インバウンド対応力強化支援補助金とは?補助対象や申請方法、手続きのコツを解説

インバウンド対応力強化支援補助金の概要

日本に訪れる外国人観光客の数は、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年~2022年は大きく落ち込みましたが、2023年は復調の兆しを見せています。

JNTO(日本政府観光局)によれば、2020年の訪日外客数は約412万人(伸率-87.1%)、2021年は約25万人(伸率-94.0%)だったのに対し、2022年は人数は少ないものの約383万人(伸率1458.6%)と伸び、2023年は約2,507万人(伸率554.1%)まで増えました。2019年の約3,188万人には届いていないものの、訪日外国人が「戻りつつある」ということができます(参照:国籍/月別訪日外客数〈2003年~2024年〉丨JNTO)。

2014~2023年の訪日外客数の推移 参照:国籍/月別訪日外客数(2003年~2024年)丨JNTO

インバウンド対応力強化支援補助金とは、東京都にある宿泊施設や飲食店、観光施設などの観光関連事業者を対象に、外国人観光客の受け入れ環境整備を支援する補助金のことです。復調を見せるインバウンド需要に対応し、落ち込んだ事業の回復、持続的な成長を目指す事業者にとって本補助金は大きな支援となるでしょう。

この記事では、インバウンド対応力強化支援補の申請を考えている事業者向けに、東京観光財団が公開している「交付要綱」や「申請の手引」をもとに、本補助金の要点を紹介します。採択率を上げる手続きのコツも解説していますので、申請の参考資料としてご活用いただけますと幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

インバウンド対応力強化支援補助金とは

インバウンド対応力強化支援補助金とは、訪都外国人旅行者の受け入れ対応力の強化を目的とする、東京観光財団実施の補助金制度です。都内の宿泊施設や飲食店、観光事業者が、「外国人旅行者に安心・快適に過ごしてもらうための環境整備」を目指して設備投資やサービス拡充をする際にかかる費用の一部を補助します。

インバウンド対応力強化支援補助金では、東京都内にある以下の事業者を補助対象としています。

事業種別補助対象事業者
宿泊施設「旅館・ホテル営業」もしくは「簡易宿所営業」を行う施設
飲食店いずれの要件も満たしている店舗
①飲食店営業許可または喫茶店営業許可を受けている
②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している
③多言語メニュー作成支援ウェブサイト「EAT東京」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されている
免税店いずれの要件も満たしている店舗
①一般型消費税免税店か手続委託型消費税免税店
②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している
体験型コンテンツ提供施設等いずれの要件も満たしている施設
①体験型コンテンツの提供を自ら行っている
②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している
観光バス事業者いずれの要件も満たしている事業者
①観光周遊及び空港アクセス等の事業を行っている
②道路運送法の許可を受けている
③車両全長7m以上かつ乗車定員30人以上などの要件を満たした車両を用いて事業を営んでいる
中小企業団体等東京都内に主たる事業者を有している中小企業等協同組合や商工組合及び商工組合連合会など
観光関連事業者グループいずれの要件も満たしているグループ
①東京都内で営業する施設等を有する4者以上の事業者で構成されている
②大企業が実質的に経営に参画していない中小企業者が構成の2分の1以上を占めている
補助対象事業者の一覧

なお、営業停止処分などを受けている場合や風俗営業を行っている場合、大企業が実質的に経営に参画している場合などは対象外となります。

また、補助事業の交付決定取り消しを受けたことがある、過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けている、事業の継続性について不確実な状況(民事再生法や会社更生法、破産法にもとづく申立・手続中)が存在している場合も対象外です。

各対象事業者における補助対象経費、補助率、補助限度額は以下の通りです。

宿泊施設の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応施設の案内表示や館内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
公衆無線LANの設置ロビー、食堂、宴会場、客室などへの設置機器購入費、設置・工事費
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入機器購入費、設置費
館内及び客室内トイレの洋式化和式トイレを洋式トイレに改修備品購入費、工事費
客室の和洋室化既存客室(和室・洋室)を和洋室に改修工事費、資材購入費
館内及び客室内テレビの国際放送設備の整備機器購入費、設置費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
防犯カメラの設置出入口、ロビー、駐車場、フロントなどへの設置機器購入費、設置・工事費
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

1施設当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1施設当たり上限300万円(公衆無線LANと防犯カメラの設置については下記)

事業補助限度額設置箇所数上限
公衆無線LANの設置設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額1施設当たり50箇所
防犯カメラの設置上限90万円1施設当たり15箇所
公衆無線LANと防犯カメラの設置の補助限度額

飲食店・免税店の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応店舗の案内表示や店内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
公衆無線LANの設置客席、その他多くの客が利用する場所への設置機器購入費、設置・工事費
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入機器購入費、設置費
店内トイレの洋式化和式トイレを洋式トイレに改修備品購入費、工事費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
外国人向けグルメサイトへの登録・掲載飲食店のみ。サイト登録費用(初期費用+初月利用料)、コンテンツ作成費用(情報ページ作成、翻訳など)サイト初期登録費、初月月額費、サイト掲載記事等に係る作成・翻訳費など
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

補助率:1店舗当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1店舗当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)

補助対象事業補助限度額設置箇所数上限
公衆無線LANの設置設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額1施設当たり10箇所
公衆無線LANの設置の補助限度額

