事業再構築補助金の事業化状況報告とは?収益納付についても解説!

事業再構築補助金では、補助金の入金後5年にわたって「事業化状況報告」を行うことが義務づけられています。事業化状況報告の内容によっては、事業で一定の利益が出た場合に補助金を返還する「収益納付」が必要になる場合があるため、しっかり力を入れて行うべき手続きです。

この記事では、事業再構築補助金の採択実績97%*の経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が、事業化状況報告についてわかりやすく解説します。事業化状況報告にともない、補助金返還を求められるパターンについても紹介するため、ミスのない事業化状況報告を行いたい経営者様は、ぜひ参考にしてください。

当社では、ご相談に応じて事業化状況報告のサポートも承ります。初回相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*2021~2023年において

事業化状況報告とは、事業再構築補助金の入金後に、補助事業について申請者が事務局に行う状況報告のことです。事業再構築補助金では、すべての補助事業者が事業化状況報告を行う義務があると、交付規定で定められています。

(事業化状況及び知的財産権取得状況の報告)
第25条 補助事業者は、補助事業の完了の日の属する年度(以下「補助事業終了年度」という。)の終了後を初回として、以降5年間(合計6回)、次の各号に掲げる事項に関し、様式第13による事業化状況・知的財産権報告書を中小機構に速やかに提出しなければならない。

(1)直近1年間の補助事業に係る事業化並びに付加価値額状況
(2)補助事業に係る発明、考案等に関する特許権、実用新案権、意匠権又は商標権等(以下「知的財産権」という。)を出願若しくは取得した場合又はそれを譲渡し、若しくは実施権を設定した場合には、当該知的財産権の取得状況

引用:中小企業等事業再構築促進補助金 交付規程

事業化状況報告は、補助金を受け取ってから5年間にわたり、合計6回行います。ここで、事業再構築補助金の全体の流れを確認しておきましょう。

事業再構築補助金の申請から入金、事業化状況報告までの流れは、以下のとおりです。

  1. 補助金の申請
  2. 採択発表
  3. 交付申請
  4. 補助事業の実施
  5. 実績報告
  6. 精算払請求
  7. 入金
  8. 事業化状況報告

一つずつポイントを解説します。

1.補助金の申請

はじめに、公募要領をよく読み込み、事業再構築に取り組む内容の事業計画書を作成し、必要書類をそろえて電子申請システムから申請します。

2.採択発表

公募期間終了後に、補助金交付候補者が採択されます。申請した事業者は、採択・不採択にかかわらず、すべての申請者に事務局から通知が届くため確認しましょう。

あわせて、事業再構築補助金公式サイトの「採択結果」ページで、事業者名や事業計画名、計画の概要が公表されます。

3.交付申請

交付申請は、補助金交付候補者が補助金を受けるために必要な手続きです。所定の様式で交付申請を行い、不備がなければ事務局から「交付決定通知」が送られます。

交付申請を行うことで、改めて補助金の使途や金額が決定され、補助事業に取り組むことができるようになります。交付決定通知より前に支出した経費は補助対象外となるため注意が必要です。

4.補助事業の実施

事業再構築補助金は、交付決定通知がなされてすぐに補助金が入金されるものではありません。

まず指示された期限までに、補助事業を完了させる必要があるため、補助事業にかかる資金は、自己資金や金融機関からの借り入れなどで調達することになります

5.実績報告

実績報告とは、補助事業が完了した日から起算して30日を経過した日、もしくは補助事業実施期間の終了日のいずれか早い日までに、実績報告書や証拠書類を提出することです。

補助事業の完了とは、指示された期限までに、契約・申し込み・納品・検収・支払いを済ませることです。実績報告を行うと、事務局のほうで確定検査が行われ、補助金額が確定します。

6.精算払請求

実績報告と確定検査の内容に問題がなければ、事務局から「補助金確定通知書」が交付されます。

通知された補助金額に基づき、事業者は「精算払請求書」を作成し、事務局へ提出します。

7.入金

請求書類に不備がないことが確認できれば、8営業日程度で補助事業者名義の指定口座に補助金が振り込まれます。

補助金の採択から入金までは、一般的に、1~2年程度の期間が必要です

8.事業化状況報告

補助事業者は、補助金の入金後、5年にわたって計6回の事業化状況報告を行う義務があります。報告は、電子申請システム(事業化状況報告システム)に、事業化状況や知的財産権の情報を入力して行います

事業化状況報告を行わない場合、補助金の返還を求められるため、所定の期限までに必ず報告するようにしてください

事業化状況報告の期限は、以下のように定められています。

初回原則として、補助事業終了年度の決算日の3か月後
2回目以降毎年、決算日の3か月後

たとえば、補助事業の完了が2023年8月で、決算日が2024年3月31日の場合は、以下のようになります。

初回報告開始:2024年4月1日報告期限:2024年6月30日
2回目以降報告開始:2025年4月1日報告期限:2025年6月30日 以降2029年まで毎年報告

事業者の決算年度の翌日が報告開始日です。報告開始日以降に、GビズIDに登録済みのメールアドレスに事務局から事業化状況報告の案内メールが届くため、忘れずにチェックしましょう。

事業化状況報告では、作成・添付する書類が、以下の3点あります。

  • 事業化状況・知的財産権報告書(様式第13)
  • 事業化状況等の実態把握調査票(様式第13の別紙)
  • 必要書類

上記の報告書や調査票はワードやエクセルファイルを送信するのではなく、「事業化状況報告システム」に、GビズIDでログインして入力する形式です。ここでは、「事業化状況報告システム(事業化状況・知的財産権報告)操作マニュアル」に基づき、詳しく紹介します。

