【最新版】躍進的な事業推進のための設備投資支援事業活用ガイド|申請方法や採択のコツを解説
最新の機械設備やソフトウェアを導入すると、生産性向上や業務効率化、人材不足の解消など、さまざまなメリットが期待できます。しかし、多額の初期投資が必要となるため、中小企業にとっては大きな負担となることも事実です。
そのような中小企業を力強く支援するのが、東京都中小企業振興公社が実施する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」です。 本事業では、競争力強化や生産性向上を目的とした設備投資を行う都内の中小企業者に対し、設備導入費用の一部を助成します。
この記事では、東京都中小企業振興公社の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」ページや本事業の募集要項をもとに、助成対象となる事業や設備、助成率・助成限度額、申請方法などを詳しく解説します。 本事業を最大限に活用し、設備投資による事業の成長を加速させましょう。
当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。
もくじ
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは、都内の中小企業者のために、「製品・サービスの質的向上」 による競争力強化や 「生産能力の拡大」 による生産性向上に必要な設備導入にかかる費用の一部を助成する事業です。
近年、中小企業を取り巻く経営環境は、少子高齢化やデジタル化の進展など、大きく変化しています。そのような変化の激しい時代において、中小企業が持続的に成長していくためには、積極的な設備投資を行い、競争力の強化やDX・イノベーションの推進をしていくことが不可欠です。
東京都は、本事業を通じて、中小企業の中長期的な発展を支援し、東京の経済をより一層活性化させていきたいと考えています。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請資格の要件
本事業による助成は、すべての企業が受けられるわけではありません。申請するためには、以下のような要件を満たしている必要があります。
企業形態に関する要件
本事業による助成を受けるには、申請する企業が中小企業者であること、または中小企業団体等であることが求められます。
中小企業者
中小企業者とは、下表の条件を満たし、かつ大企業が実質的に経営に参画していない事業者を指します。
業種 | 資本金および常用従業員数 |
---|---|
製造業・建設業・運輸業・その他の業種 | 3億円以下または300人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下または300人以下 |
ゴム製品製造業の一部 | 3億円以下または900人以下 |
卸売業 | 1億円以下または100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下または100人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下または200人以下 |
小売業(飲食業を含む) | 5,000万円以下または50人以下 |
※中小企業者のうち、下表の要件を満たす事業者については小規模企業者と呼ばれます。
業種 | 常用従業員数 |
---|---|
製造業・その他 | 20人以下 |
商業(卸売業・小売業)・サービス業 | 5人以下 |
※大企業が実質的に経営に参画しているとは、以下のいずれかに該当する場合を指します。
- 大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の2分の1以上を所有または出資している場合
- 大企業が複数で発行済株式総数または出資総額の3分の2以上を所有または出資している場合
- 役員総数の2分の1以上を大企業の役員または社員が兼務している場合
- その他、大企業が実質的に経営を支配・参画していると判断される場合
中小企業団体等
中小企業等協同組合法に基づく組合、または中小企業団体の組織に関する法律に基づく中小企業団体のうち、構成員の半数以上が都内に主たる事業所を有する中小企業であることが求められます。
企業活動に関する要件
企業形態の要件に加えて、申請する企業が都内において実質的に事業を行っていること、税金の滞納がないこと、過去に不正がないこと、事業継続に問題がないこと、法令等を遵守していること、反社会的勢力との関係がないことなどが求められます。
項目 | 内容 |
---|---|
都内で実質的に事業を行っている | ①基準日現在で、東京都内に登記簿上の本店または支店がある ②基準日現在で、東京都内事業所で継続的に2年以上事業を行っている ③本事業の成果を、都内で引き続き活用し続ける予定がある |
東京都に納税し、税金などの滞納もない | ①法人事業税および法人都民税などを滞納していない ②東京都および公社に対する賃料・使用料などの債務の支払いが滞っていない |
