【令和7年4月10日受付開始】千葉県実施の中小企業成長促進補助金とは?補助要件や申請手続き、採択率を上げるコツを徹底解説

千葉県実施の中小企業成長促進補助金の概要

千葉県では、地域経済への貢献や持続的な賃上げを目指す中小企業の成長を支援するために、中小企業成長促進補助金制度を設けています。省力化・業務効率化や生産性向上に必要な設備投資の一部をサポートするのが目的です。

この記事では、千葉県の中小企業成長促進補助金の概要、補助要件、申請手続きなどを申請要領や千葉県の公式ウェブサイトをもとに紹介しています。

なお、本記事の情報は記事執筆時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。申請にあたっては、必ず最新の情報をご確認ください。

当社・中小企業経営支援事務所は、中小企業経営のトータルサポートを行っています。中小企業成長促進補助金に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

千葉県実施の中小企業成長促進補助金とは

中小企業成長促進補助金は、千葉県内の経済活性化を目的に、積極的な賃上げや投資を行う意欲の高い中小企業等を支援する制度です。省力化・業務効率化や生産性向上に必要な設備投資に対して、その経費の一部を補助します。

項目内容
主な補助要件・付加価値額:年率平均3%以上増加
・労働生産性:年率平均1%以上増加
・パートナーシップ構築宣言の登録企業であること
補助対象者千葉県内に事業所等を有する中小企業者等
補助対象事業省力化(業務効率化)、生産量の増大、製品・サービスの高付加価値化に資する事業
補助対象経費機械装置・システム構築費、設備処分費
補助上限額3,000万円(下限500万円)
補助率対象経費の2分の1以内
スケジュール・申請期間:令和7年4月10日(木)~5月15日(木)17:00
・交付決定予定:令和7年6月頃
・補助事業期間:交付決定日~令和8年2月16日(月)
・実績報告期限:令和8年2月16日(月)まで
千葉県実施の中小企業成長促進補助金の概要

この補助金の最大のメリットは、大規模な設備投資を半額の自己負担で実現できる点です。

最大3,000万円という高額な補助が受けられるため、通常なら数年かけて段階的に行う設備投資を一度に実施できます。これにより、生産性向上や業務効率化を短期間で達成し、企業の競争力強化と成長を加速させることが可能になります。また、商工会議所などの支援を受けながら事業計画を策定できるため、経営改善にもつながります。

なお、いずれの補助金にも当てはまりますが、本補助金も後払い制度となっています。補助金を受け取るための省力化・業務効率化や生産性向上などの事業(補助事業)をまずは自己負担で行い、事業完了後に千葉県に申請して初めて実際の金銭を受け取ることができます。

中小企業成長促進補助金の補助要件

中小企業成長促進補助金を申請するには、8つの要件を全て満たす必要があります。

  1. 千葉県内に事業所を有する中小企業者等(詳細後述)であること。補助事業の結果として県内に事業所が設立される場合も含まれる
  2. 事業内容が公序良俗に反しないこと
  3. 関連法令や条例を遵守していること
  4. 暴力団等との関係がないこと
  5. 同一事業で他の類似補助金の交付決定を受けていないこと
  6. 補助事業の実施により「付加価値額」を年率平均3%以上(3年で9%以上)増加させること。付加価値額は、営業利益、人件費、減価償却費の合計で算出
  7. 補助事業の実施により「労働生産性」を年率平均1%以上(3年で3%以上)増加させること。労働生産性は、付加価値額を常時使用する従業員数で割って算出
  8. パートナーシップ構築宣言」の登録企業であること

これらの要件を全て満たすことで、最大3,000万円の補助金申請が可能となります。

中小企業成長促進補助金の補助対象者

中小企業成長促進補助金は、千葉県内に事業所等を有する中小企業者等を対象としています。補助対象者となるには、以下の三つの条件のいずれかを満たす必要があります。

業種資本金の額又は出資の総額常時使用する従業員の数
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業、工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業、情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人
条件①「資本金」または「従業員数(常勤)」が上表の数字以下となる会社または個人

「常時使用する従業員」は、労働基準法第20条に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を指し、日々雇い入れられる者や短期契約社員、会社役員、個人事業主本人及び同居の親族従業員、育児・介護・傷病休業中の社員は含まれません。

中小企業等経営強化法第2条第1項第6号から第8号に定める法人も対象となります。

中小企業成長促進補助金は、法人税法別表第二に該当する法人または個人、農事組合法人もしくはその他公益法人等とみなされる法人も、以下の要件を満たせば申請可能です。

  • 資本金の額または出資総額が10億円未満であること
  • 資本金・出資額が定められていない場合は、常勤従業員が2,000人以下であること

特筆すべき点として、一般財団法人・一般社団法人は非営利型法人でなくても対象となります。

常勤従業員の定義は、条件①に記載した内容と同じです。

「みなし大企業」に該当する場合は補助対象外です。みなし大企業とは、大企業が実質的に経営に関与している企業を指し、例えば発行済株式の1/2以上を同一の大企業が所有している場合や、大企業の役員が役員総数の1/2以上を占めている場合などが該当します。

また、法人格のない任意団体、収益事業を行っていない法人、公的機関から運営費の大半を得ている法人、政治団体、宗教法人、医療法人、学校法人、社会福祉法人、申請時点で開業していない創業予定者なども補助対象外です。

中小企業成長促進補助金の補助対象事業

中小企業成長促進補助金は、以下の4つの要件をすべて満たす事業が対象となります。

要件内容
計画に基づく取り組む事業であること「補助事業計画書」に基づいて実施する生産性向上などのための取り組みであること
支援機関と連携しながら取り組む事業であること千葉県内の商工会・商工会議所等の支援(確認書の発行・助言など)を受けながら実施すること
対象外事業に該当しないこと以下に該当する事業でないこと
・他の補助金などとの重複受給がない
・3年以内に付加価値額・労働生産性の増加が見込まれない
・公序良俗に反する
・自社グループ内での取り引きがある
補助事業実施期間内に補助事業が終了すること補助事業を令和7年6月頃(交付決定)~令和8年2月16日までに完了すること
中小企業成長促進補助金の補助対象事業

中小企業成長促進補助金の補助対象経費

中小企業成長促進補助金の補助対象経費は、補助事業計画書に基づいて実施する事業に関わる費用のうち、「機械装置・システム構築費」と「設備処分費」の2種類に限定されています。

対象経費詳細注意点
機械装置・システム構築費・機械装置等の購入、製作、改良に要する経費
・専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築に要する経費
・上記の導入に必要な運搬・据付に要する経費
・単価50万円(税抜)以上のものが対象
・自社で製作・構築する場合の部品購入費用は対象外
・取り替え更新など、生産性向上につながらない設備の購入費用も対象外
・100万円(税込)超の場合は2者以上の見積りが必要
・中古品は3者以上の見積りが必要
・処分制限財産として一定期間の処分が制限される
・修繕費用は認められない
設備処分費・死蔵設備機器などの廃棄・処分にかかる経費
・借用設備の返却時の修理・原状回復に要する経費
・生産性向上などの取り組み実行が目的であるものが認められる
・廃棄・処分のみでは対象外(新規設備投資とあわせて実施が必要)
・交付決定後の追加計上や増額変更は不可
中小企業成長促進補助金の補助対象経費

一方で、以下のような経費は対象外です。

  • 他の助成制度と重複する経費(例:障害福祉サービス事業に関連する経費や介護報酬が適用されるサービスに関する経費)
  • 通常の事業活動に関する経費(例:販売商品の仕入れ費用や老朽化した機械の同等品への単純更新費用)
  • 販売・レンタル目的の経費(例:有料教材の制作費、有料配信用コンテンツの制作費
  • 広告宣伝・販促関連の経費(例:パンフレット、チラシなどの作成費、広告掲載費、ウェブサイト・ECサイト関連費用)
  • 車両関連費用(自動車、フォークリフト、キッチンカーなどの購入費)
  • その他対象外となる経費(例:機器のリース・レンタル料、交付決定前に発生した費用、経理書類不備の費用、消耗品、通信費、光熱水費、人件費、建物・不動産関連費用、専門家への報酬、手数料、保険料、公租公課、研修・セミナー参加費)

申請時には、これらの対象外経費を計上していないか十分確認してください。

補助対象経費については、以下のような厳格な条件があります。

  1. 使用目的が補助事業に必要と明確に特定できること
  2. 交付決定日以降に発生し補助事業期間内に支払いが完了していること
  3. 証拠資料で支払金額が確認できることです。

重要なのは、単に経費を支出するだけでなく、補助事業期間内に実際にその設備を使用して、計画書に記載した生産性向上などの取り組みを実施したことが必要です。例えば、機械装置を購入しても補助事業期間内に使用しなかった場合や、受注システムを作成してもホームページに公開していない場合は補助対象外となります。

支払方法については、クレジットカード払いは事業者名義に限り、分割払いやリボ払いの場合は補助事業期間内に全額の引き落としが完了している必要があります。個人名義のカードによる立替払いは、帳簿などで確認できない場合は認められません。

電子商取引においても、仕様提示から支払いまでの一連の流れを証明する書類(取引画面の写しなど)が必要です。電子マネー支払いも同様に、経理処理の証拠書類が整っていなければいけません。

これらの留意事項を遵守すると、補助金申請の審査をスムーズに通過できるでしょう。

中小企業成長促進補助金の補助上限額・補助率

中小企業成長促進補助金の補助率・補助上限額は、以下のとおりです。

項目要件
補助上限額3,000万円(下限500万円)※
補助率対象経費の2分の1以内
中小企業成長促進補助金の補助上限額・補助率

設備処分費の計上額は、補助金額の確定時に認められる補助対象経費の総額の2分の1、すなわち機械装置・システム構築費を超えないことが条件です。

中小企業成長促進補助金のスケジュール

中小企業成長促進補助金の申請から補助金受給までの主なスケジュールは、以下のとおりです。

項目日程
申請受付開始令和7年4月10日(木)
申請受付締切令和7年5月15日(木)17:00
交付決定令和7年6月頃
補助事業期間交付決定日~令和8年2月16日(月)
実績報告提出期限令和8年2月16日(月)
中小企業成長促進補助金のスケジュール

本補助金の申請には、事業計画書のほか、商工会議所などが発行する支援機関確認書も必要です。申請期間が1ヶ月ほどと短いため、早め早めに行動していきましょう。

交付決定とは、申請後の審査によって採択されることを言います。ただし、補助事業期間(事業計画書に記載した補助事業を完了させなければいけない期間)までに事業が終わっていない場合、補助金を受け取ることができないため注意しましょう。

中小企業成長促進補助金の基本的な流れ

中小企業成長促進補助金の基本的な流れは以下のとおりです。なお、各段階において必要となる書類のうち、様式◯号という書類については、千葉県の中小企業成長促進補助金ページからダウンロードできます。

千葉県の中小企業成長促進補助金ページ
https://www.pref.chiba.lg.jp/keisei/zaisei/chiba-seichohojyo.html

本補助金は、申請時に県内の商工会や商工会議所などが発行する支援機関確認書(第3号様式)を提出する必要があります。各機関の問い合わせ先は、以下のとおりです。

紙媒体で支援機関確認書を受け取った場合は、電子申請システムにアップロードできるようにPDF化しておきます。

「ちば電子申請システム」に必要書類をアップロードします。

ちば電子申請システム(4月10日公開)
https://apply.e-tumo.jp/pref-chiba-u/offer/offerList_detail?tempSeq=42675

申請に必要な書類は以下のとおりです。ファイル名は指定された形式で保存し、アップロードしましょう。

添付書類ファイル名
交付申請書(第1号様式)
役員等名簿(第1号様式別紙)
宣誓・同意書(第1号様式別紙)
補助事業計画書(第2号様式)
・交付申請書及び補助事業計画書その1(事業者名)
・補助事業計画書その2(事業者名)
補助対象経費の見積書等の写し・対象経費の見積書等の写し(事業者名)
支援機関確認書(第3号様式)・支援機関確認書(事業者名)
直近の貸借対照表、損益計算書
(特定非営利活動法人は活動計算書)
【法人の場合】
・第〇期決算書等(事業者名)
【個人事業主の場合】
・確定申告書等(事業者名)
【設立後間もない場合】
・開業届(事業者名)
現在事項全部証明書または
履歴事項全部証明書(法人のみ)
・証明書(事業者名)
従業員数の確認資料【法人の場合】
・法人事業概況説明書(事業者名)
【個人事業主の場合】
・所得税青色申告決算書(事業者名)
・所得税白色申告収支内訳書(事業者名)
中小企業成長促進補助金の申請に必要な書類

申請書類を提出する際は、以下の点に注意しましょう。

  1. 見積書は100万円(税込)超の場合、2者以上から取得し、発行元の押印があるものを提出
  2. 相見積もりは同一条件のものを用意(類似製品ではNG)
  3. 法人の全部証明書は申請日から3ヶ月以内のもの
  4. マイナンバーが記載されている書類は、番号を黒塗りして提出

書類に不備があると審査の遅延や不採択の原因となるため、提出前に漏れがないか十分確認することが重要です。

申請後、千葉県から委託を受けた審査機関が厳正な審査・評価を行います。この審査は非公開で実施され、申請内容に関するヒアリングはありません。そのため、申請書類は不備なく、わかりやすく作成することが重要です。

審査は「基礎審査」と「計画審査」の2段階で行われます。基礎審査はすべて満たす必要がありるものです。計画審査は、補助事業計画書を審査する項目で、総合的な評価が高いものから順に予算の範囲内で採択されます。

審査の観点に沿った質の高い申請書を作成することが、採択への近道です。

審査項目詳細
基礎審査・必要な提出資料がすべて提出されているか
・本要領に記載の補助要件などに合致しているか
・補助事業を遂行するために必要な能力を有しているか
・中小企業などが主体的に活動し、その技術やノウハウなどをもとにした取り組みであるか
計画審査【補助事業の必要性】
・自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握し、補助事業の必要性を検討しているか
【補助事業計画書の有効性】
・計画書が具体的で実現可能性が高いものとなっているか
・生産性向上などを目指すものとして必要かつ有効か
・付加価値額や労働生産性が増加する合理的な説明ができているか
【積算の透明・適切性】
・計画書に合致した事業実施に必要なものとなっているか
・事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか
中小企業成長促進補助金の採択審査時の審査項目

審査結果は採択(交付決定)または不採択として申請者全員に通知されますが、審査結果の内容についての問い合わせには応じていません。また、同一内容で他の補助金と併願している場合は、重複して採択されないため注意しましょう。

採択された場合でも、予算の都合により希望金額から減額される可能性があります。さらに、交付決定後に計画内容や経費配分の変更、事業の中止・廃止などを行う場合は、必ず事前に承認を得る必要があります。

千葉県から採択(交付決定)か不採択の通知を受け取ります。採択された場合、その時点から令和8年2月16日までが補助事業実施期間です。

中小企業成長促進補助金の交付決定を受けた後、補助事業を完了したら速やかに実績報告書を提出します。この実績報告は、補助金の最終的な金額を確定させ、受け取るための重要な手続きです。

実績報告書の提出期限は、補助事業が完了した日から30日以内、または令和8年2月16日のいずれか早い日までです。補助事業の完了とは、機械装置等の購入・設置や設備処分など、計画したすべての事業が終了し、支払いも完了した状態を指します。

提出方法は申請時と同様にオンラインで行います。交付決定通知書と一緒に案内されるURLから電子申請システムにアクセスして提出します。

実績報告時に必要な書類は以下のとおりです。

添付書類ファイル名
実績報告書(第6号様式)
交付請求書(第7号様式)
・実績報告書(事業者名)
・交付請求書(事業者名)
発注内容が確認できる書類
(見積書、発注書、契約書、請書など)
・発注内容が確認できる書類(事業者名)
納品等が確認できる書類
(納品書、引渡書など)
・納品等が確認できる書類(事業者名)
経費支出の証拠書類
(銀行振込明細書、領収書、請求書など)
・経費支出証拠書類(事業者名)
事業を実施したことが確認できる書類
(納品前後の写真など)
・事業実施確認書類(事業者名)
振込口座のわかる通帳の写し・振込口座通帳の写し(事業者名)
中小企業成長促進補助金の実績報告時に必要な書類

実績報告書を提出する際は、以下の点に注意が必要です。

  1. 見積書を除くすべての発注関連書類は交付決定日以降の日付であること
  2. 発注金額、発注元・発注先の事業者名が明記されていること
  3. すべての補助対象経費について支払いが完了していることを証明する書類を用意すること

これらの書類をすべて揃えて提出した後、千葉県による実績報告書の審査(確定審査)が行われ、補助金額が最終的に確定します。不備があった場合は訂正・再提出を求められます。

千葉県が提出された実績報告書と証拠書類にもとづき、補助事業が適正に実施されたかを審査します。この検査は書類審査が基本ですが、必要に応じて抜き打ちで実地調査も行われます。

審査項目詳細
確定審査・申請時の補助事業計画書どおりに事業が実施されたか
・補助事業が交付決定日から令和8年2月16日までの期間内に実施されたか
・補助対象経費が適正に支出され、証拠書類(見積書、発注書、納品書、請求書、領収書など)で確認できるか
・補助対象物件や帳簿類が実際に存在し、確認できるか
中小企業成長促進補助金の確定審査の審査項目

実績報告書に不備が見つかった場合は、県の指示に従って訂正し、速やかに再提出する必要があります。提出書類と同様の書類(原本)は手元に保存し、審査中の照会に対応できるようにしておきましょう。適切な証拠書類の準備と管理が、スムーズな補助金受給の鍵となります。

確定検査に合格すると「額の確定通知書」が送付され、最終的な補助金額が確定します。

「額の確定通知書」を受け取ったら、実績報告時に提出した交付請求書が正式に受理されます。これが本補助金の交付請求にあたります。

千葉県から確定した金額の補助金を受け取ります。

中小企業成長促進補助金を受給した事業者には、補助事業完了後も継続的な報告義務があります。具体的には、補助事業が完了した日の属する会計年度終了後から3年間にわたり、毎年「事業効果等状況報告書」(第11号様式)を千葉県に提出する必要があります。

この報告書では、過去1年間における補助事業の効果について詳細に記載します。主な報告内容としては、当初計画した生産性向上や付加価値額の増加などの目標に対する達成状況や、設備投資による具体的な成果などです。

なお、この他の義務として、「補助金で購入した機械装置などは処分制限財産に該当し、一定期間内に処分するときは承認を得ること」「補助事業関連の帳簿や証拠書類は事業完了後5年間保存すること」などもあります。

これらの報告・保存義務を怠ると、要綱違反として補助金交付取消や返還命令(加算金付き)の対象となる可能性があるため注意しましょう。

中小企業成長促進補助金の問い合わせ先

中小企業成長促進補助金の問い合わせ先は、以下のとおりです。採択審査結果の内容に関するものについては対応不可となっています。

中小企業成長促進補助金に申請するメリット

中小企業成長促進補助金を活用することで、事業者はさまざまなメリットを得られます。ここでは、主なメリットを2つご紹介します。

本補助金は、省力化や業務効率化、生産性向上に必要な設備投資の経費の一部を補助する制度です。最大3,000万円(補助率1/2)の補助が受けられるため、高額な設備投資の負担を大幅に軽減できます。これにより、資金的な制約から導入をためらっていた最新設備やシステムを導入しやすくなります。

補助金を活用して生産性の高い設備を導入することで、事業成長を加速させる業務の効率化や生産量の増大、製品・サービスの高付加価値化を実現できます。また、補助金の申請プロセスを通じて、自社の事業計画を見直し、将来の成長戦略を具体化する良い機会になるのもメリットです。

中小企業成長促進補助金の採択率を高めるコツ

中小企業成長促進補助金の採択率を高めるためには、審査の観点を理解し、補助事業計画書を丁寧に作成することが重要です。以下の3点を意識しましょう。

本補助金の審査は「基礎審査」と「計画審査」の2段階で行われます。基礎審査では、提出書類の不備や補助要件への合致が確認されます。計画審査では、「補助事業の必要性」「補助事業計画書の有効性」「積算の透明・適切性」が評価されます。

補助事業計画書では、「現在の事業概要」「生産性向上に向けた取組の必要性(自社の強み・弱み・課題・機会)」「導入する設備等の概要」「期待される効果(付加価値額・労働生産性の増加根拠)」「実施スケジュール」を具体的に記述する必要があります。

特に、なぜその設備投資が必要なのか、導入によってどのように生産性が向上し、付加価値額や労働生産性が目標値(年率3%以上、年率1%以上)を達成できるのか、具体的な数値根拠を示しましょう。必要に応じて写真などを活用し、わかりやすく説明することも有効です。

計画審査では、補助事業計画の実現可能性も重視されます。絵に描いた餅ではなく、自社の経営状況や人員体制を踏まえ、着実に実行可能で、かつ目標達成が見込める計画を策定しましょう。補助事業の実施スケジュールも具体的かつ現実的に設定することが大切です。

本補助金は、商工会議所等の支援を受けながら取り組むことが要件となっています。申請準備段階から積極的に相談し、助言・指導を受けながら計画をブラッシュアップしましょう。専門家の視点を取り入れることで、計画の質を高め、採択につながりやすくなります。

中小企業成長促進補助金の申請を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業成長促進補助金の申請では、審査項目を網羅し、実現可能性の高い事業計画を具体的に記述する必要があります。しかし、説得力のある計画書を作成するには専門的な知識やノウハウが求められます。

当社・中小企業経営支援事務所は、中小企業診断士かつ認定経営革新等支援機関として、補助金申請を含む中小企業の経営課題解決を幅広く支援しています。特に、企業の強みや事業者の思いを反映した魅力的な事業計画策定を得意としています。

申請書類の作成に不安がある、採択率を高めたいとお考えでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。経験豊富な専門家が、貴社の状況に合わせた最適な申請戦略をご提案し、採択に向けて全力でサポートいたします。

中小企業成長加速化補助金 100億宣言とは?実施のメリットや記載内容を最新情報をもとに徹底解説

100億宣言とは

近年、中小企業の成長促進が経済活性化の鍵として重要視されています。売上高100億円規模の企業は、経済への影響力も大きく、雇用創出や地域経済の活性化にも大きく貢献します。

そこで、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、中小企業の飛躍的成長を支援するため、「100億宣言」プロジェクトを開始しました。

項目内容
100億宣言の概要中小企業自らが「売上高100億円」の実現に向けた取り組みを行っていくことを宣言
宣言内容は令和7年5月頃開設予定のポータルサイトで公表
100億宣言の目的「売上高100億円」という野心的な目標を掲げる中小企業を政府も支援することで、日本経済の成長を促す
100億宣言することで中小企業が得られる主なメリット・補助金活用
・経営者ネットワークへの参加
・公式ロゴマークの使用
100億宣言の概要・目的・メリット

この記事では、「100億宣言」の概要、メリット、記載内容、提出の流れ、ルール、関連資料、問い合わせ先などを、中小企業庁の「100億宣言」ページに掲載されている最新情報をもとに、詳しく解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、中小企業経営のトータルサポートを行っています。100億宣言の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

100億宣言とは

100億宣言とは、売上高10億円から100億円未満の中小企業が、「売上高100億円」という野心的な目標達成に向けた取り組みを宣言するものです。中小企業の挑戦を支援するプロジェクトのひとつとして、中小企業庁と中小機構によって開始されています。

日本経済の長きにわたる低迷から脱却するには、中小企業の挑戦と創意工夫が欠かせません。具体的には売上高100億円を実現し、多くの付加価値を生み出せる企業の存在が重要と考えられています。

そうした、いわゆる100億円企業を創出する支援策として始まったのが本プロジェクトです。

出典:100億宣言とは p.4丨中小企業庁

100億宣言は、以下の5つの要素を含むものとしています。

  1. 企業概要(売上高、従業員数など)
  2. 売上高100億円実現の目標と課題
  3. 実現に向けた具体的措置(生産体制強化、海外展開、M&Aなど)
  4. 実施体制
  5. 経営者のコミットメント

これらの要素を含めるようにすると、中小企業の実際に100億を実現する強い気持ちと実現可能性を明確になります。それを通して売上高100億円への成長の機運を高めることが、本プロジェクトの目的です。

なお、宣言した企業の取り組みは専用ポータルサイトで公開され、「見える化」されます。

100億宣言をするメリット

中小企業が100億宣言をすると、主に以下の3つのメリットを得られます。

100億宣言を行った企業は、さまざまな補助金や税制優遇措置を活用することができます。

例えば中小企業成長加速化補助金は、最大5億円の大規模な設備投資支援をするもので、100億宣言を事前にしておくことが基本要件になっています。100億円の売上を目指す上では大胆な投資が必要となるため、本補助金と100億宣言は二つで一つと言ってもいいでしょう。

また、令和7年夏頃から始まる経営強化税制の拡充措置を受けられるようにもなります。

このように、100億宣言は単なる目標設定だけでなく、具体的な支援メニューと連動した実効性のある制度として設計されています。宣言企業は、これらの支援を戦略的に活用することで、より確実な成長に結びつけられるでしょう。

100億宣言を行った企業の経営者は、地域や業種の垣根を超えた経営者ネットワークに参加できるようになります。

このネットワークは、高い成長意欲を持つ経営者同士が交流し、相互に刺激し合える場として機能します。これにより、以下のようなメリットがあります。

  • 異業種の経営者との交流による新たな気づきの獲得
  • 成長に向けた課題や解決策の共有
  • ビジネスパートナーの発掘や協業機会の創出
  • 地域を超えた事業展開のヒントの入手

経営者ネットワークは単なる交流の場ではなく、100億円企業への成長を実現するための重要な環境として位置づけられています。上記のメリットを通して、より多くの企業が売上100億円を目指しやすくなるような好循環を生み出すのが、経営者ネットワークの狙いです。

出典:100億企業を創出するための経営者ネットワーク丨経済産業省

100億宣言を行った企業は、専用の公式ロゴマークを使用できます。企業はこのロゴマークを名刺やウェブサイト、会社案内、プレスリリースなどの各種広報媒体に掲載することで、以下のようなPR効果が期待できます。

  • 高い成長意欲を持つ企業としてのアピール
  • 取引先や金融機関に対する信頼性の向上
  • 優秀な人材採用における企業価値の訴求
  • 政府認定の成長企業としてのブランディング

公式ロゴマークの活用は企業の対外的なコミュニケーションツールとして有効に機能し、100億円企業への成長をステークホルダーに印象づける効果的な手段となります。

100億宣言の記載内容

100億宣言を行うときは、規定の雛形に「企業概要」「企業理念・100億宣言に向けた経営者メッセージ」「売上高100億円実現の目標と課題」「売上高100億円実現に向けた具体的な措置」の4つを記載し、100億企業実行事務局に提出します。

※雛形は中小企業庁の「100億宣言」ページからダウンロードできます。

各項目の記載方法の仕方や注意点を紹介します。なお、これら4つの項目については、特設サイトで公表されるため公開可能な情報のみとする必要があります。

出典:100億宣言の申請要領 p.4丨中小企業庁

企業概要では本社所在地、事業内容、従業員数などの情報を記載します。枠内に収まるよう、簡潔かつ正確な記載を心がけましょう。

【記載するときの注意点】

  • 従業員数と現在の売上高は、末尾に括弧書きで時点を明記する(例:「54名(2024年3月期)」)
  • 従業員数は、正社員とパート・アルバイトを分けて記載する
  • グループ会社や子会社がある場合は、100億円を目指す対象となる企業の情報のみを記載する
  • 法人番号とWebサイトのアドレスの記載が必須

【記載イメージ】

出典:100億宣言の記載例丨中小企業庁
出典:100億宣言の申請要領 p.5丨中小企業庁

企業理念・100億宣言に向けた経営者メッセージは、その企業が目指す方向性と経営者の強い意志を表明する重要なセクションです。具体的には企業理念・ミッションと、100億円への成長を通じて実現したい内容を記載します。

【記載するときの注意点】

  • 他社への批判は避ける
  • 自社製品やサービスの直接的な宣伝は控える
  • 法令違反となる内容は記載しない

【記載イメージ】

出典:100億宣言の記載例丨中小企業庁
出典:100億宣言の申請要領 p.6丨中小企業庁

売上高100億円実現の目標と課題のセクションでは、いつ売上高100億円を実現するのか、その目標を達成する上でクリアしなければならない課題は何かを記載します。

なお、事務局側では、売上高100億円の達成までの期間についてはおおよそ10年以内と想定されています。

【記載するときの注意点】

  • 実現目標では定性的なものだけでなく、可能な限り定量的なものを示すこと。またグラフなどを用いて視覚的にわかりやすく説明すること。さらに「売上高100億円の実現に向けた具体的措置」の内容と整合していること
  • 課題については、100億円達成に向けて克服すべき課題を具体的に記載すること

【記載イメージ】

出典:100億宣言の記載例丨中小企業庁
出典:100億宣言の申請要領 p.7丨中小企業庁

売上高100億円実現に向けた具体的措置のセクションでは、「目指す成長手段」と「実施体制」の2つの要素を具体的に記載することが求められます。

【記載するときの注意点】

  • 目指す成長手段については、100億円達成に向けて実施する具体的なアクションプランを明確に示すこと
  • 実施体制については、成長施策を実行するための組織体制や外部リソースの活用方針を説明すること。現状の体制に加え、今後整備予定の体制について記載するのも可

【記載イメージ】

出典:100億宣言の記載例丨中小企業庁

100億宣言の提出の流れ

100億宣言の申請受付は、令和7年5月に開始される予定です。申請は専用ポータルサイト(URL調整中)を通じて行われます。申請書類のファイル形式はPDFです。

提出された宣言は、100億企業実行事務局で内容を確認したあと、そのまま専用ポータルサイトに掲載されます。ただし、以下のような場合は掲載が取り止めとなる可能性があります。

