業務改善助成金とは?活用事例や申請の流れ、注意点を解説

業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資と従業員の賃金引き上げをあわせて行う中小企業に、設備投資費用の一部を助成する制度です。令和5(2023)年8月31日に制度が拡充され、より利用しやすくなりました。

この記事では、業務改善助成金の概要や活用事例、申請の流れ、利用にあたっての注意点などを解説します。業務改善助成金の利用を検討されている中小企業の経営者様は、ぜひ参考にしてください。

なお、この記事はものづくり補助金をはじめとして、さまざまな補助金の申請サポートを行っている中小企業経営支援事務所がわかりやすく解説します。業務改善助成金の申請についてご不明点がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です

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業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資を行い、事業場内最低賃金を一定額引き上げた中小企業や小規模事業者に対し、設備投資にかかった費用の一部を助成するものです。中小企業の生産性向上と、従業員の賃金引き上げを支援するために創設されました。

業務改善助成金における設備投資等とは、以下のようなものを指します。

  • 機械設備
  • コンサルティングの導入
  • 人材育成
  • 教育訓練

このような生産性向上のための取り組みと、従業員の賃金引き上げをあわせて行った場合に助成金が支給されます

なお、業務改善助成金は過去に受給したことがある事業者も助成対象です。

業務改善助成金の対象要件は、以下の3点です。

  • 中小企業事業者であること
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げ、労働関係法令違反などの不交付事由がないこと

中小企業とは、以下の条件に当てはまる事業者を指します。

業種資本金の額または出資の総額常時使用する企業全体の労働者数
一般産業(下記以外)3億円以下の法人300人以下
卸売業1億円以下の法人100人以下
サービス業5,000万円以下の法人100人以下
小売業5,000万円以下の法人50人以下

「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する企業全体の労働者数」は、どちらの要件も満たしている必要はなく、いずれかの要件を満たしていれば十分です。

事業場内最低賃金とは、事業場で最も低い時間給のことで、「最低賃金法」などの規定に基づき計算されます。不明な点があれば、あなたの賃金を比較チェック|最低賃金制度のページで計算方法を確認したり、管轄の労働局雇用環境・均等部室や賃金課室に相談したりしてみましょう。

業務改善助成金は、「設備投資にかかった費用に一定の助成率をかけた金額」と、「助成上限額」を比較して安いほうの金額が助成額になります。

助成率は、以下のように事業場内最低賃金の額で決まります。

事業場内最低賃金900円未満900円以上950円未満950円以上
助成率9/104/5(9/10)3/4(4/5)
※()内は生産性要件を満たした場合

生産性要件とは、以下のとおりです。

「生産性」とは、企業の決算書類から算出した、労働者1人当たりの付加価値を指し、「生産性要件を満たした場合」とは、助成金の交付申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、6%以上伸びている場合又は1%以上(6%未満)伸びている場合をいいます。1%以上(6%未満)の場合は、金融機関から一定の事業性評価」を得ている必要があります。

引用:中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)申請マニュアル

助成上限額は、事業場内最低賃金の引き上げ額や引き上げる労働者数、事業場の規模に応じて、以下のように設定されています。

事業場内最低賃金の引き上げ額引き上げる労働者数助成上限額
右記以外の事業者事業場規模30人未満の事業者
30円以上1人30万円60万円
2~3人50万円90万円
4~6人70万円100万円
7人以上100万円120万円
10人以上※120万円130万円
45円以上1人45万円80万円
2~3人70万円110万円
4~6人100万円140万円
7人以上150万円160万円
10人以上※180万円180万円
60円以上1人60万円110万円
2~3人90万円160万円
4~6人150万円190万円
7人以上230万円230万円
10人以上※300万円300万円
90円以上1人90万円170万円
2~3人150万円240万円
4~6人270万円290万円
7人以上450万円450万円
10人以上※600万円600万円
※10人以上の上限額区分は、特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合のみ

例えば、以下の場合の業務改善助成金の助成額をシミュレーションしてみましょう。

  • 事業場内最低賃金:890円
  • 設備投資にかかった費用:200万円
  • 引き上げ後の事業場内最低賃金:935円
  • 引き上げた労働者数:5人
  • 事業場規模30人未満の事業者とする

この場合、助成上限額は140万円、助成率は9/10です。200万円×9/10=180万円であり、

140万円(上限額)<180万円(設備投資にかかった費用に一定の助成率をかけた金額)

となるため、この場合は140万円が支給されます

業務改善助成金の対象となるのは、「生産性向上に資する設備投資等」にかかる経費です。対象経費は、以下のように2つに分けられています。

経費区分具体例
生産性向上に資する設備投資等・POS レジシステム導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
・顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化
・国家資格者による経営コンサルティング(顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直し)
・店舗改装による配膳時間の短縮 など
関連する経費・広告宣伝費
・汎用事務機器
・事務室の拡大
・机・椅子の増設 など
引用:中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)申請マニュアル

ただし、「関連する経費」はすべての事業者が対象経費として計上できるわけではなく、特例事業者として認められた場合のみが助成の対象です。

続いて、特例事業者についてみていきましょう。

特例事業者とは、以下の条件に当てはまる事業者を指します。

①賃金要件:事業場内最低賃金が950円未満の事業場

②生産量要件:新型コロナウイルス感染症の影響により、生産量(額)又は売上高等事業活動を示す指標(生産指標)の最近3か月間の平均値が前年、前々年又は3年前同期に比べ、15%以上減少している事業者

③物価高騰等要件:原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、利益率(申請前3か月間のうちの任意の1月における売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同月に比べ3%ポイント以上低下している事業者

引用:令和5年度業務改善助成金のご案内

特例事業者として認められると、賃金引き上げ労働者数10人以上の助成上限区分を適用可能です。(上記の上限額表の※部分)

また、②生産量要件または③物価高騰等要件に該当する場合は、助成上限額の拡大に加え、対象となる経費についても拡大されます。通常は認められないパソコンやスマートフォンの新規導入や、一部の自動車も助成対象となり、「関連する経費」についても設備投資額を上回らない範囲で対象となります。