基準日現在で助成金額が確定している | ※過去に本助成事業の採択を受けた場合 |
本事業の同一回での申請は、一企業一申請に限る | ー |
同一機械設備(助成対象設備が同一)で助成を受けていない | ①同一機械設備で公社が実施する他の助成事業に併願申請していない ②同一機械設備で公社・国・都道府県・区市町村などから助成を受けていないこと |
過去の助成事業において、事故がなく、報告書などを期日までに提出している | ①申請日までの過去5年間に、公社・国・都道府県・区市町村が実施する助成事業などに関して、不正を始めとする事故を起こしていない ②申請日までの過去5年間に、助成金交付時に求められる報告書などを所定の期日までに提出している(過去に公社から助成金の交付を受けている場合) |
事業の継続に問題がない | ①民事再生法、会社更生法、破産法に基づく申立・手続中(再生計画等認可決定確定後は除く)、または私的整理手続中ではない ②休眠会社として解散したものとみなされていない |
法令などを遵守している | ①助成事業の実施に当たって必要な許認可を取得している ②関係法令を遵守している |
その他 | ①助成金申請者、設備購入先などの関係者が暴力団関係者、風俗関連業を営むものではない ②公社が公的資金の助成先として適切でないと判断する業態を営むものではない |
※基準日は回ごとに異なるため注意が必要です。第7回は令和6年4月1日でした。
賃金引上計画に関する要件
賃金引上計画を掲げて申請する場合は、以下の要件をすべて満たす1年間の事業計画を策定し、実行する必要があります。
- 賃金引上げ計画期間の全従業員に支払った給与支給総額を、直近決算期のときのそれよりも2.0%以上増加させる
- 賃金引上げ計画期間において、事業場内で最も低い賃金を地域別最低賃金+30円以上にする
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象期間
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象期間は、交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月です。
- 第7回:令和6年10月1日~最長令和8年3月31日
- 第8回:令和7年4月1日~最長令和8年9月30日
助成対象期間より前に発注をした経費や、助成対象期間より後に決済をした経費は対象外となるため注意しましょう。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象事業
本事業の助成を受けるには、以下の4つのいずれかに当てはまる事業でなければいけません。
競争力強化
「競争力強化」区分は、都内中小企業がさらなる発展に向けて、製品・サービスの質的向上や生産能力の拡大といった競争力強化を目指し、そのために必要となる機械設備などを新たに導入する事業を指します。例えば、量産体制の構築、安定供給体制の確立、多品種少量精算への対応などが挙げられます。
なお、ゼロエミッションへの取り組みや一定の賃上げを実施する場合は、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。
DX推進
「DX推進」区分は、IoT、AI、ロボット、デジタル技術を活用し、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。例えば、機械制御の自動化や省力化、生産設備の稼働状況の把握、異常・故障監視による不良率の低減などが挙げられます。
なお、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。
イノベーション
「イノベーション」区分は、国内外で市場拡大が見込まれる産業分野において新たな事業活動に取り組み、イノベーション創出を図るために必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。
国内外で市場拡大が見込まれる産業分野とは、以下の9つです。
- 防災・減災・災害対策分野
- インフラメンテナンス分野
- 安全・安心の確保分野
- スポーツ振興・障害者スポーツ分野
- 子育て・高齢者・障害者支援分野
- 医療・健康分野
- 環境・エネルギー・節電分野
- 国際的な観光・金融都市の実現分野
- 交通・物流・サプライチェーン分野
また、新たな事業活動とは、「新商品の生産」「新役務の提供」「商品の新たな生産または販売の方式の導入」「役務の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動」のいずれかを指します。単なる生産能力の強化や製造品目の増加は該当しません。
加えて、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業である必要があります。
後継者チャレンジ
