経営革新計画でものづくり補助金を有利に!経営革新計画のメリットを解説

最大4,000万円と大型であることから、難度が高い補助金として知られる「ものづくり補助金」。審査は事業計画書を中心に行われますが、取得しておくことで加算が得られる加点項目も存在し、「経営革新計画」はそのひとつです。

今回は、経営革新計画の概要やメリット、承認を受ける流れについて解説します。ものづくり補助金を視野に入れ、経営革新計画の承認を受けようとしている経営者様はぜひ参考にしてください。

なお、この記事はものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇る中小企業経営支援事務所が解説します。経験豊富な中小企業診断士が、ものづくり補助金の申請から採択後までトータルでサポートいたします。

初回相談無料で承っていますので、ものづくり補助金だけでなく経営革新計画についてもお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

この記事の内容はものづくり補助金16次締切の公募要領に基づくものです。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金における経営革新計画のメリット

経営革新計画の承認を得ることは、ものづくり補助金の審査で加点される「加点項目」のひとつです。

ものづくり補助金とは、「新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善」のために設備投資を行う中小企業・小規模事業者を支援する補助金です。ものづくり補助金の審査は点数制で行われ、加点項目を取得している場合は、事業計画書の審査にプラスして加点されるため、採択に有利に働きます

ものづくり補助金は、事業計画が革新的であるか、設定した課題や目標が明確か、市場ニーズが高いかなど、複数の観点から厳しく審査されます。

直近3回のものづくり補助金の採択率は、以下のとおりです。

締切回13次締切14次締切15次締切
採択率一般型:58.4%
グローバル展開型:39.3%
50.8%50.2%
参照元:採択結果|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

およそ半数の事業者は不採択となる難度の高い補助金であるため、経営革新計画などの加点項目を獲得し、少しでも採択に近づけるような取り組みが必要です

ものづくり補助金では、条件を満たすことで加点を得られる加点項目が設定されています。

以下のグラフは、取得した加点項目の数ごとの採択率を表したものです。

(引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

例えば、加点項目が0個の場合の採択率は34.4%ですが、3個取得できた場合の採択率は66.1%まで引き上がります。ものづくり補助金の採択率は約50%で推移しているため、加点項目を多く取得することで採択により近づくといえるでしょう。

16次締切の加点項目は、以下の5つの分野に分けられています。

  • ①成長性加点
  • ②政策加点
  • ③災害等加点
  • ④賃上げ加点等
  • ⑤女性活躍等の推進の取り組み加点

経営革新計画は、①成長性加点に当てはまります

①成長性加点とは、「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」への加点項目です。「有効な期間」は、ものづくり補助金の応募締切日時点で、承認を受けた経営革新計画が終了していないことを指します。

成長性加点を取得するには、添付書類として「当該計画の写しを含む経営革新計画承認書」が必要です。

加点項目は、成長性加点のみではありません。複数の加点項目の取得が採択に有利であるため、他の加点項目をチェックし、取得できそうなものはしっかり押さえておきましょう

加点項目については、「ものづくり補助金の採択率向上のためのポイント!審査項目・加点項目を解説」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

経営革新計画とは

経営革新計画とは、「新事業活動」に取り組む中小企業が、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する経営計画のことです。

経営革新計画が都道府県に承認されると、ものづくり補助金の加点対象になるほか、さまざまな支援策の対象となります。ここでは、「新事業活動」と「経営の相当程度の向上」が具体的にどのような要件を指すのか解説します。

新事業活動とは、以下の5つの新たな取り組みのことです。

  • ①新商品の開発又は生産
  • ②新役務の開発又は提供
  • ③商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  • ④役務の新たな提供の方式の導入
  • ⑤技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動

例えば、「①新商品の開発又は生産」の具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられています。

建設業者が、産業廃棄物である下水汚泥などを甘味料としても知られる植物を用いて処理し、新たに肥料を生産し販売する。

引用:中小企業庁「2022年版 経営革新計画進め方ガイドブック

木製品製造業者が、これまで建具の材料として利用が困難とされていた間伐材を加工するための切削用刃物を開発。更に開発した天然の塗料で仕上げることで、防腐、防かび効果が高められ、環境と健康にやさしい建具を生産、販売をする。

引用:中小企業庁「2022年版 経営革新計画進め方ガイドブック

新事業活動は、個々の中小企業にとって新たな事業活動であれば、すでに他社において採用されている技術や方式でも原則として承認の対象となります。しかし、同業他社や同一地域である程度普及している技術や方式では承認されないため、注意が必要です。

経営の相当程度の向上とは、計画終了時に、以下の2つの指標が目標を達成することを指します。

  • 「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率
  • 「給与支給総額」の伸び率

経営革新計画の事業期間は、3~5年の間で設定できます。それぞれの事業期間終了時における2つの指標の目標伸び率は、以下のとおりです。

「付加価値額」又は「一人当たりの付加価値額」の伸び率「給与支給総額」の伸び率
事業期間が3年の場合9%以上4.5%以上
事業期間が4年の場合12%以上6%以上
事業期間が5年の場合15%以上7.5%以上

