【2025年新設】中小企業成長加速化補助金とは?基本要件や対象経費を解説

中小企業成長加速化補助金の概要

物価高やエネルギー高、人手不足など、中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中で、政府は中小企業の持続的な成長を促進するため、さまざまな支援策を打ち出しています。

その中でも2025年に新設される「中小企業成長加速化補助金」は、特に成長志向の高い中小企業に焦点を当てた新たな補助金です。この補助金は、売上高100億円を目指す企業の設備投資や賃上げなどを支援することにより、企業の成長を加速させ、ひいては日本経済全体の活性化を図ることを目的としています。

この記事では、中小企業成長加速化補助金の概要や申請方法、採択されるためのポイントなどを詳しく解説していきます。

なお、本補助金の第1回公募要領は2025年3月公開となっています。実際に申請するときは、本記事だけでなく、中小企業庁が公表する最新情報も確認することをおすすめします。

中小企業成長加速化補助金とは

中小企業成長加速化補助金とは、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業に対して、最大5億円の大規模な設備投資支援を行う補助金制度です。2024年12月公表の「令和6年度補正・令和7年度当初予算案」に盛り込まれた中小企業生産性革命推進事業(3,400億円規模)のひとつとして2025年から実施されます。

本補助金の活用イメージとしては、「工場・物流拠点の新設・増築」「イノベーション創出のための設備導入」「自動化による革新的な生産性向上」などです。いずれにしても、本補助金を活用する事業者には大規模な設備投資をすることが期待されています。

出典:中小企業成長加速化補助金丨中小企業庁

中小企業成長加速化補助金の役割

大きな補助金額が狙え、補助対象経費に建物費が含まれる、新事業進出補助金、成長加速化補助金、大規模成長投資補助金の3つの補助金を比較し、成長加速化補助金の役割について考察します。

下記は、補助金別に、対象となる企業の売上高をまとめたグラフです。(当社独自の見解です。)

 まずは、大規模成長投資補助金です。採択者の売上高の中央値は、おおよそ100億円です。この数値は、事務局公表の全社年平均売上高成長率と全社売上高増加額を基に、指数関数で処理して算出しています。また、公表されている採択企業をみても、資本金や従業員規模が大きい企業が中心です。こうしたことから、売上高10億円前後を下回る事業者様が採択される可能性は低いという実態がありました。

 続いて、新事業進出補助金です。新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継であり、昨年度までは売上規模の大小問わず採択されていました。一方、新事業進出補助金の補助上限額が9,000万円ですので、大規模な設備投資、例えば、5億円程度の設備投資を行う事業計画の場合、補助金額が不十分であったという問題がありました。 

 中小企業成長加速化補助金では、売上高100億円を目指す企業を対象としていると明記しています。現実的には、売上高10億円前後から100億円に満たない企業がターゲットになります。補助金額の上限額は5億円です。補助金上限額は、ちょうど、新事業進出補助金と大規模成長投資補助金の中間の金額帯を担っており、いわばブリッジのような役割を果たしています。

中小企業成長加速化補助金の補助対象者

中小企業成長加速化補助金の補助対象者は、売上高100億円への飛躍的成長を目指す中小企業です。

中小企業成長加速化補助金の補助率・補助上限額

中小企業成長加速化補助金の補助率は対象経費の1/2で、補助上限額は5億円です。

中小企業成長加速化補助金の補助事業実施期間

中小企業成長加速化補助金の補助対事業実施期間は、交付から24ヶ月以内となっています。この期間のうちに契約から導入までが済んだ設備の費用に対して、補助が行われます。

中小企業成長加速化補助金の要件

中小企業成長加速化補助金を受け取るためには、以下の4つの基本要件をすべて満たす必要があります。

基本要件詳細
事業者要件中小企業者であること
投資額要件投資額が1億円以上(税抜)であること
※投資額は建物費、機械装置等費、ソフトウェア費の補助対象経費の合算金額。外注費や専門家経費は含まれない
※複数地域での投資案件も対象となる。ただし、補助事業の目的・内容が一体的でなければならない
ビジョン要件「売上高100億円を目指す宣言」を策定・公表していること
※第1回公募においては同時の対応
賃上げ要件補助事業終了後3年間の事業計画書を、一定の賃上げ要件などを満たす内容にするとともに実行すること
中小企業成長加速化補助金の要件

このように、本補助金は意欲的な成長目標を持ち、具体的な投資計画と実行力を備えた中小企業を支援対象としています。

また、申請するときは、上記要件を満たすほか、「GビスIDプライム」アカウントが必要です。

中小企業成長加速化補助金の補助対象経費

中小企業成長加速化補助金の補助対象経費は、大きく5つの項目に分類されます。

補助対象経費具体例
建物費工場・物流施設の建設費用、増改築費用、建物付帯設備(電気、給排水、空調など)の工事費用など
機械装置等費生産設備、検査装置、自動化機器、搬送装置の購入費用や、これらの設置・据付費用など
ソフトウェア費生産管理システム、在庫管理システム、業務効率化ソフトウェアの導入費用など
外注費製品開発や設計などに係る外注費用、システム開発の委託費用など
専門家経費コンサルタントといった専門家への相談費用やアドバイザリー費用など
中小企業成長加速化補助金の補助対象経費

なお、投資額要件である1億円以上の算定には、建物費・機械装置等費・ソフトウェア費のみが対象となり、外注費と専門家経費は含まれません。

「売上高100億円を目指す宣言」とは

中小企業成長加速化補助金を受け取るためには、「売上高100億円を目指す宣言」をする必要があります。

「売上高100億円を目指す宣言」とは、中小企業自らが「売上高100億円を超える企業になること」や「それに向けたビジョンや取り組み」を宣言し、2025年春頃開設予定のポータルサイトに公表することを指します。

「売上高100億円を目指す宣言」の内容は、現時点では以下とされています。

宣言項目主な記載内容(検討段階)
①企業の現状・現在の売上高
・賃上げなどの企業目標
・直面している課題
②売上高100億円の実現のための目標設定・売上高成長目標
・達成期間
・実現までのプロセス
③売上高100億円に向けた具体的措置・生産増強計画
・海外展開戦略
・M&A計画 など
④実施体制
⑤経営者のコミットメント・経営者自身によるメッセージ
「売上高100億円を目指す宣言」の内容

宣言を行う際は、記載内容の確認審査があり、承認された企業のみが補助金申請の資格を得ることができます。なお、宣言の具体的な様式や記載方法の詳細が記された募集要領は2025年2月に公開される予定です。申請受付については2025年5月頃開始となっています。

「売上高100億円を目指す宣言」は、中小企業成長加速化補助金に申請できるようになるだけでなく、さまざまなメリットがあります。

例えば、同じように高い成長志向を持つ経営者とつながり、さまざまな経営の気づきを得られるような、宣言をした企業限定のイベントに参加できるようになります。

また、宣言をした企業だけが使用できるロゴマークもあります。自社のWebサイトに掲載することで、自社の取り組みに箔が付いていることをよりわかりやすくアピールできるでしょう。

中小企業成長加速化補助金の大まかな流れ

中小企業成長加速化補助金は以下のような流れで進みます。

出典:中小企業成長加速化補助金丨中小企業庁
  1. 事前準備
    まずは、GビズIDプライムアカウントの取得と「売上高100億円を目指す宣言」を行います。また、公募要領を確認して、事業計画書など必要な書類を準備します。
  2. 公募開始~交付候補者決定
    公募が始まったら、締切前に余裕を持って申請を行います。申請すると事務局による審査が行われ、交付候補者が決められます。
  3. 交付決定~補助事業実施
    交付決定を受けたら、補助事業を開始します。補助事業の実施期間は交付決定日から24ヶ月以内です。補助事業が終了したら、再度事務局による審査が入ります。審査結果を元に事務局が補助額を決めたら、事業者の方から事務局に支払請求をして補助金を受け取ります。
  4. 補助事業終了後
    補助金を受け取ったあとは、公募要領で決められた期間、知的財産等の報告や事業化状況の報告を行います。

中小企業成長加速化補助金の第1回公募のスケジュール

中小企業成長加速化補助金の第1回公募は2025年に開始される予定です。具体的なスケジュールとしては、3月に公募要領が公開され、5月から申請受付が開始されます。その後、審査を経て6月頃に公募が締め切られ、8月頃に交付候補者の決定が行われる見込みです。

なお、本補助金は2026年度末までに計3回程度の公募実施が予定されており、全体で約600件の採択を想定しています。ただし、1件あたりの申請額によって採択件数は変動する可能性があります。

中小企業成長加速化補助金の採択率を上げるポイント

中小企業成長加速化補助金は、他の補助金と同様、支援を受けるには事務局に採択されなければいけません。

まだ公募要領が公開されていない中ですが、今のうちから採択率を上げるためにできることがあります。

中小企業成長加速化補助金の審査は大きく3つの観点から行われます。具体的には以下の通りです。

審査項目評価のポイント
経営力・企業の成長性
・投資の呼び水効果
・他社との差別化戦略
波及効果・賃上げ計画の具体性
・地域内での仕入れ状況
・地域経済への貢献度
実現可能性・資金計画の妥当性
・金融機関の支援体制
・実施スケジュールの現実性
審査基準の3本柱 参照:(案)「100 億企業実行事務局」のうち中小企業成長加速化補助金(中小企業成長加速化支援事業)を実施する補助事業者の公募要領 p.16丨中小企業基盤整備機構

事業計画書を策定するときは、これらの審査基準を意識することが重要です。特に「経営力」では、単なる売上目標だけでなく、その実現に向けた具体的な戦略や他社との差別化ポイントを明確に示す必要があります。

