ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業とは?概要や申請方法、採択のポイントを徹底解説

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の概要

近年、エネルギー価格や物価の高騰が深刻化し、多くの製造業者がその影響を受けています。

そのような状況の中、島根県としまね産業振興財団では、県内の中小企業の製造業者を対象に「ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業(エネルギー価格・物価高騰対策分)補助金」を実施しています。これは、エネルギー価格や物価の高騰の影響を受けている製造業者を支援することを目的とした補助金制度です。

具体的には、省人化・自動化による生産プロセスの変革、サプライチェーンの再構築、新製品・技術の開発、新市場への参入といった取り組みを支援します。

この記事では、ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の概要、申請方法、採択されるためのポイントなどを、しまね産業振興財団が公開している本事業の詳細ページ補助金交付要領令和6年度の公募要領をもとに、詳しく解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業とは

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業とは、エネルギー価格・物価高騰の影響を受けている製造業者の競争力強化を支援するために、島根県としまね産業振興財団が実施している補助金事業です。

具体的には、生産プロセスの変革やサプライチェーン再構築への対応に必要な設備投資などにかかる費用の一部を補助します。これにより、県内製造業の収益確保や新市場開拓を促進し、競争力強化を図ることを目指しています。

本事業は2つの類型があります。「生産プロセス変革型」では、省人化や自動化、多能工化を進める取り組みを支援します。「サプライチェーン再構築型」では、新たな受注獲得や新製品・技術開発、新市場参入を目指す取り組みを支援します。

項目内容
対象者島根県内の中小企業の製造業者など
補助対象事業・生産プロセス変革型
・サプライチェーン再構築型
補助率中小企業:1/2以内
小規模事業者:2/3以内
補助限度額下限50万円 上限1,000万円
事業期間令和6年度の場合
交付決定日~令和7年2月28日
公募期間令和6年度の場合
令和6年6月3日(月)~令和6年11月22日(金)※複数回締切あり
ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の概要

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助対象者

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助対象者は、島根県内に主たる事業所を有する中小企業基本法第2条に定める中小企業者のうち、製造業者を対象としています。具体的な要件は以下の表の通りです。

項目要件
業種製造業(主たる事業が製造業である必要あり)
資本金3億円未満
常用従業員数300人未満

常用従業員とは、「期間の定めなく雇用されている」「週40時間以上継続して勤務している」「社会保険に加入している」「賃金が月俸制または年俸制である」という4点におおむね該当する者を指します。

また、従業員数20名以下の製造業者は小規模事業者に該当します。

ただし、以下のいずれかに当てはまる者はみなし大企業と判断され、対象外となります。

  1. 同一の大企業が株式や出資の1/2以上を所有している中業企業者
  2. 大企業が株式や出資の2/3以上を所有している中小企業者
  3. 大企業の役員が役員総数の1/2以上を占める中業企業者
  4. 1~3に該当する中小企業者が株式や出資のすべてを所有している中小企業者
  5. 1~3に該当する中小企業者の役員が役員総数のすべてを占める中小企業者

さらに、申請にあたっては以下の要件も満たす必要があります。

  • エネルギー価格・物価高騰の影響を受けていること
  • 暴力団排除に関する誓約事項に該当しないこと
  • 島根県税の未納がないこと
  • 「パートナーシップ構築宣言」の登録を行うこと

また、過去に特定の補助金を受けた企業は、本事業の類型のひとつである「生産プロセス変革型」への申請ができない場合があります。申請可否は以下の表を参照してください。

申請企業生産プロセス変革型サプライチェーン再構築型
通常(下記2~4にあたらない企業)
交付要領別表3示す補助金や助成金の採択実績あり×
原油価格・物価高騰対策分の「生産プロセス変革型」で助成金交付の実績あり×
原油価格・物価高騰対策分の「サプライチェーン再構築型」で助成金交付の実績あり××
各類型の申請可否

なお、補助金の交付決定は通算で2回まで、同事業年度内では1回限りとなります。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の事業類型および対象事業の要件

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業には、「生産プロセス変革型」と「サプライチェーン再構築型」の2つの事業類型があり、いずれかを選んで申請します。その際、選択した類型の要件を満たす事業計画の策定が求められます。

それぞれの要件は以下の通りです。

対象事業の要件(以下の①~④すべて満たすものが対象)
①エネルギー価格・物価高騰などの影響に対応し、以下のいずれかに該当する取り組みであること
・省人化や自動化を進める事業
・多能工化に向けた人材育成システムの整備や工程変更事業
②3年の事業計画期間で以下を達成すること
・付加価値額を年率平均3%以上増加
・給与支給総額を年率平均1.0%以上増加
③申請時の従業員数を設備導入翌年度末まで維持(最長3年以内に回復も可)
④先駆的な取り組みとして成果を公開できること
生産プロセス変革型の要件
対象事業の要件(以下の①~②いずれかを満たすものが対象)
①エネルギー価格・物価高騰などの影響による市場変化に対応し、以下のいずれかに該当する取り組みであること
・サプライチェーン再構築に対応し、受注を獲得する事業
・新製品・技術開発や新市場参入のための事業
②3~5年の事業計画期間で以下を達成すること
・給与支給総額を年率平均1.0%以上増加
・県外企業からの受注額を補助事業導入年度比3~5%(年率1%)以上増加
・県内企業との取引額を補助事業導入年度比3~5%(年率1%)以上増加
サプライチェーン再構築型の要件

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の対象経費

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の対象経費は、事業類型によって異なります。詳細は以下のとおりです。

対象経費
・設備導入費:機械、装置、ソフトウェアなどの購入費やリース費
・改修費:建物や附属設備の改修、レイアウト変更費用
・システム開発費:システムの開発・導入費
・技術導入費:外部からの技術指導や知的財産権導入費用
・運搬費:運搬料、郵送料など
・その他経費:理事長が特に必要と認める経費
生産プロセス変革型の対象経費

上記に加えて以下も対象となります。

対象経費
・研究開発費:研究や試作開発、研究機関との契約にかかる費用
・市場調査費:展示会出展費、パンフレット作成費など
・原材料費:試作品開発用の原材料
・副資材費・外注費:外注加工費など
・委託費:研究開発・市場調査の委託費
・専門家経費:専門家への謝金など
サプライチェーン再構築型の対象経費

「生産プロセス変革型」「サプライチェーン再構築型」においても、上記のうち、補助事業実施期間内に支払いを行ったことが確認できないものは対象外です(事前着手制度の承認を受けた場合は対象)。

また、消費税や振込手数料、食糧費、通信費、汎用性のある器具・備品購入費(例:パソコンやタブレット端末、家具)などについては対象となりません。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助率

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助率は、「生産プロセス変革型」「サプライチェーン再構築型」ともに、中小企業の場合は補助対象経費の1/2以内、小規模事業者の場合は2/3以内です。千円未満は切り捨てとなります。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助限度額

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助限度額は、「生産プロセス変革型」「サプライチェーン再構築型」ともに、下限500千円(50万円)、上限10,000千円(1,000万円)です。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の事業期間

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の事業期間は、令和6年度の場合、交付決定日から最長で令和7年2月28日までとなっています。

事業着手は原則として交付決定後ですが、事前着手申請が認められた場合は令和6年4月1日以降の着手も可能です。ただし、事前着手が承認されても補助金採択を約束するものではありません。また、令和6年4月1日より前の契約や発注は補助対象外となるため注意が必要です。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の公募スケジュール

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業への申請を検討する際は、公募期間や締切日を把握しておくことが重要です。

令和6年度の公募スケジュールは以下の通りです。

締切公募締切審査会(予定)
第1回締切令和6年7月5日(金)17:00令和6年7月下旬頃
第2回締切令和6年9月20日(金)17:00令和6年10月上旬頃
第3回締切令和6年11月22日(金)17:00令和6年12月上旬頃
令和6年度の公募スケジュール

令和6年度は、上記の各締切までに提出された申請案件について、審査会を開催し採否を決定します。事業予算は通年で運用されるため、回が進むにつれて予算残額が少なくなる可能性があり、申請数と予算の状況によっては早期に公募が終了する場合があるとされています。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請方法と必要な書類

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業に申請するときは、要件とあわせて大まかな流れや必要な書類を把握することが重要です。

本事業の公募から交付、成果報告までの流れは以下の通りです。

  1. 公募開始:しまね産業振興財団が募集を開始
  2. 交付申請:必要書類を作成し、財団の下記申請窓口に提出(郵送・持参・メールのいずれか)
  3. 審査・交付決定:財団が交付申請を受理し、県が審査。審査後、採択された場合は財団が申請者に対して交付決定を通知
  4. 事業実施:交付決定後、補助事業を開始。事前着手申請が承認された場合は、令和6年4月1日以降の着手も可能
  5. 遂行状況報告:財団の指示に応じて、事業の進捗状況を報告
  6. 変更申請(必要な場合): 事業内容や経費に大きな変更がある場合、速やかに変更承認申請
  7. 実績報告:事業完了後15日以内に、実績報告書を財団に提出
  8. 確定通知:財団が実績報告を審査し、県が補助金額を確定。財団が確定額を申請者に通知する
  9. 補助金請求:確定通知を受領したら、財団に補助金を請求
  10. 補助金支払:財団が申請者に補助金を支払う
  11. 事業成果報告:事業完了後5年間、毎年成果報告書を財団に提出
本事業の申請先
(財)しまね産業振興財団 経営支援課 総合相談グループ(担当:寺田、梅木)TEL:0852-60-5115 FAX:0852-60-5105  E-mail:con@joho-shimane.or.jp 

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業では、公募から交付、成果報告までに以下の書類が必要となります。なお、「様式第◯号」については、しまね産業振興財団が公開している本事業の詳細ページからダウンロードできます。

交付申請時

書類名概要
交付申請書及び誓約書(様式第1号)申請内容や誓約事項を記載
事業計画書(様式第1号別紙1)事業の概要、内容、目標などを記載
事業収支計画書(様式第1号別紙2)事業の収支計画を記載
支出内訳書(様式第1号別紙3-1)事業収支計画書の支出の詳細内訳を記載
人件費計算書(様式第1号別紙3-2)サプライチェーン再構築型で人件費を計上する場合のみ
従業員名簿(様式第1号別紙4)常用従業員の一覧
会社概要資料パンフレットなど事業内容が確認できるもの
直近2期分の決算書貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販管費内訳書、個別注記表
登記事項証明書の原本または定款の写し最新のもの
投資内容の詳細資料見積書、設備パンフレットなど
納税証明書(県税)の原本発行から3ヶ月以内のもの
「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトに公表された宣言書締切までに公表が間に合わなかった場合は登録申請中の宣言書
交付申請時の必要書類

事業実施中

書類名概要
遂行状況報告書(様式第6号)事務局の指示に応じて事業の進捗状況を報告
事業実施中の必要書類

事業完了後

書類名概要
実績報告書(様式第7号)事業が完了した日から15日以内
精算払請求書(様式第11号)補助金の確定額の通知を受けたら提出
事業成果等報告書(様式第13号)事業が完了した日の属する会計年度の翌年度から5年間、毎年事業成果を報告
財産処分承認申請書(様式第12号)50万円以上の取得財産を処分する場合に提出
事業完了後の必要書類

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の事業着手申請について

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業では、早期の事業着手・事業期間確保の観点から、事業着手申請を受け付けています。

補助事業は交付決定後に開始することを原則としていますが、本制度を利用すると令和6年4月1日以降の事業着手が認められ、その際に発生した経費を本事業の対象経費に含めることができます。