「後継者チャレンジ」区分は、事業承継を機に、事業の多角化や新たな経営課題に取り組む際に必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。例えば、事業転換に向けた新製品の精算、新事業分野への参入などが挙げられます。
本区分の対象となるのは、基準日の3年前から助成対象期間開始の前日までに事業承継を行った、または行う予定の事業者です。承継方法は、同一法人における代表者交代、個人事業における廃業・開業を伴う事業譲渡、個人事業主から新設法人への事業譲渡のいずれかである必要があります。
加えて、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。
なお、申請にあたっては、二次審査(面接審査)に後継者本人の出席が必須となります。また、申請書に記載した後継者を変更することは原則認められませんので、ご注意ください。
助成対象にならない事業
本事業では、上記4つの区分のいずれかに当てはまらない事業は対象外となります。加えて、以下のような事業も対象外となるため注意しましょう。
- 事業計画を伴わない、単なる設備の更新が目的
- 研究開発を目的とし、量産や販売の目途が立っていない
- 自社工場への自家発電設備の設置
- 助成事業完了後、導入した設備の一定期間の継続使用が見込めない
- 運転資金など設備投資以外の経費の助成が目的
- 事業計画の遂行や設備投資に対して申請者以外の事業者が関与
- 助成対象設備を助成事業者以外の事業者が使用
- 公社が適切ではないと判断
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成率・助成限度額
本事業の助成率と助成限度額は、事業区分や申請者区分、さらにゼロエミッション要件や賃上げ要件の適用状況によって異なります。
事業区分 | 申請者区分 | ゼロエミッション要件 | 賃上げ要件 | 助成率 | 助成限度額 | 助成下限額 |
---|---|---|---|---|---|---|
競争力強化 | 中小企業者 | – | – | 1/2以内 | 1億円 | 100万円 |
○ | – | 2/3以内 | 1億円 | 100万円 | ||
◎ | – | 3/4以内 | 1億円 | 100万円 | ||
– | ○ | 3/4以内 | 1億円 | 100万円 | ||
小規模事業者 | – | – | 2/3以内 | 3,000万円 | 100万円 | |
○ | – | 2/3以内 | 1億円 | 100万円 | ||
◎ | – | 3/4以内 | 1億円 | 100万円 | ||
– | ○ | 3/4以内 | 1億円 | 100万円 | ||
・DX推進 ・イノベーション ・後継者チャレンジ | – | – | – | 2/3以内 | 1億円 | 100万円 |
◎ | – | 3/4以内 | 1億円 | 100万円 | ||
– | ○ | 3/4以内 | 1億円 | 100万円 |
例えば、競争力強化を目的とした設備投資を行う中小企業者の場合、ゼロエミッション要件や賃上げ要件を満たさない場合は助成率が1/2以内、助成限度額は1億円となります。しかし、省エネ効果の高い設備を導入するなど、ゼロエミッション要件を満たす場合は、助成率が2/3以内に引き上げられます。さらに、特に省エネ効果の高いと認められた場合は、助成率は3/4以内まで拡充されます。
なお、助成下限額は、助成対象経費に助成率を乗じた結果、100万円を下回る場合は助成金の交付対象とならないことを意味します。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象経費
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象経費一覧
本事業では、機械装置・器具備品・ソフトウェアの導入費用が助成対象となります。ただし、すべての経費が対象となるわけではなく、以下の表に示す条件を満たす必要があります。
区分 | 対象経費 | 1基当たりの下限額 | 助成金交付申請額 |
---|---|---|---|
・競争力強化 ・イノベーション ・後継者チャレンジ | ・機械装置 ・器具備品 ・ソフトウェアA(主に生産や役務の提供のために使用するもの) | 50万円(税抜)以上 | 100万円以上1億円以下 (ソフトウェアAは300万円以上1,000万円以下) |
DX推進 | ・機械装置 ・器具備品 ・ソフトウェアA(主に生産や役務の提供のために使用するもの) ・ソフトウェアB(生産性向上に寄与するもの) | 50万円(税抜)以上 | 100万円以上1億円以下 (ソフトウェアAは300万円以上1,000万円以下) (ソフトウェアBは、ソフトウェアAと合わせて1,000万円以下) |
※ソフトウェアは、自社の要望に合わせて開発するスクラッチ開発ではなく、パッケージ・アドオン・プラグインなど、すでに仕様が決まっており販売されているものが対象(「DX推進」区分以外)
※1基とは、原則として法人税法の減価償却単位に基づく