  • 公表要領に記載されている「掲載の取りやめ」事項に抵触する場合
  • 宣言内容が制度趣旨に沿わない場合
  • 必要書類の不備がある場合

申請に際しては、記載内容の正確性と公表を前提とした情報開示に留意が必要です。

100億宣言の公募要領に記載されたルール

100億宣言の公募要領」で記載されているルールについて、紹介します。

100億宣言のプロジェクトに賛同する企業は、中小企業庁が用意した所定の雛形に沿って宣言を作成する必要があります。作成された宣言は、中小企業庁の監督のもと、中小機構(または委託先)が運営するポータルサイトに掲載されます。

宣言の掲載を申請する企業は、申し込み時に以下の項目について当てはまらないことを宣誓する書類を提出する必要があります。

  • 役員に暴力団員等がいないこと
  • 暴力団員等が事業活動を支配していないこと
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に定められた事業を行っていないこと
  • 公序良俗違反や法令違反等の不適切な行為を行っていないこと

また申請時には、企業の売上高を確認するため、直近3年分の決算書類(該当部分の写し)の添付が必要です。

宣言内容が制度趣旨に適合しているとともに、上記の必要書類がそろっていることが確認されたら、ポータルサイトへの掲載と進みます。

宣言を行ったあとに宣言内容を変更したい場合は、変更理由書と変更後の宣言内容を事務局へ提出します。

ただし、「変更理由書の内容が適当である」「変更後の宣言内容が制度趣旨に適合する」場合でないかぎり、認められません。

100億宣言の掲載取りやめについては、主に2つのケースが想定されます。

1つ目は、宣言企業が宣誓書で誓約した内容と異なる状況にある場合です。また、宣誓内容が維持されているか確認できない場合も、掲載が取りやめとなります。

2つ目は、宣言企業自身が取りやめを希望する場合です。この場合、企業は取りやめ理由書を事務局に提出し、その内容が適当と認められれば掲載が取りやめとなります。

なお、一度掲載が取りやめられると、取りやめ日から1年間は再度掲載の申請ができません。

100億宣言に関するその他の重要な規定として、以下のポイントが挙げられます。

まず、事務局には宣言企業に対する調査権限が付与されており、申請企業および宣言企業には調査への協力義務があります。これは制度の健全性を維持するための重要な仕組みです。

また、ポータルサイトへの掲載後、一定期間が経過した時点で事務局から宣言の更新などを求められる場合があります。これは、宣言内容の実現に向けた進捗状況を確認し、制度の実効性を担保するためのものです。

さらに、中小企業庁および中小機構には、宣言の公表や掲載取りやめに関して、必要に応じて追加的な規定を定める権限が与えられています。

100億宣言に関する資料

100億宣言に関する資料には、以下のようなものがあります。

タイトル資料内容
100億宣言 紹介PV YouTube100億宣言の概要を紹介する40秒程度の動画
100億宣言とは(882KB)PDF100億宣言の概要
100億宣言の申請要領(1,609KB)PDF雛形の記載ポイント
100億宣言のひな形(444KB)PowerPoint
100億宣言の記載例(891KB)PDF100億宣言の記載例
100億宣言の公募要領(104KB)PDF100億宣言のルール
100億宣言に関するQ&A集(23KB)Excel「中小企業の定義は何か」などの質問とその回答を集めた資料
100億宣言に関する資料

100億宣言に関する問い合わせ先

100億宣言に関する問い合わせ先は、以下のとおりです。申請について困ったときは連絡してみるとよいでしょう。

  • 100億宣言全般について
    中小企業庁 事業環境部 企画課 03-3501-1511(内線 5231)
  • 成長加速化補助金について
    中小企業庁 経営支援部 経営支援課 03-3501-1511(内線 5331)

100億宣言や補助金の申請についてお悩みでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

100億宣言においては、実現可能性の高い事業計画や適切な数値目標を記載する必要があります。加えて、他社との差別化を図るために、経営者の思いや考えも盛り込まなければいけません。

しかし限られたスペースの中で、説得力があり、かつ魅力のある内容にするにはある程度の専門知識が必要です。

当社・中小企業経営支援事務所は、中小企業診断士として、また中小企業の支援事業者として優れていると国に認められた認定経営革新等支援機関として、多くの中小企業のさまざまな悩みに寄り添っています。

特に中小企業の思いを汲み取り、それを盛り込んだ魅力ある事業計画の策定のお手伝いを得意としているため、100億宣言の内容について少しでも不安がある場合は、ぜひ当社にご相談ください。経験豊富な専門家が、魅力あふれる宣言の策定支援と、ひいては貴社の飛躍的な成長に必要なアドバイスもいたします。

【2025年版】製造業におすすめの補助金・助成金13選|メリットや申請時の注意点も解説

【2025年版】製造業の補助金・助成金13選

製造現場を取り巻く環境は、デジタル化の加速やカーボンニュートラルへの対応など、大きな転換期を迎えています。このような変革期において、製造業を営む中小企業が持続的な成長を実現するためには、積極的な設備投資や技術開発、人材教育が不可欠です。

しかし、中小企業にとってこれらの投資は資金面での大きな負担となります。そこで重要となるのが、国や自治体が提供する各種補助金・助成金の活用です。

補助金・助成金を活用することで、以下のような取り組みを少ない自己負担で実現できます。

  • 最新設備の導入による生産性向上
  • デジタル技術の実装によるDX推進
  • 省エネ設備の導入による環境対策
  • 人材育成や働き方改革の推進

この記事では、製造業におすすめの補助金・助成金を13選紹介します。また、申請時の注意点なども解説していますので、これからの制度利用の一助となりましたら幸いです。

なお、いずれも公式サイトおよび最新の公募要領などをもとにしていますが、2025年2月6日現在の情報となるため、実際に利用するときは、各公式サイトで最新の情報をあらためて確認することをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

製造業におすすめの補助金・助成金13選

製造業におすすめの補助金・助成金13選を紹介します。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)は、革新的な製品・サービスの開発による高付加価値化などを目指す中小企業・小規模事業者を支援する制度です。

本補助金は2025年2月時点までで18回行われており、国が公表した2024年度補正予算案にて19次の概要も公表されました(参照:令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要丨中小企業庁)。ただし、公募開始時期は未定です。

第19次の本補助金の活用には、3~5年の事業計画書の策定が必要で、付加価値額の年平均成長率+3.0%以上の増加などの基本要件を満たす必要があります。

項目内容
名称ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
補助対象者日本国内に本社および補助事業の実施場所を有する中小企業等
主な補助対象要件・付加価値額の年平均成長率+3.0%以上増加
・従業員1人あたりの給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
・事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上
・一般事業主行動計画の公表(従業員21人以上の場合)
主な補助対象事業・革新的な新製品や新サービス開発
・生産プロセスの改善
・高付加価値化事業
補助上限額【製品・サービス高付加価値化枠】
・5人以下:750万円(850万円)
・6~20人:1,000万円(1,250万円)
・21~50人:1,500万円(2,500万円)
・51人以上:2,500万円(3,500万円)
※カッコ内は特例適用時
【グローバル枠】3,000万円(3,100万円~4,000万円)
※カッコ内は特例適用時
補助率【製品・サービス高付加価値化枠】
・中小企業:1/2(2/3)
・小規模事業者・再生事業者:2/3
※カッコ内は特例適用時
【グローバル枠】
・中小企業:1/2(2/3)
・小規模事業者:2/3
※カッコ内は特例適用時
主な補助対象経費・機械装置・システム構築費(必須)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費
活用例・最新設備の導入による国際基準準拠の部品開発
・海外市場に向けての設備導入や新製品開発
公式ページhttps://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html
最新公募スケジュール未公表
最新公募要領未公表
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の概要

本補助金は、下記でも詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

中小企業省力化投資補助金(カタログ型)は、人手不足に悩む中小企業等のIoTやロボット等の省力化設備の導入を支援する制度です。あらかじめカタログに登録された製品の中から選択して導入することで、即効性のある省力化投資を促進します。

本補助金を活用するには、事業計画期間内に労働生産性を年平均3.0%以上向上させる計画を策定・実行する必要があります。また、申請は製品の販売事業者と共同で行わなければいけません。

項目内容
名称中小企業省力化投資補助金
補助対象者日本国内で法人登記され、日本国内で事業を営む中小企業等
主な補助対象要件・導入する省力化製品に紐付けられた業種と中小企業等の営む事業の業種が少なくとも1つ以上合致している
・事業計画に組み込む補助対象に、カタログに登録された価格以内の製品本体価格・導入経費を組み込む
・補助事業の終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる
主な補助対象事業・カタログに登録された省力化製品の導入
・労働生産性の年平均3.0%以上の向上
・導入製品に紐付けられた業種と事業者の業種が合致
補助上限額・5人以下:200万円(300万円)
・6〜20人:500万円(750万円)
・21人以上:1,000万円(1,500万円)
※カッコ内は特例適用時
補助率・1/2
主な補助対象経費・機械装置
・工具や器具
・専用ソフトウェアや情報システム
・設置作業費
・運搬費
・動作確認費用
・マスタ設定などの導入設定費用
活用例・製造ラインへのロボット導入
・IoT機器による生産管理
・自動搬送機による物流効率化
公式ページhttps://shoryokuka.smrj.go.jp/
最新公募スケジュール2024年6月25日から応募・交付申請を随時受付中
最新公募要領https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/application_guidelines.pdf
中小企業省力化投資補助金(カタログ型)の概要

なお、中小企業省力化投資補助金には、カタログ型のほかに、自社の環境に応じてカスタマイズした設備の導入費用を補助する「一般型」もあります。下記もあわせて参考にしてください。

中小企業新事業進出補助金は、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を支援する制度です。既存事業とは異なる新市場への参入や、高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を対象としています。

補助を受けるためには、3〜5年の事業計画期間内に、付加価値額の年平均成長率4.0%以上、給与支給総額の増加、最低賃金の引き上げなどの要件を満たす必要があります。また、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表も求められます。

項目内容
名称中小企業新事業進出補助金
補助対象者企業の成長や拡大を目指して新規事業に挑戦する中小企業等
主な補助対象要件・付加価値額の年平均成長率+4.0%以上増加
・従業員1人あたりの給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率が+2.5%以上増加
・事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表
主な補助対象事業・新市場への進出事業
・高付加価値事業への転換
・既存技術を活用した新分野展開
補助上限額・従業員20人以下:2,500万円(3,000万円)
・従業員21〜50人:4,000万円(5,000万円)
・従業員51〜100人:5,500万円(7,000万円)
・従業員101人以上:7,000万円(9,000万円)
※カッコ内は特例適用時
補助率1/2
主な補助対象経費・建物費
・構築物費
・機械装置
・システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・クラウドサービス利用費
・広告宣伝・販売促進費
活用例・機械加工業から半導体製造装置部品製造への進出
・医療機器製造から蒸留所建設によるウイスキー製造業への進出
公式ページhttps://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/shinjigyo_shinsyutsu.pdf
最新公募スケジュール未公表
最新公募要領未公表
中小企業新事業進出補助金の概要

中小企業新事業進出補助金は2025年2月現在、公募スケジュールが未公表ですが、2025年4月までには公募要領が公開される予定となっているため、同時期に公募が開始されると予想されます。下記でも詳しく解説していますので、よろしければご覧くださいませ。

中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円への飛躍的成長を目指す中小企業の大胆な設備投資を支援する制度です。

特徴的なのは、「売上高100億円を目指す宣言」を行うことが申請の要件となっている点です。この宣言では、企業の現状や目標達成に向けたプロセス、具体的な施策、実施体制、経営者のコミットメントなどを明確にする必要があります。

宣言を行った企業には、専用のロゴマークの使用や経営者ネットワークへの参加など、成長を加速させるための特別なメニューが用意されています。また、地域や業種を超えた経営者同士の交流機会も提供され、相互に刺激し合える環境が整備されています。

項目内容
名称中小企業成長加速化補助金
補助対象者売上高100億円を目指す中小企業
主な補助対象要件・投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く)
・「売上高100億円を目指す宣言」を行う
・一定の賃上げ要件を満たす
主な補助対象事業・製造拠点の新設・増築
・イノベーションにつながる設備導入
・革新的な生産性向上に寄与する自動化のための設備投資
補助上限額5億円
補助率1/2
主な補助対象経費・建物費
・機械装置等費
・ソフトウェア費
・外注費
・専門家経費
活用例・大規模な工場の新設
・生産ラインの全面的な自動化
・物流施設の大規模な拡張
・最新鋭の製造設備の導入
公式ページhttps://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/seicho_kasokuka.pdf
最新公募スケジュール2025年3月に第1回公募要領が公開予定
最新公募要領
中小企業成長加速化補助金の概要

中小企業成長加速化補助金については、下記でも詳しく解説しています。

事業承継・M&A補助金

事業承継・M&A補助金は、中小企業の事業承継やM&Aに関連する費用を支援する制度です。本補助金には4つの支援枠があり、事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠に分かれています。

事業承継促進枠では、5年以内の親族内承継や従業員承継を予定している企業の設備投資等を支援。専門家活用枠では、M&A時にかかる仲介費用や表面保証保険料などをカバーします。PMI推進枠は、M&A後の経営統合に必要な専門家費用や設備投資を支援し、廃業・再チャレンジ枠では事業承継やM&Aに伴う廃業などにかかる費用を補助します。

項目内容
名称事業承継・M&A補助金
補助対象者生産性向上や持続的な賃上げを目指して、事業承継やM&Aを行う中小企業等
主な補助対象要件【事業承継促進枠】
5年以内に親族内承継、または従業員承継を予定している者
【専門家活用枠】
補助事業期間に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける者
【PMI推進枠】
中小企業等にかかるPMI(経営統合)の取り組みを行う者
【廃業・再チャレンジ枠】
事業承継やM&Aの検討・実施等に伴って廃業などを行う者
主な補助対象事業・親族内承継、従業員承継の実施
・M&Aの実施とPMI
・事業承継やM&Aに伴う廃業
補助上限額【事業承継促進枠】
800~1,000万円
【専門家活用枠】
買い手支援類型:600~800万円(一部例外あり)
売り手支援類型:600~800万円
【PMI推進枠】
PMI専門家活用類型:150万円
事業統合投資類型:800~1,000万円
【廃業・再チャレンジ枠】
150万円
補助率1/3~2/3
補助対象経費・設備費、産業財産権等関連経費
・専門家費用(FA・仲介費用等)
・廃業支援費、原状回復費
・システム利用料、保険料
活用例・後継者による新規設備導入
・M&A実施時の専門家費用支払い
・事業統合に伴うシステム統合
・廃業に伴う原状回復工事
公式ページhttps://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_m_and_a.pdf
最新公募スケジュール未公表
最新公募要領
事業承継・M&A補助金の概要

事業承継・M&A補助金の詳細ついては、下記でも解説しています。

大規模成長投資補助金

大規模成長投資補助金は、地域の雇用を支える中堅・中小企業が、さまざまな課題への対応と成長を目指して行う大規模投資を促進するための支援制度です。その名の通り10億円以上の投資が要件のひとつであり、そうした投資に対して最大50億円の補助が行われます。

本補助金は、2025年2月現在2次公募まで行われており、2025年2~3月には3次公募が開始される予定です(参照:3次公募のスケジュールについて丨中堅・中小成長投資補助金)。

以下は、これまでの公募要領をもとにした概要です。

項目内容
名称大規模成長投資補助金
補助対象者中堅・中小企業(常時使用する従業員数が2,000人以下の会社など)
主な補助対象要件【一般枠】
・投資額10億円以上
・従業員1人あたりの給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
【特別枠】
・一定期間中に補助事業の完了が見込まれる
主な補助対象事業・人手不足などの課題に対応する大規模投資事業
・賃上げを伴う生産性向上事業
・地域経済への波及効果が期待できる事業
補助上限額50億円
補助率1/3以内
主な補助対象経費・建物費
・機械装置費
・ソフトウェア費
・外注費・専門家経費
活用例・工場の新設や生産ラインの大規模増設
・最新かつ高額な自動化
・省力化設備の導入
・大規模なDX投資による生産性向上
公式ページhttps://seichotoushi-hojo.jp/
最新公募スケジュール2025年2~3月に3次公募が開始予定
最新公募要領未公表
大規模成長投資補助金の概要

本補助金申請では成長投資計画書の作成が求められており、第3次公募も同様と予想されます。成長投資計画書作成のポイントについては、下記で詳しく解説していますので、ぜひご参照いただけますと幸いです。

IT導入補助金(通常枠)

IT導入補助金(通常枠)は、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を目指して、各社の課題やニーズに合わせたITツール(ソフトウェア、サービスなど)の導入費用の一部を補助する制度です。

本補助金には業務プロセスという独自の区分があり、申請するときは当該のITツールが「1種類以上の業務プロセスを保有」していることが求められます。業務プロセスには「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収管理」「供給・在庫・物流」「会計・財務・経営」「総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務」という5つの共通プロセスに加え、業種特化型プロセスがあります。単体では申請不可となっている汎用プロセスと呼ばれる区分もあるため注意が必要です。

また、あらかじめ登録されているIT導入支援事業者と一緒に申請手続きを進める必要もあります。

項目内容
名称IT導入補助金(通常枠)
補助対象者生産性向上に資するITツールの導入を検討している中小企業・小規模事業者等
主な補助対象要件・1年後に労働生産性を3%以上向上
・事業計画期間において労働生産性を年平均成長率3%以上向上
・労働生産性向上に向けた計画に実現性・合理性がある
主な補助対象事業・業務効率化のためのITツール導入
・DX推進に向けたシステム構築
・デジタル化による生産性向上
補助上限額・1プロセス以上:5万円以上150万円未満
・4プロセス以上:150万円以上450万円以下
補助率1/2(2/3)
※カッコ内は特例適用時
主な補助対象経費・ソフトウェア購入費
・クラウド利用料(最大2年分)
・導入関連費用
・保守サポート費
活用例・販売管理システムの導入
・会計ソフトの刷新
・在庫管理システムのクラウド化
・顧客管理システムの導入
公式ページhttps://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/
最新公募スケジュール2025年3月31日に1次公募が開始予定
最新公募要領
IT導入補助金(通常枠)の特徴

事業再構築補助金は、ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために、新分野展開や業態転換などの事業再構築を行う中小企業等を支援する補助金です。

本補助金には、「成長分野進出枠(通常類型・GX進出類型)」「コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」という事業類型と、「卒業促進上乗せ措置」「中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」という上乗せ措置があります。

申請には、事業再構築指針に示される要件を満たすことと、金融機関等または認定経営革新等支援機関による事業計画の確認が必要です。また、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率を3.0~4.0%以上増加させる計画を策定することも求められます。

項目内容
名称事業再構築補助金
補助対象者日本国内に本社を有する中小企業者等および中堅企業等
主な補助対象要件・事業再構築指針の要件を満たす
・金融機関等または認定経営革新等支援機関から事業計画書の確認を受けている
・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~4.0%増加させる、または従業員1人あたり付加価値額を年平均成長率3.0~4.0%以上増加させる
主な補助対象事業・新分野展開、業態転換
・事業転換、業種転換
・事業再編
補助上限額【成長分野進出枠(通常類型)】
100万円~7,000万円
【成長分野進出枠(GX進出類型)】
100万円~1億円
【コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)】
100万円~1,500万円
【卒業促進上乗せ措置】
各事業類型の補助金上限に準じる
【中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置】
100万円~3,000万円
補助率・中小企業者等:1/2~3/4
・中堅企業等:1/3~2/3
主な補助対象経費・建物費
・機械装置
・システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・広告宣伝・販売促進費
活用例・金属加工業から医療機器部品製造への進出
・自動車部品メーカーが航空機部品製造に参入
・工作機械メーカーが半導体製造装置の製造を開始
公式ページhttps://jigyou-saikouchiku.go.jp/
最新公募スケジュール第13回公募:2025年1月10日~2025年3月26日18時
最新公募要領https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf
事業再構築補助金の特徴

本補助金の第13回公募の詳細は、下記でも紹介しています。

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資を行い、事業場内の最低賃金(事業場内で最も低い時間給)の引き上げを取り組むときに活用できる制度です。

本助成金については2025年度の情報が公表されていませんが、2025年度の概算要求額として22億円が計上されており、2025年度も制度が継続される可能性が高いと考えられます(参照:人材確保等支援助成金 業務改善助成金丨厚生労働省)。

本助成金の特徴としては、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内の事業場を対象としており、賃金引き上げ幅と労働者数に応じて助成上限額が設定されていることが挙げられます。

項目内容
名称業務改善助成金
助成対象者事業場内最低賃金(事業場内で最も低い時間給)の引き上げに取り組む中小企業・小規模事業者
主な助成対象要件・生産性向上に資する設備投資による業務改善を実施
・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内
主な助成対象事業・業務改善による生産性向上のための設備投資
・事業場内最低賃金の引き上げ
助成上限額【最低賃金引き上げ額30円以上】
30万円~130万円
【最低賃金引き上げ額45円以上】
45万円~180万円
【最低賃金引き上げ額60円以上】
60万円~300万円
【最低賃金引き上げ額90円以上】
90万円~600万円
助成率・1,000円未満の場合:4/5
・1,000円以上の場合:3/4
主な助成対象経費生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等
活用例・製造ライン自動化設備の導入
・作業効率化のための特殊車両の導入
・在庫管理システムの導入
公式ページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
最新公募スケジュール未公表
最新公募要領未公表
業務改善助成金の概要

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員転換や処遇改善などに取り組む事業主を支援する制度です。

本助成金も2025年度の情報は未公表ですが、2025年度の概算要求額として962億円が計上されており、制度の継続が見込まれます(参照:令和7年度概算要求の概要〈雇用環境・均等局〉丨厚生労働省)。

本助成金は、「正社員化コース」「障害者正社員化コース」「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「社会保険適用時処遇改善コース」など、複数のコースが用意されています。特に製造業では、有期雇用労働者の正社員転換による人材の定着化や、処遇改善による従業員のモチベーション向上に活用されています。

項目内容
名称キャリアアップ助成金
助成対象者従業員のキャリアアップの促進を目指す事業主
主な助成対象要件・雇用保険適用事業主である
・キャリアアップ管理者を配置している
・キャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けている
主な助成対象事業【正社員化コース】
正社員転換後6ヶ月間の賃金が、正社員転換前6ヶ月間の賃金と比較して3%以上増額
【障害者正社員化コース】
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者などに転換
【賃金規定等改定コース】
有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定を3%以上増額改定し、その規定を適用
【賃金規定等共通化コース】
有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定などを新たに規定・適用
【賞与・退職金制度導入コース】
有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し、支給または積み立てを実施
【社会保険適用時処遇改善コース】
短時間労働者を新たに社会保険に適用した際に、手当の支給、賃上げ、労働時間の延長などを実施
助成上限額【正社員化コース】
有期→正規:1人あたり80万円
無期→正規:1人あたり40万円
【障害者正社員化コース】
有期→正規:1人あたり90万円
有期→無期:1人あたり45万円
無期→正規:1人あたり45万円
【賃金規定等改定コース】
3%以上4%未満:1人あたり4万円
4%以上5%未満:1人あたり5万円
5%以上6%未満:1人あたり6.5万円
6%以上:1人あたり7万円
【賃金規定等共通化コース】
1事業所あたり60万円
【賞与・退職金制度導入コース】
1事業所あたり40万円
【社会保険適用時処遇改善コース】
手当等支給メニュー:50万円
労働時間延長メニュー:30万円
助成率
主な助成対象経費・正社員転換後の賃金増額分
・就業規則等の改定費用
・制度導入に係る費用
活用例・契約社員の正社員登用
・パートタイム労働者の処遇改善
・退職金制度の新規導入
・賃金テーブルの改定
公式ページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
最新公募スケジュール未公表
最新公募要領未公表
キャリアアップ助成金の概要

人材開発支援助成金は、企業の人材育成を支援する制度で、従業員のスキルアップや職業能力開発を促進することを目的としています。

本助成金についても2025年度は概算要求額として623億円が計上されているため、2025年度も活用できる可能性が高いでしょう(参照:令和7年度概算要求の概要 令和6年8月人材開発統括官丨厚生労働省)。

本助成金には、「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」などの複数のコースがあります。特に製造業では、技術革新への対応や生産性向上に向けた従業員教育、デジタル人材の育成などに活用されています。

項目内容
名称人材開発支援助成金
助成対象者従業員に専門的な知識を習得させるための職業訓練などを行う事業主
主な助成対象要件・職業能力開発推進者を選任している
・事業内職業能力開発計画を作成している
・労働者のキャリア形成を効果的に促進する計画がある
主な助成対象事業【人材育成支援コース】
・OFF-JT訓練
・OFF-JTとOJTの組み合わせ訓練
【教育訓練休暇等付与コース】
・有給教育訓練休暇制度
【人への投資促進コース】
・高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
・OFF-JTとOJTの組み合わせ訓練
・定額制訓練
・長期教育訓練休暇制度/教育訓練短時間勤務制度および所定外労働免除制度
【事業展開等リスキリング支援コース】
事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識や技能を習得させるための訓練
助成上限額対象訓練、助成内容によって異なる
助成率対象訓練、助成内容によって異なる
助成対象経費・外部講師謝金・手当
・施設・設備の借上費
・教材費、受講料
・訓練期間中の賃金
活用例・新入社員研修プログラムの実施
・技能検定の受験対策講座
・DX推進のための専門研修
・海外展開に向けた語学研修
公式ページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
最新公募スケジュール未公表
最新公募要領未公表
人材開発支援助成金の概要

成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)は、ものづくり基盤技術やサービスの高度化を目指して、中小企業等と大学・公設試験研究機関が連携して行う研究開発を支援する制度です。2025年度は、「通常枠」と「出資獲得枠」の2つの枠が設けられ、通常枠では最大で9,750万円、出資獲得枠では最大で3億円以下の補助が予定されています。

本事業活用あたっては、中小企業者等を中心とした共同体を構成しなければいけません。また、また、申請はe-Rad(府省共通研究開発管理システム)を通じて行う必要があります。

項目内容
名称成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
補助対象者中小企業者等を中心とした共同体
主な補助対象要件・大学・公設試等との連携がある
・e-Radへの登録が完了している
主な補助対象事業中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針」を踏まえた研究開発等
補助上限額【通常枠】
単年度あたり4,500万円以下
2年間合計で7,500万円以下
3年間合計で9,750万円以下
【出資獲得枠】
単年度あたり1億円以下
2年間合計で2億円以下
3年間合計で3億円以下
ただし、ファンドなどが出資を予定している金額の2倍が上限
補助率・中小企業者等:2/3以内
・大学・公設試等:定額(条件により2/3)
主な補助対象経費・研究開発費
・設備導入費
活用例・精密加工における微細化
・精密化に向けた新技術開発
・IoTやAIを活用したスマート製造ラインの構築研究
・新素材を活用した軽量化・高強度化技術の開発
公式ページhttps://www.chusho.meti.go.jp/support/innovation/2025/250109kobo.html
最新公募スケジュール2025年2月中旬~2025年4月中旬(予定)
最新公募要領未公表
成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)の概要

脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)は、2050年カーボンニュートラルの実現と2030年度削減目標の達成に向けて、工場・事業場のCO2排出削減を目指す取り組みを支援する制度です。環境省が公表している概要資料によれば、2025年度予算案は27億8,600万円となっています。

本事業では、中小企業等向けに、「省CO2型システムへの改修支援事業」と「DX型CO2削減対策実行支援事業」が提供されています。下表では、これら2つの事業の概要をまとめています。

項目内容
名称脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)
補助対象者CO2排出量の少ないシステムに改修を行う事業主
補助対象要件【省CO2型システムへの改修支援事業】
CO2排出量を大幅に削減する電化・燃料転換・熱回収などに取り組み、CO2排出量を工場・事業場単位で15%以上、または主要なシステム系統で30%以上削減する設備導入などを実施
【DX型CO2削減対策実行支援事業】
DXシステムを用いた即効性のある省CO2化や、運転管理データに基づく効果的な改修設計などのモデル的な取り組みを実施
補助対象事業・省CO2型システムへの改修
・データ活用による設備稼働の現状や課題の見える化
補助上限額【省CO2型システムへの改修支援事業】
1億円または5億円
【DX型CO2削減対策実行支援事業】
200万円
補助率【省CO2型システムへの改修支援事業】
1/3
【DX型CO2削減対策実行支援事業】
3/4
補助対象経費・設備費(機械装置、工事費等)
・システム構築費
・DX関連機器導入費
・設計費、監理費
活用例・生産設備の電化・省エネ化
・熱回収システムの導入
・DXによる運用最適化
・燃料転換に伴う設備更新
公式ページhttps://shift.env.go.jp/
最新公募スケジュール未公表
最新公募要領未公表
脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)の概要

製造業が補助金・助成金を活用するメリット

製造業が補助金や助成金を活用するメリットは多くあります。特に大きいのが次の4点です。

補助金・助成金を活用すると、設備投資や人材育成などを少ない自己負担で実施することが可能になります。それによって業務効率化や売上増加、ひいては生産性向上が期待できます。

例えば「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」では、生産プロセス改善に必要な設備投資等を支援しています。また「IT導入補助金」は、業務効率化につながるITツール導入を支援するものです。

補助金の中には、単に資金を提供するだけでなく、事業計画策定支援や専門家派遣などの支援策も提供している場合があります。自社の課題と照らし合わせながら適切に補助金の種類、枠組みを選択すれば、より効果的な生産性向上につながるでしょう。

目まぐるしい技術革新に伴い、顧客のニーズが多様かつ流動的に変化している現代においては、従来の業務フローや考え方では対応することが困難であり、持続的な経営を実現するにはデジタル技術を用いた抜本的な変革が必要です。製造業も例外ではなく、最新のITツールやシステムを導入し、積極的にDXを推進していかなければいけません。

