インバウンド対応力強化支援補助金とは?補助対象や申請方法、手続きのコツを解説
日本に訪れる外国人観光客の数は、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年~2022年は大きく落ち込みましたが、2023年は復調の兆しを見せています。
JNTO(日本政府観光局)によれば、2020年の訪日外客数は約412万人(伸率-87.1%)、2021年は約25万人(伸率-94.0%)だったのに対し、2022年は人数は少ないものの約383万人(伸率1458.6%)と伸び、2023年は約2,507万人(伸率554.1%)まで増えました。2019年の約3,188万人には届いていないものの、訪日外国人が「戻りつつある」ということができます(参照:国籍/月別訪日外客数〈2003年~2024年〉丨JNTO)。
インバウンド対応力強化支援補助金とは、東京都にある宿泊施設や飲食店、観光施設などの観光関連事業者を対象に、外国人観光客の受け入れ環境整備を支援する補助金のことです。復調を見せるインバウンド需要に対応し、落ち込んだ事業の回復、持続的な成長を目指す事業者にとって本補助金は大きな支援となるでしょう。
この記事では、インバウンド対応力強化支援補の申請を考えている事業者向けに、東京観光財団が公開している「交付要綱」や「申請の手引」をもとに、本補助金の要点を紹介します。採択率を上げる手続きのコツも解説していますので、申請の参考資料としてご活用いただけますと幸いです。
当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。
もくじ
インバウンド対応力強化支援補助金とは
インバウンド対応力強化支援補助金とは、訪都外国人旅行者の受け入れ対応力の強化を目的とする、東京観光財団実施の補助金制度です。都内の宿泊施設や飲食店、観光事業者が、「外国人旅行者に安心・快適に過ごしてもらうための環境整備」を目指して設備投資やサービス拡充をする際にかかる費用の一部を補助します。
補助対象事業者
インバウンド対応力強化支援補助金では、東京都内にある以下の事業者を補助対象としています。
事業種別 | 補助対象事業者 |
---|---|
宿泊施設 | 「旅館・ホテル営業」もしくは「簡易宿所営業」を行う施設 |
飲食店 | いずれの要件も満たしている店舗 ①飲食店営業許可または喫茶店営業許可を受けている ②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している ③多言語メニュー作成支援ウェブサイト「EAT東京」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されている |
免税店 | いずれの要件も満たしている店舗 ①一般型消費税免税店か手続委託型消費税免税店 ②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している |
体験型コンテンツ提供施設等 | いずれの要件も満たしている施設 ①体験型コンテンツの提供を自ら行っている ②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している |
観光バス事業者 | いずれの要件も満たしている事業者 ①観光周遊及び空港アクセス等の事業を行っている ②道路運送法の許可を受けている ③車両全長7m以上かつ乗車定員30人以上などの要件を満たした車両を用いて事業を営んでいる |
中小企業団体等 | 東京都内に主たる事業者を有している中小企業等協同組合や商工組合及び商工組合連合会など |
観光関連事業者グループ | いずれの要件も満たしているグループ ①東京都内で営業する施設等を有する4者以上の事業者で構成されている ②大企業が実質的に経営に参画していない中小企業者が構成の2分の1以上を占めている |
なお、営業停止処分などを受けている場合や風俗営業を行っている場合、大企業が実質的に経営に参画している場合などは対象外となります。
また、補助事業の交付決定取り消しを受けたことがある、過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けている、事業の継続性について不確実な状況(民事再生法や会社更生法、破産法にもとづく申立・手続中)が存在している場合も対象外です。
補助対象事業・補助対象経費
各対象事業者における補助対象経費、補助率、補助限度額は以下の通りです。
宿泊施設の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額
補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容 | 補足 | 補助対象経費の例 |
---|---|---|
多言語対応 | 施設の案内表示や館内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費 |
公衆無線LANの設置 | ロビー、食堂、宴会場、客室などへの設置 | 機器購入費、設置・工事費 |
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入 | ー | 機器購入費、設置費 |
館内及び客室内トイレの洋式化 | 和式トイレを洋式トイレに改修 | 備品購入費、工事費 |
客室の和洋室化 | 既存客室(和室・洋室)を和洋室に改修 | 工事費、資材購入費 |
館内及び客室内テレビの国際放送設備の整備 | ー | 機器購入費、設置費 |