「事業化状況・知的財産権報告書」では、事業化状況の有無や事業化の段階、出願・取得した知的財産権などについて、システムで登録します

ここでいう事業化とは、「その事業で開発した製品の販売、またはサービスの提供に関する宣伝などを行った段階」を指し、以下の5段階に区分されています。

第1段階製品の販売、又はサービスの提供に関する宣伝等を行っている
第2段階注文(契約)が取れている
第3段階製品が1つ以上販売されている、又はサービスが1回以上提供されている
第4段階継続的に販売・提供実績はあるが利益は上がっていない
第5段階継続的に販売・提供実績があり利益が上がっている
引用:事業化状況報告システム(事業化状況・知的財産権報告)操作マニュアル

知的財産権については、補助事業で開発した技術や他社から取得した知的財産権などを活用して、事業者自ら出願(取得)した知的財産権がある場合に、取得状況や出願番号などの入力が必要です。

「事業化状況等の実態把握調査票」では、以下の項目について登録していきます。

  • 現在の取組状況
  • 製品等情報

現在の取組状況は、添付する損益計算書をもとに、資本金や従業員数、総売上高などを入力します

また、製品等情報については、「事業化状況・知的財産権報告書」で事業化有りと回答した場合や、知的財産権等の譲渡又は実施権の設定を有とした場合に、以下の項目を入力してください。

  • 製品、商品、サービスの名称
  • 販売金額(売上額)
  • 販売数量(売上数量)
  • 原価

入力項目が多く、計算が複雑で時間のかかるものも多いため、あらかじめ事業再構築補助金公式サイトの「事業化状況報告」ページで配布されているエクセルファイルを参照し、準備しておくとよいでしょう

事業化状況報告では、以下の書類をシステム上に登録して添付する必要があります。

  1. 損益計算書
  2. 賃借対照表
  3. 労働者名簿
  4. 賃金台帳(成長枠、グリーン成長枠、最低賃金枠、大規模賃金引上促進枠のみ)
  5. 製造原価報告書
  6. 販売費及び一般管理費明細表(内訳)

個人事業主の場合は、1~6の代わりに青色申告決算書または収支内訳書(白色)を提出してください。

なお、報告内容に不備がある場合は、事務局からのコメントとともに差し戻しが行われるため、システム上でコメントを確認し、修正して再度提出しましょう。

事業再構築補助金は、入金後であっても以下に当てはまる場合は、補助金の一部または全部を返還しなければなりません。

  1. 事業化状況報告を行わない
  2. 補助率引き上げ要件を満たしていない
  3. 収益納付の対象になった

一つずつポイントを解説します。

事業化状況報告は、補助金の交付を受けた事業者の義務です

補助金の交付を受けた事業者は、補助事業の成果の事業化状況等について報告する義務があります。事業化状況等の報告が行われない場合には、交付規程第22条に基づき、補助金の返還及び加算金の納付が必要となります

引用:事業化状況報告システム(事業化状況・知的財産権報告)操作マニュアル

マニュアルにも上記のように記載されており、加算金の納付まで必要とされています。

「うっかり忘れていた」などという事態にならないように、事務局からの案内メールは必ずチェックするようにしましょう。

事業再構築補助金の申請時に、補助率や補助金が通常枠より引き上げられている枠で採択された事業者は、補助率引き上げ要件を満たしていない場合、通常枠との差額分を返還する必要があります

たとえば、大規模賃金引上枠で採択された事業者は、「賃金引上要件」や「従業員増員要件」を満たさなければなりません。

枠によって求められる要件が異なるため、どの枠で採択されたかをしっかり覚えておき、求められる要件をクリアしていきましょう。

収益納付とは、補助事業で一定の利益が出た場合に交付された補助金の一部または全部を返納する制度です

事業再構築補助金は、公募要領にも記載してあるとおり、一定の利益が出た場合は収益納付する必要があります。

(5)事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化又は知的財産権の譲渡又は実施権設定及びその他当該事業の実施結果の他への供与により収益が得られたと認められる場合には、受領した補助金の額を上限として収益納付しなければなりません(事業化状況等報告の該当年度の決算が赤字の場合は免除されます)。

引用:事業再構築補助金 公募要領(第11回)

事業化状況報告は、収益納付が必要かどうかを判断するものでもあります。

収益納付の対象になるのは、補助金を使って実施した事業で、直接利益が生じた場合のみです。たとえば、「補助金で購入した機械で生産した商品の販売利益」は収益納付の対象となります。

一方、「補助金で依頼したコンサルからアドバイスを受け、事業に活かしたのちに出た利益」は、補助金が利益に直接関係しているとは言い切れず、収益納付の対象にはなりません。

収益納付が求められるのは、事業化状況報告が義務づけられた5年間であるため、5年が経過したら収益納付の必要はなくなります。

事業再構築補助金の事業化状況報告は煩雑な手続きであり、ある程度の時間と手間がかかります。

補助金の担当者がいる企業では、社内で行う場合も多いです。しかし、経営陣が補助金業務を担っている場合は、貴重なリソースを割くことになったり、「これであっているのかな」と不安を抱えたまま申請したりすることになるでしょう

事業化状況報告は5年間にわたって計6回行う必要があり、補助金の返還にもかかわる重要な手続きです。そのため、正しい理解がないまま事業化状況報告を行うと、本来は返還する必要のなかった収益納付が発生してしまうおそれもあります

事業再構築補助金の事業化状況報告は、補助金の入金後、5年間にわたって計6回行う事務局への状況報告のことです。事業化状況報告の期限は、初回については、原則として補助事業終了年度の決算日の3か月後に、2回目以降は毎年の決算日の3か月後です。