体験型コンテンツ提供施設等の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応施設の案内表示や施設内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
公衆無線LANの設置コンテンツの体験場所、その他多くの客が利用する場所への設置機器購入費、設置・工事費
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入機器購入費、設置費
施設内トイレの洋式化和式トイレを洋式トイレに改修備品購入費、工事費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

1施設当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1施設当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)

補助対象事業補助限度額設置箇所数上限
公衆無線LANの設置設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額1施設当たり10箇所
公衆無線LANの設置の補助限度額

観光バス事業者の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応車両設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
車両への公衆無線LANの設置機器購入費、設置・工事費
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入機器購入費、設置費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

1営業所当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1店舗当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)

補助対象事業補助限度額設置箇所数上限
公衆無線LANの設置設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額1車両当たり1箇所
公衆無線LANの設置の補助限度額

中小企業団体等、観光関連事業者グループの補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応案内表示・利用案内・ホームページ・パンフレットの多言語化、多言語対応タブレットの導入、翻訳機の購入など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

1団体・グループ当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1団体・グループ当たり上限1,000万円

インバウンド対応力強化支援補助金を申請する際は、補助対象外となる経費も明確に把握しておくことが重要です。補助対象外経費としては、以下のようなものが挙げられます。

項目内容
1.間接経費補助金申請や事業準備段階で発生する費用(申請書作成代行費、各種証明書取得経費、送料、交通費・宿泊費、収入印紙代、通信費、水道光熱費、振込手数料など)
2.設備・機器設置後の維持費設備や機器導入後のランニングコスト
3.人件費従業員の人件費(給与、賞与、社会保険料など)
4.施設整備費施設全体の改修や修繕費用(不動産取得費、建物管理費、建築・土木委託費など)
5.中古品の購入中古品の購入費用
6.リース・レンタル費用リースやレンタルによる設置機器に係る費用
7.消耗品費一定期間継続して使用できない消耗品の購入費用
8.交付決定前の支出補助金交付決定前に発注・施工・導入した設備などに係る費用
9.不適切な取引親会社、子会社、グループ会社などとの取引や、著しく高額な経費、社会通念上不適切な経費
10.その他理事長が適切でないと判断する経費

インバウンド対応力強化支援補助金の事業実施期間は、交付決定の通知を受けた日から1年間です。この期間内に、事業を完了させ、実績報告書を提出する必要があります。

インバウンド対応力強化支援補助金の募集期間は、令和6年4月1日(月)から令和7年3月31日(月)までです。

ただし、補助金申請額が予算額に達した時点で受付終了となるので注意しましょう。受付終了の場合は、東京観光財団のホームページにて発表されます。

インバウンド対応力強化支援補助金の手続きの流れ

インバウンド対応力強化支援補助金の申請から交付、そして実績報告までの流れを、各ステップの詳細な説明とともに解説します。

①交付申請
指定の申請書類を作成・準備し、東京観光財団に提出します(申請方法・必要書類は詳細後述)。

②東京観光財団による審査
東京観光財団が、提出された申請書類に基づいて審査を行います。必要に応じて、現地調査が行われることもあります。

③交付決定、東京観光財団が申請者に通知
審査の結果、補助金の交付が決定されると、東京観光財団から交付決定通知書が送付されます。

④事業着手
交付決定通知書を受け取った後、補助事業に着手します。交付決定日より前に事業を開始した場合は、補助金の交付対象外となるので注意が必要です。

⑤実績報告
補助事業完了後30日以内、または事業実施期間満了日のいずれか早い期日までに、補助事業実績報告書を東京観光財団に提出します(詳細後述)。

⑥東京観光財団による実績の検査
東京観光財団が、実績報告書の内容に基づき、必要に応じて現地調査を行い、事業の成果が交付決定の内容や条件に適合しているかを確認します。

⑦補助金交付額確定、東京観光財団が申請者に通知
実績報告書の内容が適切と認められると、補助金の交付額が確定し、東京観光財団から交付額確定通知書が送付されます。

⑧補助金請求
交付額確定通知書を受け取った後、東京観光財団に補助金の請求書を提出します。

⑨東京観光財団から補助金支払い
東京観光財団は、請求書を受理後、速やかに補助金を支払います。

⑩受入対応状況報告
実績報告の日から1年後、受入対応状況報告書を東京観光財団に提出します。ただし、災害時における外国人旅行者の受け入れ対応、公衆無線LANの設置、防犯カメラの設置のみを実施した場合は、提出は不要です。

インバウンド対応力強化支援補助金の申請手続きと必要書類

インバウンド対応力強化支援補助金の申請方法は、郵送と電子申請システムの2種類があります。

郵送による申請

必要書類をすべてそろえ、「簡易書留」や「レターパック」など、追跡可能な方法で下記の宛先まで郵送します。

項目内容
申請期限令和7年3月31日(月)当日消印有効
書類郵送先〒162-0801東京都新宿区山吹町346番地6日新ビル2階
公益財団法人 東京観光財団 観光産業振興部 観光インフラ整備課
「令和6年度インバウンド対応力強化支援補助金」担当者宛て
申請様式等のダウンロード先https://www.tcvb.or.jp/jp/project/infra/welcome-foreigner/