申請期間は令和6年6月3日(月)から11月22日(金)までで、この期間内に「事前着手承認申請書」に必要事項を記入の上、下記申請先に提出する必要があります。申請書は、しまね産業振興財団が公開している本事業の詳細ページからダウンロード可能です。

事前着手承認の申請先
(財)しまね産業振興財団 経営支援課E-mail:con@joho-shimane.or.jp

なお、承認後も交付申請手続きは必要となります。また、本制度の承認を得ても、補助金が必ず採択されるわけではない点にも注意しましょう。

その他の注意点については、「事前着手申請制度対応要領」をご確認ください。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業で補助対象事業者に発生する義務

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業では、補助対象事業者に以下のような義務を課しています。

これらの義務を遵守しない場合、補助金交付の取り消しや返還などのペナルティが発生する場合がありますので、事前によく把握しておきましょう。

  • 経費配分の20%超の変更や事業内容の変更、中止・廃止時は変更承認申請が必要
  • 事務局の指示に応じて、事業の遂行状況の報告が必要
  • 事業完了後15日以内に実績報告書の提出が必要
  • 取得価格50万円以上の財産は台帳管理の作成・提出が必要
  • 事務局による実地検査の要請があった場合は対応が必要
  • 事業完了後5年間、毎年成果報告書の提出が必要
  • 取得価格50万円以上の財産を処分するときは承認申請が必要
  • 財産処分により収入がある場合は全額もしくは一部納付が必要
  • 事業に係る帳簿・証拠書類は5年間保存
  • 「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179 号)」の遵守
  • 「生産プロセス変革型」の交付決定を受けたものの、「従業員数の維持」ができない場合は補助金の一部返還が必要
  • 「生産プロセス変革型」の交付決定を受け、事務局から要請があった場合は事業の成果を「先駆的な取り組み」として公開する必要あり

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の採択率を上げるためのポイント

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業への採択率を上げるには、公募要領が示す注意点と審査項目を理解し、説得力のある事業計画を作成することが重要です。審査員の心を掴む事業計画書の書き方や、採択率アップにつながるポイントを紹介します。

本事業の公募要領には、事業計画作成における注意事項が記載されています。各項目については具体的に数値などを用いてわかりやすく記載するとともに、自社の熱意や独自性をアピールすることが重要です。

項目内容記載例(生産プロセス変革型の場合)
(1)事業の概要
事業名補助事業の内容を端的に示す省エネ型ロボット導入による生産自動化事業
事業概要補助事業の目的、導入する設備、取り組み概要、期待効果を200字以内にまとめる昨今のエネルギー価格高騰に対応し、生産ラインに省エネ型の溶接ロボットを導入する。これまで人手に頼っていた金属部品の溶接作業を自動化することで、生産能力を向上させ、品質の安定化を図る。また、ロボット導入による省人化によって人件費を削減し、エネルギー効率の改善と合わせてコスト削減を実現する。これらの相乗効果により、企業収益の向上と安定化、ひいては従業員の待遇改善を目指す。
事業実施場所補助事業を実施する場所を記載本社工場
(2)事業内容
企業・製品・技術・既存事業などの概要会社概要、主力製品や保有技術、特長や強み創業〇〇年、従業員〇〇名で〇〇の製造販売を行う。主力製品は〇〇であり、高い技術力で国内シェア〇〇%を誇る。
自社の現状分析外部環境と内部環境を分析し、自社の現状、優位性、課題を明確にする〇〇業界は、競合激化や原材料費高騰が課題となっている。当社の強みは〇〇だが、人手不足が深刻化しており、エネルギーコストの上昇も収益を圧迫している。
エネルギー価格・物価高騰の影響エネルギー価格・物価高騰が自社に与える影響を数値等を用いて具体的に記載原材料費が前年比〇〇%上昇、電気料金は〇〇%上昇し、収益を圧迫。このままでは価格転嫁も困難なため、抜本的なコスト削減が急務となっている。
当事業での具体的な取り組み内容生産プロセス変革型の場合は、現状の課題と対応策、導入設備の概要や特長を説明ロボット導入により、〇〇工程を自動化する。最新鋭の省エネ型ロボットを導入することで、従来比〇〇%の電力削減を見込む。
当事業の実施体制社内の実施体制を、担当者名、役職、役割を明確にして説明本社工場の〇〇部長を責任者とし、製造部の〇〇課長、〇〇係長が担当する。
当事業の実施スケジュール補助事業の実施スケジュールを、取り組み項目ごとにガントチャートで説明
(3)事業目標
事業目標取り組みによる効果を定量面と定性面の両面から説明定量面:生産量〇〇%向上、人件費〇〇%削減。定性面:従業員の技能向上、労働環境改善
(4)経営目標・経営計画
経営計画補助事業実施後の3~5年の経営計画を、各事業区分の要件を満たすように記載補助事業により、3年後には売上高〇〇%増、従業員数〇〇名へ拡大
経営目標※「サプライチェーン再構築型」の場合のみ県外企業からの受注額増加、県内企業との取引額増加について具体的な目標を記載県外企業からの受注を、〇〇(具体的な取引内容)により、3年後には〇〇%増加させる。
事業計画作成における注意事項と記載例

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業では、以下のような項目に沿って審査が行われます。事業計画書を作成するときは、これらの点も踏まえるようにしましょう。

審査項目生産プロセス変革型サプライチェーン再構築型
事業の趣旨生産性向上・事業継続性確保に有効か市場変化への対応に有効か
妥当性・実現可能性・導入設備などの事業経費が事業計画の中で重要なものとして位置づけられているか
・実施内容は具体的で実現可能性が高いものか
・事業スケジュールは妥当か
・事業実施による効果は投資規模に対して妥当か
同左
事業の効果・事業実施によって省人化・自動化の実現が図られるか
・事業実施によって生産性が向上するか
・県内企業のモデルとなる事業か
・事業実施によって県外企業からの受注拡大が見込めるか
・事業実施による受注量・受注分やの拡大が県内他社へも波及していくか
経営状況・経営者評価・事業遂行可能な経営状況であるか
・経営者に熱意はあるか、信頼を得られるか
同左
各類型の審査項目

これらの審査項目を踏まえ、事業計画書を作成することが重要です。特に、エネルギー価格・物価高騰への対応策として、具体的かつ実現可能な取り組みを提案し、その効果を定量的・定性的に示すことがポイントとなります。また、県内製造業全体への波及効果や、モデル性の高い先駆的な取り組みであることをアピールすることで、評価向上につながります。

経営者の熱意や事業遂行能力も重要な評価ポイントとなるため、これらを事業計画書に適切に反映させることが採択率向上のカギとなります。

事業計画書は、経営者の熱意や独自性を伝える重要なツールです。審査員は、数多くの計画書に目を通す中で、経営者の事業にかける情熱や、地域への貢献意欲、そして成功への強い意志を感じ取ろうとしています。

そのため、公募要領に示す要件をただ単に満たすだけでは不十分です。

例えば、「生産プロセス変革型」に応募する場合、単に「人手不足のため自動化設備を導入したい」と記載するのではなく、「これまで培ってきた熟練の技を自動化する仕組みを構築することで、後継者不足の課題を解決し、地域のものづくり産業の活性化に貢献したい」といったように、具体的な目標や将来展望、地域貢献への思いを盛り込むことが重要です。

また、「サプライチェーン再構築型」であれば、「エネルギー価格高騰の影響を受けやすい従来のサプライチェーンを見直し、新たな販路開拓や海外調達などを実現することで、より強靭な事業体制を確立したい」というように、現状の課題や、事業を通じて実現したい未来を明確に示すことが大切です。

事業計画書は経営者の想いを審査員に伝える重要な役割を担っています。要件を満たすだけでなく、独自の視点や熱い思いを込めて、他の応募者との差別化を図りましょう。

補助金申請には専門的な知識や書類作成の手間がかかり、時間や労力を大きく費やすことになります。本業で忙しい経営者にとって、補助金申請に専念することは難しいのではないでしょうか。

もしそのような場合は、補助金申請支援の専門家に伴走してもらいましょう。申請書類の作成サポートはもちろん、事業計画のブラッシュアップや、採択率を上げるためのアドバイスを受けることができます。

専門家を選ぶ際には、実績や経験、費用などを比較検討することが大切です。実績や経験が豊富な専門家であれば、安心して依頼することができます。また、費用は専門家によって異なるため、事前に見積もりを取ることが重要です。

補助金申請は、自社の事業を成長させるための大きなチャンスです。専門家の力を借りながら、積極的に活用していきましょう。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請前チェックリスト

項目チェック
【補助対象者要件】
島根県内に主たる事業所があるか?
中小企業基本法に定める中小企業者であるか?
製造業を主たる事業としているか?
みなし大企業ではないか?
エネルギー価格・物価高騰の影響を受けているか?
暴力団排除に関する誓約事項に該当しないか?
島根県税の未納がないか?
パートナーシップ構築宣言の登録を行っているか?
【事業計画】
事業類型(生産プロセス変革型/サプライチェーン再構築型)を選択しているか?
選択した事業類型の要件を満たす計画となっているか?
エネルギー価格・物価高騰への対応策が具体的に記載されているか?
事業効果が定量的・定性的に示されているか?
実施スケジュールが明確に記載されているか?
【提出書類】
交付申請書及び誓約書(様式第1号)は準備できているか?
事業計画書(様式第1号別紙1)は作成したか?
事業収支計画書(様式第1号別紙2)は作成したか?
支出内訳書(様式第1号別紙3-1)は作成したか?
従業員名簿(様式第1号別紙4)は準備できているか?
会社概要資料は用意したか?
直近2期分の決算書は準備できているか?
登記事項証明書または定款の写しは用意したか?
投資内容の詳細資料(見積書等)は揃っているか?
納税証明書(県税)は取得したか?
パートナーシップ構築宣言の登録証は準備できているか?
ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請前チェックリスト

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請でお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業は、製造業者の生産性向上や競争力強化を支援する重要な制度です。しかし、申請手続きや事業計画の作成に不安を感じる事業者も多いでしょう。

中小企業経営支援事務所では、補助金申請のエキスパートとして、多くの事業者の支援を行っています。どのような事業計画であれば経営者の事業にかける思いが審査員に伝わりやすくなるのか。補助金を受け取るにあたって思わぬトラブルに遭わないためにはどういった対策が必要なのか。そうしたアドバイスをできるのが当社の強みです。

採択につながる事業計画を作成したい、トラブルなくスムーズに補助金を受けたい、とお考えでしたら、ぜひお問い合わせください。初回相談は無料です。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金を徹底解説!採択率UPのポイントも紹介

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の概要

近年、観光業界においてもデジタル化の波が押し寄せています。顧客満足度向上や業務効率化のために、デジタル技術を活用したサービスの導入はもはや必須と言えるでしょう。

しかし、新しいシステムや機器を導入するには、コストがかかることも事実です。そこで、活用したいのが「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」です。

東京都および東京観光財団が実施するこの補助金は、都内の中小企業の観光事業者を対象に、デジタル技術を活用したサービスの導入にかかる費用の一部を補助するものです。

この記事では、本補助金について、東京観光財団の「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」ページや「【令和6年度】 観光事業者のデジタル化促進事業 募集要領(第2回募集)」をもとに、補助対象となる事業や申請資格、補助率、申請方法などを詳しく解説していきます。さらに、採択率を高めるのポイントもご紹介しますので、申請を検討するときの参考としていただけると幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の目的

観光事業者のデジタル化促進事業補助金とは、東京都内にある中小企業の観光事業者のデジタル化やDXを支援する補助金です。

具体的には、都内の観光産業の活性化と、旅行者の利便性の向上させるスマート観光を実現させるために、事業の生産性向上や新サービス・商品の開発などにかかる費用の一部を補助します。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象事業

