中小企業省力化投資補助金(一般型)とは?補助要件や補助対象、採択率アップのコツまで徹底解説

深刻な人手不足に悩む日本の中小企業にとって、業務効率化・省力化は喫緊の課題です。しかし、新たな機械装置やシステムの構築、技術の導入を行うにはある程度のまとまった費用がかかります。課題を早く解決したいと思っていても、なかなか一歩を踏み出せない事業者も多いのではないでしょうか。
中小企業省力化投資補助金(一般型)とは、そうした悩みを抱える中小企業等を支援する頼もしい制度です。省力化のためにオーダーメイドの機械設備を導入するなどの事業にかかる費用を、最大1億円まで補助してくれます。
この記事では、中小企業省力化投資補助金(一般型)について、補助要件や補助対象、採択率アップのコツまで徹底解説します。これから設備投資を検討されている事業者の少しでも参考になれば幸いです。
なお、本記事は令和7年1月30日更新の公募要領にもとづいています。申請時は中小企業省力化投資補助金(一般型)の専用ページで最新情報の確認をお願いします。
当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。
もくじ
中小企業省力化投資補助金(一般型)とは
中小企業省力化投資補助金(一般型)とは、IoT・ロボットなど、省力化に効果がある設備導入などを行う事業にかかる費用の一部を補助する制度です。本補助金を通して、中小企業等の付加価値額や生産性の向上、賃上げの実現が目指されています。
なお、本補助金は、3月上旬申請様式が公開され、3月中旬に申請受付が開始される予定となっています。申請締切は3月下旬予定です。
一般型とカタログ注文型の違い
中小企業省力化投資補助金は、令和7年から一般型とカタログ注文型の2つの枠組みで展開されます。
一般型は、事業者が自社の環境に合わせてカスタマイズした設備を導入したり、複数の設備を組み合わせたりするような、より高度な省力化投資を支援します。オーダーメイド型とも呼ばれています。
一方、カタログ注文型は、あらかじめカタログに登録された製品を導入するときの支援を目的としています。
両者については、補助上限額にも違いがあります。従業員5人以下の場合、一般型は750万円(特例適用なし)に対し、カタログ注文型は200万円(特例適用なし)です。
なお、これらについては併用申請できません。申請を検討する際は、まずカタログ注文型の製品カタログを確認し、該当する製品がない場合やより高度な省力化を目指す場合には一般型の利用を検討することが推奨されています。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象事業
中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象となるのは、以下の基本要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定する事業です。
項目 | 要件 |
---|---|
労働生産性の向上 | 補助事業終了後5年間で毎年、 申請時と比較して年平均成長率4.0%以上向上 |
給与支給の増加 (いずれか達成) | 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、もしくは給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上増加 |
最低賃金の引き上げ | 事業場内最低賃金を事業計画期間中、毎年事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準とする ※最低賃金引き上げ特例適用事業者以外 |
一般事業主行動計画の公表 | 交付申請時までに、次世代育成支援対策推進法に基づく計画を「両立支援のひろば」で公表※従業員21名以上の場合のみ |
なお、これらの要件を満たさない場合は、補助金の返還を求められる可能性があるため注意しましょう。ただし、天災などの事業者の責めに帰さない理由のときは返還が免除される場合があります。
また、以下のような事業は補助対象外となります。
- 公序良俗に反する事業
- 他の補助金との重複がある事業
- 事業の主たる課題解決を外注・委託する事業
- 設備を第三者に長期間賃貸する事業
- 解雇により労働生産性などの要件を満たそうとする事業
- 風俗営業関連事業(一部除外あり)
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象者
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象者は、日本国内に本社および補助事業の実施場所を有しており、かつ以下のいずれかの事業者が対象となります。
①中小企業者(組合関連以外)
中小企業者(組合関連以外)とは、資本金または従業員数が、次の基準以下となる会社・個人事業主を指します。
業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業、または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
そのほかの業種 | 3億円 | 300人 |
②中小企業者(組合関連)
中小企業者(組合関連)とは、企業組合、協業組合、事業協同組合、商工組合、商店街振興組合など、特定の組合関連に該当する事業者を指します。該当しない場合や、財団法人、社団法人、医療法人、法人格のない任意団体は補助対象外です。
③小規模企業者・小規模事業者
小規模企業者・小規模事業者とは、従業員数が次の基準以下の会社または個人事業主を指します。
業種 | 常勤従業員数 |
---|---|
製造業その他 | 20人 |
商業、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人 |
宿泊業、娯楽業 | 20人 |