電子申請システム(JGrants)による申請

デジタル庁が提供する電子申請システム「JGrants」を利用した申請も可能です。

JGrantsを利用するには、「GビズID」のアカウント(gBizIDプライム)を取得する必要があります。アカウント発行には審査があるため、時間に余裕をもって手続きを行いましょう。

項目内容
申請期限令和7年3月31日(月)当日消印有効
JGrants上の申請URLhttps://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0W5h00000UdEtHEAV
申請様式等ダウンロード先JGrants上の申請URLと同じ ※郵送による申請とは様式が異なるので要注意

なお、JGrantsではシステムの仕様上、代理人による申請代行ができません。申請代行を希望する場合は、郵送で申請してください。

インバウンド対応力強化支援補助金の交付申請には、多数の書類が必要です。

ここでは、宿泊施設・飲食店・免税店・体験型コンテンツ提供施設等・観光バス事業者の提出書類を紹介します。中小企業団体等、観光関連事業者グループについては、「交付要綱」と「申請の手引き」をご参照ください。

書類名備考
交付申請書(第1号様式)印鑑証明書と同じ印鑑を使用
補助事業計画書(別紙1)複数施設等を申請する場合は、施設等ごとに作成
補助事業企画書(別紙2)・公衆無線LANおよび防犯カメラ設置事業は専用の補助事業企画書(別紙3または別紙4)を使用
・複数事業を実施する場合は、事業ごとに作成
・HPやチラシの多言語化などは、同一の多言語化でも別事業として、それぞれ補助事業企画書が必要
代行申請に係る委任状(別紙5)・代行を受けた者は、補助対象事業を請け負うことはできない
・JGrants申請の場合は提出不要
誓約書(第2号様式)・申請書に押印したものと同じ印鑑を使用
・JGrants申請の場合は自署が必要
★印鑑証明書<原本>・申請書および誓約書に押印したものと同じ印鑑のものを提出
・JGrants申請の場合は提出不要
★登記簿謄本等→法人:★履歴事項全部証明書<原本>→個人:★開業等届出書<写し>
社歴書・経歴書
→法人:社歴書
→個人:経歴書
書式任意
直近2期分の確定申告書<写し>→法人:貸借対照表、損益計算書→個人:税務署による収受印を確認できる税務申告書類・当期純利益が2期連続赤字の場合は、経営(改善)計画書(様式任意・原則1年分)を添付
・新規創業した施設や店舗などの場合、創業・経営計画書を提出
納税証明書<原本>
→法人:直近の法人都民税および法人事業税(都税事務所発行)→個人:直近の個人都民税(区市町村発行)および個人事業税(都税事務所発行)
最新の納税証明書(納税直後で発行が受けられない場合は直近納付時の領収証書の写し)を提出
申請内容が確認できる書類申請事業によって提出書類が異なる(詳細は後述)
見積書(経費の積算内訳書または見積内訳書)各事業に係る経費が50万円(税込)以上の場合は、複数の見積書を提出
利用者向けパンフレット施設・店舗の概要がわかるもの。ホームページの写し可
営業許可書<写し>補助金申請後に許可を受ける予定のときは、許可申請書の写し(保健所の収受印があるもの)を提出
EAT東京(飲食店のみ)「EAT東京」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されていることがわかるもの(登録ページの写しなど)を提出
交付申請時に必要な書類 ※★…申請日から3ヶ月以内のものに限る

この他、申請する事業内容によって、以下のような書類を提出する必要があります。

【工事を伴う事業の提出書類】

1.公衆無線LAN

  • 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面
  • 仕様書(工事内容などがわかるもの)
  • 工程表(スケジュール)
  • 購入機器のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
  • 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
  • 設置前速度写真(更新の場合は必須)

2.防犯カメラ

  • 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面
  • 仕様書(工事内容などがわかるもの)
  • 工程表(スケジュール)
  • 購入機器のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
  • 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
  • 防犯カメラ管理規程

3.その他

  • 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面・展開図
  • 仕様書(工事内容などがわかるもの)
  • 工程表(スケジュール)
  • 購入資材のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
  • 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)

【研修事業の提出書類】

  • 開催日・開催時間・開催場所がわかるもの
  • 参加者リスト
  • 研修の内容が確認できるもの
  • 使用予定テキストの写し
  • 講師プロフィールなど

【その他事業の提出書類(多言語化など)】

  • 仕様書
  • 工程表
  • 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
  • 施工前のホームページ・パンフレット・メニューなどの写し
  • サイトマップや画面イメージなど

インバウンド対応力強化支援補助金の実績報告と必要書類

インバウンド対応力強化支援補助金の実績報告は、補助事業完了後30日以内、または事業実施期間満了日のいずれか早い期日までに、東京観光財団に必要書類を送付する形で行います。

実績報告は、補助事業を適切に実施したことを証明し、補助金の交付を受けるために非常に重要です。不備や遅延があると、補助金の減額や交付取り消しになる可能性もあります。

以下、実績報告に必要な書類です。事業内容によって追加で必要な書類もありますので、「交付要綱」と「申請の手引き」をよく確認しましょう。

書類名備考
実績報告書(第7号様式、別紙1)
契約書または注文書の写し
契約金額明細書または内訳書の写し個人への支払いの場合は、源泉徴収税分を補助対象外経費として控除
納品書の写しまたは施工業者発行の完了届の写し
請求書の写し
銀行振込受領書または契約先発行の領収書の写し
寄付金その他の収入について、内容及び内訳のわかる資料該当する場合のみ
成果物各種以下を参照
公式ホームページやSNSなどで補助事業実施を周知していることがわかる資料補助金名の記載有無は不問
その他理事長が必要とする資料
実績報告時に必要な書類