※搬入・据付費用は、機械設備本体の購入先が行い、機械設備の設置と一体で捉えられる場合のみ対象
助成対象にならない経費
本事業では、あくまでも「躍進的な事業推進」のための設備投資を支援することを目的としています。そのため、設備投資に直接関係のない経費や、事業の成長につながらないと判断される経費は助成の対象外となります。
例えば、以下のような経費は助成対象外です。
- 人件費、材料費、光熱費などの運転資金や、広告宣伝費、旅費交通費など設備投資以外の経費
- 既存設備の改良・修繕費や中古品の購入費
- 電気工事や内装工事など、設備を設置するための場所の整備費用
- 保守費用やソフトウェアのバージョンアップ費用など、設備導入後に継続的に発生する費用
これらの経費は、事業の成長に不可欠な場合もありますが、本事業の趣旨である「躍進的な事業推進」のための設備投資を支援するという観点からは、対象外と判断されます。
助成対象となる経費と対象外となる経費の境界線はわかりにくい場合もあるため、事前に募集要項をよく確認し、不明な点は公社に問い合わせるようにしましょう。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の流れや申請方法
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業による助成を受けるには、募集要項で規定されている流れとスケジュール感を掴み、必要な申請書類を余裕をもって準備することが大切です。手続きをスムーズに進めるために、しっかりと把握しておきましょう。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の流れ
本事業の流れは以下のとおりです。
- 情報収集と申請準備
まず、東京都中小企業振興公社のホームページなどで、最新の募集要項や説明会情報を収集しましょう。募集要項には、申請資格、助成対象事業、助成率・助成限度額、申請方法、申請スケジュールなどが詳しく記載されています。説明会では、事業内容や申請方法に関する説明を受けることができます。 - 申請予約
公社のホームページから申請予約を行います。申請予約をしないと申請書類を提出できませんので、必ず期限内に手続きを済ませましょう。 - 申請書類の作成と提出
募集要項に基づき、申請書類を作成し、電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」から提出します。申請書類には、事業計画書、収支計画書、見積書、会社案内など、さまざまな書類が必要となります。必要な書類は事業区分や申請内容によって異なるため、募集要項をよく確認することが大切です。
なお、「Jグランツ」から申請するには、事前に「GビズIDプライムアカウント」を作成しておかなければいけません。余裕をもって行うようにしましょう。 - 審査
提出された申請書類に基づき、公社による審査が行われます。審査は、書類審査と面接審査の二段階で行われます。書類審査では、事業計画の内容、実現可能性、収益性などが評価されます。面接審査では、事業計画の詳細や経営者の熱意、事業への理解度などが評価されます。 - 交付決定
審査の結果、助成対象事業者として採択されると、交付決定通知書が交付されます。交付決定通知書には、助成金額や助成対象期間などが記載されています。 - 事業の実施
交付決定通知書の内容に基づき、設備投資を行います。助成対象となるように、助成対象期間内に契約、納品、支払いを完了する必要があります。 - 完了報告
設備投資が完了したら、公社に完了報告書を提出します。完了報告書には、設備投資の実績や成果などを記載します。 - 完了検査
公社による完了検査が行われ、設備投資の内容や成果が確認されます。 - 助成金の交付
完了検査に合格すると、助成金が交付されます。助成金は後払い制のため、設備投資の完了後に支払われます。 - 事業化状況報告
助成事業完了後、翌年度から5年間、事業化状況報告書を毎年提出する必要があります。事業化状況報告書には、設備投資による成果や収益などが記載されます。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請スケジュール
本事業の申請スケジュールは以下のとおりです。
【躍進的な事業推進のための設備投資支援事業第8回募集申請スケジュール】
- 申請予約(公社HP):令和6年10月23日(水)~11月6日(水)17時
- 申請受付(Jグランツ):令和6年11月1日(金)~11月15日(金)17時
- 書類審査&面接審査(公社が指定):令和6年11月中旬~令和7年2月下旬
- 助成対象者決定(交付決定):令和7年3月中旬
- 助成事業開始:令和7年4月1日(火)~
申請受付の締切日は混雑によってデータのアップロードに時間がかかるため、早めの申請受付が推奨されています。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請書類