事業化状況報告は、「事業化状況報告システム」で情報を入力したり、書類を添付したりして行います。

事業化状況報告は、煩雑な手続きであり、規定やマニュアルを読み込むだけでもかなりの時間と手間がかかります。当社・中小企業経営支援事務所では、事業再構築補助金の申請サポートとともに、ご相談に応じて事業化状況報告の手続きについてもサポートいたします

「事業再構築補助金が入金されたけれど、事業化状況報告の方法がわからない
「難しい手続きで、毎年手間がかかりそうで困っている
このような方は、ぜひ当社までご相談ください。

初回相談は無料です。お気軽にお困りごとをお聞かせください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

【令和6年度】中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)について徹底解説

中小企業省力化投資補助事業は、人手不足に悩む中小企業が、IoTやロボットなど省力化に役立つ製品をカタログから選んで導入すると、その費用が最大1,500万円、補助率1/2で補助される制度です。

「慢性的な人手不足に悩んでいる」「もっと業務の効率化を図りたい」とお考えの方におすすめの補助金です。

この記事では、中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)の概要や、IoTやロボットなどの省力化製品の業種別活用例を解説します。IoTやロボットなどを導入し、省力化して人手不足を解消したいとお考えの中小企業の経営者様は、ぜひ参考にしてください。

なお、この記事は各種補助金の申請をサポートしている経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。中小企業省力化投資補助事業についても、最新情報をチェックしてサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

この記事は、2024年1月19日時点の情報を元に作成しています。申請の際は必ず最新情報をご確認ください。

中小企業省力化投資補助事業は、人手不足に悩む中小企業に対して、IoTやロボットなど、人手不足解消に効果のある設備投資を支援する補助金です。省力化を支援することで、中小企業の付加価値額や生産性の向上を図り、賃上げにつなげることを目的とします。

「カタログ型」という名称のとおり、IoTやロボット、AIなどの人手不足解消に資する汎用製品がカタログに記載され、中小企業がその中から選択して導入できる形式です。カタログからの選択式にすることで、申請する中小企業は製品の比較検討が容易になり、即効性のある省力化投資が可能になります。

(引用:総合経済対策 政策ファイル 2023年11月 内閣府特命担当大臣 (経済財政政策)

省力化に即効性のある汎用製品の例としては、宿泊・飲食サービスにおける自動掃除機ロボットや自動配膳ロボットが挙げられています。

中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)の補助上限額と補助率は、以下のとおりです。

補助上限額補助率
従業員数5名以下200万円(300万円)1/2
従業員数6~20名500万円(750万円)
従業員数21名以上1,000万円(1,500万円)

賃上げ要件を達成した場合、()内の額に上限が引き上げられます。

IoTやロボット、AIなどの技術を活用した製品は、実際はどのようにして省力化に役立っているのでしょうか。業種別に活用例を紹介します。

製造業は、産業用ロボットが製造ラインで組み立て作業を担当するなど、以前よりロボットが活躍している分野です。このようなロボットにAIを搭載し、ネットワークに接続することで質の高い製造管理が行えます。

AIロボットは、作業環境や材料の状態を認識し、自ら判断して動作を調整できるため、作業効率が上がり、不良率が減少するなどの効果が期待できます

飲食業では、AIを搭載した配膳ロボットの導入が進んでおり、実際に見たことのある方も多いのではないでしょうか。

天井に貼られたマーカーで自機の位置を認識し、最適なルートで移動するロボットや、マーカーが不要で一定時間店内を走行すればルートを記憶できるロボットなど、さまざまな種類のロボットがあります。

さらに、自動受付ロボットや自動清掃ロボットは、宿泊業など多くのサービス業で活用可能です。受付や配膳、清掃をロボットで自動化することで、その業務に割く人手を減らすことができ、省力化につながります。

介護業界では、高齢者の生活を見守るロボットや、スタッフの動作をアシストするロボットが導入されつつある状況です。

ロボットにカメラが内蔵され、AIを搭載したセンサーと連動して高齢者の動きを観察し、異常が発生したらすぐに検知しスタッフに知らせるため、介護職員の見守り業務の負担を軽減できます。また、介護ロボットの中には、移動の介助時にスタッフが装着し、パワーアシスト機能で介助時の肉体的な負担を少なくするタイプのものもあります。

物流業界で注目されているのは、ロボットが自動で商品を取りに行く自動搬送ロボットです。

搬送ロボットにAIを搭載することで、倉庫内の混雑状況を把握し効率のよいルートを選んでのピッキングが可能になります。また、ロボットの活用は倉庫内スタッフの業務効率化を図るだけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながるでしょう。

建設業で導入されつつある省力化製品は、資材の運搬ロボット遠隔操作ができる重機高所で作業ができるドローンなどです。

特に点検や測量用のドローンを活用することで、高所など危険が多い場所での作業時間を削減でき、現場の安全性向上が期待できます。また、実際の施工にもAIの導入が進められており、複雑な操作が必要なブルドーザーやダンプカーの運転をAIで自動化するなど、AIロボットの活躍の幅が広がりつつあります。

農業で導入される例が多いのは、自動走行トラクター無人運転コンバイン農薬や水を散布するドローンなどです。

農業は特に高齢化が進んでいる業種であり、IoTやロボット、AIを活用したスマート農業による人手不足解消は喫緊の課題です。自動走行トラクターを導入することで畑を耕す人手を減らすことができるとともに、広い畑の作業が少人数で可能になります。

また、AI搭載ドローンは搭載されているカメラで撮影した画像を分析し、農作物の生育状況を確認し、農薬の散布が必要な場所をピンポイントで特定できます。AIで農作物と雑草を判断して雑草のみに除草剤を撒くなどの活用も可能です。

