ものづくり補助金17次公募要領を徹底解説!16次までとの変更点を紹介
ものづくり補助金の17次公募要領が発表されました。17次公募は新設された省力化(オーダーメイド)枠のみの募集であり、補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者には、新たに「口頭審査」が追加されるなど、いくつか今までとの変更点があります。
この記事では、17次公募の公募要領を徹底解説し、省力化枠の概要や今までとの変更点、17次公募のスケジュールを紹介します。ものづくり補助金の採択率を上げる方法も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、この記事はものづくり補助金の採択率100%(*1)を誇る経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。経営者様の熱い想いをしっかり受け止め、精度の高い事業計画の策定をサポートいたします。
初回相談は無料ですので、17次公募の申請をお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/
*1:2021~2023年において
なお、この記事は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版」を参考にしています。申請の際は、最新の公募要領を必ずご確認ください。
もくじ
ものづくり補助金17次公募は「省力化枠(オーダーメイド)」のみ!

ものづくり補助金の17次公募では、省力化(オーダーメイド)枠が新設され、さらに、募集が省力化枠のみとなっています。
省力化枠は、人手不足の解消に向けて、デジタル技術を活用したオーダーメイド設備を導入し、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援するものです。
ここでは、省力化枠の補助金額から審査項目・加点項目まで、詳しく解説します。
17次公募「省力化枠」の補助金額・補助率
17次公募の省力化枠の補助金額と補助率は、以下のとおりです。
従業員数 | 補助金額 |
5人以下 | 100万円~750万円 |
6~20人 | 100万円~1,500万円 |
21~50人 | 100万円~3,000万円 |
51~99人 | 100万円~5,000万円 |
100人以上 | 100万円~8,000万円 |
参考に、16次公募の申請枠と補助金額は以下のとおりです。
申請枠 | 補助金額 |
通常枠 | 従業員数5人以下:100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上:100万円~1,250万円 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | |
デジタル枠 | |
グリーン枠 | 【エントリー類型】 従業員数5人以下:100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上:100万円~1,250万円 【スタンダード類型】 従業員数5人以下:750万円~1,000万円 6人~20人:1,000万円~1,500万円 21人以上:1,250万円~2,000万円 【アドバンス類型】 従業員数5人以下:1,000万円~2,000万円 6人~20人:1,500万円~3,000万円 21人以上:2,000万円~4,000万円 |
グローバル市場開拓枠 | 100万円~3,000万円 |
比較すると、17次公募の省力化枠の補助金額がかなり拡大されていることが分かります。
また、17次公募の省力化枠の補助率は以下のとおりです。
補助金額が1,500万円まで | 1,500万円を超える部分 | |
中小企業 | 1/2 | 1/3 |
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者 | 2/3 | 1/3 |
17次公募「省力化枠」の補助対象経費
17次公募の省力化枠では、以下の経費が補助対象です。
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
ものづくり補助金では、機械装置・システム構築費として、50万円(税抜)以上の設備投資が必須です。対象経費は、交付決定を受けた日以降に発注したもののみが対象となるため、交付決定を受ける前に設備投資を行わないように注意しましょう。
17次公募「省力化枠」の追加要件
省力化枠には基本要件に加えて、以下の4つの追加要件があります。
(1)3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性*が2倍以上となる事業計画を策定すること
(2)3~5年の事業計画期間内に、投資回収**可能な事業計画を策定すること
(3)外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること
(4)本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版
*労働生産性とは、「付加価値額(付加価値額の算出が困難な場合は生産量)/(労働人数×労働時間)」と定義されています。また、完全自動化の場合は「(労働人数×労働時間)」を便宜的に「0.1」とします
**投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」です
なお、ものづくり補助金の基本要件は以下のとおりです。
事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること
事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること
事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率 3%以上増加させること
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版
省力化枠は補助上限額が高額な分、より詳細で実行力を求める要件が課されています。
17次公募「省力化枠」審査項目
ものづくり補助金で審査員が重視するポイントは「審査項目」といい、公募要領に記載してあります。審査項目は、以下の4分野に分けられ細かく記載してあるため、公募要領を必ずチェックしましょう。
- 補助対象事業としての適格性
- 技術面
- 事業化面
- 政策面
16次までの審査項目と大きく異なるのは、省力化枠に以下のような個別の審査項目が設定されている点です。
【省力化(オーダーメイド)枠のみ】
■システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムを元に、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する開発方式となっており、オーダーメイドの取組になっているか。
■人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等となっているか。
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版
省力化(オーダーメイド)枠という名前のとおり、パッケージシステムをカスタマイズしたり、システムをゼロから開発したりなど、オーダーメイドのシステム開発になっているかが見られるようです。
また、後半は、設備投資が「革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る」という省力化の目的に適っているかどうかを問うています。
17次公募「省力化枠」加点項目
17次公募では、今までの加点項目に加えて、以下の事業者も加点を受けられるようになりました。
- J-クレジット制度を活用している事業者
- GXリーグに参画している事業者
- カーボンフットプリント(CFP)を算定している事業者
17次公募はスケジュールがタイトですが、公募要領をよく確認し、申請に向けて取得できる加点項目は積極的に取得しましょう。
ものづくり補助金17次公募の変更点

