【最新情報】令和7年1月スタートの事業再構築補助金第13回公募を徹底解説!申請要件や流れ、採択率アップのポイント

事業再構築補助金第13回公募の概要

事業再構築補助金は、新市場進出や事業・業種転換など、大胆な事業再構築に挑戦する中小企業を支援する補助金です。

この記事では、令和7年1月10日にスタートした事業再構築補助金第13回公募について、「公募要領(2025年1月10日版)」をもとに、申請要件や流れ、採択率アップのポイントなどを徹底解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

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事業再構築補助金第13回が令和7年1月に公募開始

事業再構築補助金の第13回公募が、令和7年1月10日から開始されました。今回の公募が最後の新規応募申請受付となります。締め切りは令和7年3月26日18時です。

第13回公募では、ポストコロナ時代の経済社会に対応するために、新しい市場に進出したり、事業や業種を変えたり、事業を再編したりするなど、思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を支援します。それによって、中小企業等の競争力強化や生産性向上を図り、日本経済の構造転換を促すことが本補助金の目的です。

事業再構築補助金第13回の補助対象者

事業再構築補助金第13回の補助対象者は、中小企業者等(中小企業者および中小企業者以外の法人)と中堅企業等です。

①中小企業者
中小企業者とは、次の表に示す資本金・従業員数のいずれかを満たす会社または個人事業主を指します。

業種資本金従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円以下900人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
そのほかの業種(上記以外)3億円以下300人以下
中小企業者の定義

②中小企業者以外の法人
中小企業者以外の法人とは、中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)や、農業協同組合法にもとづき設立された農事組合法人農事組合法人、労働者協同組合法にもとづき設立された労働者協同組合などを指します。

③中堅企業等
中堅企業等は、「上記の①②に該当しない」「資本金の額または出資の総額が10億円未満」「資本金の額または出資の額が定められていない場合は従業員数2,000人以下」の3つを満たす法人を指します。

ただし、上記3つのカテゴリーのいずれかに当てはまっているとしても、以下の事業者は対象外となります。

  • 経済産業省や中小企業庁から補助金等指定停止措置や指名停止措置を受けている事業者
  • 補助金または給付金などにおいて過去に不正を行った事業者
  • 公募開始日からさかのぼって直近5年以内に法令違反をした事業者
  • 暴力団関係者

なお、中小企業等がリースを利用する場合、中小企業等とリース会社の共同申請が認められます。

事業再構築補助金第13回の各事業類型の詳細

事業再構築補助金にはいくつかの事業類型があり、各事業者はいずれかひとつに申請します(上乗せ措置については同時申請可能)。

第13回では、以下の事業類型が用意されています。

  • 事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)
  • 事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)
  • 事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
  • 上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置
  • 上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置

今回は、前回までにあった「事業類型(C):コロナ回復加速化枠(通常類型) 」と「事業類型(E):サプライチェーン強靱化枠」については用意されていないため注意しましょう。

各事業類型の概要、要件、補助金額・補助率、補助事業実施期間、補助対象経費を説明します。

「事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)」は、成長分野への進出や事業転換を目指す事業者を支援する基本的な枠組みです。

項目内容
概要ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者や、国内市場が縮小しているなど構造的な課題に直面している業種・業態の事業者を支援
要件以下の要件を満たすこと(詳細後述)
・事業再構築要件
・金融機関要件
・付加価値額要件
・給与総額増加要件と市場拡大要件、もしくは市場縮小要件
・補助率等引上要件(補助金額・補助率の引き上げを受ける場合)
補助金額・従業員数20人以下:100万円~1,500万円(2,000万円)
・従業員数21~50人:100万円~3,000万円(4,000万円)
・従業員数51~100人:100万円~4,000万円(5,000万円)
・従業員数101人以上:100万円~6,000万円(7,000万円)
※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合
※廃業を伴う場合は廃業費を最大2,000万円上乗せ
補助率・中小企業者等:1/2(2/3)
・中堅企業等:1/3(1/2)
※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合
補助事業実施期間交付決定日~12カ月以内
(補助金交付候補者の採択発表日から14カ月後の日まで)
補助対象経費・建物費
・機械装置費やシステム構築費(リース料含む)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝費や販売促進費
・研修費
・廃業費(市場縮小要件を満たして申請する場合のみ)
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)の概要

本類型においては、短期での大規模な賃上げ(事業完了時点での事業場内最低賃金+45円および給与支給総額+6.0%達成)を行う場合は補助金額・補助率が引き上げられます。また、市場縮小要件を満たして申請し、既存事業の廃止を伴う場合は、廃業費として最大2,000万円が上乗せされます。

「事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)」は、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に取り組む事業者を支援する枠組みです。

項目内容
概要ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みをこれから行う事業者を支援
要件以下の要件を満たすこと(詳細後述)
・事業再構築要件
・金融機関要件
・付加価値額要件
・給与総額増加要件
・GX進出要件
・補助率等引上要件(補助金額・補助率の引き上げを受ける場合)
補助金額中小企業者等
・従業員数20人以下:100万円~3,000万円(4,000万円)
・従業員数21~50人:100万円~5,000万円(6,000万円)
・従業員数51~100人:100万円~7,000万円(8,000万円)
・従業員数101人以上:100万円~8,000万円(1億円)
中堅企業等・100万円~1億円(1.5億円)
※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合
補助率中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合
補助事業実施期間交付決定日~14カ月以内
(補助金交付候補者の採択発表日から16カ月後の日まで)
補助対象経費・建物費
・機械装置費やシステム構築費(リース料含む)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝費や販売促進費
・研修費
事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)の概要

本類型においても、短期での大規模な賃上げ(事業完了時点での事業場内最低賃金+45円および給与支給総額+6.0%達成)を行う場合は補助金額・補助率が引き上げられます。

なお、過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている事業者、または交付決定を受けている事業者も、一定の条件を満たせば本類型に申請できます。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • グリーン成長枠または成長分野進出枠(GX進出類型)での採択歴がある事業者は申請不可
  • 支援を受けられる回数は2回まで
  • 既存の事業再構築とは異なる事業内容であること【別事業要件】
  • 既存の事業再構築を行いながら事業再構築に取り組めるだけの体制や資金力があること【能力評価要件】

「事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」は、コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援する枠組みです。

項目内容
類型の説明コロナ終息した現段階で、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者を支援
要件以下の要件を満たすこと(詳細後述)
・事業再構築要件
・金融機関要件
・付加価値額要件
・コロナ借換要件(任意)
・最低賃金要件
補助金額・従業員数5人以下:100万円~500万円
・従業員数6~20人:100万円~1,000万円
・従業員数21人以上:100万円~1,500万円
補助率・中小企業者等:3/4(※一部2/3)
・中堅企業等:2/3(※一部1/2)
※コロナ借換要件を満たさない場合
補助事業実施期間交付決定日~12カ月以内
(補助金交付候補者の採択発表日から14カ月後の日まで)
補助対象経費・建物費
・機械装置費やシステム構築費(リース料含む)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝費や販売促進費
・研修費
事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の概要

本類型の特徴は、最低賃金の影響を受ける事業者への手厚い支援として、中小企業者等に対して最大3/4という高い補助率を設定している点です。

「上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置」は、事業類型(A)~(D)に申請して事業を実施し、中小企業等から中堅企業等へと成長する事業者に対して、追加で支援を行う制度です。

項目内容
類型の説明各事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等になる事業者に対する上乗せ支援
要件・事業類型(A)~(D)のいずれかに申請すること
・卒業要件を満たすこと(詳細後述)
補助金額各事業類型(A)~(D)の補助金額上限に準じる
補助率中小企業者等:1/2
中堅企業等:1/3
補助事業実施期間交付決定日から各事業類型(A)~(D)の事業計画期間終了まで
補助対象経費各事業類型(A)~(D)の補助対象経費に準じる
※本上乗せ措置の補助対象経費は、各事業類型(A)~(D)の補助対象経費と明確に分ける必要あり
※同一の建物や設備などを、本上乗せ措置と各事業類型(A)~(D)との両方で対象経費にはできない
※事業類型(A)に申請する場合でも、廃業費は本上乗せ措置の対象経費にはできない
上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置の概要

なお、本上乗せ措置は各事業類型(A)~(D)の申請と同時に行う必要があり、上乗せ措置(G)との両方への申請はできません。また、各事業類型(A)~(D)の事業計画が変更または実施困難となった場合は、本上乗せ措置も採択取り消し、または交付決定取り消しとなります。

「上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」は、事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援制度です。

項目内容
類型の説明各事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援
要件・事業類型(A)~(D)のいずれかに申請すること
・賃金引上要件、従業員増員要件をいずれも満たすこと(詳細後述)
補助金額100万円~3,000万円
補助率中小企業者等:1/2
中堅企業等:1/3
補助事業実施期間交付決定日から各事業類型(A)~(D)の事業計画期間終了まで
補助対象経費各事業類型(A)~(D)の補助対象経費に準じる
※本上乗せ措置の補助対象経費は、各事業類型(A)~(D)の補助対象経費と明確に分ける必要あり
※同一の建物や設備などを、本上乗せ措置と各事業類型(A)~(D)との両方で対象経費にはできない
※事業類型(A)に申請する場合でも、廃業費は本上乗せ措置の対象経費にはできない
上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置の概要

なお、本上乗せ措置も、希望する場合は各事業類型(A)~(D)の申請と同時に行わなければいけません。また、上乗せ措置(F)との両方への申請は不可、各事業類型(A)~(D)の事業計画が変更または実施困難となった場合は採択や交付決定が取り消しとなるルールがあります。

事業再構築補助金第13回における各要件の詳細

事業再構築補助金第13回に申請するときは、各事業類型で規定されている要件をクリアしなければいけません。各要件の詳細について解説します。

事業再構築要件とは、支援対象となる事業再構築を定義づける要件です。すべての事業類型に設けられているため、本補助金に申請するときは、どの事業類型であれ、以下の6類型のいずれかの要件を満たす事業再構築計画を立てる必要があります。

主な要件詳細
新市場進出以下を満たすこと
・新たな製品・商品・サービスの提供、または提供方法の相当程度の変更
・新たな市場への進出
・新規事業の売上高が総売上高の10%以上(付加価値額の場合15%以上)
事業転換以下を満たすこと
・新たな製品、商品、サービスの提供
・新たな市場への進出
・主要な業種の中分類レベルでの変更
業種転換以下を満たすこと
・新たな製品、商品、サービスの提供
・新たな市場への進出
・主要な業種の大分類レベルでの変更
事業再編会社法上の組織再編行為を行い、新たな事業形態のもとで新市場進出・事業転換・業種転換のいずれかを実施すること
国内回帰製造方法が先進的な国内生産拠点の整備をすること
※サプライチェーン強靱化枠のみ選択可
地域サプライチェーン維持・強靱化地域の重要製品の製造拠点を整備すること
※サプライチェーン強靱化枠のみ選択可
事業再構築要件の概要

申請するときは、事業再構築の類型の詳細がまとめられている「事業再構築指針」や「事業再構築指針の手引き」をよく確認した上で、これらの類型に該当する事業計画を策定することが必要です。

なお、第13回公募ではサプライチェーン強靱化枠の公募はないため、国内回帰と地域サプライチェーン維持・強靱化の選択はできません。

金融機関とは、事業計画作成を、金融機関等や認定経営革新等支援機関と連携しながら行うことを義務づける要件です。本要件もすべての事業類型に設けられているため、本補助金に申請するときは、どの事業類型であっても以下の点を満たす必要があります。

主な要件詳細
事業計画の策定に関する要件・金融機関等または認定経営革新等支援機関と相談の上で事業計画を作成し、確認を受けること
・「金融機関による確認書」または「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出すること
金融機関からの資金提供がある場合の要件・資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けること
・必ず「金融機関による確認書」を提出すること
自己資金のみで実施する場合の要件「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出すること
複数の金融機関から資金提供を受ける場合の要件資金提供元のうち、任意の1者からの「金融機関による確認書」を提出すること
金融機関要件の概要

本要件は、事業計画の実現可能性や資金調達の確実性を確保する目的で設定されており、補助事業の確実な実施のために重要な役割を果たします。

なお、金融機関等とは銀行・信金・ファンドなどのこと、認定経営革新等支援機関とは中小企業の支援に長けていると国によって認められた機関のことを指します。認定経営革新等支援機関には中小企業診断士や税理士、公認会計士などさまざまな立場の専門家がいます。専用の検索システムで簡単に探せるので、この機会に探してみましょう。

付加価値額要件とは、事業再構築後の成果目標として、付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)の成長を求める要件です。

付加価値額要件も、いずれの事業類型に設けられています。ただし、各事業類型において具体的な数字が異なります。

主な要件詳細
成長分野進出枠(通常類型)での要件補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
成長分野進出枠(GX進出類型)での要件補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)での要件補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
付加価値額要件の概要

本要件は、単なる事業の転換だけでなく、生産性の向上や事業の成長性を重視する本補助金の趣旨を反映したものといえます。申請時には、具体的な根拠に基づいた成長計画の策定が求められます。

なお、成果目標の比較基準となる付加価値額は、補助事業終了月の属する(申請者における)決算年度の付加価値額とされています。

給与総額増加要件とは、長期的な給与水準の向上を通じて、従業員の待遇改善と企業の持続的成長を目指すものです。

事業類型(A)では、「給与総額増加要件と市場拡大要件」、もしくは「市場縮小要件」、いずれかを選択して満たす必要があります。また、本要件は事業類型(B)で必須となっています。

以下、主な要件です。

主な要件詳細
事業計画に関する要件補助事業実施期間終了時点を含む事業年度の給与支給総額を基準とし、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中、給与支給総額を年平均成長率で2.0%以上増加させる計画を作成・実行すること
申請書類に関する要件応募時に賃金引上げ計画の誓約書を提出すること
根拠資料に関する要件法人の場合は給与支給総額の増加を証明する「法人事業概況説明書」を提出すること(個人の場合は所得税青色申告決算書を提出)
給与総額増加要件の概要

なお、本要件について正当な理由なく達成できなかった場合には、事業者名が公表されることになります。

市場拡大要件は、事業類型(A)の申請において、給与総額増加要件を満たす際にクリアしなければならない要件です。

主な要件詳細
市場規模に関する要件取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模(製造品出荷額、売上高など)が10%以上拡大する業種・業態に属していること
業種・業態に関する要件日本標準産業分類の小分類以下、またはそれと同程度の粒度の業種・業態であること
期間に関する要件過去10年の場合は、コロナ前の2019年までを基準とすること(コロナ後の期間を含む場合は、コロナの影響を受けていないと考えられる場合のみ可)
根拠資料に関する要件事務局指定の業種・業態以外の場合は、10%以上の市場拡大を証明する信頼性の高いデータ・統計などを提出すること
市場拡大要件の概要

なお、「2019年だけ極端に値が上昇している」「2009年と比較すると2019年は10%以上拡大しているが、近年は下降トレンドにある」などの場合は対象となりません。

市場縮小要件は、事業類型(A)における申請要件の一つです。この要件をクリアするには、以下を満たす必要があります。

主な要件詳細
市場規模に関する要件現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること
業種・業態に関する要件日本標準産業分類の小分類以下、またはそれと同程度の粒度の業種・業態であること
期間に関する要件過去10年の場合は、コロナ前の2019年までを基準とすること(コロナ後の期間を含む場合は、コロナの影響を受けていないと考えられる場合のみ可)
基幹大企業の撤退を理由とする場合の要件地域における基幹大企業が撤退すると、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施している、かつ当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めていること
根拠資料に関する要件事務局指定の業種・業態以外の場合は、市場規模の10%以上の縮小を証明する信頼性の高いデータ・統計などを提出すること
市場縮小要件の概要

なお、2019年だけ極端に値が減少しているなど、下降傾向にあると認められない場合は対象となりません。

補助率引上要件は、事業類型(A)または(B)に申請する事業者が、より高い補助率や補助金額の適用を受けるための要件です。短期的な賃金の引き上げを通じて、従業員の待遇改善を図ることを目的としています。

主な要件詳細
賃金引上げに関する要件補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上引き上げるとともに、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げること
根拠資料に関する要件応募時に上記を証明する「大規模な賃上げに取り組むための計画書」を提出すること
補助率引上要件の概要

補助金額・補助率の引き上げを受ける事業者は、実績報告後の初回の事業化状況報告において要件の達成状況が確認されます。要件未達であった場合は、補助金額・補助率引き上げ分の金額について、返還が必要です。

なお、事業類型(A)(市場縮小要件を満たして申請する場合を除く)、および事業類型(B)に申請する場合は、事業終了後3~5年の事業計画期間に給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させることができなかった場合も、引き上げ分の返還が必要となります。

GX進出要件は、事業類型(B)成長分野進出枠の申請に必要な要件です。

主な要件詳細
対象分野に関する要件令和3年6月18日に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みであること
根拠資料に関する要件過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている、または交付決定を受けているときに申請する場合は、「別事業要件及び能力評価要件の説明書」を提出すること
GX進出要件の概要

コロナ借換要件は、事業類型(D)において、より高い補助率を受けるための任意要件です。当てはまる場合はぜひ活用しましょう。

主な要件詳細
借換時期に関する要件応募申請時において、コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること
対象制度に関する要件以下の制度による借換であること
・伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)※自治体が実施している制度については、国の全国統一制度「伴走支援型特別保証」に対応した制度であれば対象
・コロナ経営改善サポート保証
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
・生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
・新型コロナ対策資本性劣後ローン
・生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン
・[新型コロナ関連]マル経融資
・[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付
・[新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金 等
根拠資料に関する要件借換先の金融機関等による「コロナ借換要件・加点確認書」を提出すること
コロナ借換要件の概要

留意点として、過去に上記制度を利用した実績があっても、完済している場合は対象外となります。

最低賃金要件は、事業類型(D)に申請する際に必須の要件です。

主な要件詳細
従業員数に関する要件2023年10月から2024年9月までの間で、3カ月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が、全従業員数の10%以上いること
※全従業員数は、2023年10月から2024年9月までの間の対象月とする3カ月それぞれの時点の常勤従業員数を基準とする
※常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」を指す
算出方法に関する要件要件を満たす従業員数は、小数点以下を繰り上げて算出すること
(例)全従業員数25人の場合、25×10%=2.5人⇒要件を満たす従業員が3人以上必要
根拠資料に関する要件事業場内最低賃金が最低賃金+50円以内であるかを証明するため、「賃金台帳」を提出すること
基準期間に関する要件最低賃金額については、対象月とした期間の最低賃金を基準とする。要参照「地域別最低賃金額丨厚生労働省
最低賃金要件の概要

卒業要件は、上乗せ措置(F)を申請する際に必要となる要件です。

主な要件詳細
法人規模に関する要件本事業を通して以下の規模に成長すること
・中小企業(みなし中堅企業を含む)の場合⇒特定事業者、中堅企業または大企業
・特定事業者の場合⇒中堅企業または大企業
・中堅企業の場合⇒大企業に成長
成長条件に関する要件・応募申請時点よりも資本金または従業員数が増加していること
・資本金および従業員数の両方が、基準以上となること。みなし中堅企業、みなし大企業になることでは要件を満たさない
計画書に関する要件卒業計画書に応募申請時点での従業員数・資本金、および補助事業実施期間終了後3~5年までにどのように従業員数・資本金を伸ばしていく予定かを記載すること
卒業要件の概要

賃金引上要件は、上乗せ措置(G)を申請する際に満たすべき要件です。

主な要件詳細
賃金引き上げに関する要件各事業類型(A)~(D)の補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
※補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度の終了月の事業場内最低賃金を基準とする。ただし、当該事業場内最低賃金が申請時点の事業場内最低賃金を下回る場合には、申請時点の事業場内最低賃金を基準とする
計画表明に関する要件申請時点で、申請要件を満たす賃金引き上げ計画を従業員などに表明し、「賃金引上げ計画の表明書」に事業場内最低賃金で働く従業員から署名、押印をもらうこと
提出書類に関する要件「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」を提出すること
賃金引上要件の概要

従業員増員要件は、上乗せ措置(G)を申請する際に満たすべき要件の一つです。

主な要件詳細
従業員数に関する要件各事業類型(A)~(D)の補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させること
※補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度の終了時点の常勤従業員数を基準とする。ただし、当該常勤従業員数が申請時点の常勤従業員数を下回る場合には、申請時点の常勤従業員数を基準とする
※常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」を指す
算出方法に関する要件増員する必要がある従業員数は、小数点以下を繰り上げて算出すること。ただし、最低でも事業計画期間×1人以上の増員が必要
計画書に関する要件「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」に従業員を増加させる計画を記載して提出すること
従業員増員要件の概要

事業再構築補助金第13回の補助対象経費の詳細

事業再構築補助金第13回における補助対象経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資を含むもので、本事業の対象として明確に区分できるものでなければいけません。

主な対象経費は以下の通りです。

経費区分内容
建物費事務所・生産施設といった建物の建設・改修、撤去、原状回復など
機械装置・システム構築費機械装置、工具・器具の購入、専用ソフトウェア導入など
技術導入費知的財産権などの導入に要する経費
専門家経費専門家の技術指導や助言などに要する経費(1日上限額あり)
運搬費運搬料、宅配・郵送料など
クラウドサービス利用費補助事業専用のクラウドサービス利用料
外注費加工や設計などの一部外注費用
知的財産権等関連経費特許権などの知的財産権取得関連費用
広告宣伝・販売促進費広告作成、展示会出展、市場調査などの費用
研修費事業遂行に必要な教育訓練・講座受講費
廃業費既存事業の廃止に必要な諸経費(一部要件あり)
主な補助対象経費一覧

この中で特に気をつけなければいけないのが建物費です。建物費の中でも新築する場合は、改装をしたり、借りたりするのではなく新築をしなければ事業を行えない合理的な理由を説明しなければならないため、ほかの対象経費よりも審査のハードルが高くなります。

また、以下のような経費は補助対象外です。

  • 既存事業に活用する経費
  • 事務所の家賃や光熱水費
  • フランチャイズ加盟料
  • 一般的な通信費
  • 汎用品(パソコンやプリンタなど)の購入費
  • 消耗品費
  • 人件費や旅費
  • 公租公課
  • 各種保険料

加えて、交付決定前に発注・契約したものは、いかなる理由でも補助対象外となります。補助事業実施期間内に、発注、納入、検収、支払いまでをすべて完了させなければいけません。

