小規模事業者持続化補助金の災害支援枠を徹底解説!審査観点や注意点も

令和6年能登半島地震で被災した中小企業や小規模事業者を支援するため、「小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)」の募集が行われています。地震で直接的・間接的な被害を受けた中小企業の事業再建の取り組みを、経費の一部を補助することで支援する補助金です。

この記事では、小規模事業者持続化補助金の災害支援枠についてわかりやすく解説します。

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠以外にも、令和6年能登半島地震で被害を受けた中小企業を支援する補助金を紹介します。被災された中小企業の経営者様は、ぜひ参考にしてください。

なお、当社・中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請サポートを行っています。ものづくり補助金・事業再構築補助金への申請をお考えの経営者様は、以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

この記事は、2024年2月1日発表の公募要領(第2版)をもとに作成しています。申請の際は、最新版の公募要領をご確認ください。

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠とは、令和6年能登半島地震で被災した小規模事業者の「事業再建の取り組み」を支援する補助金です。

対象は、能登半島地震により生産設備や販売拠点が損害を受け、直接的・間接的な被害を受けた被災区域4県(石川県、富山県、新潟県、福井県)の小規模事業者です。

被災した小規模事業者が自社の経営を見つめ直し、事業再建に向けた計画を作成、計画に基づいた事業再建の取り組みにかかる経費の一部が補助されます。

また、小規模事業者持続化補助金の災害支援枠は、事業を営んでいる地域が商工会議所地区か商工会地区かで書類の提出・問い合わせ先が異なります。

以下から、自社の所在地が該当するほうを選び、参考にしてください。
商工会議所管轄地域→小規模事業者持続化補助金<災害支援枠(令和6年能登半島地震)>
商工会管轄地域→令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 災害支援枠(令和6年能登半島地震)

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠の補助対象者は、以下の要件に当てはまる事業者です。

  1. 石川県、富山県、福井県、新潟県に所在する、令和6年能登半島地震の被害を受けた事業者であること
  2. 小規模事業者であること
  3. 本事業への応募の前提として、早期の事業再建に向けた計画を策定していること
  4. 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
  5. 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
  6. 商工会議所(商工会)の管轄地域内で事業を営んでいること
  7. 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」の補助金交付を受ける者として不適当な者(暴力団と関係がある者)に該当しないこと
  8. 【小規模事業者持続化補助金〈一般型〉などにおいて、採択を受けて、補助事業を実施した場合】各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を原則本補助金の申請までに受領された者であること
参照:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」【公募要領】

小規模事業者かどうかは、以下のように業種ごとに従業員数で判断されます。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
サービス業の内宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

また、「3.本事業への応募の前提として、早期の事業再建に向けた計画を策定していること」と記載されている計画を作る際は、商工会議所や商工会に相談し、アドバイスをもらうことができます

応募にあたっては、商工会議所や商工会から、経営計画の確認を受けることが必要です。なお、この補助金を受けるには、商工会議所や商工会の管轄地域内で事業を営んでいる必要がありますが、必ずしも商工会議所・商工会の会員である必要はありません。非会員でも応募できます

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠の補助率と補助上限額は、以下のとおりです。

補助率補助対象経費の2/3以内
補助上限額直接的な被害があった事業者200万円
間接的な被害があった事業者100万円

直接的な被害とは、「自社の事業用資産の損壊等」であり、間接的な被害とは売上減少を指します。また、以下の要件をすべて満たす場合の補助率は定額となります。

1.過去数年以内に発生した災害(※1)で被害を受けた以下のいずれかに該当する事業者
①事業用資産への被災が証明できる事業者
②災害からの復旧・復興に向けて国等が実施した支援を活用した事業者

2.過去数年以内に発生した災害以降、売上高が20%以上減少している復興途上にある事業者

3.交付申請時において、過去数年以内に発生した災害からの復旧又は復興に向けた事業活動に要した債務を抱えている事業者
(※1)過去数年以内に発生した災害とは、過去5年以内を目安に発生した災害であって災害救助法の適用を受けたものです。

引用:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」【公募要領】

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠のスケジュールは、以下のとおりです。

公募開始令和6(2024)年1月25日(木)
1次申請受付開始令和6年2月1日(木)
1次申請締切令和6年2月29日(木)締切日当日消印有効
補助事業実施期限令和6年8月30日(金)
実績報告書提出期限令和6年9月9日(月)事務局必着

「※2次公募以降については追って公表します」と記載があるため、申請のチャンスは一度ではないとみられますが、準備ができた方は早めの募集に応募したほうがよいでしょう。

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠の補助対象となる事業は、以下の要件を満たすものです。

  1. 「計画」に基づいて実施する事業再建のための取組であること
  2. 商工会議所(商工会)の支援を受けながら取り組む事業であること
  3. 国が助成する他の制度と同一または類似内容の事業でないこと
  4. 事業の完了後、1年以内に売上につながる見込みのある事業であること
  5. 公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの(賭博、性風俗関連など)でないこと
参照:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」【公募要領】

地震被害からの事業再建と関係のない復旧・買い換え費用は補助対象外です。

また、「事業の完了後、1年以内に売上につながる見込みのある事業であること」とあるように、早期に市場取引の達成が見込まれる事業活動でなければなりません

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠で補助の対象となる経費は、以下の3つの要件をすべて満たすものです。