成果物各種としては、以下のようなものが挙げられます。

【工事を伴う事業】

1.公衆無線LAN

  • 完了届
  • 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
  • 購入資材のカタログ
  • 保証書の写し
  • 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
  • シリアル№が確認できる書類
  • 全設置前後速度写真

2.防犯カメラ

  • 完了届
  • 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
  • 購入資材のカタログ
  • 保証書の写し
  • 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
  • シリアル№が確認できる書類

3.その他

  • 完了届
  • 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
  • 購入資材のカタログ
  • 保証書の写し
  • 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
  • シリアル№が確認できる書類

研修事業

  • カリキュラム
  • テキスト
  • マニュアル
  • 講師一覧、参加者一覧(出欠を確認した出欠表やタイムレコーダーなどの写し)
  • 開催日・開催時間・開催場所のわかるもの
  • 開催の様子がわかる写真(日付入りで講師と参加者全員が映っている様子がわかるもの)
  • 外部セミナー受講の場合は、外部セミナーで受講したことが確認できる書類(受講証など)

その他事業

  • パンフレット・メニュー等の成果物
  • 施工後のホームページの写し
  • 設置・施工後の最新の写真(しるし付き)

インバウンド対応力強化支援補助金の受け入れ対応状況の報告と必要書類

インバウンド対応力強化支援補助金では、補助事業の効果を測定するため、実績報告書提出から1年後に、受入対応状況報告書(第10号様式、別紙1)を提出する必要があります。

ただし、以下の事業のみを実施した場合は、提出が免除されます。

  • 災害時における外国人旅行者の受け入れ対応
  • 公衆無線LANの設置
  • 防犯カメラの設置

インバウンド対応力強化支援補助金の留意点

インバウンド対応力強化支援補助金では、他にもさまざまな留意点があります。ここでは4点を紹介します。

補助事業者様は、インバウンド対応力強化支援補助金の申請に関わる手続きを、他の事業者に代行させることができます。

ただし、代行を依頼された事業者は、補助対象事業を請け負うことはできません。

また、電子申請システム(JGrants)は、システムの仕様上、代理人による申請代行ができないため、申請代行を希望するときは郵送で申請する必要があります。

事業者は、補助事業の内容を変更・中止する場合、または補助事業が予定期間内に完了できない見込みとなった場合、速やかに東京観光財団に申請書類(第4号様式)を提出し、承認を得なければいけません。

期間内に補助事業を完了できない場合も同様です。この場合は、申請書類(第6号様式)を東京観光財団に提出します。

以下のような行為をした場合、補助金の交付決定の取り消しが行われる場合があります。

  • 不正な手段で補助金を交付を受けた、あるいは受けようとしたとき
  • 補助金を別の用途に使用した、あるいは使用しようとしたとき
  • 交付決定を受けた者が暴力団員等に該当することになったとき
  • 補助金の交付決定の内容やそれに関する条件などに違反したとき
  • 実績報告書の提出がなかったとき
  • その他、理事長が補助事業として不適切と判断したとき

すでに補助金が公布されている中で交付の取り消しが決定されたときは、東京観光財団への返還が求められます。その際は、補助金を受け取った日から返還する日までの日数に応じて違約加算金が発生します。

また決められた返還日までに納付しなかった場合は、返還日の翌日から実際に返還した日までの日数に応じて延滞金が発生します。

インバウンド対応力強化支援補助金の採択率を上げるポイント

最後に、インバウンド対応力強化支援補助金の採択率を上げるポイントを3つ紹介します。

インバウンド対応力強化支援補助金の申請では、東京観光財団が公開している交付要綱と申請の手引を読み込むことが重要です。この記事で触れていない注意点も多くありますので、必ず目を通すことをおすすめします。

また、目を通すときは、本補助金の目的や東京観光財団が事業者に対して求めていることを意識することが大切です。そうした姿勢が、審査員に高く評価される申請書類の作成や、必要書類のヌケモレの予防に自ずとつながります。

インバウンド対応力強化支援補助金に採択されるためには、事業の現状と課題を分析し、実現可能な事業計画を立てることが重要です。

例えば、以下のような項目を検討してみましょう。

検討項目具体的な内容
現状分析外国人旅行者の来店状況、国籍や地域、ニーズに加え、自社のインバウンド対応の現状における課題や競合店のインバウンド対応状況を分析する
課題の抽出と優先順位付け現状分析の結果、明らかになった課題を具体的に列挙し、課題の重要度や緊急性を評価して優先順位をつける
事業内容と目標の設定課題を解決するために、どのような事業を行うか具体化するとともに、事業の目標を数値化して設定する
事業の効果と評価方法事業による効果の見込みや、測定・評価方法を明確にする
スケジュールと体制事業のスケジュールを具体的に立て、誰がどのような役割を担うのかを明確にする
補助金の活用計画明確にした事業の詳細に対して、補助金をどのように活用するか計画を立てる
事業の継続性と発展性補助金の交付期間終了後も、事業をどのように継続・発展させていくのかも言語化する
実現可能な事業計画を立てるときの検討ポイント

