早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは?経営改善計画策定支援(405事業)との違いや申請方法、手続き時の注意点を解説
近年、中小企業を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの影響や物価高騰、人手不足、デジタル化の進展など、大きく変化しています。このような状況において、中小企業が生き残り、成長していくためには、環境変化に柔軟に対応し、事業の収益力強化や生産性向上に取り組むことが重要です。
しかし、経営資源が限られている中小企業にとって、自社の課題を詳細に分析し、具体的な経営改善計画を策定することは容易ではないでしょう。そこで、公的機関である中小企業活性化協議会は、中小企業の早期の経営改善計画の策定を支援するため、「早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)」を実施しています。
この記事では、本事業について、同協議会が実施する「経営改善計画策定支援(405事業)」と比較しながら特徴を紹介した上で、メリットや申請方法、実際に計画を策定する際のポイントについて解説します。
当社・中小企業経営支援事務所は、国が認定する認定経営革新等支援機関であり、補助金・助成金申請のエキスパートです。早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。
もくじ
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは
中小企業活性化協議会では、中小企業の収益力改善や再生支援、再チャレンジ支援に向けて5つのソリューションを展開しています。その中の「民間プレーヤーを活用した支援」の一つとして提供されているのが、早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業:ポスコロ事業)です。
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の概要や補助対象事業者などについて、中小企業活性化協議会の「早期経営改善計画策定支援」のページや、「経営改善計画策定支援事業(早期経営改善計画策定支援)に関する手引き」をもとに紹介します。
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の概要
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは、事業環境の変化などによる経営上の支障(収益力の低下や資金繰りの悪化)の予防として、経営改善・事業再生に早期に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する事業です。
具体的には、事業者が認定経営革新等支援機関と呼ばれる国認定の専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、それを金融機関に提出することを通じて、事業者自らが経営を見直し、早めの経営改善を図れるように、計画策定に係る費用や専門家の伴走支援などに係る費用の一部を支援します。
なお、本事業における早期経営改善計画の策定は、中小企業収益力改善支援研究会が2022年12月に取りまとめた「収益力改善支援に関する実務指針」に基づく必要があります。これは従来の中小企業再生支援協議会が行っていた経営改善計画策定支援(405事業)の通常枠(詳細後述)と同じ指針ですが、本事業で策定する計画については「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容」に限定されます。
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の補助対象事業者
本事業の対象者は、「資金繰り管理や採算管理といった基本的な経営改善に取り組む必要」があり、かつ「専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、金融機関に提出するとともに、経営改善を実行する意思」のある中小企業・小規模事業者です。
ただし、過去に中小企業活性化協議会事業、経営改善計画策定支援、早期経営改善計画策定支援を利用した事業者は対象外となります(新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢、原油価格の高騰などの影響で業況が悪化した事業者は、2022年度または2023年度中の申請に限り1回のみ対象)。
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の補助対象費用・補助率・補助上限額
本事業における補助対象費用・補助率・補助上限額は以下のとおりです。
支援枠 | 補助対象経費(※1) | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|---|