特例事業者と対象経費についてまとめると、以下のとおりです。

助成対象経費一般事業者特例事業者(②または③に当てはまる場合のみ)
生産性向上に資する設備投資等
生産性向上に資する設備投資等のうち、
・定員7人以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車や貨物自動車
・PC、スマホ、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入
×
関連する経費×

業務改善助成金を利用した事業者は、実際にどのような設備を導入し、生産性を向上させているのでしょうか。

ここでは、業種ごとに、導入事例と設備導入の効果を紹介します。

(参考:業務改善助成金の活用例

宿泊業や飲食サービス業では、調理器具類やPOSレジシステム、食器洗浄機などを導入する事例が多くみられます。

調理器具類では、スチームコンベクションオーブンや食材スライサー、業務用製氷機を導入した結果、仕込みや調理に時間がかかり、製造量も少なかったものが、仕込み・調理時間が短縮され、一度に製造できる量も増え、効率が上がりました

また、POSレジシステムや自動釣銭機を導入した場合は、入金や売上の集計や釣銭の支払いなどに時間を取られていましたが、生産業務が自動化され時間短縮になるとともに、顧客の回転率も上昇しました

卸売業・小売業では、POSレジシステムやフォークリフト・特種用途自動車類、調理器具類などが多く導入されています。

フォークリフトを導入した結果、荷物の運搬や積み下ろしに時間がかかっていたものが、一度に大量の重い荷物を運ぶことができ、作業時間の短縮につながりました

生活関連サービス業・娯楽業では、美容器具・施術器具や、シャンプーユニット、洗濯機・乾燥機などを導入するケースが多いです。

脱毛器やデジタルパーマ・スチーマー類を導入した結果、既存の機械では仕上がりにムラがある上、施術時間が長かったものが、施術時間の短縮に加え高品質なサービスを提供できるようになりました

医療・福祉の分野では、福祉車両や歯科用チェアユニット、施術ベッドなどを導入するケースが多いです。

福祉車両を導入した結果、利用者の送迎に時間がかかり、従業員も複数必要だったものが、車椅子に乗ったまま乗降できる福祉車両のおかげで送迎にかかる時間や人員を削減できました

業務改善助成金を利用する際の注意点は、以下の2点です。

  • 交付決定前に設備投資を行わない
  • 申請期限前に募集が締め切られる可能性がある

補助金や助成金の多くは、交付決定を受ける前に設備投資をしてしまうと、助成の対象外となります。業務改善助成金は「交付申請書」を提出し、交付決定通知を受け取ってから設備投資するようにしてください。

また、業務改善助成金は予算の範囲内で行われているため、多数の応募があった場合は申請期限より早く募集が打ち切られる可能性があります

なお、令和5(2023)年度の業務改善助成金のスケジュールは以下のとおりです。

申請期限令和6(2024)年1月31日
事業完了期限令和6(2024)年2月28日

事業完了期限とは、「導入機器等の納品日」「導入機器等の支払完了日」「賃金引き上げ日」のいずれかの最も遅い日です。すなわち、令和5(2023)年度の業務改善助成金では令和6(2024)年2月28日までに納品・支払完了・賃金引き上げのすべてが完了していなければなりません。

令和6年度に業務改善助成金を利用しようとお考えの方も、申請と事業の実施は、期間に余裕を持って進めましょう。

業務改善助成金を受け取るためには、以下の流れに沿って手続きを進めましょう。

  1. 交付申請書の提出
  2. 審査・交付決定
  3. 事業の実施
  4. 事業実績報告書の提出
  5. 助成金の受け取り

業務改善助成金の申請は、郵送と電子申請システム(jGrants)のどちらかで行います。電子申請システムにはGビズIDが必要となるため、申請の前に早めに入手しておきましょう。

申請する際は、「交付申請書」と「事業実施計画書」を作成し、管轄の労働局に提出します。申請から約1か月後に、交付(不交付)決定通知が届くため、交付が決定された場合は計画に基づき設備投資と賃金引き上げを行います。

事業が完了したら、事業完了日から起算して1月を経過する日、または翌年度4月10日のいずれか早い日までに「事業実績報告書」を提出しましょう。原則20日以内に審査が行われ、助成金が振り込まれます。

申請マニュアルや各種様式は、業務改善助成金|厚生労働省のページをご確認ください。

業務改善助成金は、令和5年8月31日に対象事業者が拡大されるなどの拡充がありました

厚生労働省は全国加重平均で1,004円となる最低賃金の引き上げに向けた環境整備を図っているため、令和6年度も拡充後の内容が継続される見込みです。

業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資と、従業員の賃金引き上げを行った中小企業を支援する制度です。令和6年度も継続される見込みであるため、活用をお考えの経営者様は、早めに準備しておきましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金や事業再構築補助金などのさまざまな補助金の申請サポートを行っています。当社の補助金申請サポートは、精度の高い事業計画書と入金までのさまざまな事務手続きをトータルでサポートする点が特徴です。

「忙しくて計画書や申請書を書く時間が取れない」「助成金の申請が初めてで何をしたらよいのか分からない」という方は、ぜひお気軽に当社までご相談ください。初回相談は無料です
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中小M&Aガイドライン(第2版)遵守の宣言について

M&A Guideline

株式会社中小企業経営支援事務所は、国が創設したM&A支援機関登録制度の登録を受けている支援機関であり、中小企業庁が定めた「中小M&Aガイドライン(第2版)」(令和5年9月)を遵守していることを、ここに宣言いたします。

株式会社中小企業経営支援事務所は、中小M&Aガイドラインを遵守し、下記の取組・対応を実施しております。

○ 支援の質の確保・向上に向けた取組

1 依頼者との契約に基づく義務を履行します。

・善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって仲介業務・FA業務を行います。

・依頼者の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図りません。

2 契約上の義務を負うかにかかわらず、職業倫理として、依頼者の意思を尊重し、利益を実現するための対応を行います。

3 代表者は、支援の質の確保・向上のため、①知識・能力向上、②適正な業務遂行を図ることが不可欠であることを認識しており、当該取組が重要である旨のメッセージを社内外に発信しています。また、発信したメッセージと整合的な取組を実施します。

