【令和6年度】中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)について徹底解説

中小企業省力化投資補助事業は、人手不足に悩む中小企業が、IoTやロボットなど省力化に役立つ製品をカタログから選んで導入すると、その費用が最大1,500万円、補助率1/2で補助される制度です。

「慢性的な人手不足に悩んでいる」「もっと業務の効率化を図りたい」とお考えの方におすすめの補助金です。

この記事では、中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)の概要や、IoTやロボットなどの省力化製品の業種別活用例を解説します。IoTやロボットなどを導入し、省力化して人手不足を解消したいとお考えの中小企業の経営者様は、ぜひ参考にしてください。

なお、この記事は各種補助金の申請をサポートしている経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。中小企業省力化投資補助事業についても、最新情報をチェックしてサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です

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この記事は、2024年1月19日時点の情報を元に作成しています。申請の際は必ず最新情報をご確認ください。

中小企業省力化投資補助事業は、人手不足に悩む中小企業に対して、IoTやロボットなど、人手不足解消に効果のある設備投資を支援する補助金です。省力化を支援することで、中小企業の付加価値額や生産性の向上を図り、賃上げにつなげることを目的とします。

「カタログ型」という名称のとおり、IoTやロボット、AIなどの人手不足解消に資する汎用製品がカタログに記載され、中小企業がその中から選択して導入できる形式です。カタログからの選択式にすることで、申請する中小企業は製品の比較検討が容易になり、即効性のある省力化投資が可能になります。

(引用:総合経済対策 政策ファイル 2023年11月 内閣府特命担当大臣 (経済財政政策)

省力化に即効性のある汎用製品の例としては、宿泊・飲食サービスにおける自動掃除機ロボットや自動配膳ロボットが挙げられています。

中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)の補助上限額と補助率は、以下のとおりです。

補助上限額補助率
従業員数5名以下200万円(300万円)1/2
従業員数6~20名500万円(750万円)
従業員数21名以上1,000万円(1,500万円)

賃上げ要件を達成した場合、()内の額に上限が引き上げられます。

IoTやロボット、AIなどの技術を活用した製品は、実際はどのようにして省力化に役立っているのでしょうか。業種別に活用例を紹介します。

製造業は、産業用ロボットが製造ラインで組み立て作業を担当するなど、以前よりロボットが活躍している分野です。このようなロボットにAIを搭載し、ネットワークに接続することで質の高い製造管理が行えます。

AIロボットは、作業環境や材料の状態を認識し、自ら判断して動作を調整できるため、作業効率が上がり、不良率が減少するなどの効果が期待できます

飲食業では、AIを搭載した配膳ロボットの導入が進んでおり、実際に見たことのある方も多いのではないでしょうか。

天井に貼られたマーカーで自機の位置を認識し、最適なルートで移動するロボットや、マーカーが不要で一定時間店内を走行すればルートを記憶できるロボットなど、さまざまな種類のロボットがあります。

さらに、自動受付ロボットや自動清掃ロボットは、宿泊業など多くのサービス業で活用可能です。受付や配膳、清掃をロボットで自動化することで、その業務に割く人手を減らすことができ、省力化につながります。

介護業界では、高齢者の生活を見守るロボットや、スタッフの動作をアシストするロボットが導入されつつある状況です。

ロボットにカメラが内蔵され、AIを搭載したセンサーと連動して高齢者の動きを観察し、異常が発生したらすぐに検知しスタッフに知らせるため、介護職員の見守り業務の負担を軽減できます。また、介護ロボットの中には、移動の介助時にスタッフが装着し、パワーアシスト機能で介助時の肉体的な負担を少なくするタイプのものもあります。

物流業界で注目されているのは、ロボットが自動で商品を取りに行く自動搬送ロボットです。

搬送ロボットにAIを搭載することで、倉庫内の混雑状況を把握し効率のよいルートを選んでのピッキングが可能になります。また、ロボットの活用は倉庫内スタッフの業務効率化を図るだけでなく、ヒューマンエラーの防止にもつながるでしょう。

建設業で導入されつつある省力化製品は、資材の運搬ロボット遠隔操作ができる重機高所で作業ができるドローンなどです。

特に点検や測量用のドローンを活用することで、高所など危険が多い場所での作業時間を削減でき、現場の安全性向上が期待できます。また、実際の施工にもAIの導入が進められており、複雑な操作が必要なブルドーザーやダンプカーの運転をAIで自動化するなど、AIロボットの活躍の幅が広がりつつあります。

農業で導入される例が多いのは、自動走行トラクター無人運転コンバイン農薬や水を散布するドローンなどです。

農業は特に高齢化が進んでいる業種であり、IoTやロボット、AIを活用したスマート農業による人手不足解消は喫緊の課題です。自動走行トラクターを導入することで畑を耕す人手を減らすことができるとともに、広い畑の作業が少人数で可能になります。