上記はあくまで一例ですが、これらの項目を検討した上で作成した事業計画書は、審査員にも良い印象を与えることができます。

インバウンド対応力強化支援補助金に申請するときは、補助金申請の専門家にサポートを依頼することも有効です。

専門家には税理士や行政書士などさまざまですが、おすすめは中小企業診断士や補助金申請に精通した経営コンサルタントです。これらの専門家は、中小企業の経営支援の経験が豊富であり、事業の深い部分まで理解した上で、説得力のある事業計画を立てる能力に長けています。

採択されるか不安がある、作成した事業計画に説得力があるかわからないなど、少しでも悩んだときはぜひ相談してみてください。

インバウンド対応力強化支援補助金の申請にお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

インバウンド対応力強化支援補助金は、東京都内の宿泊施設や飲食店、免税店などを対象に、外国人旅行者の受け入れ環境の整備を目的とした補助金です。

一方、本補助金では非常に多くの申請書類が求められ、また注意しなければいけない点も少なくありません。本記事で紹介したとおり、特に初めて補助金申請をする事業者は、中小企業診断士や補助金申請に精通した経営コンサルタントのサポートを受けることをおすすめします。

中小企業経営支援事務所では、補助金申請のエキスパートが事業者の思いや悩みにしっかり寄り添った上で、事業計画書の作成や申請のサポートを実施しています。採択率を上げるだけでなく、補助金を活用して事業を継続・発展できるように支援を行っているのが当社の特徴です。

初回相談は無料ですので、もし申請を検討していましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

【令和6年度】中小企業生産性向上促進事業費補助金とは?概要から採択率を上げるまで徹底解説

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の概要

神奈川県が実施している「令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金」は、人手不足解消や売上アップを目指すなら、ぜひ活用を検討したい補助金制度です。

生産性向上につながる設備投資やITシステム導入などを補助対象とし、補助率は最大で経費の3分の2。採択を通して補助金を受け取ることができれば、経営にとって大きな支えとなるでしょう。

この記事では補助金や申請方法から、採択されるためのポイントやコツまで、最新の公募要領をもとにわかりやすく解説しています。「申請が難しそう……」と感じている人は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金とは?

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金とは、神奈川県が実施する、物価高騰や人手不足といった厳しい経済環境にある県内の中小企業を支援するための補助金です。

具体的には、中小企業者が行う「生産性向上や業務プロセスの改善、人手不足の解消に資する設備導入等」を支援するものです。

補助金の申請を考えている事業者は、まず自身が補助の対象となる事業者であるかを確認する必要があります。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の概要は以下の通りです。

項目内容
補助金の目的中小企業者の「稼ぐ力」の安定・強化
補助金の対象者神奈川県内に事業所を有する中小企業者
補助対象事業生産性向上や業務プロセスの改善、人手不足の解消に資する設備の導入等
補助率補助対象経費の2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)
補助上限額500万円(下限は25万円)
事業実施期間交付決定日から令和7年1月31日まで(2次公募の場合は、令和7年2月28日まで)
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の概要

以下、最新の公募要領(令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金〈2次公募〉の公募要領)をもとに詳しく説明します。

本補助金は、中小企業の生産性向上を支援することを目的としています。

目的内容
中小企業の「稼ぐ力」の安定・強化生産性向上に資する設備導入等を支援することで、収益力向上を図る
賃上げによる成長と分配の好循環の創出賃上げの原資となる収益を獲得することで、従業員へ還元し、更なる企業の成長へとつなげる
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の目的

本補助金を通して、中小企業が厳しい経済環境を乗り越え、持続的な成長を実現することが期待されています。

本補助金は、神奈川県内に事業所を持ち、かつ「中小企業支援法(昭和38年法律第147号)」第2条第1項に規定する中小企業者が該当します。

ただし、補助金の対象となる事業を行う事業所が神奈川県内でなければなりません。

補助率と補助上限額は以下のようになっています。

区分補助率補助上限額
生産性向上促進事業補助対象経費の2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)500万円(下限は25万円)
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の補助上限額・補助率

例えば、1,000万円の設備投資を行う場合、中小企業であれば最大500万円、小規模事業者であれば最大666万円が補助されます。

本補助金における補助対象経費は以下の3つです。

費目補助対象経費の内容
①機械装置等費補助事業を実施するために必要な機械装置等の購入費用。中古品も補助対象。リースやレンタルは対象外
②ITサービス導入費補助事業を実施するために必要なITサービスやシステムの導入・開発費用。ソフトウェア、クラウドサービスの購入費用や、導入するITサービスやシステムの月額・年間の利用料・契約料も補助対象
③施設工事費①機械装置等費や②ITサービス導入費で導入する機械やサービスのために必要な施設工事費用。外注費用のみが対象。施設工事費のみの申請は不可
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の補助対象経費

補助対象となる経費は、補助事業を遂行するために必要かつ明確に特定できるもので、交付決定日以降に開始し、補助事業完了日までに完了した経費です。支払金額が証明書類で確認でき、事業実施の証明書類で適切な実施が確認できること、具体的で数量等が明確であること、価格が一般価格や市場価格と比較して適正であると認められることも条件となります。

一方、補助対象外となる経費は、補助対象経費として認められない費用です。例えば、土地や建物の購入費、賃借料、修繕費、人件費、補助事業期間内に使い切らない消耗品費、交際費、既存設備の撤去費用や廃棄費用などが挙げられます。