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成 | 研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など | 講師謝金、会場使用料 |
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応 | 防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金 |
防犯カメラの設置 | 出入口、ロビー、駐車場、フロントなどへの設置 | 機器購入費、設置・工事費 |
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業 | ー | ー |
補助率
1施設当たりの補助対象経費の2分の1以内
補助限度額
1施設当たり上限300万円(公衆無線LANと防犯カメラの設置については下記)
事業 | 補助限度額 | 設置箇所数上限 |
---|---|---|
公衆無線LANの設置 | 設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額 | 1施設当たり50箇所 |
防犯カメラの設置 | 上限90万円 | 1施設当たり15箇所 |
飲食店・免税店の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額
補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容 | 補足 | 補助対象経費の例 |
---|---|---|
多言語対応 | 店舗の案内表示や店内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費 |
公衆無線LANの設置 | 客席、その他多くの客が利用する場所への設置 | 機器購入費、設置・工事費 |
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入 | ー | 機器購入費、設置費 |
店内トイレの洋式化 | 和式トイレを洋式トイレに改修 | 備品購入費、工事費 |
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成 | 研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など | 講師謝金、会場使用料 |
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応 | 防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金 |
外国人向けグルメサイトへの登録・掲載 | 飲食店のみ。サイト登録費用(初期費用+初月利用料)、コンテンツ作成費用(情報ページ作成、翻訳など) | サイト初期登録費、初月月額費、サイト掲載記事等に係る作成・翻訳費など |
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業 | ー | ー |
補助率
補助率:1店舗当たりの補助対象経費の2分の1以内
補助限度額
1店舗当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)
補助対象事業 | 補助限度額 | 設置箇所数上限 |
---|---|---|
公衆無線LANの設置 | 設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額 | 1施設当たり10箇所 |
体験型コンテンツ提供施設等の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額
補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容 | 補足 | 補助対象経費の例 |
---|---|---|
多言語対応 | 施設の案内表示や施設内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費 |
公衆無線LANの設置 | コンテンツの体験場所、その他多くの客が利用する場所への設置 | 機器購入費、設置・工事費 |
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入 | ー | 機器購入費、設置費 |
施設内トイレの洋式化 | 和式トイレを洋式トイレに改修 | 備品購入費、工事費 |
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成 | 研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など | 講師謝金、会場使用料 |
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応 | 防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金 |
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業 | ー | ー |
補助率
1施設当たりの補助対象経費の2分の1以内
補助限度額
1施設当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)
補助対象事業 | 補助限度額 | 設置箇所数上限 |
---|---|---|
公衆無線LANの設置 | 設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額 | 1施設当たり10箇所 |
