぎ補助金とは?申請のポイントを解説!

経営者の高齢化に伴い、後継者が見つからないために、高い技術を持っていたり黒字であったりする中小企業が廃業に追い込まれています。この状況を打開しようと、事業承継に関する悩みを抱える中小企業や小規模事業者を支援する制度が「事業承継・引継ぎ補助金」です。

この記事では、認定支援機関の中小企業経営支援事務所が、事業承継・引継ぎ補助金の概要や申請の流れ、申請にあたって意識すべきポイントを詳しく解説します。

当社では、日本M&Aアドバイザー協会正会員の中小企業診断士が、事業承継・引継ぎ補助金の申請から各種手続きまでトータルサポートいたします。初回相談は無料で承りますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

なお、この記事は事業承継・引継ぎ補助金の7次公募の公募要領を参考にしています。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業や小規模事業者の事業承継やM&Aを支援する補助金です。事業承継にかかる費用をはじめ、事業の再編や事業統合などの新たな取り組みを、費用の一部を補助することで支援します

事業承継・引継ぎ補助金が設けられた背景には、経営者の高齢化に加え、後継者がおらず廃業せざるを得ない中小企業の増加が挙げられます。

補助の対象者は中小企業や小規模事業者で、条件を満たせば個人事業主も対象です。事業承継・引継ぎ補助金は、支援の対象によって、以下の3つの事業に分かれています。

補助上限額補助率対象経費想定ケース
①経営革新事業600万円以内
賃上げ実施の場合:800万円以内
1/2以内設備投資費用
店舗・事務所の改築工事費用 など
事業承継やM&Aをきっかけに、経営革新に挑戦する場合
②専門家活用事業600万円以内2/3以内(買い手支援型)
1/2または2/3以内(売り手支援型)
M&A支援業者に支払う手数料
デューデリジェンスにかかる専門家費用
セカンドオピニオン など
M&Aにより経営資源を他社から引き継ぐ、あるいは他社に引き継ぐ場合
③廃業・再チャレンジ事業150万円以内2/3以内(再チャレンジ申請)
1/2または2/3以内(併用申請)
廃業支援費
在庫廃棄費
解体費 など
事業承継やM&Aに伴い既存の事業を廃業する場合や、廃業して新たなチャレンジをする場合

事業承継・引継ぎ補助金は事業承継(M&A)時から承継後の取り組み、承継に伴う廃業まで、事業承継に関わるさまざまな局面で活用できる補助金です。

事業承継・引継ぎ補助金①経営革新事業

経営革新事業は、事業承継後の設備投資や販路開拓などの取り組みにかかる費用を補助するものです。

経営革新とは、「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」であり、新事業活動は、以下のように定義されています。

  • 新商品の開発又は生産
  • 新役務の開発又は提供
  • 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  • 役務の新たな提供の方式の導入
  • 技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動

事業承継・引継ぎ補助金の経営革新事業は、対象となるケースごとに、以下の3つの類型に分かれています。

  • 創業支援型
  • 経営者交代型
  • M&A型

一つずつ対象者や要件をみていきましょう。

創業支援型は、他の事業者の経営資源を引き継いで創業し、経営革新に取り組む場合が対象です。

要件は以下の2点です。

  • 事業承継対象期間内に法人の設立または個人事業主としての開業を行うこと
  • 創業にあたって廃業を予定している者から株式譲渡、事業譲渡などにより有機的一体としての経営資源を引き継ぐこと

ここでいう「有機的一体としての経営資源」とは、設備や従業員、顧客、資産など事業に関するすべてを一体としてみることを指します。そのため、特定の設備のみの引継ぎなどは要件を満たさないため注意が必要です。

経営者交代型は親族や従業員が経営資源を引き継ぎ、経営者が交代して経営革新に取り組む場合が対象です。

要件としては、以下の3点が挙げられています。

  • 親族内承継や従業員承継などの事業承継
  • 承継者が個人事業主の場合は事業譲渡、法人の場合は原則として同一法人内での代表者交代
  • 経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること

「経営等に関して一定の実績や知識等を有している者」とは、具体的に「産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者」などを指します。

M&A型はM&A(株式譲渡、事業譲渡など)により、経営資源を引き継ぎ、経営革新に取り組む場合が対象です。

要件は以下の3点です。

  • 事業再編・事業統合等のM&A
  • 経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること
  • 株式譲渡の場合、譲渡後に承継者が保有する被承継者の議決権が過半数超になること

「経営等に関して一定の実績や知識等を有している者」の定義は、経営者交代型(Ⅱ型)と同様です。M&A型では、事務局が親族内承継と判断した場合は対象外となります。

事業承継・引継ぎ補助金②専門家活用事業

専門家活用事業は、M&A時にかかる費用を補助するものです。M&Aによって経営資源を他の人から引き継ごうとしている、もしくは事業を売却しようとしている中小企業や小規模事業者が対象です。

経営革新事業のM&A型(Ⅲ型)は、承継後の取り組みにかかる費用を支援しますが、専門家活用事業は承継前の引継ぎにかかる費用を支援する点で異なります。

M&Aにかかる費用の中でも、フィナンシャルアドバイザーや仲介業務にかかる委託費用は、「M&A支援機関登録制度」に登録された専門家に委託した場合のみ補助対象となります。当社・中小企業経営支援事務所はM&A支援機関ですので、安心してご相談ください。

専門家活用事業は、買い手支援型と売り手支援型の2つの類型が用意されています。

買い手支援型は、事業再編・事業統合に伴い経営資源を引き継ぐ予定の中小企業などが対象です。

また、以下の2つの要件も必要とされます。

  • 事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること
  • 事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること

売り手支援型は、事業再編・事業統合に伴い、自社が有する経営資源を譲り渡す予定の中小企業などが対象です。

売り手支援型の要件は以下の1点です。

  • 地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること
事業承継・引継ぎ補助金③廃業・再チャレンジ事業