本補助金の公募は、1次公募と2次公募に分かれており、それぞれ以下の表の通り日程が設定されています。

公募期間備考
1次公募令和6年4月1日(月)9時~令和6年5月31日(金)17時申請は締め切りました
2次公募7月締切分令和6年7月10日(水)9時~令和6年7月31日(水)17時申請は締め切りました
2次公募8月締切分令和6月8月1日(木)9時~令和6年8月30日(金)17時
2次公募9月締切分令和6月9月2日(月)9時~令和6年9月30日(月)17時
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の公募期間

郵送の場合は、当日消印有効となります。8月31日(土)消印の分は8月締切分、9月1日(日)消印の分は9月締切分として審査されます。

1次公募に申請した方は、2次公募に申請することはできません。

本補助金の事業実施期間は、1次公募と2次公募で異なります。

公募事業実施期間
1次公募交付決定日~令和7年1月31日(金)
2次公募交付決定日~令和7年2月28日(金)
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の事業実施期間

補助金の対象となる事業は、交付決定日から上記期間内に実施した事業のみです。交付決定日より前や、1次公募の場合は令和7年2月1日(土)、2次公募の場合は令和7年3月1日(土)以降に実施した事業は補助の対象になりません。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請手続きについて

本補助金の申請方法は、原則としてe-kanagawa電子申請システムを利用します。電子申請システムが使えない場合は、郵送での申請も可能です。

e-kanagawa電子申請システムを利用する場合

  1. e-kanagawa電子申請システムにアクセスする
  2. 利用者登録を行う(GビズIDアカウントを持っている場合はログイン)
  3. 申請書類をダウンロードする
  4. 必要事項を入力し、添付書類をアップロード
  5. 内容を確認し、送信する

郵送で申請する場合

  1. 申請書類をダウンロードする
  2. 必要事項を記入し、必要書類を添付する
  3. 以下の提出先へ郵送する
【令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金 申請書類提出先】
〒231-0033 神奈川県横浜市中区長者町5-60 NTT長者町ビル 2Fテルウェル東日本株式会社内 生産性向上補助金事務局 宛

申請に必要な書類は、大きく分けて以下の3種類です。これらの書類は、すべて正確かつ詳細に記入することが重要です。誤りや不足があると、申請が受理されない場合や、審査に不利になる可能性があります。

チェックリスト

補助金交付申請に用いるチェックリストです。郵送の場合のみ提出が必要となります。神奈川県のホームページからダウンロード可能です。

交付申請書類

交付申請書類は、補助金の申請内容や事業計画を具体的に記載する書類です。申請書の様式は、神奈川県のホームページからダウンロードできます。

・様式1:補助金交付申請書
・様式1-2:役員等氏名一覧表
・様式1-3:補助事業計画書
・様式1-4:経費予算書
・様式1-5:県外調達理由書(県外事業者から調達する場合のみ)
交付申請書類

添付書類

添付書類は、補助対象となる経費の根拠となる見積書や企業の現状を示す決算書など、補助金交付の可否を判断するために必要な書類です。

・申請する経費の見積書等
・工事前の現況写真(該当する場合のみ)
・更新前のECサイトの画面(該当する場合のみ)
・決算書等(直近2期分)
・履歴事項全部証明書または現在事項全部証明書(法人のみ)
・県税の未納がないことを証する納税証明書営業許可証等(該当する場合のみ)
・パートナーシップ構築宣言にかかる宣言書(加点を受ける場合のみ)
・事業継続力強化計画の認定を受けていることを証する書類または申請していることがわかる書類(加点を受ける場合のみ)
添付書類

本補助金の申請から支払いまでの流れは、以下の表の通りです。

手続き内容期間の目安
①申請書類の提出公募期間内に、神奈川県の生産性向上補助金事務局に申請書類を提出
②審査神奈川県が提出された申請書類に基づき、審査を実施1~2カ月程度
③交付決定通知審査の結果、補助金の交付が決定したら、神奈川県が当該事業者に「交付決定通知書」を郵送交付決定後、1週間程度
④補助事業の実施事業者は交付決定通知書を受領したら、補助事業に着手交付決定日から令和7年1月31日まで
2次公募の場合は、令和7年2月28日まで
⑤実績報告書の提出事業者は補助事業完了後、神奈川県の生産性向上補助金事務局に実績報告書を提出補助事業完了後、速やかに
⑥補助金の交付実績報告書の内容に基づき、補助金の額が確定したら、事業者に交付される実績報告書提出後、1~3カ月程度
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請から支払いまでの流れ

補助金を受けるためには、それぞれの段階で適切な手続きを行う必要があります。また、審査や交付決定、補助金交付にはそれぞれ期間を要しますので、余裕を持って申請を進めるようにしましょう。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の実績報告について

本補助金を受給した場合、交付申請の内容に基づき、補助事業を適切に実施したかどうか、補助金の交付条件どおりに事業が遂行されたかどうかを事務局に報告する義務があります。これを実績報告と言います。

実績報告は、補助金の交付決定を受けた後、事業完了日から起算して30日以内に行わなければいけません。実績報告を怠ったり、虚偽の内容を報告したりすると、補助金の返還を求められる可能性があるため注意しましょう。