中小企業省力化投資補助事業の詳細は、2024年1月19日時点では発表されていません。しかし、令和5年度補正予算に盛り込まれているため、令和6年度の比較的早い時期に公募開始されるとみられます

カタログ型という形式上、補助事業への申請に先立ち、省力化に資する汎用製品のカタログ登録や認定に関する発表が2024年1月~3月に行われると予想されています。カタログ掲載製品が決定してから、2024年4月以降に公募が開始される見込みです。

この記事の執筆時点(2024年1月19日)では、中小企業省力化投資補助事業の詳細は公表されていませんが、今からでも申請に向けて準備できることがあります。公募が開始されてから慌てることのないよう、早めに準備を進めておきましょう。

ここでは、補助事業の申請者側と、省力化製品のメーカー・販売者側の2つの立場から準備できることを紹介します。

中小企業省力化投資補助事業を利用したいと考えている事業者は、どのような製品を導入すれば自社の省力化が図れるのか検討しましょう

飲食業や宿泊業なら自動配膳ロボットや自動掃除ロボット、農業なら農薬散布ドローンというように、業種によって最適な省力化製品は異なります。自社のどの業務に人手がかかっているかを洗い出し、課題を解決できるような省力化製品をメーカーのサイトなどで情報収集しておくのがおすすめです

また、補助事業への申請にあたっては、ほかの中小企業向けの補助金と同じように電子申請がメインになると想定されます。補助金の電子申請で必要になる「GビズIDプライム」を取得しておきましょう。一つのGビズIDアカウントで、複数の行政サービスをインターネット上で行うことができます。

省力化製品の販売店側は、自社の製品がカタログに載れば大きな販売チャンスにつながるため、ぜひ登録を受けたいところです。

省力化製品のカタログ登録や認定に関する発表は、2024年1月~3月に行われると予想されますが、今から以下のような準備を進めておくとよいでしょう。

  • 分かりやすいパワーポイント資料を作成する
  • 営業方法を決定する
  • 販売先をリストアップする
  • 社内の担当者を決めておく

カタログ登録に関する発表を見逃さないように、中小企業省力化投資補助事業の動向に注目しておきましょう。

省力化と名のつく補助金には、ものづくり補助金「省力化(オーダーメイド)枠」もあります。ものづくり補助金は、2023年12月27日から17次公募が開始され、17次公募は省力化(オーダーメイド)枠のみの募集となっています。

省力化(オーダーメイド)枠は、人手不足の解消に向けて、デジタル技術を活用したオーダーメイド設備を導入し、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援するものです。

中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)と比較すると、人手不足を解消するという目的は同じです。しかし、ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠では、パッケージシステムを元にカスタマイズしたり、システムをゼロから開発したりなど、オーダーメイドのシステム開発が求められます。

中小企業省力化投資補助事業は、カタログに掲載された汎用製品からの選択式であることから、省力化に資する製品・設備の規模の点で異なると想定されます

なお、ものづくり補助金省力化(オーダーメイド)枠の補助金額と補助率は、以下のとおりです。

従業員数補助金額
5人以下100万円~750万円
6~20人100万円~1,500万円
21~50人100万円~3,000万円
51~99人100万円~5,000万円
100人以上100万円~8,000万円

以下の基本要件と、省力化(オーダーメイド)枠の追加要件をクリアする必要があります。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率 3%以上増加させること

(参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版

補助金額が大きいため、オーダーメイド型の省力化設備の導入をお考えの場合は、ものづくり補助金の活用をご検討ください。

ものづくり補助金17次公募については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
ものづくり補助金17次公募要領を徹底解説!16次までとの変更点を紹介

中小企業省力化投資補助事業は、人手不足に悩む中小企業に対して、IoTやロボット、AIなど省力化に役立つ設備投資を支援する補助金です。補助の対象は、カタログに掲載された汎用製品のみになり、申請者はカタログから選択する形式になると想定されています。

現時点(2024年1月19日)では制度の詳細は発表されていません。しかし、申請をお考えの方は、自社のどのような業務で人手が不足していて、どのような製品を導入すれば省力化になるのかを今から検討しておきましょう。

当社・中小企業経営支援事務所はものづくり補助金や事業再構築補助金をはじめとして、中小企業の補助金申請をサポートしております。中小企業経営のスペシャリストである中小企業診断士が代表を務めており、ものづくり補助金の採択実績は100%*を誇ります。

中小企業省力化投資補助事業についても、最新情報から的確なサポートを行いますので、申請をお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*2021~2023年において

省エネ設備等導入支援事業は令和5年度補正予算でどうなる?

省エネ設備等導入支援事業は、宿泊施設や観光施設に、空調やボイラー、節水トイレなどの省エネ設備を導入する際に活用できる観光庁の補助金です。令和5年度は、4月と6月に公募が行われました。令和6年度も制度の一部を変更し、引き続き実施される見込みです

この記事では、令和5年度の省エネ設備等導入支援事業の内容と、令和6年度の見通しを経営コンサルタントの中小企業経営支援事務所が解説します。令和6年度に、省エネ設備等導入支援事業への申請をお考えの宿泊事業者様は、ぜひ最後までご覧ください。

当社は各種補助金の申請サポートを行っております。初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

観光庁の「省エネ設備等導入支援事業」は、宿泊施設や観光施設が、省エネ型の空調やボイラー、節水トイレなどの省エネ設備の導入を支援する補助金です。

国内旅行に続いて、インバウンド旅行客も回復しつつある状況の中、インバウンドの本格化に備え、宿泊施設や観光施設のサステナビリティ向上への取り組みを促進することを目的としています。