廃業・再チャレンジ事業は、事業承継や事業再編成に伴う廃業にかかる費用を補助するものです。M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業の株主や個人事業主が、新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する際にかかる経費の一部を補助します。

新たなチャレンジとは、新たな法人の設立や事業活動の開始などで、地域の需要の創造や雇用の創出に資するものを指します。

再チャレンジ申請は、M&Aで事業を譲り渡せなかった事業者が再チャレンジのために廃業する場合が対象です。

一定期間内にM&Aに着手していることが条件であり、7次公募では2020年1月1日から交付申請期日の間に、売り手として6か月以上M&Aに取り組んでいることが求められます。

M&Aの取り組みとは、具体的には以下のとおりです。

  • 事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼
  • M&A支援機関との包括契約(着手を含む契約)
  • M&Aマッチングサイトへの登録

また、補助事業期間内に既存法人(事業)の廃業を完了した上で、新たな法人設立などの再チャレンジをする必要があります。この場合の廃業とは、一部の事業の廃業ではなく会社全体の廃業が要件です。

併用申請は、事業承継に伴う廃業や、事業の譲り渡し・譲り受けに伴う廃業が対象です。経営革新事業、専門家活用事業(買い手支援型)、専門家活用事業(売り手支援型)とのいずれかと併用して申請できます。

経営革新事業、専門家活用事業(買い手支援型)では、譲り受けた事業の一部や既存の事業を廃業する場合に、専門家活用事業(売り手支援型)では、M&Aによって事業を譲り渡した後に、残った事業を廃業する場合に活用できます。

事業承継・引継ぎ補助金の申請は、電子システム(jGrants)で行います。

jGrantsの利用には、gBizIDプライムのアカウントが必要です。アカウントの取得に1週間程度かかるため、早めに準備しておきましょう。

事業承継・引継ぎ補助金の申請の流れは、以下のとおりです。

  1. 補助金の対象であるか確認
  2. gBizIDプライムのアカウントの取得
  3. 公式サイトから認定支援機関による確認書のダウンロード※
  4. 認定支援機関の確認書を取得※
  5. 必要な書類の準備
  6. jGrantsの申請フォームに入力
  7. チェックリストで必要書類を確認
  8. 必要書類を添付し、申請

専門家活用事業の場合は、認定支援機関による確認が必要ないため、※の工程は不要です。

事業承継・引継ぎ補助金申請にあたってのポイント

事業承継・引継ぎ補助金は、交付決定率が約60%であり、申請すれば全員が交付されるものではありません。そのため、審査員がどのようなポイントを重点的に審査するのかをあらかじめ把握し、ポイントを押さえた事業計画を策定しましょう

経営革新事業の審査着眼点は、以下のとおりです。

  • 経営革新等に係る取組の独創性
  • 経営革新等に係る取組の実現可能性
  • 経営革新等に係る取組の収益性
  • 経営革新等に係る取組の継続性
引用:事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業【公募要領】7次公募

専門家活用事業の審査着眼点は、以下のように記載されています。

① 買い手支援型(Ⅰ型)

  • 経営資源引継ぎの計画が補助事業期間内に適切に取り組まれるものであること
  • 財務内容が健全であること
  • 買収の目的・必要性
  • 買収による効果・地域経済への影響
  • 買収実現による成長の見込み(自社の事業環境や外部環境を踏まえること)
引用:事業承継・引継ぎ補助金 専門家活用事業【公募要領】7次公募

② 売り手支援型(Ⅱ型)

  • 経営資源引継ぎの計画が補助事業期間内に適切に取り組まれるものであること
  • 譲渡の目的・必要性
  • 譲渡による効果・地域経済への影響
引用:事業承継・引継ぎ補助金 専門家活用事業【公募要領】7次公募

廃業・再チャレンジ事業の審査着眼点は、以下のとおりです。

  • 再チャレンジに係る取組を実現するために事業を廃業する必要性
  • 廃業に向けた準備
  • 再チャレンジに係る取組の実現性
引用:事業承継・引継ぎ補助金 廃業・再チャレンジ事業【公募要領】7次公募

また、事業承継・引継ぎ補助金には、必須要件ではありませんが、実施していれば審査で加点を受けられる「加点事由」があります。

経営革新事業と専門家活用事業では、「経営力向上計画」の認定、「経営革新計画」の承認を受けていることなど、加点事由がいくつかあるため、公募要領をしっかり確認し、早めの準備を始めましょう。

事業承継・引継ぎ補助金とは、事業を引き継ぐ側、譲り渡す側のどちらも利用できる補助金です。①経営革新事業、②専門家活用事業、③廃業・再チャレンジ事業の3つの事業があり、①経営革新事業と③廃業・再チャレンジ事業に申請する際は、認定支援機関に事業計画の確認を受ける必要があります

認定支援機関とは、正式名称を「経営革新等支援機関」といい、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う認定を受けた中小企業診断士や税理士、公認会計士などです。

当社・中小企業経営支援事務所は経営革新等支援機関の認定を受けており、事業承継・引継ぎ補助金を申請から各種手続きまでトータルサポートいたします。事業承継に伴い、事業承継・引継ぎ補助金を活用したいとお考えの中小企業の経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

省人化・省力化補助金とは?「中小企業省力化投資補助事業」の最新情報

中小企業の省人化・省力化への設備投資(AIやIoT、ロボットなど)を促進する補助金である「省人化・省力化補助金」。正式名称が「中小企業省力化投資補助事業」と「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」であることが分かりました。

今回は、この2つの補助金の内容や対象者、補助額などを紹介します。あわせて、申請に向けて今からできる準備についても解説するため、省人化・省力化補助金の採択を視野に入れている中小企業の経営者様は、ぜひご一読ください。

なお、この記事は事業再構築補助金の採択率97%(*1)を誇る経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。省人化・省力化補助金についてのご相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