事業再構築補助金第13回の補助対象外事業

事業再構築補助金第13回では、以下のような事業は補助対象外となります。

  1. 事業再構築の大半を他社に外注・委託し、企画だけを行う事業
  2. グループ会社がすでに実施している事業など、容易に実施可能な事業
  3. 不動産賃貸、駐車場経営、暗号資産マイニングなど、実質的な労働を伴わない事業や資産運用的性格の強い事業
  4. 会員制ビジネスで会員募集・入会が公に行われていない事業
  5. 建築・購入した施設・設備を特定の第三者に長期間賃貸する事業
  6. 農業を行う事業者が単に別の作物を作るなど、新たな事業が1次産業である事業
  7. 主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させる事業
  8. 公序良俗に反する事業や法令違反の恐れがある事業
  9. 風俗営業などの規制対象となる事業
  10. 暴力団関係者による事業
  11. 国庫や公的制度からの二重受給となる事業

また、同一法人・事業者による複数申請や、他の法人・事業者と同一または類似内容の事業も対象外となります。さらに、中小企業生産性革命推進事業と同一の補助対象を含む事業や、申請時に虚偽の内容を含む事業も対象外です。

事業再構築補助金第13回 申請から補助金受け取り後までの大まかな流れ

事業再構築補助金第13回の公募から補助金受け取り後までの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 公募・申請段階
    令和7年1月10日から公募が開始され、令和7年3月26日18時までが応募期限となります。申請受け付けは電子申請システムからのみです。システム利用には、GビズIDプライムアカウントが必要となります
  2. 採択審査・通知
    令和7年6月下旬~7月上旬頃に採択結果が通知されます。採択された案件については、事業者名や事業計画名、事業計画書の概要、認定経営革新等支援機関の名称などが公表されます
  3. 交付申請
    採択後、補助対象経費を精査して補助金の交付申請手続きを行います。この段階で、計上された経費が補助対象外と判断された場合、交付決定額が減額または全額対象外となる可能性があります
  4. 交付決定
    事務局による審査を経て交付決定がなされます。これ以降に発生する経費が補助対象となります
  5. 補助事業実施
    交付決定後、事業計画に基づいて補助事業を実施します。事業類型により12カ月または14カ月以内に完了する必要があります
  6. 実績報告
    補助事業完了後30日を経過した日、または補助事業完了期限日のいずれか早い日までに、実績報告書を提出します
  7. 確定検査・交付額確定
    実績報告を受けて確定検査が行われ、補助金額が確定します
  8. 補助金の支払い
    原則として精算払いとなります。その後、事業終了後5年間は毎年の事業化状況報告が必要となります

なお、補助事業の進捗状況確認のため、実地検査が入る場合があります。また、会計検査院等による抜き打ちの実地検査も想定されます。

事業再構築補助金第13回における必要書類

事業再構築補助金第13回では、申請時に多くの書類提出が必要となります。主な提出書類は以下のとおりです。

書類名備考
事業計画書A4サイズ15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は10ページ以内)
金融機関・認定経営革新等支援機関による確認書金融機関から資金提供を受ける場合は金融機関による確認書が必須
決算書直近2年間の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表
ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報PDF出力したものを提出
従業員数を示す書類労働者名簿の写し
固定資産台帳
収益事業を行っていることを説明する書類法人の場合:直近の確定申告書別表一および法人事業概況説明書の控え
個人事業主の場合:直近の確定申告書第一表および所得税青色申告決算書の控え(白色申告の場合は直近の確定申告書第一表および収支内訳書の控え)
建物の新築が必要であることを説明する書類建物の新築費用を計上する場合のみ
全事業類型共通の必須書類

このほかに、申請する事業類型や上乗せ措置に応じて追加の書類提出が必要です。例えば、GX進出類型ではGX進出計画書、最低賃金類型では賃金台帳の写しなどが求められます。

また、リース会社との共同申請や複数事業者での連携申請、加点を希望する場合は、それぞれ定められた追加書類の提出が必要となります。

なお、申請するときはすべての書類を電子申請システムで提出する必要があり、ファイル名については指定されたものにすることが求められます。書類の不備や不足があると審査対象外となる可能性があるため、公募要領を熟読し、漏れのないよう準備することが重要です。

事業再構築補助金第13回における事業計画作成のポイント

事業再構築補助金第13回における事業計画作成のポイントを紹介します。

事業計画作成における補助事業の具体的な取り組み内容について、以下の4つの観点から記載が必要です。

記載項目必要な内容
事業再構築の概要1ページ目で、既存製品と新製品、既存市場と新市場、既存事業と新規事業の違いを具体的に記載。事業再構築の定義に合致するか審査の対象となる重要な部分となる
事業内容の詳細2ページ目以降に、現状分析(強み・弱み・機会・脅威)、事業環境、事業再構築の必要性、具体的な実施内容(設備投資計画など)を記載。投資スケジュールも可能な限り詳細に
差別化戦略他社との差別化方法や競争力強化の具体的な実現方法、実施体制などを記載。産業雇用安定助成金との併給を希望する場合は、採用予定者の情報も記載する
従業員への配慮既存事業の縮小・廃止、省人化により従業員の解雇を伴う場合は、再就職支援計画など従業員への適切な配慮を記載
連携事業の場合の説明複数事業者での連携事業の場合は、各事業者の取り組み内容や役割などを具体的に記載
補助事業の具体的な取り組み内容における観点

事業計画書は申請者自身が作成する必要があり、外部へ作成を委託することはできません。また、1ページ目の記載内容で事業再構築の要件を満たすか判断されるため、特に重要な部分となります。

将来の展望について、事業計画書には以下の内容を記載する必要があります。

記載項目必要な内容
市場分析本事業の成果が寄与する具体的なユーザー、マーケット、市場規模について記載。成果の優位性や収益性、課題やリスクとその解決方法を説明する
事業化見込み事業化見込みとして、事業化の目標時期、売上規模、量産化時の製品などの価格を記載
将来の展望における観点

なお、内閣府では、知財が企業の価値創造メカニズムにおいて果たす役割を的確に評価して経営をデザインするためのツール「経営デザインシート」とその活用事例を公表しています(参照:経営をデザインする丨首相官邸)。事業計画の作成にあたっては、このツールを必要に応じて活用しましょう。

事業計画書における将来の展望は、事業の実現可能性や市場性を判断する重要な要素です。市場分析では客観的なデータに基づく具体的な記述が求められ、事業化見込みについては実現性の高い計画を示す必要があります。説得力のある内容とするため、図表なども効果的に活用しましょう。

事業計画書には、本事業で取得する主な資産も記載する必要があります。

記載項目必要な内容
対象資産の詳細単価50万円(税抜き)以上の建物、機械装置・システムなどの名称、分類、取得予定価格などを記載する
※単価500万円(税抜き)以上の機械装置は、機械の種類が具体的にわかる名称を記載
本事業で取得する主な資産における観点

これらの資産は、補助事業終了後も適切な管理が求められます。特に、処分制限財産(単価50万円以上の機械などの財産や効用の増加した財産)は、処分制限期間内に取得財産を処分(補助金の交付目的に反する使用、譲渡、交換、貸付け、担保に供する処分、廃棄など)しようとする場合、事前に事務局の承認を受ける必要があります。

また、補助事業により取得した資産は、原則として専ら補助事業に使用される必要があり、既存事業など、補助事業以外で用いた場合、目的外使用と判断され、残存簿価相当額などを国庫に返納する必要がある点にも注意が必要です。

収益計画については、事業計画書に以下の内容を具体的に記載する必要があります。

記載項目必要な内容
実施体制事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等を具体的に記載
収益計画の算出根拠収益計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」(事業類型(A)(B)の場合)の算出根拠を記載
収益計画における観点

収益計画は、補助事業の実現可能性を判断する重要な要素となります。実施体制については、人員配置や役割分担、外部協力者との連携体制などを具体的に示す必要があります。スケジュールは、設備投資や人材採用、販売開始時期などの主要なマイルストーンを明確にしましょう。

資金調達計画では、補助金以外の資金調達方法(自己資金、金融機関からの借入など)も含めて記載します。収益計画の数値については、市場分析や競合状況などを踏まえた現実的な予測にもとづく必要があり、その算出根拠を明確に示すことが求められます。

なお、この計画に基づく達成状況は、補助事業終了後も毎年の事業化状況報告などで確認されるため、確実に実行可能な計画を立てることが重要です。

事業再構築補助金第13回において事業者が果たすべき義務

事業再構築補助金第13回においては、事業者に以下のような義務が課せられます。これらの義務に違反した場合、補助金の交付取消や返還、不正受給の場合の罰則適用などの措置が取られる可能性があります。

  1. 事務局主催の説明会に参加する
    補助金交付候補者として採択された事業者は、事務局が実施する説明会に参加する必要があります。不参加の場合、採択が無効となります
  2. 経費配分や内容などを変更する場合は事前承認を得る
    応募申請時に計上していない経費については、交付申請時に新たに計上することは原則認められていません。補助事業の経費配分や内容を変更する場合、事業の中止・廃止、他者への承継を行う場合は、事前に事務局の承認を得る必要があります
  3. 補助事業は申請する事業者自身が実施する
    補助事業は採択された事業者自身が実施し、取得した資産の所有権も事業者が持つ必要があります。子会社などによる実施は認められません
  4. 事業完了後は実績報告を行う
    補助事業完了後は、完了した日から30日を経過した日、または完了期限日のいずれか早い日までに、実績報告書を提出する必要があります
  5. 事業完了後は事業化状況報告を行う
    補助事業完了年度の終了後5年間、毎年の事業化状況を報告する必要があります。未報告や虚偽報告の場合、補助金の返還などが求められます
  6. 収益納付をする
    事業による収益が得られた場合、補助金額を上限として収益納付が必要となります
  7. 財産処分をするときは事前承認を得る
    単価50万円以上の機械などの財産、または効用の増加した財産を、処分制限期間内に処分するときは事前承認が必要です。不適切な処分の場合、補助金の返還が必要となります
  8. 証拠書類を保管する
    補助事業に関する証拠書類は、事業終了後5年間保管する必要があります

このほか、本事業の遂行や収支の状況について、事務局から聞かれたときは速やかに報告しなければならないなどがあります。

事業再構築補助金第13回と新事業進出補助金の違い

中小企業庁では、2024年12月に公表した「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」で、事業再構築補助金の後身となる「中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)」を新設しています。場合によっては、新事業進出補助金に応募したほうがよい場合もありますので、比較検討することをおすすめします。

以下は、特に大きな違いをまとめた表です。

項目事業再構築補助金第13回新事業進出補助金
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)事業類型(B):成長分野進出枠(GX類型)事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
補助上限額5人以下1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円500万円2,500(3,000)万円
6~20人1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円1,000万円2,500(3,000)万円
21~50人3,000(4,000)万円5,000(6,000)万円1,500万円4,000(5,000)万円
51~100人4,000(5,000)万円7,000(8,000)万円1,500万円5,500(7,000)万円
101人以上6,000(7,000)万円8,000万(1億)円1,500万円7,000(9,000)万円
中堅企業中小企業者等と同じ1(1.5)億円中小企業者等と同じ
下限額100万円750万円
補助率中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:3/4
中堅企業等:2/3
※コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない場合
中小企業者等:2/3
中堅企業等:1/2
1/2
上乗せ措置あり(卒業促進上乗せ措置・中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置)なし
申請経費構築費:対象外
廃業費:対象
構築物費:対象
廃業費(未発表)
収益納付ありなし
事業再構築補助金第13回と新事業進出補助金の主な違い ※カッコ内の数字は短期に大規模な賃上げを行う場合

例えば、事業再構築補助金第13回と新事業進出補助金の補助上限額を比較すると、事業類型(B)のほうが新事業進出補助金よりも高くなっています。そのため、GX投資を検討している場合は、事業再構築補助金第13回に応募するのがよいでしょう。ただし、補助率も見た上で判断することをおすすめします。

一方、新事業進出補助金は、事業再構築補助金第13回と異なり収益納付がありません。そのため、アプリの開発などで利益が突き抜けるケースがある情報通信業、インバウンド需要などで利益が一気に出る可能性のある宿泊業など、大きな収益が見込まれる事業を営む場合は新事業進出補助金のほうが向いているでしょう。ただし、新事業進出補助金を待っている間に、ビジネスチャンスを失ってしまわないかも考慮することが大切です。

新事業進出補助金については、下記記事で詳しく解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。

事業再構築補助金第13回の採択率を上げるコツ

事業再構築補助金第13回の採択率を上げるためには、以下のようなポイントをおさえることが重要です。

事業再構築補助金の公募要領は、事業計画書を作成する上で重要な情報源です。公募要領には、補助金の目的、対象となる事業、申請資格、補助金額、申請方法などが詳細に記載されています。公募要領の内容を熟読することで、事業計画書を作成する際のポイントを把握できます。

また、公募要領に単に書いてある内容を理解するだけでなく、その背景にある政策意図や社会的なニーズを汲み取ることも重要です。事業再構築補助金は、ポストコロナ時代を生き抜くための事業再構築を支援することを目的としています。そのため、事業計画書には、現状を的確に分析し、なぜ新たな事業再構築が必要なのかを論理的に説明した内容を記載する必要があります。

本補助金では、交付候補者の選考に際して、書面審査および場合によって口頭審査が行われます。それぞれの審査の観点を把握することも、採択率を上げる重要な要素です。

書面審査(審査項目・加点項目)

事業再構築補助金第13回における書面審査の主な審査項目は以下の通りです。

審査の観点主なポイント
補助対象事業の適格性・当該事業は補助対象事業の要件を満たしているか
・当該事業は事業再構築指針と整合しているか
新規事業の有望度・継続的な売上や利益を確保できる規模を有しているか
・当該事業で取り組む新規事業は、自社にとって参入可能な事業か
・競合との差別化戦略は図られているか
補助対象事業の実現可能性・当該事業の事業化について、中長期のスパンでの課題検証ができているか。また、スケジュールや課題の解決方法は明確かつ妥当か
・補助事業を遂行できると期待可能な財務状況になっているか。金融機関等からの資金調達は見込めるか
・実施体制(人材や事務処理能力など)は充実しているか
公的補助の必要性・補助事業としての費用対効果は高いか
・地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献できる事業か
・感染症などの危機に強い事業か
・自社単独で容易に実現できるなど、補助なしでも実施可能な事業になっていないか
政策点・日本経済の構造転換の促進に資する事業か
・日本の経済成長を牽引し得る事業か
・グローバル市場でもトップになり得る潜在性がある事業か
・雇用の創出や地域の経済成長を牽引することが期待できる事業か
書面審査の主な審査項目

上記以外にも、事業類型(B)では「グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する事業か」、上乗せ措置(F)では「事業再構築の実施による売上高や付加価値額の継続的増加は妥当か」など、各事業類型ごとの観点もあります。

また、以下のような取り組みをすると加点対象となります。

  • コロナ借換保証等での既往債務借換実施
  • 最低賃金類型での申請
  • 経済産業和尚が行うEBPMへの協力姿勢
  • パートナーシップ構築宣言の実施
  • 健康経営優良法人認定
  • 大幅な賃上げ計画
  • ワーク・ライフ・バランスへの取り組み

加点項目を意識した事業計画の策定が、採択率向上のポイントです。

口頭審査(審査項目)

口頭審査は、一定の審査基準を満たした事業者を対象に、必要に応じてオンラインで実施されます。審査時間は1社あたり15分程度で、申請事業者自身(法人代表者など)のみが対応します。事業計画書作成支援者や経営コンサルタントなどの同席は認められていません。

以下の表に示す観点から事業計画の適格性や実現可能性などが審査されます。

審査の観点主なポイント
補助対象事業の適格性・当該事業は補助対象事業の要件を満たしているか
・当該事業は事業再構築指針と整合しているか
補助対象事業の優位性・市場における競争力はあるか
・差別化要素は具体的か
補助対象事業の実現可能性・実施体制は充実しているか
・資金計画は妥当か
・スケジュールは具体的かつ明確か
補助対象事業の継続可能性・収益計画の実現性はどのくらいあるか
・長期的な成長戦略となっているか
口頭審査の主な審査項目

口頭審査に選ばれた場合、事務局から受験日時の予約案内が行われます。申請完了が早い事業者から優先的に日時を選択できるため、早期の申請完了が推奨されます。また、不参加や接続不良などによる審査不能の場合は不採択となるため、万全の準備が必要です。

事業再構築補助金のWebサイトには、事業再構築補助金に関してよくある質問(FAQ)が掲載されています(参照:よくあるご質問丨事業再構築補助金)。FAQを確認することで、申請前に抱えている疑問を解消できるだけでなく、申請時のミスや漏れを防ぐことにもつながります。

FAQの内容は定期的に更新されるため、最新の情報を確認するようにしましょう。

なお、公募要領やよくある質問集を確認しても解決しない場合は、事務局に問い合わせることが可能です。ただし、事務局に直接連絡するのではなく、「コールバック予約システム」を利用して希望日時を予約する必要があります。

本補助金においては、金融機関等もしくは認定経営革新等支援機関による事業計画の確認が必須です。どちらでも問題はないのですが、本格的な事業作成のサポートを希望するのであれば、認定経営革新等支援機関(あるいは認定経営革新等支援機関を兼ねている金融機関)がよいでしょう。

また、認定経営革新等支援機関には、さまざまな専門家がいますが、特におすすめなのが中小企業診断士です。経営全般に関するコンサルティングを行う中小企業診断士であれば、各事業者の事業を深く理解した上で、それが的確に伝わるような事業計画の書き方に精通しています。

事業再構築補助金申請チェックリスト

詳細チェック
事業概要の理解
事業の目的、補助対象、要件などを理解しているか
申請資格
自社が補助対象事業者(中小企業者等または中堅企業等)の要件を満たしているか
(みなし大企業、みなし同一法人ではないか)
リース会社や共同申請する場合は、その要件を満たしているか
事業計画
申請する事業類型(成長分野進出枠、GX進出類型、コロナ回復加速化枠)を決定したか
事業再構築の類型(新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編)を明確にしているか
事業再構築指針に沿った事業計画になっているか
公募要領に記載されている「事業計画作成における注意事項」をおさえた事業計画になっているか
金融機関等または認定経営革新等支援機関と事業計画を策定し、確認書を取得したか(資金提供を受ける場合は金融機関の確認が必須)
補助事業終了後3~5年で付加価値額または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率を3.0%~4.0%以上増加させる計画か(事業類型により異なる)
事業類型(A)成長分野進出枠の場合
給与総額増加要件(年平均成長率2.0%以上増加)を満たしているか、または市場縮小要件を満たしているか
市場拡大要件を満たす場合は、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に該当するか、または根拠となるデータを示せるか
市場縮小要件を満たす場合は、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に該当するか、または根拠となるデータを示せるか(あるいは基幹大企業の撤退による影響を受けているか)
廃業を伴う場合は、廃業計画書を作成したか
事業類型(B)GX進出類型の場合
給与総額増加要件(年平均成長率2.0%以上増加)を満たしているか
グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する事業か(GX進出計画書を作成)
過去に採択実績がある場合は、別事業要件および能力評価要件を満たし、説明書を作成したか
事業類型(D)コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の場合
コロナ借換保証等で既往債務を借り換えているか(任意)
2023年10月~2024年9月の間、3カ月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いるか
事業場内最低賃金を証明する賃金台帳を準備したか
上乗せ措置(F)卒業促進上乗せ措置の場合
事業類型(A)~(D)のいずれかに申請しているか
補助事業終了後3~5年で中小企業等から中堅企業等に成長する計画か(卒業計画書を作成)
上乗せ措置(G)中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置の場合
事業類型(A)~(D)のいずれかに申請しているか
補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画か
補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させる計画か(大規模賃上げ及び従業員増加計画書、賃金引上げ計画の表明書、賃金台帳を作成)
補助率等引上要件
事業類型(A)または(B)で補助金額・補助率の引上げを希望する場合は、補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画か(大規模な賃上げに取り組むための計画書を作成)
補助対象経費
補助対象経費(建物費、機械装置費など)を正しく積算しているか
補助対象外経費(既存事業への活用費用、諸経費、消費税など)を含んでいないか
原則として3者以上の同一条件による相見積もりを取得しているか
補助事業により取得した資産は、原則として専ら補助事業に使用する計画か
補助対象外事業
補助対象外事業(不動産賃貸、実質的労働を伴わない事業、公序良俗に反する事業など)に該当しないか
重複申請や二重受給に該当しないか
申請手続き
GビズIDプライムアカウントを取得しているか
電子申請システムの操作方法を確認しているか
必要な添付書類(事業計画書、決算書、誓約書など)をすべて準備したか(ファイル名も確認)
公募要領、FAQ、補助金事務局の相談窓口などで疑問点を解消しているか
交付決定後
交付決定後の義務(説明会参加、計画変更の承認申請、事業化状況報告、財産処分制限など)を理解しているか
補助事業実施期間を遵守できるか
事業再構築補助金第13回申請チェックリスト

事業再構築補助金第13回の申請をご検討でしたら中小企業経営支援事務所までご相談ください

事業再構築補助金の第13回公募は、当該補助金の最後の新規受け付けです。これまでよりも応募が集まり、採択率が低くなる可能性があります。

早めに信頼できる金融機関等、あるいは認定経営革新等支援機関に事業計画の相談をしましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請の支援に対して豊富な経験を持つ中小企業診断士が所属する認定経営革新等支援機関です。事業再構築補助金についても、これまで多くの事業者様のサポートをしてきました。

また、当社では、補助金を受け取ったあとの事業運営についても手厚くフォローすることができます。

どの認定経営革新等支援機関に相談しようか迷っていましたら、初回相談無料ですので、ぜひ一度ご相談いただけますと幸いです。

【2025年最新】事業承継・M&A補助金とは?基本要件や補助額、対象経費などをわかりやすく紹介

事業承継・M&A補助金の概要

事業承継とM&Aは、中小企業・小規模事業者にとって事業を円滑に継続・発展させるための重要な経営戦略です。特に、後継者不足が深刻化する中で、M&Aは外部から経営人材を確保する有効な手段として注目されています。