省エネ設備等導入支援事業は、令和5年度は4月に公募があったほか、6月に追加公募があり、あわせて2回の申請のチャンスがありました。令和6年度については、いつごろ公募が始まるかなどの詳細はまだ明らかになっていません。(2024年1月15日現在)

令和6年度に省エネ設備等導入支援事業への申請をお考えの方の参考のために、令和5年度の省エネ設備等導入支援事業の概要を紹介します。

省エネ設備等導入支援事業の対象事業者は、以下の条件を満たす宿泊事業者と観光施設です。

宿泊事業者宿泊事業者(※)※旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項に規定する許可を受けた者とします。
ただし、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営む者を除きます。

以下のいずれかに該当する事業者が、本事業に申請可能です。
●「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインに基づく登録制度」の登録又は登録申請済の事業者
●有価証券報告書の提出会社又はその子会社及び関連会社であり、かつ観光施設における心のバリアフリー認定制度の認定を取得済み又は1年以内に取得予定である事業者
観光施設等観光施設等(※)の設置・管理者等
※旅行者が毎年一定数訪れている又は訪れると推定される以下のものとします。

・由緒があり建築的に優れている、文化財を所蔵・附帯している、又は境内(庭園を含む。)が優れている神社、寺院、又は教会
・古代から近世に至る軍事や行政府等としての目的で建造された城跡、城郭、又は宮殿
・動植物を飼育し展示している動植物園又は水族館
・歴史的資料、科学的資料、又は美術作品を展示している博物館又は美術館
・特徴的な概念(テーマ)を表現し、体験するために作られたテーマ施設
・「外国人観光案内所の設置・運営のあり方指針」(令和5年3月改訂)に基づき、当該年度における補助事業実施対象期間において、日本政府観光局により、認定されている又は認定の見込みがある案内所・国土交通省により登録されている「道の駅」、「みなとオアシス」等

上記以外で旅行者の利用が見込まれる施設等
引用:令和5年度(令和4年度第2次補正予算)観光庁 省エネ設備等導入支援事業

事業の対象となるのは、旅館業法の許可を受けており、「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインに基づく登録制度」に登録している、あるいは「観光施設における心のバリアフリー認定制度」の認定を取得済みの宿泊事業者です。ただし、特定の性風俗関連事業を行う者は除外されています。

観光施設では、旅行者が毎年一定数訪れている、または訪れると推定される施設が対象です。

省エネ設備等導入支援事業の補助上限額と補助率は、以下のとおりです。

補助上限額1,000万円
補助率1/2

省エネ設備等導入支援事業において補助対象となる経費は、省エネ対策に資する以下のような設備・備品です。

  • 省エネ型空調
  • 省エネ型ボイラー・配管等
  • 二重サッシ等
  • 太陽光発電、蓄電設備
  • 節水トイレ等
  • 照明機器
  • その他省エネ対策に必要な設備・備品
引用:令和5年度(令和4年度第2次補正予算)観光庁 省エネ設備等導入支援事業

なお、上記の設備・備品を購入する、あるいは設置する際にかかる経費も対象経費に含まれます。

省エネ設備等導入支援事業の補助対象外となる経費は、以下のとおりです。

  • 本事業に直接関係のない経費
  • 交付決定前に発生した経費
  • 事業者における経常的な経費(光熱水費、通信料、仲介手数料、保証金、リース料等)
  • 躯体の新設工事
  • 本事業における資金調達に必要となった利子
  • 法令又は条例等において義務化されている設備等の新規導入に係る工事費
  • 同一事業の経費において、国(独立行政法人含む)より別途補助金が支給されている場合
  • 恒久的な施設の設置、用地取得等、本事業の範囲に含まれ得ない経費
  • 振込手数料
引用:令和5年度(令和4年度第2次補正予算)観光庁 省エネ設備等導入支援事業

補助対象の設備や備品であっても、交付決定前に導入してしまうと補助対象外となるため、注意が必要です

省エネ設備等導入支援事業の令和5年度の申請スケジュールは、以下のとおりでした。

令和5年度初回公募マイページの新規登録:令和5年4月21日(金)9:30
申請手続き(マイページのログイン):令和5年4月24日(月)9:30
受付締切:令和5年5月24日(水)17:00
令和5年度追加公募マイページの新規登録:令和5年6月26日(月)9:30
申請手続き(マイページのログイン):令和5年7月3日(月)9:30
受付締切:令和5年8月2日(水)17:00

令和6年度も追加公募があるかはわからないため、初回の応募に間に合うよう準備を進めておきましょう

省エネ設備等導入支援事業は、基本的に特設Webサイト内のシステムで電子申請します

申請から補助金受け取りまでの流れは、以下のとおりです。

  1. 特設Webサイトにマイページを登録
  2. マイページ内で事業者情報を登録
  3. 申請ページからシステムに入力して申請
  4. 採択内示通知
  5. 交付申請書の提出
  6. 交付決定
  7. 事業の実施
  8. 完了実績報告・精算書類の提出
  9. 精算

必要書類は、以下の7点です。

事業計画書様式1
費用積算書様式2
整備箇所写真任意様式
図面任意様式
見積書(2者以上)任意様式
カタログ導入を予定している設備・備品等のカタログで、省エネ効果が明示されているもの
有価証券報告書等(※宿泊事業者のみ)任意様式

これらの書類は、WordやExcelで作成して添付する形式ではなく、システムに情報を直接入力したり、写真をPDFにまとめたものを添付したりして提出します

令和5年度は、特設サイトに入力内容をまとめた参考資料となるExcelファイルが掲載されました。令和6年度も同様のものがあれば、ぜひ活用しましょう。

令和6年度の省エネ設備等導入支援事業の全貌は明らかになっていませんが、令和5年度補正予算から読み取れる見通しを紹介します。

(画像引用:観光庁「令和5年度観光庁関係補正予算 令和5年11月」)