  1. 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  2. 交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
  3. 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
引用:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」【公募要領】

具体的には、以下の内容の経費が補助の対象です。

各費用各費用の説明対象となる経費の例
①機械装置等費事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する費用・高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子
・ベビーチェア・衛生向上や省スペース化のためのショーケース など
②広報費パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費・チラシ・カタログの外注や発送
・新聞・雑誌等への商品・サービスの広告 など
③ウェブサイト関連費事業再建を行うためのウェブサイトやECサイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費・商品販売のためのウェブサイト作成や更新
・インターネットを介したDMの発送 など
④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)新商品等を展示会等に出展又は商談会に参加するために要する経費・展示会出展の出展料等
・運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代等は除く)
・通訳料
・翻訳料
⑤旅費経営計画(様式2)に基づく事業再建(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費・展示会への出展や、新商品生産のために必要な原材料調達の調査等に係る、宿泊施設への宿泊代 など
⑥新商品開発費新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費・新製品・商品の試作開発用の原材料の購入
・新たな包装パッケージに係るデザイン費用
⑦資料購入費補助事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費※取得単価(税込)が10万円未満のものに限ります
⑧借料補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費商品・サービスPRイベントの会場を借りるための費用は、「⑧借料」に該当します
⑨設備処分費事業再建の取組を行うための作業スペースを確保する等の目的で、当該事業者自身が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分する、又は借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費・既存事業において使用していた設備機器等の解体・処分費用
・既存事業において借りていた設備機器等の返却時の修理・原状回復費用(賃貸借契約が締結されており、使用者であることが法的に確認できることが必要です)
⑩委託・外注費上記①から⑨に該当しない経費であって、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費(自ら実行することが困難な業務に限ります。)・店舗改装・バリアフリー化工事
・利用客向けトイレの改装工事
・製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事 など
⑪車両購入費事業の遂行に必要不可欠であり、もっぱら補助事業で取り組む特定の業務のみに用いることが明らかな車両の購入に必要な経費(事業に供する車両が被災した場合に限る)道路運送車両法第2条第2項に定める「自動車」および同条第3項に定める「原動機付自転車」が対象
引用:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」【公募要領】

このような経費が補助対象として認められるには、事業再建に向けた取り組みに必要な費用であると説明できなければなりません。さらに、発注や引き渡し、支払いが補助事業期間中(8月30日まで)に行われることはもちろん、事業再建に向けた取り組み自体も8月30日までに実施される必要があります。

また、経費の支払い方法は銀行振り込みが原則であるため注意しましょう。

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠は、郵送のみの受付です。持参や宅配便、電子申請は認められていません。

申請は、以下の手順を踏んで行います。

  1. 市町村に罹災証明書やセーフティネット4号における認定書などの証明書類の発行を依頼する
  2. 申請書類をダウンロードし、各様式を記入する
  3. 商工会議所・商工会に経営計画書(様式2)の写しを提出し、後日確認書を受け取る
  4. 必要書類を補助金事務局へ郵送する

申請に必要な書類は、以下のとおりです。

応募対象者確認シート被害状況やこれまでに小規模事業者持続化補助金を受けたことがあるかを回答
申請書(様式1)代表者の連絡先や会社名などを記載
経営計画書(様式2)被災前の売上に戻すための事業再建計画と、計画を実施するための経費計画を記載
支援機関確認書(様式3)商工会議所や商工会が発行するもの※受け取りに1週間程度かかる場合があります
補助金交付申請書(様式4)採択となった場合のみ、受理されます
車両購入の理由書(様式5)車両を購入する場合のみ必要
被害状況又は売上減による被害状況がわかる資料直接的な被害を受けた場合:罹災届出証明書間接的な被害を受けた場合:セーフティネット4号における認定書または売上減少の証明書
【法人の場合】賃借対照表および損益計算書(直近1期分)
【個人事業主の場合】直近の確定申告書「第一表、第二表、及び収支内訳書(1・2面)もしくは第一表、第二表及び所得税青色申告決算書(1~4面)」(税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)
参照:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」【公募要領】

なお、事業を営んでいる地域が商工会議所の管轄か、商工会の管轄かで様式が異なります。自社の所在地を確認の上、様式をダウンロードしてください。

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠は、以下のようなケースでの活用を想定しています。

活用事例①
被災により失った椅子やテーブル、厨房機器などを新たに購入するとともに、店舗改装と合わせて新しいデザインの看板を作成。リニューアルオープンにより、集客向上をはかった。

活用事例②
店舗が入居していた貸しビルが全壊し、自宅の敷地で営業再開。新商品開発のほか、チラシ・フリーペーパーでの宣伝を行い、被災前の売上げまでに回復。

引用:石川県、富山県、福井県、新潟県の皆様へ 令和5年度補正予算「小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)」

また、具体的な経費の例は、以下のとおりです。

・新商品等を陳列するための陳列棚や什器等の備品の購入
・商品サービスを訴求するためのチラシ、冊子、パンフレット、ポスター等の制作
・新規ネット販売・予約システム等の導入
・新商品サービスの開発に当たって必要な図書の購入
・事業再建の取組に必要となる機械等の導入
・販売のスペース増床のため、所有する死蔵の設備機器の処分
・事業再建の取組のための車両の購入
・新商品開発等に伴う成分分析等の検査・分析の依頼
・商品PRイベントの実施
・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言
・店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)