また「波及効果」では、自社の成長が地域経済にどのように貢献するのかを具体的に説明することが求められます。「実現可能性」については、金融機関との連携体制や詳細な資金計画を示すことで、事業の確実な遂行をアピールすることが重要です。

上記のポイントをおさえた優れた事業計画書を作成するためには、時間をかけてじっくりと練り上げる必要があります。

現時点では公募要領が公開されておらず、具体的な内容がわからないため、事業計画の作成をどこから始めたらよいか悩んでいる人もいるかもしれません。

しかし、現時点でもできることは多くあります。例えば、以下のような自社の現状分析です。

項目内容
強み・弱み補助事業でどのように活用・改善できるかを明確にするために、自社の強みと弱みを整理しておく
機会・脅威補助事業との関連性を明らかにするために、事業を取り巻く外部環境の機会と脅威を分析しておく
財務状況補助事業による効果を数値で示せるように、過去の売上や利益の推移、今後の見通しなどを確認しておく
競合他社補助事業の必要性を強調できるように、競合他社の状況を分析することで、自社の優位性を明確にしておく
自社の現状分析

公募開始前にこれらの準備を進めておくことで、公募開始後すぐに事業計画の作成に着手できるようになるでしょう。

採択率を上げたいときに、やはり頼りになるのが補助金申請サポートの専門家です。専門家に相談すれば、事業計画書の策定のアドバイスや手続きのフォローなどを受けることができます。

ただ、最近は専門家も多くおり、相性の良い専門家を探そうとするとある程度時間がかかります。公募が始まってからとなると慌ただしくなるため、早めに専門家を見つけておくことおすすめします。

中小企業成長加速化補助金を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業成長加速化補助金は、最大5億円と比較的大きい金額の支援を受けられるため、高い成長意欲を持つ中小企業であればぜひ利用したい補助金制度です。

2025年3月に第1回の公募要領が公開される予定ですが、今のうちからぜひ準備を進めておきましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金制度の申請支援を行うエキスパートとして、事業計画書の策定や手続きの支援を行っています。

また、補助金を受け取ったあとの事業運営についても、手厚くフォローを行っているのも当社の強みです。本補助金をもとに持続的・飛躍的な成長を目指したいとお考えでしたら、ぜひトータルでのサポートを強みとしている当社にご相談ください。初回相談は無料です。

【令和7年最新】中小企業省力化投資補助事業とは?カタログ注文型・一般型の詳細と採択率アップのコツを解説

中小企業省力化投資補助事業の概要

中小企業においては人手不足が深刻化しており、生産性向上や業務効率化が喫緊の課題です。中小企業庁では、そうした課題に立ち向かう中小企業を支援するため、さまざまな補助金制度を設けています。

「中小企業省力化投資補助金」は、中小企業等がIoT、ロボットなどの導入を通して生産性向上を図る際に、その費用の一部を補助する制度です。中小企業庁の政策の実施機関である中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施し、全国中小企業団体中央会が同機構からの委託を受けて本事業のサイトを運営しています。

この記事では、中小企業省力化投資補助金について、制度の概要から申請方法、採択されるためのコツまでを、「中小企業省力化投資補助金の専用サイト」で公表されている各資料をもとに解説します。

なお、本事業においては、令和7年に「一般型」という新たな枠が設けられることになりました。令和6年12月6日に更新された最新情報もご紹介します。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

中小企業省力化投資補助事業とは

中小企業省力化投資補助事業とは、人手不足に悩む中小企業等の売上拡大や生産性向上を支援することを目的とした補助金制度です。具体的には、清掃ロボットや自動券売機、無人搬送車など、人手不足解消に効果がある製品の導入に係る費用の一部を補助します。これにより、中小企業等の付加価値額や生産性の向上、従業員の賃上げを支援します。

本事業には、他の補助金同様、以下のようなメリットがあります。

メリット説明
設備投資に必要な資金が調達できる自己資金が不足している場合でも設備投資を行いやすくなる
融資が受けやすくなる補助金事業に採択されることで事業の信頼性が高まり、金融機関からの融資を受けやすくする効果が期待できる
客観的な自社分析ができる補助金申請に必要な事業計画書の作成を通して、自社の強みや弱み、事業環境などを分析する機会が得られる
中小企業省力化投資補助事業を活用するメリット

これらのメリットを活かすことで、中小企業は生産性向上や競争力強化を図り、持続的な成長を実現できる可能性が高まります。

本事業においては、令和7年は従来の「カタログ注文型」とは別に「一般型」の枠が追加されます。

カタログ注文型では、あらかじめ登録された汎用製品を簡易に導入できる即効性のある支援を行います。一般型では、業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、DXなど、個別の現場に合わせた多様な省力化投資を促進します。

本事業は、中小企業等事業再構築促進基金が活用(令和6年再編)されます。予算規模3,000億円です。

中小企業省力化投資補助事業の概要(カタログ注文型とは別に一般型が追加される)

中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)の詳細

中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)は、従来から行われている事業です。指定の製品カテゴリに登録された省力化製品を導入し、同製品の販売事業者と共同で取り組みます。2024年12月11日に改訂された公募要領をもとに詳細をご紹介します。

カタログ注文型の補助対象者は、交付申請時点で日本国内で法人登記等がされ、日本国内で事業を営む中小企業等です。ここでいう中小企業等は、「中小企業者(組合関連以外)」「中小企業者(組合・法人関連)」「中小企業者以外の法人」を指します。

それぞれの要件は以下のとおりです。

中小企業者(組合関連以外)

中小企業者(組合関連以外)は、下表の数字以下になっている法人・個人を指します。

業種資本金従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人
中小企業者(組合関連以外)の要件

中小企業者(組合・法人関連)

中小企業者(組合・法人関連)は、下記のような組織に該当する法人のことです。

  • 企業組合
  • 協業組合
  • 事業協同組合/事業協同小組合/事業協同連合会
  • 商工組合/商工組合連合会

このほか、水産加工業協同組合/水産加工業協同組合連合会、生活衛生同業組合/生活衛生同業小組合/生活衛生同業組合連合会などが該当します。

「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人

以下のいずれかに当てはまる法人も補助対象です。

  1. 以下の要件をすべて満たす特定非営利活動法人(NPO法人)
    ・中小企業一般の振興・発展に直結する活動を広く行っていること
    ・従業員数300人以下であること
    ・収益事業を行うこと
    ・認定NPO法人でないこと
    ・経営力向上計画の認定を受けていること
  2. 以下の要件をすべて満たす社会福祉法人
    ・所管庁の認可を受けていること
    ・従業員数300人以下であること
    ・収益事業の範囲内で補助事業を行うこと

なお、大企業やみなし大企業(大企業が実質的に支配している企業)は対象外となります。また、同一法人とみなされる親会社・子会社からの複数申請も認められません。

補助対象者がカタログ注文型を利用したいときは、以下の要件をすべて満たす必要があります。

補助対象事業要件

  1. 導入する省力化製品に紐付けられた業種のうち、少なくとも1つ以上が中小企業等の営む事業の業種と合致すること
  2. カタログに登録された価格以内の製品本体価格・導入経費を補助対象として事業計画に組み込むこと
  3. 補助事業の終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる事業計画を策定し実行すること(労働生産性の向上目標)
  4. 賃上げによる補助上限額の引き上げを希望する場合は、事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させる計画を従業員に表明し実行すること(賃上げ目標)
  5. 省力化製品を登録されている業種・業務プロセス以外の用途に使用しないこと
  6. 合理的に目標達成が可能な事業計画に沿って実施すること
  7. 効果報告期間中は、補助事業者が自然退職や自己都合退職以外の解雇を積極的に行わないこと
  8. 補助額が500万円以上の場合は、所定の保険への加入を行うこと

3と4に関しては補助事業実施中に達成できなかった場合、事務局への補助金の減額・返還が求められます。

なお、以下のような事業は補助対象外となります。

  • 不動産賃貸等の実質的な労働を伴わない事業
  • 1次産業(農業・林業・漁業)
  • 日本国外で実施する事業
  • 公序良俗に反する事業
  • 法令違反の恐れがある事業

このほか、制度趣旨や公募要領にそぐわない事業も対象外です。

補助対象者、販売事業者および対象リース会社の要件

  1. 補助対象者が人手不足の状態にあることが確認できること
  2. 補助対象者の全従業員の賃金が最低賃金を超えていること(交付申請時および実績報告時の直近月の最低賃金を基準とする)
  3. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が風俗営業等の規制対象事業を営んでいないこと(旅館業等一部除外あり)
  4. 補助対象者が過去1年間、労働関係法令違反による送検処分を受けていないこと
  5. 補助対象者が所定の法人・個人の要件を満たしていること
  6. 補助対象者が他の補助金などとの重複に該当しないこと
  7. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が補助対象事業の要件に合致している事業を行うこと
  8. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が公募要領などに記載されたルールを遵守していること
  9. 補助対象者がGビズIDプライムを取得していること
  10. 販売事業者が製品の納入やサポートに責任を持ち、「省力化製品販売事業者登録要領」を遵守すること
  11. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が、経済産業省や中小機構から補助金交付等停止措置または指名停止措置を受けていないこと

これらの要件は公募申込時点で満たしている必要があり、一時的な要件充足は認められません。虚偽や不正が発覚した場合は、交付決定の取り消しとなる場合があります。

販売事業者および対象リース会社については、事前に本事業指定の登録申請を済ませていることから、中小企業等が本事業を利用する際に販売事業者らの要件について気にする必要はないと考えられます。

カタログ注文型における補助率は、一律1/2です。

補助上限額は、従業員数によって以下の通り設定されています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ時の補助上限額
5人以下200万円300万円
6~20人500万円750万円
21人以上1,000万円1,500万円
中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)の補助上限額