現在展開されている補助金・助成金には、革新的な製品・サービスの開発や、デジタル技術に関する知識を持つ人材の育成を支援するものも多くあります。自社のDX化を加速させ、競争優位性を築くために、補助金・助成金の活用をぜひ検討してもらえたらと思います。

補助金・助成金は、製造業における雇用の安定化にも貢献します。

例えば、人材確保等支援助成金では、従業員の雇用維持や新規雇用創出に資する支援が充実しています。キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金などは、従業員のモチベーションや定着率の向上につながるスキルアップの支援が展開されています。

補助金・助成金の活用は、従業員の雇用を守り、企業の持続的な成長を促進させる大きなメリットです。

補助金・助成金の活用メリットとして、企業イメージが向上する点も挙げられます。

補助金・助成金の中には、環境問題の解決や地域経済の活性化といった社会貢献度の高い事業に活用できるものがあります。これらの補助金・助成金に採択されるということは、事業計画がしっかりしており実現可能性が高いと同時に、環境問題解決に寄与するなど社会的に意義のある事業であると外部機関に認められたことを意味します。

また、補助金・助成金の交付には審査があり、そこでは事業計画の妥当性だけでなく、財務状況の健全性も評価されます。採択されたということは、財務状況が健全であると認められたという証明になります。

このように、補助金・助成金の活用は、企業イメージの向上に直結するメリットがあります。

企業イメージの向上は、顧客や取引先、投資家などのステークホルダーからの信頼度を上げるのに欠かせないものです。補助金・助成金を活用して自社の魅力を積極的にアピールしましょう。

製造業が補助金・助成金を活用するときの注意点

補助金・助成金を活用するときは、さまざまなルールを守る必要があります。

申請前に特に注意したいのが対象要件です。対象要件に当てはまらない場合、どんなに優れた計画を策定しても採択されることはないため、必ず先に確認するようにしましょう。このとき公募スケジュールも確認しておくことをおすすめします。

また、申請書類が通ったあとも守らなければならないルールが設けられています。補助金であれば、補助事業の実施期間を守り、計画通りに遂行することが求められます。このほか、経費支出関係書類を一定期間保管すること、決められた期間内に報告書を提出することなども義務として課せられるのが一般的です。

補助金・助成金における注意点は、当然ながらそれぞれによって異なりますので、公式ページや公募要領をしっかり読み込むことをおすすめします。

補助金・助成金の活用を検討していたら中小企業経営支援事務所までご相談ください

補助金・助成金の申請は、要件の確認や書類作成、実績報告など複雑な手続きが必要です。製造業の場合は、設備投資に関する専門知識も求められるため、独力での申請は難しいことがしばしばあります。

当社・中小企業経営支援事務所では、補助金・助成金申請のエキスパートとして、多くの製造業の支援実績があります。具体的には、申請要件の確認から書類作成、実績報告までをトータルでサポート。特に各申請において必須の計画書については、審査員の視点を意識した説得力のある内容となるよう、懇切丁寧に作成のアドバイスをしています。貴社の事業発展に向けた最適な補助金・助成金の選定もお手伝いすることが可能です。

初回相談は無料で承っておりますので、補助金・助成金の活用を検討中でしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

中小企業省力化投資補助金(一般型)とは?補助要件や補助対象、採択率アップのコツまで徹底解説

中小企業省力化投資補助金(一般型)の概要

深刻な人手不足に悩む日本の中小企業にとって、業務効率化・省力化は喫緊の課題です。しかし、新たな機械装置やシステムの構築、技術の導入を行うにはある程度のまとまった費用がかかります。課題を早く解決したいと思っていても、なかなか一歩を踏み出せない事業者も多いのではないでしょうか。

中小企業省力化投資補助金(一般型)とは、そうした悩みを抱える中小企業等を支援する頼もしい制度です。省力化のためにオーダーメイドの機械設備を導入するなどの事業にかかる費用を、最大1億円まで補助してくれます。

この記事では、中小企業省力化投資補助金(一般型)について、補助要件や補助対象、採択率アップのコツまで徹底解説します。これから設備投資を検討されている事業者の少しでも参考になれば幸いです。

なお、本記事は令和7年1月30日更新の公募要領にもとづいています。申請時は中小企業省力化投資補助金(一般型)の専用ページで最新情報の確認をお願いします。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

中小企業省力化投資補助金(一般型)とは

中小企業省力化投資補助金(一般型)とは、IoT・ロボットなど、省力化に効果がある設備導入などを行う事業にかかる費用の一部を補助する制度です。本補助金を通して、中小企業等の付加価値額や生産性の向上、賃上げの実現が目指されています。

なお、本補助金は、3月上旬申請様式が公開され、3月中旬に申請受付が開始される予定となっています。申請締切は3月下旬予定です。

中小企業省力化投資補助金は、令和7年から一般型とカタログ注文型の2つの枠組みで展開されます。

一般型は、事業者が自社の環境に合わせてカスタマイズした設備を導入したり、複数の設備を組み合わせたりするような、より高度な省力化投資を支援します。オーダーメイド型とも呼ばれています。

一方、カタログ注文型は、あらかじめカタログに登録された製品を導入するときの支援を目的としています。

両者については、補助上限額にも違いがあります。従業員5人以下の場合、一般型は750万円(特例適用なし)に対し、カタログ注文型は200万円(特例適用なし)です。

なお、これらについては併用申請できません。申請を検討する際は、まずカタログ注文型の製品カタログを確認し、該当する製品がない場合やより高度な省力化を目指す場合には一般型の利用を検討することが推奨されています。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象事業

中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象となるのは、以下の基本要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定する事業です。

項目要件
労働生産性の向上補助事業終了後5年間で毎年、 申請時と比較して年平均成長率4.0%以上向上
給与支給の増加
(いずれか達成)
1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、もしくは給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上増加
最低賃金の引き上げ事業場内最低賃金を事業計画期間中、毎年事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準とする
※最低賃金引き上げ特例適用事業者以外
一般事業主行動計画の公表交付申請時までに、次世代育成支援対策推進法に基づく計画を「両立支援のひろば」で公表※従業員21名以上の場合のみ
中小企業省力化投資補助金(一般型)の基本要件

なお、これらの要件を満たさない場合は、補助金の返還を求められる可能性があるため注意しましょう。ただし、天災などの事業者の責めに帰さない理由のときは返還が免除される場合があります。

また、以下のような事業は補助対象外となります。

  • 公序良俗に反する事業
  • 他の補助金との重複がある事業
  • 事業の主たる課題解決を外注・委託する事業
  • 設備を第三者に長期間賃貸する事業
  • 解雇により労働生産性などの要件を満たそうとする事業
  • 風俗営業関連事業(一部除外あり)

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象者

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象者は、日本国内に本社および補助事業の実施場所を有しており、かつ以下のいずれかの事業者が対象となります。

①中小企業者(組合関連以外)
中小企業者(組合関連以外)とは、資本金または従業員数が、次の基準以下となる会社・個人事業主を指します。

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業、または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
そのほかの業種3億円300人
中小企業者(組合関連以外)の基準

②中小企業者(組合関連)
中小企業者(組合関連)とは、企業組合、協業組合、事業協同組合、商工組合、商店街振興組合など、特定の組合関連に該当する事業者を指します。該当しない場合や、財団法人、社団法人、医療法人、法人格のない任意団体は補助対象外です。

③小規模企業者・小規模事業者
小規模企業者・小規模事業者とは、従業員数が次の基準以下の会社または個人事業主を指します。

業種常勤従業員数
製造業その他20人
商業、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人
宿泊業、娯楽業20人
小規模企業者・小規模事業者の基準

④特定事業者の一部
特定事業者とは、上記の中業企業者の条件には当てはまらないものの、中小企業等経営強化法規定の要件を満たした事業者のことです。本補助金では、その一部も対象となります。具体的には以下のとおりです。

(1)従業員数が常勤従業員数が一定の基準以下となる会社または個人であり、資本金の額または出資の総額が10億円未満である事業者

業種常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業500人
卸売業400人
サービス業または小売業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)300人
そのほかの業種(上記以外)500人
特定事業者の一部と認められるための基準

(2)生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会のうち、直接または間接の構成員の2/3以上が、常時300人(卸売業を主たる事業とする事業者は400人)以下の従業員を使用し、かつ資本金の額または出資の総額が10億円未満であるもの

(3)酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会のうち、直接または間接の構成員の2/3以上が、常時500人(酒類卸売業者は400人)以下の従業員を使用し、かつ資本金の額または出資の総額が10億円未満であるもの

(4)内航海運組合、内航海運組合連合会のうち、直接または間接の構成員たる内航海運事業を営む者の の2/3以上が常時 500人以下の従業員を使用し、かつ資本金の額または出資の総額が10億円未満であるもの

(5)技術研究組合のうち、直接または間接の構成員の2/3以上が(1)、もしくは企業組合または協業組合であるもの

⑤特定非営利活動法人(NPO法人)
以下の要件をすべて満たすNPO法人も、本補助金の対象となります。

  • 中小企業の振興・発展に直結する活動を行っている
  • 従業員数が300人以下である
  • 法人税法上の収益事業を行っている
  • 認定特定非営利活動法人でない
  • 交付申請時までに経営力向上計画の認定を受けている

⑥社会福祉法人
社会福祉法人の場合、以下の要件を満たせば対象となります。

  • 所管庁の認可を受けて設立されてい
  • 従業員数が300人以下である
  • 収益事業の範囲内で補助事業を行う

本補助金は、①~⑥のいずれかに当てはまっていないと受け取ることができません。また、以下のような事業者も対象外です。

  • 当該公募の応募締切日を起点にして18ヶ月以内に本事業の交付決定を受けており、かつ本事業の実績報告書を提出していない事業者
  • みなし大企業(大企業が実質的に経営に参加している中小企業)
  • 暴力団関係者
  • 過去に本補助金の不正受給や虚偽申告を行った事業者
  • 過去に「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」または「事業再構築促進補助金」の交付決定を受け、補助事業が完了していない事業者
  • 過去3年間に2回以上、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」または「事業再構築促進補助金」の交付決定を受けている事業者

このほか、虚偽の申請をした事業者、別の事業者と酷似した事業を行う事業者、資本金や従業員数などを本補助金受け取りのために故意に操作した事業者なども対象外となります。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助上限額・補助率

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助上限額は以下の通りです。大幅賃上げに取り組む事業者は、「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例」の対象となり、上限額が引き上げられます。

従業員数通常の上限額大幅賃上げ時の上限額
5人以下750万円1,000万円
6~20人1,500万円2,000万円
21~50人3,000万円4,000万円
51~100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助上限額

なお、機械装置・システム構築費以外の経費については、補助上限額が総額で500万円(税抜)となります。

補助率は事業者区分と補助金額に応じて以下のように定められています。最低賃金引き上げに取り組む中小企業は、「最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例」の対象となり、1,500万円までの部分について2/3に引き上げられます。

事業者区分1,500万円まで1,500万円超
中小企業1/2(最低賃金引き上げ時2/3)1/3
小規模事業者・再生事業者2/31/3
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助率

大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例とは、大幅な賃上げに取り組む場合に対象となる特例です。本特例が適用されると、通常の補助上限額から従業員規模に応じて250万円~2,000万円の引き上げを受けられます。

要件詳細
給与支給総額の増加基本要件の2.0%以上に加え、さらに4.0%以上(合計で年平均成長率6.0%以上)増加させること
最低賃金の上乗せ事業場内最低賃金を事業実施都道府県の最低賃金+50円以上の水準とすること
事業計画の提出上記2項目の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画を提出すること
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例の基本要件

なお、「給与支給総額の増加」「最低賃金の上乗せ」以下のいずれか一方でも未達の場合、引き上げ額分の返還が求められます。

最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例は、最低賃金引き上げに取り組む中小企業のために設けられた特例です。本特例が適用されると、補助率が通常の1/2から2/3に引き上げられます(補助金額1,500万円までの部分)。

基本要件内容
対象期間2023年10月から2024年9月までの間
雇用条件3か月以上、地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上であること
最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例の基本要件

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象経費

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象となる経費は、本事業の対象として明確に区分でき、その必要性と金額の妥当性を証拠書類で明確に確認できる以下の経費です。

なお、対象経費は交付決定日以降の発注で、補助事業実施期間内に支払完了したものに限ります。

経費区分内容補足
機械装置・システム構築費(必須)①機械装置、工具や器具の購入、製作、借用にかかる費用②専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築、借用の費用
③改良または据え付けの費用
必ず1つ以上、50万円(税抜)以上の設備投資が必須
運搬費運搬料、宅配・郵送料などにかかる費用
技術導入費知的財産権などの導入にかかる費用補助対象経費総額の1/3以内
知的財産権等関連経費知的財産権の取得に際する弁理士の手続代行などにかかる費用補助対象経費総額の1/3以内
外注費加工や設計、検査などの一部を外注するときにかかる費用補助対象経費総額の1/2以内
専門家経費本事業遂行のために依頼した専門家への支払費用補助対象経費総額の1/2以内
クラウドサービス利用費クラウドサービスの利用に関する費用
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助対象経費一覧

なお、機械装置・システム構築費以外の経費については、補助上限額が総額で500万円(税抜)と決められています。

また、補助対象経費は事業に要する経費(税込)の2/3以上である必要があります。

経費の確認については、原則として銀行振込の実績で行います。クレジットカード払いについては、一部の経費を除き原則として認められません。

このほか、以下のような費用は補助対象外となります。

  • 工場建屋、構築物などの取得費用
  • 設置場所の整備工事や基礎工事費用
  • 消耗品、事務用品などの経費
  • 中古品購入費
  • 人件費
  • 公租公課
  • 振込手数料
  • 各種保険料
  • 借入金の支払利息や遅延損害金

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助事業実施期間

中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助事業実施期間は、交付決定日から18ヶ月以内です。ただし、補助金交付候補者の採択発表日から20ヶ月後の日までとなります。

本補助金に採択された場合は、同期間内に事業の手続きをすべて終わらせた上で、実績報告書を提出する必要があります。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請から補助金受け取り後までの大まかな流れ

中小企業省力化投資補助金(一般型)の大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 事前準備
    まず、GビズIDプライムアカウントを取得します。アカウント発行には一定期間を要するため、早めの準備が推奨されます。
  2. 公募開始・申請受付開始
    令和7年3月中旬頃に公募開始後、電子申請システムのjGrantsから、事業計画書などの必要書類を提出して申請します。
  3. 審査
    提出された申請内容について、外部有識者による審査委員会で書面審査や口頭審査が行われます。
  4. 補助金交付候補者決定
    審査を通過した事業者が補助金交付候補者として採択されます。
  5. 交付申請・決定
    採択されたら交付申請を行い、交付決定を受けます。
  6. 補助事業実施期間
    交付決定を受けたら補助事業をスタートさせます。補助事業は、交付決定日から18ヶ月以内に事業を完了する必要があります。
  7. 確定検査
    事業完了後、支出内容や証憑類の確認が行われます。
  8. 補助金請求
    確定検査後、補助金の請求手続きを行います。
  9. 補助金支払い
    適切に事業が実施されたことが確認されれば補助金が支払われます。
  10. 効果報告
    補助事業完了後5年間、毎年4月に事業効果の報告が必要です。労働生産性や賃金水準等の目標達成状況を報告します。

本補助金は準備から効果報告まで長期にわたるプロセスとなるため、計画的な事業実施が求められます。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請に必要な書類

中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請には、事業計画書をはじめさまざまな書類が必要です。申請様式については、令和7年3月上旬に中小企業省力化投資補助金(一般型)の専用Webページに公表される予定となっています。公表されたら本記事でも紹介します。

中小企業省力化投資補助金(一般型)のスケジュール

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、令和7年3月中旬頃に申請受付開始、同年3月下旬申請締切予定です。

中小企業省力化投資補助金(一般型)で事業者に発生する義務

中小企業省力化投資補助金(一般型)では、申請する事業者に対して以下のような義務を課すとしています。これらの義務に違反した場合、補助金の返還や事業者名の公表などのペナルティが科される可能性があるため、計画的かつ適切な事業実施と報告が求められます。

本補助金に採択された事業者は、事務局が実施する説明会に必ず参加する必要があります。不参加の場合は、説明会最終開催日をもって採択が無効となります。

単価50万円(税抜)以上の機械等の財産、または効用が増加した財産を、処分制限期間内に処分(売却、廃棄など)するときは事前承認が必要です。処分する場合は、残存簿価相当額または時価で補助金を返還する必要もあります。

本補助金に採択された事業者は、補助金等適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)に違反する行為をしてはいけません。

事業内容や経費配分の変更、事業の中止・廃止には事前承認が必要です。

本補助金に採択された事業者は、補助事業を完了した上で、事業完了後30日以内または期限日のいずれか早い日までに実績報告書を提出する必要があります。

また、事業完了年度から5年間、毎年度終了後60日以内に効果報告を行うとともに、賃金台帳を提出して事業場内最低賃金の確認への協力しなければいけません。

本補助金に採択された事業者は、収支の証拠書類を事業完了年度から5年間保存しなければいけません。

本補助金では、事務局が本事業の遂行や収支の状況について確認するために、必要書類の提出を求めたり、抜き打ちで実地検査をしたりすることがあります。これらに協力をするのも本補助金に採択された事業者の義務です。

事業計画期間中は、導入設備に対して損害保険など(自然災害含む補償で付保割合50%以上)への加入が必須です。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択率を上げるコツ

中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択率を上げるには、以下の点に留意するとよいでしょう。

本補助金の公募要領には、事業計画書作成における重要なポイントが記載されています。これらをおさえておくことが、採択への第一歩です。

記載項目主な記載内容ポイント
補助事業の具体的取り組み内容・自社の取り組み経緯と必要性
・工程ごとの開発内容
・機械装置等の詳細
・機械装置の取得時期などのスケジュール
・他社との差別化点
・省力化の具体的な実現方法
・会社全体の事業計画と整合性を取る
・省力化された労働力の活用方法を明確にする
将来の展望・省力化による具体的な成果
・自社にとっての付加価値
・図表や写真を用いてわかりやすく説明する
会社全体の事業計画・労働生産性
・給与支給総額
・省力化指数
・投資回収期間
・付加価値額
・オーダーメイド性
・すべての数値に算出根拠を示す
・毎年の効果報告で達成状況を確認する
中小企業省力化投資補助金(一般型)における事業計画書の記載項目とポイント

特に重要なのは、補助事業の具体的取り組み内容です。ここでは、機械装置等の導入により、どのように省力化を実現し、その効果を会社全体にどう波及させていくのかを具体的に示す必要があります。

また、将来の展望では省力化によって生まれる付加価値を明確にし、会社全体の事業計画では各種指標の算出根拠を示しながら、具体的な数値目標を設定することが求められます。

これらの項目について、具体的かつ詳細な記述を心がけ、必要に応じて図表や写真を活用すると、より説得力のある事業計画書を作成できます。

なお、設定した数値目標は補助事業終了後も毎年の効果報告で達成状況が確認されるため、実現可能性の高い計画を立てることが重要です。

本事業では、書面審査、および場合によっては口頭審査が行われます。それぞれの観点や留意点をおさえることも、採択率をアップさせる上では重要です。

書面審査の審査項目と加点項目

書面審査では、主に以下の5つの評価項目と加点項目が見られます。

評価項目主な評価内容
補助対象事業としての適格性・公募要領の要件は満たしているか
・3~5年計画で労働生産性の年平均成長率は4.0%以上増加する取り組みか
技術面での評価・省力化指数は高いか、その根拠は妥当か
・投資回収期間は短いか、その根拠は妥当か
・付加価値額の成長率が大きい案件か、その根拠は妥当か
・デジタル技術を活用した専用設備などの導入を行う事業計画であるか
計画面での評価・実施体制や財務状況から、事業遂行能力があると判断できるか。十分な資金調達が見込めるか
・結果までの遂行方法やスケジュールに妥当性はあるか
政策面での評価・地域経済の成長を牽引する事業か
・複数事業者と連携して高い生産性向上につながるか
・経営資源の有効活用が期待できる内容か
・日本のイノベーションに貢献する取り組みか
大幅賃上げ計画の妥当性(特例申請時のみ)・賃上げ計画は具体的かつ妥当か
・継続的に利益を人件費に充てているか。また人件費だけでなく設備投資にも適切に充てているか・企業成長のために適切な人材育成に取り組んでいるか
・体制面や営業面の強化を実施しているか
書面審査の審査項目

これらのほか、以下のような項目を満たしていると加点され、採択の可能性が高まります。

  • 過去3年以内に事業承継によって経営資源を引き継いだ事業者である
  • 有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者である
  • 成長加速マッチングサービスの登録者である
  • 賃上げ計画保有し、事務局に誓約書を提出している事業者である
  • えるぼし認定やくるみん認定を受けている事業者である

口頭審査の留意事項

口頭審査は、補助申請額が一定規模以上の申請を対象に、Zoomなどのオンラインツールで15分程度行われます。

審査では事業計画の適格性、革新性、優位性、実現可能性などが確認されます。場合によっては申請をするに至った背景など、計画書に記載されていない内容が聞かれることもあります。

なお、審査は申請事業者自身(法人代表者など)1名のみの参加が認められており、経営コンサルタントや社外顧問などは同席できません。

このほか、接続不良で途切れた場合の再審査は行われない、イヤフォンやヘッドセットは使用できないなどの注意事項もありますので、公募要領を熟読した上で臨むことが大切です。

本補助金の申請においては、認定経営革新等支援機関に相談することをおすすめします。

認定経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門知識や実務経験を持ち、国の認定を受けた機関のことです。中小企業診断士、税理士、公認会計士などの専門家や、地域の商工会・商工会議所、金融機関などが該当します。認定経営革新等支援機関は「認定経営革新等支援機関検索システム」で検索できます。

本補助金の申請では、省力化指数の計算や投資回収期間の算出、事業計画書の作成など、専門的な知識が必要となる部分が多くあります。認定経営革新等支援機関に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  1. 申請書類作成のアドバイスを受けられる
  2. 事業計画の実現可能性を客観的に評価してもらえる
  3. 補助金申請に関する実績やノウハウを活用できる
  4. 財務面や経営面での専門的な助言を得られる
  5. 補助事業実施中のフォローアップが期待できる

なお、支援を受ける場合は、事業計画書に支援者の名称・報酬・契約期間を記載する必要があります。

中小企業省力化投資補助金(一般型)申請チェックリスト

詳細チェック
事業概要
事業の目的、補助対象、要件などを理解しているか
補助事業実施場所(工場や店舗など)を有しているか(建設中や土地のみは対象外)
カタログ注文型の製品カタログを確認したか
申請資格
中小企業者など、本補助金の対象要件を満たしているか
直近18ヶ月以内に本事業の交付決定を受けていないか
みなし大企業、みなし同一法人に該当していないか
そのほか、補助対象外なる事業者に該当していないか
基本要件
労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加させる事業計画か
給与支給総額の増加要件(年平均+2.0%以上など)を満たす事業計画か
事業場内最低賃金の引き上げ要件(県最賃+30円以上)を満たす事業計画か
従業員21名以上の場合、一般事業主行動計画を公表したか/公表予定か
事業計画書
本事業で機械設備等を取得する必要性を示しているか
取り組みの目標と達成手段を明確に記載しているか
他社との差別化や省力化に向けてのプロセスを具体的に記載しているか
本事業を通して生み出される付加価値について記載しているか
基本要件を満たしていることが明確にわかる算出根拠を記載しているか
補助金額
従業員規模に応じた補助上限額を確認したか
補助率(中小企業1/2など)を確認したか
大幅賃上げ特例/最低賃金引き上げ特例の適用可否を確認したか
対象経費
50万円(税抜)以上の設備投資が含まれているか
補助対象外経費(消耗品、汎用品など)が含まれていないか
見積書(原則2社以上)を取得できるか
申請準備
GビズIDプライムアカウントを取得したか/申請中か
電子申請システムのjGrantsの操作方法を確認したか
事後義務
説明会参加義務を理解したか
財産処分制限を理解したか
事業化状況報告(5年間)の義務を理解したか
証拠書類の保管(5年間)義務を理解したか
スケジュール
補助事業実施期間(交付決定後18ヶ月以内)で実施可能か
支払完了期限までに支払を完了できるか
中小企業省力化投資補助金(一般型)申請チェックリスト

中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請には、労働生産性の向上や給与支給総額の増加、最低賃金の引き上げなど、複数の要件を満たす必要があります。また、事業計画書の作成においては、省力化指数の計算や投資回収期間の算出など、専門的な知識が求められます。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関および中小企業診断士として、多くの補助金申請支援の実績があります。事業計画の策定から申請手続き、採択後のフォローアップまで、一貫したサポートを提供しています。

本補助金の申請について少しでも不安がありましたら、ぜひ当社にご相談ください。初回相談は無料です。

【最新情報】令和7年1月スタートの事業再構築補助金第13回公募を徹底解説!申請要件や流れ、採択率アップのポイント

事業再構築補助金第13回公募の概要

事業再構築補助金は、新市場進出や事業・業種転換など、大胆な事業再構築に挑戦する中小企業を支援する補助金です。

この記事では、令和7年1月10日にスタートした事業再構築補助金第13回公募について、「公募要領(2025年1月10日版)」をもとに、申請要件や流れ、採択率アップのポイントなどを徹底解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

事業再構築補助金第13回が令和7年1月に公募開始

事業再構築補助金の第13回公募が、令和7年1月10日から開始されました。今回の公募が最後の新規応募申請受付となります。締め切りは令和7年3月26日18時です。

第13回公募では、ポストコロナ時代の経済社会に対応するために、新しい市場に進出したり、事業や業種を変えたり、事業を再編したりするなど、思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を支援します。それによって、中小企業等の競争力強化や生産性向上を図り、日本経済の構造転換を促すことが本補助金の目的です。

事業再構築補助金第13回の補助対象者

事業再構築補助金第13回の補助対象者は、中小企業者等(中小企業者および中小企業者以外の法人)と中堅企業等です。

①中小企業者
中小企業者とは、次の表に示す資本金・従業員数のいずれかを満たす会社または個人事業主を指します。

業種資本金従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円以下900人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
そのほかの業種(上記以外)3億円以下300人以下
中小企業者の定義

②中小企業者以外の法人
中小企業者以外の法人とは、中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)や、農業協同組合法にもとづき設立された農事組合法人農事組合法人、労働者協同組合法にもとづき設立された労働者協同組合などを指します。

③中堅企業等
中堅企業等は、「上記の①②に該当しない」「資本金の額または出資の総額が10億円未満」「資本金の額または出資の額が定められていない場合は従業員数2,000人以下」の3つを満たす法人を指します。

ただし、上記3つのカテゴリーのいずれかに当てはまっているとしても、以下の事業者は対象外となります。

  • 経済産業省や中小企業庁から補助金等指定停止措置や指名停止措置を受けている事業者
  • 補助金または給付金などにおいて過去に不正を行った事業者
  • 公募開始日からさかのぼって直近5年以内に法令違反をした事業者
  • 暴力団関係者

なお、中小企業等がリースを利用する場合、中小企業等とリース会社の共同申請が認められます。

事業再構築補助金第13回の各事業類型の詳細

事業再構築補助金にはいくつかの事業類型があり、各事業者はいずれかひとつに申請します(上乗せ措置については同時申請可能)。

第13回では、以下の事業類型が用意されています。

  • 事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)
  • 事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)
  • 事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
  • 上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置
  • 上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置

今回は、前回までにあった「事業類型(C):コロナ回復加速化枠(通常類型) 」と「事業類型(E):サプライチェーン強靱化枠」については用意されていないため注意しましょう。

各事業類型の概要、要件、補助金額・補助率、補助事業実施期間、補助対象経費を説明します。

「事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)」は、成長分野への進出や事業転換を目指す事業者を支援する基本的な枠組みです。

項目内容
概要ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者や、国内市場が縮小しているなど構造的な課題に直面している業種・業態の事業者を支援
要件以下の要件を満たすこと(詳細後述)
・事業再構築要件
・金融機関要件
・付加価値額要件
・給与総額増加要件と市場拡大要件、もしくは市場縮小要件
・補助率等引上要件(補助金額・補助率の引き上げを受ける場合)
補助金額・従業員数20人以下:100万円~1,500万円(2,000万円)
・従業員数21~50人:100万円~3,000万円(4,000万円)
・従業員数51~100人:100万円~4,000万円(5,000万円)
・従業員数101人以上:100万円~6,000万円(7,000万円)
※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合
※廃業を伴う場合は廃業費を最大2,000万円上乗せ
補助率・中小企業者等:1/2(2/3)
・中堅企業等:1/3(1/2)
※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合
補助事業実施期間交付決定日~12カ月以内
(補助金交付候補者の採択発表日から14カ月後の日まで)
補助対象経費・建物費
・機械装置費やシステム構築費(リース料含む)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝費や販売促進費
・研修費
・廃業費(市場縮小要件を満たして申請する場合のみ)
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)の概要

本類型においては、短期での大規模な賃上げ(事業完了時点での事業場内最低賃金+45円および給与支給総額+6.0%達成)を行う場合は補助金額・補助率が引き上げられます。また、市場縮小要件を満たして申請し、既存事業の廃止を伴う場合は、廃業費として最大2,000万円が上乗せされます。

「事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)」は、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に取り組む事業者を支援する枠組みです。

項目内容
概要ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みをこれから行う事業者を支援
要件以下の要件を満たすこと(詳細後述)
・事業再構築要件
・金融機関要件
・付加価値額要件
・給与総額増加要件
・GX進出要件
・補助率等引上要件(補助金額・補助率の引き上げを受ける場合)
補助金額中小企業者等
・従業員数20人以下:100万円~3,000万円(4,000万円)
・従業員数21~50人:100万円~5,000万円(6,000万円)
・従業員数51~100人:100万円~7,000万円(8,000万円)
・従業員数101人以上:100万円~8,000万円(1億円)
中堅企業等・100万円~1億円(1.5億円)
※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合
補助率中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合
補助事業実施期間交付決定日~14カ月以内
(補助金交付候補者の採択発表日から16カ月後の日まで)
補助対象経費・建物費
・機械装置費やシステム構築費(リース料含む)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝費や販売促進費
・研修費
事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)の概要