なお、この記事の内容は2023年11月17日時点の情報に基づくものです。

省人化・省力化補助金とは、中小企業の省人化・省力化につながるAIやロボットなどの導入を後押しする支援策です。11月10日の令和5年度補正予算案に盛り込まれたため、2023年度中に実施される見通しです。

11月2日に内閣府より発表された資料では、「中小企業等の人手不足対応・生産性向上への支援」と銘打ち、2つの支援策が紹介されています。

総合経済対策 政策ファイル

(画像引用:内閣府特命担当大臣(経済財政政策)「総合経済対策 政策ファイル」)

上記の資料から、省人化・省力化補助金には「省力化投資の支援」と「大規模成長投資の支援」の2つがあると分かります。

そして、11月10日に発表された「経済産業省関係令和5年度補正予算案の事業概要(PR資料)」において、省人化・省力化補助金の正式名称が公表されました。

11月2日発表の資料での「省力化投資の支援」は「中小企業省力化投資補助事業」、「大規模成長投資の支援」は「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」と呼ばれることになるようです。

続いて、中小企業省力化投資補助事業と中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金について、それぞれ詳しく説明します。

中小企業省力化投資補助事業

(画像引用:経済産業省「経済産業省関係令和5年度補正予算案の事業概要(PR資料)」)

中小企業省力化投資補助事業とは、中小企業の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業に対して、省力化への投資を支援する補助金です。省力化投資により、中小企業の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的とします。

「中小企業等事業再構築促進事業を再編」とあることから、既存の事業再構築補助金を再編し、新たに「省力化投資補助枠(カタログ型)」という申請枠ができるものと予想されます。

中小企業省力化投資補助事業では、IoTやロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品をカタログに掲載し、中小企業はそのカタログから設備を選択、導入する予定です。カタログからの選択式にすることで、簡易かつ即効性のある省力化投資を促進できます。

どのような製品がカタログに載るのかはまだ判明していませんが、以下のような労働時間の削減が可能になるロボットや設備が対象になるでしょう。

  • 製造業:生産工程を自動化できるロボットや、AIを搭載し人間の代わりに品質検査を行える設備
  • 宿泊・飲食サービス業:自動清掃機ロボットや自動配膳ロボット

中小企業省力化投資補助事業の対象者は、事業再構築補助金と同じく、日本国内に本社を有する中小企業等及び中堅企業等になると予想されます。

11月10日に発表された資料に基づくと、補助上限額と補助率は以下のとおりです。

補助上限額補助率
省力化投資補助枠【従業員5名以下】200万円(300万円)
【従業員6~20名】500万円(750万円)
【従業員21名以上】1,000万円(1,500万円)
※賃上げ要件を達成した場合、()内の値に補助上限額を引き上げ
1/2

人手不足が顕著になっている中小企業にとって、大きな補助金といえるでしょう。

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金

(画像引用:経済産業省「経済産業省関係令和5年度補正予算案の事業概要(PR資料)」)

省人化・省力化補助金の2つ目「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」とは、中堅・中小企業が、省力化による労働生産性の向上と事業規模の拡大を図るために行う大規模な設備投資への補助金です。

工場等の拠点新設や大規模な設備投資を補助することで、地方における持続的な賃上げの実現を目的とします

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金の支援例には、以下のようなものが挙げられます。

  • 製造業における生産工程の抜本的改革でCO2の削減や生産性の向上を図る
  • 卸売業で最新設備を導入した物流センターを新設し生産性を向上させる

中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金の対象者は、中堅・中小企業と想定されますが、詳細は今後発表されていくと思われます。

補助上限額と補助率は以下のとおりです。

補助上限額補助率
50億円
※投資下限額は10億円
1/3

投資下限額が10億円とのことから、かなり大規模な投資に対する補助金になるとみられます。

そもそも、省人化や省力化とはどのような取り組みを指すのでしょうか。

省人化とは、業務を見直したり、人間が行っていた作業を機械に置き換えたりして、人員を減少させることです。人手不足に直面している日本では、無駄をできるだけ削減し、労働力のより効率的な活用が求められています。

省人化の例としては、製造業で人の代わりにロボットが組み立て作業を行う、物流業界でロボットに積み荷をさせるなどが挙げられます。

一方、省力化は人間が行う作業を見直し、人の労力を省いて業務効率化を図ることです。省人化は人員削減に重きを置いた取り組みですが、省力化は人の労力を減らすことが主眼である点で異なります

省力化の例としては、ITツールの導入でルーティンワークやタスク管理などを簡単な操作でスピーディーに完了できるよう業務効率化を図ることが挙げられます。

省人化・省力化のメリットは、主に以下の3つです。

  • 人手不足の解消
  • 生産性の向上
  • 品質の向上

省人化や省力化で人間が行う作業を減らし、人手が不足している部門に人材を配置することで人手不足の解消につながります。また、ロボットや機械の導入により作業の自動化や効率化が進むと、同じ時間でより多くの製品を生産できるようになり、生産性が向上するでしょう。

さらに、人間と異なりロボットや機械はうっかりミスをしないため、省人化と省力化には品質が向上するというメリットもあります。

省人化・省力化補助金の申請へ向けた準備は?