しかし、M&Aや事業承継には、手続きの複雑さや費用負担など、さまざまな課題が存在します。そこで、国の令和6年度補正予算で設けられたのが「事業承継・M&A補助金」です。本補助金は、令和5年度まで実施されていた「事業承継・引継ぎ補助金」の後身となるもので、中小企業・小規模事業者の事業承継やM&Aをより後押しする内容となっています。

この記事では、「事業承継・M&A補助金」について、その目的や支援枠、補助額、対象経費などを、中小企業庁が公表しているパンフレットをもとにわかりやすく解説します。

なお、2025年1月7日時点での情報となりますので、実際に活用される際は最新の情報を確認することをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

事業承継・M&A補助金とは

事業承継・M&A補助金は、中小企業・小規模事業者等の事業承継時の設備投資やM&A実施時の専門家活用費用、M&A後のPMI(経営統合プロセス:Post Merger Integration)に関する費用の一部を補助し、円滑な事業承継とM&Aの促進を図ることを目的とした補助金制度です。

本補助金は、令和5年度まで実施されていた「事業承継・引継ぎ補助⾦」を見直し、事業承継やM&Aをさらに促す内容に変更されたものとなります。また、中小企業令和6年度補正予算案に盛り込まれた「中小企業生産性革命推進事業」(予算規模3,400億円)の一環として実施されるもので、中小企業の事業継続性を高め、日本経済の基盤強化に寄与することを目指しています。

令和6年度補正予算案で盛り込まれた事業承継・M&A補助金と、令和5年度の事業承継・引継ぎ補助金の主な違いは、以下のとおりです。

項目事業承継・M&A補助金(令和6年度)事業承継・引継ぎ補助⾦(令和5年度)
支援枠構成・事業承継促進枠
・専門家活用枠
・PMI推進枠
・廃業・再チャレンジ枠
・経営革新枠
・専門家活用枠
・廃業・再チャレンジ枠
補助上限額最大2,000万円(専門家活用枠)最大600万円(専門家活用枠)

最も大きな変更点は、M&A後の経営統合(PMI)を支援する「PMI推進枠」が新設されたことです。これにより、M&A後の経営統合に関する専門家活用や設備投資がしやすくなっています。

また、補助上限額も拡大され、特に専門家活用枠では、100億企業要件を満たす場合、最大2,000万円まで補助を受けられるようになりました。これは前年度の最大補助額800万円と比べて大幅な増額となっています。

このように、令和6年度の改正では、M&Aの活用促進とその後の統合プロセスの支援強化に重点が置かれていることが特徴です。

事業承継・M&A補助金の4つの支援枠

事業承継・M&A補助金では、4つの支援枠が設けられます。それぞれの支援枠の要件、補助上限額・補助率、対象経費を紹介します。

事業承継促進枠は、近い将来の事業承継に向けて、経営基盤を強化するために設備投資を行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。

枠名事業承継促進枠
概要5年以内の事業承継を予定している事業者の設備投資等を支援
要件5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している者
補助上限額・補助率800~1,000万円(一定の賃上げ実施で1,000万円に引き上げ)
補助率1/2(小規模事業者は2/3)
対象経費設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費など
事業承継促進枠の概要

事業承継促進枠の要件

本枠を利用するためには、5年以内に親族内承継または従業員承継を予定していることが必要です。

事業承継促進枠の補助上限額・補助率

補助上限額は800万円ですが、一定の賃上げを実施する場合は1,000万円まで引き上げられます。補助率については、中小企業者の場合は1/2となりますが、小規模事業者に該当する場合は2/3に引き上げられます。

事業承継促進枠の対象経費

補助対象となる経費は多岐にわたり、主に以下が含まれます。

  • 設備費:事業承継に必要な機械装置などの購入費用
  • 産業財産権等関連経費:特許権などの取得に関する費用
  • 謝金:専門家への相談費用など
  • 旅費:事業承継に関連する出張費用
  • 外注費:外部業者への委託費用
  • 委託費:専門家などへの業務委託費用

専門家活用枠は、M&A実施時の専門家活用に係る費用を支援する制度です。フィナンシャル・アドバイザー(FA)や仲介業者の費用、デューデリジェンス(DD)費用、表明保証保険料などを補助対象としています。

枠名専門家活用枠
概要M&A時の専門家活用に係る費用(FA・仲介費用、表明保証保険料など)を補助
要件補助事業期間に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける者
補助上限額①買い手支援類型
600~800万円(800万円を上限にDD費用を申請する場合、200万円を加算)
2,000万円(100億円企業要件を満たす場合)
②売り手支援類型
600~800万円(800万円を上限にDD費用を申請する場合、200万円を加算)
補助率①買い手支援類型
1/3・1/2、2/3(100億円企業要件を満たす場合、1,000万円以下の部分は1/2、1,000万円超の部分は1/3)
②売り手支援類型
1/2(赤字、もしくは営業利益率が一定程度低下している場合は2/3)
対象経費謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料
専門家活用枠の概要

専門家活用枠の要件

本枠は、補助事業期間中に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける予定の事業者が対象となります。

専門家活用枠の補助上限額・補助率

本枠は買い手支援類型売り手支援類型の2つに分かれ、それぞれ補助上限額・補助率が異なります。

買い手支援類型の補助上限は600万円ですが、DD費用を申請する場合は800万円まで引き上げられます。さらに、100億企業要件を満たす場合は2,000万円まで拡大されます。補助率は原則1/2ですが、100億企業要件を満たす場合、1,000万円超の部分は1/3となります。

売り手支援類型の補助上限は600万円で、DD費用申請時は800万円まで引き上げ可能です。補助率は原則1/2ですが、赤字企業や営業利益率が低下している場合は2/3に引き上げられます。

専門家活用枠の対象経費

主な対象経費は以下の通りです。

  • 謝金:専門家への相談費用
  • 旅費:M&A関連の出張費用
  • 外注費:外部業者への委託費用
  • 委託費:専門家への業務委託費用
  • システム利用料:M&A関連システムの利用料
  • 保険料:表明保証保険等の費用

なお、FA・仲介費用については、「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者による支援に係る費用のみが補助対象となります。

PMI推進枠は、M&A後のPMI(経営統合プロセス)に関する費用を支援する制度です。

項目内容
枠名PMI推進枠
概要M&A後のPMIに係る費用(専門家費用、設備投資など)を補助
要件M&Aに伴い経営資源を譲り受ける予定の中小企業等に係るPMIの取り組みを行う者
補助上限額①PMI専門家活用類型
150万円
②事業統合投資類型
800~1,000万円(一定の賃上げ実施で1,000万円に引き上げ)
補助率①PMI専門家活用類型
1/2
②事業統合投資類型
1/2(小規模事業者は2/3)
対象経費設備費、外注費、委託費など
PMI推進枠の概要

PMI推進枠の要件

本枠を利用するためには、M&Aに伴い、経営資源を譲り受ける予定の中小企業等に係るPMIの取り組みを行う者であることが必要です。

PMI推進枠の補助上限額・補助率

本枠は、専門家活用類型事業統合投資類型の2類型が用意されており、異なる補助上限額と補助率が設定されています。

PMI専門家活用類型の補助上限額は150万円で、補助率は1/2となっています。一方、事業統合投資類型の補助上限額は800万円ですが、一定の賃上げを実施する場合は1,000万円まで引き上げられます。補助率については、中小企業者の場合は1/2となりますが、小規模事業者に該当する場合は2/3に引き上げられます。

PMI推進枠の対象経費

補助対象となる経費は、主に以下が含まれます。

  • 設備費:PMIに必要な機械装置などの購入費用
  • 外注費:外部業者への委託費用
  • 委託費:PMI関連の業務委託費用

廃業・再チャレンジ枠は、事業承継やM&Aに伴って発生する廃業などの費用を支援する制度です。この支援枠は、他の支援枠(事業承継促進枠、専門家活用枠、事業統合投資類型)と併用して申請できます。

項目内容
枠名廃業・再チャレンジ枠
概要事業承継やM&Aに伴う廃業などに係る費用(例:原状回復費・在庫処分費)を補助
要件事業承継やM&Aの検討・実施に伴って廃業などを行う者
補助上限額150万円(他の支援枠と併用申請する場合は、各支援枠の補助上限に加算)
補助率1/2・2/3(併用申請の場合は各事業の補助率に従う)
対象経費廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用(併用申請の場合のみ)
廃業・再チャレンジ枠の概要

廃業・再チャレンジ枠の要件

本枠を利用するためには、事業承継やM&Aの検討・実施に伴って廃業などを行う者であることが条件となります。

廃業・再チャレンジ枠の補助上限額・補助率

補助上限額は150万円に設定されています。ただし、他の支援枠と併用申請する場合は、それぞれの補助上限額に150万円が加算されます。補助率については、単独で申請する場合は1/2または2/3です。併用申請の場合は、各事業における事業費の補助率が適用されます。

廃業・再チャレンジ枠の対象経費

補助対象となる経費には以下が含まれます。

  • 廃業支援費:廃業に関連する支援サービスの利用費用
  • 在庫廃棄費:在庫の処分に係る費用
  • 解体費:建物や設備の解体に要する費用
  • 原状回復費:賃借物件等の原状回復に必要な費用
  • リースの解約費:リース契約の解約に伴う費用
  • 移転・移設費用:併用申請の場合のみ対象となる、設備等の移転や移設に係る費用

事業承継・M&A補助金の大まかな流れ

事業承継・M&A補助金の申請から補助金交付までの流れは、大きく4つのステップに分かれます。

  1. 事前準備
    まず、自社の課題を把握し、具体的な事業計画を検討します。その後、公募要領が公開されるのを待ちます。
  2. 公募開始~交付決定
    公募要領が公開され、まもなくして申請受付が始まります。申請締切後、補助金事務局による審査を経て採択された事業者は、補助金事務局から交付決定を受けます。
  3. 補助事業実施~補助金交付
    交付決定後、補助事業を開始します。事業完了後は実績報告書を事務局に提出し、確定検査を受けます。検査後、補助額が確定したら事務局に補助金請求を行い、補助金を受け取ります。確定検査時に実施内容や経費に問題があるとみなされた場合、交付決定されていても補助金が支払われない可能性がある点には注意が必要です。
  4. 補助期間終了後
    補助事業終了後は、3~5年間にわたって事業化状況の報告が必要となります。この期間が事業計画の実施期間となります。

なお、補助事業期間内に発生し支払いを完了した経費のみが補助対象となるため、適切な事業計画の策定と実施が重要です。

事業承継・M&A補助金以外の中小企業生産性革命推進事業

事業承継・M&A補助金は、令和6年度補正予算案で盛り込まれた中小企業生産性革命推進事業のひとつです。本事業では、中小企業等の稼ぐ力を強化し、持続的な賃上げを促進するために、事業承継・M&A補助金新設のほかに、以下の3つの取り組みが行われる予定となっています(参照:令和6年度補正予算〈中小企業・小規模事業者等関連予算〉丨中小企業庁)。

ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者等の新製品・新サービスの開発に必要な設備投資を支援する制度です。令和6年度の補正予算案では、製品・サービス高付加価値化枠について、従業員21人以上の中小企業を対象に補助上限が引き上げられます。また、最低賃金近傍の事業者への支援として、補助率が1/2から2/3となります。さらに、賃上げ動向を踏まえた賃上げ要件や運用の見直しも実施される予定です。

IT導入補助金は、中小企業のIT化を促進するための支援制度です。主な変更点として、セキュリティ枠の補助上限引き上げや要件見直しが行われます。また、汎用ツールの導入や導入後の支援も補助対象となります。最低賃金近傍の事業者については、補助率が1/2から2/3に引き上げられる予定です。

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓などを支援する制度です。令和6年度補正予算案で、経営計画の策定に重点を置き、制度の簡素化が図られることになりました。具体的には、通常枠や創業枠等への再編が行われ、より使いやすい制度となります。

事業承継・M&A補助金の申請でお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

補助金の申請には、事業計画の策定から実施後の報告まで、多くのステップと専門的な知識が必要です。特に事業承継・M&A補助金は複数の支援枠があり、それぞれ要件や補助率が異なるため、自社に最適な支援枠を選択することも重要となります。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、事業承継・M&A補助金をはじめとする各種補助金のトータルサポートを行っています。

当社では、補助金申請の実績が豊富な専門家が、計画策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧にアドバイスしています。初回相談は無料ですので、補助金活用を検討している場合は、お気軽にご相談ください。

【2025年新設】中小企業成長加速化補助金とは?基本要件や対象経費を解説

中小企業成長加速化補助金の概要

物価高やエネルギー高、人手不足など、中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中で、政府は中小企業の持続的な成長を促進するため、さまざまな支援策を打ち出しています。

その中でも2025年に新設される「中小企業成長加速化補助金」は、特に成長志向の高い中小企業に焦点を当てた新たな補助金です。この補助金は、売上高100億円を目指す企業の設備投資や賃上げなどを支援することにより、企業の成長を加速させ、ひいては日本経済全体の活性化を図ることを目的としています。

この記事では、中小企業成長加速化補助金の概要や申請方法、採択されるためのポイントなどを詳しく解説していきます。

なお、本補助金の第1回公募要領は2025年3月公開となっています。実際に申請するときは、本記事だけでなく、中小企業庁が公表する最新情報も確認することをおすすめします。

中小企業成長加速化補助金とは

中小企業成長加速化補助金とは、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業に対して、最大5億円の大規模な設備投資支援を行う補助金制度です。2024年12月公表の「令和6年度補正・令和7年度当初予算案」に盛り込まれた中小企業生産性革命推進事業(3,400億円規模)のひとつとして2025年から実施されます。

本補助金の活用イメージとしては、「工場・物流拠点の新設・増築」「イノベーション創出のための設備導入」「自動化による革新的な生産性向上」などです。いずれにしても、本補助金を活用する事業者には大規模な設備投資をすることが期待されています。

出典:中小企業成長加速化補助金丨中小企業庁

中小企業成長加速化補助金の役割

大きな補助金額が狙え、補助対象経費に建物費が含まれる、新事業進出補助金、成長加速化補助金、大規模成長投資補助金の3つの補助金を比較し、成長加速化補助金の役割について考察します。

下記は、補助金別に、対象となる企業の売上高をまとめたグラフです。(当社独自の見解です。)

 まずは、大規模成長投資補助金です。採択者の売上高の中央値は、おおよそ100億円です。この数値は、事務局公表の全社年平均売上高成長率と全社売上高増加額を基に、指数関数で処理して算出しています。また、公表されている採択企業をみても、資本金や従業員規模が大きい企業が中心です。こうしたことから、売上高10億円前後を下回る事業者様が採択される可能性は低いという実態がありました。

 続いて、新事業進出補助金です。新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継であり、昨年度までは売上規模の大小問わず採択されていました。一方、新事業進出補助金の補助上限額が9,000万円ですので、大規模な設備投資、例えば、5億円程度の設備投資を行う事業計画の場合、補助金額が不十分であったという問題がありました。 

 中小企業成長加速化補助金では、売上高100億円を目指す企業を対象としていると明記しています。現実的には、売上高10億円前後から100億円に満たない企業がターゲットになります。補助金額の上限額は5億円です。補助金上限額は、ちょうど、新事業進出補助金と大規模成長投資補助金の中間の金額帯を担っており、いわばブリッジのような役割を果たしています。

中小企業成長加速化補助金の補助対象者

中小企業成長加速化補助金の補助対象者は、売上高100億円への飛躍的成長を目指す中小企業です。

中小企業成長加速化補助金の補助率・補助上限額

中小企業成長加速化補助金の補助率は対象経費の1/2で、補助上限額は5億円です。

中小企業成長加速化補助金の補助事業実施期間

中小企業成長加速化補助金の補助対事業実施期間は、交付から24ヶ月以内となっています。この期間のうちに契約から導入までが済んだ設備の費用に対して、補助が行われます。

中小企業成長加速化補助金の要件

中小企業成長加速化補助金を受け取るためには、以下の4つの基本要件をすべて満たす必要があります。

基本要件詳細
事業者要件中小企業者であること
投資額要件投資額が1億円以上(税抜)であること
※投資額は建物費、機械装置等費、ソフトウェア費の補助対象経費の合算金額。外注費や専門家経費は含まれない
※複数地域での投資案件も対象となる。ただし、補助事業の目的・内容が一体的でなければならない
ビジョン要件「売上高100億円を目指す宣言」を策定・公表していること
※第1回公募においては同時の対応
賃上げ要件補助事業終了後3年間の事業計画書を、一定の賃上げ要件などを満たす内容にするとともに実行すること
中小企業成長加速化補助金の要件

このように、本補助金は意欲的な成長目標を持ち、具体的な投資計画と実行力を備えた中小企業を支援対象としています。

また、申請するときは、上記要件を満たすほか、「GビスIDプライム」アカウントが必要です。

中小企業成長加速化補助金の補助対象経費

中小企業成長加速化補助金の補助対象経費は、大きく5つの項目に分類されます。

補助対象経費具体例
建物費工場・物流施設の建設費用、増改築費用、建物付帯設備(電気、給排水、空調など)の工事費用など
機械装置等費生産設備、検査装置、自動化機器、搬送装置の購入費用や、これらの設置・据付費用など
ソフトウェア費生産管理システム、在庫管理システム、業務効率化ソフトウェアの導入費用など
外注費製品開発や設計などに係る外注費用、システム開発の委託費用など
専門家経費コンサルタントといった専門家への相談費用やアドバイザリー費用など
中小企業成長加速化補助金の補助対象経費

なお、投資額要件である1億円以上の算定には、建物費・機械装置等費・ソフトウェア費のみが対象となり、外注費と専門家経費は含まれません。

「売上高100億円を目指す宣言」とは

中小企業成長加速化補助金を受け取るためには、「売上高100億円を目指す宣言」をする必要があります。

「売上高100億円を目指す宣言」とは、中小企業自らが「売上高100億円を超える企業になること」や「それに向けたビジョンや取り組み」を宣言し、2025年春頃開設予定のポータルサイトに公表することを指します。

「売上高100億円を目指す宣言」の内容は、現時点では以下とされています。

宣言項目主な記載内容(検討段階)
①企業の現状・現在の売上高
・賃上げなどの企業目標
・直面している課題
②売上高100億円の実現のための目標設定・売上高成長目標
・達成期間
・実現までのプロセス
③売上高100億円に向けた具体的措置・生産増強計画
・海外展開戦略
・M&A計画 など
④実施体制
⑤経営者のコミットメント・経営者自身によるメッセージ
「売上高100億円を目指す宣言」の内容

宣言を行う際は、記載内容の確認審査があり、承認された企業のみが補助金申請の資格を得ることができます。なお、宣言の具体的な様式や記載方法の詳細が記された募集要領は2025年2月に公開される予定です。申請受付については2025年5月頃開始となっています。

「売上高100億円を目指す宣言」は、中小企業成長加速化補助金に申請できるようになるだけでなく、さまざまなメリットがあります。

例えば、同じように高い成長志向を持つ経営者とつながり、さまざまな経営の気づきを得られるような、宣言をした企業限定のイベントに参加できるようになります。

また、宣言をした企業だけが使用できるロゴマークもあります。自社のWebサイトに掲載することで、自社の取り組みに箔が付いていることをよりわかりやすくアピールできるでしょう。

中小企業成長加速化補助金の大まかな流れ

中小企業成長加速化補助金は以下のような流れで進みます。

出典:中小企業成長加速化補助金丨中小企業庁
  1. 事前準備
    まずは、GビズIDプライムアカウントの取得と「売上高100億円を目指す宣言」を行います。また、公募要領を確認して、事業計画書など必要な書類を準備します。
  2. 公募開始~交付候補者決定
    公募が始まったら、締切前に余裕を持って申請を行います。申請すると事務局による審査が行われ、交付候補者が決められます。
  3. 交付決定~補助事業実施
    交付決定を受けたら、補助事業を開始します。補助事業の実施期間は交付決定日から24ヶ月以内です。補助事業が終了したら、再度事務局による審査が入ります。審査結果を元に事務局が補助額を決めたら、事業者の方から事務局に支払請求をして補助金を受け取ります。
  4. 補助事業終了後
    補助金を受け取ったあとは、公募要領で決められた期間、知的財産等の報告や事業化状況の報告を行います。

中小企業成長加速化補助金の第1回公募のスケジュール

中小企業成長加速化補助金の第1回公募は2025年に開始される予定です。具体的なスケジュールとしては、3月に公募要領が公開され、5月から申請受付が開始されます。その後、審査を経て6月頃に公募が締め切られ、8月頃に交付候補者の決定が行われる見込みです。

なお、本補助金は2026年度末までに計3回程度の公募実施が予定されており、全体で約600件の採択を想定しています。ただし、1件あたりの申請額によって採択件数は変動する可能性があります。

中小企業成長加速化補助金の採択率を上げるポイント

中小企業成長加速化補助金は、他の補助金と同様、支援を受けるには事務局に採択されなければいけません。

まだ公募要領が公開されていない中ですが、今のうちから採択率を上げるためにできることがあります。

中小企業成長加速化補助金の審査は大きく3つの観点から行われます。具体的には以下の通りです。

審査項目評価のポイント
経営力・企業の成長性
・投資の呼び水効果
・他社との差別化戦略
波及効果・賃上げ計画の具体性
・地域内での仕入れ状況
・地域経済への貢献度
実現可能性・資金計画の妥当性
・金融機関の支援体制
・実施スケジュールの現実性
審査基準の3本柱 参照:(案)「100 億企業実行事務局」のうち中小企業成長加速化補助金(中小企業成長加速化支援事業)を実施する補助事業者の公募要領 p.16丨中小企業基盤整備機構

事業計画書を策定するときは、これらの審査基準を意識することが重要です。特に「経営力」では、単なる売上目標だけでなく、その実現に向けた具体的な戦略や他社との差別化ポイントを明確に示す必要があります。

また「波及効果」では、自社の成長が地域経済にどのように貢献するのかを具体的に説明することが求められます。「実現可能性」については、金融機関との連携体制や詳細な資金計画を示すことで、事業の確実な遂行をアピールすることが重要です。

上記のポイントをおさえた優れた事業計画書を作成するためには、時間をかけてじっくりと練り上げる必要があります。

現時点では公募要領が公開されておらず、具体的な内容がわからないため、事業計画の作成をどこから始めたらよいか悩んでいる人もいるかもしれません。

しかし、現時点でもできることは多くあります。例えば、以下のような自社の現状分析です。

項目内容
強み・弱み補助事業でどのように活用・改善できるかを明確にするために、自社の強みと弱みを整理しておく
機会・脅威補助事業との関連性を明らかにするために、事業を取り巻く外部環境の機会と脅威を分析しておく
財務状況補助事業による効果を数値で示せるように、過去の売上や利益の推移、今後の見通しなどを確認しておく
競合他社補助事業の必要性を強調できるように、競合他社の状況を分析することで、自社の優位性を明確にしておく
自社の現状分析