4 知識・能力の向上のための取組を実施しています。

5 支援業務を行う役員や従業員における適正な業務を確保するための取組を実施しています。

6 業務の一部を第三者に委託する場合、外部委託先における業務の適正な遂行を確保するための取組を実施しています。

○ M&Aプロセスにおける具体的な行動指針

7.専門的な知見に基づき、依頼者に対して実践的な提案を行い、依頼者のM&Aの意思決定を支援します。その際、以下の点に留意します。

・想定される重要なメリット・デメリットを知り得る限り、相談者に対して明示的に説明します。

・仲介契約・FA契約締結前における相談者の企業情報の取扱いについても、善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負っていることを自覚し、適切に取扱います。

8.仲介契約・FA契約の締結について、業務形態の実態に合致した仲介契約あるいはFA契約を締結します。

9.契約締結前には、依頼者に対し仲介契約・FA契約に係る重要な事項(以下(1)~(13))を記載した書面を交付する等して、明確な説明を行い、依頼者の納得を得ます。

(1)譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と契約を締結し双方に助言する仲介者、一方当事者のみと契約を締結し一方のみに助言するFAの違いとそれぞれの特徴(仲介者として両当事者から手数料を受領する場合には、その旨も含む。)

(2)提供する業務の範囲・内容(マッチングまで行う、バリュエーション、交渉、スキーム立案等)

(3)手数料に関する事項(算定基準、金額、最低手数料、既に支払を受けた手数料の控除、支払時期等)

(4)手数料以外に依頼者が支払うべき費用(費用の種類、支払時期等)

(5)秘密保持に関する事項(依頼者に秘密保持義務を課す場合にはその旨、秘密保持の対象となる事実、士業等専門家や事業承継・引継ぎ支援センター等に開示する場合の秘密保持義務の一部解除等)

(6)直接交渉の制限に関する事項(依頼者自らが候補先を発見すること及び依頼者自ら発見した候補先との直接交渉を禁止する場合にはその旨、直接交渉が制限される対象者や目的の範囲等)

(7)専任条項(セカンド・オピニオンの可否等)

(8)テール条項(テール期間、対象となるM&A等)

(9)契約期間(契約期間、更新(期間の延長)に関する事項等)

(10)契約終了後も効力を有する条項がある場合には、当該条項、その有効期間等

(11)契約の解除に関する事項及び依頼者が、FA契約を中途解約できることを明記する場合には、当該中途解約に関する事項

(12)責任(免責)に関する事項(損害賠償責任が発生する要件、賠償額の範囲等)

(13)(仲介者の場合)依頼者との利益相反のおそれがあるものと想定される事項

10.契約を締結する権限を有する方に対して説明します。

11.説明の後は、依頼者に対し、十分な検討時間を与えます。

12.バリュエーション(企業価値評価・事業評価)の実施に当たっては、評価の手法や前提条件等を依頼者に事前に説明し、評価の手法や価格帯についても依頼者の納得を得ます。

13.譲り受け側の選定(マッチング)に当たっては、秘密保持契約締結前の段階で、譲り渡し側に関する詳細な情報が外部に流出・漏えいしないよう注意します。

14.交渉に当たっては、慣れない依頼者にも中小M&Aの全体像や今後の流れを可能な限り分かりやすく説明すること等により、寄り添う形でサポートします。

15.デュー・デリジェンス(DD)の実施に当たっては、譲り渡し側に対し譲り受け側が要求する資料の準備を促し、サポートします。

16.最終契約の締結に当たっては、契約内容に漏れがないよう依頼者に対して再度の確認を促します。

17.クロージングに当たっては、クロージングに向けた具体的な段取りを整えた上で、当日には譲り受け側から譲渡対価が確実に入金されたことを確認します。

○ FA契約の契約条項に関する留意点内容について

専任条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

18.専任条項を設ける場合、その対象範囲を可能な限り限定します。具体的には、依頼者が他の支援機関の意見を求めたい部分を仲介者・FAに対して明確にした上、これを妨げるべき合理的な理由がない場合には、依頼者に対し、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを許容します。ただし、相手方当事者に関する情報の開示を禁止したり、相談先を法令上又は契約上の秘密保持義務がある者や事業承継・引継ぎ支援センター等の公的機関に限定したりする等、情報管理に配慮します。

19.専任条項を設ける場合には、契約期間を最長でも6か月~1年以内を目安として定めます。

20.依頼者が任意の時点で仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する条項等(口頭での明言も含む。)を設けます。

直接交渉の制限に関する条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

21.直接交渉が制限される候補先は、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定します(依頼者が「自ら候補先を発見しないこと」及び「自ら発見した候補先と直接交渉しないこと(依頼者が発見した候補先との M&A 成立に向けた支援をM&A 専門業者に依頼する場合を想定)」を明示的に了解している場合を除く。)。

22.直接交渉が制限される交渉は、依頼者と候補先の M&A に関する目的で行われるものに限定します。

23.直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、仲介契約・FA 契約が終了するまでに限定します。

テール条項については、特に以下の点を遵守して、行動します。

24.テール期間は最長でも2年~3年以内を目安とします。

25.テール条項の対象は、あくまで当該M&A専門業者が関与・接触し、譲り渡し側に対して紹介した譲り受け側のみに限定します。

◯仲介業務を行う場合の留意点

26. 依頼者との契約に基づく義務を履行します。いずれの依頼者に対しても公平・公正であり、いずれか一方の利益の優先やいずれか一方の利益を不当に害するような対応をしません。

27. 仲介契約締結前に、譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということ(特に、仲介契約において、両当事者から手数料を受領することが定められている場合には、その旨)を、両当事者に伝えます。 