大幅賃上げとは、補助対象事業要件に記載した「事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させる」ことを指します。これらの目標を達成できなかった場合は、補助額が通常の上限額まで減額される可能性があります。

カタログ注文型の補助対象経費は、製品本体価格と導入経費に大別されます。

製品本体価格

主な対象製品と留意点は以下のとおりです。

項目概要
対象製品・機械装置
・工具や器具
・専用ソフトウェアや情報システム
留意点・製品カタログの事前登録価格が上限
・単価50万円以上
・補助事業専用であること
製品本体価格における主な対象製品と留意点

一方、以下のような経費は対象外となります。

  • 顧客負担費用が含まれるもの
  • 無償提供品
  • 中古品
  • 交付決定前の購入製品
  • リース契約の金利・保険料
  • 公租公課(消費税)

なお、ポイント還元や払い戻しによる実質価格の引き下げ、不当な価格つり上げ、関係者間での資金還流等の不正行為が発覚した場合、立入調査や交付決定取消、事業者名の公表等の措置が取られます。

導入経費

主な対象経費と留意点は以下のとおりです。

項目内容
対象経費・設置作業費
・運搬費
・動作確認費用
・マスタ設定などの導入設定費用
留意点製品本体価格の2割が上限
導入経費における主な対象製品と留意点

一方、以下のような経費は対象外となります。

  • 交付決定前の費用や補助事業期間外の費用
  • 過去購入品の作業費や非補助対象品の費用
  • 製品導入と無関係の作業費
  • 試運転に伴う原材料費/光熱費
  • 通常業務に対する代行作業費
  • 移動交通費/宿泊費
  • 委託外注費
  • 交付申請時に金額が未確定なもの
  • 無償提供されたもの
  • 補助金申請申請代行費
  • リース契約時の金利や保険料
  • 公租公課(消費税)

なお、導入経費についても、不当な減額や無償化、利害関係者への不当な利益配分といった行為は認められません。このような行為が発覚した場合は、製品本体価格と同様のペナルティ対象となります。

カタログ注文型は、2024年6月25日(火)から随時受付中となっています。

カタログ注文型では、以下のような流れで進みます。

事業計画を策定する

まずは公募要領に目を通した上で、販売事業者と共同して事業計画の策定を行います。具体的な手順は以下のとおりです。

手順主な内容備考
1.省力化製品・販売事業者選択・事務局HPの「製品カタログ」ページから省力化製品と販売事業者を選ぶ・販売事業者に本事業の交付申請を行いたい旨を連絡す・新規事業は対象外
・事前登録製品のみ対象
2.人手不足の確認以下のいずれかに該当すること
①残業時間30時間超
②従業員5%以上減少
③求人未充足
④その他
・④は審査が厳格化
・採択通知が遅延の可能性あり
3.事業計画作成カタログから選んだ製品で事業要件である「労働生産性の向上目標」(3年間で年平均成長率3.0%以上)が達成する計画を作成。以下の説明を盛り込む
・導入製品の使用方法
・期待される省力化効果
・抽出される時間や人員の使途
・賃上げ計画がある場合は表明必要
4.保険加入検討・補助額500万円以上は加入必須
・保険金額は補助額以上
・保険料は補助対象外
・500万円未満も加入推奨
事業計画策定の手順と要件

なお、リース取引や賃貸借契約による導入を検討する場合は、追加の要件や手続きが必要となるため、事前にリース会社かリース事業協会へ確認することをおすすめします。

事務局に交付申請する

事業計画書を作成したら、公募期間中に申請受付システムを通じて行います。なお、システムには販売事業者から招待されて初めてアクセスできます。専用サイトに申請フォームが設置されているわけではありませんので注意しましょう。また、「GビズIDプライム」アカウントの取得が必要になるため事前に済ませておきます。

事務局が審査を実施して採択事業者を決定する

事務局が提出された書類をもとに審査を行います。採択されると、申請受付システムを通じて交付決定の通知が事業者に届きます。また、事業者の名称、法人番号、所在地(市区町村まで。個人事業主の場合は都道府県まで)、申請年度を事務局のサイトに公表するための同意が求められます。

補助事業を実施する

事業計画書の記載内容に沿って、補助事業を実施します。補助事業の実施期間は、交付決定日から原則12ヶ月以内です(交付決定通知書に記載)。

補助事業では、事業計画に基づいてカタログに登録されている省力化製品を購入し、販売事業者と協力して導入・業務プロセスの改善を行います。

補助事業完了したら、事務局へ実績報告を提出します。その際は以下の3点が必要です。

  1. 支払いに係る証憑(発注・契約・納品・検収・請求・支払いなどの書類)※銀行振込のみ対象
  2. 導入実績に係る証憑
  3. 事業計画の達成状況(省力化の効果、賃上げ実績)

なお、賃上げによる補助上限額の引き上げを適用している場合は、賃金引き上げ実績が確認できるまで実績報告を行うことはできません。

事務局による補助額確定後、補助金を受け取る

事務局が実績報告をもとに補助金を確定したら、事務局に支払請求を行い、補助金を受け取ります。

補助事業完了後3年間、効果報告を事務局に行う

本事業では、補助事業完了後から3年間の効果報告が義務付けられています。毎年度、事務局が定める期限までに以下の項目について報告を行う必要があります。

  1. 省力化製品の稼働状況
  2. 事業計画の達成状況
    ・省力化の効果(従業員数、労働時間、決算情報)
    ・賃上げ実績(給与支給総額、事業場内最低賃金)

「労働生産性の向上目標」(3年間で年平均成長率3.0%以上)の達成状況は、3回目の効果報告で最終判断されます。

なお、以下のケースでは補助金の返還や収益納付が求められる可能性があります。

  • 省力化を理由とした人員整理・解雇の実施
  • 事業者の故意や過失による目標未達
  • 賃上げによる補助上限額の引き上げ適用後に賃金を引き下げ
  • 本事業による収益の発生

また、効果報告期間中は実地検査も行われ、省力化製品の設置・使用状況が確認されます。使用状況が確認できない、別の補助金事業に使用しているなどが確認された場合、交付決定が取り消されるため注意が必要です。

補助事業完了後、取得した省力化製品の適切な管理をする

本事業で取得した省力化製品は、補助金適正化法に基づき、効果報告期間が終わっても法定耐用年数が経過するまでは厳格な管理が必要です。

例えば、製品の売却・転用・破棄などの財産処分を行う場合は、事前に事務局の承認を得なければなりません。承認後は、残存簿価相当額または時価(譲渡額)を補助金額を上限として納付する必要があります。無断で貸付や転売等を行った場合は、交付決定が取り消されるため注意しましょう。

なお、財産処分に関する申請や納付は、その財産の所有者が行います。ファイナンス・リース取引で導入した場合は、所有権を持つリース会社が手続きを行う必要があります。

カタログ注文型の申請に必要な提出書類は、以下のとおりです。なお、指定様式については、事務局HPの「資料ダウンロード」ページから取得できます。

区分必要書類
全事業者共通・従業員名簿 【指定様式】(中小企業判定用)
・損益計算書(前期・前々期分)
・貸借対照表(前期・前々期分)
法人・履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
・法人税の納税証明書(その2)(直近3期分)
・役員名簿 【指定様式】
・株主・出資者名簿 【指定様式】
個人・確定申告書の控え 第一表(直近1期分)
・所得税の納税証明書(その2)(直近1期分)
人手不足に関する書類いずれかひとつ
・時間外労働時間 【指定様式】
・従業員減少の確認用 【指定様式】
・求人サイトのキャプチャなど
賃上げに関する書類事業場内で働く最低賃金者の賃金台帳
事業計画に関する書類省力化効果判定シート 【指定様式】
リース取引を利用する場合の追加書類・リース料軽減計算書
・リース取引に係る宣誓書
中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)で必要な提出書類

以上の書類を電子申請システムを通じて提出する必要があります。なお、申請内容によって追加で書類提出を求められる場合もありますので、事前に十分な準備が必要です。

中小企業省力化投資補助事業(一般型)の詳細

中小企業省力化投資補助事業は、令和7年からカタログ注文型と一般型の2枠で展開されます。

一般型とは、事業者が自らの事業場用にカスタマイズした設備を導入したり、システムを構築したりするときにかかる費用の一部を補助する枠です。こうした特徴から、オーダーメイド型とも呼ばれることがあります。

一般型については、まだ詳細が公表されていないため、利用を検討している事業者は、定期的に「中小企業省力化投資補助金」の専用サイトや、中小企業庁の「中小企業対策関連予算」をチェックすることをおすすめします。

現時点で判明している詳細をお伝えします。

一般型の補助率は、補助金額1,500万円までは1/2(小規模・再生事業者は2/3)、1,500万円を超える部分は1/3となります。ただし、最低賃金引上げ特例として、小規模・再生事業者を除き補助率を2/3に引き上げることができます。

補助上限額については、応じて段階的に設定されています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ時の上限額
5人以下750万円1,000万円
6~20人1,500万円2,000万円
21~50人3,000万円4,000万円
51~100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円
中小企業省力化投資補助事業(一般型)の補助上限額

大幅賃上げの要件は、カタログ注文型と同様、事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させることになると予想されます。

中小企業省力化投資補助事業の採択率を上げるコツ

中小企業省力化投資補助事業では、採択に至らなければ具体的な資金援助を受けることができません。採択率を上げるには、以下のポイントが重要となるでしょう。

本事業の採択審査では、公募要領の要件を満たしているかに加えて、以下の要素をふまえて総合的に判断するとされています。

  • 投資による労働生産性向上の効果が合理的に説明されているか
  • 単なる工数削減以上の付加価値増加が期待できるか(省力化により新しい取り組みを行う、高付加価値業務へシフトするなど)
  • 賃上げに積極的に取り組んでいる、あるいは取り組む予定であるか(事業場内最低賃金を地域別最低賃金に比べて一定水準まで引き上げる取り組みを考慮)