2023年11月時点では、「中小企業省力化投資補助事業」と「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」のいずれも、申請方法は明らかになっていません。

ただし、令和5年度中(2023年度中)に実施される見通しであるため、次々と経済産業省の発表により詳細が明らかになっていくと思われます。

省人化・省力化補助金を機に、IoTやロボット、AIを使った機械などの設備投資を図り、生産性を高めたい中小企業の経営者様は、以下のような準備を行っておきましょう

  • 補助金の最新情報をチェックする
  • 自社の業務フローを分析し、省人化・省力化できる部分を探す
  • ロボットやシステムなど、導入予定の製品を調査する
  • 補助金の申請を見据えて、認定支援機関を探す

中小企業省力化投資補助事業が事業再構築補助金と同じ枠組で実施されるなら、補助金の申請にあたり、事業計画を認定支援機関に確認してもらう必要があります。

続いて、中小企業省力化投資補助事業の申請に向けて力強いパートナーとなる認定支援機関について、解説します。

補助金採択へのパートナー「認定支援機関」の選び方

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業の経営課題の解決を支援する中小企業診断士や公認会計士などのコンサルタントです。事業再構築補助金の申請においては、必ず認定支援機関と協力して事業計画を策定することが求められています

認定支援機関を選ぶときは、必ず対面やWebでのミーティングを行い、以下のポイントを重点的にチェックして信頼できる事業者を選ぶようにしましょう。

  • 中小企業の経営全般についての知識があるか
  • 補助金の採択率や採択数などの実績が確かか
  • コミュニケーションがスムーズに取れるか
  • 補助金に必要な手続きをどこまで支援してくれるか

事業再構築補助金では、申請から採択、受け取りまで、認定支援機関と1年以上付き合うことになるため、コンサルタントとのコミュニケーションの取りやすさは重要です。人柄に違和感を覚えるようであれば、他のコンサルタントにも相談することをおすすめします。

認定支援機関の選び方については、「事業再構築補助金のコンサルの選び方は?注意点や費用相場を徹底解説」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

省人化・省力化補助金と呼ばれている補助金には、以下の2つがあると判明しました。

  • 中小企業省力化投資補助事業
  • 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金

この中でも、金額面で使いやすいのは中小企業省力化投資補助事業です。中小企業省力化投資補助事業は、事業再構築補助金を再編して実施される見込みであるため、今から事業再構築補助金申請のパートナーとなる認定支援機関を探しておきましょう。

当社、中小企業経営支援事務所は中小企業診断士が代表を務める認定支援機関です。事業再構築補助金の採択率97%(*1)の中小企業診断士が、採択のポイントを押さえた事業計画の策定をサポートし、補助金の採択へ導きます

初回相談は無料です。中小企業省力化投資補助事業への申請をお考えの中小企業の経営者様は、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

ものづくり補助金の採択率向上のためのポイント!審査項目・加点項目を解説

ものづくり補助金は、革新的な新製品・新サービス開発のために設備投資を行う中小企業が対象です。ものづくり補助金の採択率を上げるためには、公表されている審査項目を押さえた事業計画書を作成した上で、より多くの加点項目を取得しましょう

この記事では、ものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇る中小企業経営支援事務所が、審査項目と加点項目の内容を詳しく解説します。

当社は、ポイントをしっかり押さえた精度の高い事業計画を策定することで、1,000万円以上の大型案件を多数サポートしてきました。相談無料で受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

なお、この記事の内容は16次締切の公募要領に基づくものです。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金の基本情報

ものづくり補助金とは、「新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善」のために設備投資を行う中小企業・小規模事業者を支援する補助金です。16次締切においては、以下のように申請枠が5つ用意されています。

申請枠補助金額補助率
通常枠従業員数5人以下:100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円
1/2
小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3
回復型賃上げ・雇用拡大枠2/3
デジタル枠2/3
グリーン枠【エントリー類型】
従業員数5人以下:100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円
【スタンダード類型】
従業員数5人以下:750万円~1,000万円
6人~20人:1,000万円~1,500万円
21人以上:1,250万円~2,000万円
【アドバンス類型】
従業員数5人以下:1,000万円~2,000万円
6人~20人:1,500万円~3,000万円
21人以上:2,000万円~4,000万円
2/3
グローバル市場開拓枠100万円~3,000万円1/2
小規模企業者・小規模事業者は2/3

(参照元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版」)

15次締切の採択率は50.2%であり、今までの採択率は50%台で推移していることから、ものづくり補助金は比較的難度の高い補助金といわれます

採択を勝ち取るためには、審査項目を押さえた事業計画書の作成や、加点項目に該当する取り組みを実施することが重要です

ものづくり補助金の審査項目

ものづくり補助金において、審査員がどのようなポイントを重視して採択の可否を判断しているかは、公募要領で「審査項目」として明示してあります。

ものづくり補助金の審査項目は以下の4点で、事業計画書の内容で審査されます。

  • 補助対象事業としての適格性
  • 技術面
  • 事業化面
  • 政策面

それぞれの内容を詳しくみていきましょう。

以下、引用部分は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版」から引用しています。

補助対象事業としての適格性とは、「そもそもものづくり補助金の申請要件を満たしているかどうか」を確認する第一段階です。

ものづくり補助金の申請要件は、以下の3つです。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

これらの申請要件を満たした事業計画の策定が求められています。事業計画が申請要件を満たしている場合は、以下に挙げる3つの観点から審査されます。

審査項目の技術面で審査されるのは、補助対象事業がものづくり補助金の趣旨である「革新的な開発」につながるのかという点です。

技術面は、以下の①~④の4つの文章から構成されています。

①新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組であるか。

ここでいう革新的な開発とは、世間一般における革新的な取り組みではなく、業界や自社の商圏にとっての新しいチャレンジのことです。

また、ものづくり補助金の応募申請区分にはものづくりとサービスの2つがあります。補助事業がサービスの場合は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」、ものづくりの場合は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」との関連性が求められます。

②試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

ものづくり補助金では自社にとって新しい取り組みを行うため、必然的に「課題」が浮き彫りになるでしょう。課題を明確にし、その課題をどのように解決するかを事業計画書に記載する必要があります

「補助事業の目標に対する達成度の考え方」は、具体的な状況や数値を設定しましょう。必ずしも高い目標を達成せねばならないわけではなく、あくまで自社が達成すべき具体的な目標を設定し、達成度の考え方を客観的に説明することが求められます

③課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

③では、②で設定した課題の解決方法の「明確性」「妥当性」「優位性」が問われています。

明確性を示すためには、解決方法を補助対象経費と一致させるとよいでしょう。例えば、解決方法が設備の導入であるなら、対象経費は機械装置費となります。

妥当性は、解決方法が実情に即しているか、すなわち導入する設備のスペックが適切であるかなどが審査されます

優位性については、課題の解決方法が他社やこれまでの自社と比べて、どのように優れているかを記載してください。

④補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

④では、補助事業を円滑に進められる体制が構築できるのか、革新的な開発を実行できる人材がいるのかが問われています。新しく設備を導入する場合は、それを使いこなせる人材がいることを説明しましょう。