28. 仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益相反のおそれがあるものと想定される事項(※)について、各当事者に対し、明示的に説明を行います。
例:譲り渡し側・譲り受け側の双方と契約を締結することから、双方のコミュニケーションや円滑な手続遂行を期待しやすくなる反面、必ずしも譲渡額の最大化だけを重視しないこと

29. また、別途、両当事者間における利益相反のおそれがある事項(一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を含む。)を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示します。

30. 確定的なバリュエーションを実施せず、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。

31. 参考資料として自ら簡易に算定(簡易評価)した、概算額・暫定額としてのバリュエーションの結果を両当事者に示す場合には、以下の点を両当事者に対して明示します。

  • あくまで確定的なバリュエーションを実施したものではなく、参考資料として簡易に算定したものであるということ
  • 当該簡易評価の際に一方当事者の意向・意見等を考慮した場合、当該意向・意見等の内容
  • 必要に応じて士業等専門家等の意見を求めることができること

32. 交渉のサポートにおいては、一方当事者の利益のみを図ることなく、中立性・公平性をもって、両当事者の利益を図ります。

33. デューデリジェンスを自ら実施せず、デューデリジェンス報告書の内容に係る結論を決定しないこととし、依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝えます。

○ その他

26.上記の他、中小M&Aガイドラインの趣旨に則った対応をするよう努めます。

制定:2023年3月1日

改訂:2024年5月7日

ものづくり補助金に省力化(オーダーメイド)枠が新設!

ものづくり補助金が再編され、17次公募から省力化(オーダーメイド)枠が新設される見通しです

この記事では、ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠について詳しく解説し、省力化に関する他の補助金や、申請までに準備すべきことも紹介します。省力化のために設備投資を予定している経営者様は、ぜひ参考にしてください。

なお、この記事はものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇る中小企業経営支援事務所が解説します。省力化(オーダーメイド)枠の申請をお考えの経営者様は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。初回相談は無料です

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

なお、この記事の内容は2023年12月22日時点の情報に基づくものです。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業が取り組む新製品・新サービス開発や生産プロセスの改善のための設備投資を支援するものです。

2023年11月7日で応募が締め切られた16次締切では、以下の5つの申請枠がありました。

  • 通常枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • グローバル市場開拓枠

令和5年度補正予算により17次公募から新制度になると2023年12月に発表されました。枠や類型は以下のように再編されます。

  • 省力化(オーダーメイド)枠
  • 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型(DX・GX))
  • グローバル枠

この記事では、省力化(オーダーメイド)枠について詳しく解説します。

ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠は、令和5年度補正予算における見直しで新設された申請枠です。中小企業や小規模事業者が、人手不足の解消を目的として生産プロセスの省力化を図るため、個々に応じたオーダーメイド型の省力化投資を支援します

省力化(オーダーメイド)枠は、中小企業庁の資料に「補助上限額を大幅に引き上げて」と記載されているとおり、16次締切までの枠と比較してもかなり大型です

基本要件とは、ものづくり補助金の各申請枠に共通の要件で、以下のように設定されています。

  • 付加価値額が年平均成長率+3%以上増加
  • 給与支給総額が年平均成長率+1.5%以上増加
  • 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上
引用:生産性向上を目指す皆様へ令和5年度補正予算「ものづくり・商業・サービス補助金」で雇用の多くを占める中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、新製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援します!

以上の条件を満たす3~5年の事業計画書を策定し、実行する必要があります。

また、毎年「事業化状況報告」の提出が求められるとともに、基本要件が未達の場合は補助金の返還義務があるため、注意が必要です

省力化(オーダーメイド)枠の補助の対象となる経費は、以下のとおりです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

ものづくり補助金は設備投資を支援するものであるため、機械装置・システム構築費は必須となっています。

ものづくり補助金省力化(オーダーメイド)枠の補助上限額と補助率は、以下のとおりです。

補助上限額補助率
省力化(オーダーメイド)枠従業員数5人以下:750万円(1,000万円)
6~20人:1,500万円(2,000万円)
21~50人:3,000万円(4,000万円)
51~99人:5,000万円(6,500万円)
100人以上:8,000万円(1億円)

()内の数字は、大幅賃上げを伴う場合
1/2(※補助金額1,500万円までは1/2、1,500万円を超える部分は1/3)
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者の場合:2/3

参考として、16次締切分の通常枠の補助上限額と補助率は、以下のとおりであるため、省力化(オーダーメイド)枠の補助上限額が大幅に引き上げられていることが分かります。

補助上限額補助率
通常枠(16次締切)従業員数5人以下:100~750万円6~20人:100~1,000万円21人以上:100~1,250万円1/2
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者の場合:2/3

また、省力化(オーダーメイド)枠においては、大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例が拡充されており、従業員数が100人以上の場合は8,000万円から1億円まで引き上げられます。

省力化(オーダーメイド)枠の対象事業は、中小企業庁の資料において以下のように記載されています。

人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金について(Ver.1.0)

ここでいう「デジタル技術」とは、AIやロボット、センサーなどのことです。また、専用設備(オーダーメイド設備)はロボット単体の導入ではなく、外部のシステムインテグレータ(Sier)との連携などにより、ロボットシステム等を構築したものを指します。

詳細は追って公表されますが、省力化(オーダーメイド)枠は基本要件に加えた追加要件があるとのことです。

省力化(オーダーメイド)枠の活用イメージとして、以下のようなケースが挙げられています。

熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(SIer)と共同で開発したAIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・24時間操業を実現。組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金について(Ver.1.0)

省力化とは、従来人が行っている業務にロボットやITツールを導入し、人の労力を省いて業務効率化を図ることを指します。省力化は、人が行う業務を減らせるため、その分を創造性の高い業務や人手の足りていない分野に回すことができ、付加価値の向上や人手不足解消につながります

また、ルーティンワークにロボットやITツールを導入して省力化すると、人にはつきもののうっかりミスを防ぐことができ、品質が向上する点もメリットです。

省力化に関する補助金は、ものづくり補助金の他にも準備されています。令和5年度中に事業再構築補助金が再編され、「省力化投資補助枠(カタログ型)」が新設される見通しです。