公募開始前にこれらの準備を進めておくことで、公募開始後すぐに事業計画の作成に着手できるようになるでしょう。

採択率を上げたいときに、やはり頼りになるのが補助金申請サポートの専門家です。専門家に相談すれば、事業計画書の策定のアドバイスや手続きのフォローなどを受けることができます。

ただ、最近は専門家も多くおり、相性の良い専門家を探そうとするとある程度時間がかかります。公募が始まってからとなると慌ただしくなるため、早めに専門家を見つけておくことおすすめします。

中小企業成長加速化補助金を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業成長加速化補助金は、最大5億円と比較的大きい金額の支援を受けられるため、高い成長意欲を持つ中小企業であればぜひ利用したい補助金制度です。

2025年3月に第1回の公募要領が公開される予定ですが、今のうちからぜひ準備を進めておきましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金制度の申請支援を行うエキスパートとして、事業計画書の策定や手続きの支援を行っています。

また、補助金を受け取ったあとの事業運営についても、手厚くフォローを行っているのも当社の強みです。本補助金をもとに持続的・飛躍的な成長を目指したいとお考えでしたら、ぜひトータルでのサポートを強みとしている当社にご相談ください。初回相談は無料です。

【令和7年最新】中小企業省力化投資補助事業とは?カタログ注文型・一般型の詳細と採択率アップのコツを解説

中小企業省力化投資補助事業の概要

中小企業においては人手不足が深刻化しており、生産性向上や業務効率化が喫緊の課題です。中小企業庁では、そうした課題に立ち向かう中小企業を支援するため、さまざまな補助金制度を設けています。

「中小企業省力化投資補助金」は、中小企業等がIoT、ロボットなどの導入を通して生産性向上を図る際に、その費用の一部を補助する制度です。中小企業庁の政策の実施機関である中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施し、全国中小企業団体中央会が同機構からの委託を受けて本事業のサイトを運営しています。

この記事では、中小企業省力化投資補助金について、制度の概要から申請方法、採択されるためのコツまでを、「中小企業省力化投資補助金の専用サイト」で公表されている各資料をもとに解説します。

なお、本事業においては、令和7年に「一般型」という新たな枠が設けられることになりました。令和6年12月6日に更新された最新情報もご紹介します。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

中小企業省力化投資補助事業とは

中小企業省力化投資補助事業とは、人手不足に悩む中小企業等の売上拡大や生産性向上を支援することを目的とした補助金制度です。具体的には、清掃ロボットや自動券売機、無人搬送車など、人手不足解消に効果がある製品の導入に係る費用の一部を補助します。これにより、中小企業等の付加価値額や生産性の向上、従業員の賃上げを支援します。

本事業には、他の補助金同様、以下のようなメリットがあります。

メリット説明
設備投資に必要な資金が調達できる自己資金が不足している場合でも設備投資を行いやすくなる
融資が受けやすくなる補助金事業に採択されることで事業の信頼性が高まり、金融機関からの融資を受けやすくする効果が期待できる
客観的な自社分析ができる補助金申請に必要な事業計画書の作成を通して、自社の強みや弱み、事業環境などを分析する機会が得られる
中小企業省力化投資補助事業を活用するメリット

これらのメリットを活かすことで、中小企業は生産性向上や競争力強化を図り、持続的な成長を実現できる可能性が高まります。

本事業においては、令和7年は従来の「カタログ注文型」とは別に「一般型」の枠が追加されます。

カタログ注文型では、あらかじめ登録された汎用製品を簡易に導入できる即効性のある支援を行います。一般型では、業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、DXなど、個別の現場に合わせた多様な省力化投資を促進します。

本事業は、中小企業等事業再構築促進基金が活用(令和6年再編)されます。予算規模3,000億円です。

中小企業省力化投資補助事業の概要(カタログ注文型とは別に一般型が追加される)

中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)の詳細

中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)は、従来から行われている事業です。指定の製品カテゴリに登録された省力化製品を導入し、同製品の販売事業者と共同で取り組みます。2024年12月11日に改訂された公募要領をもとに詳細をご紹介します。

カタログ注文型の補助対象者は、交付申請時点で日本国内で法人登記等がされ、日本国内で事業を営む中小企業等です。ここでいう中小企業等は、「中小企業者(組合関連以外)」「中小企業者(組合・法人関連)」「中小企業者以外の法人」を指します。

それぞれの要件は以下のとおりです。

中小企業者(組合関連以外)

中小企業者(組合関連以外)は、下表の数字以下になっている法人・個人を指します。

業種資本金従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人
中小企業者(組合関連以外)の要件

中小企業者(組合・法人関連)

中小企業者(組合・法人関連)は、下記のような組織に該当する法人のことです。

  • 企業組合
  • 協業組合
  • 事業協同組合/事業協同小組合/事業協同連合会
  • 商工組合/商工組合連合会

このほか、水産加工業協同組合/水産加工業協同組合連合会、生活衛生同業組合/生活衛生同業小組合/生活衛生同業組合連合会などが該当します。

「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人

以下のいずれかに当てはまる法人も補助対象です。

  1. 以下の要件をすべて満たす特定非営利活動法人(NPO法人)
    ・中小企業一般の振興・発展に直結する活動を広く行っていること
    ・従業員数300人以下であること
    ・収益事業を行うこと
    ・認定NPO法人でないこと
    ・経営力向上計画の認定を受けていること
  2. 以下の要件をすべて満たす社会福祉法人
    ・所管庁の認可を受けていること
    ・従業員数300人以下であること
    ・収益事業の範囲内で補助事業を行うこと

なお、大企業やみなし大企業(大企業が実質的に支配している企業)は対象外となります。また、同一法人とみなされる親会社・子会社からの複数申請も認められません。

補助対象者がカタログ注文型を利用したいときは、以下の要件をすべて満たす必要があります。

補助対象事業要件

  1. 導入する省力化製品に紐付けられた業種のうち、少なくとも1つ以上が中小企業等の営む事業の業種と合致すること
  2. カタログに登録された価格以内の製品本体価格・導入経費を補助対象として事業計画に組み込むこと
  3. 補助事業の終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる事業計画を策定し実行すること(労働生産性の向上目標)
  4. 賃上げによる補助上限額の引き上げを希望する場合は、事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させる計画を従業員に表明し実行すること(賃上げ目標)
  5. 省力化製品を登録されている業種・業務プロセス以外の用途に使用しないこと
  6. 合理的に目標達成が可能な事業計画に沿って実施すること
  7. 効果報告期間中は、補助事業者が自然退職や自己都合退職以外の解雇を積極的に行わないこと
  8. 補助額が500万円以上の場合は、所定の保険への加入を行うこと

3と4に関しては補助事業実施中に達成できなかった場合、事務局への補助金の減額・返還が求められます。

なお、以下のような事業は補助対象外となります。

  • 不動産賃貸等の実質的な労働を伴わない事業
  • 1次産業(農業・林業・漁業)
  • 日本国外で実施する事業
  • 公序良俗に反する事業
  • 法令違反の恐れがある事業

このほか、制度趣旨や公募要領にそぐわない事業も対象外です。

補助対象者、販売事業者および対象リース会社の要件

  1. 補助対象者が人手不足の状態にあることが確認できること
  2. 補助対象者の全従業員の賃金が最低賃金を超えていること(交付申請時および実績報告時の直近月の最低賃金を基準とする)
  3. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が風俗営業等の規制対象事業を営んでいないこと(旅館業等一部除外あり)
  4. 補助対象者が過去1年間、労働関係法令違反による送検処分を受けていないこと
  5. 補助対象者が所定の法人・個人の要件を満たしていること
  6. 補助対象者が他の補助金などとの重複に該当しないこと
  7. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が補助対象事業の要件に合致している事業を行うこと
  8. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が公募要領などに記載されたルールを遵守していること
  9. 補助対象者がGビズIDプライムを取得していること
  10. 販売事業者が製品の納入やサポートに責任を持ち、「省力化製品販売事業者登録要領」を遵守すること
  11. 補助対象者、販売事業者および対象リース会社が、経済産業省や中小機構から補助金交付等停止措置または指名停止措置を受けていないこと

これらの要件は公募申込時点で満たしている必要があり、一時的な要件充足は認められません。虚偽や不正が発覚した場合は、交付決定の取り消しとなる場合があります。

販売事業者および対象リース会社については、事前に本事業指定の登録申請を済ませていることから、中小企業等が本事業を利用する際に販売事業者らの要件について気にする必要はないと考えられます。

カタログ注文型における補助率は、一律1/2です。

補助上限額は、従業員数によって以下の通り設定されています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ時の補助上限額
5人以下200万円300万円
6~20人500万円750万円
21人以上1,000万円1,500万円
中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)の補助上限額

大幅賃上げとは、補助対象事業要件に記載した「事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させる」ことを指します。これらの目標を達成できなかった場合は、補助額が通常の上限額まで減額される可能性があります。

カタログ注文型の補助対象経費は、製品本体価格と導入経費に大別されます。

製品本体価格

主な対象製品と留意点は以下のとおりです。

項目概要
対象製品・機械装置
・工具や器具
・専用ソフトウェアや情報システム
留意点・製品カタログの事前登録価格が上限
・単価50万円以上
・補助事業専用であること
製品本体価格における主な対象製品と留意点

一方、以下のような経費は対象外となります。

  • 顧客負担費用が含まれるもの
  • 無償提供品
  • 中古品
  • 交付決定前の購入製品
  • リース契約の金利・保険料
  • 公租公課(消費税)

なお、ポイント還元や払い戻しによる実質価格の引き下げ、不当な価格つり上げ、関係者間での資金還流等の不正行為が発覚した場合、立入調査や交付決定取消、事業者名の公表等の措置が取られます。

導入経費

主な対象経費と留意点は以下のとおりです。

項目内容
対象経費・設置作業費
・運搬費
・動作確認費用
・マスタ設定などの導入設定費用
留意点製品本体価格の2割が上限
導入経費における主な対象製品と留意点

一方、以下のような経費は対象外となります。

  • 交付決定前の費用や補助事業期間外の費用
  • 過去購入品の作業費や非補助対象品の費用
  • 製品導入と無関係の作業費
  • 試運転に伴う原材料費/光熱費
  • 通常業務に対する代行作業費
  • 移動交通費/宿泊費
  • 委託外注費
  • 交付申請時に金額が未確定なもの
  • 無償提供されたもの
  • 補助金申請申請代行費
  • リース契約時の金利や保険料
  • 公租公課(消費税)

なお、導入経費についても、不当な減額や無償化、利害関係者への不当な利益配分といった行為は認められません。このような行為が発覚した場合は、製品本体価格と同様のペナルティ対象となります。

カタログ注文型は、2024年6月25日(火)から随時受付中となっています。

カタログ注文型では、以下のような流れで進みます。

事業計画を策定する

まずは公募要領に目を通した上で、販売事業者と共同して事業計画の策定を行います。具体的な手順は以下のとおりです。

手順主な内容備考
1.省力化製品・販売事業者選択・事務局HPの「製品カタログ」ページから省力化製品と販売事業者を選ぶ・販売事業者に本事業の交付申請を行いたい旨を連絡す・新規事業は対象外
・事前登録製品のみ対象
2.人手不足の確認以下のいずれかに該当すること
①残業時間30時間超
②従業員5%以上減少
③求人未充足
④その他
・④は審査が厳格化
・採択通知が遅延の可能性あり
3.事業計画作成カタログから選んだ製品で事業要件である「労働生産性の向上目標」(3年間で年平均成長率3.0%以上)が達成する計画を作成。以下の説明を盛り込む
・導入製品の使用方法
・期待される省力化効果
・抽出される時間や人員の使途
・賃上げ計画がある場合は表明必要
4.保険加入検討・補助額500万円以上は加入必須
・保険金額は補助額以上
・保険料は補助対象外
・500万円未満も加入推奨
事業計画策定の手順と要件

なお、リース取引や賃貸借契約による導入を検討する場合は、追加の要件や手続きが必要となるため、事前にリース会社かリース事業協会へ確認することをおすすめします。

事務局に交付申請する

事業計画書を作成したら、公募期間中に申請受付システムを通じて行います。なお、システムには販売事業者から招待されて初めてアクセスできます。専用サイトに申請フォームが設置されているわけではありませんので注意しましょう。また、「GビズIDプライム」アカウントの取得が必要になるため事前に済ませておきます。

事務局が審査を実施して採択事業者を決定する

事務局が提出された書類をもとに審査を行います。採択されると、申請受付システムを通じて交付決定の通知が事業者に届きます。また、事業者の名称、法人番号、所在地(市区町村まで。個人事業主の場合は都道府県まで)、申請年度を事務局のサイトに公表するための同意が求められます。

補助事業を実施する

事業計画書の記載内容に沿って、補助事業を実施します。補助事業の実施期間は、交付決定日から原則12ヶ月以内です(交付決定通知書に記載)。

補助事業では、事業計画に基づいてカタログに登録されている省力化製品を購入し、販売事業者と協力して導入・業務プロセスの改善を行います。

補助事業完了したら、事務局へ実績報告を提出します。その際は以下の3点が必要です。

  1. 支払いに係る証憑(発注・契約・納品・検収・請求・支払いなどの書類)※銀行振込のみ対象
  2. 導入実績に係る証憑
  3. 事業計画の達成状況(省力化の効果、賃上げ実績)

なお、賃上げによる補助上限額の引き上げを適用している場合は、賃金引き上げ実績が確認できるまで実績報告を行うことはできません。

事務局による補助額確定後、補助金を受け取る

事務局が実績報告をもとに補助金を確定したら、事務局に支払請求を行い、補助金を受け取ります。

補助事業完了後3年間、効果報告を事務局に行う

本事業では、補助事業完了後から3年間の効果報告が義務付けられています。毎年度、事務局が定める期限までに以下の項目について報告を行う必要があります。

  1. 省力化製品の稼働状況
  2. 事業計画の達成状況
    ・省力化の効果(従業員数、労働時間、決算情報)
    ・賃上げ実績(給与支給総額、事業場内最低賃金)

「労働生産性の向上目標」(3年間で年平均成長率3.0%以上)の達成状況は、3回目の効果報告で最終判断されます。

なお、以下のケースでは補助金の返還や収益納付が求められる可能性があります。

  • 省力化を理由とした人員整理・解雇の実施
  • 事業者の故意や過失による目標未達
  • 賃上げによる補助上限額の引き上げ適用後に賃金を引き下げ
  • 本事業による収益の発生

また、効果報告期間中は実地検査も行われ、省力化製品の設置・使用状況が確認されます。使用状況が確認できない、別の補助金事業に使用しているなどが確認された場合、交付決定が取り消されるため注意が必要です。

補助事業完了後、取得した省力化製品の適切な管理をする

本事業で取得した省力化製品は、補助金適正化法に基づき、効果報告期間が終わっても法定耐用年数が経過するまでは厳格な管理が必要です。

例えば、製品の売却・転用・破棄などの財産処分を行う場合は、事前に事務局の承認を得なければなりません。承認後は、残存簿価相当額または時価(譲渡額)を補助金額を上限として納付する必要があります。無断で貸付や転売等を行った場合は、交付決定が取り消されるため注意しましょう。

なお、財産処分に関する申請や納付は、その財産の所有者が行います。ファイナンス・リース取引で導入した場合は、所有権を持つリース会社が手続きを行う必要があります。

カタログ注文型の申請に必要な提出書類は、以下のとおりです。なお、指定様式については、事務局HPの「資料ダウンロード」ページから取得できます。

区分必要書類
全事業者共通・従業員名簿 【指定様式】(中小企業判定用)
・損益計算書(前期・前々期分)
・貸借対照表(前期・前々期分)
法人・履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
・法人税の納税証明書(その2)(直近3期分)
・役員名簿 【指定様式】
・株主・出資者名簿 【指定様式】
個人・確定申告書の控え 第一表(直近1期分)
・所得税の納税証明書(その2)(直近1期分)
人手不足に関する書類いずれかひとつ
・時間外労働時間 【指定様式】
・従業員減少の確認用 【指定様式】
・求人サイトのキャプチャなど
賃上げに関する書類事業場内で働く最低賃金者の賃金台帳
事業計画に関する書類省力化効果判定シート 【指定様式】
リース取引を利用する場合の追加書類・リース料軽減計算書
・リース取引に係る宣誓書
中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)で必要な提出書類

以上の書類を電子申請システムを通じて提出する必要があります。なお、申請内容によって追加で書類提出を求められる場合もありますので、事前に十分な準備が必要です。

中小企業省力化投資補助事業(一般型)の詳細

中小企業省力化投資補助事業は、令和7年からカタログ注文型と一般型の2枠で展開されます。

一般型とは、事業者が自らの事業場用にカスタマイズした設備を導入したり、システムを構築したりするときにかかる費用の一部を補助する枠です。こうした特徴から、オーダーメイド型とも呼ばれることがあります。

一般型については、まだ詳細が公表されていないため、利用を検討している事業者は、定期的に「中小企業省力化投資補助金」の専用サイトや、中小企業庁の「中小企業対策関連予算」をチェックすることをおすすめします。

現時点で判明している詳細をお伝えします。

一般型の補助率は、補助金額1,500万円までは1/2(小規模・再生事業者は2/3)、1,500万円を超える部分は1/3となります。ただし、最低賃金引上げ特例として、小規模・再生事業者を除き補助率を2/3に引き上げることができます。

補助上限額については、応じて段階的に設定されています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ時の上限額
5人以下750万円1,000万円
6~20人1,500万円2,000万円
21~50人3,000万円4,000万円
51~100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円
中小企業省力化投資補助事業(一般型)の補助上限額

大幅賃上げの要件は、カタログ注文型と同様、事業場内最低賃金を45円以上増加させ、かつ給与支給総額を6%以上増加させることになると予想されます。

中小企業省力化投資補助事業の採択率を上げるコツ

中小企業省力化投資補助事業では、採択に至らなければ具体的な資金援助を受けることができません。採択率を上げるには、以下のポイントが重要となるでしょう。

本事業の採択審査では、公募要領の要件を満たしているかに加えて、以下の要素をふまえて総合的に判断するとされています。

  • 投資による労働生産性向上の効果が合理的に説明されているか
  • 単なる工数削減以上の付加価値増加が期待できるか(省力化により新しい取り組みを行う、高付加価値業務へシフトするなど)
  • 賃上げに積極的に取り組んでいる、あるいは取り組む予定であるか(事業場内最低賃金を地域別最低賃金に比べて一定水準まで引き上げる取り組みを考慮)

審査の着眼点は、公募要領ではごく簡単に書かれていますが、採択率を上げる重要な鍵です。意図をしっかり汲み取った上で事業計画に盛り込むようにしましょう。

補助金申請支援の専門家に相談するのもひとつです。補助金制度に関する深い知識と豊富な経験を持っているため、的確なアドバイスやサポートを受けられます。例えば、企業の事業内容や設備投資計画が補助金の要件を満たしているかのチェックや、採択率を高める効果的な事業計画書の作成支援などです。

専門家はさまざまな肩書の人がいますが、おすすめは中小企業診断士です。中小企業の経営課題に常に向き合っている中小企業診断士は、事業者の経営状態を客観的に観察し、その上で現実的な施策を提示することを得意としています。そのため、中小企業診断士に相談すれば、本事業の審査員も納得するような説得力のある事業計画を立てられるでしょう。

中小企業省力化投資補助事業の申請をお考えでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業省力化投資補助事業においては、令和7年はカタログ注文型と一般型の2枠で展開されます。

一般型については詳細が公表されていないため、利用を検討している場合は定期的にチェックすることをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所では、本補助金をはじめ、さまざまな補助金・助成金の申請支援を行っています。採択率を上げるためのアドバイスだけでなく、採択後の事業実施や、さらにその後の事業運営までといったトータル支援も可能です。

また、事業者様の状況を見て、よりふさわしい補助金事業を案内することもできます。まだ明確に利用するか決まっていない事業者様も、ぜひ一度ご連絡いただきましたら幸いです。初回相談は無料となります。

2025年 第19回公募 令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」まとめ|基本要件・補助金額・対象経費

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の概要

近年の日本経済は、生産性向上による経済成長が喫緊の課題となっています。特に、ものづくり、商業、サービス業といった分野においては、生産性向上を実現するための施策が重要です。そこで、中小企業庁は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を設け、中小企業等の生産性向上を支援しています。

この記事では、中小企業庁が令和6年12月に公表した令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」について、概要と令和6年12月23日時点での最新情報をわかりやすくまとめました。本補助金の申請を検討されている企業のみなさまのお役に少しでも立ちましたら幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上と持続的な賃上げを支援することを目的とした補助金です。具体的には、革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの改善に必要な設備投資等にかかる費用の一部を補助します。

本補助金は、支援を通して中小企業の競争力強化と従業員の処遇改善の両立を図り、日本経済の持続的な成長に貢献することを目指しています。

中小企業庁は、令和6年12月に令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を公表しました。

令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要

令和5年度補正予算案から変更された点は、主に以下の4つです。

  1. 基本要件の見直し
    給与支給総額の対象が「1人あたり」に。必要な成長率も「年平均成長率1.5%」から、「事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または+2.0%以上増加」へと変更
  2. 補助枠・類型や補助金額に関する変更
    枠・類型が「省力化(オーダーメイド枠)」「製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型〈DX・GX〉」「グローバル枠」から、「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2つに変更
    あわせて製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額を一部拡充。令和5年度の同枠(通常類型)では「従業員数21人以上:1,250万円」だったの対し、令和6年度では「21~50人:1,500万円」「51人以上:2,500万円」となる
  3. 特例の創設
    最低賃金に近い水準の従業員を一定期間以上、かつある程度雇用している中小企業の賃上げを支援する「最低賃金引上げ特例」を創設
  4. 収益納付制度の廃止
    従来の補助金では求められていた収益納付(補助金事業で生じた利益の一部あるいは全部を、補助金交付額を限度として国に納付すること)が不要となり、事業者の負担が軽減