ものづくり補助金17次公募の今までとの変更点は、主に以下の3点です。
- 申請枠の新設・再編
- 大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例
- 口頭審査の実施
一つずつ詳しく解説します。
申請枠の新設・再編
17次公募から申請枠の新設や再編が行われ、申請枠が以下の3つになりました。(ただし、17次公募では、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠は募集が行われません)
- 省力化(オーダーメイド)枠
- 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型(DX・GX))
- グローバル枠
16次までの申請枠は見直され、製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠に整理統合されました。
製品・サービス高付加価値化枠は、通常類型と成長分野進出類型(DX・GX)の2つの類型が用意されています。成長分野進出類型(DX・GX)は今後成長が見込まれる分野として、通常類型より補助上限額と補助率が引き上げられます。
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例
17次公募から、大幅な賃上げを行う事業者は、補助上限額が以下のように引き上げられます。
従業員数 | 補助上限額の引き上げ額 |
5人以下 | 上限から最大250万円 |
6~20人 | 上限から最大500万円 |
21~50人 | 上限から最大1,000万円 |
51~99人 | 上限から最大1,500万円 |
100人以上 | 上限から最大2,000万円 |
この特例を受けるためには、以下の追加要件を満たす必要があります。
(1)事業計画期間において、基本要件である給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させることに加え、更に年平均成長率4.5%以上(合計で年平均成長率6%以上)増加させること。
(2)事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+50円以上の水準とすることを満たしたうえで、さらに、事業場内最低賃金を毎年、年額+50円以上増額すること。
(3)応募時に、上記(1)(2)の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画(大幅な賃上げに取り組むための事業計画)を提出すること。
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版
大きく補助上限額が引き上げられるため、賃上げを実行できる事業者にとっては見逃せない特例といえるでしょう。
口頭審査の実施
17次公募から補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者に、オンラインでの口頭審査が追加されました。
口頭審査の期間は2024年4月1日(月)~4月12日(金)で、事務局が指定した日時に行われます。口頭審査は申請事業者自身(法人代表者や取締役、担当者など)が対応し、認定支援機関などのコンサルタントは同席できません。
口頭審査では、申請した事業計画書について、事業の適格性や革新性、優位性、実現可能性などの観点から質問されます。申請者自身が自信を持って回答できるよう、上記の内容について回答すべきことを準備しておきましょう。
ものづくり補助金17次公募のスケジュール