観光バス事業者の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額
補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容 | 補足 | 補助対象経費の例 |
---|---|---|
多言語対応 | 車両設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費 |
車両への公衆無線LANの設置 | ー | 機器購入費、設置・工事費 |
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入 | ー | 機器購入費、設置費 |
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成 | 研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など | 講師謝金、会場使用料 |
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応 | 避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金 |
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業 | ー | ー |
補助率
1営業所当たりの補助対象経費の2分の1以内
補助限度額
1店舗当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)
補助対象事業 | 補助限度額 | 設置箇所数上限 |
---|---|---|
公衆無線LANの設置 | 設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額 | 1車両当たり1箇所 |
中小企業団体等、観光関連事業者グループの補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額
補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容 | 補足 | 補助対象経費の例 |
---|---|---|
多言語対応 | 案内表示・利用案内・ホームページ・パンフレットの多言語化、多言語対応タブレットの導入、翻訳機の購入など | 翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費 |
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成 | ー | 講師謝金、会場使用料 |
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応 | ー | 翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金 |
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業 | ー | ー |
補助率
1団体・グループ当たりの補助対象経費の2分の1以内
補助限度額
1団体・グループ当たり上限1,000万円
補助対象外経費
インバウンド対応力強化支援補助金を申請する際は、補助対象外となる経費も明確に把握しておくことが重要です。補助対象外経費としては、以下のようなものが挙げられます。
項目 | 内容 |
---|---|
1.間接経費 | 補助金申請や事業準備段階で発生する費用(申請書作成代行費、各種証明書取得経費、送料、交通費・宿泊費、収入印紙代、通信費、水道光熱費、振込手数料など) |
2.設備・機器設置後の維持費 | 設備や機器導入後のランニングコスト |
3.人件費 | 従業員の人件費(給与、賞与、社会保険料など) |
4.施設整備費 | 施設全体の改修や修繕費用(不動産取得費、建物管理費、建築・土木委託費など) |
5.中古品の購入 | 中古品の購入費用 |
6.リース・レンタル費用 | リースやレンタルによる設置機器に係る費用 |
7.消耗品費 | 一定期間継続して使用できない消耗品の購入費用 |
8.交付決定前の支出 | 補助金交付決定前に発注・施工・導入した設備などに係る費用 |
9.不適切な取引 | 親会社、子会社、グループ会社などとの取引や、著しく高額な経費、社会通念上不適切な経費 |
10.その他 | 理事長が適切でないと判断する経費 |
事業実施機関
インバウンド対応力強化支援補助金の事業実施期間は、交付決定の通知を受けた日から1年間です。この期間内に、事業を完了させ、実績報告書を提出する必要があります。
募集期間
インバウンド対応力強化支援補助金の募集期間は、令和6年4月1日(月)から令和7年3月31日(月)までです。
ただし、補助金申請額が予算額に達した時点で受付終了となるので注意しましょう。受付終了の場合は、東京観光財団のホームページにて発表されます。
インバウンド対応力強化支援補助金の手続きの流れ
インバウンド対応力強化支援補助金の申請から交付、そして実績報告までの流れを、各ステップの詳細な説明とともに解説します。
①交付申請
指定の申請書類を作成・準備し、東京観光財団に提出します(申請方法・必要書類は詳細後述)。
②東京観光財団による審査
東京観光財団が、提出された申請書類に基づいて審査を行います。必要に応じて、現地調査が行われることもあります。
③交付決定、東京観光財団が申請者に通知
審査の結果、補助金の交付が決定されると、東京観光財団から交付決定通知書が送付されます。
④事業着手