引用:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」【公募要領】

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠の採択審査は、有識者によって構成される審査委員会において、以下の観点で行われます。

基礎審査①必要な情報がすべて確認できること
②補助対象者、補助対象事業の要件に合致すること
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④申請者自身が主体的に活動する取組であること
加点審査①事業再建に向けた取組として適切な取組であるか
②令和6年能登半島地震による被害の程度
③その他、自社分析の妥当性や計画の有効性、積算の透明・適切性
引用:令和5年度補正予算 小規模事業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」【公募要領】

まず基礎審査では基本的なチェックが行われ、すべてを満たすもののみが加点審査に進みます。加点審査では上記の項目で審査が行われ、総合的な評価が高いものから採択されます

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠に申請する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 申請方法は郵送のみ
  • 商工会議所・商工会の確認書が必要であるため、手続きに余裕を持って行うこと
  • 外部のコンサルタントに丸投げしたような内容は不採択になる

申請には市町村の罹災証明書や商工会議所・商工会の確認書が必要になるため、書類がそろうまでに時間がかかる場合があります。申請方法も郵送のみであるため、手続きは時間に余裕を持って進めましょう。

外部のアドバイスを受けることは問題ありませんが、事業者自らが検討していないと判断されるものは、評価にかかわらず不採択になります

令和6年能登半島地震で被災した中小企業向けの補助金は、小規模事業者持続化補助金の災害支援枠以外にも、「なりわい再建支援事業(中小企業特定施設等災害復旧費補助金)」があります。

なりわい再建支援事業は、令和6年能登半島地震で被災した石川県、富山県、福井県、新潟県の中小企業や小規模事業者が行う施設・設備の復旧を支援する補助金です。

補助率と補助上限額は、以下のとおりです。

補助率中小企業・小規模事業者3/4以内、一部定額補助
中堅企業等1/2以内、一部定額補助
補助上限額石川県(A類型)15億円
富山県(B類型)3億円
福井県、新潟県(C類型)3億円

なりわい再建支援事業で補助対象となる経費は、原則として事業の用に供する施設・設備の原状回復にかかるものです。ただし、施設・設備の原状回復では事業の再開・継続・売上回復が困難な事業者は、「新分野需要開拓等を見据えた新たな取組」による施設・設備の整備費用も補助対象となります

このように、なりわい再建支援事業は補助の規模が大きく、新分野事業への支援も可能です。今後、詳細が固まっていく予定であるため、申請を検討している方は最新情報をチェックしましょう。
参照:令和6年能登半島地震 中小企業特定施設等災害復旧費補助金(なりわい再建支援事業)の概要 令和6年2月16日 中小企業庁

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠は、令和6年能登半島地震で被害を受けた小規模事業者の事業再建の取り組みにかかる経費の一部が補助される制度です。

申請には、経営計画を策定し、商工会議所や商工会の確認を受ける必要があります。商工会議所や商工会の確認書を受け取るのに1週間程度かかる場合があるため、2月29日(木)の締切に間に合うよう早めの準備を心がけましょう

当社・中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請をサポートしている経営コンサルタントです。ものづくり補助金・事業再構築補助金への申請をお考えの中小企業の経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

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ものづくり補助金18次締切のスケジュール・変更点を徹底解説!

革新的な新製品・新サービスの開発や、生産プロセスの省力化に必要な設備投資を支援する「ものづくり補助金」。2024年1月31日に18次公募が省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠の3枠で公募開始となりました。

この記事では、18次公募の3つの申請枠やスケジュール、今までとの変更点を、認定支援機関である経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。18次公募はタイトなスケジュールになっているため、ぜひ本記事を参考に、ミスのないよう申請を行いましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、精度の高い事業計画書でものづくり補助金の申請をサポートし、採択率は100%を誇ります。申請からアフターフォローまでトータルサポートいたします。

初回相談は無料です。ものづくり補助金18次公募への申請をお考えの方は、以下からぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*2020年度~2023年度において

なお、この記事は、18次締切分の公募要領1.0版をもとに作成しています。申請の際は、必ず最新版の公募要領をチェックするようにしてください。

ものづくり補助金は、革新的な新製品・新サービスの開発や生産プロセスの省力化に必要な設備投資を支援する補助金です。2023年12月27日に17次公募が開始されましたが、続いて2024年1月31日に18次公募も開始されました

17次は省力化(オーダーメイド)枠のみの公募でしたが、18次は以下の3枠全てで募集が行われます

  • 省力化(オーダーメイド)枠
  • 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型(DX・GX))
  • グローバル枠

ここでは、ものづくり補助金18次公募の3つの申請枠について、詳しく解説します。

省力化(オーダーメイド)枠は、人手不足の解消を目指し、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を目指す取り組みを支援するものです。

補助対象は、ICTやIoT、AI、ロボット、センサーなどのデジタル技術を活用した専用(オーダーメイド)の設備やシステムです。設備やシステムのオーダーメイドとは、外部のシステムインテグレータ(SIer)と連携し、事業者の個々の業務に応じて専用に設計されることを指します。

省力化(オーダーメイド)枠の補助金額と補助率は、以下のとおりです。

補助金額従業員数5人以下:100万円~750万円
従業員数6~20人:100万円~1,500万円
従業員数21~50人:100万円~3,000万円
従業員数51~99人:100万円~5,000万円
従業員数100人以上:100万円~8,000万円
補助率中小企業
補助金額が1,500万円まで:1/2
1,500万円を超える部分:1/3