④特定事業者の一部
特定事業者とは、上記の中業企業者の条件には当てはまらないものの、中小企業等経営強化法規定の要件を満たした事業者のことです。本補助金では、その一部も対象となります。具体的には以下のとおりです。
(1)従業員数が常勤従業員数が一定の基準以下となる会社または個人であり、資本金の額または出資の総額が10億円未満である事業者
業種 | 常勤従業員数 |
---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 500人 |
卸売業 | 400人 |
サービス業または小売業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 300人 |
そのほかの業種(上記以外) | 500人 |
(2)生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会のうち、直接または間接の構成員の2/3以上が、常時300人(卸売業を主たる事業とする事業者は400人)以下の従業員を使用し、かつ資本金の額または出資の総額が10億円未満であるもの
(3)酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会のうち、直接または間接の構成員の2/3以上が、常時500人(酒類卸売業者は400人)以下の従業員を使用し、かつ資本金の額または出資の総額が10億円未満であるもの
(4)内航海運組合、内航海運組合連合会のうち、直接または間接の構成員たる内航海運事業を営む者の の2/3以上が常時 500人以下の従業員を使用し、かつ資本金の額または出資の総額が10億円未満であるもの
(5)技術研究組合のうち、直接または間接の構成員の2/3以上が(1)、もしくは企業組合または協業組合であるもの
⑤特定非営利活動法人(NPO法人)
以下の要件をすべて満たすNPO法人も、本補助金の対象となります。
- 中小企業の振興・発展に直結する活動を行っている
- 従業員数が300人以下である
- 法人税法上の収益事業を行っている
- 認定特定非営利活動法人でない
- 交付申請時までに経営力向上計画の認定を受けている
⑥社会福祉法人
社会福祉法人の場合、以下の要件を満たせば対象となります。
- 所管庁の認可を受けて設立されてい
- 従業員数が300人以下である
- 収益事業の範囲内で補助事業を行う
本補助金は、①~⑥のいずれかに当てはまっていないと受け取ることができません。また、以下のような事業者も対象外です。
- 当該公募の応募締切日を起点にして18ヶ月以内に本事業の交付決定を受けており、かつ本事業の実績報告書を提出していない事業者
- みなし大企業(大企業が実質的に経営に参加している中小企業)
- 暴力団関係者
- 過去に本補助金の不正受給や虚偽申告を行った事業者
- 過去に「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」または「事業再構築促進補助金」の交付決定を受け、補助事業が完了していない事業者
- 過去3年間に2回以上、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」または「事業再構築促進補助金」の交付決定を受けている事業者
このほか、虚偽の申請をした事業者、別の事業者と酷似した事業を行う事業者、資本金や従業員数などを本補助金受け取りのために故意に操作した事業者なども対象外となります。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助上限額・補助率
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助上限額は以下の通りです。大幅賃上げに取り組む事業者は、「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例」の対象となり、上限額が引き上げられます。
従業員数 | 通常の上限額 | 大幅賃上げ時の上限額 |
---|---|---|
5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
6~20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
21~50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
51~100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
なお、機械装置・システム構築費以外の経費については、補助上限額が総額で500万円(税抜)となります。
補助率は事業者区分と補助金額に応じて以下のように定められています。最低賃金引き上げに取り組む中小企業は、「最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例」の対象となり、1,500万円までの部分について2/3に引き上げられます。
事業者区分 | 1,500万円まで | 1,500万円超 |
---|---|---|
中小企業 | 1/2(最低賃金引き上げ時2/3) | 1/3 |
小規模事業者・再生事業者 | 2/3 | 1/3 |
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例とは、大幅な賃上げに取り組む場合に対象となる特例です。本特例が適用されると、通常の補助上限額から従業員規模に応じて250万円~2,000万円の引き上げを受けられます。
要件 | 詳細 |
---|---|
給与支給総額の増加 | 基本要件の2.0%以上に加え、さらに4.0%以上(合計で年平均成長率6.0%以上)増加させること |
最低賃金の上乗せ | 事業場内最低賃金を事業実施都道府県の最低賃金+50円以上の水準とすること |