本類型においても、短期での大規模な賃上げ(事業完了時点での事業場内最低賃金+45円および給与支給総額+6.0%達成)を行う場合は補助金額・補助率が引き上げられます。

なお、過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている事業者、または交付決定を受けている事業者も、一定の条件を満たせば本類型に申請できます。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • グリーン成長枠または成長分野進出枠(GX進出類型)での採択歴がある事業者は申請不可
  • 支援を受けられる回数は2回まで
  • 既存の事業再構築とは異なる事業内容であること【別事業要件】
  • 既存の事業再構築を行いながら事業再構築に取り組めるだけの体制や資金力があること【能力評価要件】

「事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」は、コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援する枠組みです。

項目内容
類型の説明コロナ終息した現段階で、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者を支援
要件以下の要件を満たすこと(詳細後述)
・事業再構築要件
・金融機関要件
・付加価値額要件
・コロナ借換要件(任意)
・最低賃金要件
補助金額・従業員数5人以下:100万円~500万円
・従業員数6~20人:100万円~1,000万円
・従業員数21人以上:100万円~1,500万円
補助率・中小企業者等:3/4(※一部2/3)
・中堅企業等:2/3(※一部1/2)
※コロナ借換要件を満たさない場合
補助事業実施期間交付決定日~12カ月以内
(補助金交付候補者の採択発表日から14カ月後の日まで)
補助対象経費・建物費
・機械装置費やシステム構築費(リース料含む)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝費や販売促進費
・研修費
事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の概要

本類型の特徴は、最低賃金の影響を受ける事業者への手厚い支援として、中小企業者等に対して最大3/4という高い補助率を設定している点です。

「上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置」は、事業類型(A)~(D)に申請して事業を実施し、中小企業等から中堅企業等へと成長する事業者に対して、追加で支援を行う制度です。

項目内容
類型の説明各事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等になる事業者に対する上乗せ支援
要件・事業類型(A)~(D)のいずれかに申請すること
・卒業要件を満たすこと(詳細後述)
補助金額各事業類型(A)~(D)の補助金額上限に準じる
補助率中小企業者等:1/2
中堅企業等:1/3
補助事業実施期間交付決定日から各事業類型(A)~(D)の事業計画期間終了まで
補助対象経費各事業類型(A)~(D)の補助対象経費に準じる
※本上乗せ措置の補助対象経費は、各事業類型(A)~(D)の補助対象経費と明確に分ける必要あり
※同一の建物や設備などを、本上乗せ措置と各事業類型(A)~(D)との両方で対象経費にはできない
※事業類型(A)に申請する場合でも、廃業費は本上乗せ措置の対象経費にはできない
上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置の概要

なお、本上乗せ措置は各事業類型(A)~(D)の申請と同時に行う必要があり、上乗せ措置(G)との両方への申請はできません。また、各事業類型(A)~(D)の事業計画が変更または実施困難となった場合は、本上乗せ措置も採択取り消し、または交付決定取り消しとなります。

「上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」は、事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援制度です。

項目内容
類型の説明各事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援
要件・事業類型(A)~(D)のいずれかに申請すること
・賃金引上要件、従業員増員要件をいずれも満たすこと(詳細後述)
補助金額100万円~3,000万円
補助率中小企業者等:1/2
中堅企業等:1/3
補助事業実施期間交付決定日から各事業類型(A)~(D)の事業計画期間終了まで
補助対象経費各事業類型(A)~(D)の補助対象経費に準じる
※本上乗せ措置の補助対象経費は、各事業類型(A)~(D)の補助対象経費と明確に分ける必要あり
※同一の建物や設備などを、本上乗せ措置と各事業類型(A)~(D)との両方で対象経費にはできない
※事業類型(A)に申請する場合でも、廃業費は本上乗せ措置の対象経費にはできない
上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置の概要

なお、本上乗せ措置も、希望する場合は各事業類型(A)~(D)の申請と同時に行わなければいけません。また、上乗せ措置(F)との両方への申請は不可、各事業類型(A)~(D)の事業計画が変更または実施困難となった場合は採択や交付決定が取り消しとなるルールがあります。

事業再構築補助金第13回における各要件の詳細

事業再構築補助金第13回に申請するときは、各事業類型で規定されている要件をクリアしなければいけません。各要件の詳細について解説します。

事業再構築要件とは、支援対象となる事業再構築を定義づける要件です。すべての事業類型に設けられているため、本補助金に申請するときは、どの事業類型であれ、以下の6類型のいずれかの要件を満たす事業再構築計画を立てる必要があります。

主な要件詳細
新市場進出以下を満たすこと
・新たな製品・商品・サービスの提供、または提供方法の相当程度の変更
・新たな市場への進出
・新規事業の売上高が総売上高の10%以上(付加価値額の場合15%以上)
事業転換以下を満たすこと
・新たな製品、商品、サービスの提供
・新たな市場への進出
・主要な業種の中分類レベルでの変更
業種転換以下を満たすこと
・新たな製品、商品、サービスの提供
・新たな市場への進出
・主要な業種の大分類レベルでの変更
事業再編会社法上の組織再編行為を行い、新たな事業形態のもとで新市場進出・事業転換・業種転換のいずれかを実施すること
国内回帰製造方法が先進的な国内生産拠点の整備をすること
※サプライチェーン強靱化枠のみ選択可
地域サプライチェーン維持・強靱化地域の重要製品の製造拠点を整備すること
※サプライチェーン強靱化枠のみ選択可
事業再構築要件の概要

申請するときは、事業再構築の類型の詳細がまとめられている「事業再構築指針」や「事業再構築指針の手引き」をよく確認した上で、これらの類型に該当する事業計画を策定することが必要です。

なお、第13回公募ではサプライチェーン強靱化枠の公募はないため、国内回帰と地域サプライチェーン維持・強靱化の選択はできません。

金融機関とは、事業計画作成を、金融機関等や認定経営革新等支援機関と連携しながら行うことを義務づける要件です。本要件もすべての事業類型に設けられているため、本補助金に申請するときは、どの事業類型であっても以下の点を満たす必要があります。

主な要件詳細
事業計画の策定に関する要件・金融機関等または認定経営革新等支援機関と相談の上で事業計画を作成し、確認を受けること
・「金融機関による確認書」または「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出すること
金融機関からの資金提供がある場合の要件・資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けること
・必ず「金融機関による確認書」を提出すること
自己資金のみで実施する場合の要件「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出すること
複数の金融機関から資金提供を受ける場合の要件資金提供元のうち、任意の1者からの「金融機関による確認書」を提出すること
金融機関要件の概要

本要件は、事業計画の実現可能性や資金調達の確実性を確保する目的で設定されており、補助事業の確実な実施のために重要な役割を果たします。

なお、金融機関等とは銀行・信金・ファンドなどのこと、認定経営革新等支援機関とは中小企業の支援に長けていると国によって認められた機関のことを指します。認定経営革新等支援機関には中小企業診断士や税理士、公認会計士などさまざまな立場の専門家がいます。専用の検索システムで簡単に探せるので、この機会に探してみましょう。

付加価値額要件とは、事業再構築後の成果目標として、付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)の成長を求める要件です。

付加価値額要件も、いずれの事業類型に設けられています。ただし、各事業類型において具体的な数字が異なります。

主な要件詳細
成長分野進出枠(通常類型)での要件補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
成長分野進出枠(GX進出類型)での要件補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)での要件補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
付加価値額要件の概要

本要件は、単なる事業の転換だけでなく、生産性の向上や事業の成長性を重視する本補助金の趣旨を反映したものといえます。申請時には、具体的な根拠に基づいた成長計画の策定が求められます。

なお、成果目標の比較基準となる付加価値額は、補助事業終了月の属する(申請者における)決算年度の付加価値額とされています。

給与総額増加要件とは、長期的な給与水準の向上を通じて、従業員の待遇改善と企業の持続的成長を目指すものです。

事業類型(A)では、「給与総額増加要件と市場拡大要件」、もしくは「市場縮小要件」、いずれかを選択して満たす必要があります。また、本要件は事業類型(B)で必須となっています。

以下、主な要件です。

主な要件詳細
事業計画に関する要件補助事業実施期間終了時点を含む事業年度の給与支給総額を基準とし、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中、給与支給総額を年平均成長率で2.0%以上増加させる計画を作成・実行すること
申請書類に関する要件応募時に賃金引上げ計画の誓約書を提出すること
根拠資料に関する要件法人の場合は給与支給総額の増加を証明する「法人事業概況説明書」を提出すること(個人の場合は所得税青色申告決算書を提出)
給与総額増加要件の概要

なお、本要件について正当な理由なく達成できなかった場合には、事業者名が公表されることになります。

市場拡大要件は、事業類型(A)の申請において、給与総額増加要件を満たす際にクリアしなければならない要件です。

主な要件詳細
市場規模に関する要件取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模(製造品出荷額、売上高など)が10%以上拡大する業種・業態に属していること
業種・業態に関する要件日本標準産業分類の小分類以下、またはそれと同程度の粒度の業種・業態であること
期間に関する要件過去10年の場合は、コロナ前の2019年までを基準とすること(コロナ後の期間を含む場合は、コロナの影響を受けていないと考えられる場合のみ可)
根拠資料に関する要件事務局指定の業種・業態以外の場合は、10%以上の市場拡大を証明する信頼性の高いデータ・統計などを提出すること
市場拡大要件の概要

なお、「2019年だけ極端に値が上昇している」「2009年と比較すると2019年は10%以上拡大しているが、近年は下降トレンドにある」などの場合は対象となりません。

市場縮小要件は、事業類型(A)における申請要件の一つです。この要件をクリアするには、以下を満たす必要があります。

主な要件詳細
市場規模に関する要件現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること
業種・業態に関する要件日本標準産業分類の小分類以下、またはそれと同程度の粒度の業種・業態であること
期間に関する要件過去10年の場合は、コロナ前の2019年までを基準とすること(コロナ後の期間を含む場合は、コロナの影響を受けていないと考えられる場合のみ可)
基幹大企業の撤退を理由とする場合の要件地域における基幹大企業が撤退すると、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施している、かつ当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めていること
根拠資料に関する要件事務局指定の業種・業態以外の場合は、市場規模の10%以上の縮小を証明する信頼性の高いデータ・統計などを提出すること
市場縮小要件の概要

なお、2019年だけ極端に値が減少しているなど、下降傾向にあると認められない場合は対象となりません。

補助率引上要件は、事業類型(A)または(B)に申請する事業者が、より高い補助率や補助金額の適用を受けるための要件です。短期的な賃金の引き上げを通じて、従業員の待遇改善を図ることを目的としています。

主な要件詳細
賃金引上げに関する要件補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上引き上げるとともに、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げること
根拠資料に関する要件応募時に上記を証明する「大規模な賃上げに取り組むための計画書」を提出すること
補助率引上要件の概要

補助金額・補助率の引き上げを受ける事業者は、実績報告後の初回の事業化状況報告において要件の達成状況が確認されます。要件未達であった場合は、補助金額・補助率引き上げ分の金額について、返還が必要です。

なお、事業類型(A)(市場縮小要件を満たして申請する場合を除く)、および事業類型(B)に申請する場合は、事業終了後3~5年の事業計画期間に給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させることができなかった場合も、引き上げ分の返還が必要となります。

GX進出要件は、事業類型(B)成長分野進出枠の申請に必要な要件です。

主な要件詳細
対象分野に関する要件令和3年6月18日に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みであること
根拠資料に関する要件過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている、または交付決定を受けているときに申請する場合は、「別事業要件及び能力評価要件の説明書」を提出すること
GX進出要件の概要

コロナ借換要件は、事業類型(D)において、より高い補助率を受けるための任意要件です。当てはまる場合はぜひ活用しましょう。

主な要件詳細
借換時期に関する要件応募申請時において、コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること
対象制度に関する要件以下の制度による借換であること
・伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)※自治体が実施している制度については、国の全国統一制度「伴走支援型特別保証」に対応した制度であれば対象
・コロナ経営改善サポート保証
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
・生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
・新型コロナ対策資本性劣後ローン
・生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン
・[新型コロナ関連]マル経融資
・[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付
・[新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金 等
根拠資料に関する要件借換先の金融機関等による「コロナ借換要件・加点確認書」を提出すること
コロナ借換要件の概要

留意点として、過去に上記制度を利用した実績があっても、完済している場合は対象外となります。

最低賃金要件は、事業類型(D)に申請する際に必須の要件です。

主な要件詳細
従業員数に関する要件2023年10月から2024年9月までの間で、3カ月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が、全従業員数の10%以上いること
※全従業員数は、2023年10月から2024年9月までの間の対象月とする3カ月それぞれの時点の常勤従業員数を基準とする
※常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」を指す
算出方法に関する要件要件を満たす従業員数は、小数点以下を繰り上げて算出すること
(例)全従業員数25人の場合、25×10%=2.5人⇒要件を満たす従業員が3人以上必要
根拠資料に関する要件事業場内最低賃金が最低賃金+50円以内であるかを証明するため、「賃金台帳」を提出すること
基準期間に関する要件最低賃金額については、対象月とした期間の最低賃金を基準とする。要参照「地域別最低賃金額丨厚生労働省
最低賃金要件の概要

卒業要件は、上乗せ措置(F)を申請する際に必要となる要件です。

主な要件詳細
法人規模に関する要件本事業を通して以下の規模に成長すること
・中小企業(みなし中堅企業を含む)の場合⇒特定事業者、中堅企業または大企業
・特定事業者の場合⇒中堅企業または大企業
・中堅企業の場合⇒大企業に成長
成長条件に関する要件・応募申請時点よりも資本金または従業員数が増加していること
・資本金および従業員数の両方が、基準以上となること。みなし中堅企業、みなし大企業になることでは要件を満たさない
計画書に関する要件卒業計画書に応募申請時点での従業員数・資本金、および補助事業実施期間終了後3~5年までにどのように従業員数・資本金を伸ばしていく予定かを記載すること
卒業要件の概要

賃金引上要件は、上乗せ措置(G)を申請する際に満たすべき要件です。

主な要件詳細
賃金引き上げに関する要件各事業類型(A)~(D)の補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
※補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度の終了月の事業場内最低賃金を基準とする。ただし、当該事業場内最低賃金が申請時点の事業場内最低賃金を下回る場合には、申請時点の事業場内最低賃金を基準とする
計画表明に関する要件申請時点で、申請要件を満たす賃金引き上げ計画を従業員などに表明し、「賃金引上げ計画の表明書」に事業場内最低賃金で働く従業員から署名、押印をもらうこと
提出書類に関する要件「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」を提出すること
賃金引上要件の概要

従業員増員要件は、上乗せ措置(G)を申請する際に満たすべき要件の一つです。

主な要件詳細
従業員数に関する要件各事業類型(A)~(D)の補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させること
※補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度の終了時点の常勤従業員数を基準とする。ただし、当該常勤従業員数が申請時点の常勤従業員数を下回る場合には、申請時点の常勤従業員数を基準とする
※常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」を指す
算出方法に関する要件増員する必要がある従業員数は、小数点以下を繰り上げて算出すること。ただし、最低でも事業計画期間×1人以上の増員が必要
計画書に関する要件「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」に従業員を増加させる計画を記載して提出すること
従業員増員要件の概要

事業再構築補助金第13回の補助対象経費の詳細

事業再構築補助金第13回における補助対象経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資を含むもので、本事業の対象として明確に区分できるものでなければいけません。

主な対象経費は以下の通りです。

経費区分内容
建物費事務所・生産施設といった建物の建設・改修、撤去、原状回復など
機械装置・システム構築費機械装置、工具・器具の購入、専用ソフトウェア導入など
技術導入費知的財産権などの導入に要する経費
専門家経費専門家の技術指導や助言などに要する経費(1日上限額あり)
運搬費運搬料、宅配・郵送料など
クラウドサービス利用費補助事業専用のクラウドサービス利用料
外注費加工や設計などの一部外注費用
知的財産権等関連経費特許権などの知的財産権取得関連費用
広告宣伝・販売促進費広告作成、展示会出展、市場調査などの費用
研修費事業遂行に必要な教育訓練・講座受講費
廃業費既存事業の廃止に必要な諸経費(一部要件あり)
主な補助対象経費一覧

この中で特に気をつけなければいけないのが建物費です。建物費の中でも新築する場合は、改装をしたり、借りたりするのではなく新築をしなければ事業を行えない合理的な理由を説明しなければならないため、ほかの対象経費よりも審査のハードルが高くなります。

また、以下のような経費は補助対象外です。

  • 既存事業に活用する経費
  • 事務所の家賃や光熱水費
  • フランチャイズ加盟料
  • 一般的な通信費
  • 汎用品(パソコンやプリンタなど)の購入費
  • 消耗品費
  • 人件費や旅費
  • 公租公課
  • 各種保険料

加えて、交付決定前に発注・契約したものは、いかなる理由でも補助対象外となります。補助事業実施期間内に、発注、納入、検収、支払いまでをすべて完了させなければいけません。

事業再構築補助金第13回の補助対象外事業

事業再構築補助金第13回では、以下のような事業は補助対象外となります。

  1. 事業再構築の大半を他社に外注・委託し、企画だけを行う事業
  2. グループ会社がすでに実施している事業など、容易に実施可能な事業
  3. 不動産賃貸、駐車場経営、暗号資産マイニングなど、実質的な労働を伴わない事業や資産運用的性格の強い事業
  4. 会員制ビジネスで会員募集・入会が公に行われていない事業
  5. 建築・購入した施設・設備を特定の第三者に長期間賃貸する事業
  6. 農業を行う事業者が単に別の作物を作るなど、新たな事業が1次産業である事業
  7. 主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させる事業
  8. 公序良俗に反する事業や法令違反の恐れがある事業
  9. 風俗営業などの規制対象となる事業
  10. 暴力団関係者による事業
  11. 国庫や公的制度からの二重受給となる事業

また、同一法人・事業者による複数申請や、他の法人・事業者と同一または類似内容の事業も対象外となります。さらに、中小企業生産性革命推進事業と同一の補助対象を含む事業や、申請時に虚偽の内容を含む事業も対象外です。

事業再構築補助金第13回 申請から補助金受け取り後までの大まかな流れ

事業再構築補助金第13回の公募から補助金受け取り後までの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 公募・申請段階
    令和7年1月10日から公募が開始され、令和7年3月26日18時までが応募期限となります。申請受け付けは電子申請システムからのみです。システム利用には、GビズIDプライムアカウントが必要となります
  2. 採択審査・通知
    令和7年6月下旬~7月上旬頃に採択結果が通知されます。採択された案件については、事業者名や事業計画名、事業計画書の概要、認定経営革新等支援機関の名称などが公表されます
  3. 交付申請
    採択後、補助対象経費を精査して補助金の交付申請手続きを行います。この段階で、計上された経費が補助対象外と判断された場合、交付決定額が減額または全額対象外となる可能性があります
  4. 交付決定
    事務局による審査を経て交付決定がなされます。これ以降に発生する経費が補助対象となります
  5. 補助事業実施
    交付決定後、事業計画に基づいて補助事業を実施します。事業類型により12カ月または14カ月以内に完了する必要があります
  6. 実績報告
    補助事業完了後30日を経過した日、または補助事業完了期限日のいずれか早い日までに、実績報告書を提出します
  7. 確定検査・交付額確定
    実績報告を受けて確定検査が行われ、補助金額が確定します
  8. 補助金の支払い
    原則として精算払いとなります。その後、事業終了後5年間は毎年の事業化状況報告が必要となります

なお、補助事業の進捗状況確認のため、実地検査が入る場合があります。また、会計検査院等による抜き打ちの実地検査も想定されます。

事業再構築補助金第13回における必要書類

事業再構築補助金第13回では、申請時に多くの書類提出が必要となります。主な提出書類は以下のとおりです。

書類名備考
事業計画書A4サイズ15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は10ページ以内)
金融機関・認定経営革新等支援機関による確認書金融機関から資金提供を受ける場合は金融機関による確認書が必須
決算書直近2年間の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表
ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報PDF出力したものを提出
従業員数を示す書類労働者名簿の写し
固定資産台帳
収益事業を行っていることを説明する書類法人の場合:直近の確定申告書別表一および法人事業概況説明書の控え
個人事業主の場合:直近の確定申告書第一表および所得税青色申告決算書の控え(白色申告の場合は直近の確定申告書第一表および収支内訳書の控え)
建物の新築が必要であることを説明する書類建物の新築費用を計上する場合のみ
全事業類型共通の必須書類

このほかに、申請する事業類型や上乗せ措置に応じて追加の書類提出が必要です。例えば、GX進出類型ではGX進出計画書、最低賃金類型では賃金台帳の写しなどが求められます。

また、リース会社との共同申請や複数事業者での連携申請、加点を希望する場合は、それぞれ定められた追加書類の提出が必要となります。

なお、申請するときはすべての書類を電子申請システムで提出する必要があり、ファイル名については指定されたものにすることが求められます。書類の不備や不足があると審査対象外となる可能性があるため、公募要領を熟読し、漏れのないよう準備することが重要です。

事業再構築補助金第13回における事業計画作成のポイント

事業再構築補助金第13回における事業計画作成のポイントを紹介します。

事業計画作成における補助事業の具体的な取り組み内容について、以下の4つの観点から記載が必要です。

記載項目必要な内容
事業再構築の概要1ページ目で、既存製品と新製品、既存市場と新市場、既存事業と新規事業の違いを具体的に記載。事業再構築の定義に合致するか審査の対象となる重要な部分となる
事業内容の詳細2ページ目以降に、現状分析(強み・弱み・機会・脅威)、事業環境、事業再構築の必要性、具体的な実施内容(設備投資計画など)を記載。投資スケジュールも可能な限り詳細に
差別化戦略他社との差別化方法や競争力強化の具体的な実現方法、実施体制などを記載。産業雇用安定助成金との併給を希望する場合は、採用予定者の情報も記載する
従業員への配慮既存事業の縮小・廃止、省人化により従業員の解雇を伴う場合は、再就職支援計画など従業員への適切な配慮を記載
連携事業の場合の説明複数事業者での連携事業の場合は、各事業者の取り組み内容や役割などを具体的に記載
補助事業の具体的な取り組み内容における観点

事業計画書は申請者自身が作成する必要があり、外部へ作成を委託することはできません。また、1ページ目の記載内容で事業再構築の要件を満たすか判断されるため、特に重要な部分となります。

将来の展望について、事業計画書には以下の内容を記載する必要があります。

記載項目必要な内容
市場分析本事業の成果が寄与する具体的なユーザー、マーケット、市場規模について記載。成果の優位性や収益性、課題やリスクとその解決方法を説明する
事業化見込み事業化見込みとして、事業化の目標時期、売上規模、量産化時の製品などの価格を記載
将来の展望における観点

なお、内閣府では、知財が企業の価値創造メカニズムにおいて果たす役割を的確に評価して経営をデザインするためのツール「経営デザインシート」とその活用事例を公表しています(参照:経営をデザインする丨首相官邸)。事業計画の作成にあたっては、このツールを必要に応じて活用しましょう。

事業計画書における将来の展望は、事業の実現可能性や市場性を判断する重要な要素です。市場分析では客観的なデータに基づく具体的な記述が求められ、事業化見込みについては実現性の高い計画を示す必要があります。説得力のある内容とするため、図表なども効果的に活用しましょう。

事業計画書には、本事業で取得する主な資産も記載する必要があります。

記載項目必要な内容
対象資産の詳細単価50万円(税抜き)以上の建物、機械装置・システムなどの名称、分類、取得予定価格などを記載する
※単価500万円(税抜き)以上の機械装置は、機械の種類が具体的にわかる名称を記載
本事業で取得する主な資産における観点

これらの資産は、補助事業終了後も適切な管理が求められます。特に、処分制限財産(単価50万円以上の機械などの財産や効用の増加した財産)は、処分制限期間内に取得財産を処分(補助金の交付目的に反する使用、譲渡、交換、貸付け、担保に供する処分、廃棄など)しようとする場合、事前に事務局の承認を受ける必要があります。

また、補助事業により取得した資産は、原則として専ら補助事業に使用される必要があり、既存事業など、補助事業以外で用いた場合、目的外使用と判断され、残存簿価相当額などを国庫に返納する必要がある点にも注意が必要です。

収益計画については、事業計画書に以下の内容を具体的に記載する必要があります。

記載項目必要な内容
実施体制事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等を具体的に記載
収益計画の算出根拠収益計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」(事業類型(A)(B)の場合)の算出根拠を記載
収益計画における観点

収益計画は、補助事業の実現可能性を判断する重要な要素となります。実施体制については、人員配置や役割分担、外部協力者との連携体制などを具体的に示す必要があります。スケジュールは、設備投資や人材採用、販売開始時期などの主要なマイルストーンを明確にしましょう。

資金調達計画では、補助金以外の資金調達方法(自己資金、金融機関からの借入など)も含めて記載します。収益計画の数値については、市場分析や競合状況などを踏まえた現実的な予測にもとづく必要があり、その算出根拠を明確に示すことが求められます。

なお、この計画に基づく達成状況は、補助事業終了後も毎年の事業化状況報告などで確認されるため、確実に実行可能な計画を立てることが重要です。

事業再構築補助金第13回において事業者が果たすべき義務

事業再構築補助金第13回においては、事業者に以下のような義務が課せられます。これらの義務に違反した場合、補助金の交付取消や返還、不正受給の場合の罰則適用などの措置が取られる可能性があります。

  1. 事務局主催の説明会に参加する
    補助金交付候補者として採択された事業者は、事務局が実施する説明会に参加する必要があります。不参加の場合、採択が無効となります
  2. 経費配分や内容などを変更する場合は事前承認を得る
    応募申請時に計上していない経費については、交付申請時に新たに計上することは原則認められていません。補助事業の経費配分や内容を変更する場合、事業の中止・廃止、他者への承継を行う場合は、事前に事務局の承認を得る必要があります
  3. 補助事業は申請する事業者自身が実施する
    補助事業は採択された事業者自身が実施し、取得した資産の所有権も事業者が持つ必要があります。子会社などによる実施は認められません
  4. 事業完了後は実績報告を行う
    補助事業完了後は、完了した日から30日を経過した日、または完了期限日のいずれか早い日までに、実績報告書を提出する必要があります
  5. 事業完了後は事業化状況報告を行う
    補助事業完了年度の終了後5年間、毎年の事業化状況を報告する必要があります。未報告や虚偽報告の場合、補助金の返還などが求められます
  6. 収益納付をする
    事業による収益が得られた場合、補助金額を上限として収益納付が必要となります
  7. 財産処分をするときは事前承認を得る
    単価50万円以上の機械などの財産、または効用の増加した財産を、処分制限期間内に処分するときは事前承認が必要です。不適切な処分の場合、補助金の返還が必要となります
  8. 証拠書類を保管する
    補助事業に関する証拠書類は、事業終了後5年間保管する必要があります

このほか、本事業の遂行や収支の状況について、事務局から聞かれたときは速やかに報告しなければならないなどがあります。

事業再構築補助金第13回と新事業進出補助金の違い

中小企業庁では、2024年12月に公表した「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」で、事業再構築補助金の後身となる「中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)」を新設しています。場合によっては、新事業進出補助金に応募したほうがよい場合もありますので、比較検討することをおすすめします。

以下は、特に大きな違いをまとめた表です。

項目事業再構築補助金第13回新事業進出補助金
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)事業類型(B):成長分野進出枠(GX類型)事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
補助上限額5人以下1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円500万円2,500(3,000)万円
6~20人1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円1,000万円2,500(3,000)万円
21~50人3,000(4,000)万円5,000(6,000)万円1,500万円4,000(5,000)万円
51~100人4,000(5,000)万円7,000(8,000)万円1,500万円5,500(7,000)万円
101人以上6,000(7,000)万円8,000万(1億)円1,500万円7,000(9,000)万円
中堅企業中小企業者等と同じ1(1.5)億円中小企業者等と同じ
下限額100万円750万円
補助率中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:3/4
中堅企業等:2/3
※コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない場合
中小企業者等:2/3
中堅企業等:1/2
1/2
上乗せ措置あり(卒業促進上乗せ措置・中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置)なし
申請経費構築費:対象外
廃業費:対象
構築物費:対象
廃業費(未発表)
収益納付ありなし
事業再構築補助金第13回と新事業進出補助金の主な違い ※カッコ内の数字は短期に大規模な賃上げを行う場合

例えば、事業再構築補助金第13回と新事業進出補助金の補助上限額を比較すると、事業類型(B)のほうが新事業進出補助金よりも高くなっています。そのため、GX投資を検討している場合は、事業再構築補助金第13回に応募するのがよいでしょう。ただし、補助率も見た上で判断することをおすすめします。

一方、新事業進出補助金は、事業再構築補助金第13回と異なり収益納付がありません。そのため、アプリの開発などで利益が突き抜けるケースがある情報通信業、インバウンド需要などで利益が一気に出る可能性のある宿泊業など、大きな収益が見込まれる事業を営む場合は新事業進出補助金のほうが向いているでしょう。ただし、新事業進出補助金を待っている間に、ビジネスチャンスを失ってしまわないかも考慮することが大切です。

新事業進出補助金については、下記記事で詳しく解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。

事業再構築補助金第13回の採択率を上げるコツ

事業再構築補助金第13回の採択率を上げるためには、以下のようなポイントをおさえることが重要です。

事業再構築補助金の公募要領は、事業計画書を作成する上で重要な情報源です。公募要領には、補助金の目的、対象となる事業、申請資格、補助金額、申請方法などが詳細に記載されています。公募要領の内容を熟読することで、事業計画書を作成する際のポイントを把握できます。