本事業の申請に必要な書類には、以下のようなものが挙げられています。なお、申請書一式については、東京都中小企業振興公社の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」ページからダウンロードできます。
書類名 | 内容 | 提出部数 | 備考 |
---|---|---|---|
申請書一式 | 申請前確認書、申請書(事業計画書)のほか、ゼロエミッション概要書、賃金引上げ計画書など、事業区分・申請内容に応じた書類 | 電子データ1部 | ー |
確定申告書 | 直近3期分の確定申告書の写し(税務署の受付印または電子申告の受信通知を含む) | 電子データ1部 | 創業3年未満の企業は直近2期分で可 |
履歴事項全部証明書 | 発行後3ヶ月以内の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)原本 | 電子データ1部 | 個人の場合は開業届の写し |
納税証明書 | 直近2期分の法人事業税・法人都民税の納税証明書原本 | 電子データ1部 | 個人の場合は、直近2期分の個人事業税・住民税の納税証明書、もしくは所得税・住民税納税証明書原本 |
積算根拠書類 | 導入機械設備1機種につき2社の見積書(写し)など | 機種ごとに電子データ各1部 | ー |
機械設備設置場所関連書類 | 機械設備を設置する建物の外観写真、機械設備設置場所の写真、機械設備設置場所の平面図など | 設置場所ごとに電子データ各1部 | ー |
会社関連書類 | 会社案内、法令上必要な事業許可書など | 電子データ各1部 | ー |
小規模企業者関連書類 | 小規模企業者に該当することの確認書、直近の労働保険 概算・確定保険料申告書の写し | 電子データ各1部 | 「競争力強化」区分に申請する小規模企業者のみ |
上記以外にも、加点措置適用を希望する場合や、ゼロエミッション要件・賃上げ要件を適用する場合には、追加で必要書類があります。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業に採択されるためのコツ
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、申請後に助成対象に値するかどうかの審査が行われます。この審査をクリアするには、以下のようなポイントを意識することが重要です。
審査の視点を把握する
本事業の審査は、一次審査として「資格審査」「経理審査」「事業計画審査」、二次審査として「面接審査」「価格審査」があり、その後総合審査を経て採択するか否かが決定されます。
これらはいずれも重要ですが、募集要項では「資格審査」「経理審査」「事業計画審査」「価格審査」における審査の視点が提示されています。これらを踏まえ、実現可能性が高く、成長性のある事業計画を策定することが採択を手繰り寄せる鍵となります。
資格審査(一次審査)
まずは、申請企業が本事業の助成対象となる要件を満たしているかを確認します。具体的には、中小企業基本法で定める「中小企業者」または「中小企業団体等」に該当するか、都内において2年以上実質的に事業を行っているか、税金の滞納がないかなどが審査されます。
経理審査(一次審査)
申請企業の財務状況を分析し、事業計画の実行可能性や返済能力などを評価します。直近3期分の決算書などを基に、安全性、収益性、成長性の3つの観点から審査が行われます。
事業計画審査(一次審査・二次審査)
最も重要な審査項目の一つで、事業計画の内容を詳細に評価します。ここでは、以下の5つの視点から多角的に審査が行われます。
評価項目 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
目的との適合性 | 申請した事業区分と事業計画の内容が整合性を持っているか | ・事業区分の目的を深く理解する ・事業計画の内容が区分の目的に合致していることを明確に示す |
優秀性 | 市場分析や競合との比較を踏まえ、事業計画がいかに優れているか | ・市場ニーズや競合を分析する ・自社の強みを生かした独自の戦略や差別化要素を明確にする |
実現性 | 事業計画が実際に実現可能かどうか | ・市場性、技術的な実現可能性、資金調達の妥当性、人材確保の見込みを具体的に示す ・数値目標や具体的な行動計画を盛り込む |
計画の妥当性 | 設備投資の内容が事業計画に照らして適切か、費用対効果が見込めるか | ・導入する設備の必要性を明確に説明する ・設備が事業目標達成にどのように貢献するのかを具体的に示す ・費用対効果を数値で示す |
成長・発展性 | 設備投資によって、将来的に企業がどのように成長・発展していくのか | ・生産性向上や売上増加、雇用創出など、設備投資による具体的な効果を予測する ・将来的なビジョンを明確に示す |
価格審査(二次審査)
導入予定の機械設備やソフトウェアが、一般的な市場価格と比較して著しく高額でないかをチェックします。不当に高額な見積もりは、助成金の不正受給につながる可能性があるため、厳格に審査されます。
加点項目を意識する