観光事業者のデジタル化促進事業補助金は、都内の中小企業の観光事業者(これから観光事業を営む予定の者を含む)が、デジタル技術を活用し、自社の生産性向上や新たなサービス・商品の開発などを行うための取り組みを対象としています。募集要領では以下のような例が想定されています。

  • 業務の効率化を図るための独自システムの開発・導入
  • 直販比率拡大のための自社サイト内の予約販売・決済システムの構築・導入
  • AIや位置情報を活用した情報発信ツールの開発・導入
  • ロボットによる受付・案内・掃除・運搬等のためのシステム及び機器の開発
  • IoTを活用した混雑・空室情報サービスの提供
  • 旅行者の行動・購買履歴等のデータを活用した販売促進

補助金対象となるポイントは、「デジタル技術の活用」と「自社事業の強化」です。そのため、例えば単なる設備の老朽化に伴う買い替え、特定の顧客のみを対象とした汎用性のないサービス・商品開発などは対象外となります。

それ以外にも、公序良俗に反する事業、東京都外で利用されるデジタル化やDXへの取り組み、東京が目的地に含まれない旅行商品・サービスに係る取り組み、他県や海外の文化・風習などに強く紐づいたサービス・商品開発なども補助金対象事業にはなりません。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象者

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の対象者は、東京都内の中小企業の観光事業者で、以下のいずれにも当てはまる場合です。

中小企業基本法に定める中小企業者であることが必要です。具体的には、以下のような条件に該当し、大企業が実質的に経営に参画していない事業者であることが求められます。

業種資本金および従業員数
製造業、建設業、運輸業、その他の業種(下記以外)
-ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円以下または300人以下
-3億円以下または900人以下
卸売業1億円以下または100人以下
小売業5,000万円以下または50人以下
サービス業(下記以外)
-ソフトウェア業、情報処理サービス業
-旅館業
5,000万円以下または100人以下
-3億円以下または300人以下
-5,000万円以下または200人以下
中小企業者の定義

大企業とは、上記以外の事業者(中小企業投資育成株式会社、投資事業有限責任組合を除く)のことです。この企業が、大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の1/2以上を所有または出資しているなどの場合、実質的に経営に参画しているとみなされるため、本事業の対象者からは外れることになります。

東京都内で、旅行者向けにサービス・商品を販売・提供する事業を営む、または営む予定の事業者であることも必要です。具体的には、以下のいずれかに該当する事業者が対象となります。

  • 宿泊事業者:旅館業法に基づく許可を受け、東京都内で宿泊施設を運営する事業者。風俗営業などは除く
  • 飲食事業者:食品衛生法に基づく許可を受け、東京都内で飲食店を営業する事業者。風俗営業などは除く
  • 小売事業者:東京都内で販売場を設け、営業を行っている事業者
  • 旅行事業者:旅行業法に基づく登録を受け、東京都内で旅行業を営む事業者
  • その他:体験・アクティビティ提供事業者など、旅行者へ直接サービス・商品を提供する事業者で、東京観光財団理事長が認める者

以下のような事業実績と将来性があることも条件となっています。

  • 令和6年4月1日時点で東京都内に本店または支店があり、2年以上事業を継続して営んでいること(個人事業者を含む)
  • 補助事業の成果を活用し、今後も東京都内で事業を継続する予定であること

東京都内に登記上の本店または支店があり、納税証明書の提出が可能なことも条件です。

個人事業主の場合、事業税の課税対象者は「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し、納税証明書(事業税)、住民税納税証明書を提出できることが求められます。非課税対象者は「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し、所得税納税証明書、住民税納税証明書を提出できることが必要となります。

その他、以下のような条件も満たさなければいけません。

  • 同一内容の事業で、他の補助金を受けていないこと(ただし、補助対象経費が明確に区分できる場合は対象)
  • 暴力団関係者、風俗関連業、ギャンブル業、賭博業などに該当しないこと
  • 過去5年以内に刑事罰を受けていないこと(法人その他の団体の場合は代表者も含む)
  • 税金の未申告や滞納がないこと
  • 東京都や東京観光財団に対する債務の滞納がないこと
  • 過去に補助金の交付決定取消や法令違反などを起こしていないこと
  • 事業継続に不確実な状況が存在しないこと(民事再生法・会社更生法・破産法適用など)
  • 補助事業の実施に必要な許認可を取得していること、または取得予定であること
  • 東京観光財団の観光経営力強化事業と同一内容の申請を行っていないこと
  • 補助事業の進行管理などに対応できること
  • 補助事業の実施場所を東京都内に有していること
  • 過去に本補助金の交付決定を受けている場合、申請時点で当該補助事業を完了していること
  • 宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助率

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助率は、賃金引上げ計画の有無によって異なります。

賃金引上げ計画を掲げない場合は、補助対象経費の2/3以内となります。一方、賃金引上げ計画を掲げ、実際に達成した場合は補助対象経費の3/4以内と、より高い補助率が適用されます。

賃金引上げ計画を掲げて申請する場合、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 補助対象事業終了後に初めて到来する事業年度の給与支給総額が、申請時の直近決算書の給与支給総額と比べて2.0%以上増加すること。ただし、被用者保険の適用拡大について、制度改革に先立って任意適用に取り組む場合は1.5%以上の増加でよい
  2. 補助対象事業終了後、初めて到来する事業年度の全ての月において、補助対象事業を実施する都内事業場内の最低賃金が「地域別最低賃金+30円以上」を達成すること

なお、賃金引上げ計画を掲げて申請した場合、補助金は2回に分けて交付されます。1回目は補助率2/3以内で算出された金額、2回目は賃金引上げ計画達成後に残りの金額が交付されます。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助限度額

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助限度額は3,000万円で、下限額は100万円です。

ただし、広告費については別途上限が設けられており、補助金予定額の合計が500万円(補助対象経費では750万円)を超えることはできません。また、広告費が含まれる「集客・販路開拓費」のみの申請は受け付けられません。

なお、補助金の交付額は1,000円未満の端数が生じた場合、補助対象費目ごとに切り捨てて計算されます。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の事業実施期間

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の事業実施期間は、第2回募集の場合、令和7年1月1日から令和8年12月31日までの最長2年間です。この期間内に、契約、取得、実施、支払い(口座引き落とし)がすべて完了する経費が補助対象となります。

なお、事業実施期間は申請時に設定しますが、事業の進捗状況によって期間を変更しなければならなくなった場合は、事前に東京観光財団に正当な理由を伝え、承認を得る必要があります。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象経費

観光事業者のデジタル化促進事業補助金では、上記事業に当てはまる経費であればすべて補助の対象となるわけではありません。募集要項にて細かく規定されているので、事前によく確認するようにしましょう。

本補助金の補助対象となる主な経費は以下のとおりです。

経費区分補助対象となる具体的な経費例留意点
①ICT化・DX経費・新システム構築費
・ソフトウェア導入費
・クラウド利用費
・データ取得・解析経費
・システム構築は申請前に要件定義が完了し、仕様や機能が具体的に決まっていることが必要・ソフトウェア導入は、ワードやエクセルなどの汎用性のあるものは対象外
・クラウド利用費は、自社保有でないサーバーに接続して機能提供やデータ保存領域割り当てを受けるための費用であること
・データ取得・解析は、新規の場合であること
②機械設備導入費・生体認証に必要なカメラや周辺機器
・ロボット機器
・デジタル技術を活用した事業に直接必要な機械装置や備品の購入費、リース・レンタル費であること
・老朽化に伴う単なる買い替えや改装は対象外
・自ら調達して設置・工事を行う場合は対象外
・1件100万円(税抜)以上の購入は、単価、数量、規格、メーカー、型番等の記載が必要
・リース・レンタルは、補助対象期間内に新たに契約を締結したものに限る
③専門家指導費・デジタル技術導入に関する専門家からの指導・助言
・社員向けデジタル技術研修
・上記①②の経費申請が必須であり、そのシステムや機械設備についての指導・助言に限る
・補助金予定額は50万円(補助対象経費は75万円)が上限
・専門家へ事業の一部委託をする場合は「外注・委託費」に計上
・指導報告書の提出が必要
・公共交通機関の利用による交通費は対象(ただし、鉄道のグリーン車、航空機のプレミアムシートやファーストクラス・ビジネスクラスは対象外)
・交通費のうち、船舶運賃が複数段階に分かれている場合は、中級以下の等級の運賃が対象
・既存事業や経営に係る顧問契約は対象外
・事務手続きに係る指導・助言は対象外
④新サービス・商品開発費・開発の一部を外部事業者や大学などに外注・委託する費用
・産業財産権の出願(調査を含む)費用、および必要な産業財産権を他の事業者から譲渡または実施許諾を受けた場合の費用
・開発後の事業化(生産、販売など)に係る経費は対象外
・集客・販路開拓費用は「⑤集客・販路開拓費」で申請
・産業財産権の出願は、補助対象期間内に出願手続きが完了していることが必要
・出願後の費用(審査請求、登録料、維持年金など)は対象外
⑤集客・販路開拓費・展示会等出展経費(出展小間料、商談会参加費、資材費、運搬費、旅費、保険料、通訳・翻訳費など)
・イベント開催費(会場借上費、資材費、運搬費、保険料、通訳・翻訳費など)
・広告費(広告制作費、広告掲載料、屋外広告掲出費など)
・上記①②④のいずれかの経費申請が必須であり、その成果・成果物(開発したシステム、新サービス・商品など)の広報に限る。既存事業や補助対象事業以外のものは対象外
・展示会等出展経費、イベント開催費は、原則として出展・参加および支払いが補助対象期間内に行われるものに限る
・広告費は、補助金予定額が合計500万円(補助対象経費では750万円)が上限・旅費は、補助金予定額が20万円(補助対象経費は30万円)が上限
・広告掲載として利用するリスティング広告は「Yahoo!」「Google」への直接契約のみ対象
観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象経費

上記はあくまで一例です。詳細については、最新版の募集要領をご確認ください。

対象外となる主な経費は、以下のとおりです。

  1. 補助対象経費一覧に掲げられていないすべての経費
  2. 申請書に記載されていない物品の購入費
  3. 補助対象期間前または期間終了後に契約・支払いが行われた経費
  4. 補助事業に関係のない物品の購入、外注、業務委託などの経費
  5. 帳票類(見積書、契約書、納品書、請求書など)が不備の経費
  6. 業務内容や成果が不明確な経費
  7. 通常業務・取引と混合して支払われ、区分できない経費
  8. 他社発行の手形や小切手、クレジットカードなどによる支払経費
  9. 親会社、子会社、グループ企業等関連会社との取引
  10. 直接人件費
  11. 間接経費(消費税、振込手数料、交通費、通信費、家賃など)
  12. 資料収集業務、調査業務、会議費、消耗品などの事務的経費
  13. 保守に係る経費
  14. 汎用性があり目的外使用になり得るもの(事務用パソコン、プリンタ、タブレット端末など)
  15. 一般的な電化製品や家庭用機器の購入・設置費
  16. 不動産の取得費
  17. 一般的な市場価格や事業規模に対して著しく高額な経費
  18. 公的資金の用途として社会通念上不適切と認められる経費