事業計画の提出 | 上記2項目の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画を提出すること |
なお、「給与支給総額の増加」「最低賃金の上乗せ」以下のいずれか一方でも未達の場合、引き上げ額分の返還が求められます。
最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例
最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例は、最低賃金引き上げに取り組む中小企業のために設けられた特例です。本特例が適用されると、補助率が通常の1/2から2/3に引き上げられます(補助金額1,500万円までの部分)。
基本要件 | 内容 |
---|---|
対象期間 | 2023年10月から2024年9月までの間 |
雇用条件 | 3か月以上、地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上であること |
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象経費
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象となる経費は、本事業の対象として明確に区分でき、その必要性と金額の妥当性を証拠書類で明確に確認できる以下の経費です。
なお、対象経費は交付決定日以降の発注で、補助事業実施期間内に支払完了したものに限ります。
経費区分 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
機械装置・システム構築費(必須) | ①機械装置、工具や器具の購入、製作、借用にかかる費用②専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築、借用の費用 ③改良または据え付けの費用 | 必ず1つ以上、50万円(税抜)以上の設備投資が必須 |
運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料などにかかる費用 | – |
技術導入費 | 知的財産権などの導入にかかる費用 | 補助対象経費総額の1/3以内 |
知的財産権等関連経費 | 知的財産権の取得に際する弁理士の手続代行などにかかる費用 | 補助対象経費総額の1/3以内 |
外注費 | 加工や設計、検査などの一部を外注するときにかかる費用 | 補助対象経費総額の1/2以内 |
専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家への支払費用 | 補助対象経費総額の1/2以内 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用に関する費用 | – |
なお、機械装置・システム構築費以外の経費については、補助上限額が総額で500万円(税抜)と決められています。
また、補助対象経費は事業に要する経費(税込)の2/3以上である必要があります。
経費の確認については、原則として銀行振込の実績で行います。クレジットカード払いについては、一部の経費を除き原則として認められません。
このほか、以下のような費用は補助対象外となります。
- 工場建屋、構築物などの取得費用
- 設置場所の整備工事や基礎工事費用
- 消耗品、事務用品などの経費
- 中古品購入費
- 人件費
- 公租公課
- 振込手数料
- 各種保険料
- 借入金の支払利息や遅延損害金
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助事業実施期間
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助事業実施期間は、交付決定日から18ヶ月以内です。ただし、補助金交付候補者の採択発表日から20ヶ月後の日までとなります。
本補助金に採択された場合は、同期間内に事業の手続きをすべて終わらせた上で、実績報告書を提出する必要があります。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請から補助金受け取り後までの大まかな流れ
中小企業省力化投資補助金(一般型)の大まかな流れは、以下のとおりです。
- 事前準備
まず、GビズIDプライムアカウントを取得します。アカウント発行には一定期間を要するため、早めの準備が推奨されます。 - 公募開始・申請受付開始
令和7年3月中旬頃に公募開始後、電子申請システムのjGrantsから、事業計画書などの必要書類を提出して申請します。 - 審査
提出された申請内容について、外部有識者による審査委員会で書面審査や口頭審査が行われます。 - 補助金交付候補者決定
審査を通過した事業者が補助金交付候補者として採択されます。 - 交付申請・決定
採択されたら交付申請を行い、交付決定を受けます。 - 補助事業実施期間
交付決定を受けたら補助事業をスタートさせます。補助事業は、交付決定日から18ヶ月以内に事業を完了する必要があります。 - 確定検査
事業完了後、支出内容や証憑類の確認が行われます。 - 補助金請求
確定検査後、補助金の請求手続きを行います。 - 補助金支払い
適切に事業が実施されたことが確認されれば補助金が支払われます。 - 効果報告
補助事業完了後5年間、毎年4月に事業効果の報告が必要です。労働生産性や賃金水準等の目標達成状況を報告します。
本補助金は準備から効果報告まで長期にわたるプロセスとなるため、計画的な事業実施が求められます。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請に必要な書類