付加価値額・一人当たりの付加価値額・給与支給総額は、以下の計算式で求められます。

  • 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
  • 一人当たりの付加価値額=付加価値額÷従業員数
  • 給与支給総額=役員報酬+給料+賃金+賞与+各種手当(退職手当と福利厚生を除く)

これらの伸び率は高い目標のように思われますが、目標を立てることにより経営努力をうながすことが経営革新計画の狙いです。そのため、経営革新計画は承認後も都道府県によるフォローアップ調査やアドバイスなどが行われます。

経営革新計画を申請できる会社及び個人の基準は、以下のとおりです。

主たる事業を営んでいる業種常時使用する従業員の数
製造業等500人以下
卸売業400人以下
サービス業300人以下
小売業300人以下

常時使用する従業員には、事業主、法人の役員、臨時の従業員は含まれません。

また、「直近1年以上の営業実績があり、この期間に決算を行い、税務署に申告していること」という条件も設定されているため、創業間もない企業やこれから創業する方は対象となりません。付加価値額の伸び率を算定する上で、最低1年分の事業実績や決算が必要になるためです。

ものづくり補助金以外の経営革新計画のメリット

経営革新計画が承認されると、以下のような各種優遇・支援措置の対象となります

保証・融資の優遇措置信用保証の特例
日本政策金融公庫の特別利率による融資制度
高度化融資制度
食品等流通合理化促進機構による債務保証
海外展開に伴う資金調達の支援措置スタンドバイ・クレジット制度
クロスボーダーローン制度
中小企業信用保険法の特例
日本貿易保険(NEXI)による支援措置
投資起業支援ファンドからの投資
中小企業投資育成株式会社からの投資
販路開拓を行う場合の支援措置販路開拓コーディネート事業
新価値創造展
都道府県独自の支援【東京都の場合】
東京都中小企業融資制度
フォローアップ支援(専門家派遣)

ここでは、信用保証の特例と日本政策金融公庫の特別利率による融資制度を紹介します。

信用保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が債務保証をする制度です。経営革新計画の承認を受けると、「普通保証等の別枠設定」と、「新事業開拓保証の限度額引き上げ」の支援を受けられます

問い合わせ先は、各都道府県の信用保証協会です。

日本政策金融公庫は、中小企業に対して事業に必要な資金を長期・固定で融資しています。経営革新計画に基づく事業を行うために必要な設備資金及び運転資金については、金利が優遇され、特別利率が適用されます

ただし、これらの支援措置は経営革新計画が承認されると同時に支援が約束されるものではありません。それぞれの支援措置ごとに申請や審査が必要です

経営革新計画の承認を受ける流れ

経営革新計画は、各都道府県に申請を行う場合が多いですが、複数社が共同で申請する場合は経済産業省の地方局や中小企業庁などが申請先になるケースもあります。

1社単独で申請する場合は、本社の所在地の都道府県が申請先となりますが、念のため、申請先や申請方法を各都道府県に相談しておくとよいでしょう

東京都に経営革新計画を申請する場合の流れは、以下のとおりです。

  1. 申請対象や要件の確認
  2. 申請書の作成・提出書類の準備
  3. 申請書の提出・内容等の確認
  4. 申請書の修正・再提出
  5. 審査

申請書は「中小企業経営革新計画に関する手続き|申請・手続き|東京都産業労働局」からダウンロードしてください。各都道府県が様式を用意しているため、必ず申請先のものを使うようにしましょう。記載要領を参考にしながら、申請書を作成し、提出書類をそろえて申請します。

提出は郵送では受け付けておらず、東京都中小企業振興公社や東京商工会議所などに直接出向く必要があります。

申請から結果の通知までは数か月かかるため、補助金申請に間に合わせたい場合は早めに申請しましょう

東京都に経営革新計画を申請する場合に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 経営革新計画に係る承認申請書(2部)
  • 直近2期分の確定申告書類一式の写し(決算書・勘定科目内訳明細書を含む、税務署受付済のもの)
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款

「経営革新計画に係る承認申請書」は、「中小企業経営革新計画に関する手続き|申請・手続き|東京都産業労働局」からダウンロードしてください。

個人事業主の場合は、経営革新計画に係る承認申請書の他に、住民票と直近2期分の確定申告書類一式の写しが必要です。

経営革新計画の承認を受けていることは、ものづくり補助金の加点項目であるため、採択に有利に働きます。経営革新計画は中小企業が新事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上を図るための経営計画書のことです。都道府県の承認を受けることで、さまざまな支援の対象となります

ものづくり補助金の審査は厳しいため、質の高い事業計画を策定することはもちろん、加点項目の数も採択を左右するといえます。当社、中小企業経営支援事務所はものづくり補助金の申請準備から受け取りまでのトータルサポートが特長です。

ものづくり補助金のみならず、経営革新計画についてもぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料で承っています

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