事業化面は技術面と異なり、マーケティングの観点からの問いが多い点が特徴です。

事業化面は、以下の①~④の文面で構成されています。

①補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。

事業には必ず関係者が存在するため、事業計画書には社外の関係者についてもきちんと記載しておきましょう。社内外の体制は、内部と外部のつながりを図でまとめると見やすいです。

人材については、「新事業を遂行できる人材がいるか、いなければ採用できる見込みはあるか」が問われています。

また、補助金は補助事業の完了後に振り込まれるため、補助事業にかかるコストを支払える能力があることが前提です。財務状況は、直近2期分の決算書や損益計算書、賃借対照表などから判断されます。

「金融機関等から十分な資金の調達が見込まれるか」という点に関しては、金融機関とあらかじめ交渉し、交渉状況を具体的に記載しておくことが重要です。

②事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか。

「市場ニーズ」とは、補助事業のターゲット顧客のニーズのことです。自社で調査するなどして客観的なデータから市場ニーズを事業計画書に記載しましょう。

「ユーザー」とは、ターゲットとする顧客像を具体的に示したものです。また、「マーケット及び市場規模」は、補助事業のターゲットのマクロ商圏だけでなく、より詳しく自社商圏についても説明することがポイントです。

③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

「価格的・性能的に優位性や収益性を有するか」については、競合の商品やサービスと比較して示しましょう。

「事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か」では、設備導入後の事業化までの方法とスケジュールが問われており、誰が・いつ・何を行うのかを説明するのが重要です。スケジュールは、表と矢印を用いたガントチャート形式で説明するのがおすすめです。

④補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。

投資にかかる費用はいくらで、得られる付加価値がどのくらいなのかを示します。収益シミュレーションとして、3~5年間の新規事業の収益予想を根拠のある数値で記載しましょう。

政策面では、補助事業の成果が社会や地域経済にもたらす影響や、国の政策との合致点などが審査されます

政策面は以下の①~⑤の文面で構成されています。

①地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。
※以下に選定されている企業や承認を受けた計画がある企業は審査で考慮いたします。
○地域未来牽引企業https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/chiiki_kenin_kigyou/index.html
○地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/miraitoushi/jigyou.html

「地域の特性を活かして」とあるように、地域の事業者と連携したり、地域の特産品を活用したりする事業は採択率が高い傾向にあります

以下のような流れで説明できると効果的です。

「補助事業による設備投資で〇〇地域の特産品製造の生産性が向上、売上が拡大」
→「自社の取引先など地域の事業者の業績拡大、自社従業員の新たな雇用も期待できる」

②ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

「適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化」とあるように、自社の強みを押し出して競合と差別化を図ることが求められます

また、「グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性」については、将来的に製品・サービスが海外市場に展開する可能性がある場合に記載しましょう。

③異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。また、事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。

※以下のピッチ大会出場者は審査で考慮いたします。
○アトツギ甲子園https://www.meti.go.jp/press/2022/11/20221104008/20221104008.html

自社単独では解決が難しい課題を、複数の事業者と連携して取り組む事業は採択率が高い傾向にあります。複数の事業者が共同で事業を行い、売上拡大や新規雇用などの経済的波及効果が期待できることを説明します。

④先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。

「先端的なデジタル技術」とは、AIやIoT、XR、ドローン、ビッグデータなどです。これらのデジタル技術や低炭素技術、新しいビジネスモデルなどを活用する場合は、記載してアピールしましょう。

⑤ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、事業環境の変化に対応する投資内容であるか。また、成長と分配の好循環を実現させるために、有効な投資内容となっているか。

新型コロナウイルスの影響により生じた変化に対応するために、どのような投資を行うのかが問われています。また、「成長と分配の好循環」が意味するように、自社で得た利益を適切に従業員に分配する仕組み作りも求められます

ここまでものづくり補助金における審査項目を解説してきましたが、申請枠によっては追加の審査項目が存在します。

  • グリーン枠のみ:炭素生産性向上の取組等の妥当性
  • グローバル市場開拓枠のみ:グローバル市場開拓の取組等の妥当性
  • 大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例のみ:大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性

これらの枠で申請される方は、公募要領をチェックしてください。

ものづくり補助金の加点項目

ものづくり補助金には、取り組んでおくと有利になる「加点項目」が存在します

ものづくり補助金公式ホームページでは、加点項目の数別の採択率を示した以下のグラフが公表されています。

ものづくり補助金における加点項目の数別の採択率グラフ

(引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

加点項目が0個の場合、採択率は34.4%ですが、4個取得できた場合は68.3%まで引き上がることが分かります。このように、加点項目は採択率に直結しているといえるでしょう。

基本的に加点項目は最大6個まで取得できますが、以下のように一部例外があります。

申請枠取得できる加点項目の数
デジタル枠12項目
グリーン枠7項目
グローバル市場開拓枠②海外市場開拓(JAPANブランド)類型7項目

16次締切で公表されている加点項目は、以下の5つです。

  • 成長性加点
  • 政策加点
  • 災害等加点
  • 賃上げ加点等
  • 女性活躍等の推進の取り組み加点

一つずつポイントを解説します。

成長性加点とは、「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」に与えられる加点項目です。

経営革新計画とは、中小企業が新事業活動に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する経営計画書です。経営革新計画は国や都道府県に計画を承認してもらう必要があるため、成長性加点はハードルの高い加点項目といえるでしょう。

政策加点では、以下の8つの項目が設けられています。

②-1:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
会社成立の年月日(個人事業主の場合は開業日)又は代表取締役の就任日が公募開始日より5年前の日から応募締切日までの場合に対象となります。なお、個人事業主や組合にあっては「第二創業」の加点はありません。個人事業主の営む事業を承継する場合は、承継者の「創業」として申請してください。