中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請には、事業計画書をはじめさまざまな書類が必要です。申請様式については、令和7年3月上旬に中小企業省力化投資補助金(一般型)の専用Webページに公表される予定となっています。公表されたら本記事でも紹介します。
中小企業省力化投資補助金(一般型)のスケジュール
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、令和7年3月中旬頃に申請受付開始、同年3月下旬申請締切予定です。
中小企業省力化投資補助金(一般型)で事業者に発生する義務
中小企業省力化投資補助金(一般型)では、申請する事業者に対して以下のような義務を課すとしています。これらの義務に違反した場合、補助金の返還や事業者名の公表などのペナルティが科される可能性があるため、計画的かつ適切な事業実施と報告が求められます。
説明会への参加義務
本補助金に採択された事業者は、事務局が実施する説明会に必ず参加する必要があります。不参加の場合は、説明会最終開催日をもって採択が無効となります。
財産管理の義務
単価50万円(税抜)以上の機械等の財産、または効用が増加した財産を、処分制限期間内に処分(売却、廃棄など)するときは事前承認が必要です。処分する場合は、残存簿価相当額または時価で補助金を返還する必要もあります。
補助金等適正化法の遵守
本補助金に採択された事業者は、補助金等適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)に違反する行為をしてはいけません。
計画変更・中止時の事前承認
事業内容や経費配分の変更、事業の中止・廃止には事前承認が必要です。
実績の報告
本補助金に採択された事業者は、補助事業を完了した上で、事業完了後30日以内または期限日のいずれか早い日までに実績報告書を提出する必要があります。
また、事業完了年度から5年間、毎年度終了後60日以内に効果報告を行うとともに、賃金台帳を提出して事業場内最低賃金の確認への協力しなければいけません。
証拠書類の保管
本補助金に採択された事業者は、収支の証拠書類を事業完了年度から5年間保存しなければいけません。
進捗状況確認への協力
本補助金では、事務局が本事業の遂行や収支の状況について確認するために、必要書類の提出を求めたり、抜き打ちで実地検査をしたりすることがあります。これらに協力をするのも本補助金に採択された事業者の義務です。
保険への加入
事業計画期間中は、導入設備に対して損害保険など(自然災害含む補償で付保割合50%以上)への加入が必須です。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択率を上げるコツ
中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択率を上げるには、以下の点に留意するとよいでしょう。
公募要領に記載されている事業計画書のポイントを満たす
本補助金の公募要領には、事業計画書作成における重要なポイントが記載されています。これらをおさえておくことが、採択への第一歩です。
記載項目 | 主な記載内容 | ポイント |
---|---|---|
補助事業の具体的取り組み内容 | ・自社の取り組み経緯と必要性 ・工程ごとの開発内容 ・機械装置等の詳細 ・機械装置の取得時期などのスケジュール ・他社との差別化点 ・省力化の具体的な実現方法 | ・会社全体の事業計画と整合性を取る ・省力化された労働力の活用方法を明確にする |
将来の展望 | ・省力化による具体的な成果 ・自社にとっての付加価値 | ・図表や写真を用いてわかりやすく説明する |
会社全体の事業計画 | ・労働生産性 ・給与支給総額 ・省力化指数 ・投資回収期間 ・付加価値額 ・オーダーメイド性 | ・すべての数値に算出根拠を示す ・毎年の効果報告で達成状況を確認する |
特に重要なのは、補助事業の具体的取り組み内容です。ここでは、機械装置等の導入により、どのように省力化を実現し、その効果を会社全体にどう波及させていくのかを具体的に示す必要があります。
また、将来の展望では省力化によって生まれる付加価値を明確にし、会社全体の事業計画では各種指標の算出根拠を示しながら、具体的な数値目標を設定することが求められます。
これらの項目について、具体的かつ詳細な記述を心がけ、必要に応じて図表や写真を活用すると、より説得力のある事業計画書を作成できます。
なお、設定した数値目標は補助事業終了後も毎年の効果報告で達成状況が確認されるため、実現可能性の高い計画を立てることが重要です。
各審査の内容を把握する
本事業では、書面審査、および場合によっては口頭審査が行われます。それぞれの観点や留意点をおさえることも、採択率をアップさせる上では重要です。
書面審査の審査項目と加点項目
書面審査では、主に以下の5つの評価項目と加点項目が見られます。
評価項目 | 主な評価内容 |
---|---|
補助対象事業としての適格性 | ・公募要領の要件は満たしているか ・3~5年計画で労働生産性の年平均成長率は4.0%以上増加する取り組みか |
技術面での評価 | ・省力化指数は高いか、その根拠は妥当か ・投資回収期間は短いか、その根拠は妥当か ・付加価値額の成長率が大きい案件か、その根拠は妥当か ・デジタル技術を活用した専用設備などの導入を行う事業計画であるか |
計画面での評価 | ・実施体制や財務状況から、事業遂行能力があると判断できるか。十分な資金調達が見込めるか ・結果までの遂行方法やスケジュールに妥当性はあるか |
政策面での評価 | ・地域経済の成長を牽引する事業か ・複数事業者と連携して高い生産性向上につながるか ・経営資源の有効活用が期待できる内容か ・日本のイノベーションに貢献する取り組みか |
大幅賃上げ計画の妥当性(特例申請時のみ) | ・賃上げ計画は具体的かつ妥当か ・継続的に利益を人件費に充てているか。また人件費だけでなく設備投資にも適切に充てているか・企業成長のために適切な人材育成に取り組んでいるか ・体制面や営業面の強化を実施しているか |