審査の着眼点は、公募要領ではごく簡単に書かれていますが、採択率を上げる重要な鍵です。意図をしっかり汲み取った上で事業計画に盛り込むようにしましょう。

補助金申請支援の専門家に相談するのもひとつです。補助金制度に関する深い知識と豊富な経験を持っているため、的確なアドバイスやサポートを受けられます。例えば、企業の事業内容や設備投資計画が補助金の要件を満たしているかのチェックや、採択率を高める効果的な事業計画書の作成支援などです。

専門家はさまざまな肩書の人がいますが、おすすめは中小企業診断士です。中小企業の経営課題に常に向き合っている中小企業診断士は、事業者の経営状態を客観的に観察し、その上で現実的な施策を提示することを得意としています。そのため、中小企業診断士に相談すれば、本事業の審査員も納得するような説得力のある事業計画を立てられるでしょう。

中小企業省力化投資補助事業の申請をお考えでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業省力化投資補助事業においては、令和7年はカタログ注文型と一般型の2枠で展開されます。

一般型については詳細が公表されていないため、利用を検討している場合は定期的にチェックすることをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所では、本補助金をはじめ、さまざまな補助金・助成金の申請支援を行っています。採択率を上げるためのアドバイスだけでなく、採択後の事業実施や、さらにその後の事業運営までといったトータル支援も可能です。

また、事業者様の状況を見て、よりふさわしい補助金事業を案内することもできます。まだ明確に利用するか決まっていない事業者様も、ぜひ一度ご連絡いただきましたら幸いです。初回相談は無料となります。

2025年 第19回公募 令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」まとめ|基本要件・補助金額・対象経費

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の概要

近年の日本経済は、生産性向上による経済成長が喫緊の課題となっています。特に、ものづくり、商業、サービス業といった分野においては、生産性向上を実現するための施策が重要です。そこで、中小企業庁は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を設け、中小企業等の生産性向上を支援しています。

この記事では、中小企業庁が令和6年12月に公表した令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」について、概要と令和6年12月23日時点での最新情報をわかりやすくまとめました。本補助金の申請を検討されている企業のみなさまのお役に少しでも立ちましたら幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上と持続的な賃上げを支援することを目的とした補助金です。具体的には、革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの改善に必要な設備投資等にかかる費用の一部を補助します。

本補助金は、支援を通して中小企業の競争力強化と従業員の処遇改善の両立を図り、日本経済の持続的な成長に貢献することを目指しています。

中小企業庁は、令和6年12月に令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を公表しました。

令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要

令和5年度補正予算案から変更された点は、主に以下の4つです。

  1. 基本要件の見直し
    給与支給総額の対象が「1人あたり」に。必要な成長率も「年平均成長率1.5%」から、「事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または+2.0%以上増加」へと変更
  2. 補助枠・類型や補助金額に関する変更
    枠・類型が「省力化(オーダーメイド枠)」「製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型〈DX・GX〉」「グローバル枠」から、「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2つに変更
    あわせて製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額を一部拡充。令和5年度の同枠(通常類型)では「従業員数21人以上:1,250万円」だったの対し、令和6年度では「21~50人:1,500万円」「51人以上:2,500万円」となる
  3. 特例の創設
    最低賃金に近い水準の従業員を一定期間以上、かつある程度雇用している中小企業の賃上げを支援する「最低賃金引上げ特例」を創設
  4. 収益納付制度の廃止
    従来の補助金では求められていた収益納付(補助金事業で生じた利益の一部あるいは全部を、補助金交付額を限度として国に納付すること)が不要となり、事業者の負担が軽減

これらの変更により、より効果的な生産性向上と賃上げの実現を目指す制度となりました。

なお、令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の予算額は、同補正予算「中小企業生産性革命推進事業」3,400億円の内数となっています(令和5年度は同事業2,000億円の内数)。

2023年度公募 第16次以前のものづくり補助金の通常枠の事業概要には、「革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に 必要な設備・システム投資等を支援」と書かれていました。つまり、事業の目的が、「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセス・サービス提供方法の改善」どちらであっても、応募することができました。

2024年度公募 第17次公募、第18次公募では、「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセス・サービス提供方法の改善」によって、応募する枠が異なりました。

省力化(オーダーメイド)枠の趣旨は「人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備 (オーダーメイド設備)の導入等 により、革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・ システム投資等を支援」でした。

製品・サービス高付加価値化枠の趣旨は「革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。」でした。

2025年度においては、設備を導入する目的が、「革新的な製品・サービス開発を行う」ためのものなのか?「革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組み」なのか?によって、応募すべき補助金自体が異なることになりました。

 前者であれば、ものづくり補助金。後者であれば、省力化投資補助金の一般枠です。

こうした動きからも、制度設計の担当者も、意識して、目的を明確に区分して制度設計をされていることがわかります。

補助金のお申し込みをご検討されている事業者様は、まずは、設備を導入することで、革新的な製品・サービス開発が実現するのか?もしくは、革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化が実現するのかを明確にされることをお勧めいたします。

↓省力化投資補助金一般枠の記事はこちらから↓

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の要件

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を受け取るためには、いくつかの要件をクリアしている必要があります。

本補助金では、革新的な製品・サービス開発を行い、以下の4つの要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定して実行することが求められます。

  1. 付加価値額の年平均成長率を+3.0%以上増加させる
  2. 1人あたりの給与支給総額の年平均成長率を、以下のいずれかにする
    ・事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
    ・給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
  3. 事業所内最低賃金を、事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準にさせる
  4. 従業員21人以上の場合は、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表などを行う

本補助金を受ける事業者は、これらの要件を実際に満たしていることを事業化状況報告を毎年提出して証明しなければいけません。もし未達の場合は、補助金の返還義務が発生します。

本補助金では、基本要件に加え、さらに一定の要件を満たすと特例が適用されます。本補助金で用意されている特例は、「大幅賃上げ特例」「最低賃金引上げ特例」の2つです。

大幅賃上げ特例は、給与支給総額の年平均成長率を+6.0%以上増加させる、および事業所内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準にする場合に、補助上限額が100~1,000万円適用される特例です。

最低賃金引上げ特例は、中小企業庁が指定する一定期間において、3ヶ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%いる中小企業にのみ適用される特例です。この特例の対象となると、クリアしなければならない基本要件が1・2・4のみとなります。また、補助率が1/2から2/3に引き上げられます。

なお、基本要件同様、これらが適用された事業者は事業化状況報告で毎年要件を満たしていることを証明する必要があります。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助上限額・補助率

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助上限額・補助率は、申請枠によって異なります。

製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額は、以下のとおりです。

従業員規模補助上限額大幅賃上げ特例適用
5人以下750万円850万円
6~20人1,000万円1,250万円
21~50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円
製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額

補助率は中小企業の場合1/2(最低賃金引上げ特例の対象となる中小企業は2/3)、小規模・再生事業者の場合2/3です。

グローバル枠の補助上限額は、以下のとおりです。

補助上限額大幅賃上げ特例適用
3,000万円3,100~4,000万円
グローバル枠の補助上限額

補助率は、中小企業の場合1/2(最低賃金引上げ特例の対象となる中小企業は2/3)、小規模事業者の場合2/3です。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助対象経費

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金における補助対象経費は、以下のように大きく2つに分類されます。

全ての枠で共通の補助対象経費グローバル枠のみで追加される補助対象経費
・機械装置費やシステム構築費(必須経費)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・海外旅費
・通訳費や翻訳費
・広告宣伝費や販売促進費
補助対象経費一覧

特徴として、すべての枠において機械装置・システム構築費が必須経費として設定されています。これは本補助金が、設備投資を通じた生産性向上を重視していることを示しています。

また、グローバル枠では海外展開に必要な経費が追加で認められており、海外需要開拓などの取り組みを支援する制度設計となっています。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の大まかな流れ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 公募要領で申請要件や対象経費などを確認する
  2. 定められた期限までに申請を済ませる
  3. 補助金事務局が申請書類をもとに審査をする
  4. 採択事業者に交付決定通知が送られる
  5. 提出した事業計画に沿って設備投資等の事業を実施する
  6. 事業完了後に実績を報告する
  7. 補助金事務局が検査を実施し、最終的な補助金額を決定する
  8. 補助事業終了後、毎年事業化状況を報告する

なお、補助金申請には「GビズIDプライム」アカウントの取得が必要となります。本補助金でも必要となる可能性が高いため、事前に取得しておくことをおすすめします。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

令和6年12月に公表された令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、前年度よりも要件が緩和され、利用しやすいものになっています。特に通常の補助金ではよく見られた「収益納付」が求められない点は大きいでしょう。

補助金は、企業の成長につながる大きなサポーターです。ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。

ただ、利用しやすくなっているということは、多くの事業者が申請する可能性が高いことを意味します。他の企業よりも審査員の印象に残るような事業計画を立てる必要があるでしょう。

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の最新の公募要領が公表されたらよく目を通すことも重要ですが、今のうちからできる準備を進めておくことをおすすめします。

もし事業計画の策定について不安やお悩みがありましたら、当社・中小企業経営支援事務所にご相談ください。補助金申請サポートのエキスパートである当社スタッフが、採択につながる事業計画の立て方についてアドバイスいたします。採択決定後の事業実施における注意点や事業化状況報告のコツもお伝えしておりますので、ぜひご連絡いただけますと幸いです。

【2025年1月更新】中小企業新事業進出補助金とは?基本要件や対象経費の最新情報を紹介

中小企業新事業進出補助金の概要

近年の経済状況は、中小企業にとって厳しいものとなっています。物価高騰やエネルギー価格の高騰、円安などの外部環境の変化に加え、人手不足や賃上げ圧力といった内部環境の課題も山積しています。このような状況下で、中小企業が生き残り、成長していくためには、新たな事業展開や生産性向上、既存事業の抜本的な見直しや構造転換といった取り組みが不可欠です。

政府は、こうした中小企業の挑戦を後押しするために、2024年12月に「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」(総額5,600億円、既存基金の活用などを含めると1兆円超の規模)を公表し、今後さまざまな支援策を打ち出すこととしました。

そのうちのひとつが、「中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)」の2025年度新設です。本補助金は、中小企業の成長を促進する新規事業進出や事業転換への投資を重点的に支援する制度であり、事業再構築補助金(思い切った事業再構築を目指す事業者を支援する補助金)の後身となる制度として注目を集めています(※)。

この記事では、本補助金について、概要から基本要件、対象事業、補助額、実施期間を解説します。なお、2024年(令和6年)12月25日更新の最新情報を反映した内容となりますが、実際に利用する場合は中小企業庁のサイトもあわせてチェックすることをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。計画策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

2025年1月10日に、事業再構築補助金の最後の新規受け付けとなる第13回公募が始まりました。この記事では違いについても解説していますので、あわせてご参考ください。

中小企業新事業進出補助金とは?