交付決定通知書を受け取った後、補助事業に着手します。交付決定日より前に事業を開始した場合は、補助金の交付対象外となるので注意が必要です。
⑤実績報告
補助事業完了後30日以内、または事業実施期間満了日のいずれか早い期日までに、補助事業実績報告書を東京観光財団に提出します(詳細後述)。
⑥東京観光財団による実績の検査
東京観光財団が、実績報告書の内容に基づき、必要に応じて現地調査を行い、事業の成果が交付決定の内容や条件に適合しているかを確認します。
⑦補助金交付額確定、東京観光財団が申請者に通知
実績報告書の内容が適切と認められると、補助金の交付額が確定し、東京観光財団から交付額確定通知書が送付されます。
⑧補助金請求
交付額確定通知書を受け取った後、東京観光財団に補助金の請求書を提出します。
⑨東京観光財団から補助金支払い
東京観光財団は、請求書を受理後、速やかに補助金を支払います。
⑩受入対応状況報告
実績報告の日から1年後、受入対応状況報告書を東京観光財団に提出します。ただし、災害時における外国人旅行者の受け入れ対応、公衆無線LANの設置、防犯カメラの設置のみを実施した場合は、提出は不要です。
インバウンド対応力強化支援補助金の申請手続きと必要書類
交付の申請方法
インバウンド対応力強化支援補助金の申請方法は、郵送と電子申請システムの2種類があります。
郵送による申請
必要書類をすべてそろえ、「簡易書留」や「レターパック」など、追跡可能な方法で下記の宛先まで郵送します。
項目 | 内容 |
---|---|
申請期限 | 令和7年3月31日(月)当日消印有効 |
書類郵送先 | 〒162-0801東京都新宿区山吹町346番地6日新ビル2階 公益財団法人 東京観光財団 観光産業振興部 観光インフラ整備課 「令和6年度インバウンド対応力強化支援補助金」担当者宛て |
申請様式等のダウンロード先 | https://www.tcvb.or.jp/jp/project/infra/welcome-foreigner/ |
電子申請システム(JGrants)による申請
デジタル庁が提供する電子申請システム「JGrants」を利用した申請も可能です。
JGrantsを利用するには、「GビズID」のアカウント(gBizIDプライム)を取得する必要があります。アカウント発行には審査があるため、時間に余裕をもって手続きを行いましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
申請期限 | 令和7年3月31日(月)当日消印有効 |
JGrants上の申請URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0W5h00000UdEtHEAV |
申請様式等ダウンロード先 | JGrants上の申請URLと同じ ※郵送による申請とは様式が異なるので要注意 |
なお、JGrantsではシステムの仕様上、代理人による申請代行ができません。申請代行を希望する場合は、郵送で申請してください。
交付申請時に必要な書類
インバウンド対応力強化支援補助金の交付申請には、多数の書類が必要です。
ここでは、宿泊施設・飲食店・免税店・体験型コンテンツ提供施設等・観光バス事業者の提出書類を紹介します。中小企業団体等、観光関連事業者グループについては、「交付要綱」と「申請の手引き」をご参照ください。
書類名 | 備考 |
---|---|
交付申請書(第1号様式) | 印鑑証明書と同じ印鑑を使用 |
補助事業計画書(別紙1) | 複数施設等を申請する場合は、施設等ごとに作成 |
補助事業企画書(別紙2) | ・公衆無線LANおよび防犯カメラ設置事業は専用の補助事業企画書(別紙3または別紙4)を使用 ・複数事業を実施する場合は、事業ごとに作成 ・HPやチラシの多言語化などは、同一の多言語化でも別事業として、それぞれ補助事業企画書が必要 |
代行申請に係る委任状(別紙5) | ・代行を受けた者は、補助対象事業を請け負うことはできない ・JGrants申請の場合は提出不要 |
誓約書(第2号様式) | ・申請書に押印したものと同じ印鑑を使用 ・JGrants申請の場合は自署が必要 |
★印鑑証明書<原本> | ・申請書および誓約書に押印したものと同じ印鑑のものを提出 ・JGrants申請の場合は提出不要 |
★登記簿謄本等→法人:★履歴事項全部証明書<原本>→個人:★開業等届出書<写し> | ー |
社歴書・経歴書 →法人:社歴書 →個人:経歴書 | 書式任意 |
直近2期分の確定申告書<写し>→法人:貸借対照表、損益計算書→個人:税務署による収受印を確認できる税務申告書類 | ・当期純利益が2期連続赤字の場合は、経営(改善)計画書(様式任意・原則1年分)を添付 ・新規創業した施設や店舗などの場合、創業・経営計画書を提出 |
納税証明書<原本> →法人:直近の法人都民税および法人事業税(都税事務所発行)→個人:直近の個人都民税(区市町村発行)および個人事業税(都税事務所発行) | 最新の納税証明書(納税直後で発行が受けられない場合は直近納付時の領収証書の写し)を提出 |
申請内容が確認できる書類 | 申請事業によって提出書類が異なる(詳細は後述) |
見積書(経費の積算内訳書または見積内訳書) | 各事業に係る経費が50万円(税込)以上の場合は、複数の見積書を提出 |
利用者向けパンフレット | 施設・店舗の概要がわかるもの。ホームページの写し可 |
営業許可書<写し> | 補助金申請後に許可を受ける予定のときは、許可申請書の写し(保健所の収受印があるもの)を提出 |
EAT東京(飲食店のみ) | 「EAT東京」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されていることがわかるもの(登録ページの写しなど)を提出 |