項目内容
補助事業の実施状況補助事業の内容を具体的に実施期間、場所、内容の詳細
補助対象経費の支出状況補助金の交付申請書に記載した経費と実際に支出した経費を比較した内容
補助事業の成果補助事業により期待された成果(数値を用いての具体的な内容)
補助事業の今後の活用計画補助事業の成果を踏まえ、今後どのように事業に活用していくか、その具体的な計画

実績報告は、規定の書類を事務局に提出する形で行います。提出書類は大きく分けて、以下の3種類です。

実績報告チェックリスト

実績報告チェックリストは郵送の場合のみに提出する書類です。神奈川県のホームページからダウンロードできます。

実績報告書類

実績報告書類は、補助事業が申請内容や事業計画通りに実施されたかを証明する書類です。こちらも神奈川県のホームページからダウンロードできますので、事業内容に合わせて作成しましょう。

・様式5:補助金実績報告書(電子申請システムで自動作成)
・様式5-2:補助事業報告書
・様式5-3:経費決算書
・様式5-4:補助金取得財産管理台帳
実績報告書類

添付書類

添付書類は、実績報告書類の内容を補足する書類です。補助事業で実際に経費を使用したことを証明する書類や、事業の成果物を示す書類など、さまざまな書類があります。

・補助金の振り込みを受ける金融機関の通帳
・補助対象経費の支出を証する書類(請求書、領収書、契約書など)
・事業の実施状況を証する書類(写真、作業日報など)
添付書類

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金においては、ほかにも以下のような留意点があります。

補助事業を進めていく中で、変更が必要になった場合には、事業実施前かつ令和7年1月17日までに、「補助金変更承認申請書」などの必要書類を提出することが求められます。提出前に、必ず生産性向上補助金事務局に連絡を取り、変更内容について相談するのを忘れないようにしましょう。

補助事業を完全に中止する場合や、令和7年2月28日までに事業が完了しなかった場合、補助金の支払いは行われません。特別な事情により事業完了が遅れる場合は、令和7年1月17日までに生産性向上補助金事務局に連絡する必要があります。

補助金を利用して取得した財産の「処分」とは、補助事業目的以外で使用する、譲渡、交換、貸付、担保権設定、取壊、廃棄、移転等することをいいます。

補助金を使って取得した財産のうち、単価が50万円(税抜)以上のものは「処分制限財産」に該当し、補助事業が完了した後も一定期間は処分が制限されます。例えば、補助金で購入した機械を、別の会社に売却したり、別の事業で使用したりする場合は、処分に該当するため、事前に許可を得る必要があります。

処分制限期間は、原則として10年です。ただし、取得した財産の耐用年数が10年未満の場合は、その耐用年数が処分制限期間となります。

処分制限期間中に処分制限財産を処分する場合は、事前に「補助金取得財産等の処分承認申請書」を生産性向上補助金事務局へ提出し、承認を得る必要があります。

無断で処分した場合は、補助金の返還を求められる可能性があります。返還額は、原則として、処分時の時価に補助率を乗じた金額となります。

ほかにも以下のような留意点があります。

  • 補助金の不正使用の禁止:補助金は、交付決定を受けた事業の遂行のためにのみ使用することができ、他の目的への使用は認められていません。
  • 交付決定内容の遵守:補助事業の内容や経費の使い道は、交付決定の内容に厳格に従う必要があります。
  • 補助対象経費の厳格な管理:補助対象となる経費とそうでない経費を明確に区別し、適切な会計処理を行う必要があります。
  • 関係書類の適切な保管:補助事業に関する書類は、事業完了後も一定期間保管する義務があります。

これらの留意点を守らない場合、補助金の返還を請求されたり、今後の補助金の交付が制限されたりする可能性があります。

また、補助事業の実施期間中は、県の職員による実地検査が行われる場合があります。これは、補助事業が適切に進められているかを確認するために行われるものであり、補助金受給者は、検査に協力する義務があります。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金は、申請したら必ず受け取れるわけではありません。また受給後も、さまざまな点に注意する必要があります。

申請を考えている事業者の人に向けて、特におさえておきたいポイントを三つ紹介します。

補助金に申請するときは、公募要領をよく読み込み、その目的や意図を汲み取ることが大切です。単にルールのクリアだけを意識していると、書類を審査する側に響かない事業計画書になってしまったり、必要な書類の用意を忘れてしまったりする可能性が高くなります。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金補助金は、人手不足や生産性向上といった課題を抱える中小企業を支援し、県経済全体の活性化を目指しています。そのため、補助金を受け取る事業者には、補助金を有効活用し、持続的な成長を実現していくことが求められています。

このことを前提に、なぜこの要件なのか、なぜこういった必要書類が求められているのか、などを意識しながら公募要領を読み込むことをおすすめします。

この補助金を受け取るために重要になってくるのが、申請時に提出する事業計画書のクオリティです。事業計画書をどれだけ作り込めているかが採択の鍵を握ります。

そのためにも、以下の点を意識することが重要となるでしょう。

審査項目・加点項目

公募要領に示されている審査項目・加点項目は、審査側が重要視するポイントを明確に示しています。これらの項目を深く理解し、事業計画書に具体的に反映させることで、採択の可能性を高めることができます。