中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)とは、2025年度に新設される補助金制度のひとつで、既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業へ進出するのに必要な設備投資などを行う事業者を支援する補助金制度です。予算は1,500億円規模で、既存基金を活用して実施されます。

出典:中小企業新事業進出促進事業の概要丨中小企業庁

本補助金の主な目的は、中小企業の持続的な成長と賃上げの実現です。

具体的には、人手不足や賃上げ要請といった経済社会の変化に対応するため、中小企業が既存事業の拡大だけでなく、新たな事業の柱となる新事業に挑戦し、企業規模の拡大・付加価値を向上させることを支援します。また、これらの取り組みを通じて得られた収益を、従業員の賃上げにつなげていくことが本補助金の重要な目的です。

政府では本補助金を含め、8つの補助金を実施しています。各補助金ともに補助対象が異なり、本補助金については新しい事業を立ち上げ、新しい市場に打って出る取り組みを補助するという新規事業を対象としています。

以下は、各補助金の補助対象と概要をまとめた表です。

補助金補助対象概要
ものづくり補助金新製品・新サービス開発中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資などを支援
省力化補助金省力化投資人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化につながる設備投資などを支援
中小企業新事業進出補助金新規事業既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出に必要な設備投資などを支援
中小企業成長加速化補助金大規模投資売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資などを支援
事業承継・M&A補助金親族内承継、M&A事業承継に際しての設備投資や、M&A・PMIの専門家活用費用などを支援
大規模成長投資補助金超大規模投資労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を目的に行う、工場の新設などの大規模な投資を支援
持続化補助金小規模事業者持続的な経営を目指す小規模事業者の経営計画にもとづく販路開拓などの取り組みを支援
IT導入補助金ITツールの導入業務の効率化やDXの推進、セキュリティ対策に向けたITツールなどの導入費用を支援
政府が行う8つの補助金の補助対象と概要

各補助金によって対象が異なるため、検討しているビジネスプランによっては、そもそも補助対象外で補助金申請ができない可能性があります。

当該の補助金が何を対象としているのかを把握した上で、手続きを始めることをおすすめします。

中小企業新事業進出補助金の基本要件

中小企業新事業進出補助金を受け取るためには、以下の基本要件をすべて満たす3~5年の事業計画に取り組む必要があります。

基本要件詳細
1.新規事業への挑戦成長・拡大を目指した新規事業(新しい製品または新しいサービスを、これまでとは異なる顧客に提供する事業)への挑戦であること
2. 付加価値額の増加付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率を+4.0%以上増加させること
3. 一定以上の賃上げ以下のいずれかをクリアすること
・1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
・給与支給総額の年平均成長率が+2.5%以上増加
4. 最低賃金の水準向上事業所内最低賃金を事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
5. 一般事業主行動計画公表次世代育成支援対策推進法にもとづく一般事業主行動計画を公表すること
中小企業新事業進出補助金の基本要件

なお、本補助金には大幅賃上げ特例があり、適用されると補助上限額が上乗せされます。適用されるには、上記条件に加えて、事業終了時点で「事業場内最低賃金が+50円」「給与支給総額+6.0%」達成する事業計画に取り組む必要があります。

中小企業新事業進出補助金の補助上限・補助率

中小企業新事業進出補助金の補助率は一律で1/2です。補助上限額は従業員数によって4段階に分かれています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ特例時の補助上限額
20人以下2,500万円3,000万円
21~50人4,000万円5,000万円
51~100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円
中小企業新事業進出補助金の補助上限・補助率

なお、補助下限額は750万円に設定されています。

中小企業新事業進出補助金の補助対象経費

中小企業新事業進出補助金の補助対象経費には、以下の10項目が含まれます。

  1. 建物費:工場・店舗などの建設に要する経費
  2. 構築物費:補助事業の実施に必要な構築物の建設などに要する経費
  3. 機械装置・システム構築費:生産設備やソフトウェアの購入などに係る経費
  4. 技術導入費:知的財産権などの導入に要する経費
  5. 専門家経費:コンサルタントなどの専門家への謝金
  6. 運搬費:設備・機械などの運搬に要する経費
  7. クラウドサービス利用費:クラウドサービスの利用に係る経費
  8. 外注費:製品開発などの一部を外部に委託する経費
  9. 知的財産権等関連経費:特許権などの取得に要する経費
  10. 広告宣伝・販売促進費:新製品・サービスのPRや販売促進に係る経費

本補助金の対象経費は、新市場・高付加価値事業への進出に直接関係する支出であり、事業計画に沿った適切なものであることが求められます。

また、後述する補助事業の実施期間内に発生し、支払いが完了しているもののみが対象となります。

中小企業新事業進出補助金の事業実施期間

中小企業新事業進出補助金の事業実施期間は、交付決定日から14ヶ月以内と定められています(ただし、採択発表日から16ヶ月以内)

この期間内に、設備投資や新事業立ち上げなどの計画した事業を実施し、支払いまで完了させることが求められます。

中小企業新事業進出補助金の留意点

中小企業新事業進出補助金では、上記以外にいくつかの留意点が公表されています。

本補助金では、これまでの補助金制度では収益納付が設定されるのが一般的であった収益納付は求めないとしています。収益納付とは、補助事業を行った際に発生した収益の一部または全部(補助金交付額を限度に)を国に納付することを指します。本補助金は、事業者にとって、より利用しやすい補助金制度になっているといえるでしょう。

基本要件のうち、「一定以上の賃上げ」と「最低賃金の水準向上」が未達の場合は、未達成率に応じて補助金の返還が求められます。ただし、付加価値が増加せず企業全体の営業利益が赤字の場合や、天災などやむを得ない場合は返還が免除されます。

中小企業新事業進出補助金の公募スケジュール(予想)

中小企業新事業進出補助金の公募開始時期は、2025年1月6日現在は未公表です。ただし本補助金の事務局の公募要領案によれば、本事業の補助事業者向けの公募要領が2025年4月までに公開され、そこから速やかに補助事業者の応募申請を受け付けるとしています(参照:「中小企業新事業進出促進事業」に係る事務局の公募要領〈案〉p.3丨中小機構)。

したがって、同時期には初回の公募が始まると予想されます。

なお、同公募要領案によれば、本補助金の公募回数は2026年度末までに4回程度、採択予定件数は計6,000件程度となっています。

中小企業新事業進出補助金の大まかな流れ

中小企業新事業進出補助金の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 事前準備
    新規事業を検討し、基本要件を満たす事業計画を策定する。申請時は「GビズIDプライム」アカウントが必要になるため、事前に取得しておく
  2. 公募開始~交付候補者決定
    事務局が申請を受け付け、締切日以降に審査を実施して交付候補者を決定する
  3. 交付決定~補助事業実施
    交付候補者となった事業者が交付申請を行う。申請によって交付が決定したら、補助事業を実施。事務局が補助額の確定検査を行い、補助額を確定させる。事業者が補助金の請求を事務局に行い、補助金を受け取る
  4. 補助事業終了後
    事業化状況報告と知的財産等報告を事務局に行う

2025年度に中小企業新事業進出補助金以外に行われる予定の支援事業

政府は、厳しい経営環境に直面する中小企業・小規模事業者を支援するために、中小企業新事業進出補助金創設以外にも、さまざまな対策を「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」に盛り込んでいます。

予算案では、生産性向上支援(生産性革命推進事業のうち、ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金)の拡充・見直し案が盛り込まれています(3,400億円の内数)。この拡充・見直しは、中小企業・小規模事業者がより使いやすくなること、高い効果をより実感できるようにすることを目指しています。

具体的には以下のとおりです。

補助金主な拡充・見直し内容
ものづくり補助金・最低賃金近傍の事業者への補助率を1/2→2/3に引き上げ
・従業員21人以上の中小企業を対象に、製品・サービス高付加価値化枠の補助上限を引き上げ
IT導入補助金・最低賃金近傍の事業者への補助率を1/2→2/3に引き上げ
・セキュリティ枠の補助上限引き上げと要件見直し
・汎用ツール・導入後支援を補助対象化
持続化補助金・経営計画の策定に重点化
・通常枠、創業枠などに再編して制度を簡素化
事業承継・M&A補助金・PMI推進枠の新設
・事業承継促進枠への改変
・DD費用の支援拡充
・100億企業創出加速化のための補助上限引き上げ
生産性向上支援の拡充・見直しの主な内容