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象者の流れ

観光事業者のデジタル化促進事業補助金は、賃金引上げ計画を掲げない場合と掲げる場合で、交付申請から補助金交付までの流れが異なります。

出典:【令和6年度】 観光事業者のデジタル化促進事業 募集要領(第2回募集)p.14丨東京観光財団

賃金引上げ計画なしの場合の交付申請から補助金交付までの流れは、以下の通りです(具体的な日付は第2回募集の場合)。

  1. 交付申請:令和6年10月11日(金)までに必要書類を東京観光財団に提出します。
  2. 一次審査(書類審査):令和6年11月上旬~中旬に実施されます。
  3. 二次審査(面接審査):令和6年12月上旬~中旬に実施されます。
  4. 交付決定・事業開始:東京観光財団による審査通過後、財団から交付決定通知を受け取り事業を開始します。
  5. 事業終了:最長2年間(令和8年12月31日まで)の期間内に事業を完了させます。
  6. 実績報告:事業終了後1ヶ月以内に、実績報告書を東京観光財団に提出します。
  7. 完了検査:東京観光財団が事業の完了を確認します。
  8. 額確定:補助金の交付額が確定し、確定通知書が東京観光財団から送付されます。
  9. 補助金請求:確定通知書受領後、補助金請求書を東京観光財団に提出します。
  10. 補助金交付:請求書提出から1~2週間程度で補助金が振り込まれます。
出典:【令和6年度】 観光事業者のデジタル化促進事業 募集要領(第2回募集)p.14丨東京観光財団

賃金引上げ計画ありの場合、補助金交付までの流れは2段階に分かれます(具体的な日付は第2回募集の場合)。

【第1段階:補助金交付①】

  1. 交付申請:令和6年10月11日(金)までに必要書類を東京観光財団に提出します。
  2. 一次審査(書類審査):令和6年11月上旬~中旬に実施されます。
  3. 二次審査(面接審査):令和6年12月上旬~中旬に実施されます。
  4. 交付決定・事業開始:東京観光財団による審査通過後、財団から交付決定通知を受け取り事業を開始します。
  5. 事業終了:最長2年間(令和8年12月31日まで)の期間内に事業を完了させます。
  6. 実績報告:事業終了後1ヶ月以内に、実績報告書を東京観光財団に提出します。
  7. 完了検査:東京観光財団が事業の完了を確認します。
  8. 額確定:補助率2/3を上限とした補助金交付額が確定し、確定通知書が東京観光財団から送付されます。
  9. 補助金請求:確定通知書受領後、補助金請求書を東京観光財団に提出します。
  10. 補助金交付①:請求書提出から1~2週間程度で補助金が振り込まれます。

【第2段階:補助金交付②】

  1. 賃上げ達成報告:「事業終了後、初めて到来する事業年度の決算月」から4ヶ月以内に、賃金引上げ計画達成報告書を東京観光財団に提出します。
  2. 審査:賃金引上げ計画の達成状況が東京観光財団で審査されます。
  3. 賃上げ達成確認:計画達成が確認されると、残りの補助金交付額が確定します。
  4. 差額分の請求:確定通知書受領後、残りの補助金分の請求書を東京観光財団に提出します。
  5. 補助金交付②:請求書提出から1~2週間程度で補助金が振り込まれます。

賃金引上げ計画ありの場合、補助率3/4が適用されますが、全額を受け取るまでに時間がかかる点に注意が必要です。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請方法

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請方法は、郵送による申請と電子申請の2種類があります。

郵送による申請の場合、申請期限は令和6年10月11日(金)消印有効です。必要書類をすべてそろえた上で、「簡易書留」などの追跡可能な方法で東京観光財団宛に郵送します。封筒に「観光事業者のデジタル化促進事業補助金 在中」と記載し、以下の宛先に送りましょう。

(書類郵送先)〒162-0801 東京都新宿区山吹町346番地6 日新ビル2階(公財)東京観光財団 観光産業振興部 観光産業振興課「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」担当 宛
観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請書類の宛先

電子申請の場合は、デジタル庁が提供する電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用します。申請期限は令和6年10月11日(金)16:00到着分までです。電子申請を行うには、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要となるため、余裕を持って準備することが重要です。

※令和6年9月10日現在、電子申請による受付は行われていませんが、9月中旬を目処に再開される予定となっています。

申請にあたっては、募集要領で指定された必要書類をすべて提出しなければいけません。書類に不備や漏れがある場合は申請を受け付けられないため、締切日前に余裕を持って提出することが推奨されています。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の必要書類

観光事業者のデジタル化促進事業補助金では、さまざまな書類の提出が求められます。「交付申請時」「実績報告時」「賃金引上げ計画達成報告時」に分けて紹介します。

なお、「第◯号様式」や「別紙◯」などについては、東京観光財団の「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」ページにある申請様式という項目からダウンロードできます。

交付申請時には、以下の書類が必要です。

必要書類備考
交付申請書(第1-1号様式)
事業計画書(第1-2号様式)必要書類チェックリストと申請前確認書を含む
資金計画書(別紙1)
収支計画書(別紙2)
賃上げ計画書・誓約書(別紙3)賃上げ計画を掲げる場合のみ
補足説明資料必要な場合のみ。A4用紙10枚以内
確定申告書直近2期分の写し。受付印または電子申告の受信通知が必要
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)発行後3ヶ月以内の原本。個人事業者の場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し
印鑑証明書発行後3ヶ月以内の原本。電子申請では不要
社歴(経歴)書会社概要(パンフレット)でも可
事業税などの納税証明書直近の原本。個人事業者は個人事業税の納税証明書(もしくは代表の所得税納税証明書)と住民税の納税証明書
見積書発行日、宛名、見積者の会社名・住所・押印がある写し。1件100万円(税抜)以上は原則2社以上
各種許可書写し。該当する事業者のみ(例:旅館営業許可書)
建物の不動産登記簿謄本、または賃借契約書など登記簿謄本は原本、賃借契約書などは写し。補助金交付対象施設の改修などを行う事業を実施する場合のみ
交付申請時に必要な書類

実績報告時に必要な書類は、以下のように決められています。

必要書類留意事項
観光事業者のデジタル化促進事業実績報告書(第6号様式)本表、付表1、付表2、付表3を含む
見積書の写し宛先、金額、消費税額、発行日、発行者名、所在地、購入品などの内容がすべて明記されており、かつ発行者の押印がある写し
契約書または注文書+注文請書金額、消費税額、契約日、契約者名、所在地、購入品などの内容がすべて明記されており、かつ発行者の押印がある写し
納品書/工事完了報告書/業務完了届など契約先が作成した写し。完了日が記載され、かつ発行者の押印があるもの
契約先発行の請求書宛先、金額、消費税額、発行日、発行者名、所在地、購入品などの内容がすべて明記されており、かつ発行者の押印がある写し
領収書の写し、普通預金通帳または当座勘定照合表契約宛先、領収金額、消費税額、領収日、発行者名、所在地、購入品などの内容がすべて明記されており、かつ発行者の押印がある写し
補助事業の成果物システム作成の場合、画面遷移図などの写真
その他、東京観光財団理事長が必要とする資料
実績報告時に必要な書類

また、これらの書類を提出するときは、以下の点に注意しなければいけません。

  • 補助事業が完了してから1ヶ月以内に提出すること
  • 電子契約の場合は、電子契約関連の法律の要件を満たしていること
  • 海外で発行された書類を提出するときは、日本語訳と翻訳内容保証書を添付すること
  • 支払いは原則として振込払いとすること(クレジットカードなどでの支払いは対象外)

賃金引上げ計画を掲げて申請した事業者は、事業終了後に計画達成の報告を行う必要があります。この報告には以下の書類が必要です。

必要書類留意事項
賃金引上げ計画達成報告書(第6-2号様式)
決算報告書事業終了後に初めて到来する決算期のものの写し
賃金台帳上記の決算報告書の事業年度における、決算月のものの写し。代表者1名分
任意特定適用事業所該当通知書写し。該当する場合のみ。被用者保険の適用拡大について、制度改革に先立ち任意適用に取り組んだ場合に必要
その他、東京観光財団理事長が必要とする資料
賃金引上げ計画達成報告に必要な書類

提出期限は、事業終了後(補助対象経費の最後の振込・引き落しが完了)に初めて到来する決算月から4ヶ月以内です。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の交付決定の取り消しと補助金の返還

観光事業者のデジタル化促進事業補助金では、補助事業者、外注先、その他関係者が不正や違反を行った場合、交付決定が取り消される可能性があります。主な取り消し事由は、以下のとおりです。

  1. 交付決定内容と異なる事実が判明した場合
  2. 不正な手段による補助金受給や目的外使用
  3. 補助対象設備の無断処分や移設
  4. 暴力団関係者や不適切な業態と判明した場合
  5. 過去5年以内の刑事罰
  6. 補助対象要件を満たさないことが判明
  7. 交付決定の条件違反
  8. その他法令違反など

すでに補助金が交付されている場合は、期限を定めて返還が命じられます。返還命令を受けた場合、補助金受領日から返還日までの日数に応じて、年10.95%の割合で計算した違約加算金の納付も求められる可能性があります。

また、返還命令の納期日を過ぎても納付されない場合、納期日翌日から納付日までの日数に応じて、年10.95%の割合で計算した延滞金の納付も求められることがあります。

やむを得ない事情がある場合、東京都との協議により、違約加算金や延滞金が免除または減額されることもありますが、返還の対象とならないようにすることが肝要です。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金のその他の留意点

観光事業者のデジタル化促進事業補助金を受ける際には、補助金交付後も以下の点に注意する必要があります。

本補助金では、東京観光財団が補助事業者に対して現地調査を行う場合があります。調査では、補助事業の実施状況、補助金の収支状況、帳簿書類、取得した財産などについて確認されます。補助事業者は、調査に協力し、必要な情報を提供する義務があります。

補助事業者は、補助事業に関連する帳簿や領収書など、すべての関係書類を補助事業完了年度の翌年度から5年間保存する必要があります。

補助事業により取得した財産(設備、試作品など)のうち、単価50万円(税抜)以上のものについては、5年間、原則として処分(売却、譲渡、廃棄など)することができません。もし、やむを得ず処分する場合は、事前に東京観光財団に申請し承認を得る必要があります。承認を得ずに処分した場合、補助金の返還を求められる可能性があります。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の採択率UPのポイント

観光事業者のデジタル化促進事業補助金に採択されるには、募集要領に記載されている対象要件をクリアし、申請書類を漏れなく用意するだけでなく、いくつかの「コツ」を意識する必要があります。ここでは補助金申請のエキスパートである弊社が、多数の支援を行う中で感じてきた採択率UPのポイントを紹介します。

補助金申請において、募集要領を熟読することは当然ですが、単に字面を追うだけでは不十分です。重要なのは、補助金の目的を理解し、その意図を汲み取った事業計画を作成することです。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金であれば、単にデジタル化すれば良いのではなく、それがどのように東京の観光活性化や旅行者の利便性向上につながるのか、そのためになぜこの取り組みなのか、事業計画の中で明確に示す必要があります。

例えば、飲食店が、多言語対応のセルフオーダーシステムを導入する場合、単に「業務効率化のため」と記載するのではなく、「外国人旅行者の利便性を向上させることで、東京の飲食店全体の顧客満足度向上、ひいては観光客の増加、消費拡大による観光産業の活性化につながる」といった具合です。その上でシステム導入によって期待される効果を数値化したり、具体的なターゲット層を明確化したりすることが大切です。

募集要領をよく読み込み、具体的な数字を盛り込んだ事業計画は採択の可能性を高め、ひいては事業者の持続的な発展にも寄与します。

「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」の審査では、大きく分けて「資格審査」「経理審査」「事業審査」「面接審査」の4つの視点から評価されます。この視点を把握することも採択率を高める重要なポイントです。