小規模企業者・小規模事業者・再生事業者
補助金額が1,500万円まで:2/3
1,500万円を超える部分:1/3

省力化(オーダーメイド)枠に申請するには、ものづくり補助金の基本要件に加えて追加要件を満たす必要があります。

まず、ものづくり補助金の基本要件は、以下のとおりです。

以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定すること

◼事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上※増加させること。

◼事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること。

◼事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させること。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

省力化(オーダーメイド)枠の追加要件は、以下のように設定されています。

以下の全ての要件に該当するものであること。

(1)3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること
※労働生産性は「付加価値額(付加価値額の算出が困難な場合は生産量)/(労働人数×労働時間)」とする。完全自動化の場合は「(労働人数×労働時間)」を便宜的に「0.1」とする。

(2)3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること
※投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」とする。

(3)外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること
※事業終了後、実績報告時点で確認をします。
※保守・メンテナンスに係る費用は補助対象外です。

(4)本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

省力化(オーダーメイド)枠は、以下のスケジュールで行われる17次公募でも申請可能です。

公募開始日2023年12月27日(水)
申請開始日2024年2月13日(火)
申請締切日2024年3月1日(金)

17次公募と18次公募は、両方とも実績報告の期限が2024年12月10日であり、非常にタイトなスケジュールになっています。省力化(オーダーメイド)枠への申請をお考えなら、余裕を持って補助事業を進められる17次公募もご検討ください。

17次公募については、以下の記事で詳しく解説しています。
ものづくり補助金17次公募要領を徹底解説!16次までとの変更点を紹介

製品・サービス高付加価値化枠は、革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資を支援するものです。通常類型成長分野進出類型(DX・GX)の2つの類型があります。

通常類型

製品・サービス高付加価値化枠の通常類型は、これまでのものづくり補助金の通常枠に近い形で活用できると考えられる類型です。

ただし、16次公募までは「新製品・新サービスの開発」に加え、「生産プロセス・サービス提供方法の改善」も補助対象でしたが、18次公募からは「生産プロセス・サービス提供方法の改善」の文言が削除されています。そのため、生産プロセス・サービス提供方法の改善のための設備投資を行いたい場合は、デジタル技術を活用した省力化(オーダーメイド)枠へ申請する必要があります

製品・サービス高付加価値化枠の通常類型の補助金額、補助率は以下のとおりです。

補助金額従業員数5人以下:100万円~750万円
従業員数6~20人:100万円~1,000万円
従業員数21人以上:100万円~1,250万円
補助率中小企業:1/2

小規模企業者・小規模事業者・再生事業者:2/3

新型コロナ回復加速化特例:2/3

成長分野進出類型(DX・GX)

製品・サービス高付加価値化枠の成長分野進出類型(DX・GX)は、今後成長が見込まれるDX(デジタルトランスフォーメーション)GX(グリーントランスフォーメーション)に関する革新的な製品・サービスの開発に必要な設備・システム投資を支援するものです。

成長分野進出類型(DX・GX)の補助金額、補助率は以下のとおりです。

補助金額従業員数5人以下:100万円~1,000万円
従業員数6~20人:100万円~1,500万円
従業員数21人以上:100万円~2,500万円
補助率中小企業:2/3

小規模企業者・小規模事業者・再生事業者:2/3

製品・サービス高付加価値化枠でも、基本要件に加えて、以下のような追加要件があります。

以下の全ての要件に該当するものであること。

【通常類型・成長分野進出類型(DX・GX)共通】
(1)3~5年の事業計画期間内に、新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の売上高の10%以上となる事業計画を策定すること

(2)本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。

【成長分野進出類型(DX・GX)】
(3)DX:DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること
GX:グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスの開発であること

※1 DXに資する革新的な製品・サービスの開発とは、例えば、AI、IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)等をいう。
※2 グリーン成長戦略「実行計画」14分野とは、令和3年6月18日付で策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野をいいます。分野毎に「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取組であることが必要となります。14分野のうちどの分野のどの課題の解決に資する取組であるかあらかじめご確認ください。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

また、製品・サービス高付加価値化枠の通常類型では、「新型コロナ回復加速化特例」といい、該当する場合は補助率の引き上げを受けられる特例があります。通常類型の補助率は、中小企業の場合1/2ですが、新型コロナ回復加速化特例に該当する企業は補助率が2/3となります

新型コロナ回復加速化特例の要件は、以下のとおりです。

以下の全ての要件に該当するものであること。

(1)常時使用する従業員がいること

(2)2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること

(3)補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額が1.5%以上増加目標を達成していること

(4)補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上の水準を達成していること

※1 (3)及び(4)が未達の場合については、補助率引き上げ分について返還を求めます。
※2 本特例を受ける場合は、大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例の対象とはなりません。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

グローバル枠は、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資を支援するものです。ここでいう海外事業とは、以下の4つを指します。

  1. 海外への直接投資に関する事業
  2. 海外市場開拓(輸出)に関する事業
  3. インバウンド対応に関する事業
  4. 海外企業と共同で行う事業

グローバル枠の補助金額、補助率は以下のとおりです。

補助金額100万円~3,000万円
補助率中小企業:1/2

小規模企業者・小規模事業者:2/3

グローバル枠も、基本要件に加え、以下のような追加要件が設定されています。

(1)本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。

(2)以下のいずれかの要件に該当するものであること。

(各事業要件)
①海外への直接投資に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。
(例:国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業)