これらの変更により、より効果的な生産性向上と賃上げの実現を目指す制度となりました。

なお、令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の予算額は、同補正予算「中小企業生産性革命推進事業」3,400億円の内数となっています(令和5年度は同事業2,000億円の内数)。

2023年度公募 第16次以前のものづくり補助金の通常枠の事業概要には、「革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に 必要な設備・システム投資等を支援」と書かれていました。つまり、事業の目的が、「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセス・サービス提供方法の改善」どちらであっても、応募することができました。

2024年度公募 第17次公募、第18次公募では、「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセス・サービス提供方法の改善」によって、応募する枠が異なりました。

省力化(オーダーメイド)枠の趣旨は「人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備 (オーダーメイド設備)の導入等 により、革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・ システム投資等を支援」でした。

製品・サービス高付加価値化枠の趣旨は「革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。」でした。

2025年度においては、設備を導入する目的が、「革新的な製品・サービス開発を行う」ためのものなのか?「革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組み」なのか?によって、応募すべき補助金自体が異なることになりました。

 前者であれば、ものづくり補助金。後者であれば、省力化投資補助金の一般枠です。

こうした動きからも、制度設計の担当者も、意識して、目的を明確に区分して制度設計をされていることがわかります。

補助金のお申し込みをご検討されている事業者様は、まずは、設備を導入することで、革新的な製品・サービス開発が実現するのか?もしくは、革新的な生産プロセス・ サービス提供方法の効率化・高度化が実現するのかを明確にされることをお勧めいたします。

↓省力化投資補助金一般枠の記事はこちらから↓

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の要件

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を受け取るためには、いくつかの要件をクリアしている必要があります。

本補助金では、革新的な製品・サービス開発を行い、以下の4つの要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定して実行することが求められます。

  1. 付加価値額の年平均成長率を+3.0%以上増加させる
  2. 1人あたりの給与支給総額の年平均成長率を、以下のいずれかにする
    ・事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
    ・給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
  3. 事業所内最低賃金を、事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準にさせる
  4. 従業員21人以上の場合は、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表などを行う

本補助金を受ける事業者は、これらの要件を実際に満たしていることを事業化状況報告を毎年提出して証明しなければいけません。もし未達の場合は、補助金の返還義務が発生します。

本補助金では、基本要件に加え、さらに一定の要件を満たすと特例が適用されます。本補助金で用意されている特例は、「大幅賃上げ特例」「最低賃金引上げ特例」の2つです。

大幅賃上げ特例は、給与支給総額の年平均成長率を+6.0%以上増加させる、および事業所内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準にする場合に、補助上限額が100~1,000万円適用される特例です。

最低賃金引上げ特例は、中小企業庁が指定する一定期間において、3ヶ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%いる中小企業にのみ適用される特例です。この特例の対象となると、クリアしなければならない基本要件が1・2・4のみとなります。また、補助率が1/2から2/3に引き上げられます。

なお、基本要件同様、これらが適用された事業者は事業化状況報告で毎年要件を満たしていることを証明する必要があります。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助上限額・補助率

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助上限額・補助率は、申請枠によって異なります。

製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額は、以下のとおりです。

従業員規模補助上限額大幅賃上げ特例適用
5人以下750万円850万円
6~20人1,000万円1,250万円
21~50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円
製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額

補助率は中小企業の場合1/2(最低賃金引上げ特例の対象となる中小企業は2/3)、小規模・再生事業者の場合2/3です。

グローバル枠の補助上限額は、以下のとおりです。

補助上限額大幅賃上げ特例適用
3,000万円3,100~4,000万円
グローバル枠の補助上限額

補助率は、中小企業の場合1/2(最低賃金引上げ特例の対象となる中小企業は2/3)、小規模事業者の場合2/3です。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の補助対象経費

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金における補助対象経費は、以下のように大きく2つに分類されます。

全ての枠で共通の補助対象経費グローバル枠のみで追加される補助対象経費
・機械装置費やシステム構築費(必須経費)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・海外旅費
・通訳費や翻訳費
・広告宣伝費や販売促進費
補助対象経費一覧

特徴として、すべての枠において機械装置・システム構築費が必須経費として設定されています。これは本補助金が、設備投資を通じた生産性向上を重視していることを示しています。

また、グローバル枠では海外展開に必要な経費が追加で認められており、海外需要開拓などの取り組みを支援する制度設計となっています。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の大まかな流れ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 公募要領で申請要件や対象経費などを確認する
  2. 定められた期限までに申請を済ませる
  3. 補助金事務局が申請書類をもとに審査をする
  4. 採択事業者に交付決定通知が送られる
  5. 提出した事業計画に沿って設備投資等の事業を実施する
  6. 事業完了後に実績を報告する
  7. 補助金事務局が検査を実施し、最終的な補助金額を決定する
  8. 補助事業終了後、毎年事業化状況を報告する

なお、補助金申請には「GビズIDプライム」アカウントの取得が必要となります。本補助金でも必要となる可能性が高いため、事前に取得しておくことをおすすめします。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

令和6年12月に公表された令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、前年度よりも要件が緩和され、利用しやすいものになっています。特に通常の補助金ではよく見られた「収益納付」が求められない点は大きいでしょう。

補助金は、企業の成長につながる大きなサポーターです。ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。

ただ、利用しやすくなっているということは、多くの事業者が申請する可能性が高いことを意味します。他の企業よりも審査員の印象に残るような事業計画を立てる必要があるでしょう。

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の最新の公募要領が公表されたらよく目を通すことも重要ですが、今のうちからできる準備を進めておくことをおすすめします。

もし事業計画の策定について不安やお悩みがありましたら、当社・中小企業経営支援事務所にご相談ください。補助金申請サポートのエキスパートである当社スタッフが、採択につながる事業計画の立て方についてアドバイスいたします。採択決定後の事業実施における注意点や事業化状況報告のコツもお伝えしておりますので、ぜひご連絡いただけますと幸いです。

【2025年1月更新】中小企業新事業進出補助金とは?基本要件や対象経費の最新情報を紹介

中小企業新事業進出補助金の概要

近年の経済状況は、中小企業にとって厳しいものとなっています。物価高騰やエネルギー価格の高騰、円安などの外部環境の変化に加え、人手不足や賃上げ圧力といった内部環境の課題も山積しています。このような状況下で、中小企業が生き残り、成長していくためには、新たな事業展開や生産性向上、既存事業の抜本的な見直しや構造転換といった取り組みが不可欠です。

政府は、こうした中小企業の挑戦を後押しするために、2024年12月に「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」(総額5,600億円、既存基金の活用などを含めると1兆円超の規模)を公表し、今後さまざまな支援策を打ち出すこととしました。

そのうちのひとつが、「中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)」の2025年度新設です。本補助金は、中小企業の成長を促進する新規事業進出や事業転換への投資を重点的に支援する制度であり、事業再構築補助金(思い切った事業再構築を目指す事業者を支援する補助金)の後身となる制度として注目を集めています(※)。

この記事では、本補助金について、概要から基本要件、対象事業、補助額、実施期間を解説します。なお、2024年(令和6年)12月25日更新の最新情報を反映した内容となりますが、実際に利用する場合は中小企業庁のサイトもあわせてチェックすることをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。計画策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

2025年1月10日に、事業再構築補助金の最後の新規受け付けとなる第13回公募が始まりました。この記事では違いについても解説していますので、あわせてご参考ください。

中小企業新事業進出補助金とは?

中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)とは、2025年度に新設される補助金制度のひとつで、既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業へ進出するのに必要な設備投資などを行う事業者を支援する補助金制度です。予算は1,500億円規模で、既存基金を活用して実施されます。

出典:中小企業新事業進出促進事業の概要丨中小企業庁

本補助金の主な目的は、中小企業の持続的な成長と賃上げの実現です。

具体的には、人手不足や賃上げ要請といった経済社会の変化に対応するため、中小企業が既存事業の拡大だけでなく、新たな事業の柱となる新事業に挑戦し、企業規模の拡大・付加価値を向上させることを支援します。また、これらの取り組みを通じて得られた収益を、従業員の賃上げにつなげていくことが本補助金の重要な目的です。

政府では本補助金を含め、8つの補助金を実施しています。各補助金ともに補助対象が異なり、本補助金については新しい事業を立ち上げ、新しい市場に打って出る取り組みを補助するという新規事業を対象としています。

以下は、各補助金の補助対象と概要をまとめた表です。

補助金補助対象概要
ものづくり補助金新製品・新サービス開発中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資などを支援
省力化補助金省力化投資人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化につながる設備投資などを支援
中小企業新事業進出補助金新規事業既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出に必要な設備投資などを支援
中小企業成長加速化補助金大規模投資売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資などを支援
事業承継・M&A補助金親族内承継、M&A事業承継に際しての設備投資や、M&A・PMIの専門家活用費用などを支援
大規模成長投資補助金超大規模投資労働生産性の抜本的な向上と事業規模の拡大を目的に行う、工場の新設などの大規模な投資を支援
持続化補助金小規模事業者持続的な経営を目指す小規模事業者の経営計画にもとづく販路開拓などの取り組みを支援
IT導入補助金ITツールの導入業務の効率化やDXの推進、セキュリティ対策に向けたITツールなどの導入費用を支援
政府が行う8つの補助金の補助対象と概要

各補助金によって対象が異なるため、検討しているビジネスプランによっては、そもそも補助対象外で補助金申請ができない可能性があります。

当該の補助金が何を対象としているのかを把握した上で、手続きを始めることをおすすめします。

中小企業新事業進出補助金の基本要件

中小企業新事業進出補助金を受け取るためには、以下の基本要件をすべて満たす3~5年の事業計画に取り組む必要があります。

基本要件詳細
1.新規事業への挑戦成長・拡大を目指した新規事業(新しい製品または新しいサービスを、これまでとは異なる顧客に提供する事業)への挑戦であること
2. 付加価値額の増加付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率を+4.0%以上増加させること
3. 一定以上の賃上げ以下のいずれかをクリアすること
・1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
・給与支給総額の年平均成長率が+2.5%以上増加
4. 最低賃金の水準向上事業所内最低賃金を事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準にすること
5. 一般事業主行動計画公表次世代育成支援対策推進法にもとづく一般事業主行動計画を公表すること
中小企業新事業進出補助金の基本要件

なお、本補助金には大幅賃上げ特例があり、適用されると補助上限額が上乗せされます。適用されるには、上記条件に加えて、事業終了時点で「事業場内最低賃金が+50円」「給与支給総額+6.0%」達成する事業計画に取り組む必要があります。

中小企業新事業進出補助金の補助上限・補助率

中小企業新事業進出補助金の補助率は一律で1/2です。補助上限額は従業員数によって4段階に分かれています。

従業員数通常の補助上限額大幅賃上げ特例時の補助上限額
20人以下2,500万円3,000万円
21~50人4,000万円5,000万円
51~100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円
中小企業新事業進出補助金の補助上限・補助率

なお、補助下限額は750万円に設定されています。

中小企業新事業進出補助金の補助対象経費

中小企業新事業進出補助金の補助対象経費には、以下の10項目が含まれます。

  1. 建物費:工場・店舗などの建設に要する経費
  2. 構築物費:補助事業の実施に必要な構築物の建設などに要する経費
  3. 機械装置・システム構築費:生産設備やソフトウェアの購入などに係る経費
  4. 技術導入費:知的財産権などの導入に要する経費
  5. 専門家経費:コンサルタントなどの専門家への謝金
  6. 運搬費:設備・機械などの運搬に要する経費
  7. クラウドサービス利用費:クラウドサービスの利用に係る経費
  8. 外注費:製品開発などの一部を外部に委託する経費
  9. 知的財産権等関連経費:特許権などの取得に要する経費
  10. 広告宣伝・販売促進費:新製品・サービスのPRや販売促進に係る経費

本補助金の対象経費は、新市場・高付加価値事業への進出に直接関係する支出であり、事業計画に沿った適切なものであることが求められます。

また、後述する補助事業の実施期間内に発生し、支払いが完了しているもののみが対象となります。

中小企業新事業進出補助金の事業実施期間

中小企業新事業進出補助金の事業実施期間は、交付決定日から14ヶ月以内と定められています(ただし、採択発表日から16ヶ月以内)

この期間内に、設備投資や新事業立ち上げなどの計画した事業を実施し、支払いまで完了させることが求められます。

中小企業新事業進出補助金の留意点

中小企業新事業進出補助金では、上記以外にいくつかの留意点が公表されています。

本補助金では、これまでの補助金制度では収益納付が設定されるのが一般的であった収益納付は求めないとしています。収益納付とは、補助事業を行った際に発生した収益の一部または全部(補助金交付額を限度に)を国に納付することを指します。本補助金は、事業者にとって、より利用しやすい補助金制度になっているといえるでしょう。

基本要件のうち、「一定以上の賃上げ」と「最低賃金の水準向上」が未達の場合は、未達成率に応じて補助金の返還が求められます。ただし、付加価値が増加せず企業全体の営業利益が赤字の場合や、天災などやむを得ない場合は返還が免除されます。

中小企業新事業進出補助金の公募スケジュール(予想)

中小企業新事業進出補助金の公募開始時期は、2025年1月6日現在は未公表です。ただし本補助金の事務局の公募要領案によれば、本事業の補助事業者向けの公募要領が2025年4月までに公開され、そこから速やかに補助事業者の応募申請を受け付けるとしています(参照:「中小企業新事業進出促進事業」に係る事務局の公募要領〈案〉p.3丨中小機構)。

したがって、同時期には初回の公募が始まると予想されます。

なお、同公募要領案によれば、本補助金の公募回数は2026年度末までに4回程度、採択予定件数は計6,000件程度となっています。

中小企業新事業進出補助金の大まかな流れ

中小企業新事業進出補助金の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 事前準備
    新規事業を検討し、基本要件を満たす事業計画を策定する。申請時は「GビズIDプライム」アカウントが必要になるため、事前に取得しておく
  2. 公募開始~交付候補者決定
    事務局が申請を受け付け、締切日以降に審査を実施して交付候補者を決定する
  3. 交付決定~補助事業実施
    交付候補者となった事業者が交付申請を行う。申請によって交付が決定したら、補助事業を実施。事務局が補助額の確定検査を行い、補助額を確定させる。事業者が補助金の請求を事務局に行い、補助金を受け取る
  4. 補助事業終了後
    事業化状況報告と知的財産等報告を事務局に行う

2025年度に中小企業新事業進出補助金以外に行われる予定の支援事業

政府は、厳しい経営環境に直面する中小企業・小規模事業者を支援するために、中小企業新事業進出補助金創設以外にも、さまざまな対策を「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」に盛り込んでいます。

予算案では、生産性向上支援(生産性革命推進事業のうち、ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金)の拡充・見直し案が盛り込まれています(3,400億円の内数)。この拡充・見直しは、中小企業・小規模事業者がより使いやすくなること、高い効果をより実感できるようにすることを目指しています。

具体的には以下のとおりです。

補助金主な拡充・見直し内容
ものづくり補助金・最低賃金近傍の事業者への補助率を1/2→2/3に引き上げ
・従業員21人以上の中小企業を対象に、製品・サービス高付加価値化枠の補助上限を引き上げ
IT導入補助金・最低賃金近傍の事業者への補助率を1/2→2/3に引き上げ
・セキュリティ枠の補助上限引き上げと要件見直し
・汎用ツール・導入後支援を補助対象化
持続化補助金・経営計画の策定に重点化
・通常枠、創業枠などに再編して制度を簡素化
事業承継・M&A補助金・PMI推進枠の新設
・事業承継促進枠への改変
・DD費用の支援拡充
・100億企業創出加速化のための補助上限引き上げ
生産性向上支援の拡充・見直しの主な内容

売上高100億円を目指す意欲の高い中小企業・小規模事業者や、地方においても持続的な賃上げを実現することを目指す中堅・中小企業の成長を目的とした支援策も、予算案には盛り込まれました。

具体的には以下のとおりです。

支援策規模主な支援内容
中小企業成長加速化補助金(仮称)の創設3,400億円の内数売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資支援や中小機構による経営課題への支援
中堅・中小成長投資補助金の拡充1,400億円(新規3年3,000億円)人手不足の課題解消のために拠点新設をするなど大規模投資を行う中堅・中小企業を支援するのとあわせて、大企業からの経営人材を受け入れる中堅・中小企業への給付金を拡充
100億企業育成ファンド出資事業30億円中小機構出資ファンドを通じて、売上高100億円超を目指す中小企業などへのリスクマネー供給
成長投資支援の主な内容

省力化投資支援としては、既存基金を活用(3,000億円規模)して省力化補助金の運用改善が実施されます。オーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援が新設され、カタログ形式の同支援の運用改善と合わせて、全方位型の支援へと再編されます。

中小企業・小規模事業者の活性化に向けた支援も、404億円+既存予算を活用して実施されます。具体的な支援内容は以下の通りです。

支援策規模主な支援内容
日本政策金融公庫による資金繰り支援既存予算の活用通常資本性劣後ローンの要件見直し(省力化投資に取り組む事業者を対象追加、金利水準引下げ、貸付限度額拡充)
信用保証協会による資金繰り支援既存予算の活用プロパー融資促進のための新たな保証制度の創設
経営改善・事業再生・再チャレンジ支援の拡充既存予算の活用+61億円の内数早期経営改善計画策定支援事業を通じた金融機関による経営改善支援の拡充
事業環境変化対応型支援事業112億円商工会や商工会議所などへの専門家派遣などの強化や、よろず支援拠点へのコーディネーター増員
中小企業活性化・事業承継総合支援事業61億円事業再生等計画策定支援、事業承継・事業引継ぎ支援のための体制強化
中小企業取引対策事業8.3億円中小企業・小規模事業者の取引適正化の推進
令和6年能登半島地震等の切れ目ない復旧支援の継続213億円なりわい再建支援補助金による支援、グループ補助金による支援
地方公共団体による小規模事業者支援推進事業の拡充10億円自治体連携型補助金の補助対象拡大、補助上限を5億円まで引き上げ
中小企業・小規模事業者の活性化に向けた支援の主な内容

中小企業新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回公募の違い

中小企業庁は、中小企業新事業進出補助金の前身となる事業再構築補助金の第13回公募を2025年1月10日にスタートしました。場合によっては、事業再構築補助金第13回に応募したほうがよい場合もありますので、比較検討することをおすすめします。

以下は、特に大きな違いをまとめた表です。

項目新事業進出補助金事業再構築補助金第13回
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)事業類型(B):成長分野進出枠(GX類型)事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
補助上限額5人以下2,500(3,000)万円1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円500万円
6~20人2,500(3,000)万円1,500(2,000)万円3,000(4,000)万円1,000万円
21~50人4,000(5,000)万円3,000(4,000)万円5,000(6,000)万円1,500万円
51~100人5,500(7,000)万円4,000(5,000)万円7,000(8,000)万円1,500万円
101人以上7,000(9,000)万円6,000(7,000)万円8,000万(1億)円1,500万円
中堅企業中小企業者等と同じ1(1.5)億円中小企業者等と同じ
下限額750万円100万円
補助率1/2中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
中小企業者等:3/4
中堅企業等:2/3
※コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない場合
中小企業者等:2/3
中堅企業等:1/2
上乗せ措置なしあり(卒業促進上乗せ措置・中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置)
申請経費構築物費:対象
廃業費(未発表)
構築費:対象外
廃業費:対象
収益納付なしあり
新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回の主な違い ※カッコ内の数字は短期に大規模な賃上げを行う場合

例えば、新事業進出補助金と事業再構築補助金第13回の下限額を比較すると、新事業進出補助金のほうが高く設定されています。そのため、比較的小規模な設備投資であれば事業再構築補助金のほうがよいでしょう。

一方、新事業進出補助金は、事業再構築補助金第13回とは違って収益納付がないため、収益が突然跳ね上がる可能性がある事業を行う場合は、新事業進出補助金のほうが向いているでしょう。開発したアプリが爆発的にヒットして利益が突き抜けるなどがある情報通信業、インバウンド需要で利益が一気に生まれる宿泊業などは、特に比較検討することをおすすめします。

事業再構築補助金第13回の詳細については、下記記事で紹介していますので、よろしければご覧ください。

中小企業新事業進出補助金を検討中でしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

本補助金の詳細が記載された公募要領は、2025年4月までに公表される予定です。本補助金を検討している事業者は、中小企業庁の最新情報を定期的にチェックすることをおすすめします。

また、いずれの補助金と同様、本補助金も、事業計画の内容が採択を左右します。補助金採択のための事業計画を立てるには、ある程度まとまった時間が必要ですので、早めの行動が鍵となるでしょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、多くの事業者の補助金申請をサポートしてきた補助金採択支援のエキスパートです。補助金採択につながる事業計画書の書き方はもちろん、交付後の事業運営も含め、トータルで支援しています。

本補助金の申請を検討している人は、ぜひご相談いただけますと幸いです。初回相談は無料となっています。

【初心者向け】経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の3つの違いをわかりやすく解説

経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の主な違い

今、多くの中小企業が直面しているのが、「経営をもっと良くしたいけれど、どうすればいいのかわからない」という課題です。その解決の糸口となるのが、経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の活用です。

これらの計画については、特定の機関に認定されると、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 低利融資や補助金などの資金面での支援
  • 税制面での優遇措置
  • 専門家によるアドバイスやサポート
  • 販路開拓支援
  • 設備投資に関する支援

しかし、「どの計画を選べばいいのか分からない」「申請手続きが複雑そう」という声も多く聞かれます。そこでこの記事では、3つの計画の違いや特徴、活用方法について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

なお、各計画の解説においては、以下を参照しています。実際に申請するときは、本記事とあわせてご覧いただくことをおすすめします。

参照:経営革新支援丨中小企業庁
参照:経営力向上支援丨中小企業庁
参照:先端設備等導入制度による支援丨中小企業庁

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各計画のトータルサポートを行っています。計画策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから認定後の制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

