ものづくり補助金はIT企業(情報通信業)でも応募できる!

ものづくり補助金は、その名前から製造業のみを対象としていると思われることも多いですが、情報通信業をはじめとする全ての業種が対象です。

この記事では、ものづくり補助金の情報通信業の採択事例を紹介し、情報通信業の企業がどのような事業で採択を受けているのか解説します。あわせて、情報通信業と親和性が高いデジタル枠についても解説しますので、ものづくり補助金の申請をお考えの情報通信業の経営者様はぜひ参考にしてください。

なお、この記事はものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇る中小企業経営支援事務所が解説します。当社は特にIT関連の支援実績が豊富で、1,000万円以上の大型案件も複数サポートしてまいりました。

初回相談無料で受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

なお、この記事の内容はものづくり補助金16次締切の公募要領に基づくものです。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金は情報通信業も申請できる

ものづくり補助金は製造業しか申請できないものと思われがちですが、全ての業種が申し込める補助金です。

そもそも、ものづくり補助金とは「革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を通じて、生産性を向上させるために設備投資を行う中小企業など」を支援するものです。企業規模が中小企業や小規模事業者に該当すれば、情報通信業でもものづくり補助金に申請できます。

中小企業とは、資本金または常勤従業員数のどちらかが以下の数字を下回っている企業のことです。

業種資本金常勤従業員数
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
その他の業種(上記以外)3億円300人

また、小規模事業者(小規模企業者)の定義については、以下のとおりです。

業種常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、その他(ソフトウェア業や情報処理サービス業など)20人以下
卸売業、小売業、サービス業5人以下

自社の規模が中小企業などに該当するIT企業は、ぜひものづくり補助金の申請を検討してみましょう。IT企業など情報通信業が得意とするデジタル技術の活用は、ものづくり補助金の審査項目に合致しているため、高く審査される可能性があります。

ものづくり補助金における審査のポイントは、公募要領で審査項目として公表されています。ものづくり補助金の審査項目は、以下の4点です。

  • 補助対象事業としての適格性
  • 技術面
  • 事業化面
  • 政策面

その中でも、政策面の④では、補助事業が先端的なデジタル技術を活用しているかどうかを審査するとしています。

④先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

ここでいう「先端的なデジタル技術」はAIやIoT、XR、ドローン、ビッグデータなどを指すと考えられます。

もちろん審査項目は他にも複数あり、採択されるにはそれらをクリアする必要がありますが、デジタル技術を活用した事業は、審査で有利になる要素があると覚えておきましょう。

審査項目については、「ものづくり補助金の採択率向上のためのポイント!審査項目・加点項目を解説 」で詳しく解説していますので、参考にしてください。

ものづくり補助金における情報通信業の採択事例

ものづくり補助金の採択事例は、公式ホームページ「ものづくり補助金総合サイト」の「成果事例のご紹介」で公開されています。ここでは、その中から情報通信業の企業の例をいくつか紹介します。

神奈川県で一次産業向けのIT・IoTサービスを提供している株式会社アクト・ノードは、一次産業の生産データの取得を容易にし、データ活用の可能性を広げるクラウドサービスを開発しました。

このクラウドサービスでは、作業記録アプリで作業内容や資材を記録したり、AIカメラで生育を記録したりなど、デジタル技術を大いに活用しています。

データは生産現場だけでなくバリューチェーンでも活用され、流通効率化などの社会課題の解決にも貢献しています。

(参照:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

栃木県のソフトウェア開発業・株式会社ジェネックスは、外国人宿泊客がルームサービスやお土産物を多言語でオーダーできる「セルフオーダーシステム」の試作開発に取り組みました。

同システムの開発では誰もが使いやすいことを重視し、アプリのダウンロード不要、会員登録不要、クレジットカード決済不要で簡単に使えるようこだわりました。

外国人観光客の満足度向上や、人手不足の解消につながるシステムとして、飲食店などへの応用が期待されています。

(参照:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

神奈川県でITコンサルティングや映像制作を手がける株式会社コヤワタオフィスは、ドローンによる農薬散布の自動化と関連サービスで事業領域の拡大に成功しました。

補助事業によってドローンの自動航行とマニュアル操作を比較し、対象の土地の形状によって使い分けることで効率的な散布を可能としました。

同社はドローンスクールを開講するなど、事業領域の拡大にも成功しています。

(参照:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

また、当社・中小企業経営支援事務所でも、情報通信業における以下のような事業で採択を勝ち取りました。

新事業の内容主な投資内容補助金額
インバウンド向け高級不動産アプリ・Webシステムの開発システム開発費1,250万円
中小EC会社向けクラウド型経営管理・原価管理システムの開発システム開発費1,000万円

これらの事例をはじめとして、当社は質と精度の高い事業計画の策定により、難易度の高い1,000万円以上の大型案件の採択実績が複数あります。当社のものづくり補助金サポートについては、「ものづくり補助金エキスパートサービス」をぜひご覧ください。

情報通信業におすすめの申請枠「デジタル枠」

ものづくり補助金には以下の5つの申請枠があり、それぞれ要件や補助率が異なります。

  • 通常枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • グローバル市場開拓枠

情報通信業に該当する企業は、デジタル技術を専門とする企業も多いことから、通常枠だけでなく補助率の高い「デジタル枠」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。ここでは、IT企業などにおすすめなデジタル枠について解説します。