通常枠 | 計画策定支援費用 | 2/3 | 15万円 |
伴走支援費用(期中) | 2/3 | 5万円 | |
伴走支援費用(決算期) | 2/3 | 5万円 | |
金融機関交渉費用 | 2/3 | 10万円(※2) |
(※1)認定経営革新等支援機関が業務の委嘱に承諾した日以降に発生した費用に限る
(※2)金融機関交渉に対する補助金は、各補助金に上限10万円として加算可能
経営改善計画策定支援(405事業)とは
中小企業活性化協議会が展開するソリューションのうち、早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と同様に、「民間プレーヤーを活用した支援」として展開されているものがあります。それが経営改善計画策定支援(405事業)です。
以下、経営改善計画策定支援(405事業)の概要や補助対象事業者などについて、中小企業活性化協議会の「経営改善計画策定支援」のページや、「経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き」をもとに紹介します。
経営改善計画策定支援(405事業)の概要
経営改善計画策定支援(405事業)とは、資金繰りに課題を抱え、自力で経営改善計画を策定することが難しい状況にある中小企業・小規模事業者を支援する事業です。
事業者が専門家である認定経営革新等支援機関の支援を受けながら経営改善計画を策定し、金融機関から融資などを受けて「経営改善・事業再生・再チャレンジ」を目指すために、計画策定に係る費用や専門家の伴走支援などに係る費用の一部を支援します。
本事業には、大きく分けて2つの枠組みがあります。
- 通常枠:金融支援を伴う本格的な経営改善のために、中小企業収益力改善支援研究会が2022年12月に取りまとめた「収益力改善支援に関する実務指針」に基づく計画策定などの支援を行う
- 中小版GL枠:より抜本的な事業再生もしくは廃業のために、中小企業の事業再生等に関する研究会が2022年4月に取りまとめた「中小企業の事業再生等に関するガイドライン<第三部>中小企業の事業再生等のための私的整理手続」に基づく計画策定などの支援を行う
いずれの枠組みにおいても、専門家の支援を受けながら実現可能な計画を策定することで、事業者自らがPDCAサイクルを構築し、持続可能な経営体制を構築することを目指します。
経営改善計画策定支援(405事業)の補助対象事業者
本事業の対象者は、「通常枠」と「中小版GL枠」によって異なります。
- 通常枠:借入金の返済負担などで財務状況が悪化し、自力での経営改善計画策定が困難な中小企業・小規模事業者。ただし、専門家の支援を受けることで、金融機関から融資の条件変更や新規融資などを受けられる見込みがあること
- 中小版GL枠:「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づき計画策定を実施する中小企業・小規模事業者
いずれも、過去に本事業を利用した場合は原則対象外となりますが、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響などで業況が悪化した場合は、再度利用できる場合があります。
なお、金融機関が1行のみで、かつ信用保証協会の保証付き借入がない場合は、金融機関調整が不要となるため、本事業の対象外です。
経営改善計画策定支援(405事業)の補助対象費用・補助率・補助上限額
本事業で補助を受けられる主な費用は、以下のとおりです。
支援枠 | 補助対象経費(※1) | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|---|
通常枠 | DD(※2)・計画策定支援費用 | 2/3 | 200万円 |
伴走支援費用(モニタリング費用) | 2/3 | 100万円 | |
金融機関交渉費用(※3) | 2/3 | 10万円 | |
中小版GL枠 | DD(※2)費用等 | 2/3 | 300万円 |
計画策定支援費用 | 2/3 | 300万円 | |
伴走支援費用 | 2/3 | 100万円 |
(※1)認定経営革新等支援機関が業務の委嘱に承諾した日以降に発生した費用に限る
(※2)デューデリジェンス(事業・財務の状況に関する調査分析)
(※3)経営者保証解除を目指した計画を作成し、金融機関交渉を実施する場合のみ(任意)。金融機関交渉に対する補助金は、各補助金に上限10万円として加算可能
【比較表】早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違い
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違いを以下の表にまとめました。
項目 | 早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業) | 経営改善計画策定支援(405事業) |
---|---|---|