審査項目には要件審査と事業有効性審査の2つがあります。

1.要件審査

まずは、補助を受けるための基本的な要件を満たしているかどうかの確認が行われます。具体的には、以下の点が挙げられます。

・対象となる事業者であるか
・補助金の要件を満たしているか
・申請書類に不備や不足がないか
・補助事業に必要な経費として認められるか
・見積もりの内容が適正で、補助対象外の経費が含まれていないか
要件審査

2.事業有効性審査

事業の有効性については、提出された事業計画の内容を精査し、実現可能性や収益性、そして生産性向上への効果などが総合的に判断されます。

・事業計画は公募要領に沿っているか、具体的で実現可能な内容となっているか
・社会通念上、問題のない事業内容であるか
・自社の強みや弱みを分析し、それを活かした計画となっているか
・事業収支計画は実現可能で、継続的に収益を上げられる見込みがあるか
・付加価値額を3年間で4.5%以上増加させることができるか
・増加した付加価値額は、従業員の給与にも適切に分配される計画となっているか
・生産性向上に必要な投資であり、費用対効果に見合ったものとなっているか
・資金計画は実現可能で、無理なく事業を進められるものとなっているか
事業有効性審査

また、以下の項目を満たしている場合は、審査において加点される可能性があります(加点項目)。

・「パートナーシップ構築宣言」を行い、宣言日が申請日までであること
・「事業継続力強化計画(単独型・連携型)」の認定を受けている、または申請中であること
加点項目

事業者の事業に対する思い

補助金申請は、単なる事務手続きではありません。事業者の熱い思いや将来へのビジョンを伝える絶好の機会です。審査項目にとらわれすぎることなく、自社の強みや独自性を活かした、魅力的な事業計画書を作成しましょう。

事業者の情熱や具体的な目標が伝わることで、審査側の心を動かし、採択へとつながる可能性が高まります。

各種必要書類は、事業計画の内容を裏付ける根拠となるものです。それぞれの書類がなぜ必要なのか、審査側へどのような情報を伝えるためなのかを理解し、丁寧に準備することが重要です。

例えば、見積書は補助対象経費の妥当性を判断するための資料となります。相見積もりを取得することで、価格の妥当性をより明確に示すことができます。また、事業実施の証明書類(写真等)は、補助事業が実際に実施されたことを証明するための重要な資料となります。写真の内容や撮影方法にも注意を払い、事業内容が明確に伝わるように準備しましょう。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請は、複雑で時間と労力を要します。思った以上に大変……という声は少なくありません。

そこで、おすすめしたいのが、補助金申請の専門家にサポートを依頼することです。ここでは相談するメリットや専門家の探し方について紹介します。

専門家のサポートを受けるメリットは多岐にわたります。特に大きいのが以下の4つです。

メリット説明
時間と労力の削減申請書類の作成や手続きを効率的に進められるようになる
採択率の向上事業計画や申請書類の的確なブラッシュアップによる採択率の向上が期待できる
最新情報の入手頻繁に改定される補助金制度の最新情報を得られる
申請後のフォローアップ採択後に求められる実績報告や精算手続きなど、複雑な手続きのサポートも受けられる
専門家に相談するメリット

このように、専門家のサポートを受けると、時間と労力の削減、採択率の向上、最新情報の入手、申請後のフォローアップといった多くのメリットが得られます。

補助金申請を専門家に依頼するメリットは多岐に渡りますが、いざ専門家を探そうとすると思わぬ苦労をするかもしれません。

大きく分けて、以下の3つの手段があります。

手段具体的な方法メリットデメリット
公的機関の窓口を利用する各都道府県の中小企業支援センターや商工会議所などに相談相談は無料で行うことができたり、専門家を紹介してもらえたりする地域や機関によっては、専門家の数が限られている場合があり、希望する専門家が見つからない可能性がある
インターネットで検索する補助金申請や経営コンサルティングなどのキーワードで検索全国各地の専門家を比較検討することができる情報が多すぎるため、自分に合った専門家を見つけるのが難しい場合がある
紹介を受ける銀行や税理士、弁護士など、普段から付き合いのある専門家に相談して紹介してもらうすでに信頼関係が構築されている専門家を紹介してもらえる可能性が高い必ずしも希望する専門家を紹介してもらえるとは限らない
専門家の見つけ方

どの方法で専門家を探す場合でも、複数の専門家に相談し、実績や費用、対応などを比較検討することが大切です。

面談を通して、自分の事業内容や課題を理解し、親身になって相談に乗ってくれる専門家を選びましょう。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金をお考えでしたら、中小企業経営支援事務所にご相談ください

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金は、中小企業の生産性向上を目的とした神奈川県主催の制度です。

中小企業の大きな助けとなる制度ですが、受給するためにはさまざまな点に留意する必要があります。そのため、申請したいけれど、なかなか時間が作れない……と悩んでいる事業者もいるでしょう。

もし申請に関して悩んでいる場合は、ぜひ一度、中小企業経営支援事務所への相談をご検討ください。

中小企業経営支援事務所は、中小企業の経営課題解決をサポートする専門機関です。補助金申請についても豊富な知識と経験を持つ専門家が在籍しており、採択率を高めるための支援体制が整っています。

相談は無料ですので、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。

株式会社中小企業経営支援事務所

〒162-0802

東京都新宿区改代町27-4-1 クレスト神楽坂2F

TEL 03-5946-8609

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