売上高100億円を目指す意欲の高い中小企業・小規模事業者や、地方においても持続的な賃上げを実現することを目指す中堅・中小企業の成長を目的とした支援策も、予算案には盛り込まれました。

具体的には以下のとおりです。

支援策規模主な支援内容
中小企業成長加速化補助金(仮称)の創設3,400億円の内数売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資支援や中小機構による経営課題への支援
中堅・中小成長投資補助金の拡充1,400億円(新規3年3,000億円)人手不足の課題解消のために拠点新設をするなど大規模投資を行う中堅・中小企業を支援するのとあわせて、大企業からの経営人材を受け入れる中堅・中小企業への給付金を拡充
100億企業育成ファンド出資事業30億円中小機構出資ファンドを通じて、売上高100億円超を目指す中小企業などへのリスクマネー供給
成長投資支援の主な内容

省力化投資支援としては、既存基金を活用(3,000億円規模)して省力化補助金の運用改善が実施されます。オーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援が新設され、カタログ形式の同支援の運用改善と合わせて、全方位型の支援へと再編されます。

中小企業・小規模事業者の活性化に向けた支援も、404億円+既存予算を活用して実施されます。具体的な支援内容は以下の通りです。

支援策規模主な支援内容
日本政策金融公庫による資金繰り支援既存予算の活用通常資本性劣後ローンの要件見直し(省力化投資に取り組む事業者を対象追加、金利水準引下げ、貸付限度額拡充)
信用保証協会による資金繰り支援既存予算の活用プロパー融資促進のための新たな保証制度の創設
経営改善・事業再生・再チャレンジ支援の拡充既存予算の活用+61億円の内数早期経営改善計画策定支援事業を通じた金融機関による経営改善支援の拡充
事業環境変化対応型支援事業112億円商工会や商工会議所などへの専門家派遣などの強化や、よろず支援拠点へのコーディネーター増員
中小企業活性化・事業承継総合支援事業61億円事業再生等計画策定支援、事業承継・事業引継ぎ支援のための体制強化
中小企業取引対策事業8.3億円中小企業・小規模事業者の取引適正化の推進
令和6年能登半島地震等の切れ目ない復旧支援の継続213億円なりわい再建支援補助金による支援、グループ補助金による支援
地方公共団体による小規模事業者支援推進事業の拡充10億円自治体連携型補助金の補助対象拡大、補助上限を5億円まで引き上げ
中小企業・小規模事業者の活性化に向けた支援の主な内容

中小企業新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回公募の違い

中小企業庁は、中小企業新事業進出補助金の前身となる事業再構築補助金の第13回公募を2025年1月10日にスタートしました。場合によっては、事業再構築補助金第13回に応募したほうがよい場合もありますので、比較検討することをおすすめします。

以下は、特に大きな違いをまとめた表です。

項目新事業進出補助金事業再構築補助金第13回
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)事業類型(B):成長分野進出枠(GX類型)事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
補助上限額5人以下2,500(3,000)万円1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円500万円
6~20人2,500(3,000)万円1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円1,000万円
21~50人4,000(5,000)万円3,000(4,000)万円5,000(6,000)万円1,500万円
51~100人5,500(7,000)万円4,000(5,000)万円7,000(8,000)万円1,500万円
101人以上7,000(9,000)万円6,000(7,000)万円8,000万(1億)円1,500万円
中堅企業中小企業者等と同じ1(1.5)億円中小企業者等と同じ
下限額750万円100万円
補助率1/2中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:3/4
中堅企業等:2/3
※コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない場合
中小企業者等:2/3
中堅企業等:1/2
上乗せ措置なしあり(卒業促進上乗せ措置・中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置)
申請経費構築物費:対象
廃業費(未発表)
構築費:対象外
廃業費:対象
収益納付なしあり
新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回の主な違い ※カッコ内の数字は短期に大規模な賃上げを行う場合

例えば、新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回の下限額を比較すると、新事業進出補助金のほうが高く設定されています。そのため、比較的小規模な設備投資であれば事業再構築補助金のほうがよいでしょう。

一方、新事業進出補助金は、事業再構築補助金第13回とは違って収益納付がないため、収益が突然跳ね上がる可能性がある事業を行う場合は、新事業進出補助金のほうが向いているでしょう。開発したアプリが爆発的にヒットして利益が突き抜けるなどがある情報通信業、インバウンド需要で利益が一気に生まれる宿泊業などは、特に比較検討することをおすすめします。

事業再構築補助金第13回の詳細については、下記記事で紹介していますので、よろしければご覧ください。

中小企業新事業進出補助金を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

本補助金の詳細が記載された公募要領は、2025年4月までに公表される予定です。本補助金を検討している事業者は、中小企業庁の最新情報を定期的にチェックすることをおすすめします。

また、いずれの補助金と同様、本補助金も、事業計画の内容が採択を左右します。補助金採択のための事業計画を立てるには、ある程度まとまった時間が必要ですので、早めの行動が鍵となるでしょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、多くの事業者の補助金申請をサポートしてきた補助金採択支援のエキスパートです。補助金採択につながる事業計画書の書き方はもちろん、交付後の事業運営も含め、トータルで支援しています。

本補助金の申請を検討している人は、ぜひご相談いただけますと幸いです。初回相談は無料となっています。

【初心者向け】経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の3つの違いをわかりやすく解説

経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の主な違い

今、多くの中小企業が直面しているのが、「経営をもっと良くしたいけれど、どうすればいいのかわからない」という課題です。その解決の糸口となるのが、経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の活用です。

これらの計画については、特定の機関に認定されると、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 低利融資や補助金などの資金面での支援
  • 税制面での優遇措置
  • 専門家によるアドバイスやサポート
  • 販路開拓支援
  • 設備投資に関する支援

しかし、「どの計画を選べばいいのか分からない」「申請手続きが複雑そう」という声も多く聞かれます。そこでこの記事では、3つの計画の違いや特徴、活用方法について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

なお、各計画の解説においては、以下を参照しています。実際に申請するときは、本記事とあわせてご覧いただくことをおすすめします。

参照:経営革新支援丨中小企業庁
参照:経営力向上支援丨中小企業庁
参照:先端設備等導入制度による支援丨中小企業庁

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各計画のトータルサポートを行っています。計画策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから認定後の制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

【比較表】経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の違い

項目経営革新計画経営力向上計画先端設備等導入計画
目的新事業活動による経営の相当程度の向上人材育成、コスト管理などのマネジメント向上、設備投資による経営力向上設備投資を通じた労働生産性の向上
認定機関都道府県知事等国(事業分野別の主務大臣)市区町村長
計画期間3~5年3~5年3~5年
目標数値・付加価値額または一人当たりの付加価値額:年率3%以上
・給与支給総額:年率1.5%以上
指標の種類は事業分野別指針による。労働生産性は計画終了時に正の値が必要労働生産性を年平均3%以上向上
主な支援措置・政府系金融機関の低利融資
・信用保証の特例
・高度化融資
・販路開拓支援
・海外展開支援
・税制措置(即時償却等)
・金融支援(融資・信用保証)
・法的支援(許認可承継等)
・固定資産税の軽減措置(3年間1/2)
・賃上げ方針表明時は最長5年間1/3
・信用保証の特例
申請に必要な主な書類・申請書と別表
・定款
・直近2期の決算書類
・申請書
・チェックシート
・申請書
・認定経営革新等支援機関の確認書
・市区町村が求める書類
主な相談窓口・都道府県担当部局
・認定経営革新等支援機関
・よろず支援拠点
・中小企業庁相談窓口
・認定経営革新等支援機関
・申請先の市区町村
・認定経営革新等支援機関
特徴新事業活動(新商品開発など)による経営革新に焦点幅広い経営力向上の取り組みが対象生産性向上のための設備投資に特化
【比較表】経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画

経営革新計画とは

経営革新計画とは、中小企業が新事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上を図る「経営革新」を実現するために立てられる計画です。経営革新は、中小企業のさまざまな支援を規定する「中小企業等経営強化法」(2016年施行)の一つの柱として位置づけられています。

経営革新計画が都道府県知事等から承認されると、一定の要件を満たした場合に限り、政府系金融機関の低利融資、信用保証の特例、販路開拓の支援など、各機関から経営革新を実現するためのさまざまなサポートを受けられる(あるいは受けやすくなる)ようになります。具体的な優遇措置や支援は以下のとおりです。

保証・融資の優遇措置

支援措置主な内容
信用保証の特例通常の付保限度額とは別枠で、普通保証2億円(組合4億円)、無担保保証8,000万円の設定ができる
日本政策金融公庫の特別利率による融資制度設備資金・運転資金について、基準利率から最大0.9%の金利優遇を受けられる
高度化融資制度事業協同組合等が高度化事業を実施する際、0.35%または無利子での融資を受けられる
食品等流通合理化促進機構による債務保証食品製造業者等が経営革新計画を実行する際の設備資金などについて、食品等流通合理化促進機構による1件当たり4億円を上限とする債務保証を利用できる
経営革新計画の認定で受けられる保証・融資の優遇措置

海外展開に伴う資金調達の支援措置

支援措置主な内容
スタンドバイ・クレジット外国関係法人等が現地金融機関から長期借入をする際に、日本政策金融公庫の債務保証を受けられるようになる。限度額4億5,000万円
クロスボーダーローン外国関係法人等が日本政策金融公庫から直接借入できるようになる。限度額14億4,000万円(うち運転資金9億6,000万円)
中小企業信用保険法の特例海外投資関係保証の限度額が2億円から3億円(組合は4億円から6億円)に拡大される
日本貿易保険による支援措置外国関係法人等が現地金融機関から借入を行う際の貸付金債権などに対する保険制度。限度額の定めなし
経営革新計画の認定で受けられる海外展開に伴う資金調達の支援措置