資格審査

補助金の交付要綱や募集要領に記載された申請資格を満たしているかを確認する審査です。具体的には、中小企業者であるか、東京都内で旅行者向けにサービス・商品を販売・提供する事業を営む観光事業者であるかなどがチェックされます。

これらの要件を満たしていない場合は、申請自体が受け付けられません。申請前に、自身の事業が補助対象者の要件を満たしているか、募集要領や交付要綱を熟読して確認しましょう。

経理審査

補助事業を適切に遂行できる財務基盤を持っているか、資金計画に無理がないかなどを評価する審査です。具体的には、以下の項目がチェックされます。

項目内容
資金調達の実現性自己資金や借入金など、補助事業に必要な資金を計画通りに調達できるか
事業の持続可能性補助事業終了後も、事業を継続できる経営状況にあるか
事業予算規模補助事業にかかる費用が、既存の事業規模に対して適切な金額であるか
収支計画補助事業によって収益が向上する見込みがあるか、費用対効果が見込めるか
経理審査の項目

過去の決算書や事業計画書などを参考に、財務状況が健全であることを示す必要があります。

事業審査

補助事業の内容が妥当であるか、実現可能性や効果、波及効果などを評価する審査です。具体的には、以下の項目がチェックされます。

項目説明
新規性デジタル技術を活用した事業であり、他の事業者と差別化できる新規性があるか
優秀性現状の課題を的確に分析し、デジタル技術を活用した具体的な解決策を提案しているか
市場性・競争優位性市場動向や顧客ニーズ、競合などを分析し、事業の成功が見込めるか
実現性必要な人材やノウハウ、設備などを確保し、計画通りに事業を実行できる体制が整っているか
波及性補助事業が、自社だけでなく、地域や観光産業全体に良い影響を与える可能性があるか
適合性東京の観光活性化や旅行者の利便性向上につながる事業内容であるか
事業審査の項目

事業計画書で、これらの項目を具体的に説明し、審査員に事業の意義や価値を理解してもらうことが重要です。

面接審査

一次審査(書類審査)を通過した申請者を対象に、事業計画の詳細や熱意などを直接確認するための審査です。事業計画の内容を簡潔に説明できるよう、事前に準備しておきましょう。また、審査員からの質問に対して、的確に回答できるようにしておくことも重要です。

補助金申請は、要件の確認や書類作成など、複雑な手続きが多く、初めての人にとってはハードルが高いものです。申請をスムーズに進め、採択率を上げるためには、専門家のサポートを受けることが有効です。

補助金申請支援の専門家には、主に中小企業診断士や行政書士などがいます。これらの専門家は補助金制度に精通し、申請書類の作成や事業計画のブラッシュアップ、面接対策など、多岐にわたるサポートを提供しています。

専門家に依頼することで、時間と労力を大幅に削減できるだけでなく、申請書類の質を高め、採択の可能性を高められるでしょう。また、専門家からの助言を受けることで、事業計画自体を見直し、より実現可能性の高いものへと改善できる可能性もあります。

補助金申請に不安を感じている人は、専門家への相談がおすすめです。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金についてお悩みでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請は、複雑な手続きや要件を満たす必要があり、初めての人にとっては負担が大きいため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

中小企業経営支援事務所では、補助金・助成金の申請サポートのエキスパートとして、数多くの支援を行ってきました。本補助金においても、当該事業が補助対象となるのか的確に判断し、補助金を受けるために必要な書類の準備の仕方にも精通しています。審査員の目に留まるような事業計画書を作るにはどうしたらいいのか、豊富な経験を持つ弊社であればそのポイントをお伝えすることができます。

補助金申請は、時間との勝負です。申請期限が迫っている場合でも、迅速かつ丁寧に対応しますので、お気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

【最新版】躍進的な事業推進のための設備投資支援事業活用ガイド|申請方法や採択のコツを解説

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の概要

最新の機械設備やソフトウェアを導入すると、生産性向上や業務効率化、人材不足の解消など、さまざまなメリットが期待できます。しかし、多額の初期投資が必要となるため、中小企業にとっては大きな負担となることも事実です。

そのような中小企業を力強く支援するのが、東京都中小企業振興公社が実施する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」です。 本事業では、競争力強化や生産性向上を目的とした設備投資を行う都内の中小企業者に対し、設備導入費用の一部を助成します。

この記事では、東京都中小企業振興公社の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」ページ本事業の募集要項をもとに、助成対象となる事業や設備、助成率・助成限度額、申請方法などを詳しく解説します。 本事業を最大限に活用し、設備投資による事業の成長を加速させましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは、都内の中小企業者のために、「製品・サービスの質的向上」 による競争力強化や 「生産能力の拡大」 による生産性向上に必要な設備導入にかかる費用の一部を助成する事業です。

近年、中小企業を取り巻く経営環境は、少子高齢化やデジタル化の進展など、大きく変化しています。そのような変化の激しい時代において、中小企業が持続的に成長していくためには、積極的な設備投資を行い、競争力の強化やDX・イノベーションの推進をしていくことが不可欠です。

東京都は、本事業を通じて、中小企業の中長期的な発展を支援し、東京の経済をより一層活性化させていきたいと考えています。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請資格の要件

本事業による助成は、すべての企業が受けられるわけではありません。申請するためには、以下のような要件を満たしている必要があります。

本事業による助成を受けるには、申請する企業が中小企業者であること、または中小企業団体等であることが求められます。

中小企業者

中小企業者とは、下表の条件を満たし、かつ大企業が実質的に経営に参画していない事業者を指します。

業種資本金および常用従業員数
製造業・建設業・運輸業・その他の業種3億円以下または300人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円以下または300人以下
ゴム製品製造業の一部3億円以下または900人以下
卸売業1億円以下または100人以下
サービス業5,000万円以下または100人以下
旅館業5,000万円以下または200人以下
小売業(飲食業を含む)5,000万円以下または50人以下
中小企業者の条件

※中小企業者のうち、下表の要件を満たす事業者については小規模企業者と呼ばれます。

業種常用従業員数
製造業・その他20人以下
商業(卸売業・小売業)・サービス業5人以下
小規模企業者の条件

※大企業が実質的に経営に参画しているとは、以下のいずれかに該当する場合を指します。

  • 大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の2分の1以上を所有または出資している場合
  • 大企業が複数で発行済株式総数または出資総額の3分の2以上を所有または出資している場合
  • 役員総数の2分の1以上を大企業の役員または社員が兼務している場合
  • その他、大企業が実質的に経営を支配・参画していると判断される場合

中小企業団体等

中小企業等協同組合法に基づく組合、または中小企業団体の組織に関する法律に基づく中小企業団体のうち、構成員の半数以上が都内に主たる事業所を有する中小企業であることが求められます。

企業形態の要件に加えて、申請する企業が都内において実質的に事業を行っていること、税金の滞納がないこと、過去に不正がないこと、事業継続に問題がないこと、法令等を遵守していること、反社会的勢力との関係がないことなどが求められます。

項目内容
都内で実質的に事業を行っている①基準日現在で、東京都内に登記簿上の本店または支店がある
②基準日現在で、東京都内事業所で継続的に2年以上事業を行っている
③本事業の成果を、都内で引き続き活用し続ける予定がある
東京都に納税し、税金などの滞納もない①法人事業税および法人都民税などを滞納していない
②東京都および公社に対する賃料・使用料などの債務の支払いが滞っていない
基準日現在で助成金額が確定している※過去に本助成事業の採択を受けた場合
本事業の同一回での申請は、一企業一申請に限る
同一機械設備(助成対象設備が同一)で助成を受けていない①同一機械設備で公社が実施する他の助成事業に併願申請していない
②同一機械設備で公社・国・都道府県・区市町村などから助成を受けていないこと
過去の助成事業において、事故がなく、報告書などを期日までに提出している①申請日までの過去5年間に、公社・国・都道府県・区市町村が実施する助成事業などに関して、不正を始めとする事故を起こしていない
②申請日までの過去5年間に、助成金交付時に求められる報告書などを所定の期日までに提出している(過去に公社から助成金の交付を受けている場合)
事業の継続に問題がない①民事再生法、会社更生法、破産法に基づく申立・手続中(再生計画等認可決定確定後は除く)、または私的整理手続中ではない
②休眠会社として解散したものとみなされていない
法令などを遵守している①助成事業の実施に当たって必要な許認可を取得している
②関係法令を遵守している
その他①助成金申請者、設備購入先などの関係者が暴力団関係者、風俗関連業を営むものではない
②公社が公的資金の助成先として適切でないと判断する業態を営むものではない
企業活動に関する要件

※基準日は回ごとに異なるため注意が必要です。第7回は令和6年4月1日でした。

賃金引上計画を掲げて申請する場合は、以下の要件をすべて満たす1年間の事業計画を策定し、実行する必要があります。

  • 賃金引上げ計画期間の全従業員に支払った給与支給総額を、直近決算期のときのそれよりも2.0%以上増加させる
  • 賃金引上げ計画期間において、事業場内で最も低い賃金を地域別最低賃金+30円以上にする

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象期間

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象期間は、交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月です。

  • 第7回:令和6年10月1日~最長令和8年3月31日
  • 第8回:令和7年4月1日~最長令和8年9月30日

助成対象期間より前に発注をした経費や、助成対象期間より後に決済をした経費は対象外となるため注意しましょう。

出典:助成金事業丨東京都中小企業振興公社

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象事業

本事業の助成を受けるには、以下の4つのいずれかに当てはまる事業でなければいけません。

「競争力強化」区分は、都内中小企業がさらなる発展に向けて、製品・サービスの質的向上や生産能力の拡大といった競争力強化を目指し、そのために必要となる機械設備などを新たに導入する事業を指します。例えば、量産体制の構築、安定供給体制の確立、多品種少量精算への対応などが挙げられます。

なお、ゼロエミッションへの取り組みや一定の賃上げを実施する場合は、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。

「DX推進」区分は、IoT、AI、ロボット、デジタル技術を活用し、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。例えば、機械制御の自動化や省力化、生産設備の稼働状況の把握、異常・故障監視による不良率の低減などが挙げられます。

なお、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。

「イノベーション」区分は、国内外で市場拡大が見込まれる産業分野において新たな事業活動に取り組み、イノベーション創出を図るために必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。

国内外で市場拡大が見込まれる産業分野とは、以下の9つです。

  1. 防災・減災・災害対策分野
  2. インフラメンテナンス分野
  3. 安全・安心の確保分野
  4. スポーツ振興・障害者スポーツ分野
  5. 子育て・高齢者・障害者支援分野
  6. 医療・健康分野
  7. 環境・エネルギー・節電分野
  8. 国際的な観光・金融都市の実現分野
  9. 交通・物流・サプライチェーン分野

また、新たな事業活動とは、「新商品の生産」「新役務の提供」「商品の新たな生産または販売の方式の導入」「役務の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動」のいずれかを指します。単なる生産能力の強化や製造品目の増加は該当しません。

加えて、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業である必要があります。

「後継者チャレンジ」区分は、事業承継を機に、事業の多角化や新たな経営課題に取り組む際に必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。例えば、事業転換に向けた新製品の精算、新事業分野への参入などが挙げられます。

本区分の対象となるのは、基準日の3年前から助成対象期間開始の前日までに事業承継を行った、または行う予定の事業者です。承継方法は、同一法人における代表者交代、個人事業における廃業・開業を伴う事業譲渡、個人事業主から新設法人への事業譲渡のいずれかである必要があります。