また、公募要領に単に書いてある内容を理解するだけでなく、その背景にある政策意図や社会的なニーズを汲み取ることも重要です。事業再構築補助金は、ポストコロナ時代を生き抜くための事業再構築を支援することを目的としています。そのため、事業計画書には、現状を的確に分析し、なぜ新たな事業再構築が必要なのかを論理的に説明した内容を記載する必要があります。

本補助金では、交付候補者の選考に際して、書面審査および場合によって口頭審査が行われます。それぞれの審査の観点を把握することも、採択率を上げる重要な要素です。

書面審査(審査項目・加点項目)

事業再構築補助金第13回における書面審査の主な審査項目は以下の通りです。

審査の観点主なポイント
補助対象事業の適格性・当該事業は補助対象事業の要件を満たしているか
・当該事業は事業再構築指針と整合しているか
新規事業の有望度・継続的な売上や利益を確保できる規模を有しているか
・当該事業で取り組む新規事業は、自社にとって参入可能な事業か
・競合との差別化戦略は図られているか
補助対象事業の実現可能性・当該事業の事業化について、中長期のスパンでの課題検証ができているか。また、スケジュールや課題の解決方法は明確かつ妥当か
・補助事業を遂行できると期待可能な財務状況になっているか。金融機関等からの資金調達は見込めるか
・実施体制(人材や事務処理能力など)は充実しているか
公的補助の必要性・補助事業としての費用対効果は高いか
・地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献できる事業か
・感染症などの危機に強い事業か
・自社単独で容易に実現できるなど、補助なしでも実施可能な事業になっていないか
政策点・日本経済の構造転換の促進に資する事業か
・日本の経済成長を牽引し得る事業か
・グローバル市場でもトップになり得る潜在性がある事業か
・雇用の創出や地域の経済成長を牽引することが期待できる事業か
書面審査の主な審査項目

上記以外にも、事業類型(B)では「グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する事業か」、上乗せ措置(F)では「事業再構築の実施による売上高や付加価値額の継続的増加は妥当か」など、各事業類型ごとの観点もあります。

また、以下のような取り組みをすると加点対象となります。

  • コロナ借換保証等での既往債務借換実施
  • 最低賃金類型での申請
  • 経済産業和尚が行うEBPMへの協力姿勢
  • パートナーシップ構築宣言の実施
  • 健康経営優良法人認定
  • 大幅な賃上げ計画
  • ワーク・ライフ・バランスへの取り組み

加点項目を意識した事業計画の策定が、採択率向上のポイントです。

口頭審査(審査項目)

口頭審査は、一定の審査基準を満たした事業者を対象に、必要に応じてオンラインで実施されます。審査時間は1社あたり15分程度で、申請事業者自身(法人代表者など)のみが対応します。事業計画書作成支援者や経営コンサルタントなどの同席は認められていません。

以下の表に示す観点から事業計画の適格性や実現可能性などが審査されます。

審査の観点主なポイント
補助対象事業の適格性・当該事業は補助対象事業の要件を満たしているか
・当該事業は事業再構築指針と整合しているか
補助対象事業の優位性・市場における競争力はあるか
・差別化要素は具体的か
補助対象事業の実現可能性・実施体制は充実しているか
・資金計画は妥当か
・スケジュールは具体的かつ明確か
補助対象事業の継続可能性・収益計画の実現性はどのくらいあるか
・長期的な成長戦略となっているか
口頭審査の主な審査項目

口頭審査に選ばれた場合、事務局から受験日時の予約案内が行われます。申請完了が早い事業者から優先的に日時を選択できるため、早期の申請完了が推奨されます。また、不参加や接続不良などによる審査不能の場合は不採択となるため、万全の準備が必要です。

事業再構築補助金のWebサイトには、事業再構築補助金に関してよくある質問(FAQ)が掲載されています(参照:よくあるご質問丨事業再構築補助金)。FAQを確認することで、申請前に抱えている疑問を解消できるだけでなく、申請時のミスや漏れを防ぐことにもつながります。

FAQの内容は定期的に更新されるため、最新の情報を確認するようにしましょう。

なお、公募要領やよくある質問集を確認しても解決しない場合は、事務局に問い合わせることが可能です。ただし、事務局に直接連絡するのではなく、「コールバック予約システム」を利用して希望日時を予約する必要があります。

本補助金においては、金融機関等もしくは認定経営革新等支援機関による事業計画の確認が必須です。どちらでも問題はないのですが、本格的な事業作成のサポートを希望するのであれば、認定経営革新等支援機関(あるいは認定経営革新等支援機関を兼ねている金融機関)がよいでしょう。

また、認定経営革新等支援機関には、さまざまな専門家がいますが、特におすすめなのが中小企業診断士です。経営全般に関するコンサルティングを行う中小企業診断士であれば、各事業者の事業を深く理解した上で、それが的確に伝わるような事業計画の書き方に精通しています。

事業再構築補助金申請チェックリスト

詳細チェック
事業概要の理解
事業の目的、補助対象、要件などを理解しているか
申請資格
自社が補助対象事業者(中小企業者等または中堅企業等)の要件を満たしているか
(みなし大企業、みなし同一法人ではないか)
リース会社や共同申請する場合は、その要件を満たしているか
事業計画
申請する事業類型(成長分野進出枠、GX進出類型、コロナ回復加速化枠)を決定したか
事業再構築の類型(新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編)を明確にしているか
事業再構築指針に沿った事業計画になっているか
公募要領に記載されている「事業計画作成における注意事項」をおさえた事業計画になっているか
金融機関等または認定経営革新等支援機関と事業計画を策定し、確認書を取得したか(資金提供を受ける場合は金融機関の確認が必須)
補助事業終了後3~5年で付加価値額または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率を3.0%~4.0%以上増加させる計画か(事業類型により異なる)
事業類型(A)成長分野進出枠の場合
給与総額増加要件(年平均成長率2.0%以上増加)を満たしているか、または市場縮小要件を満たしているか
市場拡大要件を満たす場合は、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に該当するか、または根拠となるデータを示せるか
市場縮小要件を満たす場合は、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に該当するか、または根拠となるデータを示せるか(あるいは基幹大企業の撤退による影響を受けているか)
廃業を伴う場合は、廃業計画書を作成したか
事業類型(B)GX進出類型の場合
給与総額増加要件(年平均成長率2.0%以上増加)を満たしているか
グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する事業か(GX進出計画書を作成)
過去に採択実績がある場合は、別事業要件および能力評価要件を満たし、説明書を作成したか
事業類型(D)コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の場合
コロナ借換保証等で既往債務を借り換えているか(任意)
2023年10月~2024年9月の間、3カ月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いるか
事業場内最低賃金を証明する賃金台帳を準備したか
上乗せ措置(F)卒業促進上乗せ措置の場合
事業類型(A)~(D)のいずれかに申請しているか
補助事業終了後3~5年で中小企業等から中堅企業等に成長する計画か(卒業計画書を作成)
上乗せ措置(G)中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置の場合
事業類型(A)~(D)のいずれかに申請しているか
補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画か
補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させる計画か(大規模賃上げ及び従業員増加計画書、賃金引上げ計画の表明書、賃金台帳を作成)
補助率等引上要件
事業類型(A)または(B)で補助金額・補助率の引上げを希望する場合は、補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画か(大規模な賃上げに取り組むための計画書を作成)
補助対象経費
補助対象経費(建物費、機械装置費など)を正しく積算しているか
補助対象外経費(既存事業への活用費用、諸経費、消費税など)を含んでいないか
原則として3者以上の同一条件による相見積もりを取得しているか
補助事業により取得した資産は、原則として専ら補助事業に使用する計画か
補助対象外事業
補助対象外事業(不動産賃貸、実質的労働を伴わない事業、公序良俗に反する事業など)に該当しないか
重複申請や二重受給に該当しないか
申請手続き
GビズIDプライムアカウントを取得しているか
電子申請システムの操作方法を確認しているか
必要な添付書類(事業計画書、決算書、誓約書など)をすべて準備したか(ファイル名も確認)
公募要領、FAQ、補助金事務局の相談窓口などで疑問点を解消しているか
交付決定後
交付決定後の義務(説明会参加、計画変更の承認申請、事業化状況報告、財産処分制限など)を理解しているか
補助事業実施期間を遵守できるか
事業再構築補助金第13回申請チェックリスト

事業再構築補助金第13回の申請をご検討でしたら中小企業経営支援事務所までご相談ください

事業再構築補助金の第13回公募は、当該補助金の最後の新規受け付けです。これまでよりも応募が集まり、採択率が低くなる可能性があります。

早めに信頼できる金融機関等、あるいは認定経営革新等支援機関に事業計画の相談をしましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請の支援に対して豊富な経験を持つ中小企業診断士が所属する認定経営革新等支援機関です。事業再構築補助金についても、これまで多くの事業者様のサポートをしてきました。

また、当社では、補助金を受け取ったあとの事業運営についても手厚くフォローすることができます。

どの認定経営革新等支援機関に相談しようか迷っていましたら、初回相談無料ですので、ぜひ一度ご相談いただけますと幸いです。

【2025年最新】事業承継・M&A補助金とは?基本要件や補助額、対象経費などをわかりやすく紹介

事業承継・M&A補助金の概要

事業承継とM&Aは、中小企業・小規模事業者にとって事業を円滑に継続・発展させるための重要な経営戦略です。特に、後継者不足が深刻化する中で、M&Aは外部から経営人材を確保する有効な手段として注目されています。

しかし、M&Aや事業承継には、手続きの複雑さや費用負担など、さまざまな課題が存在します。そこで、国の令和6年度補正予算で設けられたのが「事業承継・M&A補助金」です。本補助金は、令和5年度まで実施されていた「事業承継・引継ぎ補助金」の後身となるもので、中小企業・小規模事業者の事業承継やM&Aをより後押しする内容となっています。

この記事では、「事業承継・M&A補助金」について、その目的や支援枠、補助額、対象経費などを、中小企業庁が公表しているパンフレットをもとにわかりやすく解説します。

なお、2025年1月7日時点での情報となりますので、実際に活用される際は最新の情報を確認することをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

事業承継・M&A補助金とは

事業承継・M&A補助金は、中小企業・小規模事業者等の事業承継時の設備投資やM&A実施時の専門家活用費用、M&A後のPMI(経営統合プロセス:Post Merger Integration)に関する費用の一部を補助し、円滑な事業承継とM&Aの促進を図ることを目的とした補助金制度です。

本補助金は、令和5年度まで実施されていた「事業承継・引継ぎ補助⾦」を見直し、事業承継やM&Aをさらに促す内容に変更されたものとなります。また、中小企業令和6年度補正予算案に盛り込まれた「中小企業生産性革命推進事業」(予算規模3,400億円)の一環として実施されるもので、中小企業の事業継続性を高め、日本経済の基盤強化に寄与することを目指しています。

令和6年度補正予算案で盛り込まれた事業承継・M&A補助金と、令和5年度の事業承継・引継ぎ補助金の主な違いは、以下のとおりです。

項目事業承継・M&A補助金(令和6年度)事業承継・引継ぎ補助⾦(令和5年度)
支援枠構成・事業承継促進枠
・専門家活用枠
・PMI推進枠
・廃業・再チャレンジ枠
・経営革新枠
・専門家活用枠
・廃業・再チャレンジ枠
補助上限額最大2,000万円(専門家活用枠)最大600万円(専門家活用枠)

最も大きな変更点は、M&A後の経営統合(PMI)を支援する「PMI推進枠」が新設されたことです。これにより、M&A後の経営統合に関する専門家活用や設備投資がしやすくなっています。

また、補助上限額も拡大され、特に専門家活用枠では、100億企業要件を満たす場合、最大2,000万円まで補助を受けられるようになりました。これは前年度の最大補助額800万円と比べて大幅な増額となっています。

このように、令和6年度の改正では、M&Aの活用促進とその後の統合プロセスの支援強化に重点が置かれていることが特徴です。

事業承継・M&A補助金の4つの支援枠

事業承継・M&A補助金では、4つの支援枠が設けられます。それぞれの支援枠の要件、補助上限額・補助率、対象経費を紹介します。

事業承継促進枠は、近い将来の事業承継に向けて、経営基盤を強化するために設備投資を行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。

枠名事業承継促進枠
概要5年以内の事業承継を予定している事業者の設備投資等を支援
要件5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している者
補助上限額・補助率800~1,000万円(一定の賃上げ実施で1,000万円に引き上げ)
補助率1/2(小規模事業者は2/3)
対象経費設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費など
事業承継促進枠の概要

事業承継促進枠の要件

本枠を利用するためには、5年以内に親族内承継または従業員承継を予定していることが必要です。

事業承継促進枠の補助上限額・補助率

補助上限額は800万円ですが、一定の賃上げを実施する場合は1,000万円まで引き上げられます。補助率については、中小企業者の場合は1/2となりますが、小規模事業者に該当する場合は2/3に引き上げられます。

事業承継促進枠の対象経費

補助対象となる経費は多岐にわたり、主に以下が含まれます。

  • 設備費:事業承継に必要な機械装置などの購入費用
  • 産業財産権等関連経費:特許権などの取得に関する費用
  • 謝金:専門家への相談費用など
  • 旅費:事業承継に関連する出張費用
  • 外注費:外部業者への委託費用
  • 委託費:専門家などへの業務委託費用

専門家活用枠は、M&A実施時の専門家活用に係る費用を支援する制度です。フィナンシャル・アドバイザー(FA)や仲介業者の費用、デューデリジェンス(DD)費用、表明保証保険料などを補助対象としています。

枠名専門家活用枠
概要M&A時の専門家活用に係る費用(FA・仲介費用、表明保証保険料など)を補助
要件補助事業期間に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける者
補助上限額①買い手支援類型
600~800万円(800万円を上限にDD費用を申請する場合、200万円を加算)
2,000万円(100億円企業要件を満たす場合)
②売り手支援類型
600~800万円(800万円を上限にDD費用を申請する場合、200万円を加算)
補助率①買い手支援類型
1/3・1/2、2/3(100億円企業要件を満たす場合、1,000万円以下の部分は1/2、1,000万円超の部分は1/3)
②売り手支援類型
1/2(赤字、もしくは営業利益率が一定程度低下している場合は2/3)
対象経費謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料
専門家活用枠の概要

専門家活用枠の要件

本枠は、補助事業期間中に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける予定の事業者が対象となります。

専門家活用枠の補助上限額・補助率

本枠は買い手支援類型売り手支援類型の2つに分かれ、それぞれ補助上限額・補助率が異なります。

買い手支援類型の補助上限は600万円ですが、DD費用を申請する場合は800万円まで引き上げられます。さらに、100億企業要件を満たす場合は2,000万円まで拡大されます。補助率は原則1/2ですが、100億企業要件を満たす場合、1,000万円超の部分は1/3となります。

売り手支援類型の補助上限は600万円で、DD費用申請時は800万円まで引き上げ可能です。補助率は原則1/2ですが、赤字企業や営業利益率が低下している場合は2/3に引き上げられます。

専門家活用枠の対象経費

主な対象経費は以下の通りです。

  • 謝金:専門家への相談費用
  • 旅費:M&A関連の出張費用
  • 外注費:外部業者への委託費用
  • 委託費:専門家への業務委託費用
  • システム利用料:M&A関連システムの利用料
  • 保険料:表明保証保険等の費用

なお、FA・仲介費用については、「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者による支援に係る費用のみが補助対象となります。

PMI推進枠は、M&A後のPMI(経営統合プロセス)に関する費用を支援する制度です。

項目内容
枠名PMI推進枠
概要M&A後のPMIに係る費用(専門家費用、設備投資など)を補助
要件M&Aに伴い経営資源を譲り受ける予定の中小企業等に係るPMIの取り組みを行う者
補助上限額①PMI専門家活用類型
150万円
②事業統合投資類型
800~1,000万円(一定の賃上げ実施で1,000万円に引き上げ)
補助率①PMI専門家活用類型
1/2
②事業統合投資類型
1/2(小規模事業者は2/3)
対象経費設備費、外注費、委託費など
PMI推進枠の概要

PMI推進枠の要件

本枠を利用するためには、M&Aに伴い、経営資源を譲り受ける予定の中小企業等に係るPMIの取り組みを行う者であることが必要です。

PMI推進枠の補助上限額・補助率

本枠は、専門家活用類型事業統合投資類型の2類型が用意されており、異なる補助上限額と補助率が設定されています。

PMI専門家活用類型の補助上限額は150万円で、補助率は1/2となっています。一方、事業統合投資類型の補助上限額は800万円ですが、一定の賃上げを実施する場合は1,000万円まで引き上げられます。補助率については、中小企業者の場合は1/2となりますが、小規模事業者に該当する場合は2/3に引き上げられます。

PMI推進枠の対象経費

補助対象となる経費は、主に以下が含まれます。

  • 設備費:PMIに必要な機械装置などの購入費用
  • 外注費:外部業者への委託費用
  • 委託費:PMI関連の業務委託費用

廃業・再チャレンジ枠は、事業承継やM&Aに伴って発生する廃業などの費用を支援する制度です。この支援枠は、他の支援枠(事業承継促進枠、専門家活用枠、事業統合投資類型)と併用して申請できます。

項目内容
枠名廃業・再チャレンジ枠
概要事業承継やM&Aに伴う廃業などに係る費用(例:原状回復費・在庫処分費)を補助
要件事業承継やM&Aの検討・実施に伴って廃業などを行う者
補助上限額150万円(他の支援枠と併用申請する場合は、各支援枠の補助上限に加算)
補助率1/2・2/3(併用申請の場合は各事業の補助率に従う)
対象経費廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用(併用申請の場合のみ)
廃業・再チャレンジ枠の概要

廃業・再チャレンジ枠の要件

本枠を利用するためには、事業承継やM&Aの検討・実施に伴って廃業などを行う者であることが条件となります。

廃業・再チャレンジ枠の補助上限額・補助率

補助上限額は150万円に設定されています。ただし、他の支援枠と併用申請する場合は、それぞれの補助上限額に150万円が加算されます。補助率については、単独で申請する場合は1/2または2/3です。併用申請の場合は、各事業における事業費の補助率が適用されます。

廃業・再チャレンジ枠の対象経費

補助対象となる経費には以下が含まれます。

  • 廃業支援費:廃業に関連する支援サービスの利用費用
  • 在庫廃棄費:在庫の処分に係る費用
  • 解体費:建物や設備の解体に要する費用
  • 原状回復費:賃借物件等の原状回復に必要な費用
  • リースの解約費:リース契約の解約に伴う費用
  • 移転・移設費用:併用申請の場合のみ対象となる、設備等の移転や移設に係る費用

事業承継・M&A補助金の大まかな流れ

事業承継・M&A補助金の申請から補助金交付までの流れは、大きく4つのステップに分かれます。

  1. 事前準備
    まず、自社の課題を把握し、具体的な事業計画を検討します。その後、公募要領が公開されるのを待ちます。
  2. 公募開始~交付決定
    公募要領が公開され、まもなくして申請受付が始まります。申請締切後、補助金事務局による審査を経て採択された事業者は、補助金事務局から交付決定を受けます。
  3. 補助事業実施~補助金交付
    交付決定後、補助事業を開始します。事業完了後は実績報告書を事務局に提出し、確定検査を受けます。検査後、補助額が確定したら事務局に補助金請求を行い、補助金を受け取ります。確定検査時に実施内容や経費に問題があるとみなされた場合、交付決定されていても補助金が支払われない可能性がある点には注意が必要です。
  4. 補助期間終了後
    補助事業終了後は、3~5年間にわたって事業化状況の報告が必要となります。この期間が事業計画の実施期間となります。

なお、補助事業期間内に発生し支払いを完了した経費のみが補助対象となるため、適切な事業計画の策定と実施が重要です。

事業承継・M&A補助金以外の中小企業生産性革命推進事業

事業承継・M&A補助金は、令和6年度補正予算案で盛り込まれた中小企業生産性革命推進事業のひとつです。本事業では、中小企業等の稼ぐ力を強化し、持続的な賃上げを促進するために、事業承継・M&A補助金新設のほかに、以下の3つの取り組みが行われる予定となっています(参照:令和6年度補正予算〈中小企業・小規模事業者等関連予算〉丨中小企業庁)。

ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者等の新製品・新サービスの開発に必要な設備投資を支援する制度です。令和6年度の補正予算案では、製品・サービス高付加価値化枠について、従業員21人以上の中小企業を対象に補助上限が引き上げられます。また、最低賃金近傍の事業者への支援として、補助率が1/2から2/3となります。さらに、賃上げ動向を踏まえた賃上げ要件や運用の見直しも実施される予定です。

IT導入補助金は、中小企業のIT化を促進するための支援制度です。主な変更点として、セキュリティ枠の補助上限引き上げや要件見直しが行われます。また、汎用ツールの導入や導入後の支援も補助対象となります。最低賃金近傍の事業者については、補助率が1/2から2/3に引き上げられる予定です。

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓などを支援する制度です。令和6年度補正予算案で、経営計画の策定に重点を置き、制度の簡素化が図られることになりました。具体的には、通常枠や創業枠等への再編が行われ、より使いやすい制度となります。

事業承継・M&A補助金の申請でお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

補助金の申請には、事業計画の策定から実施後の報告まで、多くのステップと専門的な知識が必要です。特に事業承継・M&A補助金は複数の支援枠があり、それぞれ要件や補助率が異なるため、自社に最適な支援枠を選択することも重要となります。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、事業承継・M&A補助金をはじめとする各種補助金のトータルサポートを行っています。

当社では、補助金申請の実績が豊富な専門家が、計画策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧にアドバイスしています。初回相談は無料ですので、補助金活用を検討している場合は、お気軽にご相談ください。

【2025年3月更新】中小企業成長加速化補助金とは?基本要件や対象経費を公募要領をもとに解説

中小企業成長加速化補助金の概要

物価高やエネルギー高、人手不足など、中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中で、政府は中小企業の持続的な成長を促進するため、さまざまな支援策を打ち出しています。

その中でも2025年に新設される「中小企業成長加速化補助金」は、特に成長志向の高い中小企業に焦点を当てた新たな補助金です。この補助金は、売上高100億円を目指す企業の設備投資や賃上げなどを支援することにより、企業の成長を加速させ、ひいては日本経済全体の活性化を図ることを目的としています。

この記事では、中小企業成長加速化補助金の概要や申請方法、採択されるためのポイントなどを、2025年3月に公開された第1回公募要領をもとに詳しく解説していきます。

※本補助金の公募要領は下記ページからダウンロードできます。
https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDKBeMAP

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や投資計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

中小企業成長加速化補助金とは

中小企業成長加速化補助金とは、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業に対して、最大5億円の大規模な設備投資支援を行う補助金制度です。

本補助金は中小企業全体の稼ぐ力2024年12月公表の「令和6年度補正・令和7年度当初予算案」に盛り込まれた中小企業生産性革命推進事業(3,400億円規模)のひとつとして2025年から実施されます。

地域経済に与えるインパクトが大きい売上高100億円の企業を創出し、日本経済の好循環を生み出すことが目的です。

本補助金の活用イメージとしては、「工場・物流拠点の新設・増築」「イノベーション創出のための設備導入」「自動化による革新的な生産性向上」などが挙げられています。

出典:中小企業成長加速化補助金概要資料 p.2丨中小企業成長加速化補助金事務局

中小企業成長加速化補助金の役割

中小企業成長加速化補助金の役割について、本補助金と同様に大きな補助金額が狙えて補助対象経費に建物費が含まれる「中小企業新事業進出補助金」と比較しながら紹介します(当社独自の見解です)。

下記は、補助金別に、対象となる企業の売上高をまとめたグラフです。

大規模成長投資補助金における採択者の売上高の中央値は、おおよそ100億円です。この数値は、事務局公表の全社年平均売上高成長率と全社売上高増加額を基に、指数関数で処理して算出しています。また、公表されている採択企業も、資本金や従業員規模が大きい企業が中心です。こうしたことから、売上高10億円前後を下回る事業者様が採択される可能性は低いという実態がありました。

他方、新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継であり、昨年度までは売上規模の大小問わず採択されていました。一方、新事業進出補助金の補助上限額が9,000万円ですので、例えば大規模な設備投資(5億円程度の設備投資)を行う事業計画の場合、補助金額が不十分であったという問題がありました。 

中小企業成長加速化補助金では、売上高100億円を目指す企業を対象としていると明記しています。現実的には、売上高10億円前後から100億円に満たない企業がターゲットになります。補助金額の上限額は5億円です。補助金上限額は、ちょうど、新事業進出補助金と大規模成長投資補助金の中間の金額帯を担っており、いわばブリッジのような役割を果たしています。

中小企業成長加速化補助金の補助対象者

では、中小企業成長加速化補助金を活用できるのは、具体的にどのような企業でしょうか。

本補助金の公募要領によれば、以下の3つの要件をすべて満たしている者です。

中小企業成長加速化補助金の補助事業要件は、以下の4つが設定されています。

内容補足
①補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜)である・建物費、機械装置費、ソフトウェア費の合算額であること(外注費、専門家経費は含められない)
・事業実施場所が複数でも可。ただし事業目的・内容が一体的であること
・交付決定後の実施場所変更は原則不可
・既存設備の単なる更新投資(生産能力等が向上しない投資)は認められない
②補助金申請時までに100億宣言が100億宣言ポータルサイトで公表されている・第1回公募では申請時の同時申請も可能
・100億宣言の概要については詳細後述
③一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定する・補助事業終了後3年間で実施すること
・その他の要件については詳細後述
④補助事業を日本国内で実施する
中小企業成長加速化補助金の補助事業要件

100億宣言について

本補助金を受け取るためには、「100億宣言」をし、それがポータルサイトにて公表されている必要があります。

100億宣言とは、中小企業自らが「売上高100億円を超える企業になること」や「それに向けたビジョンや取り組み」を宣言することです。ポータルサイトは2025年春頃に開設される予定となっています。

下記でも詳しく説明していますので、あわせてご参考ください。

賃上げ要件について

本補助金の補助対象者となるためには、賃上げ要件も満たさなければいけません。

具体的には、以下のことが必要です。

  1. 補助事業完了年度(基準年度)を起点として、3事業年度後までの期間において、「給与支給総額」または「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率を、事業実施場所の都道府県における直近5年間(2019年度~2024年度)の最低賃金の年平均上昇率以上にすることを目標に掲げる
    ※「給与支給総額」または「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」どちらにするかは応募申請時に選択
  2. 目標を従業員などに表明する
  3. 実際に達成する

給与支給総額には、給料、役員報酬、賞与のほか、残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族手当、住宅手当など、給与所得として課税対象となる経費が含まれます。

なお、年平均成長率の目標は、以下の計算式で算出されます。

出典:中小企業成長加速化補助金概要資料 p.4丨中小企業成長加速化補助金事務局

都道府県別における最低賃金の年平均上昇率は、以下のとおりです。

出典:中小企業成長加速化補助金(1次公募)公募要領 p.3丨中小企業成長加速化補助金事務局

例えば補助事業実施場所が石川県で、基準年度の1人当たりの給与支給総額が500万円だった場合、以下のように考えます。

出典:中小企業成長加速化補助金概要資料 p.4丨中小企業成長加速化補助金事務局

なお、賃上げ要件では、以下に該当する場合には、受け取った補助金を返還しなければならないことも定められているため注意しましょう。

  1. 交付決定までに目標を従業員などに表明しなかった場合
  2. 基準年度の「給与支給総額」または「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」が、申請時の直近の事業年度の「給与支給総額」または「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」を下回っている場合
  3. 申請時に掲げた目標を達成できなかった場合(未達成率に応じて返還)※天災など事業者の責任ではない理由の場合は除く

本補助金の対象者になるには、中小企業者であることが求められます。ここでいう中小企業者とは、以下を満たす者です。

(1)「中小企業等経営強化法」第2条第1項各号にて規定される中小企業者であること(下表に該当するものであること)

業種定義
製造業、建設業、運輸業、その他資本金の額または出資の総額が3億円以下、かつ従業員数が300人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業、工業用ベルト製造業を除く資本金の額または出資の総額が3億円以下、かつ従業員数が900人以下
卸売業資本金の額または出資の総額が1億円以下、かつ従業員数が100人以下
サービス業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下、かつ従業員数が100人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業資本金の額または出資の総額が3億円以下、かつ従業員数が300人以下
旅館業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下、かつ従業員数が200人以下
小売業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下、かつ従業員数が50人以下
会社または個人の場合
組織形態定義
事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
商工組合、商工組合連合会
商店街振興組合、商店街振興組合連合会
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業連合会直接または間接の構成員の2/3以上が、5,000万円(卸売業を主たる事業とする事業者は1億円)以下の金額を資本金の額または出資の総額とする法人、あるいは常時50人(卸売業またはサービス業を主たる事業とする事業者は100人)以下の従業員を使用する者
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会直接または間接の構成員たる酒類製造業者の2/3以上が、3億円以下の金額を資本金の額または出資の総額とする法人、あるいは常時300人以下の従業員を使用する者
酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会直接または間接の構成員たる酒類販売業者の2/3以上が、5,000万円(酒類卸売業者は1億円)以下の金額を資本金の額または出資の総額とする法人、あるいは常時50人(酒類卸売業者は100人)以下の従業員を使用する者
内航海運組合、内航海運組合連合会直接または間接の構成員たる内航海運事業者の2/3以上が、3億円以下の金額を資本金の額または出資の総額とする法人、あるいは常時300人以下の従業員を使用する者
技術研究組合直接または間接の構成員の2/3以上が中小企業者、企業組合、協業組合に該当する者
組合または連合会の場合