令和5年度補正予算に基づくものづくり補助金の公募は、17次と18次の2回実施予定です。ただし、17次公募に応募した事業者は、18次公募には応募できないため注意しましょう。
17次公募のスケジュールは、以下のとおりです。
公募開始 | 2023年12月27日(水)17:00~ |
電子申請受付 | 2024年2月13日(火)17:00~ |
申請締切 | 2024年3月1日(金)17:00まで |
補助金交付候補者決定 | 2024年5月中旬頃予定 |
補助事業実施期限 | 2024年12月10日まで |
補助事業実施期限とは、発注や納入、検収、支払いなどのすべての事業に関する手続きを完了し、実績報告書を提出する期限です。5月中旬に採択発表があり、実績報告の期限が12月10日であることを考えると、かなり余裕のないスケジュールといえるでしょう。
また、17次公募を見送り18次公募に申請したとしても、補助事業実施期限は17次と同じく「2024年12月10日まで」となる見込みです。すなわち、遅い回の公募に申請すると、さらにスケジュールがタイトになるため注意が必要です。
ものづくり補助金の採択率を上げる方法!認定支援機関の選び方

2020年2月までは、ものづくり補助金の申請において「認定支援機関の確認書」が必要でしたが、現在では認定支援機関の確認書は不要です。そのため、認定支援機関(コンサルタント)を頼らず自社で申請する中小企業も多く、12~15次締切回において申請した事業者の3割が、支援者なしで申請しています。
(参照:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版)
しかし、ものづくり補助金の採択を勝ち取るためには、事業計画書の作成における支援者の存在が非常に重要といえます。

(画像引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト)
ものづくり補助金公式ホームページのデータポータルでは、「支援者の関与」に関する上記のグラフが公表されています。コンサルタントの支援なしの場合、採択率は36.6%ですが、支援あり(報酬~10%)の場合は58.5%まで採択率が向上しています。
また、以下は事業計画書の作成にかかった時間を示すグラフです。15次締切の採択率は50.2%ですが、これを超えるためには、申請者は事業計画書の作成に30時間より多くの時間をかけていることがわかります。

(画像引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト)
忙しい業務の中、30時間を超えた事業計画書の作成時間を確保するのは大変である上、審査員の厳しい審査に耐えられる精度の高い事業計画書を自社で作るのは難しいことでしょう。
そこで、中小企業をサポートする役割を担うのが認定支援機関(認定経営革新等支援機関)です。認定支援機関は、中小企業診断士や税理士、公認会計士、経営コンサルタントなどで、専門知識や実務経験が一定レベルを満たしていると国から認定された専門家のことです。
ものづくり補助金の採択を勝ち取るためには、自社に合う認定支援機関を選ぶことが重要です。認定支援機関を選ぶ際は、ものづくり補助金の支援実績、ならびに「事業計画書のひな形を使い回していないかどうか」を必ず事前に聞いておきましょう。
17次公募要領には、「1-3-2補助対象外となる事業者」に以下の記述があることから、使い回されたひな形の事業計画書を申請してしまうと、採択されないおそれがあります。
他の中小企業・小規模事業者等から提出された事業と同一若しくは極めて類似した内容の事業を申請する事業者
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版
また、ものづくり補助金において認定支援機関とは1年以上の長い付き合いになります。レスポンスの速さや話した印象など、コンサルタントとの相性も重要なポイントであるため、ビデオ通話や対面でミーティングを重ね、信頼できる専門家に依頼するようにしてください。
ものづくり補助金17次公募への申請をお考えの経営者様は、お早めに中小企業経営支援事務所までご相談ください
ものづくり補助金の17次公募では省力化(オーダーメイド)枠が新設され、募集は省力化枠のみとなっています。2024年3月1日に申請締切、5月中旬に採択発表、12月10日までに実績報告を行わなければならないことを考えると、スケジュールが厳しくなると予想されます。
限られた時間で精度の高い事業計画書を作成し、採択を勝ち取るためには、認定支援機関の支援を受けることが近道です。
当社・中小企業経営支援事務所はものづくり補助金の採択実績100%(*1)を誇る認定支援機関です。中小企業経営のスペシャリストである中小企業診断士が代表を務めており、経営者様の熱い想いをしっかりと理解し、二人三脚で事業計画を策定いたします。
初回相談は無料ですので、ものづくり補助金の17次公募の申請をお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/
*1:2021~2023年において