加えて、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。

なお、申請にあたっては、二次審査(面接審査)に後継者本人の出席が必須となります。また、申請書に記載した後継者を変更することは原則認められませんので、ご注意ください。

本事業では、上記4つの区分のいずれかに当てはまらない事業は対象外となります。加えて、以下のような事業も対象外となるため注意しましょう。

  • 事業計画を伴わない、単なる設備の更新が目的
  • 研究開発を目的とし、量産や販売の目途が立っていない
  • 自社工場への自家発電設備の設置
  • 助成事業完了後、導入した設備の一定期間の継続使用が見込めない
  • 運転資金など設備投資以外の経費の助成が目的
  • 事業計画の遂行や設備投資に対して申請者以外の事業者が関与
  • 助成対象設備を助成事業者以外の事業者が使用
  • 公社が適切ではないと判断

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成率・助成限度額

本事業の助成率と助成限度額は、事業区分や申請者区分、さらにゼロエミッション要件や賃上げ要件の適用状況によって異なります。

事業区分申請者区分ゼロエミッション要件賃上げ要件助成率助成限度額助成下限額
競争力強化中小企業者1/2以内1億円100万円
2/3以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
小規模事業者2/3以内3,000万円100万円
2/3以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
・DX推進
・イノベーション
・後継者チャレンジ
2/3以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成率・助成限度額

例えば、競争力強化を目的とした設備投資を行う中小企業者の場合、ゼロエミッション要件や賃上げ要件を満たさない場合は助成率が1/2以内、助成限度額は1億円となります。しかし、省エネ効果の高い設備を導入するなど、ゼロエミッション要件を満たす場合は、助成率が2/3以内に引き上げられます。さらに、特に省エネ効果の高いと認められた場合は、助成率は3/4以内まで拡充されます。

なお、助成下限額は、助成対象経費に助成率を乗じた結果、100万円を下回る場合は助成金の交付対象とならないことを意味します。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象経費

本事業では、機械装置・器具備品・ソフトウェアの導入費用が助成対象となります。ただし、すべての経費が対象となるわけではなく、以下の表に示す条件を満たす必要があります。

区分対象経費1基当たりの下限額助成金交付申請額
・競争力強化
・イノベーション
・後継者チャレンジ
・機械装置
・器具備品
・ソフトウェアA(主に生産や役務の提供のために使用するもの)
50万円(税抜)以上100万円以上1億円以下
(ソフトウェアAは300万円以上1,000万円以下)
DX推進・機械装置
・器具備品
・ソフトウェアA(主に生産や役務の提供のために使用するもの)
・ソフトウェアB(生産性向上に寄与するもの)
50万円(税抜)以上100万円以上1億円以下
(ソフトウェアAは300万円以上1,000万円以下)
(ソフトウェアBは、ソフトウェアAと合わせて1,000万円以下)
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象経費一覧

※ソフトウェアは、自社の要望に合わせて開発するスクラッチ開発ではなく、パッケージ・アドオン・プラグインなど、すでに仕様が決まっており販売されているものが対象(「DX推進」区分以外)

※1基とは、原則として法人税法の減価償却単位に基づく

※搬入・据付費用は、機械設備本体の購入先が行い、機械設備の設置と一体で捉えられる場合のみ対象

本事業では、あくまでも「躍進的な事業推進」のための設備投資を支援することを目的としています。そのため、設備投資に直接関係のない経費や、事業の成長につながらないと判断される経費は助成の対象外となります。

例えば、以下のような経費は助成対象外です。

  • 人件費、材料費、光熱費などの運転資金や、広告宣伝費、旅費交通費など設備投資以外の経費
  • 既存設備の改良・修繕費や中古品の購入費
  • 電気工事や内装工事など、設備を設置するための場所の整備費用
  • 保守費用やソフトウェアのバージョンアップ費用など、設備導入後に継続的に発生する費用

これらの経費は、事業の成長に不可欠な場合もありますが、本事業の趣旨である「躍進的な事業推進」のための設備投資を支援するという観点からは、対象外と判断されます。

助成対象となる経費と対象外となる経費の境界線はわかりにくい場合もあるため、事前に募集要項をよく確認し、不明な点は公社に問い合わせるようにしましょう。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の流れや申請方法

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業による助成を受けるには、募集要項で規定されている流れとスケジュール感を掴み、必要な申請書類を余裕をもって準備することが大切です。手続きをスムーズに進めるために、しっかりと把握しておきましょう。

本事業の流れは以下のとおりです。

  1. 情報収集と申請準備
    まず、東京都中小企業振興公社のホームページなどで、最新の募集要項や説明会情報を収集しましょう。募集要項には、申請資格、助成対象事業、助成率・助成限度額、申請方法、申請スケジュールなどが詳しく記載されています。説明会では、事業内容や申請方法に関する説明を受けることができます。
  2. 申請予約
    公社のホームページから申請予約を行います。申請予約をしないと申請書類を提出できませんので、必ず期限内に手続きを済ませましょう。
  3. 申請書類の作成と提出
    募集要項に基づき、申請書類を作成し、電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」から提出します。申請書類には、事業計画書、収支計画書、見積書、会社案内など、さまざまな書類が必要となります。必要な書類は事業区分や申請内容によって異なるため、募集要項をよく確認することが大切です。
    なお、「Jグランツ」から申請するには、事前に「GビズIDプライムアカウント」を作成しておかなければいけません。余裕をもって行うようにしましょう。
  4. 審査
    提出された申請書類に基づき、公社による審査が行われます。審査は、書類審査と面接審査の二段階で行われます。書類審査では、事業計画の内容、実現可能性、収益性などが評価されます。面接審査では、事業計画の詳細や経営者の熱意、事業への理解度などが評価されます。
  5. 交付決定
    審査の結果、助成対象事業者として採択されると、交付決定通知書が交付されます。交付決定通知書には、助成金額や助成対象期間などが記載されています。
  6. 事業の実施
    交付決定通知書の内容に基づき、設備投資を行います。助成対象となるように、助成対象期間内に契約、納品、支払いを完了する必要があります。
  7. 完了報告
    設備投資が完了したら、公社に完了報告書を提出します。完了報告書には、設備投資の実績や成果などを記載します。
  8. 完了検査
    公社による完了検査が行われ、設備投資の内容や成果が確認されます。
  9. 助成金の交付
    完了検査に合格すると、助成金が交付されます。助成金は後払い制のため、設備投資の完了後に支払われます。
  10. 事業化状況報告
    助成事業完了後、翌年度から5年間、事業化状況報告書を毎年提出する必要があります。事業化状況報告書には、設備投資による成果や収益などが記載されます。

本事業の申請スケジュールは以下のとおりです。

【躍進的な事業推進のための設備投資支援事業第8回募集申請スケジュール】

  • 申請予約(公社HP):令和6年10月23日(水)~11月6日(水)17時
  • 申請受付(Jグランツ):令和6年11月1日(金)~11月15日(金)17時
  • 書類審査&面接審査(公社が指定):令和6年11月中旬~令和7年2月下旬
  • 助成対象者決定(交付決定):令和7年3月中旬
  • 助成事業開始:令和7年4月1日(火)~

申請受付の締切日は混雑によってデータのアップロードに時間がかかるため、早めの申請受付が推奨されています。

本事業の申請に必要な書類には、以下のようなものが挙げられています。なお、申請書一式については、東京都中小企業振興公社の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」ページからダウンロードできます。

書類名内容提出部数備考
申請書一式申請前確認書、申請書(事業計画書)のほか、ゼロエミッション概要書、賃金引上げ計画書など、事業区分・申請内容に応じた書類電子データ1部
確定申告書直近3期分の確定申告書の写し(税務署の受付印または電子申告の受信通知を含む)電子データ1部創業3年未満の企業は直近2期分で可
履歴事項全部証明書発行後3ヶ月以内の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)原本電子データ1部個人の場合は開業届の写し
納税証明書直近2期分の法人事業税・法人都民税の納税証明書原本電子データ1部個人の場合は、直近2期分の個人事業税・住民税の納税証明書、もしくは所得税・住民税納税証明書原本
積算根拠書類導入機械設備1機種につき2社の見積書(写し)など機種ごとに電子データ各1部
機械設備設置場所関連書類機械設備を設置する建物の外観写真、機械設備設置場所の写真、機械設備設置場所の平面図など設置場所ごとに電子データ各1部
会社関連書類会社案内、法令上必要な事業許可書など電子データ各1部
小規模企業者関連書類小規模企業者に該当することの確認書、直近の労働保険 概算・確定保険料申告書の写し電子データ各1部「競争力強化」区分に申請する小規模企業者のみ
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請書類

上記以外にも、加点措置適用を希望する場合や、ゼロエミッション要件・賃上げ要件を適用する場合には、追加で必要書類があります。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業に採択されるためのコツ

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、申請後に助成対象に値するかどうかの審査が行われます。この審査をクリアするには、以下のようなポイントを意識することが重要です。

本事業の審査は、一次審査として「資格審査」「経理審査」「事業計画審査」、二次審査として「面接審査」「価格審査」があり、その後総合審査を経て採択するか否かが決定されます。

これらはいずれも重要ですが、募集要項では「資格審査」「経理審査」「事業計画審査」「価格審査」における審査の視点が提示されています。これらを踏まえ、実現可能性が高く、成長性のある事業計画を策定することが採択を手繰り寄せる鍵となります。

資格審査(一次審査)

まずは、申請企業が本事業の助成対象となる要件を満たしているかを確認します。具体的には、中小企業基本法で定める「中小企業者」または「中小企業団体等」に該当するか、都内において2年以上実質的に事業を行っているか、税金の滞納がないかなどが審査されます。

経理審査(一次審査)

申請企業の財務状況を分析し、事業計画の実行可能性や返済能力などを評価します。直近3期分の決算書などを基に、安全性、収益性、成長性の3つの観点から審査が行われます。

事業計画審査(一次審査・二次審査)

最も重要な審査項目の一つで、事業計画の内容を詳細に評価します。ここでは、以下の5つの視点から多角的に審査が行われます。

評価項目内容ポイント
目的との適合性申請した事業区分と事業計画の内容が整合性を持っているか・事業区分の目的を深く理解する
・事業計画の内容が区分の目的に合致していることを明確に示す
優秀性市場分析や競合との比較を踏まえ、事業計画がいかに優れているか・市場ニーズや競合を分析する
・自社の強みを生かした独自の戦略や差別化要素を明確にする
実現性事業計画が実際に実現可能かどうか・市場性、技術的な実現可能性、資金調達の妥当性、人材確保の見込みを具体的に示す
・数値目標や具体的な行動計画を盛り込む
計画の妥当性設備投資の内容が事業計画に照らして適切か、費用対効果が見込めるか・導入する設備の必要性を明確に説明する
・設備が事業目標達成にどのように貢献するのかを具体的に示す
・費用対効果を数値で示す
成長・発展性設備投資によって、将来的に企業がどのように成長・発展していくのか・生産性向上や売上増加、雇用創出など、設備投資による具体的な効果を予測する
・将来的なビジョンを明確に示す
事業計画審査の内容とポイント

価格審査(二次審査)

導入予定の機械設備やソフトウェアが、一般的な市場価格と比較して著しく高額でないかをチェックします。不当に高額な見積もりは、助成金の不正受給につながる可能性があるため、厳格に審査されます。