令和5年11月の補正予算で、「宿泊施設サステナビリティ強化支援事業」が発表されました。従来の省エネ設備等導入支援事業と名称は異なりますが、宿泊業界向けの省エネ設備導入を支援する補助金という役割は同様です

ただし、上記資料では観光施設等についての記載がないため、令和5年度補正予算からは宿泊施設に対象が限定されるようです。

ここまで省エネ設備等導入支援事業を紹介してきましたが、宿泊業が活用できる補助金は他にもあります。宿泊事業者が活用できる代表的な補助金は、以下の3つです。

  • 地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業
  • 地域における受入環境整備促進事業
  • 事業再構築補助金

一つずつ詳しく解説します。

観光地は近年、入込客数の減少や収益の低下、投資の停滞による施設の陳腐化など、観光地全体の活力低下という課題に直面しています。

そこで観光庁は、地域経済に資する宿泊施設を核とした観光地再生・高付加価値化に向けた取組を強力に後押しし、地域全体の魅力と収益力の向上を図り、持続可能な観光地域づくりを推進します。

本事業では、観光地経営のマスタープランとなる地域計画の構築・磨き上げを、多様な専門性を持つ伴走支援チームが支援する点が特徴です。宿泊施設・観光施設の改修、廃屋の撤去、面的DXなどで、地域の「稼ぐ力」を回復・強化するための取組を支援します。

「宿泊施設の高付加価値化改修」については、改修前後で宿泊施設の収益力が向上する改修が支援の対象で、補助率と補助上限額は以下のとおりです。

補助率1/2
補助上限額1億円
※令和5年度

令和5年度事業の公式サイトは、こちらです。
観光庁 令和5年度事業「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」

旅行需要の本格的な回復を図るためには、ストレスフリー・バリアフリーで快適な旅行を満喫できる環境が必要です

「地域における受入環境整備促進事業」では、全国の観光施設や宿泊施設、公共交通機関における受入環境整備の取組を支援します。宿泊施設については、ストレスフリー・バリアフリーな宿泊環境の整備が支援され、客室や浴室のバリアフリー化などが支援の対象となります。

令和5年(2023年)度は「宿泊施設インバウンド対応支援事業」の中の「宿泊施設バリアフリー化促進事業」として行われました。補助率と補助上限額は以下のとおりです。

補助率1/2
補助上限額500万円
(※自治体と防災協定を結んでいる宿泊事業者に限り、上限1,000万円)
※令和5年度

令和5年度事業の公式サイトは、こちらです。
宿泊施設インバウンド対応支援事業

事業再構築補助金は、中小企業の新分野展開や事業転換、業種転換、業態転換、事業再編などの思い切った事業再構築を支援する補助金です。

事業再構築補助金は、他の補助金ではなかなか補助対象とならない「建物費」が補助対象であるため、既存施設のリノベーションや客室の改修など、大規模な設備投資に活用できます

事業再構築補助金には、取り組み内容に応じて、以下の9つの申請枠があります。

  • 成長枠
  • グリーン成長枠(エントリー)
  • グリーン成長枠(スタンダード)
  • 卒業促進枠
  • 大規模賃金引上促進枠
  • 産業構造転換枠
  • サプライチェーン強靱化枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠

宿泊業は、インバウンド顧客をターゲットとする場合は補助額の大きい「成長枠」に申請できます。また、インバウンド顧客ではなく、国内旅行客をターゲットとする宿泊事業者で、コロナで受けたダメージを回復できていないような場合には、「物価高騰対策・回復再生応援枠」がおすすめです。

成長枠と物価高騰対策・回復再生応援枠の概要は、以下のとおりです。

成長枠物価高騰対策・回復再生応援枠
補助上限額従業員数20人以下:2,000万円
21~50人:4,000万円
51~100人:5,000万円
101人以上:7,000万円
従業員数5人以下:1,000万円
6~20人:1,500万円
21~50人:2,000万円
51人以上:3,000万円
補助率中小企業:1/2
(大規模な賃上げを行う場合 2/3)

中堅企業:1/3
(大規模な賃上げを行う場合 1/2)
中小企業:2/3
(従業員数5人以下の場合400万円、
従業員数6~20人の場合600万円、
従業員数21~50人の場合は800万円、
従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4)

中堅企業:1/2
(従業員数5人以下の場合400万円、
従業員数6~20人の場合600万円、
従業員数21~50人の場合は800万円、
従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3)

補助上限額が大きいのは成長枠のほうですが、物価高騰対策・回復再生応援枠は補助率の面で優遇されています

物価高騰対策・回復再生応援枠の対象となる事業者は、事業再構築補助金の必須要件に加え、以下の要件が設定されています。

2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019~2021年と比較しての同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること

引用:必須申請要件 | 応募される方 | 事業再構築補助金

インバウンド客をターゲットとしている宿泊事業者は成長枠、コロナや物価高騰により業況が厳しい宿泊事業者は物価高騰対策・回復再生応援枠への申請をぜひ検討してみてください。

省エネ設備等導入支援事業は、宿泊施設や観光施設が、省エネ型空調やボイラー、節水トイレなどの省エネ設備を導入する際に活用できる観光庁の補助金です。対象が宿泊施設のみになるなど一部内容を変更し、令和5年度補正予算に基づき令和6年度も同様の補助制度が実施される見込みです

また、宿泊業では、施設を高付加価値化させたり、バリアフリー化したりする際に使える補助金があります。中でも、事業再構築補助金は補助上限額が大きく、建物費が補助対象となるためリノベーションや改修に活用できます