第二創業とは、中小企業が新しい経営者を就任させ、既存事業とは異なる分野の新規事業に着手する経営刷新活動のことです。

②-2:「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」
「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト(https://www.biz-partnership.jp/index.html)において宣言を公表している事業者。(応募締切日前日時点)

パートナーシップ構築宣言とは、公正なサプライチェーンの構築を目的として政府に宣言する制度です。ポータルサイトから書類を提出し、承認されれば完了であるため、比較的取得が簡単な加点項目といえるでしょう。

②-3:再生事業者(本事業における再生事業者の定義は別紙4の通り)

別紙4において再生事業者の定義は、以下のように記載されています。

中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受け(注1)、応募申請時において以下のいずれかに該当していること。
(1)再生計画等を「策定中」の者(注2)
(2)再生計画等を「策定済」かつ応募締切日から遡って3年以内(令和2年11月8日以降)に再生計画等が成立等した者

②-4:デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況(デジタル枠のみ)

A.経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性の決定
a.デジタル技術が社会や自社の競争環境にどのような影響を及ぼすかについて認識、その内容について公表 ※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
b.上記a.を踏まえた経営ビジョンやビジネスモデルを策定・公表 ※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
B.上記A.の経営ビジョンやビジネスモデルを実現するための戦略を公表 ※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
C.上記B.の戦略を推進するための体制・組織(CIO(最高情報責任者)、CISO(最高セキュリティ責任者)の配置、担当部門の配置等)を示し、公表 ※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
D.「DX推進指標」自己診断フォーマットの定量指標における「人材欄」(688~690行目/Ver.2.3以降の場合はシート「ITシステム構築の取組状況(定量指標)」の11~13行目)を全て記載
E.申請時点において、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」※を利用しているか。
※独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービス
https://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/sme/otasuketai/#list

デジタル枠のみ、以上に合致すれば加点項目を取得できます。

②-5:令和4年度に健康経営優良法人に認定された事業者
※健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト(https://www.kenko-keiei.jp/

健康経営優良法人とは、健康経営を実践していると認定された企業のことです。

この加点項目を取得するためには、過去の時点で健康経営優良法人に認定されている必要があります。今回のものづくり補助金申請のために新たに取得できない点に注意が必要です。

➁-6:技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者

技術情報管理認証制度とは、国の認定を受けた機関が、企業の情報セキュリティ対策を国が定めた基準に基づいて審査・認証する制度です。

②-7:J-Startup、J-Startup 地域版に認定された事業者
※J-Startup 事務局ポータルサイト(https://www.j-startup.go.jp/)、J-Startup 地域版(https://www.j-startup.go.jp/local_3/

J-Startupとは、グローバルに活躍できるスタートアップ企業を輩出することを目的とした制度です。

②-8:「新規輸出1万者支援プログラム」に登録した事業者(グローバル市場開拓枠のうち、②海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみ)
※応募締切日前日時点で「新規輸出1万者支援プログラム」ポータルサイト(https://www.jetro.go.jp/ichiman-export.html)においてIDを取得している事業者。
※申請者が上記プログラムに登録されているか否かの事実確認を行うことを目的として、本補助金の申請に関する情報を独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)と共有することがあります。

グローバル市場開拓枠②海外市場開拓(JAPANブランド)類型に申請する場合は、新たに輸出事業を始める事業者を支援する「新規輸出1万者支援プログラム」に登録していると加点が得られます。

②-9:取引先の事業者がグリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている事業者(グリーン枠のみ)

グリーン枠に申請する場合は、上記の加点項目も設定されています。

災害等加点とは、「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」に与えられる加点項目です。

「事業継続力強化計画」については、「事業継続力強化計画とは?策定のメリットや申請方法を分かりやすく解説」で紹介していますので、ぜひご覧ください。

④-1:事業計画期間(補助事業完了年度の翌年度以降)における給与支給総額と事業場内最低賃金をそれぞれ以下(ア)もしくは(イ)の通りとする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者に対して加点を行ないます。
(ア)

給与支給総額年率平均2%以上増加 あるいは 年率平均3%以上増加
事業場内最低賃金毎年3月、地域別最低賃金より+60円以上の水準 あるいは 毎年3月、地域別最低賃金より+90円以上の水準

(イ)

給与支給総額年率平均6%以上増加
事業場内最低賃金毎年3月、地域別最低賃金より+30円以上の水準 かつ 毎年+45円以上ずつ増加(初回は応募時を起点とする)

基本要件以上の賃上げを行う事業者については、加点項目が用意されています

④-2:「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合」

また、短時間労働者への被用者保険の適用拡大に取り組む事業者も加点の対象です。

⑤-1:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者、もしくは従業員100人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者

※厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/

⑤-2:次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは従業員100人以下の事業者で「両立支援のひろば」に次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者

※厚生労働省「両立支援のひろば」(https://ryouritsu.mhlw.go.jp/hiroba/search_int.php
※一般事業主行動計画については、従業員が0人の場合は申請ができませんのでご注意ください。

女性の活躍推進企業データベースや、両立支援のひろばに一般事業主行動計画を公表している事業者は、加点の対象となります。

ものづくり補助金には、以下の減点項目も存在するため、チェックしておきましょう。

①応募締切日から過去3年間に、類似の補助金*の交付決定を1回受けている場合(過去3年間に、既に2回以上交付決定を受けた事業者は申請対象外となります。)
*ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業

②回復型賃上げ・雇用拡大枠において、繰越欠損金によって課税所得が控除されることで申請要件を満たしている場合

ものづくり補助金採択への強い味方!コンサルタントの選び方

当初、ものづくり補助金の申請においては認定支援機関の確認書が必要でした。しかし、現在は不要であるため、認定支援機関(コンサルタント)を頼らず自社で申請しようと考える経営者様も多いかもしれません。