(2)売上高が10億円以上100億円未満であること
(3)日本国内で登記された法人で、国内に事業実施場所を有すること
(4)収益事業を行っていること
(5)国内金融機関に口座を有し、日本円での精算が可能なこと
(6)本事業を遂行できる組織、人員などを有していること
(7)本事業の遂行に必要な経営基盤を有し、資金などについて十分な管理能力を有していること
(8)経済産業省/中小企業基盤整備機構からの「補助金交付等停止及び契約に係る指名停止措置」を受けていないこと
(9)単独または複数の中小企業者であること
(10)経済産業省/中小企業基盤整備機構にすべての申請データを共有することに合意できること
(11)公募開始日時点において、直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円以下であること
(12)みなし大企業(発行済株式の総数、または出資価格の総額の1/2以上を同一の大企業が所有しているなど)でないこと
(13)同一法人とみなされた場合、いずれかの1社のみの申請すること(例えば親会社が議決権50%超を有する子会社が複数存在している場合、当該の親会社や子会社は同一法人とみなされる)

本補助金の対象者となるには、以下の不支給要件に該当しないことも求められます。

不支給要件の種類詳細
事業実施に関する要件・企画のみで大半を外注する事業
・実質的な労働を伴わない事業
・資産運用的性格が強い事業
・設備を第三者に長期貸与する事業
産業分野に関する要件・1次産業(農業、林業、漁業)が主体の事業
雇用・賃金に関する要件・従業員の解雇で賃上げ要件を達成する事業
・補助事業期間中のみ従業員削減を行う事業
法令・社会規範に関する要件・公序良俗に反する事業
・法令違反や消費者保護の観点で不適切な事業
・風営法対象の事業
・暴力団関係の事業
申請に関する要件・同一事業者による複数申請となる事業
・他の補助金との二重受給となる事業
・申請時に虚偽の内容を含む事業
中小企業成長加速化補助金の主な不支給要件

上記に該当する場合は、補助金交付候補者として不採択となります。また、採択後や交付決定後であっても、これらの要件に該当することが判明した場合は取り消しとなる可能性があります。

本補助金は、原則として事業者単独での申請が基本となりますが、より大きな相乗効果が期待できる場合には、複数事業者による共同申請(コンソーシアム)も認められています。

共同申請を行う場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 全ての共同申請者が要件②を満たすこと
  2. 各申請者が「100億宣言」と「賃上げ要件」に対応すること
  3. 少なくとも1者は投資額5,000万円以上(専門家経費・外注費を除く)の投資を行うこと

本補助金では、ほかに100億宣言を実施した企業のグループの全部あるいは一部での共同申請も、要件を満たせば可能です。

なお、設備を取得する際にリース会社を利用する場合、事業者とリース会社と共同申請という形になります。リースの場合は、リース会社が購入した設備機械装置のみが補助対象経費となり、手数料や保険料等は対象外です。また、建物の取得においてリース会社を利用した際は、建物費が補助対象になりません。

中小企業成長加速化補助金の補助対象経費

中小企業成長加速化補助金の補助対象経費は、大きく5つの項目に分類されます。

補助対象経費概要
建物費・もっぱら補助事業のために使用される事務所や生産施設、加工施設、販売施設などの建設、増築、改修、中古建物の取得に関する経費
機械装置等費・もっぱら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具の購入、製作、借用に関する経費
・上記と一体で行う改良・修繕、据付または運搬に要する経費
ソフトウェア費・もっぱら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムなどの購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費
・上記と一体で行う改良・修繕に要する経費
外注費・補助事業遂行のために必要な加工や設計、検査などの一部を外注するときにかかる経費
専門家経費・補助事業遂行のために依頼した専門家に支払う経費
中小企業成長加速化補助金の補助対象経費

なお、投資額要件である1億円以上の算定では、建物費・機械装置等費・ソフトウェア費のみが対象となります。外注費と専門家経費は含まれないため注意しましょう。

中小企業成長加速化補助金において、補助対象外となる主な経費は以下の通りです。投資計画を検討する際は、これらの経費を除外して検討する必要があります。

  • 補助事業期間中の販売を目的とした製品・商品などの生産にかかる機械装置・システム構築費以外の諸経費
  • 売電を行うための発電設備および当該設備と一体不可分の附属設備(太陽光発電用ソーラーパネルなど)
  • 家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
  • 電話代、インターネット利用料金など(クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費以外)
  • 文房具などの事務用品などの消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体などの会費
  • 飲食、奢侈、娯楽、接待などの費用
  • 自動車等車両の購入費・修理費・車検費用(事業所内のみで走行し公道を自走できないものは除く)
  • 税務申告、決算書作成などで支払う税理士・公認会計士費用、訴訟対応などで支払う弁護士費用
  • 収入印紙、振込等手数料(代引手数料含む)、両替手数料
  • 消費税および地方消費税等
  • 各種保険料
  • 借入金などの支払利息および遅延損害金
  • 報告書などの事務局に提出する書類作成・申請に要する費用
  • 事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・タブレット端末・スマートフォンなどの汎用品の購入費用
  • 価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費用(中古市場において広く流通していない中古機械設備など)
  • ソフトウェア開発など事業にかかる自社の人件費
  • 同一代表者・役員が含まれている事業者、みなし同一法人内の事業者への支払い、同一企業の部署間の支払い
  • 社会の一般常識と照らし合わせて適切とは言い難い経費

補助対象経費においては、以下のような注意点があります。対象経費・対象外経費の種類とあわせておさえておきましょう。

主な注意事項内容
発生時期と支払方法・交付決定日以降の経費のみ対象
・銀行振込のみ対象(現金払い、手形払い不可)
・交付決定前の契約・発注は対象外
相見積の実施・次の相見積必要金額(税抜)を超える場合、原則2者以上の相見積が必要
→建物、機械、ソフトウェア:100万円以上
→外注費、専門家経費:50万円/件以上
・相見積不可の場合は理由書と価格妥当性の証明が必要・ペーパーカンパニーや販売実績のない業者による見積は不認可
契約先の選定経済産業省または中小企業基盤整備機構から、「補助金交付等停止及び契約に係る指名停止措置」が講じられている事業者に発注・契約したときにかかる経費は対象外
経費計算・消費税は原則除外(※免税・簡易課税事業者は含可)
財産管理・補助事業で取得した財産への抵当権設定には事前承認が必要
・根抵当権の設定は不可
中小企業成長加速化補助金の補助対象経費における主な注意事項

本補助金では、応募申請時の補助金申請額の算定において、原則として消費税等を補助対象経費から除外する必要があります。ただし、以下の事業者は例外的に消費税等を補助対象経費に含めることができます。

  • 消費税法における納税義務者とならない事業者
  • 免税事業者
  • 簡易課税事業者
  • 国・地方公共団体(特別会計のみ)、消費税法別表第3に掲げる法人
  • 国または地方公共団体の一般会計である事業者
  • 課税売上割合が低いなどの理由で、消費税仕入控除税額確定後の返還を選択する事業者

なお、事業者側が希望する場合は、上記の例外対象者であっても消費税等を補助対象経費から除外することは可能です。

中小企業成長加速化補助金の補助率・補助上限額

中小企業成長加速化補助金の補助率は対象経費の1/2で、補助上限額は5億円です。

中小企業成長加速化補助金の補助事業実施期間

中小企業成長加速化補助金の補助対事業実施期間は、交付から24ヶ月以内となっています。この期間のうちに契約から導入までが済んだ設備の費用に対して、補助が行われます。

中小企業成長加速化補助金の大まかな流れ

中小企業成長加速化補助金は以下のような流れで進みます。

出典:中小企業成長加速化補助金丨中小企業庁

  1. 事前準備
    まずは、GビズIDプライムアカウントの取得と「売上高100億円を目指す宣言」を行います。また、公募要領を確認して、事業計画書など必要な書類を準備します。
  2. 公募開始~交付候補者決定
    公募が始まったら、締切前に余裕を持って申請を行います。申請すると事務局による審査が行われ、交付候補者が決められます。なお、審査は提出書類にもとづく書面審査である1次審査、定性面も含めたプレゼンテーション審査である2次審査があります。
  3. 交付決定~補助事業実施
    交付決定を受けたら、補助事業を開始します。補助事業の実施期間は交付決定日から24ヶ月以内です。補助事業が終了したら、再度事務局による審査が入ります。審査結果を元に事務局が補助額を決めたら、事業者の方から事務局に支払請求をして補助金を受け取ります。
  4. 補助事業終了後
    補助金を受け取ったあとは、5年間、事業化や賃上げの状況報告を定期的に行います。

本補助金の申請は、必要書類を作成・準備の上、下記の「jGrants」のページを通じて電子申請で行います。
提出先:https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDKBeMAP

「jGrants」の利用には、GビズIDプライムアカウントの取得が必須となりますので、事前に取得しておきましょう。

本補助金で必要な書類は、以下のとおりです。なお、申請様式は公募開始後、以下のページからダウンロードできるようになります。
https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDKBeMAP

全申請者が必要な書類

申請フォーム名注意点提出ファイル名
投資計画書(様式1)・35ページ以内で作成し、PDF形式に変換
・共同申請は幹事企業が作成
・決算資料と様式2の数値との整合性を確認
・数値は指定の単位で記載
1_㈱○×_投資計画書(様式1).pdf
投資計画書別紙(様式2)・Excel形式で提出
・決算資料と様式1の数値との整合性を確認
・数値は指定の単位で記載
2_㈱○×_投資計画書別紙(様式2).xlsx
ローカルベンチマーク(様式3)・所定のExcelフォーマットを使用
・共同申請は全事業者分を作成
・事業者名の記載が必須
・決算資料の数値との整合性を確認
・数値は指定の単位で記載
3_㈱○×_ローカルベンチマーク(様式3).xlsm
決算書等(3期分)・確定した決算資料をPDF形式で提出
・3期分ない場合は不足分を白紙で提出
・貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費の明細が必須(製造業であれば製造原価明細書も)
・決算期ごとにファイルを分けて提出
4-1_㈱○×決算書(前々期決算分).pdf
4-2㈱○×決算書(前期決算分).pdf
4-3㈱○×_決算書(最新決算分).pdf
中小企業成長加速化補助金において全申請者が必要な書類

特定の申請者が必要な書類

申請フォーム名注意点提出ファイル名
金融機関による確認書(様式4)・金融機関から投資計画の確認を受けた場合に必要
・所定の様式に金融機関が必要事項を記入したものをPDF形式で提出
5_㈱○×_金融機関による確認書(様式4).pdf
リース取引に係る誓約書(様式5)・リース会社との共同申請をする場合に必要
・所定の様式に必要事項を記入してPDF形式で提出
6_㈱○×_リース取引に係る誓約書(様式5).pdf
リース料軽減計算書(様式6)・リース会社との共同申請をする場合に必要
・所定の様式に必要事項を記入してPDF形式で提出
※リース料から補助金相当分が減額されていることを証明する書類が必要な可能性あり
7_㈱○×_リース料軽減計算書(様式6).pdf
中小企業成長加速化補助金において特定の申請者が必要な書類

本補助金の第1回公募スケジュールは以下の通り計画されています。

時期内容
2025年4月下旬公募説明会の実施
2025年5月8日(木)申請受付開始
2025年6月9日(月)17:00申請受付締切
2025年7月上旬1次審査結果の公表
2025年7月下旬~8月下旬頃※2次審査(プレゼンテーション審査)実施
2025年9月上旬以降採択結果の公表
中小企業成長加速化補助金の第1回公募スケジュール

なお、応募申請件数によって、採択結果の公表時期については前後する可能性があります。

中小企業成長加速化補助金において事業者に課される義務

中小企業成長加速化補助金において事業者に課される義務について解説します。

本補助金の交付を受けた事業者には、以下のような義務が課されます。これらの義務を怠ると、補助金の返還を求められる可能性があるため、注意が必要です。

義務の種類詳細
実績報告義務・補助事業完了から30日以内、または補助事業期間終了日のいずれか早い日までに実績報告書を提出
・消費税等仕入控除税額が明らかな場合は、その額を減額して報告
賃上げ・事業状況報告義務・基準年度終了後から5年間(計6回)、事業化状況と賃金引上げ状況を毎会計年度終了後60日以内に報告
・検査により返還命令等があった場合は従う必要あり
実地検査等への協力義務・事務局からの要求に応じて状況報告書を作成・提出
・必要に応じた現地調査への協力
・補助事業完了後の予告なし実地検査への対応
書類保管義務・補助事業関係書類を事業終了後5年間保存
・事務局や会計検査院からの求めに応じて閲覧提供できるよう保管
事業リスク等の報告義務・倒産や事業撤退など、事業遂行に支障が出る可能性がある場合は速やかに報告
財産処分制限・取得財産処分時は残存簿価相当額または時価での国庫納付が必要
・取得財産のうち、単価50万円以上の機械などの財産や、効用の増加した財産を処分制限期間内に処分するときは事前承認が必要
不正防止への対応・補助金の目的外使用や虚偽報告等の禁止
・違反行為が発覚した場合は交付決定取り消しや補助金の返還が求められる場合あり
EBPMへの協力・補助金の採否にかかわらず、経済産業省などが行うEBPM(証拠に基づく政策立案)への継続的な情報提供が必要
中小企業成長加速化補助金において事業者に課される主な義務

これらの義務は、補助金の適正な執行と効果検証のために設定されています。特に賃上げ要件や書類保管、実地検査への対応など、長期にわたる対応が必要な義務もあるため、申請前に十分な理解と準備が求められます。

中小企業成長加速化補助金の採択率を上げるポイント

中小企業成長加速化補助金は、他の補助金と同様、支援を受けるには事務局に採択されなければいけません。採択率を上げるためにしておきたい方法を紹介します。

本補助金の公募要領には、採択にあたっての審査内容が記載されています。当該の内容を反映した投資計画を作成することが、採択を勝ち取る第一歩です。

審査内容

本補助金の審査は、「経営力」「波及効果」「実現可能性」の3つの観点から定量的・定性的に行われます。各項目の具体的な内容は以下の通りです。

観点詳細
経営力・将来の売上高100億円に向けた中長期的なビジョン・計画はあるか。その上で、今後5年程度の具体的な事業戦略が論理的に構築され、当該事業が効果的に組み込まれているか
・市場・顧客動向などの外部環境、経営資源などの内部環境の分析が適切になされているか。その上で、当該事業が効果的に組み込まれているか
・適切な成果目標が示され、その達成に効果的な管理体制が構築されているか
・コンソーシアム形式の場合は、連携の意義や目的が明確で、連携による相乗効果が見込まれる内容となっているか
波及効果・具体的で妥当な賃上げ計画が立てられているか
・域内仕入拡大などに資する事業か
・取引先との適切な関係構築ができているか
実現可能性・計画を実行できる経営体制が構築されており、早期の投資実行と効果創出が見込まれるか
・事業遂行に十分な財務状況となっているか
・金融機関のコミットメントが得られているか
中小企業成長加速化補助金における審査の主な内容

審査では、まず提出書類による書面審査(1次審査)が行われ、通過した申請者に対して、定性面も含めたプレゼンテーション審査(2次審査)が実施されます。2次審査では経営者自身による説明が必須となり、外部有識者との質疑応答も行われます。

投資計画を作り込むときのコツ

投資計画を作り込むときは、以下のポイントをおさえるとよいでしょう。

「経営力」の観点では、売上高100億円達成への道筋を具体的に示すことが重要です。市場分析や自社の強み・弱みを明確にした上で、5年間の成長戦略と本補助事業の位置づけを論理的に説明できるようにしましょう。

「波及効果」では、従業員への還元としての賃上げ計画を都道府県別最低賃金上昇率以上で設定する必要があります。また地域経済への貢献として、地元サプライヤーとの取引拡大なども盛り込むと効果的です。

「実現可能性」については、投資計画の実現に向けた社内体制や財務状況の健全性を示す必要があります。特に金融機関による確認書の提出は加点要素となるため、金融機関との連携も検討すべきです。

また、2次審査では投資計画をわかりやすく伝えるだけでなく、経営者の本気度と熱意が伝わるように話すとなおよいでしょう。本番を想定した擬似プレゼンを社内で行うなど、準備を入念にすることをおすすめします。

本補助金の申請は、複雑な手続きや要件、専門的な事業計画書の書き方など、多くの事業者にとって負担が大きいものです。これらの課題を解決するために、補助金申請サポートの専門家に相談することをおすすめします。

専門家は、補助金の公募要領を熟知しており、申請に必要な書類や手続きをスムーズに進めるためのサポートを提供してくれます。また、審査基準に合致した効果的な投資計画書の作成支援もしてくれます。

専門家への相談によって得られるメリットは、主に以下の通りです。

メリット詳細
採択率の向上知識と経験に基づいた申請サポートで、採択率を向上させることができる
時間と労力の節約複雑な手続きや書類作成を任せることで、時間と労力を大幅に節約できる
最新情報の入手最新情報を提供してもらうことで、制度の細かい変化に適切な対応が可能になる
適切なアドバイス事業計画の内容や資金計画など、申請に関するさまざまな疑問や悩みに対して、適切なアドバイスを受けられる
補助金申請の専門家への相談によって得られる主なメリット

補助金申請は時間と労力を要する作業です。専門家のサポートの活用は、申請プロセスを効率化し、採択の可能性を高める有効な手段となります。

専門家を選ぶときは、実績や得意分野を確認し、自社の事業内容や課題に合ったサポートを提供してくれるかを見極めることが重要です。複数の専門家から話を聞き、費用やサービス内容を比較検討すると、最適なパートナーを見つけられるでしょう。

中小企業成長加速化補助金の申請チェックリスト

詳細チェック
事業概要
事業の目的、補助対象、要件を理解しているか
補助事業実施場所(工場や店舗など)を有しているか
補助金上限額(5億円)・補助率(1/2)を確認したか
申請スケジュール(申請受付:2025年5月8日~6月9日)を確認したか
申請資格
中小企業の要件を満たしているか
売上高が10億円以上100億円未満であるか
みなし大企業、みなし同一法人に該当していないか
補助金交付停止などの措置を受けていないか
基本要件
補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜)であるか
100億宣言が公表されているか
賃上げ要件を満たす5年程度の事業計画を策定しているか
補助事業を日本国内で実施するか
経費
補助対象経費と補助対象外経費を理解しているか
建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計が1億円以上となっているか
見積書(原則2社以上)を取得しているか
申請準備
GビズIDプライムアカウントを取得済みか
電子申請システムjGrantsの操作方法を確認済みか
必要書類一式をすべて用意したか
投資計画書
売上高100億円達成に向けた具体的な計画を記載しているか
市場分析や自社の強み・弱みの分析を行っているか
投資計画の実現可能性を示す根拠を記載しているか
地域経済への波及効果を具体的に示しているか
事後義務
実績報告の義務を理解しているか
賃上げ状況報告(5年間)の義務を理解しているか
証拠書類の保管(5年間)義務を理解しているか
財産処分制限を理解しているか
その他
プレゼンテーション審査の対応準備ができているか
金融機関との連携を検討しているか
事業完了後のフォローアップ体制を検討しているか
中小企業成長加速化補助金申請チェックリスト

中小企業成長加速化補助金を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業成長加速化補助金は、最大5億円と比較的大きい金額の支援を受けられるため、高い成長意欲を持つ中小企業であればぜひ利用したい補助金制度です。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金制度の申請支援を行うエキスパートとして、投資計画書の策定や手続きの支援を行っています。

また、補助金を受け取ったあとの事業運営についても、手厚くフォローを行っているのも当社の強みです。本補助金をもとに持続的・飛躍的な成長を目指したいとお考えでしたら、ぜひトータルでのサポートを強みとしている当社にご相談ください。初回相談は無料です。

【令和7年最新】中小企業省力化投資補助事業とは?カタログ注文型・一般型の詳細と採択率アップのコツを解説

中小企業省力化投資補助事業の概要

中小企業においては人手不足が深刻化しており、生産性向上や業務効率化が喫緊の課題です。中小企業庁では、そうした課題に立ち向かう中小企業を支援するため、さまざまな補助金制度を設けています。

「中小企業省力化投資補助金」は、中小企業等がIoT、ロボットなどの導入を通して生産性向上を図る際に、その費用の一部を補助する制度です。中小企業庁の政策の実施機関である中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施し、全国中小企業団体中央会が同機構からの委託を受けて本事業のサイトを運営しています。

この記事では、中小企業省力化投資補助金について、制度の概要から申請方法、採択されるためのコツまでを、「中小企業省力化投資補助金の専用サイト」で公表されている各資料をもとに解説します。

なお、本事業においては、令和7年に「一般型」という新たな枠が設けられることになりました。令和6年12月6日に更新された最新情報もご紹介します。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

中小企業省力化投資補助事業とは

中小企業省力化投資補助事業とは、人手不足に悩む中小企業等の売上拡大や生産性向上を支援することを目的とした補助金制度です。具体的には、清掃ロボットや自動券売機、無人搬送車など、人手不足解消に効果がある製品の導入に係る費用の一部を補助します。これにより、中小企業等の付加価値額や生産性の向上、従業員の賃上げを支援します。

本事業には、他の補助金同様、以下のようなメリットがあります。

メリット説明
設備投資に必要な資金が調達できる自己資金が不足している場合でも設備投資を行いやすくなる
融資が受けやすくなる補助金事業に採択されることで事業の信頼性が高まり、金融機関からの融資を受けやすくする効果が期待できる
客観的な自社分析ができる補助金申請に必要な事業計画書の作成を通して、自社の強みや弱み、事業環境などを分析する機会が得られる
中小企業省力化投資補助事業を活用するメリット

これらのメリットを活かすことで、中小企業は生産性向上や競争力強化を図り、持続的な成長を実現できる可能性が高まります。

本事業においては、令和7年は従来の「カタログ注文型」とは別に「一般型」の枠が追加されます。

カタログ注文型では、あらかじめ登録された汎用製品を簡易に導入できる即効性のある支援を行います。一般型では、業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、DXなど、個別の現場に合わせた多様な省力化投資を促進します。

本事業は、中小企業等事業再構築促進基金が活用(令和6年再編)されます。予算規模3,000億円です。

中小企業省力化投資補助事業の概要(カタログ注文型とは別に一般型が追加される)

中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)の詳細

中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)は、従来から行われている事業です。指定の製品カテゴリに登録された省力化製品を導入し、同製品の販売事業者と共同で取り組みます。2024年12月11日に改訂された公募要領をもとに詳細をご紹介します。

カタログ注文型の補助対象者は、交付申請時点で日本国内で法人登記等がされ、日本国内で事業を営む中小企業等です。ここでいう中小企業等は、「中小企業者(組合関連以外)」「中小企業者(組合・法人関連)」「中小企業者以外の法人」を指します。

それぞれの要件は以下のとおりです。

中小企業者(組合関連以外)

中小企業者(組合関連以外)は、下表の数字以下になっている法人・個人を指します。

業種資本金従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人
中小企業者(組合関連以外)の要件

中小企業者(組合・法人関連)

中小企業者(組合・法人関連)は、下記のような組織に該当する法人のことです。

  • 企業組合
  • 協業組合
  • 事業協同組合/事業協同小組合/事業協同連合会
  • 商工組合/商工組合連合会

このほか、水産加工業協同組合/水産加工業協同組合連合会、生活衛生同業組合/生活衛生同業小組合/生活衛生同業組合連合会などが該当します。

「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人

以下のいずれかに当てはまる法人も補助対象です。

  1. 以下の要件をすべて満たす特定非営利活動法人(NPO法人)
    ・中小企業一般の振興・発展に直結する活動を広く行っていること
    ・従業員数300人以下であること
    ・収益事業を行うこと
    ・認定NPO法人でないこと
    ・経営力向上計画の認定を受けていること
  2. 以下の要件をすべて満たす社会福祉法人
    ・所管庁の認可を受けていること
    ・従業員数300人以下であること
    ・収益事業の範囲内で補助事業を行うこと

なお、大企業やみなし大企業(大企業が実質的に支配している企業)は対象外となります。また、同一法人とみなされる親会社・子会社からの複数申請も認められません。

補助対象者がカタログ注文型を利用したいときは、以下の要件をすべて満たす必要があります。

補助対象事業要件

  1. 導入する省力化製品に紐付けられた業種のうち、少なくとも1つ以上が中小企業等の営む事業の業種と合致すること
  2. カタログに登録された価格以内の製品本体価格・導入経費を補助対象として事業計画に組み込むこと
  3. 補助事業の終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる事業計画を策定し実行すること(労働生産性の向上目標)
  4. 賃上げによる補助上限額の引き上げを希望する場合は、事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させる計画を従業員に表明し実行すること(賃上げ目標)
  5. 省力化製品を登録されている業種・業務プロセス以外の用途に使用しないこと
  6. 合理的に目標達成が可能な事業計画に沿って実施すること
  7. 効果報告期間中は、補助事業者が自然退職や自己都合退職以外の解雇を積極的に行わないこと
  8. 補助額が500万円以上の場合は、所定の保険への加入を行うこと

3と4に関しては補助事業実施中に達成できなかった場合、事務局への補助金の減額・返還が求められます。

なお、以下のような事業は補助対象外となります。

  • 不動産賃貸等の実質的な労働を伴わない事業
  • 1次産業(農業・林業・漁業)
  • 日本国外で実施する事業
  • 公序良俗に反する事業
  • 法令違反の恐れがある事業

このほか、制度趣旨や公募要領にそぐわない事業も対象外です。

補助対象者、販売事業者および対象リース会社の要件

  1. 補助対象者が人手不足の状態にあることが確認できること
  2. 補助対象者の全従業員の賃金が最低賃金を超えていること(交付申請時および実績報告時の直近月の最低賃金を基準とする)
  3. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が風俗営業等の規制対象事業を営んでいないこと(旅館業等一部除外あり)
  4. 補助対象者が過去1年間、労働関係法令違反による送検処分を受けていないこと
  5. 補助対象者が所定の法人・個人の要件を満たしていること
  6. 補助対象者が他の補助金などとの重複に該当しないこと
  7. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が補助対象事業の要件に合致している事業を行うこと
  8. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が公募要領などに記載されたルールを遵守していること
  9. 補助対象者がGビズIDプライムを取得していること
  10. 販売事業者が製品の納入やサポートに責任を持ち、「省力化製品販売事業者登録要領」を遵守すること
  11. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が、経済産業省や中小機構から補助金交付等停止措置または指名停止措置を受けていないこと

これらの要件は公募申込時点で満たしている必要があり、一時的な要件充足は認められません。虚偽や不正が発覚した場合は、交付決定の取り消しとなる場合があります。

販売事業者および対象リース会社については、事前に本事業指定の登録申請を済ませていることから、中小企業等が本事業を利用する際に販売事業者らの要件について気にする必要はないと考えられます。

カタログ注文型における補助率は、一律1/2です。

補助上限額は、従業員数によって以下の通り設定されています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ時の補助上限額
5人以下200万円300万円
6~20人500万円750万円
21人以上1,000万円1,500万円
中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)の補助上限額

大幅賃上げとは、補助対象事業要件に記載した「事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させる」ことを指します。これらの目標を達成できなかった場合は、補助額が通常の上限額まで減額される可能性があります。

カタログ注文型の補助対象経費は、製品本体価格と導入経費に大別されます。

製品本体価格

主な対象製品と留意点は以下のとおりです。

項目概要
対象製品・機械装置
・工具や器具
・専用ソフトウェアや情報システム
留意点・製品カタログの事前登録価格が上限
・単価50万円以上
・補助事業専用であること
製品本体価格における主な対象製品と留意点

一方、以下のような経費は対象外となります。

  • 顧客負担費用が含まれるもの
  • 無償提供品
  • 中古品
  • 交付決定前の購入製品
  • リース契約の金利・保険料
  • 公租公課(消費税)

なお、ポイント還元や払い戻しによる実質価格の引き下げ、不当な価格つり上げ、関係者間での資金還流等の不正行為が発覚した場合、立入調査や交付決定取消、事業者名の公表等の措置が取られます。

導入経費

主な対象経費と留意点は以下のとおりです。

項目内容
対象経費・設置作業費
・運搬費
・動作確認費用
・マスタ設定などの導入設定費用
留意点製品本体価格の2割が上限
導入経費における主な対象製品と留意点

一方、以下のような経費は対象外となります。

  • 交付決定前の費用や補助事業期間外の費用
  • 過去購入品の作業費や非補助対象品の費用
  • 製品導入と無関係の作業費
  • 試運転に伴う原材料費/光熱費
  • 通常業務に対する代行作業費
  • 移動交通費/宿泊費
  • 委託外注費
  • 交付申請時に金額が未確定なもの
  • 無償提供されたもの
  • 補助金申請申請代行費
  • リース契約時の金利や保険料
  • 公租公課(消費税)

なお、導入経費についても、不当な減額や無償化、利害関係者への不当な利益配分といった行為は認められません。このような行為が発覚した場合は、製品本体価格と同様のペナルティ対象となります。

カタログ注文型は、2024年6月25日(火)から随時受付中となっています。

カタログ注文型では、以下のような流れで進みます。

事業計画を策定する

まずは公募要領に目を通した上で、販売事業者と共同して事業計画の策定を行います。具体的な手順は以下のとおりです。

手順主な内容備考
1.省力化製品・販売事業者選択・事務局HPの「製品カタログ」ページから省力化製品と販売事業者を選ぶ・販売事業者に本事業の交付申請を行いたい旨を連絡す・新規事業は対象外
・事前登録製品のみ対象
2.人手不足の確認以下のいずれかに該当すること
①残業時間30時間超
②従業員5%以上減少
③求人未充足
④その他
・④は審査が厳格化
・採択通知が遅延の可能性あり
3.事業計画作成カタログから選んだ製品で事業要件である「労働生産性の向上目標」(3年間で年平均成長率3.0%以上)が達成する計画を作成。以下の説明を盛り込む
・導入製品の使用方法
・期待される省力化効果
・抽出される時間や人員の使途
・賃上げ計画がある場合は表明必要
4.保険加入検討・補助額500万円以上は加入必須
・保険金額は補助額以上
・保険料は補助対象外
・500万円未満も加入推奨
事業計画策定の手順と要件