本事業においては、一定の条件を満たせば審査に加点される措置があります。加点項目を意識することで、採択の可能性を高めることが可能です。
例えば「DX推進」区分においては、以下の3つの項目が加点対象となります。
- 令和2年度までに公社が実施した「IoT、AI導入前適正化診断」または「ロボット導入前適正化診断」を終了し、その診断結果に基づいて申請する
- 公社が実施している「DX推進支援事業」または「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」または「企業変革に向けたDX推進支援事業」の支援を受け、その支援内容に基づいて申請する
- 公社が実施している「デジタル技術活用推進緊急支援事業」の支援を受け、その支援内容に基づいて申請する
これらの診断や支援事業を活用すると、DX推進に向けた専門的な知見があり、具体的な計画を策定できる事業者であるとみなされ、採択される可能性が高まります。
また、すべての事業区分において、以下の2つの項目が加点対象となります。
- 東京都に「地球温暖化対策報告書」を提出している
- 東京都に「地球温暖化対策計画書」または「特定テナント等地球温暖化対策計画書」を提出している
環境への配慮を示すことで、企業の社会的責任を果たしている姿勢をアピールできるため、審査においてプラスに評価される可能性があります。
事業計画に事業者の想いを盛り込む
審査項目や加点項目を意識することも重要ですが、その点だけおさえていると形式的な内容になりがちです。採択されるには審査員の心をいかに動かすかも重要になるため、事業に対する熱い想いや、なぜこの事業に取り組むのかといった背景も盛り込むようにしましょう。
例えば、「後継者チャレンジ」区分であれば、事業承継に至るまでのストーリーや、先代から受け継いだ想い、後継者としての決意を表明すると、事業への強い意志を示すことができます。
募集要項を遵守することも大切ですが、それらに加えて、事業者の熱い想いを伝えることで、より採択される可能性が高まるでしょう。
補助金・助成金の申請支援をしている専門家のサポートを受ける
本事業は申請書類の準備や手続きが複雑で、多くの時間と労力を要します。特に、初めて申請する企業にとっては、要件を満たす事業計画の作成や、膨大な書類作成は大きな負担となるでしょう。
そこで、補助金・助成金の申請支援を実施している専門家に、サポートを依頼することをおすすめします。専門家は、豊富な知識と経験に基づき、以下のようなサポートを提供してくれます。
- 事業計画のブラッシュアップ:審査項目を踏まえ、採択率を高める事業計画の作成を支援します。市場調査、競合分析、収支計画の策定など、専門的な視点からアドバイスを受けることで、より実現可能性が高く、魅力的な事業計画を策定できます。
- 加点要素の提案:審査において加点される要素を把握しており、事業計画への反映や、必要書類の準備などをサポートしてくれます。採択の可能性を高めるために有効なアドバイスを受けることができます。
- 申請手続きのサポート:電子申請システム「Jグランツ」の操作方法や、提出書類の確認など、申請手続きのサポートを受けられるのも、補助金・助成金に精通している専門家に依頼するメリットです。
- ヒアリング・面談対策:審査の過程で行われる面接審査に向けた対策や、公社からのヒアリングに対応するための準備をサポートしてくれます。質疑応答の練習や、プレゼンテーション資料の作成支援などを受けることで、自信を持って審査に臨むことができます。
専門家のサポートを受けることで、申請準備にかかる負担を軽減できるだけでなく、採択率の向上も期待できます。専門家の費用は発生しますが、助成金の受給によって十分に回収できる可能性も高く、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。
補助金・助成金の申請支援を専門とする専門家は、中小企業診断士、経営コンサルタント、税理士、行政書士などがいます。信頼できる専門家を見つけ、積極的に相談して、事業の成長を加速させる設備投資を実現しましょう。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請などでお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、東京都内の中小企業の競争力強化や生産性向上を目的とした設備導入を支援するものです。申請には、事業計画書の作成や審査項目への対応など、複雑な手続きが必要となります。
中小企業経営支援事務所では、補助金・助成金の申請支援の経験を豊富に持つコンサルタントが、採択を勝ち取るためのさまざまなサポートを行っています。募集要項を的確に読み解いて要件を満たしているか判断し、必要な申請書類の準備の支援を実施するだけでなく、事業者の想いを汲み取り、審査員の心を揺さぶるような事業計画書を策定するためのアドバイスも行っているのが弊社の強みです。
本事業の申請を検討している場合は、ぜひ一度、ご相談くださいませ。初回相談は無料です。