投資に関する支援

支援措置主な内容
起業支援ファンドからの投資中小企業基盤整備機構が出資する民間ベンチャーファンドから投資を受けられる。主に創業期や成長初期のベンチャー企業などが対象
中小企業投資育成株式会社からの投資資本金3億円超の特定事業者も、中小企業投資育成株式会社からの投資を受けられるようになる
経営革新計画の認定で受けられる投資に関する支援

販路開拓支援

支援措置主な内容
販路開拓コーディネート事業商社・メーカー等出身の専門家から、マーケティング企画から首都圏・近畿圏でのテストマーケティング活動までの支援を受けられる
新価値創造展新価値創造点とは、中小企業・ベンチャー企業が自社開発の製品・技術・サービスを展示・紹介するビジネスマッチングイベント。計画の認定を受けていると審査において評価の対象になる
経営革新計画の認定で受けられる販路開拓支援

経営革新計画の制度活用の流れは、主に以下のステップで進めます。

  1. 都道府県担当部局などに問い合わせる
  2. 「経営革新計画に係る承認申請書」(様式13)を始めとする必要書類を作成する
  3. 都道府県担当部局や国の地方機関など、規定の提出先に書類を提出する
  4. 書類提出後、都道府県などが審査を実施
  5. 経営革新計画承認後、各支援策の実施機関に必要書類を提出して審査を受ける

その後、実施機関の審査に通れば支援措置が行われます。経営革新計画が認定されたからといって、必ずしも支援を受けられるわけではありません。

経営革新計画が認定されるためには、規定の特定事業者とみなされる必要があります。会社および個人が特定事業者としてみなされる基準は、以下のとおりです。

主たる事業を営んでいる業種従業員基準
製造業等500人以下
卸売業400人以下
サービス業300人以下
小売業300人以下
事業者要件

なお、一部の組合および連合会も特定事業者と認められます。

この事業者要件に加えて、経営革新の要件である「新事業活動であること」「経営の相当程度の向上を図ること」をみたさなければいけません。

新事業活動は、「新商品の開発または生産」「新役務の開発または提供」「商品の新たな生産または販売の方式の導入」「役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動」の5類型に当てはまるものを指します。

経営の相当程度の向上は、3~5年の事業期間の中で、「付加価値額」または「一人当たりの付加価値額」が年率3%以上、「給与支給総額」が年率1.5%以上伸びているときのことを指します。

計画終了時「付加価値額」または「一人当たりの付加価値額」の伸び率「給与支給総額」の伸び率
事業期間が3年の場合9%以上4.5%以上
事業期間が4年の場合12%以上6%以上
事業期間が5年の場合15%以上7.5%以上
「経営の相当程度の向上」の定義

経営革新計画の申請には、基本的に以下の書類が必要です。

経営革新計画を策定する際の重要なポイントは以下の3点です。

第一に、経営者自身の「思い」を明確にすることです。会社への経営理念や経営基本方針をどれだけ事業者の言葉で形作れるかが審査結果を左右します。

第二に、自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ)の現状を正確に把握することです。人材の能力・資格、資金の調達状況、設備の状況などをチェックし、経営革新に向けた課題を整理します。

第三に、具体的な数値目標を設定することです。審査では、売上高や営業利益などの経営指標について、現状から計画期間終了時点までの具体的かつ実現可能な目標値を定めることが求められます。

経営革新計画の申請先は、以下の基準で提出先が決まります。

申請パターン提出先
1社単独本社所在地の都道府県
複数社共同(代表1社)代表企業の本社所在地の都道府県
複数社共同(代表複数)・代表企業の本社所在地がすべて同じ都道府県の場合
→その都道府県
・代表企業の本社所在地の都道府県が異なり、かつ当該の都道府県が同一の地方局管内の場合
→事業所管省庁の地方局または経済産業省の地方局
・代表企業の本社所在地の都道府県が異なり、かつ当該の都道府県が同一の地方局の区域を越える場合
→事業所管省庁または中小企業庁
組合単独・主たる事務所所在地の都道府県
複数組合等共同・代表組合等が一つの都道府県内で活動
→当該の都道府県
・代表組合等が複数の都道府県で活動、かつ当該の都道府県が同一の地方局管内の場合
→事業所管省庁の地方局または経済産業省の地方局
・代表組合等が複数の都道府県で活動、かつ当該の都道府県が同一の地方局の区域を越える場合
→事業所管省庁または中小企業庁
経営革新計画の申請先

経営革新計画策定の相談先としては、以下のようなところがあります。

相談先連絡先
都道府県担当部局経営革新計画ガイドブック」p.57参照
都道府県等中小企業支援センター同p.58参照
認定経営革新等支援機関認定経営革新等支援機関検索システム」で検索
よろず支援拠点よろず支援拠点一覧」で検索
中小企業基盤整備機構050-3171-8814
経営革新計画策定の相談先

特におすすめなのが、認定経営革新等支援機関です。認定経営革新等支援機関とは、中小企業経営を支援する専門家(中小企業診断士や公認会計士、弁護士など)のうち、特に経営革新の支援に精通していると国によって認められた機関を指します。

当該機関にサポートを依頼すれば、説得力のある計画を策定するための的確なアドバイスをもらえるだけでなく、認定後の制度活用のサポートを受けることもできます。持続的な経営を実現する伴走者をお探しでしたら、ぜひ積極的に検討してみてください。

当社、中小企業経営支援事務所も、認定経営革新等支援機関として多くの事業者の計画策定の支援を行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

経営力向上計画とは

経営力向上計画とは、人材育成やコスト管理などのマネジメントの向上、設備投資など、自社の経営力を向上するために策定する計画のことです。経営革新計画と同様、中小企業等経営強化法によって規定されています。

経営力向上計画については、国(事業分野別の主務大臣)に認定されると、一定の要件を満たした場合に限り、以下の税制措置・金融支援・法的支援を受けられるようになります(参照:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き〈 令和6年度税制改正対応版〉丨中小企業庁)。

税制措置

税制優遇措置主な内容
中小企業経営強化税制(A類型:生産性向上設備)生産性が年平均1%以上向上する設備を取得した際に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が選択できる
中小企業経営強化税制(B類型:収益力強化設備)投資利益率5%以上のパッケージ投資をした際に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が選択できる
中小企業経営強化税制(C類型:デジタル化設備)遠隔操作、可視化、自動制御化を可能にする設備を取得した際に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が選択できる
中小企業経営強化税制(D類型:経営資源集約化設備)修正ROAまたは有形固定資産回転率の改善が見込まれるパッケージ投資をした際に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が選択できる
事業承継等に係る不動産取得税の特例事業譲渡を通じて不動産を取得した際にかかる不動産取得税が軽減される(課税標準から不動産の価格の1/6を控除)
中小企業事業再編投資損失準備金事業承継等のために株式等を取得する際に、その準備金として積み立てた金額を損金参入できる(株式等の取得価額の最大70%)
経営力向上計画の認定で受けられる税制措置

金融支援

金融支援名主な内容
日本政策金融公庫による融資設備投資に必要な資金について、最大7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)の融資を受けられるようになる
中小企業信用保険法の特例民間金融機関からの融資に対して、通常の保証枠とは別枠で、普通保険2億円、無担保保険8,000万円などの追加保証を受けられる
中小企業投資育成株式会社法の特例中小企業投資育成株式会社からの投資を、資本金3億円超の特定事業者も受けられるようになる
スタンドバイ・クレジット海外支店・子会社が、現地通貨建て融資において、日本政策金融公庫から信用状を発行してもらえる。限度額4億5,000万円
クロスボーダーローン海外子会社が、日本政策金融公庫から直接融資を受けられるようになる。限度額14億4,000万円(うち運転資金9億6,000万円)
中小企業基盤整備機構による債務保証2,000人以下の特定事業者等が、経営力向上計画実施に必要な資金について、最大25億円(保証割合50%)の債務保証を受けられる
食品等流通合理化促進機構による債務保証食品製造業者等が、食品等流通合理化促進機構による債務保証を受けられる
経営力向上計画の認定で受けられる金融支援

経営力向上計画の認定で受けられる法的支援

法的支援名主な内容
許認可承継の特例旅館業や建設業などの許認可事業を承継する場合、承継される側の事業者から許認可に係る地位をそのまま引き継ぐことが可能
組合発起人数の特例事業協同組合、企業組合または協業組合を設立する場合、通常4人必要な発起人の人数が3人でも可能となる
事業譲渡の際の免責的債務引受の特例事業譲渡による債務移転について、債権者に通知し1ヶ月以内に返事がない場合は同意があったとみなすことができ、簡略な手続きで債務移転が可能となる
経営力向上計画の認定で受けられる法的支援

経営力向上計画の認定で受けられる制度を活用するには、以下の4つのステップが必要です。

  1. 利用したい制度を検討し、「支援措置活用の手引き」で要件を確認する
  2. 日本標準産業分類」で該当する事業分野を確認し、事業分野に対応する「事業分野別指針もしくは基本方針」を踏まえて、経営力向上計画を作成する
  3. 経営力向上計画を各事業分野の主務大臣に提出する。各事業分野の主務大臣へ計画申請書と必要書類を提出します。認定までの標準処理期間は約30日(複数省庁にまたがる場合は約45日)。経済産業省のみの電子申請の場合は約14日

経営力向上計画が認定されると、主務大臣から計画認定書と計画申請書の写しが交付され、優遇措置や支援を受けられるようになります。その後、経営力向上のための取り組みを実行します。

経営力向上計画の認定を受けるためには、特定事業者等の規模を満たす必要があります。具体的には「会社または個人事業主」「医業、歯科医業を主たる事業とする法人(医療法人等)」「社会福祉法人」「特定非営利活動法人」のいずれかで、かつ従業員数が2,000人以下の事業者です。企業組合や協業組合など、一部の組合や連合会も認定を受けることができます。