なお、リース取引や賃貸借契約による導入を検討する場合は、追加の要件や手続きが必要となるため、事前にリース会社かリース事業協会へ確認することをおすすめします。

事務局に交付申請する

事業計画書を作成したら、公募期間中に申請受付システムを通じて行います。なお、システムには販売事業者から招待されて初めてアクセスできます。専用サイトに申請フォームが設置されているわけではありませんので注意しましょう。また、「GビズIDプライム」アカウントの取得が必要になるため事前に済ませておきます。

事務局が審査を実施して採択事業者を決定する

事務局が提出された書類をもとに審査を行います。採択されると、申請受付システムを通じて交付決定の通知が事業者に届きます。また、事業者の名称、法人番号、所在地(市区町村まで。個人事業主の場合は都道府県まで)、申請年度を事務局のサイトに公表するための同意が求められます。

補助事業を実施する

事業計画書の記載内容に沿って、補助事業を実施します。補助事業の実施期間は、交付決定日から原則12ヶ月以内です(交付決定通知書に記載)。

補助事業では、事業計画に基づいてカタログに登録されている省力化製品を購入し、販売事業者と協力して導入・業務プロセスの改善を行います。

補助事業完了したら、事務局へ実績報告を提出します。その際は以下の3点が必要です。

  1. 支払いに係る証憑(発注・契約・納品・検収・請求・支払いなどの書類)※銀行振込のみ対象
  2. 導入実績に係る証憑
  3. 事業計画の達成状況(省力化の効果、賃上げ実績)

なお、賃上げによる補助上限額の引き上げを適用している場合は、賃金引き上げ実績が確認できるまで実績報告を行うことはできません。

事務局による補助額確定後、補助金を受け取る

事務局が実績報告をもとに補助金を確定したら、事務局に支払請求を行い、補助金を受け取ります。

補助事業完了後3年間、効果報告を事務局に行う

本事業では、補助事業完了後から3年間の効果報告が義務付けられています。毎年度、事務局が定める期限までに以下の項目について報告を行う必要があります。

  1. 省力化製品の稼働状況
  2. 事業計画の達成状況
    ・省力化の効果(従業員数、労働時間、決算情報)
    ・賃上げ実績(給与支給総額、事業場内最低賃金)

「労働生産性の向上目標」(3年間で年平均成長率3.0%以上)の達成状況は、3回目の効果報告で最終判断されます。

なお、以下のケースでは補助金の返還や収益納付が求められる可能性があります。

  • 省力化を理由とした人員整理・解雇の実施
  • 事業者の故意や過失による目標未達
  • 賃上げによる補助上限額の引き上げ適用後に賃金を引き下げ
  • 本事業による収益の発生

また、効果報告期間中は実地検査も行われ、省力化製品の設置・使用状況が確認されます。使用状況が確認できない、別の補助金事業に使用しているなどが確認された場合、交付決定が取り消されるため注意が必要です。

補助事業完了後、取得した省力化製品の適切な管理をする

本事業で取得した省力化製品は、補助金適正化法に基づき、効果報告期間が終わっても法定耐用年数が経過するまでは厳格な管理が必要です。

例えば、製品の売却・転用・破棄などの財産処分を行う場合は、事前に事務局の承認を得なければなりません。承認後は、残存簿価相当額または時価(譲渡額)を補助金額を上限として納付する必要があります。無断で貸付や転売等を行った場合は、交付決定が取り消されるため注意しましょう。

なお、財産処分に関する申請や納付は、その財産の所有者が行います。ファイナンス・リース取引で導入した場合は、所有権を持つリース会社が手続きを行う必要があります。

カタログ注文型の申請に必要な提出書類は、以下のとおりです。なお、指定様式については、事務局HPの「資料ダウンロード」ページから取得できます。

区分必要書類
全事業者共通・従業員名簿 【指定様式】(中小企業判定用)
・損益計算書(前期・前々期分)
・貸借対照表(前期・前々期分)
法人・履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
・法人税の納税証明書(その2)(直近3期分)
・役員名簿 【指定様式】
・株主・出資者名簿 【指定様式】
個人・確定申告書の控え 第一表(直近1期分)
・所得税の納税証明書(その2)(直近1期分)
人手不足に関する書類いずれかひとつ
・時間外労働時間 【指定様式】
・従業員減少の確認用 【指定様式】
・求人サイトのキャプチャなど
賃上げに関する書類事業場内で働く最低賃金者の賃金台帳
事業計画に関する書類省力化効果判定シート 【指定様式】
リース取引を利用する場合の追加書類・リース料軽減計算書
・リース取引に係る宣誓書
中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)で必要な提出書類

以上の書類を電子申請システムを通じて提出する必要があります。なお、申請内容によって追加で書類提出を求められる場合もありますので、事前に十分な準備が必要です。

中小企業省力化投資補助事業(一般型)の詳細

中小企業省力化投資補助事業は、令和7年からカタログ注文型と一般型の2枠で展開されます。

一般型とは、事業者が自らの事業場用にカスタマイズした設備を導入したり、システムを構築したりするときにかかる費用の一部を補助する枠です。こうした特徴から、オーダーメイド型とも呼ばれることがあります。

一般型については、まだ詳細が公表されていないため、利用を検討している事業者は、定期的に「中小企業省力化投資補助金」の専用サイトや、中小企業庁の「中小企業対策関連予算」をチェックすることをおすすめします。

現時点で判明している詳細をお伝えします。

一般型の補助率は、補助金額1,500万円までは1/2(小規模・再生事業者は2/3)、1,500万円を超える部分は1/3となります。ただし、最低賃金引上げ特例として、小規模・再生事業者を除き補助率を2/3に引き上げることができます。

補助上限額については、応じて段階的に設定されています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ時の上限額
5人以下750万円1,000万円
6~20人1,500万円2,000万円
21~50人3,000万円4,000万円
51~100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円
中小企業省力化投資補助事業(一般型)の補助上限額

大幅賃上げの要件は、カタログ注文型と同様、事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させることになると予想されます。

中小企業省力化投資補助事業の採択率を上げるコツ

中小企業省力化投資補助事業では、採択に至らなければ具体的な資金援助を受けることができません。採択率を上げるには、以下のポイントが重要となるでしょう。

本事業の採択審査では、公募要領の要件を満たしているかに加えて、以下の要素をふまえて総合的に判断するとされています。

  • 投資による労働生産性向上の効果が合理的に説明されているか
  • 単なる工数削減以上の付加価値増加が期待できるか(省力化により新しい取り組みを行う、高付加価値業務へシフトするなど)
  • 賃上げに積極的に取り組んでいる、あるいは取り組む予定であるか(事業場内最低賃金を地域別最低賃金に比べて一定水準まで引き上げる取り組みを考慮)

審査の着眼点は、公募要領ではごく簡単に書かれていますが、採択率を上げる重要な鍵です。意図をしっかり汲み取った上で事業計画に盛り込むようにしましょう。

補助金申請支援の専門家に相談するのもひとつです。補助金制度に関する深い知識と豊富な経験を持っているため、的確なアドバイスやサポートを受けられます。例えば、企業の事業内容や設備投資計画が補助金の要件を満たしているかのチェックや、採択率を高める効果的な事業計画書の作成支援などです。

専門家はさまざまな肩書の人がいますが、おすすめは中小企業診断士です。中小企業の経営課題に常に向き合っている中小企業診断士は、事業者の経営状態を客観的に観察し、その上で現実的な施策を提示することを得意としています。そのため、中小企業診断士に相談すれば、本事業の審査員も納得するような説得力のある事業計画を立てられるでしょう。

中小企業省力化投資補助事業の申請をお考えでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業省力化投資補助事業においては、令和7年はカタログ注文型と一般型の2枠で展開されます。

一般型については詳細が公表されていないため、利用を検討している場合は定期的にチェックすることをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所では、本補助金をはじめ、さまざまな補助金・助成金の申請支援を行っています。採択率を上げるためのアドバイスだけでなく、採択後の事業実施や、さらにその後の事業運営までといったトータル支援も可能です。

また、事業者様の状況を見て、よりふさわしい補助金事業を案内することもできます。まだ明確に利用するか決まっていない事業者様も、ぜひ一度ご連絡いただきましたら幸いです。初回相談は無料となります。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次を徹底解説!補助対象事業から採択率を上げるコツまで

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の概要

近年の日本経済は、生産性向上による経済成長が喫緊の課題となっています。特に、ものづくり、商業、サービス業といった分野においては、生産性向上を実現するための施策が重要です。そこで、中小企業庁は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を設け、中小企業等の生産性向上を支援しています。

この記事では、2025年2月14日から始まった第19次公募について、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第19次公募)」をもとに、補助対象事業や補助対象要件などを徹底解説しています。本補助金の申請を検討されている企業のみなさまのお役に少しでも立ちましたら幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上と持続的な賃上げを支援することを目的とした補助金です。具体的には、革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの改善に必要な設備投資等にかかる費用の一部を補助します。

本補助金は、支援を通して中小企業の競争力強化と従業員の処遇改善の両立を図り、日本経済の持続的な成長に貢献することを目指しています。

ものづくり補助金第19次の公募2025年2月14日(金)からが始まりました。電子申請の受付開始は4月11日(金)17:00から、締切は4月25日(金)です。申請締切直前は申請が集中し、システムが混雑する可能性があるため、余裕を持った申請が推奨されています。なお、採択結果の公表は2025年7月下旬頃を予定しています。

第19次公募の内容は、昨年実施された第18次の内容を大きく改善したものとなっています。主な違いは以下のとおりです。

違い第19次(2025年公募)第18次(2024年公募)
申請枠・製品・サービス高付加価値化枠
・グローバル枠
・製品・サービス高付加価値化枠
 通常類型
 成長分野進出類型(DX・GX)
・グローバル枠
・省力化(オーダーメイド)枠
計画書の仕様・本文をシステム入力
・補足資料をA43枚以内にまとめて提出
A410枚以内にまとめて提出
収益納付ないある
事業実施期間・製品・サービス高付加価値化枠:交付決定日から10ヶ月
・グローバル枠:交付決定日から12ヶ月
実質3ヶ月程度
給与支給総額の要件事業計画期間において、以下のいずれかを達成すること
・従業員および役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を2.0%以上増加させる
・従業員および役員それぞれの1人あたりの給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上に増加させる
事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる
第19次と第18次の違い

これらの中で特に収益納付制度が廃止された点は大きいでしょう。収益納付とは、補助金事業で生じた利益の一部あるいは全部を、補助金交付額を限度として国に納付することを指します。事業者の負担の軽減に直結する変更であり、より利用しやすい内容になっているといえます。

2023年度公募 第16次以前のものづくり補助金の通常枠の事業概要には、「革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に 必要な設備・システム投資等を支援」と書かれていました。つまり、事業の目的が、「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセス・サービス提供方法の改善」どちらであっても、応募することができました。

2024年度公募 第17次公募、第18次公募では、「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセス・サービス提供方法の改善」によって、応募する枠が異なりました。

省力化(オーダーメイド)枠の趣旨は「人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備 (オーダーメイド設備)の導入等 により、革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・ システム投資等を支援」でした。

製品・サービス高付加価値化枠の趣旨は「革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。」でした。

2025年度においては、設備を導入する目的が、「革新的な製品・サービス開発を行う」ためのものなのか?「革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組み」なのか?によって、応募すべき補助金自体が異なることになりました。

 前者であれば、ものづくり補助金。後者であれば、省力化投資補助金の一般枠です。

こうした動きからも、制度設計の担当者も、意識して、目的を明確に区分して制度設計をされていることがわかります。

補助金のお申し込みをご検討されている事業者様は、まずは、設備を導入することで、革新的な製品・サービス開発が実現するのか?もしくは、革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化が実現するのかを明確にされることをお勧めいたします。

↓省力化投資補助金一般枠の記事はこちらから↓

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助対象事業

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助対象事業は、以下のように定められています。

ものづくり補助金第19次における補助対象事業枠は、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つです。

枠名概要
製品・サービス高付加価値化枠・顧客に新たな価値を提供することを目的とした、革新的な新製品・新サービス開発の取り組みを支援
・単なる設備導入や、すでに業界で普及している製品・サービスの開発は対象外
グローバル枠・海外事業を実施し国内の生産性を高める取り組みを支援
・海外直接投資、海外市場開拓(輸出)、インバウンド対応、海外企業との共同事業が対象
ものづくり第19次の補助対象事業枠

ものづくり補助金第19次では、事業者の積極的な賃上げや最低賃金引上げを後押しするため、2つの特例措置が用意されています。この特例措置を活用することで、より手厚い支援を受けることが可能です。

特例名概要
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例・大幅な賃上げを支援
・適用する場合、従業員数に応じて補助上限額を引き上げ
・各申請枠の補助上限額に達していない場合、常時使用する従業員がいない場合、再生事業者である場合、最低賃金引上げ特例事業者である場合は適用不可
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例・最低賃金の引き上げを支援
・適用する場合、補助率を引き上げ
・適用する場合、基本要件から事業所内最低賃金水準要件を除く
・常時使用する従業員がいない場合、小規模企業・小規模事業者である場合、再生事業者である場合は適用不可
ものづくり第19次の特例措置

ものづくり補助金第19次において、以下のような事業は補助対象外となります。申請前に以下の要件に該当しないことを必ず確認してください。

  • 公募要領にそぐわない事業(事業補助事業の目的に沿わない事業含む)
  • 主たる課題解決を他者に外注・委託する事業
  • 実質的な労働を伴わない事業(例:単なるコインパーキング運営)
  • 購入設備を第三者に長期貸与する事業
  • 従業員解雇により補助要件を達成する事業
  • 公序良俗違反の事業
  • 法令違反または違反の恐れがある事業
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に規定される営業に関する事業
  • 同一法人による複数申請
  • 他の事業者と同一・類似の事業計画
  • 国や公的機関からの二重受給となる事業
  • 中小企業庁所管の他補助金と同一の補助対象経費を含む事業
  • 補助対象経費の上限を超える事業
  • 実施スケジュール等から遂行困難と判断される事業
  • その他申請要件を満たさない事業

これらの要件は申請時のみならず、採択後も継続して確認され、違反が判明した場合は採択取消しとなる可能性があります。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助対象者

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次では、日本国内に本社および補助事業の実施場所があり(グローバル枠のうち、海外への直接投資に関する事業を行う場合は海外にも実施場所を有していることが必要)、かつ以下のいずれかに当てはまる者が補助対象者となります。

中小企業等経営強化法」に規定される中小企業者に該当する場合、補助対象となります。具体的には、以下の要件に当てはまる必要があります。

業種主な要件
製造業、建設業、運輸業、旅行業、そのほか資本金もしくは出資総額が3億円以下、または従業員300人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業以外)資本金もしくは出資総額が3億円以下、または従業員900人以下
卸売業資本金もしくは出資総額が1億円以下、または従業員100人以下
サービス業資本金もしくは出資総額が5,000万円以下、または従業員100人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業資本金もしくは出資総額が3億円以下、または従業員300人以下
旅館業資本金もしくは出資総額が5,000万円以下、または従業員200人以下
小売業資本金もしくは出資総額が5,000万円以下、または従業員50人以下
会社または個人の主な要件
組合形態主な要件
企業組合、協業組合など
生活衛生同業組合など構成員の2/3以上が資本金もしくは出資総額が5,000万円(卸売業は1億円)以下、または従業員50人(卸売業・サービス業は100人)以下
酒造組合など構成員の2/3以上が資本金もしくは出資総額が3億円以下、または従業員300人以下
酒販組合など構成員の2/3以上が資本金もしくは出資総額が5,000万円(酒類卸売業は1億円)以下、または従業員50人(酒類卸売業は100人)以下
内航海運組合、内航海運組合連合会構成員の2/3以上が資本金もしくは出資総額が3億円以下、または従業員300人以下
技術研究組合構成員の2/3以上が、会社または個人の要件、企業組合、協業組合に該当
組合または連合会の主な要件

なお、財団法人、社団法人、医療法人、任意団体は補助対象外となりますのでご注意ください。

小規模企業者・小規模事業者とは、中小企業の中でもさらに規模の小さい企業を指します。具体的な要件は以下の表の通りです。

業種主な要件
製造業、その他従業員20人以下
商業・サービス業従業員5人以下
宿泊業・娯楽業従業員20人以下
小規模企業者・小規模事業者の要件

「中小企業等経営強化法」が規定する特定事業者の一部も補助対象者となります。具体的な要件は以下のとおりです。

業種主な要件
製造業、建設業、運輸業、その他従業員500人以下、かつ資本金もしくは出資総額が10億円未満
卸売業従業員400人以下、かつ資本金もしくは出資総額が10億円未満
小売業・サービス業従業員300人以下、かつ資本金もしくは出資総額が10億円未満
ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業従業員500人以下、かつ資本金もしくは出資総額が10億円未満
会社または個人で、特定事業者の一部とみなされるための主な要件
組合形態主な要件
生活衛生同業組合など構成員の2/3以上が従業員300人(卸売業は400人)以下、かつ資本金もしくは出資総額が10億円未満
酒造組合など構成員の2/3以上が従業員500人以下、かつ資本金もしくは出資総額が10億円未満
酒販組合など構成員の2/3以上が従業員300人(酒類卸売業は400人)以下、かつ資本金もしくは出資総額が10億円未満
内航海運組合、内航海運組合連合会構成員の2/3以上が従業員500人以下、かつ資本金もしくは出資総額が10億円未満
技術研究組合構成員の2/3以上が、特定事業者の一部に該当する会社・個人か、企業組合または協業組合
組合・連合会で、特定事業者の一部とみなされるための主な要件

特定非営利活動法人と社会福祉法人も一定の要件を満たせば補助対象となります。各法人の具体的な要件は以下の通りです。

法人名主な要件
特定非営利活動法人・中小企業の振興・発展に直結する活動を行っている
・従業員300人以下
・収益事業を行っている
・認定NPO法人でない
・経営力向上計画の認定を受けている
社会福祉法人・所轄庁の認可を受けて設立されている
・従業員300人以下
・収益事業を行っている
特定非営利活動法人や社会福祉法人の要件

なお、両法人とも20人以下の場合は小規模企業・小規模事業者とみなされます。

ものづくり補助金第19次において、以下のような事業者は補助対象外となります。

  • 過去の採択・実施状況による制限
  • 過去14ヶ月以内に本補助金の交付候補者として採択された事業者、または現在補助事業を実施中の事業者
  • 過去の補助金で事業化状況等の報告書を未提出の事業者
  • 本補助金の交付決定を、過去3年間に2回受けている事業者
  • みなし大企業(大企業が50%以上出資、役員の過半数が大企業関係者など)にあたる事業者
  • 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円超の事業者
  • 申請以降に補助対象者要件を満たさなくなった事業者
  • みなし同一事業者(同一とみなされた場合、その中のいずれか1社のみしか申請できない)
  • 暴力団関係者
  • 虚偽申請をした事業者
  • 補助対象者となるために一時的に企業規模を変更した事業者
  • 事業遂行に主体性がない事業者(GビズIDを他者に貸し出すなど)
  • 経済産業省などから補助金交付停止等の措置を受けている事業者

要件違反が判明した場合、採択後であっても取り消しとなる可能性があります。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助対象要件

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助対象要件には、すべての事業者がクリアしなければならない「基本要件」、グローバル枠に申請する場合に満たす必要がある「グローバル要件」、特例措置に適用されるための「特例措置要件」の3つがあります。

ものづくり補助金第19次では、補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下の基本要件を満たす必要があります。

基本要件概要
①付加価値額の増加要件事業者全体の付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率を3.0%以上増加させること
②賃金の増加要件以下のいずれかを達成すること
・従業員および役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を2.0%以上増加させる
・従業員および役員それぞれの1人あたり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加させる
③事業所内最低賃金水準要件・事業所内最低賃金を、毎年、事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高い水準にすること
・目標を設定した上で、交付申請までに従業員に表明する必要あり
④従業員の仕事・子育て両立要件(従業員21人以上の場合のみ)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表を行うこと
ものづくり補助金第19次の基本要件

なお、②の賃金増加要件と③の最低賃金要件については、実際に満たしていることを事業化状況報告を毎年提出して証明しなければいけません。もし未達の場合は、補助金の返還義務が発生します。

グローバル枠へ申請する場合は、基本要件に加えて以下のグローバル要件①~④のいずれかを満たす必要があります。また、海外事業の実現可能性調査(市場調査、現地規制調査、取引先信用調査など)の実施と、社内での海外事業専門人材の確保または外部専門家との連携が必須です。

グローバル要件概要
①海外への直接投資に関する事業海外への直接投資に関する事業であり、かつ以下をいずれも満たすこと
・補助対象経費の1/2以上が海外支店の経費、または海外子会社への外注費もしくは貸与する機械装置・システム構築費
・国内事業所でも海外事業と一体的な機械装置等(50万円以上)を取得する
・応募申請時に海外子会社等の事業概要等がわかる資料を提出する
・実績報告時に海外子会社等との委託契約書と事業完了報告書を追加提出する
②海外市場開拓(輸出)に関する事業海外市場開拓(輸出)に関する事業であり、かつ以下をいずれも満たすこと
・最終販売先の1/2以上が海外顧客で、売上累計額が補助額を上回る事業計画を有している
・応募申請時に海外市場調査報告書を提出する
・実績報告時に試作品等の性能評価報告書を提出する
③インバウンド対応に関する事業インバウンド対応に関する事業であり、かつ以下をいずれも満たすこと
・販売先の1/2以上が訪日外国人で、売上累計額が補助額を上回る事業計画を有している
・応募申請時にインバウンド市場調査報告書を提出する
・実績報告時にプロトタイプの仮説検証報告書を提出する
④海外企業と共同で行う事業海外企業と共同で行う事業であり、かつ以下をいずれも満たすこと
・外国法人との共同研究・事業開発に伴う設備投資があり、成果物の権利の全部または一部が補助事業者に帰属する
・応募申請時に共同研究契約書、または業務提携契約書を提出する
・実績報告時に当該契約の進捗がわかる実績報告書を提出する
ものづくり補助金第19次のグローバル要件

ものづくり補助金第19次では、事業者が積極的な賃上げや最低賃金の引き上げに取り組む場合に、より手厚い支援を受けられる特例措置が用意されています。特例措置には大きく2つの種類があり、それぞれに要件が設定されています。

特例措置要件概要
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例以下をいずれも満たすこと
・給与支給総額の年平均成長率を+6.0%以上に設定し、従業員に表明した上で、事業計画期間最終年度において目標値を達成すること
・事業所内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上に設定し、従業員に表明した上で、毎年目標値を達成すること
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例2023年10月~2024年9月の間で3ヶ月以上、全従業員のうち30%以上が事業実施都道府県の最低賃金+50円以内で雇用されていること
ものづくり第19次の特例措置要件

大幅な賃上げ特例では、基本要件よりもさらに高い賃上げ目標を設定・達成することで補助上限額が引き上げられます。一方、最低賃金引上げ特例では、低賃金層の従業員比率が一定以上の事業者について補助率が引き上げられます。

なお、大幅な賃上げ特例については、未達の場合に補助金返還が求められます。

ものづくり補助金第19次では、基本要件や特例要件が未達成の場合、補助金の返還が求められます。

該当要件返還概要
基本要件②賃金の増加要件未達給与支給総額目標値または1人あたり給与支給総額目標値についていずれも未達の場合、達成度の高い方の未達成率を乗じた額を返還
基本要件③最低賃金水準要件未達毎年3月末時点で事業所内最低賃金目標値未達の場合、事業計画期間の年数で割った額を返還
大幅賃上げ特例要件未達特例給与支給総額目標値または特例最低賃金目標値のいずれかが未達の場合、補助上限額引き上げ分全額に加え、残額について未達成率を乗じた額を返還
補助対象要件未達のときの補助金返還の概要

なお、付加価値額が増加していない上で過半数の期間が営業赤字の場合や、天災等のやむを得ない事由がある場合は返還が免除されます。また、再生事業者の場合も返還は求められません。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助上限額・補助率

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助上限額・補助率は、申請枠によって異なります。

製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額は、以下のとおりです。

従業員規模補助上限額大幅賃上げ特例適用
5人以下750万円850万円
6~20人1,000万円1,250万円
21~50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円
製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額

補助率は中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者および再生事業者は2/3です。中小企業の場合、最低賃金引上げ特例の対象となれば2/3になります。

グローバル枠の補助上限額は、以下のとおりです。

従業員規模補助上限額大幅賃上げ特例適用
5人以下3,000万円3,100万円
6~20人3,250万円
21~50人4,000万円
51人以上4,000万円
グローバル枠の補助上限額

補助率は中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者は2/3です。中小企業の場合、最低賃金引上げ特例の対象となれば2/3になります。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助事業実施期間

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助事業実施期間も、申請枠によって異なるので注意しましょう。

製品・サービス高付加価値化枠の補助事業実施期間は、交付決定日から10ヶ月(ただし採択発表日から12ヶ月後の日まで)です。

グローバル枠の補助事業実施期間は、交付決定日から12ヶ月(ただし採択発表日から14ヶ月後の日まで)です。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の補助対象経費

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金における補助対象経費は、以下のように大きく2つに分類されます。

全ての枠で共通の補助対象経費グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業については以下も対象
・機械装置費やシステム構築費(必須経費)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・海外旅費
・通訳費や翻訳費
・広告宣伝費や販売促進費
補助対象経費一覧

特徴として、すべての枠において機械装置・システム構築費が必須経費として設定されています。これは本補助金が、設備投資を通じた生産性向上を重視していることを示しています。

また、グローバル枠では海外展開に必要な経費が追加で認められており、海外需要開拓などの取り組みを支援する制度設計となっています。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の大まかな流れ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次は、以下のような流れで進行します。

  1. 事前準備
    まず、公募開始(2025年2月14日)から申請受付開始(4月11日17:00)までの期間に、必要書類の作成や申請時に必要となる「GビズIDプライム」アカウントの取得などの準備を行います。
  2. 申請段階
    申請受付開始から締切(4月25日17:00)までに申請を完了させます。その後、審査を経て7月下旬頃に補助金交付候補者が採択されます。
  3. 交付申請、事業実施
    採択された事業者は、原則として採択発表から2ヶ月以内に交付申請を行う必要があります。交付決定後、補助事業を実施します。なお、申請時の事業計画スケジュール通りに進捗していない場合は、遅延理由や実施可能性の確認が行われ、事業遂行が困難と判断された場合は採択取消となる可能性があります。
  4. 実績報告後、補助金額が確定
    事業完了後、実績報告書を提出します。事務局による確定検査を経て補助金額が確定します。
  5. 補助金の請求、受け取り
    事務局に補助金を請求し、受け取ります。
  6. 事業化状況報告
    補助事業終了後も、定期的に事業化状況の報告が必要となります。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の必要書類

ものづくり補助金第19次では、書類の不備や不足があると審査対象外となる可能性があるため、どんな書類が必要になるのか申請前に十分に確認することが大切です。

なお、申請時に必要な様式は、「ものづくり補助金総合サイト」でダウンロードできます。

提出書類内容ファイル名/形式
基本情報事業者情報、従業員数、事業内容、経費明細などシステム入力
事業計画書参考様式に基づく事業計画と補足資料システム入力とPDF
補助経費に関する誓約書システムで誓約システム入力
賃金引上げ誓約書システムで誓約システム入力
決算書等・法人
直近2期分の決算書類一式
・個人
直近2期分の確定申告書
06-1 前期決算書等 (事業者名).pdf
06-2 前々期決算書等(事業者名).pdf
06-3 創業事業計画書等(事業者名).pdf(創業1年未満の場合のみ)
従業員数確認資料・法人
法人事業概況説明書の写し
・個人
収支内訳書または青色申告決算書
07-1 従業員数確認書(事業者名).pdf
法人・個人共通
申請時点における労働基準法に基づく労働者名簿の写し
07-2 労働者名簿(事業者名).pdf
全事業者必須書類
提出書類内容ファイル名/形式
【従業員21人以上の場合】
次世代法一般事業主行動計画公表の確認
自社で策定した一般事業主行動計画が掲載されている、厚生労働省「両立支援のひろば」のURLシステム入力
【再生事業者の場合】
再生事業者確認書
再生事業者であることの証明08 再生事業者確認書(事業者名).pdf
【大幅な賃上げ特例の適用申請をする場合】
大幅な賃上げ特例にかかる計画書
大幅な賃上げ計画の詳細が確認できる書類09 大幅な賃上げに係る計画書(事業者名).pdf
【最低賃金引上げ特例の適用申請をする場合】
最低賃金引上げ特例にかかる確認資料
2023年10月~2024年9月の間で、要件を満たす任意の3ヶ月分の事業所内最低賃金近傍での雇用状況を確認できる書類システム入力
当該3ヶ月の賃金台帳、および労働基準法にもとづく労働者名簿の写し10-1 賃金台帳(事業者名).pdf
10-2 労働者名簿(事業者名).pdf
【金融機関から資金調達をする場合】
資金調達確認書
金融機関からの資金調達計画が確認できる書類11 資金調達確認書(事業者名).pdf
【グローバル枠に申請する場合】
海外事業準備書類
海外事業の準備状況を示す資料12 海外事業の準備状況を示す資料(事業者名).pdf
【経営革新計画による加点を狙う場合】
経営革新計画承認書類
経営革新計画承認書の写し13-1 【加点】経営革新計画(事業者名).pdf
【事業継続力強化計画による加点を狙う場合】
事業継続力強化計画確認書類
受付番号、実施期間始期および終期システム入力
【被用者保険による加点を狙う場合】
特定適用事業所に関する資料
特定適用事業所該当通知書13-3 【加点】被用者保険(事業者名).pdf
【事業承継/M&Aによる加点を狙う場合】
事業承継/M&Aにかかる確認書類
・法人
代表者交代:履歴事項全部証明書
株式譲渡:株式譲渡契約書、および被承継者の承継前と承継後の株主名簿
・個人
株式譲渡:株式譲渡契約書、および被承継者の株式譲渡前と株式譲渡後の株主名簿
相続・贈与、事業譲渡:移動した資産・負債の一覧、および事業譲渡を証する書類
13-4 【加点】事業承継/M&A(事業者名).pdf
特定の事業者のみが必要な追加書類