【比較表】経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の違い

項目経営革新計画経営力向上計画先端設備等導入計画
目的新事業活動による経営の相当程度の向上人材育成、コスト管理などのマネジメント向上、設備投資による経営力向上設備投資を通じた労働生産性の向上
認定機関都道府県知事等国(事業分野別の主務大臣)市区町村長
計画期間3~5年3~5年3~5年
目標数値・付加価値額または一人当たりの付加価値額:年率3%以上
・給与支給総額:年率1.5%以上
指標の種類は事業分野別指針による。労働生産性は計画終了時に正の値が必要労働生産性を年平均3%以上向上
主な支援措置・政府系金融機関の低利融資
・信用保証の特例
・高度化融資
・販路開拓支援
・海外展開支援
・税制措置(即時償却等)
・金融支援(融資・信用保証)
・法的支援(許認可承継等)
・固定資産税の軽減措置(3年間1/2)
・賃上げ方針表明時は最長5年間1/3
・信用保証の特例
申請に必要な主な書類・申請書と別表
・定款
・直近2期の決算書類
・申請書
・チェックシート
・申請書
・認定経営革新等支援機関の確認書
・市区町村が求める書類
主な相談窓口・都道府県担当部局
・認定経営革新等支援機関
・よろず支援拠点
・中小企業庁相談窓口
・認定経営革新等支援機関
・申請先の市区町村
・認定経営革新等支援機関
特徴新事業活動(新商品開発など)による経営革新に焦点幅広い経営力向上の取り組みが対象生産性向上のための設備投資に特化
【比較表】経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画

経営革新計画とは

経営革新計画とは、中小企業が新事業活動に取り組み、経営の相当程度の向上を図る「経営革新」を実現するために立てられる計画です。経営革新は、中小企業のさまざまな支援を規定する「中小企業等経営強化法」(2016年施行)の一つの柱として位置づけられています。

経営革新計画が都道府県知事等から承認されると、一定の要件を満たした場合に限り、政府系金融機関の低利融資、信用保証の特例、販路開拓の支援など、各機関から経営革新を実現するためのさまざまなサポートを受けられる(あるいは受けやすくなる)ようになります。具体的な優遇措置や支援は以下のとおりです。

保証・融資の優遇措置

支援措置主な内容
信用保証の特例通常の付保限度額とは別枠で、普通保証2億円(組合4億円)、無担保保証8,000万円の設定ができる
日本政策金融公庫の特別利率による融資制度設備資金・運転資金について、基準利率から最大0.9%の金利優遇を受けられる
高度化融資制度事業協同組合等が高度化事業を実施する際、0.35%または無利子での融資を受けられる
食品等流通合理化促進機構による債務保証食品製造業者等が経営革新計画を実行する際の設備資金などについて、食品等流通合理化促進機構による1件当たり4億円を上限とする債務保証を利用できる
経営革新計画の認定で受けられる保証・融資の優遇措置

海外展開に伴う資金調達の支援措置

支援措置主な内容
スタンドバイ・クレジット外国関係法人等が現地金融機関から長期借入をする際に、日本政策金融公庫の債務保証を受けられるようになる。限度額4億5,000万円
クロスボーダーローン外国関係法人等が日本政策金融公庫から直接借入できるようになる。限度額14億4,000万円(うち運転資金9億6,000万円)
中小企業信用保険法の特例海外投資関係保証の限度額が2億円から3億円(組合は4億円から6億円)に拡大される
日本貿易保険による支援措置外国関係法人等が現地金融機関から借入を行う際の貸付金債権などに対する保険制度。限度額の定めなし
経営革新計画の認定で受けられる海外展開に伴う資金調達の支援措置

投資に関する支援

支援措置主な内容
起業支援ファンドからの投資中小企業基盤整備機構が出資する民間ベンチャーファンドから投資を受けられる。主に創業期や成長初期のベンチャー企業などが対象
中小企業投資育成株式会社からの投資資本金3億円超の特定事業者も、中小企業投資育成株式会社からの投資を受けられるようになる
経営革新計画の認定で受けられる投資に関する支援

販路開拓支援

支援措置主な内容
販路開拓コーディネート事業商社・メーカー等出身の専門家から、マーケティング企画から首都圏・近畿圏でのテストマーケティング活動までの支援を受けられる
新価値創造展新価値創造点とは、中小企業・ベンチャー企業が自社開発の製品・技術・サービスを展示・紹介するビジネスマッチングイベント。計画の認定を受けていると審査において評価の対象になる
経営革新計画の認定で受けられる販路開拓支援

経営革新計画の制度活用の流れは、主に以下のステップで進めます。

  1. 都道府県担当部局などに問い合わせる
  2. 「経営革新計画に係る承認申請書」(様式13)を始めとする必要書類を作成する
  3. 都道府県担当部局や国の地方機関など、規定の提出先に書類を提出する
  4. 書類提出後、都道府県などが審査を実施
  5. 経営革新計画承認後、各支援策の実施機関に必要書類を提出して審査を受ける

その後、実施機関の審査に通れば支援措置が行われます。経営革新計画が認定されたからといって、必ずしも支援を受けられるわけではありません。

経営革新計画が認定されるためには、規定の特定事業者とみなされる必要があります。会社および個人が特定事業者としてみなされる基準は、以下のとおりです。

主たる事業を営んでいる業種従業員基準
製造業等500人以下
卸売業400人以下
サービス業300人以下
小売業300人以下
事業者要件

なお、一部の組合および連合会も特定事業者と認められます。

この事業者要件に加えて、経営革新の要件である「新事業活動であること」「経営の相当程度の向上を図ること」をみたさなければいけません。

新事業活動は、「新商品の開発または生産」「新役務の開発または提供」「商品の新たな生産または販売の方式の導入」「役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動」の5類型に当てはまるものを指します。

経営の相当程度の向上は、3~5年の事業期間の中で、「付加価値額」または「一人当たりの付加価値額」が年率3%以上、「給与支給総額」が年率1.5%以上伸びているときのことを指します。

計画終了時「付加価値額」または「一人当たりの付加価値額」の伸び率「給与支給総額」の伸び率
事業期間が3年の場合9%以上4.5%以上
事業期間が4年の場合12%以上6%以上
事業期間が5年の場合15%以上7.5%以上
「経営の相当程度の向上」の定義

経営革新計画の申請には、基本的に以下の書類が必要です。

経営革新計画を策定する際の重要なポイントは以下の3点です。

第一に、経営者自身の「思い」を明確にすることです。会社への経営理念や経営基本方針をどれだけ事業者の言葉で形作れるかが審査結果を左右します。

第二に、自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ)の現状を正確に把握することです。人材の能力・資格、資金の調達状況、設備の状況などをチェックし、経営革新に向けた課題を整理します。

第三に、具体的な数値目標を設定することです。審査では、売上高や営業利益などの経営指標について、現状から計画期間終了時点までの具体的かつ実現可能な目標値を定めることが求められます。

経営革新計画の申請先は、以下の基準で提出先が決まります。

申請パターン提出先
1社単独本社所在地の都道府県
複数社共同(代表1社)代表企業の本社所在地の都道府県
複数社共同(代表複数)・代表企業の本社所在地がすべて同じ都道府県の場合
→その都道府県
・代表企業の本社所在地の都道府県が異なり、かつ当該の都道府県が同一の地方局管内の場合
→事業所管省庁の地方局または経済産業省の地方局
・代表企業の本社所在地の都道府県が異なり、かつ当該の都道府県が同一の地方局の区域を越える場合
→事業所管省庁または中小企業庁
組合単独・主たる事務所所在地の都道府県
複数組合等共同・代表組合等が一つの都道府県内で活動
→当該の都道府県
・代表組合等が複数の都道府県で活動、かつ当該の都道府県が同一の地方局管内の場合
→事業所管省庁の地方局または経済産業省の地方局
・代表組合等が複数の都道府県で活動、かつ当該の都道府県が同一の地方局の区域を越える場合
→事業所管省庁または中小企業庁
経営革新計画の申請先

経営革新計画策定の相談先としては、以下のようなところがあります。

相談先連絡先
都道府県担当部局経営革新計画ガイドブック」p.57参照
都道府県等中小企業支援センター同p.58参照
認定経営革新等支援機関認定経営革新等支援機関検索システム」で検索
よろず支援拠点よろず支援拠点一覧」で検索
中小企業基盤整備機構050-3171-8814
経営革新計画策定の相談先

特におすすめなのが、認定経営革新等支援機関です。認定経営革新等支援機関とは、中小企業経営を支援する専門家(中小企業診断士や公認会計士、弁護士など)のうち、特に経営革新の支援に精通していると国によって認められた機関を指します。

当該機関にサポートを依頼すれば、説得力のある計画を策定するための的確なアドバイスをもらえるだけでなく、認定後の制度活用のサポートを受けることもできます。持続的な経営を実現する伴走者をお探しでしたら、ぜひ積極的に検討してみてください。

当社、中小企業経営支援事務所も、認定経営革新等支援機関として多くの事業者の計画策定の支援を行っています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

経営力向上計画とは

経営力向上計画とは、人材育成やコスト管理などのマネジメントの向上、設備投資など、自社の経営力を向上するために策定する計画のことです。経営革新計画と同様、中小企業等経営強化法によって規定されています。

経営力向上計画については、国(事業分野別の主務大臣)に認定されると、一定の要件を満たした場合に限り、以下の税制措置・金融支援・法的支援を受けられるようになります(参照:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き〈 令和6年度税制改正対応版〉丨中小企業庁)。

税制措置

税制優遇措置主な内容
中小企業経営強化税制(A類型:生産性向上設備)生産性が年平均1%以上向上する設備を取得した際に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が選択できる
中小企業経営強化税制(B類型:収益力強化設備)投資利益率5%以上のパッケージ投資をした際に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が選択できる
中小企業経営強化税制(C類型:デジタル化設備)遠隔操作、可視化、自動制御化を可能にする設備を取得した際に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が選択できる
中小企業経営強化税制(D類型:経営資源集約化設備)修正ROAまたは有形固定資産回転率の改善が見込まれるパッケージ投資をした際に、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除が選択できる
事業承継等に係る不動産取得税の特例事業譲渡を通じて不動産を取得した際にかかる不動産取得税が軽減される(課税標準から不動産の価格の1/6を控除)
中小企業事業再編投資損失準備金事業承継等のために株式等を取得する際に、その準備金として積み立てた金額を損金参入できる(株式等の取得価額の最大70%)
経営力向上計画の認定で受けられる税制措置

金融支援

金融支援名主な内容
日本政策金融公庫による融資設備投資に必要な資金について、最大7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)の融資を受けられるようになる
中小企業信用保険法の特例民間金融機関からの融資に対して、通常の保証枠とは別枠で、普通保険2億円、無担保保険8,000万円などの追加保証を受けられる
中小企業投資育成株式会社法の特例中小企業投資育成株式会社からの投資を、資本金3億円超の特定事業者も受けられるようになる
スタンドバイ・クレジット海外支店・子会社が、現地通貨建て融資において、日本政策金融公庫から信用状を発行してもらえる。限度額4億5,000万円
クロスボーダーローン海外子会社が、日本政策金融公庫から直接融資を受けられるようになる。限度額14億4,000万円(うち運転資金9億6,000万円)
中小企業基盤整備機構による債務保証2,000人以下の特定事業者等が、経営力向上計画実施に必要な資金について、最大25億円(保証割合50%)の債務保証を受けられる
食品等流通合理化促進機構による債務保証食品製造業者等が、食品等流通合理化促進機構による債務保証を受けられる
経営力向上計画の認定で受けられる金融支援

経営力向上計画の認定で受けられる法的支援

法的支援名主な内容
許認可承継の特例旅館業や建設業などの許認可事業を承継する場合、承継される側の事業者から許認可に係る地位をそのまま引き継ぐことが可能
組合発起人数の特例事業協同組合、企業組合または協業組合を設立する場合、通常4人必要な発起人の人数が3人でも可能となる
事業譲渡の際の免責的債務引受の特例事業譲渡による債務移転について、債権者に通知し1ヶ月以内に返事がない場合は同意があったとみなすことができ、簡略な手続きで債務移転が可能となる
経営力向上計画の認定で受けられる法的支援

経営力向上計画の認定で受けられる制度を活用するには、以下の4つのステップが必要です。

  1. 利用したい制度を検討し、「支援措置活用の手引き」で要件を確認する
  2. 日本標準産業分類」で該当する事業分野を確認し、事業分野に対応する「事業分野別指針もしくは基本方針」を踏まえて、経営力向上計画を作成する
  3. 経営力向上計画を各事業分野の主務大臣に提出する。各事業分野の主務大臣へ計画申請書と必要書類を提出します。認定までの標準処理期間は約30日(複数省庁にまたがる場合は約45日)。経済産業省のみの電子申請の場合は約14日

経営力向上計画が認定されると、主務大臣から計画認定書と計画申請書の写しが交付され、優遇措置や支援を受けられるようになります。その後、経営力向上のための取り組みを実行します。

経営力向上計画の認定を受けるためには、特定事業者等の規模を満たす必要があります。具体的には「会社または個人事業主」「医業、歯科医業を主たる事業とする法人(医療法人等)」「社会福祉法人」「特定非営利活動法人」のいずれかで、かつ従業員数が2,000人以下の事業者です。企業組合や協業組合など、一部の組合や連合会も認定を受けることができます。

なお、税制措置や金融支援によっては、対象となる規模要件が異なるため注意が必要です。

このほか、計画期間が経営革新計画と同様、3年・4年・5年のいずれかであることに加え、事業分野に対応する「事業分野別指針もしくは基本方針」に沿って策定されていることが要件となります。

経営力向上計画の認定に必要な基本書類は、以下のとおりです。

設備投資について税制措置を受ける場合は、上記の基本書類とあわせて次の書類が必要です。

  • 工業会証明書の写し ※A類型の場合
  • 投資計画確認申請書の写しと経済産業局確認書の写し ※B~D類型の場合

また、事業承継等の支援を受ける場合は、以下の書類も必要となります。

  • 事業承継等の相手方の合意を示す基本合意書等
  • 事業承継等に係る誓約書
  • 特定許認可等の証明書類
  • 貸借対照表や損益計算書
  • 事業承継等事前庁舎チェックシート

なお、発電設備等を導入する場合は「発電設備等の概要等に関する報告書」の添付が必要です。また、認定後に事業承継等として合併や会社分割、事業譲渡などを実行した場合は「経営力向上計画に係る事業の承継報告書」の提出が求められます(参照:申請書様式類丨中小企業庁)。

経営力向上計画を立てる際の主なポイントは3つあります。

第一に、現状認識を明確にする必要があります。自社の事業概要や経営状況について、ローカルベンチマークなどの分析ツールを活用しながら客観的に把握し、顧客数や市場規模、自社の強み弱みなどを整理します。

第二に、具体的な目標設定が重要です。事業分野別指針をもとに、指標の種類を選び、経営力向上計画の実施期間に応じた伸び率を設定します。特に労働生産性については、計画終了時の目標を正の値とすることが求められます。

第三に、経営力向上の実施事項を具体化することです。現に有する経営資源を利用する取組や、他の事業者から取得した経営資源を利用する取り組みについて、実施時期や内容を明確に記載します。設備投資を伴う場合は、その詳細や資金調達方法も記載が必要です。

経営力向上計画の申請先は、事業分野ごとに異なります。中小企業庁が公開している「事業分野と提出先」※Excelファイル(54KB)を確認しましょう。

なお、経営力向上計画は「経営力向上計画申請プラットフォーム」から電子申請することもできます(一部の省庁宛て・都道府県経由が必要な申請などは除く)。利用には事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。

経営力向上計画の相談先としては、中小企業庁の経営力向上計画相談窓口(電話番号:03-3501-1957〈平日9:30~12:00、13:00~17:00〉)。ただし、個別の認定可否や審査状況についての問い合わせには対応していません。

経営力向上計画の策定に関してお困りでしたら、認定経営革新等支援機関へのご相談をおすすめします。経営革新計画同様、認定につながるアドバイスはもちろん、その後の制度活用、さらには事業継続のためのサポートも受けられるでしょう。認定経営革新等支援機関は「認定経営革新等支援機関検索システム」から探すことが可能です。

当社、中小企業経営支援事務所も、認定経営革新等支援機関として支援を行っておりますので、相談先を探す時間がない、どこがよいのかわからないとお悩みでしたら、一度ご相談いただけますと幸いです。

先端設備等導入計画とは

先端設備等導入計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、中小企業者が設備投資を通じて労働生産性の向上を図るために策定する計画です。市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けている場合に限り申請が可能で、認定を受けると税制支援や金融支援を受けることができます。

先端設備等導入計画の認定を受けると、一定の要件を満たした場合に限り、以下の支援措置を活用できるようになります。

税制措置

税制措置主な内容
固定資産税の軽減措置(基本)認定を受けた計画に基づく設備投資について、新規取得設備に係る固定資産税の課税標準が3年間、1/2に軽減される
固定資産税の軽減措置(賃上げ方針表明時)従業員に対する賃上げ方針を計画内に記載した場合、以下の支援が受けられる
・2024年3月末までの取得→5年間、1/3に軽減
・2025年3月末までの取得→4年間、1/3に軽減
先端設備等導入計画の認定で受けられる税制措置

なお、この制度の適用期間は2023年4月1日から2025年3月31日までの2年間となっています。

金融支援

金融支援主な内容
中小企業信用保険法の特例民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、通常枠とは別に以下の追加保証が受けられるようになる
・普通保険:2億円(組合4億円)
・無担保保険:8,000万円
・特別小口保険:2,000万円
先端設備等導入計画の認定で受けられる金融支援

先端設備等導入計画の制度活用の流れは、大きく4つのステップで進みます。

  1. 新たに導入する設備が所在する市区町村が「導入促進基本計画」を策定しているか確認し、認定のためのスケジュールを把握する
  2. 活用したい制度の要件や必要書類を確認する
  3. 市区町村が策定した「導入促進基本計画」の内容に沿って計画書を作成する
  4. 作成した認定経営革新等支援機関に確認を依頼する。税制措置を受ける場合は、新規取得設備に係る投資計画について認定経営革新等支援機関の確認を受ける。また、賃上げ方針を計画に位置付ける場合は、従業員に対して賃上げ方針を説明する
  5. 先端設備等導入計画を市区町村長に提出する

先端設備等導入計画が認定されると、市区町村長から認定書が交付され、各優遇措置や支援を受けられるようになります。その後、生産性向上や賃上げに資する取り組みを実行します。

先端設備等導入計画が認定されるためには、まず以下の規模に該当する中小企業者である必要があります。中小企業者には会社、個人のほか、一部の組合および連合会も含まれます。

主たる事業を営んでいる業種詳細
製造業等資本金の額または出資の総額が3億円以下もしくは従業員数300人以下
卸売業資本金の額または出資の総額が1億円以下もしくは従業員数100人以下
小売業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下もしくは従業員数50人以下
サービス業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下もしくは従業員数100人以下
ゴム製品製造業資本金の額または出資の総額が3億円以下もしくは従業員数900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業資本金の額または出資の総額が3億円以下もしくは従業員数300人以下
旅館業資本金の額または出資の総額が5,000万円以下もしくは従業員数200人以下

上記に加えて、以下の事業内容であることも要件です。

項目内容
計画期間3年間、4年間、5年間のいずれかである
生産性向上目標労働生産性を年平均3%以上向上
対象設備労働生産性向上に必要な生産、販売活動などの用に直接供される設備(機械装置、測定工具および検査工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェア)

上記を満たした計画を策定し、その内容が新たに導入する設備が所在する市区町村の導入促進基本計画に沿っている場合に認定されます。そのため、市区町村が策定する導入促進基本計画によって変わる場合があるため注意が必要です。

また、税制措置を受ける場合は、別途定められた規模要件や対象設備の要件を満たす必要があります。

先端設備等導入計画の認定申請には、主に以下の書類が必要です。

  • 先端設備等導入計画に係る認定申請書」(様式22)※Wordファイル(28KB)
  • 認定経営革新等支援機関による事前確認書
  • 市区町村長が必要と認める書類
  • A4サイズが折らずに入る返信用封筒(切手貼付)

税制措置対象設備がある場合は、上記に加えて以下が必要です。

  • 認定経営革新等支援機関が発行する投資計画に関する確認書
  • リース契約見積書の写しと固定資産税軽減計算書の写し(リース取引の場合のみ)

また、固定資産税の1/3軽減(賃上げ方針)を希望する場合は、以下も必要です。

先端設備等導入計画を立てる際の重要なポイントは、以下の3つです。

第一に、現状認識の明確な記載です。自社の事業概要、財務状況、市場環境、直面している経営課題などを具体的な数値や事実とともに記載します。特に、設備投資が必要な背景や理由を、生産性向上との関連で説明することが重要です。

第二に、導入する設備と期待される効果の具体的な説明です。設備導入により、どのように業務プロセスが改善され、それがどのように生産性向上につながるのかを、定量的な見込みとともに記載します。単なる設備の更新ではなく、生産性向上のための戦略的投資であることを示す必要があります。

第三に、資金計画の実現可能性の提示です。設備投資に必要な資金をどのように調達するのか、返済計画は妥当か、投資回収の見通しはどうかなど、具体的な数値を示しながら説明します。特に、投資利益率5%以上の要件を満たすための根拠を明確に示すことが重要です。

先端設備等導入計画については、新たに導入する設備を設置する予定の市区町村に提出します。ただし導入促進基本計画の同意を受けた市区町村に限るため、中小企業庁のWebサイトで確認しましょう。※2024年6月10日現在のリスト→「先端設備導入に係る固定資産税の軽減措置を講じている市区町村

先端設備等導入計画に関する相談先としては、申請先の市区町村が挙げられます。

もっとも先端設備等導入計画の認定を受けるには、認定経営革新等支援機関の協力が必要です。申請支援に優れた専門家の助言が得られれば、それほど困ることはないでしょう。認定経営革新等支援機関は「認定経営革新等支援機関検索システム」から探すことができます。

当社、中小企業経営支援事務所も、認定経営革新等支援機関ですので、よろしければご検討ください。

各計画策定でお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画の認定されると、多くの優遇措置・支援を受ける資格を得ることができます。いずれも中小企業の事業継続・発展に直結する重要な施策ですので、ぜひ積極的な検討をおすすめします。

本記事でもご説明しましたが、経営革新計画・経営力向上計画については認定経営革新等支援機関の力を借りるとスムーズに手続きを進められます。先端設備等導入計画については、認定経営革新等支援機関の協力が不可欠です。

当社、中小企業経営支援事務所では、認定経営革新等支援機関として、経営革新計画・経営力向上計画・先端設備等導入計画、すべての計画の申請サポートからその後の支援まで、トータルで対応しています。

計画申請が初めての事業者様やどの計画を申請すべきかお悩みの事業者様、認定されるか不安な事業者様は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。初回相談は無料です。

【最新】ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の概要や申請方法、採択率を上げるコツを解説!