省力化投資補助枠(カタログ型)は、IoTやロボット等の人手不足解消に効果がある製品がカタログに掲載され、中小企業はそのカタログから設備を選択し、導入する形です。ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠とは、省力化のための設備をオーダーメイドするか、カタログに載っている既製品を選ぶかという点で異なります。

どのような製品がカタログに載るのかはまだ判明していませんが、以下のように労働時間を削減できるロボットや設備が対象になると考えられます。

  • 生産工程を自動化できるロボット
  • AIを搭載し人間の代わりに品質検査を行える設備
  • 自動清掃機ロボット
  • 自動配膳ロボット

省力化投資補助枠(カタログ型)の補助上限額と補助率は、以下のとおりです。

補助上限額補助率
省力化投資補助枠従業員5名以下:200万円(300万円)
6~20名:500万円(750万円)
21名以上:1,000万円(1,500万円)
※賃上げ要件を達成した場合、()内の値に補助上限額を引き上げ
1/2

省力化(オーダーメイド)枠と比べると、省力化投資補助枠(カタログ型)は補助額が小さいことが分かります。

省力化を行うために、大規模なオーダーメイド型の設備を導入したい場合は、ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠、カタログに載っている汎用製品で足りる場合は事業再構築補助金の省力化投資補助枠(カタログ型)を選ぶことになると考えられます。

省力化投資補助枠(カタログ型)については、「省人化・省力化補助金とは?「中小企業省力化投資補助事業」の最新情報」で詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。

この記事の執筆時(2023年12月22日時点)では、ものづくり補助金の17次公募の詳細は発表されていません。公募要領が発表になったら、補助対象者や申請要件、対象経費、スケジュールなどを確認しましょう。

ものづくり補助金の申請は、電子申請システムで行われます。電子申請システムで必要になるGビズIDは、申請から取得まで2週間程度かかるため、ものづくり補助金の申請を予定している方は早めの準備がおすすめです。

また、昨今のものづくり補助金の申請においては、認定支援機関(コンサルタント)の確認書は不要であるため、自力での申請をお考えの経営者様もいることでしょう。

しかし、ものづくり補助金総合サイトでは、コンサルタントの支援なしの場合、採択率は36.6%であるのに対し、支援あり(報酬~10%)の場合は、採択率が58.5%まで上がっているとのデータが示されています。

(参照:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

コンサルタントに支援を依頼することで、ものづくり補助金の採択に大きく近づくことができるといえます。コンサルタントを選ぶ際は、ものづくり補助金の採択実績や、書類手続きをどこまでサポートしてくれるかなどを確認するようにしてください。

ものづくり補助金は再編され、省力化(オーダーメイド)枠が新設される見通しです。省力化が可能になる設備を導入し、人手不足を解消したい、付加価値の高い業務に人手を回したいとお考えの経営者様は狙い目の補助金です。

詳細はものづくり補助金の17次公募の公募要領で発表されるため、動向を注視しておきましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は2021~2023年において、ものづくり補助金の採択実績100%を誇る経営コンサルタントです。マーケティング戦略や財務戦略、市場分析などの経営コンサルタントならではの視点から、精度の高い事業計画を策定いたします

当社は、事業計画書の作成から電子申請支援、採択後のフォローまで、トータルで承ります。初回相談は無料ですので、ものづくり補助金の申請をお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

パートナーシップ構築宣言のメリット・デメリットをわかりやすく解説

パートナーシップ構築宣言という言葉を最近よく目にするけれど、具体的にどのようなメリットがあるのか分からず実践していないという企業も多いのではないでしょうか。

パートナーシップ構築宣言は、企業が発注者の立場で、発注先の企業と良好な関係を築くことを目的とした取り組みです。パートナーシップ構築宣言を行うと、一部の補助金で加点措置が受けられる点も大きなメリットといえます。

この記事では、パートナーシップ構築宣言の概要や事例、メリット・デメリットを経営コンサルタントの中小企業経営支援事務所が解説します。

パートナーシップ構築宣言が加点措置の対象である「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」への申請をお考えの中小企業の経営者様は、ぜひお気軽に当社までご相談ください。初回相談は無料です。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

パートナーシップ構築宣言とは

パートナーシップ構築宣言とは、取引先との共存共栄関係を築くために、企業が「発注者」の立場で自社の取引方針を宣言する取り組みです。パートナーシップ構築宣言は、企業規模にかかわらず発注者側である企業を対象とします

これまで、大企業と中小企業の関係は、立場の弱い下請けと呼ばれる中小企業が不利益を被る場合が多いものでした。パートナーシップ構築宣言はこのような状況を打開し、下請け企業が不利益を被ることなく、発注元である取引先と良好な関係を築くことを目的とします。

発注元の企業がパートナーシップ構築宣言を行うことで、発注先の企業と宣言の内容に沿った取引を行います。

パートナーシップ構築宣言企業の事例

パートナーシップ構築宣言の登録企業数は、2023年12月6日時点で37,673社です。
(参照:「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト「登録企業リスト」)

その中でも、優秀な取り組みが中小企業庁の「パートナーシップ構築宣言取り組み事例集」で紹介されています。ここでは、事例集から2社の取り組みを抜粋して紹介します。

花王は、サプライヤー(仕入れ先、納入業者)に対して、CDPサプライチェーンプログラムやSedexという国際的な環境や安全衛生の評価枠組みの調査回答を促し、結果に独自の工夫を加えて分かりやすくフィードバックを行っています

この取り組みで、パートナーシップ構築対象2022経済産業大臣賞を受賞しました。

CDPサプライチェーンプログラムやSedexは国際的な評価枠組みではありますが、結果が理解しにくいものであるという問題点があります。そこで、花王は問題点の見える化や独自の評価ステップの設定などで、サプライヤーの中小企業が改善を行いやすいようにフィードバックしています。