1.国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、又は海外子会社(発行済株式の総数の半数以上又は出資価格の総額の2分の1以上を補助事業者が所有している、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(本事業の補助対象経費の範囲に限る。一般管理費は含まない。事業実施に不可欠な開発・試作にかかる業務等を想定。)若しくは貸与する機械装置・システム構築費(本事業の補助対象経費の範囲に限る。)に充てられること。

2.国内事業所においても、海外事業と一体的な機械装置等(単価50万円(税抜き)以上)を取得(設備投資)すること。

3.応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること。

4.実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること。

②海外市場開拓(輸出)に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。
(例:海外展開を目的とし、製品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取り組む事業)

1.国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。

2.応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書を提出すること。

3.実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を提出すること。

③インバウンド対応に関する事業であって、以下の全てを満たすこと。
(例:製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、海外からのインバウンド需要を獲得する事業)

1.国内に補助事業実施場所を有し、製品・サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。

2.応募申請時に、想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること。

3.実績報告時に、プロトタイプの仮説検証※の報告書を提出すること。
※開発に立てた機械装置・システムについて、計画の初期段階で立てた計画通りの機能や操作性が実現できたか、想定していた効果が得られたかを評価いただきます。

④海外企業との共同で行う事業であって、以下の全てを満たすこと。
(例:外国法人との共同研究・共同事業開発により、新たに成果物を生み出す事業)

1.国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利の全部又は一部が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)

2.応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を提出すること。

3.実績報告時に、当該契約の進捗が分かる実績報告書を提出すること。

(3)海外事業に関する実現可能性調査※を実施していること
※実現性調査とは、市場調査や現地規制調査、取引先の信用調査等、海外事業の実現可能性を判断するための調査をいう。

(4)社内に海外事業の専門人材を有すること又は海外事業に関する外部専門家と連携すること

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

大幅な賃上げに取り組む事業者は、申請枠や従業員数に応じて、補助上限額の引き上げを受けられます。引き上げ額と補助率は、以下のとおりです。

補助上限額の引き上げ額省力化(オーダーメイド)枠
従業員数5人以下:申請枠の上限から最大250万円
従業員数6~20人:申請枠の上限から最大500万円
従業員数21~50人:申請枠の上限から最大1,000万円
従業員数51~99人:申請枠の上限から最1,500万円
従業員数100人以上:申請枠の上限から最大2,000万円

製品・サービス高付加価値化枠・グローバル枠
従業員数5人以下:各申請枠・類型の上限から最大100万円
従業員数6~20人:各申請枠・類型の上限から最大250万円
従業員数21人以上:各申請枠・類型の上限から最大1,000万円
補助率省力化(オーダーメイド)枠
中小企業
引き上げ後の補助金額1,500万円まで:1/2
引き上げ後の補助金額1,500万円を超える部分:1/3

小規模企業者・小規模事業者
引き上げ後の補助金額1,500万円まで:2/3
引き上げ後の補助金額1,500万円を超える部分:1/3

製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)・グローバル枠
中小企業:1/2
小規模企業者・小規模事業者:2/3

製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型(DX・GX))
中小企業・小規模企業者・小規模事業者:2/3

大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例にも、以下のような追加要件が設定されています。

以下の全ての要件に該当するものであること。

※追加要件を満たさない場合、大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例を適用しない取扱いとなります。

(1)事業計画期間において、基本要件である給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させることに加え、更に年平均成長率4.5%以上(合計で年平均成長率6%以上)増加させること。

(2)事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+50円以上の水準とすることを満たしたうえで、さらに、事業場内最低賃金を毎年、年額+50円以上増額すること。

(3)応募時に、上記(1)(2)の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画(大幅な賃上げに取り組むための事業計画)を提出すること。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

追加要件が未達の場合は、「補助金交付金額から、各申請枠の従業員規模ごとの補助上限額との差額分について」補助金の返還が求められるため、注意しましょう。

ものづくり補助金18次公募のスケジュールは、以下のとおりです。

公募開始日2024年1月31日(水)17時
申請開始日2024年3月11日(月)17時
申請締切日2024年3月27日(水)17時
交付候補者決定2024年6月下旬頃予定
実績報告2024年12月10日
補助金請求2025年1月31日

交付決定者の発表が6月下旬だと、交付決定が出るのは早くとも7月下旬と考えられます7月下旬から12月10日の事業完了までの4か月弱で、設備・システムの発注・納品・支払い・検収を済ませなくてはならないため、スケジュールは綿密に計画する必要があります。

また、令和5年度補正予算に基づくものづくり補助金の公募は、17次と18次の2回実施とされており、18次で終了する点にも注意が必要です。

ものづくり補助金の18次公募における、今までとの変更点は、主に以下の3点です。

  • 申請枠・類型の再編
  • 一部事業者に口頭審査を実施
  • 一部事業者は金融機関の確認書が必要

一つずつ詳しく解説します。

16次の申請枠は、通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠の5つでした。

17次からは申請枠が省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠の3つに再編されます。通常枠、デジタル枠、グリーン枠が統合・再編され、回復型賃上げ・雇用拡大枠は廃止された形です