目的 | 収益力低下や資金繰り悪化を予防を検討する中小企業・小規模事業者が、早期に経営改善を図ることを支援 | 深刻な財務問題を抱える中小企業・小規模事業者が、金融機関からの支援を受けながら本格的な経営改善計画を策定し、事業再生・再チャレンジを図ることを支援 |
対象となる事業者 | いずれの条件にも当てはまる中小企業・小規模事業者 ・資金繰り管理や採算管理といった基本的な経営改善に取り組む必要がある ・専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、金融機関に提出するとともに、伴走支援を受けながら経営改善を実行する意思がある | 【通常枠】 専門家の支援を受けながら経営改善計画を策定し、金融機関からの支援(条件変更や新規融資など)が見込める中小企業・小規模事業者 【中小版GL枠】 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づき計画策定を実施する中小企業・小規模事業者 |
計画の内容 | 「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容」に限定された経営改善計画 | 【通常枠】 「収益力改善支援に関する実務指針」に基づく経営改善計画 【中小版GL枠】 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づく計画 |
補助対象経費 | ・計画策定支援費用 ・伴走支援費用 ・金融機関交渉費用 | 【通常枠】 ・DD、計画策定支援費用 ・伴走支援費用(モニタリング費用) ・金融機関交渉費用 【中小版GL枠】 ・DD費用等 ・計画策定支援費用 ・伴走支援費用 |
補助率 | 2/3 | 2/3 |
補助上限額 | ・計画策定支援費用:15万円 ・伴走支援費用(期中・決算期):各5万円 ・金融機関交渉費用:10万円 | 【通常枠】 ・DD、計画策定支援費用:200万円 ・伴走支援費用:100万円 ・金融機関交渉費用:10万円 【中小版GL枠】 ・DD等:300万円 ・計画策定支援費用:300万円 ・伴走支援費用:100万円 |
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、比較的早期の段階で経営課題に取り組む事業であるのに対し、経営改善計画策定支援(405事業)は、深刻な状況に陥っている事業者を対象とした、より手厚い内容の事業と言えるでしょう。
どちらの事業が適切かは、事業者の置かれている状況や経営課題の深刻度によって異なります。いずれの場合も、まずは専門家である認定経営革新等支援機関や、中小企業活性化協議会に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)のメリット
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、深刻な経営悪化に陥る前に、早めの対策を講じたい中小企業・小規模事業者にとって、多くのメリットがある事業です。主に以下の3つが挙げられます。
専門家のサポートによる計画策定
本事業を活用すると、国が認定した専門家である認定経営革新等支援機関のサポートを受けながら、自社の課題や改善策を分析し、具体的な計画を策定できるようになります。また、経営者自身の経営に関する知識やスキルの向上も期待できます。
補助金による費用負担の軽減
専門家への費用の一部を国が補助してくれるため、費用負担を軽減しながら、専門家のサポートを受けることができます。計画策定支援だけでなく、計画実行の伴走支援、経営者保証解除に向けた金融機関との交渉支援も補助対象となるため、安心して経営改善に取り組むことが可能となります。
金融機関との関係強化
早期に経営課題に取り組み、具体的な改善計画を策定・実行することで、金融機関からの信頼獲得につながり、融資を受けやすくなる可能性があります。また、計画策定の段階から金融機関と情報共有することで、事業内容や今後の見通しについて理解を得やすくなるというメリットもあります。
これらのメリットを最大限に活かすためには、自社の状況を正しく把握し、適切な計画を策定することが重要です。専門家や金融機関と積極的にコミュニケーションを図りながら、計画を進めていきましょう。
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請方法
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請の大まかな流れと必要な書類について紹介します。
申請の流れ
本事業による支援を受けるには、申請から計画実行、補助金の受け取りまで、いくつかの段階があります。主な流れは以下の通りです。
- 支援内容の確認と専門家探し
中小企業活性化協議会の「早期経営改善計画策定支援」のページや「経営改善計画策定支援事業(早期経営改善計画策定支援)に関する手引き」などで事業内容を確認し、要件に合致しているかを確認します。その後、「認定経営革新等支援機関」を探します。 - 専門家との相談・契約
認定経営革新等支援機関と面談し、自社の経営状況や課題、改善計画策定支援の希望内容などを伝えます。専門家の支援を受けることが決まったら、正式に契約を締結します。 - 金融機関への事前相談