結果として、サプライヤーの環境活動レベルやESGマネジメントレベルの向上が続いているとのことです。
(参照:中小企業庁「パートナーシップ構築宣言の 実施状況と今後の取組」)

日立システムズはパートナー企業と事業方針を共有し、パートナー企業の人財育成と事業強化を行い、デジタル分野事業の拡大に努める取り組みでパートナーシップ構築大賞2022中小企業庁長官賞を受賞しました。

パートナー企業からの情報提供で人財のスキルマップを作成し、自社のプロジェクト情報と組み合わせて事業と人財をマッチングする「人財マッチング」を推進しています。

この人材マッチングは、受注機会や従業員の学びの機会を求めるパートナー企業と、多くの幅広い案件への対応やパートナー企業の専門性・多様性を求める同社をマッチさせられる相互補完の取り組みです。
(参照:中小企業庁「パートナーシップ構築宣言の 実施状況と今後の取組」)

パートナーシップ構築宣言のメリット

パートナーシップ構築宣言を行うことで、サプライチェーン全体で適正な取引が促され、それぞれの企業の成長や業績向上が期待できます。その他にも、パートナーシップ構築宣言の主なメリットは以下の5つです。

パートナーシップ構築宣言を行った企業は、発注先の企業に対して、宣言に沿った(具体的には下請中小企業振興法に基づく「振興基準」に沿った)取引を行います

振興基準とは、下請けの中小企業の振興を図るため、下請事業者と親事業者の望ましい取引関係を定めたものです。振興基準は、具体的に以下のような内容を定めています。

  • 親事業者と下請事業者はイコールパートナーであり、適正な取引を進め、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すことが求められる
  • 下請事業者の経営を安定させるため、親事業者にはできる限り長期的な見通しのきく発注分野の提示が求められる
  • 下請事業者に無理なしわ寄せをしないため、親事業者には納期や納入頻度の適正化が求める など

(参照:経済産業省・中小企業庁「下請中小企業振興法 振興基準ガイドブック」)

パートナーシップ構築宣言は企業のトップが署名するため、会社全体で宣言を遵守しようという意識が働くと期待できるでしょう。結果として、下請け企業は安心して取引できるようになり、信頼関係を築くことができます

パートナーシップ構築宣言を行うと、公式ポータルサイトに企業名と宣言の内容が掲載され、取り組みを周知できます

「下請け企業に不利益のない取引を行う」という姿勢は、取引先や消費者によいイメージを与え、ホワイト企業であることのアピールにつながるでしょう。

パートナーシップ構築宣言を行った企業は、ロゴマークの使用が許可されます。

名刺やパンフレットなどにロゴマークを使用することで、取引先との共存共栄関係を目指すホワイト企業であるとPR可能です。

国が実施する補助金で、パートナーシップ構築宣言を行っていることが加点要素になる場合があります。代表的なものは、「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」です。

ものづくり補助金では加点項目の②政策加点に、②-2:「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」が加点の対象であると記載されています。
(参照:ものづくり・商業・サービス補助金事務局(全国中小企業団体中央会)「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(16次締切分)

また、事業再構築補助金は、成長枠とグリーン成長枠において、パートナーシップ構築宣言を行っている事業者が加点対象です。
(参照:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 公募要領(第11回)」)

その他にも、以下の補助金でパートナーシップ構築宣言を行っていることが加点措置とされたことがあります。

  • 伝統的工芸品産業支援補助金
  • アジア等ゼロエミッション化人材育成等事業
  • 技術協力活用型・新興国市場開拓事業(研修・専門家派遣・寄附講座開設事業)
  • 令和5年度需要家主導太陽光発電導入支援事業
  • 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 など

補助金の加点措置については、募集回により内容が変更される可能性があるため、最新の公募要領をご確認ください。

パートナーシップ構築宣言を行うと、SDGsの以下の6つの目標に取り組んでいるとみなされます。

  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標8:働きがいも経済成長も
  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 目標10:人や国の不平等をなくそう
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsに取り組むことは、古い企業体質を改善するきっかけになると同時に、企業のイメージアップにもつながります。

パートナーシップ構築宣言のデメリット

ここまでパートナーシップ構築宣言のメリットを紹介しましたが、宣言にデメリットはないのか気になる方もいることでしょう。

パートナーシップ構築宣言のデメリットは基本ありませんが、強いて言えば下請中小企業振興法の「振興基準」を守らなければならなくなるという点が挙げられます。

パートナーシップ構築宣言は自主的な取り組みであるため、公的機関による強制的な調査や違反時の罰則などはありません。しかし、主務大臣から振興基準に基づき指導や助言が行われた場合など、パートナーシップ構築宣言が履行されていないと認められる場合は、ポータルサイトでの宣言の掲載が取り止めになります。

パートナーシップ構築宣言を行う手順

パートナーシップ構築宣言を行うための手続きは、難しいものではないため、自社で完結できます。以下のステップで登録してみてください。

  1. ポータルサイトからひな形をダウンロードする
  2. 自社の取り組み内容にあわせて宣言文を加筆・修正する
  3. ポータルサイトにPDF形式に変換した宣言文をアップロードする
  4. 問題がなければ宣言が公開される

ポータルサイトでは、Word形式でパートナーシップ構築宣言のひな形が配布されています。まずひな形をダウンロードし、記載見本や記載要領を参考にしながら、自社の取り組みにあわせて宣言文を編集しましょう。どのように書けばよいか分からない場合は、ポータルサイトの登録企業リストに載っている他社の宣言を参考にしてもよいかもしれません。

完成した宣言文はPDF形式に変換し、自社の情報とともにポータルサイトの登録ページからアップロードします。事務局が内容を確認し、ポータルサイトに会社名と宣言文が公開されたら、パートナーシップ構築宣言のロゴマークが使えるようになります。

パートナーシップ構築宣言は、企業規模にかかわらず、企業が発注者の立場で自社の取引方針を宣言する取り組みです。下請け企業が不利益を被ることをなくし、取引先との共存共栄関係を築くことを目的としています。