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の概要

東京都では、2050年までにCO2排出実質ゼロを目指す「ゼロエミッション東京」の実現に向け、中小企業等の省エネルギー化を支援する「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」を実施しています。本事業は、高効率空調設備やLED照明、断熱窓などの省エネ設備の導入、および人感センサー設置や照明スイッチの細分化といった運用改善にかかる費用の一部を助成するものです。

この記事では、ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の概要、申請方法、採択率を上げるためのポイントなどを、東京都環境公社の「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業 専用ページ」や実施要綱交付要綱をもとに詳しく解説します。本事業の申請を検討中でしたら、ぜひ本記事を参考にご検討いただけたらと思います。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。設備投資緊急支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業とは

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業とは、東京都が「2050年CO2排出実質ゼロ」に貢献する「ゼロエミッション東京」の実現を目指すため実施する事業です。

具体的には、都内の中小企業等のさらなる省エネルギー化を推進するため、高効率空調設備やLED照明設備などの「省エネ設備の導入」と、人感センサーの設置や照明スイッチの細分化などの「省エネ設備の運用改善」に要する費用の一部を助成します。

この事業を通じて、中小規模事業所における省エネルギー化を促進し、東京都全体の温室効果ガス排出削減を加速させることを目的としています。

なお、本事業の運営については、東京都環境公社(以下、公社)が担当しています。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の事業実施年度

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業は、令和5年度から令和7年度まで実施される予定となっています。なお、助成金の交付は令和8年度までです。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の受付期間と予定予算

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の令和6年度の交付申請受付期間は、年5回に分けて設定されています。予定予算は、令和6年度予算合計の53.4億円が振り分けられている形です。

申請回申請期間予定予算
第1回令和6年4月24日(水)~令和6年5月10日(金)10億円
第2回令和6年6月17日(月)~令和6年6月28日(金)10億円
第3回令和6年8月19日(月)~令和6年8月30日(金)10億円
第4回令和6年11月1日(金)~令和6年11月15日(金)10億円
第5回令和7年1月20日(月)~令和7年1月31日(金)13億円
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の受付期間と予定予算

申請受付は、各回とも開始日9時から最終日17時までです。また、各回の申請において予算を超過した場合は、受付期間中に申請のあった全件を対象に抽選が行われます。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成対象事業者

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成対象事業者は、大きく2つのグループに分類されます。

1つ目は、東京都内で中小規模事業所を所有または使用する事業者です。具体的には以下が該当します。

  • 中小企業者(大企業の支配下にある企業は除く)
  • 個人事業主
  • 学校法人
  • 一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人及び特定非営利活動法人
  • 医療法人
  • 社会福祉法人
  • その他公社が認める者

2つ目は、上記の事業者と共同して助成対象事業を実施するリース事業者やESCO事業者(すべての費用を、「省エネルギー改修による光熱水のコスト削減分」で賄う事業を営んでいる者)です。ただし、工事着手前までに事業期間を通じて継続する契約を締結していることが条件となります。また、ESCO事業者の場合は、地球温暖化対策ビジネス事業者に限ります。

これら2つのグループのいずれかに該当するのとあわせて、以下の要件も満たす必要があります。

  • 同一設備について、国等から他の補助金を受けていないこと
  • 税金滞納や刑事処分歴がないこと
  • 国・地方公共団体の出資を受けていないこと

なお、暴力団やその関係者、暴力団員等が役員などを務める団体は、助成対象から除外されます。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成対象事業

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成対象事業は、以下の4つを満たすものとされています。

  1. 都内の中小規模事業所を所有または使用する事業者が実施する「省エネ設備の導入」または「省エネ設備の運用改善」であること
  2. ①②のいずれかであること
    ①事前に省エネ診断(※)を受診し、その提案に基づいて省エネ設備の導入、または運用改善を行うこと
    ②事業者が自ら計画を作成し、省エネ効果が確認できる省エネ設備の導入、または運用改善を行うこと
    ※令和6年度第4回交付申請では②は対象外
  3. 省エネ設備の導入、または運用改善の実施前よりも省エネ化が見込まれること
  4. 工事完了届の提出に合わせて、地球温暖化対策報告書の写しを提出すること
    ※事業開始年度が工事完了年度と同じ場合は、公社が認める書類を提出すること

(※)省エネ診断とは、公社の技術専門員が事業者に直接訪問し、省エネに関する技術的なアドバイスを行う制度(参照:中小規模事業所の省エネルギー診断丨クール・ネット東京

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成対象設備

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業における助成対象設備は、大きく「省エネ設備の導入」と「省エネ設備の運用改善」の2つに分類されます。

省エネ設備の導入の場合、以下の設備が対象となります。

  • 高効率空調設備
  • 全熱交換器
  • LED照明設備
  • 高効率ボイラー
  • 高効率変圧器
  • 断熱窓
  • 高効率コンプレッサ
  • 高効率冷凍冷蔵設備

これらの設備は、都内中小クレジット算定ガイドラインに記載されている「都内中小クレジットの対象となる削減対策項目」の要件に該当する必要があります(参照:各種ガイドライン/(3) オフセットクレジット関係/都内中小クレジット算定ガイドライン丨環境局)。

運用改善の実践の場合は、以下のような工事が対象となります。

  • 人感センサーなどの導入
  • 照明スイッチ細分化工事

なお、運用改善については、上記省エネ設備を適切に運転し、エネルギーロスを抑制する取り組みであることが条件となります。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成対象経費

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成対象経費は、以下の3つの経費が対象となります。

経費区分内容
設計費助成対象設備の導入などにかかわる設計に必要な経費
設備費助成対象設備の購入、製造、据付などに必要な経費
工事費配管、配電などの工事に必要な経費
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成対象経費一覧

ただし、以下の経費は助成対象外となります。

  • 過剰とみなされるもの、予備・将来用のもの
  • 本事業以外でも使用する目的の経費
  • 中古または故障中の設備機器導入費
  • 諸経費
  • 消費税および地方消費税
  • 交付決定日以前に契約締結したものの経費
  • その他、公社が経済合理性を欠くと判断した経費

なお、助成対象経費に自社製品の調達や関係者からの調達が含まれる場合は、本助成金の目的に鑑み、利益などを減じた経費を助成対象経費とします。また、競争性を確保するため、原則として入札や複数者からの見積書徴収などが必要です。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成率と助成上限額

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成率と助成上限額は、事業の要件により以下のパターンに分かれます。

要件助成率助成上限額
事前に省エネ診断を受診し、その提案に基づいて省エネ設備の導入、または運用改善を行う場合2/32,500万円
上記のうち、事業所全体のCO2排出量とエネルギー消費量の削減見込みが共に50%以上となる省エネ設備の導入を行う場合3/45,000万円
事業者が自ら計画を作成し、省エネ効果が確認できる省エネ設備の導入、または運用改善を行う場合2/31,000万円
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成率と助成上限額

助成金額は、助成対象経費の実支出額に上記の助成率を乗じた額と、交付決定額のいずれか低い額となります。なお、助成金額の千円未満は切り捨てとなります。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の申請から交付までの流れ

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の申請から交付までの流れは、以下のとおりです。

  1. 申請
    公社にゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業を申請します。公社の「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業 専用ページ」にある電子フォームからが原則です(電子申請)。本事業は先着順ではありませんので、申請書類に不備がないかしっかり確認したうえで申請しましょう。
    ※初めて電子申請を行うときは、専用ページからメールアドレス認証を行う必要があります。
    ※電子申請フォームは専用ページに順次公開されますので、定期的にチェックしましょう。電子フォームがない申請については、「cnt-kanki@tokyokankyo.jp」にメールを送ります。
  2. 申請書類の審査
    申請後、公社による書類審査や必要に応じて現地調査が行われ、交付するか検討されます。
  3. 交付/不交付の決定・通知
    審査の結果、助成金が交付される場合は助成金交付決定通知書、交付されない場合は助成金不交付決定通知書が公社から送付されます。
  4. 助成事業の実施
    交付が決定したら事前に計画した助成事業を実施します。もし助成事業計画の変更などがあれば、専用ページから電子申請します。
  5. 工事完了の報告
    助成事業完了後、公社に工事完了の届出をします。
  6. 工事完了書類の審査
    工事完了に関する書類を提出すると、公社による書類審査と必要に応じて現地調査が行われます。
  7. 交付額の決定・通知
    審査の結果、交付決定の内容や条件に適合すると認められた場合、交付すべき助成金額が確定され、助成金額確定通知書により通知されます。
  8. 助成金の交付
    公社から助成金が支払われます。なお、リース契約を行う場合、支払われるのはリース事業者となります。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の必要書類

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の助成金を受け取るには、「交付申請時」と「工事完了時」にそれぞれ公社に必要な書類を提出します。

◯◯様式とあるものは、公社の「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業 専用ページ」からダウンロード可能です。

交付申請時に必要な書類は、以下の通りです。

書類名備考
助成金交付申請書第1号様式
助成事業実施計画書第2号様式
商業・法人登記簿謄本写し可
建物登記簿謄本写し可
賃貸借契約書写し
納税証明書事業税・住民税(直近1年分)、写し可
3社以上の工事見積書または入札等の証憑(写し)
パフォーマンス契約書案ESCO事業者との共同申請の場合
サービス料金計算書案ESCO事業者との共同申請の場合
リース契約書案リース事業者との共同申請の場合
省エネ診断報告書事前診断に基づく事業の場合
省エネ計算シート自主計画に基づく事業の場合(公社指定様式)
その他公社が指示する書類
交付申請時の必要書類一覧

工事完了時には、以下の書類を公社に提出する必要があります。提出期限は、工事完了日から30日以内または公社が指定する期限のいずれか早い日までです。ただし、天災地変などのやむを得ない理由がある場合は、公社が認める期間まで延長が可能です。

書類名備考
工事完了届兼交付請求書第14号様式
工事契約書等写し
工事しゅん工図
工事写真施工前、施工中、施工後
機器一覧表
請求書工事契約等、写し
支払いの証憑領収書等、写し
地球温暖化対策報告書収受印が押印済みの写し
振込先口座が請求者の口座であることを確認できる資料通帳の写しなど
その他公社が指示する書類
工事完了時の必要書類一覧

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業で求められる義務

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業では、交付が決定した事業者に対して果たすべき義務を規定しています。

これらの義務を怠ると、交付決定の取り消しや助成金の返還請求、違約金・延滞金の発生など、厳しいペナルティが課される可能性があります。助成事業者は、交付決定前にこれらの義務内容を十分に理解し、遵守することを徹底しなければいけません。

交付決定後に遵守すべき主な義務は以下の通りです。

義務内容
工事着工前の契約締結工事契約締結は助成事業実施前にしていること。共同申請の場合は、リース等事業者とリース/割賦販売契約、またはESCO事業者とパフォーマンス契約を締結していること※着工前に契約締結が困難な場合は例外あり
助成金相当額の減額契約におけるリース料/割賦販売価格、またはサービス料から助成金相当額が減額されていること
重複受給の禁止同一の助成対象経費について、国や他の団体(区市町村を除く)から他の助成金・補助金を重複して受給しないこと
事業実施状況の情報公表への同意東京都による事業実施状況の情報公表に同意すること
地球温暖化対策報告書の提出事業期間の最終年度まで、毎年都に地球温暖化対策報告書を提出すること
CO2排出量削減への継続的な努力事業期間の最終年度まで、CO2排出状況を把握し、削減に資する設備機器の運用管理を実施するなど、排出量削減に継続的に努めること
効果分析などへの協力事業期間の最終年度まで、都と公社による事業効果の分析などに必要な書類提出や現地調査などに協力すること
パフォーマンス契約履行状況の報告(ESCO事業者との共同事業の場合)ESCO事業者と共同で事業を実施する場合は、事業期間の最終年度まで、パフォーマンス契約の履行状況を報告すること
取得財産の適切な管理と効率的運用助成事業により取得、整備、または効用の増加した財産(取得財産など)を善良な管理者の注意をもって管理し、効率的に運用すること
交付決定取り消しへの対応公社により交付決定の全部または一部が取り消された場合は、その決定に従うこと
助成金返還請求への対応公社により助成金の全部または一部の返還を請求された場合は、指定期日までに返還し、違約加算金を納付すること
諸法令の遵守助成事業の実施にあたり、交付要綱、実施要綱、その他法令の規定を遵守すること
交付決定後に遵守すべき主な義務

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業におけるそのほかの留意点

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業においては、上記以外にも留意すべき点があります。主なものを紹介します。

助成対象事業者は、交付申請をはじめとする各種手続きを第三者に代行させることができます。ただし、手続代行者は、すべての要件を理解し、申請者と連携を図りながら円滑な事業推進に努めなければいけません。

本事業の助成事業ごとの事業期間は、工事完了届を提出した年度の翌年度から起算して2年度目の末日までです。事業者は、この期間中、公社によるデータ提供やセミナーでの事例発表などの要請に応える必要があります。

助成事業の計画変更が必要な場合、事業者は助成事業計画変更申請書(第8号様式)を公社に提出し、承認を受ける必要があります(軽微な変更は除く)。

計画変更は、公社が申請内容を審査し、妥当と認めた場合のみ認められます。交付決定額の増額は認められません。変更が認められた際には、公社から助成事業計画変更承認通知書が送付されます。

助成事業者は、交付申請時や計画変更申請時に提出した計画通りに工事を進捗させる必要があります。やむを得ない理由により工事を予定期間内に完了できない見込みとなった場合は、速やかに工事遅延等報告書(第11号様式)を公社に提出し、指示を受けなければなりません。

やむを得ない理由により助成事業を廃止しようとする場合、速やかに助成事業廃止申請書(第12号様式)を公社に提出し、承認を受けなければなりません。廃止を認められた場合、公社から助成事業廃止承認通知書が送付されます。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の交付決定取り消しとペナルティの概要

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業では、交付決定後でも、一定の事由に該当する場合、交付決定の取り消しや助成金の返還が求められます。

交付決定取消しの主な事由は、虚偽の申請、助成金の目的外使用、交付要綱などの規定違反、暴力団関与、都・公社の指示不履行などです。

交付決定が取り消された場合、既に交付された助成金の返還が請求されます。さらに、助成金の受領日から返還日までの日数に応じて、年10.95%の違約加算金が請求されます。返還したときには助成金返還報告書(第18号様式)の提出が必要です。

返還期限までに助成金が返還されない場合は、延滞金も発生します。延滞金の利率も年10.95%です。また、他の助成金などの交付が一時停止されたり、未納付額と相殺されたりすることもあります。

このように、不正や違反があった場合は厳しいペナルティが科せられます。事業者は、交付要綱などをよく確認し、適正な事業実施に努めなければいけません。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の採択率を上げるコツ

採択率を上げるには、事前の準備が大切です。具体的には、以下の3つのポイントに注意しましょう。

採択率を高めるためには、具体的な事業計画を立てることが重要です。単に「設備を導入する」といった漠然としたものではなく、導入することで、どれだけの省エネ効果が見込めるのかを数値で示す必要があります

たとえば、下記のように記載することで、計画の具体性を高めることができます。

項目内容
現状の課題従来の空調設備は老朽化が進み、消費電力が大きい
導入設備最新の省エネタイプの空調設備
具体的な効果年間消費電力を◯kWh削減、CO2排出量を◯t削減
費用対効果設備投資額は◯円、年間ランニングコスト削減額は◯円で、投資回収期間は◯年
根拠メーカーのカタログデータ、省エネ診断の結果
計画の具体例

このように、数値を用いて具体的な効果を示すことで、審査員に事業の有効性をしっかりとアピールすることができます。

また、事業計画を立てる際には、実現可能性も重要な要素となります。計画倒れに終わらないよう、導入する設備の選定や工事期間、予算などを綿密に検討しましょう。

さらに、事業計画全体を通して、環境への配慮や地域社会への貢献といった視点を盛り込むことも効果的です。

加えて、事業者自身の助成事業にかける思いや、独自のアイデアも盛り込むようにしましょう。他の事業者とは異なるオリジナルな内容は、多くの申請書類に埋もれないために欠かせないポイントです。

これらの要素を網羅した事業計画を作成すれば、採択の可能性はぐっと高まります。

公社では、本事業に関する問い合わせ窓口を設けています。採択に関する質問はできませんが、実施要綱や交付要綱に関する疑問点をなくしておくことで、間接的に採択率を上げられるでしょう。

【問い合わせ先】
東京都環境公社 事業支援チーム
TEL:03-5990-5059
WEB:問い合わせフォーム

本事業の採択率を上げるためには、補助金申請の専門家への相談も有効です。

補助金申請の専門家は、申請書類の作成支援だけでなく、採択されるためのポイントを踏まえた事業計画の策定支援なども行ってくれます。時間や労力を節約しながら、採択率を向上させることができるでしょう。

補助金申請の専門家にはさまざまですが、特におすすめなのは中小企業診断士です。中小企業経営に精通した中小企業診断士であれば、採択率を上げるのはもちろん、その後の事業発展まで見据えた事業計画の提案ができます。本事業を足がかりに事業を着実に成長させたいとお考えでしたら、補助金申請に強い中小企業診断士への相談を検討してみてください。

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の申請チェックリスト

詳細チェック
事業の目的、助成対象、要件などを理解しているか
自社が助成対象事業者の要件を満たしているか
リース事業者やESCO事業者と共同で申請するか
省エネ設備導入か運用改善か、申請する事業を明確にしているか
省エネ診断に基づく事業か、自主計画に基づく事業か決定したか
省エネ診断に基づく事業の場合は、すでに受診を終えているか
導入予定の設備は助成対象設備リストに記載されているか
助成対象経費(設計費、設備費、工事費)を正しく積算し、対象外経費(諸経費、消費税など)を含んでいないか
原則として複数業者(3社以上)から見積書を取得しているか(または入札等の証憑があるか)
導入費用に見合う省エネ効果が見込めるか(費用対効果)
CO2排出量の削減見込みを算定しているか(50%以上削減見込みの場合、助成率・上限額が増加)
エネルギー消費量の削減見込みを算定しているか(50%以上削減見込みの場合、助成率・上限額が増加)
対象事業所の地球温暖化対策報告書は提出済みか、または提出予定か
交付申請に必要な書類(申請書一式、登記簿謄本、賃貸借契約書、納税証明書、見積書、省エネ診断報告書、省エネ計算シートなど)はそろっているか
電子申請システムの利用方法を確認し、アカウント登録など必要な準備は済んでいるか
申請受付期間を確認し、余裕を持って申請できるよう準備しているか
事業内容や申請手続きについて、相談窓口に問い合わせ、疑問点を解消しているか
交付決定後の義務(報告書の提出、設備の適切な管理など)を理解しているか
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の申請チェックリスト

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の申請でお悩みでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業は、中小企業にとって大きなチャンスです。もし、せっかくの機会を逃したくないとお考えでしたら専門家のサポートが積極的に検討することをおすすめします。

当社・中小企業経営支援事務所では、補助金・助成金の申請支援のエキスパートとして、省エネ設備導入・運用改善支援事業の申請サポートを行っています。豊富な実績と専門知識を持つコンサルタントが、状況に合わせて最適なアドバイスをいたしますので、助成金申請が初めての事業者様や採択されるか不安な事業者様は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

動画でもわかりやすく解説をしておりますので、あわせてご覧をいただければ幸いです。

【2024年保存版】農業の補助金・助成金13選│初めての申請でも安心の手続き解説つき

【2024年版】農業の補助金・助成金13選

近年の農業を取り巻く環境は、地球温暖化による気候変動や、農家の高齢化・後継者不足、ウクライナ紛争に端を発する肥料や飼料の高騰など、さまざなな課題に直面しています。これらの困難を乗り越え、持続可能な農業経営を実現するための手段のひとつが補助金・助成金制度です。

この記事では、農業経営に欠かせない補助金・助成金制度について、2024年最新の情報に基づき、種類や申請方法、活用方法などをわかりやすく解説します。農業に携わる人の一助となれば幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。設備投資緊急支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

なぜ今、農業において補助金・助成金活用が重要なのか

農業を取り巻く経営環境は、さまざまな課題に直面しています。高齢化や担い手不足、地球温暖化による気候変動、農作物価格の低迷など、農業経営を圧迫する要因は枚挙にいとまがありません。これらの課題を乗り越え、持続可能な農業経営を実現するためには、補助金・助成金を戦略的に活用することが重要です。

補助金・助成金は、初期投資や設備投資の負担を軽減したり、経営の安定化を図ったり、新たな技術や販路の開拓を支援したりするものです。これにより、農業経営者は経営リスクを軽減し、競争力を強化することができます。

例えば、新規就農者や農業を始めて間もない人であれば、農業次世代人材投資資金の就農準備資金を活用することで、生活費や研修費用の負担を軽減し、スムーズに農業を始められます。また、既存の農業経営者であれば、強い農業づくり総合支援交付金や産地生産基盤パワーアップ事業などの設備投資向けの補助金を活用することで、スマート農業の導入や農産物加工施設の整備などを進め、生産性向上や高付加価値化を実現できます。

補助金・助成金の種類は多岐にわたり、それぞれに目的や要件が異なります。自らの経営課題や目標に合った補助金・助成金を選択し、適切に活用することが、農業経営の成功につながります。

農業における補助金・助成金活用の3つのメリット

農業における補助金・助成金活用の主なメリットは、以下の3つです。

農業を始めるには、多額の初期投資が必要になります。農地、農業機械、施設などの費用は高額で、新規就農者にとって大きな負担となるでしょう。また、農作物の収穫・販売が始まるまでの間は収入がないため、運転資金も必要です。これらの資金を自己資金のみで賄うことは難しいでしょう。

新規就農者向けの補助金・助成金を利用すれば、資金面での不安を軽減し、農業経営をスムーズにスタートさせることが可能になります。

農業経営は、さまざまなリスクと隣り合わせです。天候不順による不作や、市場価格の変動による収入減、病害虫の発生による損失など、予測できない事態がしばしば起きます。補助金・助成金を活用すれば、これらのリスクを軽減し、より安定した事業運営を実現できる可能性が高まります。