本事業においては、一定の条件を満たせば審査に加点される措置があります。加点項目を意識することで、採択の可能性を高めることが可能です。

例えば「DX推進」区分においては、以下の3つの項目が加点対象となります。

  1. 令和2年度までに公社が実施した「IoT、AI導入前適正化診断」または「ロボット導入前適正化診断」を終了し、その診断結果に基づいて申請する
  2. 公社が実施している「DX推進支援事業」または「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」または「企業変革に向けたDX推進支援事業」の支援を受け、その支援内容に基づいて申請する
  3. 公社が実施している「デジタル技術活用推進緊急支援事業」の支援を受け、その支援内容に基づいて申請する

これらの診断や支援事業を活用すると、DX推進に向けた専門的な知見があり、具体的な計画を策定できる事業者であるとみなされ、採択される可能性が高まります。

また、すべての事業区分において、以下の2つの項目が加点対象となります。

  1. 東京都に「地球温暖化対策報告書」を提出している
  2. 東京都に「地球温暖化対策計画書」または「特定テナント等地球温暖化対策計画書」を提出している

環境への配慮を示すことで、企業の社会的責任を果たしている姿勢をアピールできるため、審査においてプラスに評価される可能性があります。

審査項目や加点項目を意識することも重要ですが、その点だけおさえていると形式的な内容になりがちです。採択されるには審査員の心をいかに動かすかも重要になるため、事業に対する熱い想いや、なぜこの事業に取り組むのかといった背景も盛り込むようにしましょう。

例えば、「後継者チャレンジ」区分であれば、事業承継に至るまでのストーリーや、先代から受け継いだ想い、後継者としての決意を表明すると、事業への強い意志を示すことができます。

募集要項を遵守することも大切ですが、それらに加えて、事業者の熱い想いを伝えることで、より採択される可能性が高まるでしょう。

本事業は申請書類の準備や手続きが複雑で、多くの時間と労力を要します。特に、初めて申請する企業にとっては、要件を満たす事業計画の作成や、膨大な書類作成は大きな負担となるでしょう。

そこで、補助金・助成金の申請支援を実施している専門家に、サポートを依頼することをおすすめします。専門家は、豊富な知識と経験に基づき、以下のようなサポートを提供してくれます。

  • 事業計画のブラッシュアップ:審査項目を踏まえ、採択率を高める事業計画の作成を支援します。市場調査、競合分析、収支計画の策定など、専門的な視点からアドバイスを受けることで、より実現可能性が高く、魅力的な事業計画を策定できます。
  • 加点要素の提案:審査において加点される要素を把握しており、事業計画への反映や、必要書類の準備などをサポートしてくれます。採択の可能性を高めるために有効なアドバイスを受けることができます。
  • 申請手続きのサポート:電子申請システム「Jグランツ」の操作方法や、提出書類の確認など、申請手続きのサポートを受けられるのも、補助金・助成金に精通している専門家に依頼するメリットです。
  • ヒアリング・面談対策:審査の過程で行われる面接審査に向けた対策や、公社からのヒアリングに対応するための準備をサポートしてくれます。質疑応答の練習や、プレゼンテーション資料の作成支援などを受けることで、自信を持って審査に臨むことができます。

専門家のサポートを受けることで、申請準備にかかる負担を軽減できるだけでなく、採択率の向上も期待できます。専門家の費用は発生しますが、助成金の受給によって十分に回収できる可能性も高く、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。

補助金・助成金の申請支援を専門とする専門家は、中小企業診断士、経営コンサルタント、税理士、行政書士などがいます。信頼できる専門家を見つけ、積極的に相談して、事業の成長を加速させる設備投資を実現しましょう。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請などでお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、東京都内の中小企業の競争力強化や生産性向上を目的とした設備導入を支援するものです。申請には、事業計画書の作成や審査項目への対応など、複雑な手続きが必要となります。

中小企業経営支援事務所では、補助金・助成金の申請支援の経験を豊富に持つコンサルタントが、採択を勝ち取るためのさまざまなサポートを行っています。募集要項を的確に読み解いて要件を満たしているか判断し、必要な申請書類の準備の支援を実施するだけでなく、事業者の想いを汲み取り、審査員の心を揺さぶるような事業計画書を策定するためのアドバイスも行っているのが弊社の強みです。

本事業の申請を検討している場合は、ぜひ一度、ご相談くださいませ。初回相談は無料です。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは?経営改善計画策定支援(405事業)との違いや申請方法、手続き時の注意点を解説

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違い

近年、中小企業を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの影響や物価高騰、人手不足、デジタル化の進展など、大きく変化しています。このような状況において、中小企業が生き残り、成長していくためには、環境変化に柔軟に対応し、事業の収益力強化や生産性向上に取り組むことが重要です。

しかし、経営資源が限られている中小企業にとって、自社の課題を詳細に分析し、具体的な経営改善計画を策定することは容易ではないでしょう。そこで、公的機関である中小企業活性化協議会は、中小企業の早期の経営改善計画の策定を支援するため、早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)を実施しています。

この記事では、本事業について、同協議会が実施する経営改善計画策定支援(405事業)と比較しながら特徴を紹介した上で、メリットや申請方法、実際に計画を策定する際のポイントについて解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、国が認定する認定経営革新等支援機関であり、補助金・助成金申請のエキスパートです。早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは

中小企業活性化協議会では、中小企業の収益力改善や再生支援、再チャレンジ支援に向けて5つのソリューションを展開しています。その中の「民間プレーヤーを活用した支援」の一つとして提供されているのが、早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業:ポスコロ事業)です。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の概要や補助対象事業者などについて、中小企業活性化協議会の「早期経営改善計画策定支援」のページや、「経営改善計画策定支援事業(早期経営改善計画策定支援)に関する手引き」をもとに紹介します。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは、事業環境の変化などによる経営上の支障(収益力の低下や資金繰りの悪化)の予防として、経営改善・事業再生に早期に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する事業です。

具体的には、事業者が認定経営革新等支援機関と呼ばれる国認定の専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、それを金融機関に提出することを通じて、事業者自らが経営を見直し、早めの経営改善を図れるように、計画策定に係る費用や専門家の伴走支援などに係る費用の一部を支援します。

なお、本事業における早期経営改善計画の策定は、中小企業収益力改善支援研究会が2022年12月に取りまとめた「収益力改善支援に関する実務指針」に基づく必要があります。これは従来の中小企業再生支援協議会が行っていた経営改善計画策定支援(405事業)の通常枠(詳細後述)と同じ指針ですが、本事業で策定する計画については「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容」に限定されます。

本事業の対象者は、「資金繰り管理や採算管理といった基本的な経営改善に取り組む必要」があり、かつ「専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、金融機関に提出するとともに、経営改善を実行する意思」のある中小企業・小規模事業者です。

ただし、過去に中小企業活性化協議会事業、経営改善計画策定支援、早期経営改善計画策定支援を利用した事業者は対象外となります(新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢、原油価格の高騰などの影響で業況が悪化した事業者は、2022年度または2023年度中の申請に限り1回のみ対象)。

本事業における補助対象費用・補助率・補助上限額は以下のとおりです。

支援枠補助対象経費(※1)補助率補助上限額
通常枠計画策定支援費用2/315万円
伴走支援費用(期中)2/35万円
伴走支援費用(決算期)2/35万円
金融機関交渉費用2/310万円(※2)
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の補助対象費用・補助率・補助上限額

(※1)認定経営革新等支援機関が業務の委嘱に承諾した日以降に発生した費用に限る
(※2)金融機関交渉に対する補助金は、各補助金に上限10万円として加算可能

中小企業活性化協議会が展開するソリューションのうち、早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と同様に、「民間プレーヤーを活用した支援」として展開されているものがあります。それが経営改善計画策定支援(405事業)です。

以下、経営改善計画策定支援(405事業)の概要や補助対象事業者などについて、中小企業活性化協議会の「経営改善計画策定支援」のページや、「経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き」をもとに紹介します。

経営改善計画策定支援(405事業)とは、資金繰りに課題を抱え、自力で経営改善計画を策定することが難しい状況にある中小企業・小規模事業者を支援する事業です。

事業者が専門家である認定経営革新等支援機関の支援を受けながら経営改善計画を策定し、金融機関から融資などを受けて「経営改善・事業再生・再チャレンジ」を目指すために、計画策定に係る費用や専門家の伴走支援などに係る費用の一部を支援します。

本事業には、大きく分けて2つの枠組みがあります。

いずれの枠組みにおいても、専門家の支援を受けながら実現可能な計画を策定することで、事業者自らがPDCAサイクルを構築し、持続可能な経営体制を構築することを目指します。

本事業の対象者は、「通常枠」と「中小版GL枠」によって異なります。

  • 通常枠:借入金の返済負担などで財務状況が悪化し、自力での経営改善計画策定が困難な中小企業・小規模事業者。ただし、専門家の支援を受けることで、金融機関から融資の条件変更や新規融資などを受けられる見込みがあること
  • 中小版GL枠:「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づき計画策定を実施する中小企業・小規模事業者

いずれも、過去に本事業を利用した場合は原則対象外となりますが、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響などで業況が悪化した場合は、再度利用できる場合があります。

なお、金融機関が1行のみで、かつ信用保証協会の保証付き借入がない場合は、金融機関調整が不要となるため、本事業の対象外です。

本事業で補助を受けられる主な費用は、以下のとおりです。

支援枠補助対象経費(※1)補助率補助上限額
通常枠DD(※2)・計画策定支援費用2/3200万円
伴走支援費用(モニタリング費用)2/3100万円
金融機関交渉費用(※3)2/310万円
中小版GL枠DD(※2)費用等2/3300万円
計画策定支援費用2/3300万円
伴走支援費用2/3100万円
経営改善計画策定支援(405事業)の補助対象費用・補助率・補助上限額

(※1)認定経営革新等支援機関が業務の委嘱に承諾した日以降に発生した費用に限る
(※2)デューデリジェンス(事業・財務の状況に関する調査分析)
(※3)経営者保証解除を目指した計画を作成し、金融機関交渉を実施する場合のみ(任意)。金融機関交渉に対する補助金は、各補助金に上限10万円として加算可能

【比較表】早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違い

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違いを以下の表にまとめました。

項目早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)経営改善計画策定支援(405事業)
目的収益力低下や資金繰り悪化を予防を検討する中小企業・小規模事業者が、早期に経営改善を図ることを支援深刻な財務問題を抱える中小企業・小規模事業者が、金融機関からの支援を受けながら本格的な経営改善計画を策定し、事業再生・再チャレンジを図ることを支援
対象となる事業者いずれの条件にも当てはまる中小企業・小規模事業者
・資金繰り管理や採算管理といった基本的な経営改善に取り組む必要がある
・専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、金融機関に提出するとともに、伴走支援を受けながら経営改善を実行する意思がある
【通常枠】
専門家の支援を受けながら経営改善計画を策定し、金融機関からの支援(条件変更や新規融資など)が見込める中小企業・小規模事業者
【中小版GL枠】
「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づき計画策定を実施する中小企業・小規模事業者
計画の内容「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容」に限定された経営改善計画【通常枠】
「収益力改善支援に関する実務指針」に基づく経営改善計画
【中小版GL枠】
「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づく計画
補助対象経費・計画策定支援費用
・伴走支援費用
・金融機関交渉費用
【通常枠】
・DD、計画策定支援費用
・伴走支援費用(モニタリング費用)
・金融機関交渉費用
【中小版GL枠】
・DD費用等
・計画策定支援費用
・伴走支援費用
補助率2/32/3
補助上限額・計画策定支援費用:15万円
・伴走支援費用(期中・決算期):各5万円
・金融機関交渉費用:10万円
【通常枠】
・DD、計画策定支援費用:200万円
・伴走支援費用:100万円
・金融機関交渉費用:10万円
【中小版GL枠】
・DD等:300万円
・計画策定支援費用:300万円
・伴走支援費用:100万円
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違い