17次公募から、補助申請額が一定規模以上の事業者を対象に、オンラインで口頭審査が実施されます。口頭審査では、申請した事業計画書について、事業の適格性や革新性、優位性、実現可能性などが審査されます。

口頭審査は申請事業者自身(法人代表者や取締役、担当者など)が対応し、認定支援機関などのコンサルタントは同席できません。申請者自身が自信を持って回答できるよう、上記の内容について考えをまとめておきましょう。

補助事業に係る資金を、金融機関から借り入れて調達する予定の事業者は、金融機関から事業計画の確認を受け、申請時に確認書を提出する必要があります

申請に間に合うように、金融機関に連絡し、早めに入手しておくことをおすすめします。

ものづくり補助金は、設備投資の必要性や補助事業の効果を端的に伝える「事業計画書」を作成できるかどうかが採択を分けるといっても過言ではありません。さらに、取得すると採択に有利に働く「加点項目」も見逃せない要素です。

ここでは、ものづくり補助金の採択率を上げるポイントを解説します。

ものづくり補助金の書面審査における審査項目は、以下の4点です。

補助対象事業としての適格性公募要領に記載の対象事業、対象者、申請要件、申請枠、補助率等を満たしているか
技術面①取組内容の革新性
②課題や目標の明確さ
③課題の解決方法の優位性
④技術的能力
⑤開発内容の妥当性
⑥労働生産性の向上
事業化面①事業実施体制
②市場ニーズの有無
③事業化までのスケジュールの妥当性
④補助事業としての費用対効果
政策面①地域経済への波及効果
②ニッチトップとなる潜在性
③事業連係性
④イノベーション性
⑤事業環境の変化に対応する投資内容

これらの審査員が重視するポイントを念頭に置き、自社の強みを整理し、設備投資によって独自性・革新性を高めていく方法を事業計画書でうまく表現しましょう。

ものづくり補助金には、取り組むと審査に有利に働く「加点項目」があります。

(画像引用:データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

加点項目が0個の場合、採択率は33.4%ですが、4個取得すると採択率は60.4%まで引き上がります。採択率がおおむね50%台で推移しているものづくり補助金において、採択に少しでも近づくためには加点項目を多く取得する必要があります。

加点項目は、以下の5つの分野で、全部で19種類あります。

成長性加点経営革新計画の承認を取得している事業者
政策加点・創業5年以内の事業者
・パートナーシップ構築宣言を公表している事業者
・再生事業者 など
災害等加点事業継続力強化計画の認定を取得している事業者
賃上げ加点等事業計画期間における給与支給総額と事業場内最低賃金を増加させる誓約書を提出している事業者 など
女性活躍等の推進の取り組み加点えるぼし認定を受けている事業者 など

詳細は、公募要領(18次締切分)でご確認いただき、簡単に取得できるものから準備を始めましょう。

ものづくり補助金の加点項目について詳しくは、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
ものづくり補助金の採択率向上のためのポイント!審査項目・加点項目を解説

ものづくり補助金の18次公募は、申請受付が2024年3月11日、締切が3月27日です。17次公募と異なり、省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠の3枠が募集されます。

令和5年度補正予算に基づく公募は、18次で終了となるため、2024年にものづくり補助金への申請をお考えの方は、ぜひ18次への申請をお早めにご検討ください。

当社・中小企業経営支援事務所は、ものづくり補助金の採択率100%*の経営コンサルタントです。マーケティング戦略・財務戦略・運営管理・市場分析など、経営コンサルタントならではの視点から、精度の高い事業計画を策定し、採択へとサポートします

初回相談は無料です。ものづくり補助金18次公募への申請をお考えの経営者様は、タイトなスケジュールですので、ぜひお早めにご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

*2020年度~2023年度において

【2024年】IT導入補助金の概要と2023年からの変更点を解説

IT導入補助金とは、ITツールの導入により、中小企業や小規模事業者の業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する、最大450万円の補助金です。

2024年は、デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス枠が新設されるなど、2023年からいくつかの変更点がありますが、継続して行われます。

この記事では、IT導入補助金の概要と2023年からの変更点、申請の流れをわかりやすく解説します。今までのIT導入補助金におけるITツールの活用事例も紹介しますので、IT導入補助金の申請をお考えの経営者様、活用イメージを膨らませたい方は、ぜひ参考にしてください。

なお、この記事は、IT導入補助金の申請をサポートしている経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。当社はIT導入補助金の申請のみならず、実績報告もトータルでサポートいたします。初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の業務効率化やDX、サイバーセキュリティ対策を推進するための「ITツール」の導入を支援する補助金です。中小企業や小規模事業者がデジタル技術を活用し、労働生産性や競争力を強化することを目的としています。

補助金の対象となるITツールは、事務局の審査を受けた以下のようなツールです。

  • 受発注ソフト
  • 決済ソフト
  • 会計ソフト
  • セキュリティ
  • POSレジ
  • 券売機
  • PC・タブレット

補助対象経費には、パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入・初期費用、ITコンサルティング費用、システム改修費用などが含まれます

IT導入補助金の申請者は、事務局に登録した「IT導入支援者」とパートナーシップを組み、ITツールの説明や導入、補助金申請のサポートを受けます。

IT導入補助金の対象者は、「中小企業・小規模事業者(個人事業主、フリーランス)」です。インボイス枠の電子取引類型では、中小企業や小規模事業者と受発注の取引を行っている事業者であれば、大企業も対象となります。