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次において発生する義務

ものづくり補助金第19次においては、申請する事業者や採択された事業者に対して義務が発生します。

義務概要
説明会への参加採択後、事務局開催の説明会に必ず参加すること。不参加の場合は採択取り消しとなる
交付規程等の遵守「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金交付規程」を遵守すること。違反時は交付取り消し・返還等の措置あり
計画変更などの事前承認経費配分・事業内容の変更、事業の中止・廃止時は事務局から事前承認を得ること
遂行状況の報告や会計検査などへの協力信頼性のある計算書類の作成および活用に努めること。状況報告を求められたら速やかに対応すること。抜き打ちで実地検査が入り、それによって補助金の返還命令などが出された場合は従うこと
実績報告補助事業を完了した上で、事業完了後30日以内に実績報告書を提出すること。補助事業終了後5年間、毎年事業化状況を報告すること
処分制限財産の管理50万円以上の機械等の財産、または効用の増加した財産を、処分制限期間内の処分するときは事務局から事前承認を得ること
知的財産などの取り扱い発生した知的財産権は事業者に帰属。補助金の支払いは、交付額確定後の精算払いで課税対象となる
EBPMなどへの協力事務局や経済産業省および中小機構からのデータ提供の依頼や、本事業の関連調査、成果発表に関する依頼などに協力すること
善管注意義務補助事業については善良な管理者の注意をもって実施すること。設備の保険加入やBCP策定をなるべく実施しておくこと
ものづくり補助金第19次において発生する義務

これらの義務に違反した場合、補助金の交付取消しや返還命令等の厳しい措置が取られる可能性があります。そのため、採択後は各義務の内容を十分に理解し、確実に履行することが求められます。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の採択率を上げるコツ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の採択率を上げたいときは、以下の点をおさえておくとよいでしょう。

事業計画書への記載事項

事業計画書を作成するときは、以下の記載事項を守ることが大切です。

【申請書全般の基本事項】
・事業計画書は参考様式と審査項目に記載の内容を網羅すること
・本文は電子申請システムに入力
・補足となる図や画像はA4サイズ3ページ以内のPDFにまとめる
・図や画像には番号を振り、本文と連携させる
・簡潔な記載を心がける
・不必要な個人情報は掲載しない

【認定経営革新等支援機関等の外部支援を受ける場合の記載事項】
・支援機関の名称
・支援内容
・報酬
・契約期間
※申告漏れは虚偽申請とみなされ、不採択や補助金返還等の対象となる

【産業雇用安定助成金の併給を希望する場合の記載事項】
(製品・サービス高付加価値化枠で年収350万円以上の正社員を採用する場合)
・採用予定者の配置部署・役職名、部下の有無
・業務内容(生産性向上との関連性を含む)、職種
・求める資格、スキル、経験
・申請システムのチェックボックスにチェック
※記載がない場合は助成金対象外
※本補助金採択が助成金支給を保証するものではない

事業計画書作成のポイント

事業計画書を作成する際の重要なポイントは以下の通りです。これらの要素を漏れなく、かつ具体的に記載することで、審査員に対して事業の実現可能性と期待される効果を明確に示すことができます。

  1. 定性的・定量的な情報を組み合わせ、具体的な理由や根拠を示しつつ詳細に記載する
  2. 図表や写真などを効果的に活用する
  3. 外部環境・内部環境を分析し、中長期的なビジョンや目標に向けて、自社が抱える具体的な課題を明確に示す
  4. 具体的な課題解決策を提示した上で、本事業への取り組みが必要な理由や、設備投資が必要な理由を説明する
  5. 本事業の設備投資内容、取り組み内容、成果目標、達成手段を具体的に示す
  6. 製品・サービス高付加価値化枠に申請する場合は、開発製品・サービスの革新性について詳しく記載する
  7. グローバル枠に申請する場合で、広告宣伝費や販売促進費を対象経費に計上する場合は、マーケティング戦略を詳しく記載する
  8. ユーザーやマーケットおよび市場規模について、成果の優位性・収益性や現状も踏まえて記載する
  9. 成果の具体的な事業化見込みについて、目標となる時期や売上規模などを簡潔に記載する
  10. 事業実施において必要な運転資本の調達計画がある場合は記載する
  11. る付加価値額目標値、給与支給総額目標値、1 人あたり給与支給総額目標値、事業所内最低賃金目標値の算出根拠を具体的に示す

審査方法や審査内容を把握する

審査方法や審査内容を把握することも、ものづくり補助金第19次の採択率を上げる重要な鍵となります。

書面審査の審査方法

申請書類を提出すると、書面審査が行われます。書面審査では事務局が「補助事業の適格性」を、外部有識者が審査項目・加点項目・減点項目をもとに「経営力」や「事業性」などの審査を行います。

書面審査の審査項目

書面審査における審査項目は、大きく6つに分けられます。これらの項目を網羅した事業計画書の作成が、採択への重要なポイントです。

審査項目概要
補助事業の適格性公募要領に記載された対象者、対象事業、対象要件などを満たしているか
経営力・経営目標は具体的か
・外部環境と内部環境を分析した上で事業戦略が策定されているか
・その事業戦略の中で本事業が効果的に組み込まれているか
・本事業の売上高は会社全体の売上高に対して高い水準か
事業性・付加価値創出や賃上げを実現する目標値が設定されているか
・事業計画はそれらを実現できる可能性が高いものになっているか
・課題や解決策が明確に示されているか
・市場の分析はされているか
・当該市場は成長性があるか
・新製品・新サービスや海外需要開拓によって顧客に与える価値が示されているか
・ターゲットとなる顧客は明確か
・ターゲットとなる顧客のニーズの調査や検証はされているか
・新製品・新サービスが顧客から選ばれる理由を示せているか
・競合他社の分析はできているか
・競合他社との差別化はできているか、また優位性はあるか
※以下はグローバル枠のみ
・海外展開などに必要な体制や計画は明記されているか
・海外事業にかかる専門性を有しているか
・開発される製品・サービスは高い競争力があるか
・国内の地域経済に貢献するものか
・国内地域での新たな需要や雇用を創出するものか
・具体的なマーケティング戦略が含まれているか
実現可能性・必要な技術力を保有しているか
・技術力は他社よりも優れているか
・本事業を遂行できるとわかる実施体制や財務状況になっているか
・遂行方法やスケジュール、解決方法は妥当か
・費用対効果はあるか
・本事業の内容と補助対象経費は整合しているか
政策面・地域経済の成長を牽引することを期待できるか
・グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性があるか
・事業者間連携によって高い生産性向上につながることが見込めるか
・日本のイノベーションを牽引できるものか
・投資内容は成長と分配の好循環を実現させるものか
大幅賃上げの事業計画妥当性※大幅賃上げ特例適用申請者のみ
・賃上げ計画は具体的か
・記載内容や算出根拠は妥当か
・利益を人件費や設備投資に継続的に充当しているか
・人材育成や人材評価に取り組んでいるか
・人材配置などの体制面、販売計画などの営業面の強化に取り組んでいるか
ものづくり補助金第19次の審査項目

書面審査の加点項目

加点項目は採択の可能性を高める重要な項目です。積極的に検討することをおすすめします。

加点項目概要
経営革新計画申請締切日時点で有効な「経営革新計画」の承認を取得している場合
パートナーシップ構築宣言応募締切前日時点で「パートナーシップ構築宣言ポータルサイト」で宣言を公表している場合
再生事業者別紙4「再生事業者の定義について」に示される要件を満たした再生事業者の場合別紙4は「ものづくり補助金総合サイト」でダウンロード可能
DX認定申請締切日時点で有効な「DX認定」を取得している場合
健康経営優良法人認定健康経営優良法人2025」に認定されている場合
技術情報管理認証申請締切日時点で有効な「技術情報管理認証」を取得している場合
J-Startup/J-Startup 地域版J-Startup」または「J-Startup地域版」に認定されている場合
新規輸出1万者支援プログラム新規輸出1万者支援プログラムポータルサイト」に登録している場合(グローバル枠のみ)
事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画申請締切日時点で有効な「(連携)事業継続力強化計画」を取得している場合
賃上げ給与支給総額の年平均成長率4.0%以上増加、最低賃金+40円以上の目標設定・表明している場合
被用者保険短時間労働者の被用者保険任意適用に取り組む場合(従業員50人以下の中小企業のみ)
えるぼし認定えるぼし認定」を取得している場合
くるみん認定くるみん認定」を取得している場合
事業承継/M&A過去3年以内に事業承継により経営資源を引き継いだ場合
成長加速マッチングサービス申請締切日時点で中小企業庁の「成長加速マッチングサービス」に会員登録・挑戦課題の登録をしている場合
ものづくり補助金第19次の加点項目

書面審査の減点項目

採択率を上げるには、審査項目や加点項目を満たすだけでなく、減点項目に該当しないようにすることも欠かせません。主な減点項目は以下の3つです。

減点項目概要
補助金複数回利用者過去3年間に本補助金の交付決定を1回受けている場合
補助要件未達事業者第1次公募以降、交付決定を受けて事業を実施したが、給与支給総額増加要件または最低賃金水準要件を達成できなかった場合
加点項目要件未達事業者中小企業庁所管の補助金で賃上げ加点を受けて採択されたにもかかわらず、その要件を達成できなかった場合
※未達報告後から18ヶ月の間は、本補助金以外の中小企業庁所管の補助金申請においても大幅に減点される
ものづくり補助金第19次の減点項目

なお、災害などのやむを得ない事情がある場合は、減点が免除されることもあります。

一部の基準を満たした事業者には口頭審査を実施

ものづくり補助金第19次の審査過程では、書面審査を通過した一部の事業者に対して口頭審査が実施されます。この口頭審査は、外部有識者による30分程度のオンライン形式(Zoomなど)で行われ、事業計画書の内容について事業者との質疑応答が行われます。審査当日は法人代表者1名のみが対応可能で、コンサルタントや社外顧問などの同席は認められません。

口頭審査の対象となった事業者は、①安定したインターネット環境とPC、②PC内蔵もしくは外付けのwebカメラ・マイク・スピーカー、③顔写真付き身分証明書、④審査に適した環境(会社内の個室など)を事前に準備する必要があります。

なお、接続不良で開始できない場合や本人確認ができない場合、審査対応者以外の同席が発覚した場合は、申請辞退とみなされ不採択となります。また、審査対応者が申請事業者本人でないことが判明した場合は、不採択または交付決定の取り消し・補助金返還の対象となる可能性があります。

採択率を上げるには、事業計画書の作成の支援などを行っている業者の力を借りるのも有効です。

ただ、昨今は不誠実な対応で申請者に不利益をもたらす業者も散見されます。業者を選ぶときは慎重な判断が必要です。

公募要領では、以下のような行為を行う業者は避けるべきとされています。

  • 実際のコストと大きく乖離した高額な成功報酬を請求する
  • 申請者が内容を理解していないまま申請を代行する
  • 料金体系や支援内容、支援期間が不透明な契約を結ぶ
  • 十分な根拠なく受注増加を謳い、強引な営業を行う
  • 虚偽記載を教唆したり、支援者名の記載を拒否したりする

また、会社全体の事業計画を踏まえず、補助金獲得のみを目的とした申請支援を行うコンサルティングも増加傾向にあるため注意が必要です。

このような不適切な支援を受けた場合は、以下の窓口に通報しましょう。
TEL:03-6262-7921(受付時間:10:00~12:00/13:00~17:00、土日祝日・年末年始除く)
メール:houkoku-mh@mail.chuokai.or.jp

以下は事業再構築補助金のコンサルタントを探すときのポイントを紹介した記事ですが、ものづくり補助金においても通ずる内容となっていますので、ぜひあわせて参考にしてください。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の申請チェックリスト

詳細チェック
事業概要
補助事業の目的を理解しているか
補助事業実施場所を有しているか(建設中や土地のみは対象外)
申請資格
中小企業者など、補助対象者の要件を満たしているか
過去14ヶ月以内に本補助金の交付決定を受けていないか
みなし大企業、みなし同一法人に該当していないか
その他、補助対象外となる事業者に該当していないか
基本要件
付加価値額の年平均成長率+3.0%以上増加させる事業計画か
賃金の増加要件(年平均+2.0%以上など)を満たす事業計画か
事業場内最低賃金水準要件(県最賃+30円以上)を満たす事業計画か
従業員21人以上の場合、一般事業主行動計画を公表したか/公表予定か
事業計画書
補助事業の必要性が明確に示されているか
取り組みの目標と達成手段が具体的に記載されているか
他社との差別化や優位性が具体的に記載されているか
本事業を通して生み出される付加価値について記載されているか
基本要件を満たすことが明確にわかる算出根拠を記載しているか
補助金額
各申請枠の補助上限額を確認したか
補助率(中小企業1/2など)を確認したか
大幅賃上げ特例/最低賃金引上げ特例の適用可否を確認したか
対象経費
50万円(税抜)以上の設備投資が含まれているか
補助対象外経費(消耗品、汎用品など)が含まれていないか
見積書(原則2社以上)を取得できるか
申請準備
GビズIDプライムアカウントを取得したか/申請中か
電子申請システムjGrantsの操作方法を確認したか
事後義務
説明会参加義務を理解したか
財産処分制限を理解したか
事業化状況報告(5年間)の義務を理解したか
証拠書類の保管(5年間)義務を理解したか
スケジュール
補助事業実施期間(交付決定後10ヶ月以内/グローバル枠は12ヶ月以内)で実施可能か
支払完了期限までに支払を完了できるか
ものづくり補助金第19次の申請チェックリスト

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次の申請を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金第19次は、前回よりも要件が緩和され、利用しやすいものになっています。特に通常の補助金ではよく見られた「収益納付」が求められない点は大きいでしょう。

補助金は、企業の成長につながる大きなサポーターです。ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。

ただ、利用しやすくなっているということは、多くの事業者が申請する可能性が高いことを意味します。他の企業よりも審査員の印象に残るような事業計画を立てる必要があるでしょう。

もし事業計画の策定について不安やお悩みがありましたら、当社・中小企業経営支援事務所にご相談ください。補助金申請サポートのエキスパートである当社スタッフが、採択につながる事業計画の立て方についてアドバイスいたします。採択決定後の事業実施における注意点や事業化状況報告のコツもお伝えしておりますので、ぜひご連絡いただけますと幸いです。

【2025年1月更新】中小企業新事業進出補助金とは?基本要件や対象経費の最新情報を紹介

中小企業新事業進出補助金の概要

近年の経済状況は、中小企業にとって厳しいものとなっています。物価高騰やエネルギー価格の高騰、円安などの外部環境の変化に加え、人手不足や賃上げ圧力といった内部環境の課題も山積しています。このような状況下で、中小企業が生き残り、成長していくためには、新たな事業展開や生産性向上、既存事業の抜本的な見直しや構造転換といった取り組みが不可欠です。

政府は、こうした中小企業の挑戦を後押しするために、2024年12月に「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」(総額5,600億円、既存基金の活用などを含めると1兆円超の規模)を公表し、今後さまざまな支援策を打ち出すこととしました。

そのうちのひとつが、「中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)」の2025年度新設です。本補助金は、中小企業の成長を促進する新規事業進出や事業転換への投資を重点的に支援する制度であり、事業再構築補助金(思い切った事業再構築を目指す事業者を支援する補助金)の後身となる制度として注目を集めています(※)。

この記事では、本補助金について、概要から基本要件、対象事業、補助額、実施期間を解説します。なお、2024年(令和6年)12月25日更新の最新情報を反映した内容となりますが、実際に利用する場合は中小企業庁のサイトもあわせてチェックすることをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。計画策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

2025年1月10日に、事業再構築補助金の最後の新規受け付けとなる第13回公募が始まりました。この記事では違いについても解説していますので、あわせてご参考ください。

中小企業新事業進出補助金とは?

中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)とは、2025年度に新設される補助金制度のひとつで、既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業へ進出するのに必要な設備投資などを行う事業者を支援する補助金制度です。予算は1,500億円規模で、既存基金を活用して実施されます。

出典:中小企業新事業進出促進事業の概要丨中小企業庁

本補助金の主な目的は、中小企業の持続的な成長と賃上げの実現です。

具体的には、人手不足や賃上げ要請といった経済社会の変化に対応するため、中小企業が既存事業の拡大だけでなく、新たな事業の柱となる新事業に挑戦し、企業規模の拡大・付加価値を向上させることを支援します。また、これらの取り組みを通じて得られた収益を、従業員の賃上げにつなげていくことが本補助金の重要な目的です。

政府では本補助金を含め、8つの補助金を実施しています。各補助金ともに補助対象が異なり、本補助金については新しい事業を立ち上げ、新しい市場に打って出る取り組みを補助するという新規事業を対象としています。

以下は、各補助金の補助対象と概要をまとめた表です。

補助金補助対象概要
ものづくり補助金新製品・新サービス開発中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資などを支援
省力化補助金省力化投資人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化につながる設備投資などを支援
中小企業新事業進出補助金新規事業既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出に必要な設備投資などを支援
中小企業成長加速化補助金大規模投資売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資などを支援
事業承継・M&A補助金親族内承継、M&A事業承継に際しての設備投資や、M&A・PMIの専門家活用費用などを支援
大規模成長投資補助金超大規模投資労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を目的に行う、工場の新設などの大規模な投資を支援
持続化補助金小規模事業者持続的な経営を目指す小規模事業者の経営計画にもとづく販路開拓などの取り組みを支援
IT導入補助金ITツールの導入業務の効率化やDXの推進、セキュリティ対策に向けたITツールなどの導入費用を支援
政府が行う8つの補助金の補助対象と概要

各補助金によって対象が異なるため、検討しているビジネスプランによっては、そもそも補助対象外で補助金申請ができない可能性があります。

当該の補助金が何を対象としているのかを把握した上で、手続きを始めることをおすすめします。

中小企業新事業進出補助金の基本要件

中小企業新事業進出補助金を受け取るためには、以下の基本要件をすべて満たす3~5年の事業計画に取り組む必要があります。

基本要件詳細
1.新規事業への挑戦成長・拡大を目指した新規事業(新しい製品または新しいサービスを、これまでとは異なる顧客に提供する事業)への挑戦であること
2. 付加価値額の増加付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率を+4.0%以上増加させること
3. 一定以上の賃上げ以下のいずれかをクリアすること
・1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
・給与支給総額の年平均成長率が+2.5%以上増加
4. 最低賃金の水準向上事業所内最低賃金を事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
5. 一般事業主行動計画公表次世代育成支援対策推進法にもとづく一般事業主行動計画を公表すること
中小企業新事業進出補助金の基本要件

なお、本補助金には大幅賃上げ特例があり、適用されると補助上限額が上乗せされます。適用されるには、上記条件に加えて、事業終了時点で「事業場内最低賃金が+50円」「給与支給総額+6.0%」達成する事業計画に取り組む必要があります。

中小企業新事業進出補助金の補助上限・補助率

中小企業新事業進出補助金の補助率は一律で1/2です。補助上限額は従業員数によって4段階に分かれています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ特例時の補助上限額
20人以下2,500万円3,000万円
21~50人4,000万円5,000万円
51~100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円
中小企業新事業進出補助金の補助上限・補助率

なお、補助下限額は750万円に設定されています。

中小企業新事業進出補助金の補助対象経費

中小企業新事業進出補助金の補助対象経費には、以下の10項目が含まれます。

  1. 建物費:工場・店舗などの建設に要する経費
  2. 構築物費:補助事業の実施に必要な構築物の建設などに要する経費
  3. 機械装置・システム構築費:生産設備やソフトウェアの購入などに係る経費
  4. 技術導入費:知的財産権などの導入に要する経費
  5. 専門家経費:コンサルタントなどの専門家への謝金
  6. 運搬費:設備・機械などの運搬に要する経費
  7. クラウドサービス利用費:クラウドサービスの利用に係る経費
  8. 外注費:製品開発などの一部を外部に委託する経費
  9. 知的財産権等関連経費:特許権などの取得に要する経費
  10. 広告宣伝・販売促進費:新製品・サービスのPRや販売促進に係る経費

本補助金の対象経費は、新市場・高付加価値事業への進出に直接関係する支出であり、事業計画に沿った適切なものであることが求められます。

また、後述する補助事業の実施期間内に発生し、支払いが完了しているもののみが対象となります。

中小企業新事業進出補助金の事業実施期間

中小企業新事業進出補助金の事業実施期間は、交付決定日から14ヶ月以内と定められています(ただし、採択発表日から16ヶ月以内)

この期間内に、設備投資や新事業立ち上げなどの計画した事業を実施し、支払いまで完了させることが求められます。

中小企業新事業進出補助金の留意点

中小企業新事業進出補助金では、上記以外にいくつかの留意点が公表されています。

本補助金では、これまでの補助金制度では収益納付が設定されるのが一般的であった収益納付は求めないとしています。収益納付とは、補助事業を行った際に発生した収益の一部または全部(補助金交付額を限度に)を国に納付することを指します。本補助金は、事業者にとって、より利用しやすい補助金制度になっているといえるでしょう。

基本要件のうち、「一定以上の賃上げ」と「最低賃金の水準向上」が未達の場合は、未達成率に応じて補助金の返還が求められます。ただし、付加価値が増加せず企業全体の営業利益が赤字の場合や、天災などやむを得ない場合は返還が免除されます。

中小企業新事業進出補助金の公募スケジュール(予想)

中小企業新事業進出補助金の公募開始時期は、2025年1月6日現在は未公表です。ただし本補助金の事務局の公募要領案によれば、本事業の補助事業者向けの公募要領が2025年4月までに公開され、そこから速やかに補助事業者の応募申請を受け付けるとしています(参照:「中小企業新事業進出促進事業」に係る事務局の公募要領〈案〉p.3丨中小機構)。

したがって、同時期には初回の公募が始まると予想されます。

なお、同公募要領案によれば、本補助金の公募回数は2026年度末までに4回程度、採択予定件数は計6,000件程度となっています。

中小企業新事業進出補助金の大まかな流れ

中小企業新事業進出補助金の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 事前準備
    新規事業を検討し、基本要件を満たす事業計画を策定する。申請時は「GビズIDプライム」アカウントが必要になるため、事前に取得しておく
  2. 公募開始~交付候補者決定
    事務局が申請を受け付け、締切日以降に審査を実施して交付候補者を決定する
  3. 交付決定~補助事業実施
    交付候補者となった事業者が交付申請を行う。申請によって交付が決定したら、補助事業を実施。事務局が補助額の確定検査を行い、補助額を確定させる。事業者が補助金の請求を事務局に行い、補助金を受け取る
  4. 補助事業終了後
    事業化状況報告と知的財産等報告を事務局に行う

2025年度に中小企業新事業進出補助金以外に行われる予定の支援事業

政府は、厳しい経営環境に直面する中小企業・小規模事業者を支援するために、中小企業新事業進出補助金創設以外にも、さまざまな対策を「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」に盛り込んでいます。

予算案では、生産性向上支援(生産性革命推進事業のうち、ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金)の拡充・見直し案が盛り込まれています(3,400億円の内数)。この拡充・見直しは、中小企業・小規模事業者がより使いやすくなること、高い効果をより実感できるようにすることを目指しています。

具体的には以下のとおりです。

補助金主な拡充・見直し内容
ものづくり補助金・最低賃金近傍の事業者への補助率を1/2→2/3に引き上げ
・従業員21人以上の中小企業を対象に、製品・サービス高付加価値化枠の補助上限を引き上げ
IT導入補助金・最低賃金近傍の事業者への補助率を1/2→2/3に引き上げ
・セキュリティ枠の補助上限引き上げと要件見直し
・汎用ツール・導入後支援を補助対象化
持続化補助金・経営計画の策定に重点化
・通常枠、創業枠などに再編して制度を簡素化
事業承継・M&A補助金・PMI推進枠の新設
・事業承継促進枠への改変
・DD費用の支援拡充
・100億企業創出加速化のための補助上限引き上げ
生産性向上支援の拡充・見直しの主な内容

売上高100億円を目指す意欲の高い中小企業・小規模事業者や、地方においても持続的な賃上げを実現することを目指す中堅・中小企業の成長を目的とした支援策も、予算案には盛り込まれました。

具体的には以下のとおりです。

支援策規模主な支援内容
中小企業成長加速化補助金(仮称)の創設3,400億円の内数売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資支援や中小機構による経営課題への支援
中堅・中小成長投資補助金の拡充1,400億円(新規3年3,000億円)人手不足の課題解消のために拠点新設をするなど大規模投資を行う中堅・中小企業を支援するのとあわせて、大企業からの経営人材を受け入れる中堅・中小企業への給付金を拡充
100億企業育成ファンド出資事業30億円中小機構出資ファンドを通じて、売上高100億円超を目指す中小企業などへのリスクマネー供給
成長投資支援の主な内容

省力化投資支援としては、既存基金を活用(3,000億円規模)して省力化補助金の運用改善が実施されます。オーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援が新設され、カタログ形式の同支援の運用改善と合わせて、全方位型の支援へと再編されます。

中小企業・小規模事業者の活性化に向けた支援も、404億円+既存予算を活用して実施されます。具体的な支援内容は以下の通りです。

支援策規模主な支援内容
日本政策金融公庫による資金繰り支援既存予算の活用通常資本性劣後ローンの要件見直し(省力化投資に取り組む事業者を対象追加、金利水準引下げ、貸付限度額拡充)
信用保証協会による資金繰り支援既存予算の活用プロパー融資促進のための新たな保証制度の創設
経営改善・事業再生・再チャレンジ支援の拡充既存予算の活用+61億円の内数早期経営改善計画策定支援事業を通じた金融機関による経営改善支援の拡充
事業環境変化対応型支援事業112億円商工会や商工会議所などへの専門家派遣などの強化や、よろず支援拠点へのコーディネーター増員
中小企業活性化・事業承継総合支援事業61億円事業再生等計画策定支援、事業承継・事業引継ぎ支援のための体制強化
中小企業取引対策事業8.3億円中小企業・小規模事業者の取引適正化の推進
令和6年能登半島地震等の切れ目ない復旧支援の継続213億円なりわい再建支援補助金による支援、グループ補助金による支援
地方公共団体による小規模事業者支援推進事業の拡充10億円自治体連携型補助金の補助対象拡大、補助上限を5億円まで引き上げ
中小企業・小規模事業者の活性化に向けた支援の主な内容

中小企業新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回公募の違い

中小企業庁は、中小企業新事業進出補助金の前身となる事業再構築補助金の第13回公募を2025年1月10日にスタートしました。場合によっては、事業再構築補助金第13回に応募したほうがよい場合もありますので、比較検討することをおすすめします。

以下は、特に大きな違いをまとめた表です。

項目新事業進出補助金事業再構築補助金第13回
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)事業類型(B):成長分野進出枠(GX類型)事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
補助上限額5人以下2,500(3,000)万円1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円500万円
6~20人2,500(3,000)万円1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円1,000万円
21~50人4,000(5,000)万円3,000(4,000)万円5,000(6,000)万円1,500万円
51~100人5,500(7,000)万円4,000(5,000)万円7,000(8,000)万円1,500万円
101人以上7,000(9,000)万円6,000(7,000)万円8,000万(1億)円1,500万円
中堅企業中小企業者等と同じ1(1.5)億円中小企業者等と同じ
下限額750万円100万円
補助率1/2中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:3/4
中堅企業等:2/3
※コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない場合
中小企業者等:2/3
中堅企業等:1/2
上乗せ措置なしあり(卒業促進上乗せ措置・中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置)
申請経費構築物費:対象
廃業費(未発表)
構築費:対象外
廃業費:対象
収益納付なしあり
新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回の主な違い ※カッコ内の数字は短期に大規模な賃上げを行う場合

例えば、新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回の下限額を比較すると、新事業進出補助金のほうが高く設定されています。そのため、比較的小規模な設備投資であれば事業再構築補助金のほうがよいでしょう。

一方、新事業進出補助金は、事業再構築補助金第13回とは違って収益納付がないため、収益が突然跳ね上がる可能性がある事業を行う場合は、新事業進出補助金のほうが向いているでしょう。開発したアプリが爆発的にヒットして利益が突き抜けるなどがある情報通信業、インバウンド需要で利益が一気に生まれる宿泊業などは、特に比較検討することをおすすめします。

事業再構築補助金第13回の詳細については、下記記事で紹介していますので、よろしければご覧ください。

中小企業新事業進出補助金を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

本補助金の詳細が記載された公募要領は、2025年4月までに公表される予定です。本補助金を検討している事業者は、中小企業庁の最新情報を定期的にチェックすることをおすすめします。

また、いずれの補助金と同様、本補助金も、事業計画の内容が採択を左右します。補助金採択のための事業計画を立てるには、ある程度まとまった時間が必要ですので、早めの行動が鍵となるでしょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、多くの事業者の補助金申請をサポートしてきた補助金採択支援のエキスパートです。補助金採択につながる事業計画書の書き方はもちろん、交付後の事業運営も含め、トータルで支援しています。

本補助金の申請を検討している人は、ぜひご相談いただけますと幸いです。初回相談は無料となっています。

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