この他、申請する事業内容によって、以下のような書類を提出する必要があります。
【工事を伴う事業の提出書類】
1.公衆無線LAN
- 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面
- 仕様書(工事内容などがわかるもの)
- 工程表(スケジュール)
- 購入機器のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
- 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
- 設置前速度写真(更新の場合は必須)
2.防犯カメラ
- 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面
- 仕様書(工事内容などがわかるもの)
- 工程表(スケジュール)
- 購入機器のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
- 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
- 防犯カメラ管理規程
3.その他
- 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面・展開図
- 仕様書(工事内容などがわかるもの)
- 工程表(スケジュール)
- 購入資材のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
- 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
【研修事業の提出書類】
- 開催日・開催時間・開催場所がわかるもの
- 参加者リスト
- 研修の内容が確認できるもの
- 使用予定テキストの写し
- 講師プロフィールなど
【その他事業の提出書類(多言語化など)】
- 仕様書
- 工程表
- 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
- 施工前のホームページ・パンフレット・メニューなどの写し
- サイトマップや画面イメージなど
インバウンド対応力強化支援補助金の実績報告と必要書類
インバウンド対応力強化支援補助金の実績報告は、補助事業完了後30日以内、または事業実施期間満了日のいずれか早い期日までに、東京観光財団に必要書類を送付する形で行います。
実績報告は、補助事業を適切に実施したことを証明し、補助金の交付を受けるために非常に重要です。不備や遅延があると、補助金の減額や交付取り消しになる可能性もあります。
以下、実績報告に必要な書類です。事業内容によって追加で必要な書類もありますので、「交付要綱」と「申請の手引き」をよく確認しましょう。
書類名 | 備考 |
---|---|
実績報告書(第7号様式、別紙1) | ー |
契約書または注文書の写し | ー |
契約金額明細書または内訳書の写し | 個人への支払いの場合は、源泉徴収税分を補助対象外経費として控除 |
納品書の写しまたは施工業者発行の完了届の写し | ー |
請求書の写し | ー |
銀行振込受領書または契約先発行の領収書の写し | ー |
寄付金その他の収入について、内容及び内訳のわかる資料 | 該当する場合のみ |
成果物各種 | 以下を参照 |
公式ホームページやSNSなどで補助事業実施を周知していることがわかる資料 | 補助金名の記載有無は不問 |
その他理事長が必要とする資料 | ー |
成果物各種としては、以下のようなものが挙げられます。
【工事を伴う事業】
1.公衆無線LAN
- 完了届
- 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
- 購入資材のカタログ
- 保証書の写し
- 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
- シリアル№が確認できる書類
- 全設置前後速度写真
2.防犯カメラ
- 完了届
- 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
- 購入資材のカタログ
- 保証書の写し
- 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
- シリアル№が確認できる書類
3.その他
- 完了届
- 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
- 購入資材のカタログ
- 保証書の写し
- 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
- シリアル№が確認できる書類
研修事業
- カリキュラム
- テキスト
- マニュアル
- 講師一覧、参加者一覧(出欠を確認した出欠表やタイムレコーダーなどの写し)
- 開催日・開催時間・開催場所のわかるもの
- 開催の様子がわかる写真(日付入りで講師と参加者全員が映っている様子がわかるもの)
- 外部セミナー受講の場合は、外部セミナーで受講したことが確認できる書類(受講証など)
その他事業
- パンフレット・メニュー等の成果物
- 施工後のホームページの写し
- 設置・施工後の最新の写真(しるし付き)
インバウンド対応力強化支援補助金の受け入れ対応状況の報告と必要書類
インバウンド対応力強化支援補助金では、補助事業の効果を測定するため、実績報告書提出から1年後に、受入対応状況報告書(第10号様式、別紙1)を提出する必要があります。
ただし、以下の事業のみを実施した場合は、提出が免除されます。