中小企業とは、資本金または従業員規模のどちらか一方が、以下の条件を満たしている企業を指します。

業種・組織形態資本金の額または出資の総額常勤の従業員
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

また、小規模事業者の定義は以下のとおりです。

業種・組織形態常勤の従業員
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

IT導入補助金に申請するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • gBizIDプライムアカウントの取得
  • SECURITY ACTIONの実施
  • みらデジ経営チェックの実施

gBizIDとは、さまざまな行政サービスにログインできる法人・個人事業主向けの共通認証システムです。IT導入補助金以外の補助金の電子申請の際にも必要となります。

SECURITY ACTIONは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。

みらデジ経営チェックは、経営課題解決に向けた「気づき」を見つけるための、チェック&サポートツールです。同業種・同地域の事業者と比較しながら、各種支援施策の紹介を受けられます。

みらデジ経営チェックは、通常枠においては必須要件、インボイス枠とセキュリティ対策推進枠では加点要件です。

2024年のIT導入補助金は、2023年までと比べて、以下のポイントで変更が行われました。

  • デジタル化基盤導入枠からインボイス枠に
  • ECサイト制作が対象外に
  • インボイス対応類型において小規模事業者の補助率が拡大
  • 電子取引類型において大企業も申請可能に

それぞれ詳しく解説します。

2024年のIT導入補助金では申請枠が再編されました従来のデジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス枠と複数社連携IT導入枠が新設されます

このことにより、2024年のIT導入補助金は、以下の4枠(5類型)で行われます。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

廃止されたデジタル化基盤導入枠は受発注ソフトや会計ソフトと並んで、ECサイト制作も対象でした。

しかし、新設のインボイス枠はECサイト制作が対象に含まれていないため、2024年のIT導入補助金では、ECサイト制作が対象外となりました。

インボイス枠のインボイス対応類型では、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトの導入補助額が50万円以下の場合、小規模事業者の補助率が4/5に拡大されます。

中小企業の場合の補助率は3/4であるため、小規模事業者への補助が手厚くなっています。

インボイス枠の電子取引類型のみですが、大企業も申請できるようになりました。

中小企業や小規模事業者と受発注の取引を行っており、中小企業・小規模事業者にITツールを無償で利用させる事業者が対象です。

2024年のIT導入補助金は、以下の4枠(5類型)で申請を受け付けます。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

一つずつ詳しく紹介します。

通常枠は、自社の課題にあったITツールの導入を通して、業務効率化と売上アップをサポートするものです。

たとえば、以下のようなケースで活用できます。

  • 供給・在庫・物流
  • 総務・人事・給与・労務
  • 顧客対応・販売支援

通常枠の補助率、補助額、補助対象、スケジュールは以下のとおりです。

補助率1/2以内
補助額1プロセス*以上5万円以上150万円未満
4プロセス*以上150万円以上450万円以下
補助対象ソフトウェア・ソフトウェア購入費
・クラウド利用料(最大2年分)
導入関連費(オプション)・機能拡張やデータ連携ツールの導入
・セキュリティ対策実施に係る費用
導入関連費(役務の提供)・導入コンサルティング
・導入設定、マニュアル作成、導入研修
・保守サポートに係る費用
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年3月15日(金)17:00
2次締切分締切日:2024年4月15日(月)17:00
3次締切分締切日:2024年5月20日(月)17:00

*プロセスとは?
「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収管理」「供給・在庫・物流」など業務ごとにプロセスが分けられており、1種類以上のプロセスを保有するソフトウェアの申請が求められます。

インボイス枠は、2023年10月に始まったインボイス制度を受けて、中小企業・小規模事業者のインボイス対応システムの導入を支援するものです。

インボイス枠では、「インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト」に加え、PC・レジ・券売機などのハードウェアも補助対象となります。

補助率と補助額、スケジュールは以下のとおりです。

インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト
補助対象補助率補助額
1機能以上を有するソフトの場合中小企業3/4以内
小規模事業者4/5以内
50万円以下
2機能以上を有するソフトの場合2/3以内50万円超~350万円以下※

※補助額50万円超の際の補助率は、補助額のうち50万円以下については3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については2/3

PC・ハードウェア等
補助対象補助率補助額
PC・タブレット等1/2以内10万円以下
レジ・券売機等20万円以下
補助対象ソフトウェア(必須)インボイス制度に対応し、会計・受発注・決済の機能を有するソフトウェア
オプション・機能拡張
・データ連携ツール
・セキュリティ
役務・導入コンサルティング
・導入設定、マニュアル作成、導入研修
・保守サポート
ハードウェア・PC
・タブレット
・プリンター
・スキャナ
・複合機
・POSレジ
・モバイルPOSレジ
・券売機
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年3月15日(金)17:00
2次締切分締切日:2024年3月29日(金)17:00
3次締切分締切日:2024年4月15日(月)17:00
4次締切分締切日:2024年4月30日(火)17:00
5次締切分締切日:2024年5月20日(月)17:00

インボイス対応類型は、以下のページで補助申請可能額をシミュレーションできるため、ぜひご活用ください。
補助金シミュレーター | IT導入補助金2024

インボイス枠の電子取引類型は、インボイス対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者に無償で利用させる場合に、導入費用の一部を支援するものです。