パートナーシップ構築宣言を行うと、企業名がポータルサイトに公開されたり、ロゴマークが使用できたりすることで、取引先との対等な関係を重んじるホワイト企業であるとアピールできます。

また、パートナーシップ構築宣言を行っていることは、ものづくり補助金や事業再構築補助金などの補助金の加点措置の対象です。採択に有利に働き、手続きも難しくないため、ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請をお考えの企業様は、パートナーシップ構築宣言を行っておくことをおすすめします

当社・中小企業経営支援事務所はものづくり補助金や事業再構築補助金の申請サポートを行う経営コンサルタントです。精度の高い事業計画で、ものづくり補助金で100%(*1)、事業再構築補助金で97%(*2)の採択率を誇ります

パートナーシップ構築宣言を行い、ものづくり補助金や事業再構築補助金の加点につなげようとお考えの中小企業の経営者様は、補助金の採択を勝ち取るためにぜひ当社にご相談ください。初回相談は無料で承ります。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2020年度~2023年度において
*2:2021年~2023年において

経営力向上計画のメリットを解説!目玉は即時償却による節税効果

経営力向上計画を策定するとメリットがある」と耳にしたことがあるけれど、実際に作成や申請をしないままになっている中小企業も多いかもしれません。
経営力向上計画はA4用紙約5枚分のフォーマットに入力する形式で策定でき、認定を受ければ税制、金融、法律の3つの面でさまざまな支援策を受けられるため、ぜひ活用したい制度です。

この記事では、経営力向上計画のメリットや認定を受ける流れ、申請の注意点を詳しく解説します。経営力向上計画に興味はあるけれど、まだ策定していない中小企業の経営者様はぜひご一読ください。

なお、この記事は認定支援機関である経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。事業再構築補助金やものづくり補助金などの申請を視野に入れている中小企業の経営者様は、お気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

経営力向上計画とは

経営力向上計画とは、人材育成や生産性向上などについて、特定の書式に基づいて策定する事業計画書です。条件に該当する中小企業が策定し、所管の省庁から認定を受けることで、税制の優遇措置や金融支援、法的支援などの特典を受けられます

経営力向上計画の認定を受けられるのは、中小企業等経営強化法に定められた「特定事業者等」であり、その規模は以下のとおりです。

・会社または個人事業主
・医業、歯科医業を主たる事業とする法人(医療法人等)
・社会福祉法人
・特定非営利活動法人
従業員数2,000人以下

経営力向上計画の具体的な内容としては、自社の現在の課題や経営力を向上させるための具体的な実施事項、導入する設備などを、A4用紙5枚分の申請書式内で説明します。

経営力向上計画の制度は2016年に始まり、2023年10月31日現在で163,757件の事業者が認定を受けています。日本全体の中小企業数が約357万社であることから、経営力向上計画の認定を受けている中小企業は、約4.5%に留まっているのが現状です。
(参照:中小企業庁「経営力向上計画の認定について」、中小機構「日本を支える中小企業」)

まだ活用している中小企業が少ない経営力向上計画ですが、策定することで多くのメリットがあります。続いて、経営力向上計画のメリットを①税制措置、②金融支援、③法的支援の3つに分けて紹介します。

経営力向上計画のメリット①税制措置

税制面での経営力向上計画のメリットは、以下の3つです。

  • 中小企業経営強化税制
  • 事業承継等に係る登録免許税・不動産取得税の特例
  • 中小企業事業再編投資損失準備金

これらの税制措置は、経営力向上計画の認定を受けただけでは利用できません。利用するためには、それぞれ個別に手続きする必要があります。手続きの詳細は「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」の最新版をご確認ください。

中小企業経営強化税制とは、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、法人税において、新たに取得した設備を即時償却、または10%(*)の税額控除のどちらかを選択適用できる制度です。
*資本金が3,000万円超1億円以下の法人は7%

中小企業経営強化税制を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 青色申告を行っている中小企業者等であること
  • 指定事業のための設備投資であること
  • 経営力向上計画の認定を受けること
  • 計画に沿って設備を新規導入すること

中小企業経営強化税制で選択できる「即時償却」とは、一定の設備投資を行った際に、費用の全額を一度に経費として計上できる仕組みです。通常は、設備投資を行った場合、法令で定められた耐用年数に応じて、毎年少しずつ経費に計上する「減価償却」が原則です。

一方、即時償却は事業初年度に設備投資の費用全額を経費として計上できるため、以下のメリットがあります。

  • 単年度の税負担を抑えられ、手元資金を多く残せる
  • キャッシュフローがよくなり、余裕資金を設備投資に回せる

ただし、即時償却でなく税額控除を選んだ場合は、通常の減価償却に加え、初年度に税額控除を受けられ、トータルの納税額は即時償却を選ぶ場合より低く抑えられます

即時償却と税額控除のどちらを選んだほうがメリットが大きいかはそれぞれの状況で異なります。判断に悩むときは税理士に相談しましょう。また、設備投資について税制措置を受ける場合は、経営力向上計画の申請の際に追加書類が必要であるため、ご注意ください。

経営力向上計画の認定を受けると、事業承継を行う際、不動産の所有権移転の登記における登録免許税と不動産取得税が軽減されます。具体的には、以下の税率が適用されます。

【登録免許税】

通常税率計画認定時の税率
事業に必要な資産の譲受けによる移転の登記2.0%1.6%
合併による移転の登記0.4%0.2%
分割による移転の登記2.0%0.4%

【不動産取得税】

取得する不動産の種類税額計画認定時の特例
土地・住宅不動産の価格×3%不動産の価格の1/6相当額を課税標準から控除
住宅以外の家屋不動産の価格×4%不動産の価格の1/6相当額を課税標準から控除

中小企業事業再編投資損失準備金とは、経営力向上計画の認定を受けた事業者が事業承継に伴い株式等を取得し、一定割合の金額を準備金として積み立てた場合、その金額を損金算入できる制度です。損金算入を行うと、月次の会計処理では経費として認められない費用を決算時に経費として扱うことができます