ものづくり補助金公式ホームページのデータポータルでは、「支援者の関与」に関するグラフが公表されています。

ものづくり補助金における支援者の関与別の採択率グラフ

(引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

コンサルタントの支援なしの場合、採択率は36.6%であるのに対し、支援あり(報酬~10%)の場合は58.5%まで上がっていることが読み取れます。

忙しい日々の業務の中、完成度の高い事業計画書を作るのは難しい上、事業計画書でアピールするべき「自社の強み」は、外部から見たほうがよく分かるものといえるでしょう。

ものづくり補助金の採択を勝ち取るためには、適切なコンサルタントを選ぶことが重要です。コンサルタントを選ぶ際は、以下のポイントをしっかりチェックしてください。

  • ものづくり補助金の支援実績
  • コンサルタントの対応や相性
  • サポートの範囲

コンサルタントとは必ずミーティングを行い、実際にものづくり補助金の採択実績があるか、事業計画書のひな形を使い回していないかなどを事前に聞いておきましょう。

また、ものづくり補助金においてコンサルタントとは1年以上の長い付き合いになります。レスポンスの速さや話した印象など、コンサルタントとの相性も重要なポイントです。

ものづくり補助金は電子申請や交付申請、実績報告など手続きも簡単ではありません。どこまでサポートしてくれるのかを、最初にきっちり確認しておきましょう

ものづくり補助金で採択を勝ち取るには、審査項目を押さえた事業計画書を作成し、できる限り多くの加点項目を獲得する必要があります

当社はものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇り、多くの事業者様の補助金採択をサポートしてきました。マーケティング戦略・財務戦略・運営管理・市場分析など経営コンサルティングならではの視点から、精度の高い事業計画を策定します

事業計画書の作成から、電子申請支援、採択後のフォローまで、トータルでお任せください。初回相談は無料で承ります。ものづくり補助金の申請をお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

経営革新計画でものづくり補助金を有利に!経営革新計画のメリットを解説

最大4,000万円と大型であることから、難度が高い補助金として知られる「ものづくり補助金」。審査は事業計画書を中心に行われますが、取得しておくことで加算が得られる加点項目も存在し、「経営革新計画」はそのひとつです。

今回は、経営革新計画の概要やメリット、承認を受ける流れについて解説します。ものづくり補助金を視野に入れ、経営革新計画の承認を受けようとしている経営者様はぜひ参考にしてください。

なお、この記事はものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇る中小企業経営支援事務所が解説します。経験豊富な中小企業診断士が、ものづくり補助金の申請から採択後までトータルでサポートいたします。

初回相談無料で承っていますので、ものづくり補助金だけでなく経営革新計画についてもお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

この記事の内容はものづくり補助金16次締切の公募要領に基づくものです。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金における経営革新計画のメリット

経営革新計画の承認を得ることは、ものづくり補助金の審査で加点される「加点項目」のひとつです。

ものづくり補助金とは、「新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善」のために設備投資を行う中小企業・小規模事業者を支援する補助金です。ものづくり補助金の審査は点数制で行われ、加点項目を取得している場合は、事業計画書の審査にプラスして加点されるため、採択に有利に働きます

ものづくり補助金は、事業計画が革新的であるか、設定した課題や目標が明確か、市場ニーズが高いかなど、複数の観点から厳しく審査されます。

直近3回のものづくり補助金の採択率は、以下のとおりです。

締切回13次締切14次締切15次締切
採択率一般型:58.4%
グローバル展開型:39.3%
50.8%50.2%
参照元:採択結果|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

およそ半数の事業者は不採択となる難度の高い補助金であるため、経営革新計画などの加点項目を獲得し、少しでも採択に近づけるような取り組みが必要です

ものづくり補助金では、条件を満たすことで加点を得られる加点項目が設定されています。

以下のグラフは、取得した加点項目の数ごとの採択率を表したものです。

(引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

例えば、加点項目が0個の場合の採択率は34.4%ですが、3個取得できた場合の採択率は66.1%まで引き上がります。ものづくり補助金の採択率は約50%で推移しているため、加点項目を多く取得することで採択により近づくといえるでしょう。

16次締切の加点項目は、以下の5つの分野に分けられています。

  • ①成長性加点
  • ②政策加点
  • ③災害等加点
  • ④賃上げ加点等
  • ⑤女性活躍等の推進の取り組み加点

経営革新計画は、①成長性加点に当てはまります

①成長性加点とは、「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」への加点項目です。「有効な期間」は、ものづくり補助金の応募締切日時点で、承認を受けた経営革新計画が終了していないことを指します。

成長性加点を取得するには、添付書類として「当該計画の写しを含む経営革新計画承認書」が必要です。

加点項目は、成長性加点のみではありません。複数の加点項目の取得が採択に有利であるため、他の加点項目をチェックし、取得できそうなものはしっかり押さえておきましょう

加点項目については、「ものづくり補助金の採択率向上のためのポイント!審査項目・加点項目を解説」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

経営革新計画とは

経営革新計画とは、「新事業活動」に取り組む中小企業が、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する経営計画のことです。

経営革新計画が都道府県に承認されると、ものづくり補助金の加点対象になるほか、さまざまな支援策の対象となります。ここでは、「新事業活動」と「経営の相当程度の向上」が具体的にどのような要件を指すのか解説します。

新事業活動とは、以下の5つの新たな取り組みのことです。

  • ①新商品の開発又は生産
  • ②新役務の開発又は提供
  • ③商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  • ④役務の新たな提供の方式の導入
  • ⑤技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動

例えば、「①新商品の開発又は生産」の具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられています。

建設業者が、産業廃棄物である下水汚泥などを甘味料としても知られる植物を用いて処理し、新たに肥料を生産し販売する。

引用:中小企業庁「2022年版 経営革新計画進め方ガイドブック

木製品製造業者が、これまで建具の材料として利用が困難とされていた間伐材を加工するための切削用刃物を開発。更に開発した天然の塗料で仕上げることで、防腐、防かび効果が高められ、環境と健康にやさしい建具を生産、販売をする。