電子取引類型の補助率、補助額、補助対象、スケジュールは以下のとおりです。

補助率中小企業小規模事業者等2/3以内
その他事業者等1/2以内
補助額(下限なし)~350万円以下
補助対象受発注ソフト
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年3月15日(金)
2次締切分締切日:2024年4月15日(月)
3次締切分締切日:2024年5月20日(月)

セキュリティ対策推進枠では、サイバー攻撃によるリスクを低減する取り組みを支援します。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に載っているサービスが対象です。

セキュリティ対策推進枠の補助率、補助額、補助対象、スケジュールは以下のとおりです。

補助率1/2以内
補助額5万円以上100万円以下
補助対象ITツールの導入費用及び、サービス利用料(最大2年分)
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年3月15日(金)17:00
2次締切分締切日:2024年4月15日(月)17:00
3次締切分締切日:2024年5月20日(月)17:00

複数社連携IT導入枠では、複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールを導入し、生産性向上を図る取り組みが支援されます

業務上つながりのあるサプライチェーンや、特定の商圏で事業を営む商業集積地などに属する複数の中小企業・小規模事業者が対象です。ソフトウェアやハードウェアに加え、効果的に連携するためのコーディネート費や、取り組みへの助言を行う外部専門家への謝金なども補助対象に含まれます

複数社連携IT導入枠の補助対象経費、補助率、補助額、スケジュールは以下のとおりです。

補助対象経費補助率補助額
基板導入経費ソフトウェア3/4以内、4/5以内50万円以下×グループ構成員数3,000万円以下
2/3以内50万円超~350万円以下×グループ構成員数
ハードウェアPC・タブレット等1/2以内10万円×グループ構成員数
レジ・券売機等1/2以内20万円×グループ構成員数
消費動向等分析経費2/3以内50万円以下×グループ構成員数
その他経費2/3以内200万円以下
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年4月15日(月)17:00

2024年のIT導入補助金に申請する際は、以下の流れで行います。

  1. 公募要領の確認
  2. gBizIDプライムアカウントの取得、SECURITY ACTIONの実施
  3. みらデジ経営チェックの実施
  4. IT導入支援事業者とのマッチング・ITツールの選定
  5. 交付申請
  6. 交付決定
  7. ITツールの発注・契約・支払い
  8. 事業実績報告
  9. 補助金交付
  10. 事業実施効果報告

IT導入補助金の対象となるITツールの数は、数千個に及びます。自社に最適のITツールを見つけるためには、申請のパートナーであるIT導入支援事業者選びがポイントです。

IT導入補助金公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」で、ITツールやIT導入支援事業者を検索できるため、ぜひ活用して自社に合ったITツールとIT導入支援事業者を見つけましょう。

過去のIT導入補助金でITツールを導入した中小企業・小規模事業者が、どのような課題を解決し、成果を上げたのか、IT導入補助金公式サイトの活用事例から紹介します。

岩手県花巻市の株式会社ポケットマルシェは、クラウド会計ソフト「freee」を導入し、経理業務の効率化と高精度化を実現しました

同社の経理業務では、オフラインの会計ソフトを使用しており、複数人での同時作業が不可能で、さらに仕訳を手入力で行う必要がありました。

クラウド会計ソフトの導入で、オンラインバンキングとの連携により入出金履歴を自動で読み込めるようになり、売上分析など戦略的な業務に工数を割けるようになっています
(参照:株式会社ポケットマルシェ/IT導入補助金2020活用事例

宮崎県都農町の株式会社河北は、工事原価作成システム「Neo原価」を導入し、利益率0.17%が増大、年間120万円のコスト削減にも成功しました

同社では、作業ごとに会計システムとExcelシートが混在しており、二度手間や誤作業の原因となっていましたが、ITツールの導入でシステムの一元化が実現しました

また、クラウド型システムのため、他の現場の情報がリアルタイムに把握できるようになり、テレワークが可能になったというメリットもあります。
(参照:IT導入補助金 ITツール活用事例

大阪府八尾市の理化工業株式会社は、電子帳票ツールやRPAツール「WinActor」を導入し、業務の自動化・無人化を実現し、人件費の削減に成功しました

同社は、製造現場での帳票類が手書きのままで労力がかかっていたと同時に、新しいシステム内のデータを既存システムへ毎日移行する必要があり、再入力の手間がかかっていました。

RPAとは、Robotic Process Automationの略で、パソコンで行っている事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことです。電子帳票化やRPAの活用により、現場作業者の負担が軽減、また生まれた時間をデータ分析や事業アイデアの検討に充てられるようになりました
(参照:IT導入補助金 ITツール活用事例

IT導入補助金は申請枠の再編が行われ、デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス制度への対応を支援するインボイス枠が新設されました

2024年のIT導入補助金は、2024年2月16日(金)に受付開始予定です。公募要領が発表され次第よく確認し、パートナーとなるIT導入支援事業者とともに、自社の課題解決につながるITツールを導入しましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、中小企業様・小規模事業者様のIT導入補助金への申請をサポートしています。申請から実績報告までトータルサポートいたしますので、安心してお任せください。初回相談は無料です。以下からお気軽にご相談ください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

株式会社中小企業経営支援事務所

〒162-0802

東京都新宿区改代町27-4-1 クレスト神楽坂2F

TEL 03-5946-8609

もくじ