また、AI搭載ドローンは搭載されているカメラで撮影した画像を分析し、農作物の生育状況を確認し、農薬の散布が必要な場所をピンポイントで特定できます。AIで農作物と雑草を判断して雑草のみに除草剤を撒くなどの活用も可能です。

中小企業省力化投資補助事業の詳細は、2024年1月19日時点では発表されていません。しかし、令和5年度補正予算に盛り込まれているため、令和6年度の比較的早い時期に公募開始されるとみられます

カタログ型という形式上、補助事業への申請に先立ち、省力化に資する汎用製品のカタログ登録や認定に関する発表が2024年1月~3月に行われると予想されています。カタログ掲載製品が決定してから、2024年4月以降に公募が開始される見込みです。

この記事の執筆時点(2024年1月19日)では、中小企業省力化投資補助事業の詳細は公表されていませんが、今からでも申請に向けて準備できることがあります。公募が開始されてから慌てることのないよう、早めに準備を進めておきましょう。

ここでは、補助事業の申請者側と、省力化製品のメーカー・販売者側の2つの立場から準備できることを紹介します。

中小企業省力化投資補助事業を利用したいと考えている事業者は、どのような製品を導入すれば自社の省力化が図れるのか検討しましょう

飲食業や宿泊業なら自動配膳ロボットや自動掃除ロボット、農業なら農薬散布ドローンというように、業種によって最適な省力化製品は異なります。自社のどの業務に人手がかかっているかを洗い出し、課題を解決できるような省力化製品をメーカーのサイトなどで情報収集しておくのがおすすめです

また、補助事業への申請にあたっては、ほかの中小企業向けの補助金と同じように電子申請がメインになると想定されます。補助金の電子申請で必要になる「GビズIDプライム」を取得しておきましょう。一つのGビズIDアカウントで、複数の行政サービスをインターネット上で行うことができます。

省力化製品の販売店側は、自社の製品がカタログに載れば大きな販売チャンスにつながるため、ぜひ登録を受けたいところです。

省力化製品のカタログ登録や認定に関する発表は、2024年1月~3月に行われると予想されますが、今から以下のような準備を進めておくとよいでしょう。

  • 分かりやすいパワーポイント資料を作成する
  • 営業方法を決定する
  • 販売先をリストアップする
  • 社内の担当者を決めておく

カタログ登録に関する発表を見逃さないように、中小企業省力化投資補助事業の動向に注目しておきましょう。

省力化と名のつく補助金には、ものづくり補助金「省力化(オーダーメイド)枠」もあります。ものづくり補助金は、2023年12月27日から17次公募が開始され、17次公募は省力化(オーダーメイド)枠のみの募集となっています。

省力化(オーダーメイド)枠は、人手不足の解消に向けて、デジタル技術を活用したオーダーメイド設備を導入し、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援するものです。

中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)と比較すると、人手不足を解消するという目的は同じです。しかし、ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠では、パッケージシステムを元にカスタマイズしたり、システムをゼロから開発したりなど、オーダーメイドのシステム開発が求められます。

中小企業省力化投資補助事業は、カタログに掲載された汎用製品からの選択式であることから、省力化に資する製品・設備の規模の点で異なると想定されます

なお、ものづくり補助金省力化(オーダーメイド)枠の補助金額と補助率は、以下のとおりです。

従業員数補助金額
5人以下100万円~750万円
6~20人100万円~1,500万円
21~50人100万円~3,000万円
51~99人100万円~5,000万円
100人以上100万円~8,000万円

以下の基本要件と、省力化(オーダーメイド)枠の追加要件をクリアする必要があります。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率 3%以上増加させること

(参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.0版

補助金額が大きいため、オーダーメイド型の省力化設備の導入をお考えの場合は、ものづくり補助金の活用をご検討ください。

ものづくり補助金17次公募については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
ものづくり補助金17次公募要領を徹底解説!16次までとの変更点を紹介

中小企業省力化投資補助事業は、人手不足に悩む中小企業に対して、IoTやロボット、AIなど省力化に役立つ設備投資を支援する補助金です。補助の対象は、カタログに掲載された汎用製品のみになり、申請者はカタログから選択する形式になると想定されています。

現時点(2024年1月19日)では制度の詳細は発表されていません。しかし、申請をお考えの方は、自社のどのような業務で人手が不足していて、どのような製品を導入すれば省力化になるのかを今から検討しておきましょう。

当社・中小企業経営支援事務所はものづくり補助金や事業再構築補助金をはじめとして、中小企業の補助金申請をサポートしております。中小企業経営のスペシャリストである中小企業診断士が代表を務めており、ものづくり補助金の採択実績は100%*を誇ります。

中小企業省力化投資補助事業についても、最新情報から的確なサポートを行いますので、申請をお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

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