引用:中小企業庁「2022年版 経営革新計画進め方ガイドブック

新事業活動は、個々の中小企業にとって新たな事業活動であれば、すでに他社において採用されている技術や方式でも原則として承認の対象となります。しかし、同業他社や同一地域である程度普及している技術や方式では承認されないため、注意が必要です。

経営の相当程度の向上とは、計画終了時に、以下の2つの指標が目標を達成することを指します。

  • 「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率
  • 「給与支給総額」の伸び率

経営革新計画の事業期間は、3~5年の間で設定できます。それぞれの事業期間終了時における2つの指標の目標伸び率は、以下のとおりです。

「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率「給与支給総額」の伸び率
事業期間が3年の場合9%以上4.5%以上
事業期間が4年の場合12%以上6%以上
事業期間が5年の場合15%以上7.5%以上

付加価値額・一人当たりの付加価値額・給与支給総額は、以下の計算式で求められます。

  • 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
  • 一人当たりの付加価値額=付加価値額÷従業員数
  • 給与支給総額=役員報酬+給料+賃金+賞与+各種手当(退職手当と福利厚生を除く)

これらの伸び率は高い目標のように思われますが、目標を立てることにより経営努力をうながすことが経営革新計画の狙いです。そのため、経営革新計画は承認後も都道府県によるフォローアップ調査やアドバイスなどが行われます。

経営革新計画を申請できる会社及び個人の基準は、以下のとおりです。

主たる事業を営んでいる業種常時使用する従業員の数
製造業等500人以下
卸売業400人以下
サービス業300人以下
小売業300人以下

常時使用する従業員には、事業主、法人の役員、臨時の従業員は含まれません。

また、「直近1年以上の営業実績があり、この期間に決算を行い、税務署に申告していること」という条件も設定されているため、創業間もない企業やこれから創業する方は対象となりません。付加価値額の伸び率を算定する上で、最低1年分の事業実績や決算が必要になるためです。

ものづくり補助金以外の経営革新計画のメリット

経営革新計画が承認されると、以下のような各種優遇・支援措置の対象となります

保証・融資の優遇措置信用保証の特例
日本政策金融公庫の特別利率による融資制度
高度化融資制度
食品等流通合理化促進機構による債務保証
海外展開に伴う資金調達の支援措置スタンドバイ・クレジット制度
クロスボーダーローン制度
中小企業信用保険法の特例
日本貿易保険(NEXI)による支援措置
投資起業支援ファンドからの投資
中小企業投資育成株式会社からの投資
販路開拓を行う場合の支援措置販路開拓コーディネート事業
新価値創造展
都道府県独自の支援【東京都の場合】
東京都中小企業融資制度
フォローアップ支援(専門家派遣)

ここでは、信用保証の特例と日本政策金融公庫の特別利率による融資制度を紹介します。

信用保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が債務保証をする制度です。経営革新計画の承認を受けると、「普通保証等の別枠設定」と、「新事業開拓保証の限度額引き上げ」の支援を受けられます

問い合わせ先は、各都道府県の信用保証協会です。

日本政策金融公庫は、中小企業に対して事業に必要な資金を長期・固定で融資しています。経営革新計画に基づく事業を行うために必要な設備資金及び運転資金については、金利が優遇され、特別利率が適用されます

ただし、これらの支援措置は経営革新計画が承認されると同時に支援が約束されるものではありません。それぞれの支援措置ごとに申請や審査が必要です

経営革新計画の承認を受ける流れ

経営革新計画は、各都道府県に申請を行う場合が多いですが、複数社が共同で申請する場合は経済産業省の地方局や中小企業庁などが申請先になるケースもあります。

1社単独で申請する場合は、本社の所在地の都道府県が申請先となりますが、念のため、申請先や申請方法を各都道府県に相談しておくとよいでしょう

東京都に経営革新計画を申請する場合の流れは、以下のとおりです。

  1. 申請対象や要件の確認
  2. 申請書の作成・提出書類の準備
  3. 申請書の提出・内容等の確認
  4. 申請書の修正・再提出
  5. 審査

申請書は「中小企業経営革新計画に関する手続き|申請・手続き|東京都産業労働局」からダウンロードしてください。各都道府県が様式を用意しているため、必ず申請先のものを使うようにしましょう。記載要領を参考にしながら、申請書を作成し、提出書類をそろえて申請します。

提出は郵送では受け付けておらず、東京都中小企業振興公社や東京商工会議所などに直接出向く必要があります。

申請から結果の通知までは数か月かかるため、補助金申請に間に合わせたい場合は早めに申請しましょう

東京都に経営革新計画を申請する場合に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 経営革新計画に係る承認申請書(2部)
  • 直近2期分の確定申告書類一式の写し(決算書・勘定科目内訳明細書を含む、税務署受付済のもの)
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款

「経営革新計画に係る承認申請書」は、「中小企業経営革新計画に関する手続き|申請・手続き|東京都産業労働局」からダウンロードしてください。

個人事業主の場合は、経営革新計画に係る承認申請書の他に、住民票と直近2期分の確定申告書類一式の写しが必要です。

経営革新計画の承認を受けていることは、ものづくり補助金の加点項目であるため、採択に有利に働きます。経営革新計画は中小企業が新事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上を図るための経営計画書のことです。都道府県の承認を受けることで、さまざまな支援の対象となります

ものづくり補助金の審査は厳しいため、質の高い事業計画を策定することはもちろん、加点項目の数も採択を左右するといえます。当社、中小企業経営支援事務所はものづくり補助金の申請準備から受け取りまでのトータルサポートが特長です。

ものづくり補助金のみならず、経営革新計画についてもぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料で承っています

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

株式会社中小企業経営支援事務所

〒162-0802

東京都新宿区改代町27-4-1 クレスト神楽坂2F

TEL 03-5946-8609

もくじ