認定経営革新等支援機関と連携し、早期経営改善計画策定支援を利用して計画を策定する予定であることを、メインバンクまたは準メインバンクに事前に相談します。 - 利用申請
認定経営革新等支援機関と連名で、中小企業活性化協議会へ「早期経営改善計画策定支援事業利用申請書」などの必要書類を提出します。 - 審査・助言
中小企業活性化協議会は、提出された申請書類に基づき、要件を満たしているか審査を行います。申請者や認定経営革新等支援機関に「収益力改善支援に関する実務指針」に関する留意事項を説明するとともに、必要に応じて面談やヒアリングを行い、計画策定に関する助言を行います。 - 通知・承諾
中層企業活性化協議会が、早期経営改善計画策定支援に係る費用の一部を負担すると判断したら、認定経営革新等支援機関にその旨を通知します。 - 早期経営改善計画の策定
認定経営革新等支援機関の支援を受けながら、自社の経営課題の分析、改善策の検討、数値計画などを盛り込んだ「早期経営改善計画」を策定します。 - 金融機関への計画提出
策定した計画を、認定経営革新等支援機関とともに、事前に相談した金融機関に提出します。 - 計画に係る費用の支払申請
早期経営改善計画を金融機関に提出したら、中小企業活性化協議会に必要書類を提出して、計画に係る費用の支払い申請をします。中小企業活性化協議会は、申請内容を審査し、問題がなければ費用を認定経営革新等支援機関に支払います。 - 伴走支援・報告
計画策定後1年を経過した最初の決算時までの間、認定経営革新等支援機関による伴走支援を受けながら、計画を実行します。計画期間中は、定期的に認定経営革新等支援機関と面談し、進捗状況の確認やアドバイスを受けるとともに、実施状況を金融機関に共有します。 - 伴走支援に係る費用の支払申請
伴走支援の実施を受けたら、中小企業活性化協議会に必要書類を提出して、伴走支援に係る費用の支払い申請をします(申請の有効期限は伴走支援対象期間最終日から6カ月を経過した日)。中小企業活性化協議会は、計画策定の支払申請のときと同様、申請内容を審査し、問題がなければ費用を認定経営革新等支援機関に支払います。
必要書類一覧
「早期経営改善計画策定支援」を受ける際に必要な書類は、大きく分けて「利用申請時」「計画費用支払申請時」「伴走支援費用支払申請時」の3つの段階で発生します。事前に内容を確認して準備を進めるようにしましょう。
なお、申請様式は「申請様式(利用申請・支払申請・伴走支援)」からダウンロードできます。
利用申請時
書類 | 補足 |
---|---|
早期経営改善計画策定支援事業利用申請書 | 別紙① |
申請者の概要(早期経営改善計画策定支援) | 別紙①-1 |
業務別見積明細書(早期経営改善計画策定支援) | 別紙①-2 |
履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本) | 原本 個人事業主の場合は、開業届(写し)または確定申告書(写し) |
認定経営革新等支援機関であることを証する認定通知書等 | 写し |
申請者に対する認定経営革新等支援機関の見積書及び単価表 | ー |
金融機関(メイン行または準メイン行)の事前相談書 | 金融機関が認定経営革新等支援機関として連名で申請する場合は不要 |
直近3年分の申告書 | 写し |
計画費用支払申請時
書類 | 補足 |
---|---|
早期経営改善計画策定支援事業費用支払申請書 | 別紙② |
早期経営改善計画書 | 別紙②-1 呼称は「事業計画書」などでも可 |
業務別請求明細書(早期経営改善計画策定支援) | 別紙②-2 |
従事時間管理表(業務日誌)(早期経営改善計画策定支援) | 別紙②-3 |
《計画策定支援》実務指針に基づく実施確認表 | 別紙②-4 |
認定経営革新等支援機関の請求書類(中小企業活性化協議会宛) | 原本 |
申請者と認定経営革新等支援機関が締結する早期経営改善計画策定支援に係る契約書 | 写し |
申請者による費用負担額(3分の1)の支払を示す証憑類(振込受付書、払込取扱票など) | 写し |
金融機関に早期経営改善計画を提出したことが確認できる書面(金融機関の受取書など) | 今後の金融支援を約束するものではなく、普段の業務で使用しているもので可 |
伴走支援費用支払申請時
書類 | 補足 |
---|---|
早期経営改善計画策定支援事業伴走支援費用支払申請書 | 別紙③ |
伴走支援報告書(早期経営計画策定支援)(金融機関交渉費用を活用した場合、金融機関交渉の報告書〈早期経営改善計画策定支援〉) | 別紙③-1 |
業務別請求明細書(早期経営改善計画策定支援) | 別紙③-2 |
従事時間管理表(業務日誌)(早期経営改善計画策定支援) | 別紙③-3 |
《伴走支援》実務指針に基づく実施確認表 | 別紙③-4 |
申請者と認定経営革新等支援機関が締結する伴走支援(または金融機関交渉)業務に係る契約書 | 写し |
認定経営革新等支援機関の請求書類(中小企業活性化協議会宛) | 原本 |