なお、税制措置や金融支援によっては、対象となる規模要件が異なるため注意が必要です。

このほか、計画期間が経営革新計画と同様、3年・4年・5年のいずれかであることに加え、事業分野に対応する「事業分野別指針もしくは基本方針」に沿って策定されていることが要件となります。

経営力向上計画の認定に必要な基本書類は、以下のとおりです。

設備投資について税制措置を受ける場合は、上記の基本書類とあわせて次の書類が必要です。

  • 工業会証明書の写し ※A類型の場合
  • 投資計画確認申請書の写しと経済産業局確認書の写し ※B~D類型の場合

また、事業承継等の支援を受ける場合は、以下の書類も必要となります。

  • 事業承継等の相手方の合意を示す基本合意書等
  • 事業承継等に係る誓約書
  • 特定許認可等の証明書類
  • 貸借対照表や損益計算書
  • 事業承継等事前庁舎チェックシート

なお、発電設備等を導入する場合は「発電設備等の概要等に関する報告書」の添付が必要です。また、認定後に事業承継等として合併や会社分割、事業譲渡などを実行した場合は「経営力向上計画に係る事業の承継報告書」の提出が求められます(参照:申請書様式類丨中小企業庁)。

経営力向上計画を立てる際の主なポイントは3つあります。

第一に、現状認識を明確にする必要があります。自社の事業概要や経営状況について、ローカルベンチマークなどの分析ツールを活用しながら客観的に把握し、顧客数や市場規模、自社の強み弱みなどを整理します。

第二に、具体的な目標設定が重要です。事業分野別指針をもとに、指標の種類を選び、経営力向上計画の実施期間に応じた伸び率を設定します。特に労働生産性については、計画終了時の目標を正の値とすることが求められます。

第三に、経営力向上の実施事項を具体化することです。現に有する経営資源を利用する取組や、他の事業者から取得した経営資源を利用する取り組みについて、実施時期や内容を明確に記載します。設備投資を伴う場合は、その詳細や資金調達方法も記載が必要です。

経営力向上計画の申請先は、事業分野ごとに異なります。中小企業庁が公開している「事業分野と提出先」※Excelファイル(54KB)を確認しましょう。

なお、経営力向上計画は「経営力向上計画申請プラットフォーム」から電子申請することもできます(一部の省庁宛て・都道府県経由が必要な申請などは除く)。利用には事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。

経営力向上計画の相談先としては、中小企業庁の経営力向上計画相談窓口(電話番号:03-3501-1957〈平日9:30~12:00、13:00~17:00〉)。ただし、個別の認定可否や審査状況についての問い合わせには対応していません。

経営力向上計画の策定に関してお困りでしたら、認定経営革新等支援機関へのご相談をおすすめします。経営革新計画同様、認定につながるアドバイスはもちろん、その後の制度活用、さらには事業継続のためのサポートも受けられるでしょう。認定経営革新等支援機関は「認定経営革新等支援機関検索システム」から探すことが可能です。

当社、中小企業経営支援事務所も、認定経営革新等支援機関として支援を行っておりますので、相談先を探す時間がない、どこがよいのかわからないとお悩みでしたら、一度ご相談いただけますと幸いです。

先端設備等導入計画とは

先端設備等導入計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、中小企業者が設備投資を通じて労働生産性の向上を図るために策定する計画です。市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けている場合に限り申請が可能で、認定を受けると税制支援や金融支援を受けることができます。

先端設備等導入計画の認定を受けると、一定の要件を満たした場合に限り、以下の支援措置を活用できるようになります。

税制措置

税制措置主な内容
固定資産税の軽減措置(基本)認定を受けた計画に基づく設備投資について、新規取得設備に係る固定資産税の課税標準が3年間、1/2に軽減される
固定資産税の軽減措置(賃上げ方針表明時)従業員に対する賃上げ方針を計画内に記載した場合、以下の支援が受けられる
・2024年3月末までの取得→5年間、1/3に軽減
・2025年3月末までの取得→4年間、1/3に軽減
先端設備等導入計画の認定で受けられる税制措置

なお、この制度の適用期間は2023年4月1日から2025年3月31日までの2年間となっています。

金融支援

金融支援主な内容
中小企業信用保険法の特例民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、通常枠とは別に以下の追加保証が受けられるようになる
・普通保険:2億円(組合4億円)
・無担保保険:8,000万円
・特別小口保険:2,000万円
先端設備等導入計画の認定で受けられる金融支援

先端設備等導入計画の制度活用の流れは、大きく4つのステップで進みます。

  1. 新たに導入する設備が所在する市区町村が「導入促進基本計画」を策定しているか確認し、認定のためのスケジュールを把握する
  2. 活用したい制度の要件や必要書類を確認する
  3. 市区町村が策定した「導入促進基本計画」の内容に沿って計画書を作成する
  4. 作成した認定経営革新等支援機関に確認を依頼する。税制措置を受ける場合は、新規取得設備に係る投資計画について認定経営革新等支援機関の確認を受ける。また、賃上げ方針を計画に位置付ける場合は、従業員に対して賃上げ方針を説明する
  5. 先端設備等導入計画を市区町村長に提出する

先端設備等導入計画が認定されると、市区町村長から認定書が交付され、各優遇措置や支援を受けられるようになります。その後、生産性向上や賃上げに資する取り組みを実行します。

先端設備等導入計画が認定されるためには、まず以下の規模に該当する中小企業者である必要があります。中小企業者には会社、個人のほか、一部の組合および連合会も含まれます。

主たる事業を営んでいる業種詳細
製造業等資本金の額または出資の総額が3億円以下もしくは従業員数300人以下
卸売業資本金の額または出資の総額が1億円以下もしくは従業員数100人以下
小売業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下もしくは従業員数50人以下
サービス業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下もしくは従業員数100人以下
ゴム製品製造業資本金の額または出資の総額が3億円以下もしくは従業員数900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業資本金の額または出資の総額が3億円以下もしくは従業員数300人以下
旅館業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下もしくは従業員数200人以下

上記に加えて、以下の事業内容であることも要件です。

項目内容
計画期間3年間、4年間、5年間のいずれかである
生産性向上目標労働生産性を年平均3%以上向上
対象設備労働生産性向上に必要な生産、販売活動などの用に直接供される設備(機械装置、測定工具および検査工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェア)

上記を満たした計画を策定し、その内容が新たに導入する設備が所在する市区町村の導入促進基本計画に沿っている場合に認定されます。そのため、市区町村が策定する導入促進基本計画によって変わる場合があるため注意が必要です。

また、税制措置を受ける場合は、別途定められた規模要件や対象設備の要件を満たす必要があります。

先端設備等導入計画の認定申請には、主に以下の書類が必要です。

  • 先端設備等導入計画に係る認定申請書」(様式22)※Wordファイル(28KB)
  • 認定経営革新等支援機関による事前確認書
  • 市区町村長が必要と認める書類
  • A4サイズが折らずに入る返信用封筒(切手貼付)

税制措置対象設備がある場合は、上記に加えて以下が必要です。

  • 認定経営革新等支援機関が発行する投資計画に関する確認書
  • リース契約見積書の写しと固定資産税軽減計算書の写し(リース取引の場合のみ)

また、固定資産税の1/3軽減(賃上げ方針)を希望する場合は、以下も必要です。

先端設備等導入計画を立てる際の重要なポイントは、以下の3つです。

第一に、現状認識の明確な記載です。自社の事業概要、財務状況、市場環境、直面している経営課題などを具体的な数値や事実とともに記載します。特に、設備投資が必要な背景や理由を、生産性向上との関連で説明することが重要です。

第二に、導入する設備と期待される効果の具体的な説明です。設備導入により、どのように業務プロセスが改善され、それがどのように生産性向上につながるのかを、定量的な見込みとともに記載します。単なる設備の更新ではなく、生産性向上のための戦略的投資であることを示す必要があります。

第三に、資金計画の実現可能性の提示です。設備投資に必要な資金をどのように調達するのか、返済計画は妥当か、投資回収の見通しはどうかなど、具体的な数値を示しながら説明します。特に、投資利益率5%以上の要件を満たすための根拠を明確に示すことが重要です。

先端設備等導入計画については、新たに導入する設備を設置する予定の市区町村に提出します。ただし導入促進基本計画の同意を受けた市区町村に限るため、中小企業庁のWebサイトで確認しましょう。※2024年6月10日現在のリスト→「先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置を講じている市区町村

先端設備等導入計画に関する相談先としては、申請先の市区町村が挙げられます。

もっとも先端設備等導入計画の認定を受けるには、認定経営革新等支援機関の協力が必要です。申請支援に優れた専門家の助言が得られれば、それほど困ることはないでしょう。認定経営革新等支援機関は「認定経営革新等支援機関検索システム」から探すことができます。

当社、中小企業経営支援事務所も、認定経営革新等支援機関ですので、よろしければご検討ください。

各計画策定でお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の認定されると、多くの優遇措置・支援を受ける資格を得ることができます。いずれも中小企業の事業継続・発展に直結する重要な施策ですので、ぜひ積極的な検討をおすすめします。

本記事でもご説明しましたが、経営革新計画・経営力向上計画については認定経営革新等支援機関の力を借りるとスムーズに手続きを進められます。先端設備等導入計画については、認定経営革新等支援機関の協力が不可欠です。

当社、中小企業経営支援事務所では、認定経営革新等支援機関として、経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画、すべての計画の申請サポートからその後の支援まで、トータルで対応しています。

計画申請が初めての事業者様やどの計画を申請すべきかお悩みの事業者様、認定されるか不安な事業者様は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。初回相談は無料です。

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