デジタル枠は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関連する新製品や新サービスの開発、生産性の向上を目指す設備・システム投資などを支援する申請枠です。2022年の10次公募で新設されました。

デジタル枠の基本情報は以下のとおりです。

デジタル枠通常枠
補助金額従業員数5人以下:100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円
補助率2/31/2、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3

デジタル枠は通常枠より要件が増えるため、難度が高いといえます。しかし、通常枠では1/2である補助率が、デジタル枠は2/3である点で優遇されているといえるでしょう。

デジタル枠は、全ての申請枠で共通の基本要件に加え、デジタル枠独自の追加要件があります

まずは、以下の基本要件を押さえておきましょう。

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

基本要件とあわせて、以下のデジタル枠の3つの独自要件を満たせる場合は、デジタル枠への申請もおすすめです。

(1)次の①又は②に該当する事業であること。
①DXに資する革新的な製品・サービスの開発
(例:AI・IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)等)
②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善
(例:AIやロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設にサービスを提供するオペレーションセンターの構築等)

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

①の「DXに資する革新的な製品・サービスの開発」とは、AIやIoT、センサーなどのデジタル技術を主な内容とする製品やサービス、ソフトウェアの開発を指します。

②は、AIやIoT、ロボットシステムなどのデジタル技術を活用し、業務フローや生産プロセスを大きく改善させる事業です。

単にデジタル製品を導入する事業、アナログデータを電子化するだけの事業などは、デジタル枠の趣旨であるDXに当てはまらないため、該当しません。

(2)経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。
・DX推進指標サイト:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
・自己診断結果入力サイト:https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxpi.html

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

DX推進指標とは、DXの推進に向けて企業内で現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるためのものです。自己診断結果をIPAに提出すると、分析結果が提供されるため、自社の状況が客観的に把握でき、DX化の検討課題として活用できます。

また、後述しますが、DX推進指標の自己診断の「人材欄」を全て記入することは加点項目の一つでもあります。

DX推進指標の自己診断の作成・提出方法は、以下の動画で解説していますので、ぜひご覧ください。

(3)独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を応募申請時点で行っていること。
・「SECURITY ACTION」公式サイト(制度概要):https://www.ipa.go.jp/security/security-action/index.html
・「SECURITY ACTION自己宣言」申込みサイト:https://security-shien.ipa.go.jp/security/

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

SECURITY ACTIONとは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。

取り組みレベルによって一つ星と二つ星に分けられていますが、デジタル枠の追加要件としてはどちらでもかまいません。基本的なセキュリティ対策を行うと宣言するだけで条件を満たせるため、ぜひ早めに行っておきましょう。

ものづくり補助金では、取り組むと加点の対象となる加点項目が存在します

加点項目の数は基本的に最大6個ですが、デジタル枠は最大12個まで取得できます。加点項目の取得数は採択率と大きく関係しているため、デジタル枠で申請するならより多くの加点項目の取得を目指しましょう。

デジタル枠のみに設定されている加点項目は、以下のとおりです。

②-4:デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況(デジタル枠のみ)
A.経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性の決定
a.デジタル技術が社会や自社の競争環境にどのような影響を及ぼすかについて認識、その内容について公表
※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
b.上記a.を踏まえた経営ビジョンやビジネスモデルを策定・公表
※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
B.上記A.の経営ビジョンやビジネスモデルを実現するための戦略を公表
※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
C.上記B.の戦略を推進するための体制・組織(CIO(最高情報責任者)、CISO(最高セキュリティ責任者)の配置、担当部門の配置等)を示し、公表
※ホームページのURLと掲載場所等を記載いただきます。
D.「DX推進指標」自己診断フォーマットの定量指標における「人材欄」(688~690行目/Ver.2.3以降の場合はシート「ITシステム構築の取組状況(定量指標)」の11~13行目)を全て記載
E.申請時点において、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」※を利用しているか。
※独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスhttps://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/sme/otasuketai/#list

引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版

a、b、B、Cでは自社ホームページにおいて、「デジタル技術の活用とDX推進の取組状況」を見て分かるように記載することが求められます。

Dはデジタル枠の独自要件で必要となるDX推進指標の自己診断において、「人材欄」という部分を全て記載すると加点が受けられます。

Eの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、中小企業のサイバーセキュリティ対策に役立つサービスをワンパッケージで提供するサービスです。Eの加点項目を取得するためには、任意の添付書類としてサイバーセキュリティお助け隊の契約書・利用申込書の写しが必要です。

他にも、全ての申請枠に共通して設定されている加点項目もあります。詳しくは「ものづくり補助金の採択率向上のためのポイント!審査項目・加点項目を解説」で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ものづくり補助金は、製造業のみならず情報通信業など全ての業種が申請できる補助金です。デジタル技術の活用は審査項目の一つであるため、IT企業ならではの高いデジタル技術力を活用した事業は、審査で有利になる可能性があります。

追加要件を満たせる場合は、通常枠より補助率が高く、情報通信業と親和性の高いデジタル枠に申請するのもおすすめです。

当社のものづくり補助金の採択実績は100%(*1)であり、1,000万円以上の大型案件を採択へとサポートした例も複数あります。経営コンサルタントならではの視点から策定する精度の高い事業計画が当社の特長です。

ものづくり補助金の申請をお考えの情報通信業の経営者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

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