当社・中小企業経営支援事務所は、事業再構築補助金の採択率97%*を誇る経営コンサルタントです。省エネ設備等導入支援事業や事業再構築補助金など、各種補助金の申請をサポートしております。

事業再構築補助金においては、観光業の採択実績も複数ございますので、宿泊事業者様はぜひ安心してお任せください。初回相談は無料です。以下のお問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*2021~2023年において

ものづくり補助金17次公募要領を徹底解説!16次までとの変更点を紹介

ものづくり補助金の17次公募要領が発表されました。17次公募は新設された省力化(オーダーメイド)枠のみの募集であり、補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者には、新たに「口頭審査」が追加されるなど、いくつか今までとの変更点があります

この記事では、17次公募の公募要領を徹底解説し、省力化枠の概要や今までとの変更点、17次公募のスケジュールを紹介します。ものづくり補助金の採択率を上げる方法も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、この記事はものづくり補助金の採択率100%(*1)を誇る経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。経営者様の熱い想いをしっかり受け止め、精度の高い事業計画の策定をサポートいたします

初回相談は無料ですので、17次公募の申請をお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

なお、この記事は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版」を参考にしています。申請の際は、最新の公募要領を必ずご確認ください。

ものづくり補助金の17次公募では、省力化(オーダーメイド)枠が新設され、さらに、募集が省力化枠のみとなっています。

省力化枠は、人手不足の解消に向けて、デジタル技術を活用したオーダーメイド設備を導入し、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援するものです。

ここでは、省力化枠の補助金額から審査項目・加点項目まで、詳しく解説します。

17次公募の省力化枠の補助金額と補助率は、以下のとおりです。

従業員数補助金額
5人以下100万円~750万円
6~20人100万円~1,500万円
21~50人100万円~3,000万円
51~99人100万円~5,000万円
100人以上100万円~8,000万円

参考に、16次公募の申請枠と補助金額は以下のとおりです。

申請枠補助金額
通常枠従業員数5人以下:100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円
回復型賃上げ・雇用拡大枠
デジタル枠
グリーン枠【エントリー類型】
従業員数5人以下:100万円~750万円
6人~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円
【スタンダード類型】
従業員数5人以下:750万円~1,000万円
6人~20人:1,000万円~1,500万円
21人以上:1,250万円~2,000万円
【アドバンス類型】
従業員数5人以下:1,000万円~2,000万円
6人~20人:1,500万円~3,000万円
21人以上:2,000万円~4,000万円
グローバル市場開拓枠100万円~3,000万円

比較すると、17次公募の省力化枠の補助金額がかなり拡大されていることが分かります。

また、17次公募の省力化枠の補助率は以下のとおりです。

補助金額が1,500万円まで1,500万円を超える部分
中小企業1/21/3
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/31/3

17次公募の省力化枠では、以下の経費が補助対象です

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

ものづくり補助金では、機械装置・システム構築費として、50万円(税抜)以上の設備投資が必須です。対象経費は、交付決定を受けた日以降に発注したもののみが対象となるため、交付決定を受ける前に設備投資を行わないように注意しましょう

省力化枠には基本要件に加えて、以下の4つの追加要件があります

(1)3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性*が2倍以上となる事業計画を策定すること

(2)3~5年の事業計画期間内に、投資回収**可能な事業計画を策定すること

(3)外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること

(4)本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版

*労働生産性とは、「付加価値額(付加価値額の算出が困難な場合は生産量)/(労働人数×労働時間)」と定義されています。また、完全自動化の場合は「(労働人数×労働時間)」を便宜的に「0.1」とします

**投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」です

なお、ものづくり補助金の基本要件は以下のとおりです。

事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること

事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること

事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率 3%以上増加させること

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版

省力化枠は補助上限額が高額な分、より詳細で実行力を求める要件が課されています

ものづくり補助金で審査員が重視するポイントは「審査項目」といい、公募要領に記載してあります。審査項目は、以下の4分野に分けられ細かく記載してあるため、公募要領を必ずチェックしましょう。

  1. 補助対象事業としての適格性
  2. 技術面
  3. 事業化面
  4. 政策面

16次までの審査項目と大きく異なるのは、省力化枠に以下のような個別の審査項目が設定されている点です。

【省力化(オーダーメイド)枠のみ】

■システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムを元に、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する開発方式となっており、オーダーメイドの取組になっているか。

■人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等となっているか。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版

省力化(オーダーメイド)枠という名前のとおり、パッケージシステムをカスタマイズしたり、システムをゼロから開発したりなど、オーダーメイドのシステム開発になっているかが見られるようです。

また、後半は、設備投資が「革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る」という省力化の目的に適っているかどうかを問うています。

17次公募では、今までの加点項目に加えて、以下の事業者も加点を受けられるようになりました。

  • J-クレジット制度を活用している事業者
  • GXリーグに参画している事業者
  • カーボンフットプリント(CFP)を算定している事業者

17次公募はスケジュールがタイトですが、公募要領をよく確認し、申請に向けて取得できる加点項目は積極的に取得しましょう

ものづくり補助金17次公募の今までとの変更点は、主に以下の3点です。

  • 申請枠の新設・再編
  • 大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例
  • 口頭審査の実施

一つずつ詳しく解説します。

17次公募から申請枠の新設や再編が行われ、申請枠が以下の3つになりました。(ただし、17次公募では、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠は募集が行われません

  • 省力化(オーダーメイド)枠
  • 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型(DX・GX))
  • グローバル枠

16次までの申請枠は見直され、製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠に整理統合されました

製品・サービス高付加価値化枠は、通常類型成長分野進出類型(DX・GX)の2つの類型が用意されています。成長分野進出類型(DX・GX)は今後成長が見込まれる分野として、通常類型より補助上限額と補助率が引き上げられます。