- 災害時における外国人旅行者の受け入れ対応
- 公衆無線LANの設置
- 防犯カメラの設置
インバウンド対応力強化支援補助金の留意点
インバウンド対応力強化支援補助金では、他にもさまざまな留意点があります。ここでは4点を紹介します。
委任について
補助事業者様は、インバウンド対応力強化支援補助金の申請に関わる手続きを、他の事業者に代行させることができます。
ただし、代行を依頼された事業者は、補助対象事業を請け負うことはできません。
また、電子申請システム(JGrants)は、システムの仕様上、代理人による申請代行ができないため、申請代行を希望するときは郵送で申請する必要があります。
補助事業の内容変更等について
事業者は、補助事業の内容を変更・中止する場合、または補助事業が予定期間内に完了できない見込みとなった場合、速やかに東京観光財団に申請書類(第4号様式)を提出し、承認を得なければいけません。
期間内に補助事業を完了できない場合も同様です。この場合は、申請書類(第6号様式)を東京観光財団に提出します。
補助金の決定取り消しについて
以下のような行為をした場合、補助金の交付決定の取り消しが行われる場合があります。
- 不正な手段で補助金を交付を受けた、あるいは受けようとしたとき
- 補助金を別の用途に使用した、あるいは使用しようとしたとき
- 交付決定を受けた者が暴力団員等に該当することになったとき
- 補助金の交付決定の内容やそれに関する条件などに違反したとき
- 実績報告書の提出がなかったとき
- その他、理事長が補助事業として不適切と判断したとき
補助金の返還、違約加算金および延滞金について
すでに補助金が公布されている中で交付の取り消しが決定されたときは、東京観光財団への返還が求められます。その際は、補助金を受け取った日から返還する日までの日数に応じて違約加算金が発生します。
また決められた返還日までに納付しなかった場合は、返還日の翌日から実際に返還した日までの日数に応じて延滞金が発生します。
インバウンド対応力強化支援補助金の採択率を上げるポイント
最後に、インバウンド対応力強化支援補助金の採択率を上げるポイントを3つ紹介します。
交付要綱と申請の手引を読み込む
インバウンド対応力強化支援補助金の申請では、東京観光財団が公開している交付要綱と申請の手引を読み込むことが重要です。この記事で触れていない注意点も多くありますので、必ず目を通すことをおすすめします。
また、目を通すときは、本補助金の目的や東京観光財団が事業者に対して求めていることを意識することが大切です。そうした姿勢が、審査員に高く評価される申請書類の作成や、必要書類のヌケモレの予防に自ずとつながります。
事業の現状・課題の分析から、実現可能な事業計画を立てる
インバウンド対応力強化支援補助金に採択されるためには、事業の現状と課題を分析し、実現可能な事業計画を立てることが重要です。
例えば、以下のような項目を検討してみましょう。
検討項目 | 具体的な内容 |
---|---|
現状分析 | 外国人旅行者の来店状況、国籍や地域、ニーズに加え、自社のインバウンド対応の現状における課題や競合店のインバウンド対応状況を分析する |
課題の抽出と優先順位付け | 現状分析の結果、明らかになった課題を具体的に列挙し、課題の重要度や緊急性を評価して優先順位をつける |
事業内容と目標の設定 | 課題を解決するために、どのような事業を行うか具体化するとともに、事業の目標を数値化して設定する |
事業の効果と評価方法 | 事業による効果の見込みや、測定・評価方法を明確にする |
スケジュールと体制 | 事業のスケジュールを具体的に立て、誰がどのような役割を担うのかを明確にする |
補助金の活用計画 | 明確にした事業の詳細に対して、補助金をどのように活用するか計画を立てる |
事業の継続性と発展性 | 補助金の交付期間終了後も、事業をどのように継続・発展させていくのかも言語化する |
上記はあくまで一例ですが、これらの項目を検討した上で作成した事業計画書は、審査員にも良い印象を与えることができます。
補助金申請の専門家にサポート依頼をする
インバウンド対応力強化支援補助金に申請するときは、補助金申請の専門家にサポートを依頼することも有効です。
専門家には税理士や行政書士などさまざまですが、おすすめは中小企業診断士や補助金申請に精通した経営コンサルタントです。これらの専門家は、中小企業の経営支援の経験が豊富であり、事業の深い部分まで理解した上で、説得力のある事業計画を立てる能力に長けています。
採択されるか不安がある、作成した事業計画に説得力があるかわからないなど、少しでも悩んだときはぜひ相談してみてください。
インバウンド対応力強化支援補助金の申請にお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください
インバウンド対応力強化支援補助金は、東京都内の宿泊施設や飲食店、免税店などを対象に、外国人旅行者の受け入れ環境の整備を目的とした補助金です。
一方、本補助金では非常に多くの申請書類が求められ、また注意しなければいけない点も少なくありません。本記事で紹介したとおり、特に初めて補助金申請をする事業者は、中小企業診断士や補助金申請に精通した経営コンサルタントのサポートを受けることをおすすめします。
中小企業経営支援事務所では、補助金申請のエキスパートが事業者の思いや悩みにしっかり寄り添った上で、事業計画書の作成や申請のサポートを実施しています。採択率を上げるだけでなく、補助金を活用して事業を継続・発展できるように支援を行っているのが当社の特徴です。
初回相談は無料ですので、もし申請を検討していましたら、ぜひお気軽にご相談ください。