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、比較的早期の段階で経営課題に取り組む事業であるのに対し、経営改善計画策定支援(405事業)は、深刻な状況に陥っている事業者を対象とした、より手厚い内容の事業と言えるでしょう。

どちらの事業が適切かは、事業者の置かれている状況や経営課題の深刻度によって異なります。いずれの場合も、まずは専門家である認定経営革新等支援機関や、中小企業活性化協議会に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)のメリット

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、深刻な経営悪化に陥る前に、早めの対策を講じたい中小企業・小規模事業者にとって、多くのメリットがある事業です。主に以下の3つが挙げられます。

本事業を活用すると、国が認定した専門家である認定経営革新等支援機関のサポートを受けながら、自社の課題や改善策を分析し、具体的な計画を策定できるようになります。また、経営者自身の経営に関する知識やスキルの向上も期待できます。

専門家への費用の一部を国が補助してくれるため、費用負担を軽減しながら、専門家のサポートを受けることができます。計画策定支援だけでなく、計画実行の伴走支援、経営者保証解除に向けた金融機関との交渉支援も補助対象となるため、安心して経営改善に取り組むことが可能となります。

早期に経営課題に取り組み、具体的な改善計画を策定・実行することで、金融機関からの信頼獲得につながり、融資を受けやすくなる可能性があります。また、計画策定の段階から金融機関と情報共有することで、事業内容や今後の見通しについて理解を得やすくなるというメリットもあります。

これらのメリットを最大限に活かすためには、自社の状況を正しく把握し、適切な計画を策定することが重要です。専門家や金融機関と積極的にコミュニケーションを図りながら、計画を進めていきましょう。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請方法

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請の大まかな流れと必要な書類について紹介します。

本事業による支援を受けるには、申請から計画実行、補助金の受け取りまで、いくつかの段階があります。主な流れは以下の通りです。

  1. 支援内容の確認と専門家探し
    中小企業活性化協議会の「早期経営改善計画策定支援」のページや「経営改善計画策定支援事業(早期経営改善計画策定支援)に関する手引き」などで事業内容を確認し、要件に合致しているかを確認します。その後、「認定経営革新等支援機関」を探します。
  2. 専門家との相談・契約
    認定経営革新等支援機関と面談し、自社の経営状況や課題、改善計画策定支援の希望内容などを伝えます。専門家の支援を受けることが決まったら、正式に契約を締結します。
  3. 金融機関への事前相談
    認定経営革新等支援機関と連携し、早期経営改善計画策定支援を利用して計画を策定する予定であることを、メインバンクまたは準メインバンクに事前に相談します。
  4. 利用申請
    認定経営革新等支援機関と連名で、中小企業活性化協議会へ「早期経営改善計画策定支援事業利用申請書」などの必要書類を提出します。
  5. 審査・助言
    中小企業活性化協議会は、提出された申請書類に基づき、要件を満たしているか審査を行います。申請者や認定経営革新等支援機関に「収益力改善支援に関する実務指針」に関する留意事項を説明するとともに、必要に応じて面談やヒアリングを行い、計画策定に関する助言を行います。
  6. 通知・承諾
    中層企業活性化協議会が、早期経営改善計画策定支援に係る費用の一部を負担すると判断したら、認定経営革新等支援機関にその旨を通知します。
  7. 早期経営改善計画の策定
    認定経営革新等支援機関の支援を受けながら、自社の経営課題の分析、改善策の検討、数値計画などを盛り込んだ「早期経営改善計画」を策定します。
  8. 金融機関への計画提出
    策定した計画を、認定経営革新等支援機関とともに、事前に相談した金融機関に提出します。
  9. 計画に係る費用の支払申請
    早期経営改善計画を金融機関に提出したら、中小企業活性化協議会に必要書類を提出して、計画に係る費用の支払い申請をします。中小企業活性化協議会は、申請内容を審査し、問題がなければ費用を認定経営革新等支援機関に支払います。
  10. 伴走支援・報告
    計画策定後1年を経過した最初の決算時までの間、認定経営革新等支援機関による伴走支援を受けながら、計画を実行します。計画期間中は、定期的に認定経営革新等支援機関と面談し、進捗状況の確認やアドバイスを受けるとともに、実施状況を金融機関に共有します。
  11. 伴走支援に係る費用の支払申請
    伴走支援の実施を受けたら、中小企業活性化協議会に必要書類を提出して、伴走支援に係る費用の支払い申請をします(申請の有効期限は伴走支援対象期間最終日から6カ月を経過した日)。中小企業活性化協議会は、計画策定の支払申請のときと同様、申請内容を審査し、問題がなければ費用を認定経営革新等支援機関に支払います。

「早期経営改善計画策定支援」を受ける際に必要な書類は、大きく分けて「利用申請時」「計画費用支払申請時」「伴走支援費用支払申請時」の3つの段階で発生します。事前に内容を確認して準備を進めるようにしましょう。

なお、申請様式は「申請様式(利用申請・支払申請・伴走支援)」からダウンロードできます。

利用申請時

書類補足
早期経営改善計画策定支援事業利用申請書別紙①
申請者の概要(早期経営改善計画策定支援)別紙①-1
業務別見積明細書(早期経営改善計画策定支援)別紙①-2
履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)原本
個人事業主の場合は、開業届(写し)または確定申告書(写し)
認定経営革新等支援機関であることを証する認定通知書等写し
申請者に対する認定経営革新等支援機関の見積書及び単価表
金融機関(メイン行または準メイン行)の事前相談書金融機関が認定経営革新等支援機関として連名で申請する場合は不要
直近3年分の申告書写し
利用申請時の必要書類

計画費用支払申請時

書類補足
早期経営改善計画策定支援事業費用支払申請書別紙②
早期経営改善計画書別紙②-1
呼称は「事業計画書」などでも可
業務別請求明細書(早期経営改善計画策定支援)別紙②-2
従事時間管理表(業務日誌)(早期経営改善計画策定支援)別紙②-3
《計画策定支援》実務指針に基づく実施確認表別紙②-4
認定経営革新等支援機関の請求書類(中小企業活性化協議会宛)原本
申請者と認定経営革新等支援機関が締結する早期経営改善計画策定支援に係る契約書写し
申請者による費用負担額(3分の1)の支払を示す証憑類(振込受付書、払込取扱票など)写し
金融機関に早期経営改善計画を提出したことが確認できる書面(金融機関の受取書など)今後の金融支援を約束するものではなく、普段の業務で使用しているもので可
計画費用支払申請時の必要書類

伴走支援費用支払申請時

書類補足
早期経営改善計画策定支援事業伴走支援費用支払申請書別紙③
伴走支援報告書(早期経営計画策定支援)(金融機関交渉費用を活用した場合、金融機関交渉の報告書〈早期経営改善計画策定支援〉)別紙③-1
業務別請求明細書(早期経営改善計画策定支援)別紙③-2
従事時間管理表(業務日誌)(早期経営改善計画策定支援)別紙③-3
《伴走支援》実務指針に基づく実施確認表別紙③-4
申請者と認定経営革新等支援機関が締結する伴走支援(または金融機関交渉)業務に係る契約書写し
認定経営革新等支援機関の請求書類(中小企業活性化協議会宛)原本
申請者による伴走支援費用負担額(3分の1)の支払を示す証憑類(振込受付書、払込取扱票など)写し
伴走支援レポート(金融機関への報告に使用した書面の写し、または報告内容を記録した書面)
伴走支援費用支払申請時の必要書類

早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)に申請するときのポイント

早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)にはさまざまな留意点がありますが、特に以下のポイントをおさえることをおすすめします。

本事業は、あくまで「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容の経営改善」を目的とする事業者向けです。より本格的な支援が必要な場合は、経営改善計画策定支援(405事業)の活用を検討しましょう。過去に本事業や類似事業を利用していないかも、重要な確認事項です。

本事業では、認定経営革新等支援機関といった専門家のサポートを受けられます。しかし、経営改善の主体は企業自身であることを忘れてはなりません。

専門家に任せきりになると、計画の内容が自社の状況に合わなかったり、計画を実行する上で当事者意識が薄れてしまったりする可能性があります。

経営者自身も経営課題や改善策を深く理解し、主体的に計画策定に関わることが重要です。専門家は、客観的な視点や専門知識を提供してくれる強力なパートナーですが、最終的な判断や実行は経営者が行うという意識を持ち続けるようにしましょう。

早期経営改善計画の策定に主体的に関わっていくには、経営者のほうでも事業の詳細な現状分析を行い、課題の明確にすることが重要となります。そのためには、「収益力改善支援に関する実務指針」を参考に以下の項目を分析する必要があります。

  • 会社基本情報
  • 財務状況
  • 商流
  • 業務フロー
  • 外部環境(顧客ニーズ、競合状況、市場動向など)
  • 内部環境(経営体制、組織文化、従業員意識など)

これらの観点から分析を行った上で、専門家の持つ客観的な視点を取り入れると、自社にとってより重要な課題を洗い出せるでしょう。

早期経営改善計画は、実行可能な内容にすることが重要です。そのためには、現状分析で明らかになった課題に対し、具体的な数値目標と、期限を定めた行動計画を盛り込む必要があります。

中小企業活性化協議会が「早期経営改善計画策定支援」のページで展開している「早期経営改善計画」の策定例や「資金予定表かんたん作成ツール」などを活用してたたき台を作り、その上で専門家の意見も踏まえながら無理のない現実的な計画を立てましょう。

また、計画は策定して終わりではなく、それを実行して進捗状況を定期的に確認・評価し、必要に応じて軌道修正を行うことが重要です。このPDCAサイクルを専門家のアドバイスを踏まえながら回すことで、事業の収益力改善を着実に実現していくことができます。

相性の良い認定経営革新等支援機関の選択方法

早期経営改善計画策定支援の成功には、伴走者である認定経営革新等支援機関との相性が重要です。相性の良い専門家を見つけるためのポイントは以下の通りです。

  1. 専門分野・経験:自社の事業内容や課題に精通した専門知識・経験を持つ機関を選びましょう。飲食店であれば、飲食業界に強い専門家や、実際に飲食店の支援実績がある専門家が考えられます。
  2. 地域性:自社の事業エリアに近い機関を選ぶことで、地域特性に合わせた支援を受けやすくなります。
  3. コミュニケーション:密なコミュニケーションは信頼関係構築に不可欠です。相談しやすい雰囲気があるか、熱意を持って対応してくれるかを見極めましょう。
  4. 費用:支援内容と費用が見合っているか、事前に見積もりを取ることが大切です。

これらのポイントを念頭に、複数の機関に相談し、比較検討することをおすすめします。

なお、中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」を活用すれば、専門分野や地域から機関を探すことができます。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)などの申請にお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、専門家の力を借りながら資金繰りや収益力改善への対策を早期に講じ、事業の安定化を図るための有効な事業です。

しかし、事業の利用要件や申請手続き、計画策定には専門的な知識が必要となるため、多くの経営者にとってハードルが高いと感じる部分もあるかもしれません。

もし、早期経営改善計画策定支援の利用や経営改善計画の作成にお悩みであれば、ぜひ一度、中小企業経営支援事務所にご相談ください。認定経営革新等支援機関であり、補助金申請の支援経験を豊富に持つ専門家が、貴社の状況に合わせて、わかりやすく丁寧にサポートいたします。

初回相談は無料ですので、お気軽に問い合わせいただけますと幸いです。

株式会社中小企業経営支援事務所

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東京都新宿区改代町27-4-1 クレスト神楽坂2F

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