17次公募から、大幅な賃上げを行う事業者は、補助上限額が以下のように引き上げられます。

従業員数補助上限額の引き上げ額
5人以下上限から最大250万円
6~20人上限から最大500万円
21~50人上限から最大1,000万円
51~99人上限から最大1,500万円
100人以上上限から最大2,000万円

この特例を受けるためには、以下の追加要件を満たす必要があります。

(1)事業計画期間において、基本要件である給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させることに加え、更に年平均成長率4.5%以上(合計で年平均成長率6%以上)増加させること。

(2)事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+50円以上の水準とすることを満たしたうえで、さらに、事業場内最低賃金を毎年、年額+50円以上増額すること。

(3)応募時に、上記(1)(2)の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画(大幅な賃上げに取り組むための事業計画)を提出すること。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版

大きく補助上限額が引き上げられるため、賃上げを実行できる事業者にとっては見逃せない特例といえるでしょう。

17次公募から補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者に、オンラインでの口頭審査が追加されました

口頭審査の期間は2024年4月1日(月)~4月12日(金)で、事務局が指定した日時に行われます。口頭審査は申請事業者自身(法人代表者や取締役、担当者など)が対応し、認定支援機関などのコンサルタントは同席できません

口頭審査では、申請した事業計画書について、事業の適格性や革新性、優位性、実現可能性などの観点から質問されます。申請者自身が自信を持って回答できるよう、上記の内容について回答すべきことを準備しておきましょう。

令和5年度補正予算に基づくものづくり補助金の公募は、17次と18次の2回実施予定です。ただし、17次公募に応募した事業者は、18次公募には応募できないため注意しましょう

17次公募のスケジュールは、以下のとおりです。

公募開始2023年12月27日(水)17:00~
電子申請受付2024年2月13日(火)17:00~
申請締切2024年3月1日(金)17:00まで
補助金交付候補者決定2024年5月中旬頃予定
補助事業実施期限2024年12月10日まで

補助事業実施期限とは、発注や納入、検収、支払いなどのすべての事業に関する手続きを完了し、実績報告書を提出する期限です。5月中旬に採択発表があり、実績報告の期限が12月10日であることを考えると、かなり余裕のないスケジュールといえるでしょう。

また、17次公募を見送り18次公募に申請したとしても、補助事業実施期限は17次と同じく「2024年12月10日まで」となる見込みです。すなわち、遅い回の公募に申請すると、さらにスケジュールがタイトになるため注意が必要です

2020年2月までは、ものづくり補助金の申請において「認定支援機関の確認書」が必要でしたが、現在では認定支援機関の確認書は不要です。そのため、認定支援機関(コンサルタント)を頼らず自社で申請する中小企業も多く、12~15次締切回において申請した事業者の3割が、支援者なしで申請しています

(参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版

しかし、ものづくり補助金の採択を勝ち取るためには、事業計画書の作成における支援者の存在が非常に重要といえます。

(画像引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

ものづくり補助金公式ホームページのデータポータルでは、「支援者の関与」に関する上記のグラフが公表されています。コンサルタントの支援なしの場合、採択率は36.6%ですが、支援あり(報酬~10%)の場合は58.5%まで採択率が向上しています

また、以下は事業計画書の作成にかかった時間を示すグラフです。15次締切の採択率は50.2%ですが、これを超えるためには、申請者は事業計画書の作成に30時間より多くの時間をかけていることがわかります。

(画像引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

忙しい業務の中、30時間を超えた事業計画書の作成時間を確保するのは大変である上、審査員の厳しい審査に耐えられる精度の高い事業計画書を自社で作るのは難しいことでしょう。

そこで、中小企業をサポートする役割を担うのが認定支援機関(認定経営革新等支援機関)です。認定支援機関は、中小企業診断士や税理士、公認会計士、経営コンサルタントなどで、専門知識や実務経験が一定レベルを満たしていると国から認定された専門家のことです。

ものづくり補助金の採択を勝ち取るためには、自社に合う認定支援機関を選ぶことが重要です。認定支援機関を選ぶ際は、ものづくり補助金の支援実績、ならびに「事業計画書のひな形を使い回していないかどうか」を必ず事前に聞いておきましょう

17次公募要領には、「1-3-2補助対象外となる事業者」に以下の記述があることから、使い回されたひな形の事業計画書を申請してしまうと、採択されないおそれがあります

他の中小企業・小規模事業者等から提出された事業と同一若しくは極めて類似した内容の事業を申請する事業者

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版

また、ものづくり補助金において認定支援機関とは1年以上の長い付き合いになります。レスポンスの速さや話した印象など、コンサルタントとの相性も重要なポイントであるため、ビデオ通話や対面でミーティングを重ね、信頼できる専門家に依頼するようにしてください。

ものづくり補助金の17次公募では省力化(オーダーメイド)枠が新設され、募集は省力化枠のみとなっています。2024年3月1日に申請締切、5月中旬に採択発表、12月10日までに実績報告を行わなければならないことを考えると、スケジュールが厳しくなると予想されます

限られた時間で精度の高い事業計画書を作成し、採択を勝ち取るためには、認定支援機関の支援を受けることが近道です

当社・中小企業経営支援事務所はものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇る認定支援機関です。中小企業経営のスペシャリストである中小企業診断士が代表を務めており、経営者様の熱い想いをしっかりと理解し、二人三脚で事業計画を策定いたします

初回相談は無料ですので、ものづくり補助金の17次公募の申請をお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*1:2021~2023年において

株式会社中小企業経営支援事務所

〒162-0802

東京都新宿区改代町27-4-1 クレスト神楽坂2F

TEL 03-5946-8609

もくじ