この制度を活用するためには、経営力向上計画に「事業承継等事前調査に関する事項」を記載する必要があります。中小企業庁:申請書様式類のページにある「事業承継等事前調査チェックシート」の作成・提出を忘れないようにしましょう。

経営力向上計画のメリット②金融支援

経営力向上計画の認定を受けると、さまざまな金融支援を活用できます。

こちらも経営力向上計画の認定だけで利用できるものではなく、個別の申請が必要であるため、「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」の最新版をご確認ください。

経営力向上計画の認定を受けた事業者は、日本政策金融公庫から設備投資に必要な資金について融資を受けられます。条件すべてに当てはまる場合は、基準利率より低い特別利率が適用されます。

詳細は、中小企業経営力強化資金|日本政策金融公庫にてご確認ください。

経営力向上計画の認定を受けた特定事業者は、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保証とは別枠で追加保証や保証枠の拡大を受けられます

この特例は、新商品や新サービスなど、自社にとっての新しい取り組み(新事業活動)や、M&A等による事業承継(デューデリジェンスを含む)を行う場合に限られます。

中小企業投資育成株式会社法の特例とは、経営力向上計画の認定を受けると、資本金3億円を超える株式会社でも、中小企業投資育成株式会社から融資を受けられる制度です。

中小企業投資育成株式会社の通常の投資対象は、資本金3億円以下の株式会社ですが、特例で投資対象が拡大される形です。

経営力向上計画の認定を受けた特定事業者は、海外支店や海外子会社が海外の金融機関から融資を受ける際に、日本政策金融公庫から信用状を発行され支援が受けられます

経営力向上計画の認定を受けた特定事業者の海外子会社は、日本政策金融公庫から直接融資を受けられます。融資を受けられるのは、経営力向上計画等の実施に必要な設備資金および運転資金です。

従業員数2,000人以下の特定事業者等(特定事業者を除く)が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円の債務の保証を受けられます。保証割合は50%で、最大50億円の借入に対応しています。

特定事業者の定義は、以下のとおりです。

製造業その他卸売業小売業・サービス業政令指定業種
(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業)
従業員数500人以下400人以下300人以下500人以下

食品製造業者は、経営力向上計画の実行にあたって民間金融機関から融資を受ける際に、食品等流通合理化促進機構による債務の保証を受けられます。信用保証を使えない場合や、巨額の資金調達が必要となる場合を想定した支援策です。

経営力向上計画の認定を受けると、以下のような法的な支援も活用できます。

許認可承継の特例とは、事業承継等の際に経営力向上計画の認定も引き継げるという特例です。経営力向上計画の内容に事業承継等を行うと記載する必要があります。

経営力向上計画の認定を受けると、組合を組成するとき、通常は4人必要な発起人の人数が3人でも認められます。この特例を受けるためには、経営力向上計画の策定段階で、組合の組成を記載しておきましょう。

事業譲渡の際の免責的債務引受けの特例とは、事業譲渡に伴い債務の移転が必要な場合に、債権者へ催告をしてから1か月待っても返事がなければ、債務移転の同意があったとみなすものです。より簡略な手続きにより、債務を移転できます。

経営力向上計画の認定を受ける流れ

経営力向上計画の認定を受けるには、以下のステップを踏んで計画を策定、提出しましょう。

  1. 日本標準産業分類で、該当する事業分野を確認する
  2. 対応する事業分野別指針を確認する
  3. 事業分野別指針(該当しない場合は基本方針)を踏まえて経営力向上計画を策定する
  4. 事業分野に応じた担当省庁の大臣に提出する
  5. 認定が下りる
  6. 認定書が郵送される、またはダウンロードできる

日本標準産業分類は日本標準産業分類(平成25年[2013年]10月改定)、事業分野別指針と基本方針は中小企業庁:事業分野別指針及び基本方針から確認できます。

経営力向上計画の提出先は、農業であれば農政局、製造業であれば経済産業局と分野ごとに分かれています。事業分野ごとの提出先は、中小企業庁:経営サポート「経営強化法による支援」に掲載されているエクセルファイル(事業分野と提出先)でご確認ください。

経営力向上計画の認定を受ける際の注意点

経営力向上計画の認定を受けるときに注意すべきポイントは、主に以下の2点です。

  • 認定まで時間がかかる
  • 各種支援を受けるために事前準備が必要な場合がある

経営力向上計画の申請から認定までは、通常で30日ほどかかりますが、電子申請の場合は14日ほどに短縮できます(経済産業部局に提出する場合)。

経営力向上計画自体に「いつまでに申請する」という締切はありませんが、税制措置を利用する場合は事業年度末までに認定を受けなければなりません。書類不備などのトラブルが起こる可能性を考えると、1か月よりも時間に余裕を持った提出がおすすめです。

経営力向上計画申請プラットフォーム」を利用し電子申請すれば、認定までの期間が短くなることに加え、記入項目のエラーチェックや自動計算などのサポート機能が使えます

また、各種支援を受けるためには、追加の書類が必要になる場合があります。たとえば、中小企業経営強化税制を受ける場合、A類型では「工業会等による証明書」、B~D類型では「投資計画の確認申請書」や「経済産業局の確認書」が必要です。

経営力向上計画とは、特定の書式に基づいて事業計画を策定し、担当省庁の認定を受けることで、税制措置や金融支援などを受けられる制度です。A4用紙5枚分のフォーマットに入力する形式で、電子申請も可能なので、比較的手軽に策定できます。

中でも、設備投資の費用を即時償却でき、節税効果の高い「中小企業経営強化税制」は見逃せません。経営力向上計画を策定し、さまざまな支援策を経営に活用しましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は中小企業診断士が代表を務める経営コンサルタントです。認定支援機関であり、中小企業に対して専門性の高いサポートを行っています。

経営力向上計画の策定方法について、各種支援策の活用方法などについて、ご不明の点があれば、お気軽にご相談ください。ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請サポートも承ります。初回相談は無料です。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

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