これらのほか、以下のような項目を満たしていると加点され、採択の可能性が高まります。
- 過去3年以内に事業承継によって経営資源を引き継いだ事業者である
- 有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者である
- 成長加速マッチングサービスの登録者である
- 賃上げ計画保有し、事務局に誓約書を提出している事業者である
- えるぼし認定やくるみん認定を受けている事業者である
口頭審査の留意事項
口頭審査は、補助申請額が一定規模以上の申請を対象に、Zoomなどのオンラインツールで15分程度行われます。
審査では事業計画の適格性、革新性、優位性、実現可能性などが確認されます。場合によっては申請をするに至った背景など、計画書に記載されていない内容が聞かれることもあります。
なお、審査は申請事業者自身(法人代表者など)1名のみの参加が認められており、経営コンサルタントや社外顧問などは同席できません。
このほか、接続不良で途切れた場合の再審査は行われない、イヤフォンやヘッドセットは使用できないなどの注意事項もありますので、公募要領を熟読した上で臨むことが大切です。
認定経営革新等支援機関に相談する
本補助金の申請においては、認定経営革新等支援機関に相談することをおすすめします。
認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門知識や実務経験を持ち、国の認定を受けた機関のことです。中小企業診断士、税理士、公認会計士などの専門家や、地域の商工会・商工会議所、金融機関などが該当します。認定経営革新等支援機関は「認定経営革新等支援機関検索システム」で検索できます。
本補助金の申請では、省力化指数の計算や投資回収期間の算出、事業計画書の作成など、専門的な知識が必要となる部分が多くあります。認定経営革新等支援機関に相談することで、以下のようなメリットが得られます。
- 申請書類作成のアドバイスを受けられる
- 事業計画の実現可能性を客観的に評価してもらえる
- 補助金申請に関する実績やノウハウを活用できる
- 財務面や経営面での専門的な助言を得られる
- 補助事業実施中のフォローアップが期待できる
なお、支援を受ける場合は、事業計画書に支援者の名称・報酬・契約期間を記載する必要があります。
中小企業省力化投資補助金(一般型)申請チェックリスト
詳細 | チェック |
---|---|
事業概要 | |
事業の目的、補助対象、要件などを理解しているか | □ |
補助事業実施場所(工場や店舗など)を有しているか(建設中や土地のみは対象外) | □ |
カタログ注文型の製品カタログを確認したか | □ |
申請資格 | |
中小企業者など、本補助金の対象要件を満たしているか | □ |
直近18ヶ月以内に本事業の交付決定を受けていないか | □ |
みなし大企業、みなし同一法人に該当していないか | □ |
そのほか、補助対象外なる事業者に該当していないか | □ |
基本要件 | |
労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加させる事業計画か | □ |
給与支給総額の増加要件(年平均+2.0%以上など)を満たす事業計画か | □ |
事業場内最低賃金の引き上げ要件(県最賃+30円以上)を満たす事業計画か | □ |
従業員21名以上の場合、一般事業主行動計画を公表したか/公表予定か | □ |
事業計画書 | |
本事業で機械設備等を取得する必要性を示しているか | □ |
取り組みの目標と達成手段を明確に記載しているか | □ |
他社との差別化や省力化に向けてのプロセスを具体的に記載しているか | □ |
本事業を通して生み出される付加価値について記載しているか | □ |
基本要件を満たしていることが明確にわかる算出根拠を記載しているか | □ |
補助金額 | |
従業員規模に応じた補助上限額を確認したか | □ |
補助率(中小企業1/2など)を確認したか | □ |
大幅賃上げ特例/最低賃金引き上げ特例の適用可否を確認したか | □ |
対象経費 | |
50万円(税抜)以上の設備投資が含まれているか | □ |
補助対象外経費(消耗品、汎用品など)が含まれていないか | □ |
見積書(原則2社以上)を取得できるか | □ |
申請準備 | |
GビズIDプライムアカウントを取得したか/申請中か | □ |
電子申請システムのjGrantsの操作方法を確認したか | □ |
事後義務 | |
説明会参加義務を理解したか | □ |
財産処分制限を理解したか | □ |
事業化状況報告(5年間)の義務を理解したか | □ |
証拠書類の保管(5年間)義務を理解したか | □ |
スケジュール | |
補助事業実施期間(交付決定後18ヶ月以内)で実施可能か | □ |
支払完了期限までに支払を完了できるか | □ |
中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください
中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請には、労働生産性の向上や給与支給総額の増加、最低賃金の引き上げなど、複数の要件を満たす必要があります。また、事業計画書の作成においては、省力化指数の計算や投資回収期間の算出など、専門的な知識が求められます。
当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関および中小企業診断士として、多くの補助金申請支援の実績があります。事業計画の策定から申請手続き、採択後のフォローアップまで、一貫したサポートを提供しています。
本補助金の申請について少しでも不安がありましたら、ぜひ当社にご相談ください。初回相談は無料です。