申請者による伴走支援費用負担額(3分の1)の支払を示す証憑類(振込受付書、払込取扱票など) | 写し |
伴走支援レポート(金融機関への報告に使用した書面の写し、または報告内容を記録した書面) | ー |
早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)に申請するときのポイント
早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)にはさまざまな留意点がありますが、特に以下のポイントをおさえることをおすすめします。
申請資格を満たしているか確認する
本事業は、あくまで「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容の経営改善」を目的とする事業者向けです。より本格的な支援が必要な場合は、経営改善計画策定支援(405事業)の活用を検討しましょう。過去に本事業や類似事業を利用していないかも、重要な確認事項です。
専門家に頼りすぎないようにする
本事業では、認定経営革新等支援機関といった専門家のサポートを受けられます。しかし、経営改善の主体は企業自身であることを忘れてはなりません。
専門家に任せきりになると、計画の内容が自社の状況に合わなかったり、計画を実行する上で当事者意識が薄れてしまったりする可能性があります。
経営者自身も経営課題や改善策を深く理解し、主体的に計画策定に関わることが重要です。専門家は、客観的な視点や専門知識を提供してくれる強力なパートナーですが、最終的な判断や実行は経営者が行うという意識を持ち続けるようにしましょう。
事業の現状分析と課題を明確化する
早期経営改善計画の策定に主体的に関わっていくには、経営者のほうでも事業の詳細な現状分析を行い、課題の明確にすることが重要となります。そのためには、「収益力改善支援に関する実務指針」を参考に以下の項目を分析する必要があります。
- 会社基本情報
- 財務状況
- 商流
- 業務フロー
- 外部環境(顧客ニーズ、競合状況、市場動向など)
- 内部環境(経営体制、組織文化、従業員意識など)
これらの観点から分析を行った上で、専門家の持つ客観的な視点を取り入れると、自社にとってより重要な課題を洗い出せるでしょう。
実行可能な計画を策定してPDCAサイクルを確立する
早期経営改善計画は、実行可能な内容にすることが重要です。そのためには、現状分析で明らかになった課題に対し、具体的な数値目標と、期限を定めた行動計画を盛り込む必要があります。
中小企業活性化協議会が「早期経営改善計画策定支援」のページで展開している「早期経営改善計画」の策定例や「資金予定表かんたん作成ツール」などを活用してたたき台を作り、その上で専門家の意見も踏まえながら無理のない現実的な計画を立てましょう。
また、計画は策定して終わりではなく、それを実行して進捗状況を定期的に確認・評価し、必要に応じて軌道修正を行うことが重要です。このPDCAサイクルを専門家のアドバイスを踏まえながら回すことで、事業の収益力改善を着実に実現していくことができます。
相性の良い認定経営革新等支援機関の選択方法
早期経営改善計画策定支援の成功には、伴走者である認定経営革新等支援機関との相性が重要です。相性の良い専門家を見つけるためのポイントは以下の通りです。
- 専門分野・経験:自社の事業内容や課題に精通した専門知識・経験を持つ機関を選びましょう。飲食店であれば、飲食業界に強い専門家や、実際に飲食店の支援実績がある専門家が考えられます。
- 地域性:自社の事業エリアに近い機関を選ぶことで、地域特性に合わせた支援を受けやすくなります。
- コミュニケーション:密なコミュニケーションは信頼関係構築に不可欠です。相談しやすい雰囲気があるか、熱意を持って対応してくれるかを見極めましょう。
- 費用:支援内容と費用が見合っているか、事前に見積もりを取ることが大切です。
これらのポイントを念頭に、複数の機関に相談し、比較検討することをおすすめします。
なお、中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」を活用すれば、専門分野や地域から機関を探すことができます。
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)などの申請にお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、専門家の力を借りながら資金繰りや収益力改善への対策を早期に講じ、事業の安定化を図るための有効な事業です。
しかし、事業の利用要件や申請手続き、計画策定には専門的な知識が必要となるため、多くの経営者にとってハードルが高いと感じる部分もあるかもしれません。
もし、早期経営改善計画策定支援の利用や経営改善計画の作成にお悩みであれば、ぜひ一度、中小企業経営支援事務所にご相談ください。認定経営革新等支援機関であり、補助金申請の支援経験を豊富に持つ専門家が、貴社の状況に合わせて、わかりやすく丁寧にサポートいたします。
初回相談は無料ですので、お気軽に問い合わせいただけますと幸いです。