補助金・助成金活用によって設備投資や人材確保がスムーズにできれば、事業拡大のチャンスも広がるでしょう。

最新の農業機械や設備の導入すれば、作業効率を大幅に改善するだけでなく、より高品質な農産物の生産や、これまで手がけていなかった作物や加工品の生産にチャレンジが可能になります。

また、人材の確保・育成ができれば、農業経営の多角化や規模拡大が実現しやすくなります。例えば、販路開拓の専門家を雇用することで、新たな取引先の開拓や輸出事業への挑戦が可能になるでしょう。

このように、補助金・助成金を受給すれば、農業経営者は設備と人材の両面から事業拡大の機会を得ることができます。

目的別!農業の補助金・助成金13選【2024年最新】

農業で活用できる主な補助金・助成金を、目的別に紹介します。

補助金・助成金名内容支給額主な活用シーン
就農準備資金新規就農を目指す研修生を支援月12.5万円・農業大学校での研修
・先進農家での実践的研修
・就農に向けた技術習得
経営開始資金新規就農者の経営確立を支援月12.5万円・新規就農時の生活費確保
・経営基盤確立期の運転資金
・設備投資の自己資金確保
経営発展支援事業就農後の経営発展に必要な機械などの導入を支援1,000万円(最大)・農業機械や施設の導入
・家畜の導入
・果樹、茶の新植、改植
・農地の造成や改良
青年等就農資金新たに農業経営を始める人向けの融資制度3,700万円(最大)・農業用施設や機械の導入
・加工施設や販売施設の整備
・家畜購入、果樹や茶の新植・改植
・借地料などの一括支払い
強い農業づくり総合支援交付金産地の収益力強化と持続的な発展を支援各タイプによって異なる・産地基幹施設の整備
・農業用機械や設備の導入
・スマート農業の推進
・環境負荷低減の取り組み
・輸出拡大に向けた整備
産地生産基盤パワーアップ事業農業の国際競争力強化と産地の収益力向上を支援事業費の1/2以内など
※事業内容により異なる
・農業機械のリース導入・取得
・集出荷施設等の整備
・ヒートポンプなどの省エネ設備導入
・生産資材の導入
農地耕作条件改善事業地域の多様なニーズに応じた耕作条件の改善を支援事業費の1/2など
※型により異なる
・畦畔除去による区画拡大
・暗渠排水の整備
・高収益作物への転換
・スマート農業の導入
・病害虫対策
・水田貯留機能向上
ものづくり補助金生産性向上のための設備投資を支援事業費の1/2など
※申請枠により異なる
・スマート農業を実現する設備投資
・農産物の加工や6次産業化
・輸出向けの農産物生産体制の強化
IT導入補助金ITツール導入費用の一部を補助事業費の1/2など
※申請枠により異なる
・生産管理システム導入
・在庫管理システム導入
・経理ソフト導入
・販売管理システム導入
農産物等輸出拡大施設整備事業産地基幹施設の整備を支援事業費の1/2以内・集出荷貯蔵施設の整備
・農産物処理加工施設の整備
・CA貯蔵施設などの導入
雇用就農資金農業就業や独立就農に必要な研修を支援各タイプによって異なる・新規就農者の雇用と育成
・独立就農に向けた研修
・次世代経営者の育成
キャリアアップ助成金非正規雇用労働者のキャリアアップの促進を支援各コースによって異なる・新規就農者の育成や定着促進
・後継者や若手従業員への農業技術や技能の継承
・スマート農業化のための設備投資と連動した人材育成
雇用調整助成金事業活動を縮小する事業者の雇用維持を支援賃金相当額の1/2など予期せぬ出荷制限や天候不順による不作、農産物価格の低迷で収入減が生じた際の雇用維持
農業の補助金・助成金一覧【2024年最新】

※2024年10月時点での情報です。時期によって実施されていない可能性もあるため、利用するときは必ず公式サイトを確認するか、問い合わせ窓口に確認することをおすすめします。

※補助金・助成金の中には他の補助金・助成金と併願ができないものもあります。

農業次世代人材投資資金(就農準備資金)

農業次世代人材投資資金(就農準備資金)は、新規就農を目指す研修生を対象とした支援制度です。最長2年間にわたり年間150万円を交付し、就農に必要な技術習得を支援します。農業大学校や先進農家などで、確かな技術を身につけてから独立・自営就農、あるいは雇用就農を始めたい人に適した制度といえます。

申請要件として、就農予定時の年齢が原則49歳以下であることや、年間1,200時間以上の研修を受けることなどが定められています。

項目内容
主な支給条件・就農予定時49歳以下
・約1年以上かつ年間約1,200時間以上の研修を受講
・常勤雇用契約を締結していないこと
・前年の世帯所得が600万円以下
・傷害保険に加入していること
支給額月12.5万円(150万円/年)
※交付期間:最長2年間(海外研修の場合は最長3年間)
主な活用シーン・農業大学校での研修
・先進農家での実践的研修
・就農に向けた技術習得
問い合わせ先最寄りの地方農政局
公式ページ就農準備資金・経営開始資金丨農林水産省
農業次世代人材投資資金(就農準備資金)の概要

農業次世代人材投資資金(経営開始資金)

農業次世代人材投資資金(経営開始資金)は、新規就農者の経営確立を支援する制度です。独立・自営就農者に対して、就農直後の経営確立に資する資金を最長3年間交付します。農業を始めてからの生活費や、運転資金の不安を払拭したいときに活用したい補助金です。

交付を受けるためには、就農時の年齢が原則49歳以下であり、独立・自営就農であること、青年等就農計画の認定を受けていることなどの要件を満たす必要があります。

項目内容
主な支給条件・独立・自営就農時49歳以下
・独立・自営就農する認定新規就農者であること
・経営計画が経営開始5年後までに農業で生計が成り立つものであること
・借り受ける農地が「目標地図」などに位置づけられていること
・前年の世帯所得が600万円以下
支給額月12.5万円(150万円/年)
※交付期間:最長3年間
※夫婦共同経営は1.5人分交付
主な活用シーン・新規就農時の生活費確保
・経営基盤確立期の運転資金
・設備投資の自己資金確保
問い合わせ先最寄りの地方農政局
公式ページ就農準備資金・経営開始資金丨農林水産省
農業次世代人材投資資金(経営開始資金)の概要

経営発展支援事業

経営発展支援事業は、就農後の経営発展のために必要な機械・施設などの導入を支援する事業です。都道府県が機械・施設などの導入を支援する場合、国が都道府県支援分の2倍支援します。より安定的な農業経営を確立したいときは、積極的に検討したい補助金制度です。

経営発展支援事業は、49歳以下で、次世代を担う農業者となることについて強い意欲を持ち、事業実施年度または前年度に農業経営を開始した人を対象としています。交付対象者は、農地の所有権や利用権を有し、主要な農業機械・施設を所有または借り受け、自らの名義で生産・販売を行っている必要があります。

項目内容
主な支給条件・49歳以下
・独立・自営就農する認定新規就農者であること
・経営計画が経営開始5年後までに農業で生計が成り立つものであること
・借り受ける農地が「目標地図」などに位置づけられていること
・金融機関から融資を受けていること
支給額1,000万円(最大)
※経営開始資金受給者は最大500万円
※補助率:最大1/2以内
※夫婦共同経営は1.5人分交付
主な活用シーン・農業機械や施設の導入
・家畜の導入
・果樹、茶の新植、改植
・農地の造成や改良
問い合わせ先最寄りの地方農政局
公式ページ経営発展支援事業丨農林水産省
経営発展支援事業の概要

青年等就農資金

青年等就農資金は、新たに農業経営を開始する人を支援する無利子の融資制度です。17年以内に返済が必要になるため、補助金・助成金とは異なりますが、新規就農者の支援する制度としてよく活用されています。

特徴的なのは、担保は原則として融資対象物件のみで済み、個人の場合は保証人が原則不要という点です。法人の場合でも、必要な場合は代表者のみが保証人となります。これにより、新規就農者の資金調達における負担を大きく軽減しています。

ただし、国の補助金を財源に含む補助事業は本資金の対象外となり、また毎年度の予算範囲内での実施となるため、実行時期によっては希望に添えない場合もあるとされています。

項目内容
主な支給条件・認定新規就農者であること
・経営改善資金計画の作成と特別融資制度推進会議の認定を受けていること
支給額3,700万円(最大)
※特認の場合1億円
※無利子
※17年以内に返済(うち据置期間5年以内)
主な活用シーン・農業用施設や機械の導入
・加工施設や販売施設の整備
・家畜購入、果樹や茶の新植・改植
・借地料などの一括支払い
問い合わせ先・農林水産省 経営局就農・女性課
 TEL:03-3502-8111(内線5195)
最寄りの日本政策金融公庫支店(農林水産事業)
公式ページ青年等就農資金(新規就農者向けの無利子資金制度)について丨農林水産省
青年等就農資金丨日本政策金融公庫
青年等就農資金の概要

強い農業づくり総合支援交付金

強い農業づくり総合支援交付金は、産地の収益力強化と持続的な発展を支援するための重要な補助金制度です。農業経営者の産地基幹施設の整備や農業の生産効率化を図るための設備投資を支援します。

強い農業づくり総合交付支援金には、さまざまなタイプがあり(例:令和6年度の場合は「先駆的モデル支援タイプ」「農業支援サービス事業支援タイプ」など)があり、活用するときは各タイプの特徴を把握した上での選択が重要です。

項目内容
主な支給条件各タイプによって異なる
支給額各タイプによって異なる
主な活用シーン・産地基幹施設の整備
・農業用機械や設備の導入
・スマート農業の推進
・環境負荷低減の取り組み
・輸出拡大に向けた整備
問い合わせ先各タイプによって異なる
公式ページ強い農業づくりの支援丨農林水産省
※「強い農業づくりの支援に係る関係通知について」に各年度で実施されている制度の詳細や問い合わせ窓口の記載あり
強い農業づくり総合支援交付金の概要

産地生産基盤パワーアップ事業

産地生産基盤パワーアップ事業は、農業の国際競争力強化と産地の収益力向上を目指す総合的な支援制度です。主に、新市場獲得対策、収益性向上対策、生産基盤強化対策の3つの柱で構成されています。

新市場獲得対策では、輸出や加工・業務用需要に対応するため、拠点事業者の育成や連携産地の体制強化を支援。具体的には、貯蔵・加工・物流拠点施設の整備や、園芸作物における新品目・品種の導入、国産農産物のシェア拡大に向けた取り組みなどが対象となります。

収益性向上対策では、産地の収益力強化に向けた計画的な取り組みを支援。高性能な農業機械の導入や集出荷施設の整備、施設園芸における省エネ設備(ヒートポンプ等)の導入などが含まれます。

生産基盤強化対策では、次世代への円滑な経営継承を見据え、農業用ハウスや果樹園・茶園などの生産基盤の再整備・改修を支援。また、持続可能な農業の実現に向けて、堆肥や緑肥を活用した土づくりの取り組みも支援対象となっています。

項目内容
主な支給条件各事業によって異なる
支給額事業費の1/2以内など
※事業内容により異なる
主な活用シーン・農業機械のリース導入・取得
・集出荷施設等の整備
・ヒートポンプなどの省エネ設備導入
・生産資材の導入
問い合わせ先各タイプによって異なる
公式ページ強い農業づくりの支援丨農林水産省
※「強い農業づくりの支援に係る関係通知について」に各年度で実施されている制度の詳細や問い合わせ窓口の記載あり
産地生産基盤パワーアップ事業の概要

農地耕作条件改善事業

農地耕作条件改善事業は、農地中間管理機構による担い手への農地集積を促進するため、地域の多様なニーズに応じた耕作条件の改善を支援する制度です。

本事業は6つの型で構成されています。「地域内農地集積型」では畦畔除去による区画拡大や暗渠(あんきょ)排水などのきめ細かな耕作条件の改善を支援。「高収益作物転換型」では基盤整備と一体的に行う輪作体系の検討や実証展示ほ場の運営などを支援します。

「スマート農業導入推進型」ではGNSS基地局の設置などのスマート農業導入を、「病害虫対策型」では病害虫の発生予防・まん延防止につながる農地の土層改良や排水対策などを支援。「水田貯留機能向上型」では田んぼダムの実施に必要な基盤整備を、「土地利用調整型」では多様で計画的な農地利用のためのゾーニングに必要な交換分合や基盤整備を支援します。

これらの支援により、農地の大区画化・汎用化等の基盤整備を行い、担い手への農地集積を推進するとともに、生産効率を向上させ、高収益作物等の営農定着を図ることができます。

項目内容
主な支給条件・総事業費200万円以上であること
・農業者数が2者以上であること
・使用する型の目標に沿った事業計画を策定すること
支給額事業費の1/2など
※型により異なる
主な活用シーン・畦畔除去による区画拡大
・暗渠排水の整備
・高収益作物への転換
・スマート農業の導入
・病害虫対策
・水田貯留機能向上
問い合わせ先農林水産省 農村振興局整備部農地資源課 担当者:経営体育成事業企画班
TEL:03-3502-8111(内線5613)
公式ページ農地の整備丨農林水産省
農地耕作条件改善事業の概要

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資を行う際に、費用の一部を補助する制度です。対象となるのは、革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの省力化・高度化を目指す取り組みです。

本補助金は、大きく分けて「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の3つの枠組みで構成されています。

省力化(オーダーメイド)枠では、デジタル技術を活用した専用設備の導入による生産性向上を支援します。農業であれば、スマート農業を実現する設備投資に活用できるでしょう。AIやIoT、センサーなどを活用した自動給水システムや生育状況管理システムを導入することで、人手不足の解消や労働時間の短縮、収穫量の安定化を図れます。

製品・サービス高付加価値化枠は、革新的な製品・サービス開発に向けた設備投資を支援します。例えば、高付加価値な加工食品を製造するための設備や、農産物直売所における販売促進のためのシステム導入などが対象となります。

グローバル枠は、海外事業展開やインバウンド対応、海外企業との共同事業など、国際的な競争力強化を目指すための設備投資を支援します。農業であれば、輸出に対応した選果・包装ラインや、海外市場のニーズに合わせた加工施設の整備などが考えられます。

いずれの枠組みにおいても、事業計画期間における給与支給総額の増加や事業場内最低賃金の引き上げといった、従業員の処遇改善を図るための要件が設けられています。大幅な賃上げに取り組む事業者には、補助上限額の引き上げ措置も用意されています。

項目内容
主な支給条件・中小企業・小規模事業者等であること
・3~5年の事業計画期間において、付加価値額や給与支給総額の増加、事業場内最低賃金の引上げを達成すること
支給額事業費の1/2など
※申請枠により異なる
主な活用シーン・スマート農業を実現する設備投資
・農産物の加工や6次産業化
・輸出向けの農産物生産体制の強化
問い合わせ先ものづくり補助金事務局サポートセンター
TEL:050-3821-7013
公式ページものづくり補助金丨全国中小企業団
ものづくり補助金の概要

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援するための制度です。ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用の一部を補助することで、業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進します。

IT導入補助金には、「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」「複数社連携IT導入枠」の4種類があり、それぞれ異なる目的と要件が設定されています。農業分野では、生産管理システムや在庫管理システム、経理ソフトなどの導入に活用でき、業務の効率化や経営の可視化に役立ちます。

項目内容
主な支給条件・中小企業・小規模事業者等であること
・「SECURITY ACTION」宣言や「みらデジ経営チェック」を実施していること
支給額事業費の1/2など
※申請枠により異なる
主な活用シーン・生産管理システム導入
・在庫管理システム導入
・経理ソフト導入
・販売管理システム導入
問い合わせ先サービス等生産性向上IT導入支援事業コールセンター
TEL:0570-666-376
公式ページIT導入補助金2024丨TOPPAN
※中小企業基盤整備機構および中小企業庁監督
IT導入補助金の概要

農産物等輸出拡大施設整備事業

農産物等輸出拡大施設整備事業は、2030年までに農林水産物・食品の輸出額5兆円という目標達成に向けた支援制度です。国産農産物の輸出拡大に必要な集出荷貯蔵施設や処理加工施設などの産地基幹施設の整備を支援し、「強い農林水産業」の構築を推進することを目的としています。本事業は、海外展開を視野に入れている農業経営者の強い味方となるでしょう。

農産物等輸出拡大施設整備事業を活用するときは、施設整備とあわせて、輸出先の求める品質管理や衛生基準などにも対応しなければいけません。具体的には、GAP認証(GLOBALG.A.P.、ASIAGAP、JGAPなど)の取得、HACCP等認定の取得などです。

項目内容
主な支給条件・受益農業従事者が5人以上
・成果目標の基準を達成していること
・総事業費5,000万円以上であること
・輸出事業計画を策定していること
・GFPの会員であること
支給額事業費の1/2以内
主な活用シーン・集出荷貯蔵施設の整備
・農産物処理加工施設の整備
・CA貯蔵施設などの導入
問い合わせ先最寄りの地方農政局
公式ページ農産物等輸出拡大施設整備事業丨農林水産省
農産物等輸出拡大施設整備事業の概要

雇用就農資金

雇用就農資金は、農業法人等が49歳以下の就農希望者を新たに雇用し、農業就業や独立就農に必要な研修を実施する場合に交付される支援制度です。主に3つのタイプがあり、「雇用就農者育成・独立支援タイプ」「新法人設立支援タイプ」「次世代経営者育成支援タイプ」に分かれています。

申請には、農業法人等が正社員として期間の定めのない雇用契約を締結することや、労働環境の改善に取り組むことなどが求められます。また、新規雇用就農者は49歳以下で、支援開始時点で正社員として採用されてから4ヶ月以上12ヶ月未満である必要があります。

なお、就農希望者が障がい者や生活困窮者などの場合、年間最大15万円が加算される制度も設けられています。

項目内容
主な支給条件・49歳以下の就農希望者を新規雇用
・正社員としての雇用契約締結していること
・労働環境改善にすでに取り組んでいるor新たに取り組むこと
・研修内容などを「農業をはじめる.JP」に掲載していること
支給額・雇用就農者育成・独立支援タイプ
 年間最大60万円(最長4年間)
・新法人設立支援タイプ
 年間最大120万円(最長4年間)
・次世代経営者育成支援タイプ
 月最大10万円(最長2年間)
主な活用シーン・新規就農者の雇用と育成
・独立就農に向けた研修
・次世代経営者の育成
問い合わせ先・全国農業会議所
 TEL:03-6265-6891
各都道府県農業会議
公式ページ雇用就農資金丨農林水産省
雇用就農資金の概要

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者などの非正規雇用の労働者のキャリアアップを促すために設けられた助成金制度です。企業がこれらの労働者を正社員化したり、処遇を改善したりする取り組みを実施した場合、その費用の一部を国が助成します。

この助成金は、大きく「正社員化支援」「処遇改善支援」の2つの支援に分かれています。正社員化支援では、非正規雇用労働者を正社員に登用する際に助成が行われます。処遇改善支援では、賃金規定の改定や共通化、賞与・退職金制度の導入、社会保険適用時の処遇改善など、さまざまな取り組みが助成対象となります。

キャリアアップ助成金を活用することで、農業経営者は新規就農者の育成や定着促進が期待できます。後継者や若手従業員への農業技術や技能の継承もスムーズに行えるでしょう。

項目内容
支給条件企業規模、取り組み内容、労働者数など、コースごとに異なる
支給額・正社員化コース
 中小企業:最大80万円/人
 大企業:最大60万円/人
・賃金規定等改定コース
 中小企業:最大6.5万円/人
 大企業:最大4.3万円/人
・賃金規定等共通化コース
 中小企業:60万円/事業所
 大企業:45万円/事業所
・賞与・退職金制度導入コース
 中小企業:最大56.8万円/事業所
 大企業:最大42.6万円/事業所
・社会保険適用時処遇改善コース
 中小企業:最大40万円/人
 大企業:30万円/人
※そのほか、コースによっては加算措置あり
主な活用シーン・新規就農者の育成や定着促進
・後継者や若手従業員への農業技術や技能の継承
・スマート農業化のための設備投資と連動した人材育成
申請先各都道府県労働局またはハローワーク
公式ページキャリアアップ助成金丨厚生労働省
キャリアアップ助成金の概要

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、経済的な理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用の一部を助成する制度です。景気の変動や産業構造の変化など、さまざまな経済上の理由で事業活動が縮小した場合に活用できます。

農業であれば、鳥インフルエンザ発生などによる出荷制限や、異常気象による不作、価格低迷による収入減などで経営が苦しくなった状況において、従業員の雇用維持を実施する際に活用できるでしょう。

項目内容
主な支給条件・雇用保険適用事業主であること
・売上高や生産量などの事業活動指標が一定数減少していること
・雇用量指標の増加制限をクリアしていること
・労使協定に基づく雇用調整の実施していること
支給額・休業・教育訓練
 休業手当・賃金相当額 × 助成率
 中小企業:2/3
 大企業:1/2
・出向
 賃金負担額 × 助成率
 中小企業:2/3
 大企業:1/2
※休業・教育訓練の助成額について、令和6年4月1日以降開始の対象期間は、支給日数と教育訓練実施率により変動、加算あり。上限額あり
主な活用シーン予期せぬ出荷制限や天候不順による不作、農産物価格の低迷で収入減が生じた際の雇用維持
申請先各都道府県労働局またはハローワーク
公式ページ雇用調整助成金丨厚生労働省
雇用調整助成金の概要

農業の補助金・助成金 受給までに必要な基本6ステップ

農業の補助金・助成金を受給するときは、いくつかの手続きが必要です。各補助金・助成金によって異なる部分もありますが、共通の部分も多くあります。それをもとに、受給までの基本的な手順を以下で紹介します。

まずはどの補助金・助成金が適しているのかを選ぶ必要があります。現在抱えている課題や将来の計画を整理し、補助金・助成金を利用する理由や目的を明確にしましょう。その上で、申請資格、申請期限などを始めとする申請要件などの詳細を公式ページで確認します。

なお、時期によっては対象の補助金・助成金の公募が行われていない可能性があります。また、前回まではあった申請枠が今回はなくなっているケースもしばしば見られます。詳細を調べるときは、「◯◯補助金 令和◯年度」などと検索して、最新の情報にあたるようにしましょう。

申請したい補助金・助成金が決まったら、要件を満たしているかを確認します。主な要件としては、事業内容、規模、所在地などが挙げられます。

要件を満たしていることがわかったら、申請に必要な書類をリストアップします。補助金・助成金の種類によって必要な書類は異なりますが、一般的には以下のものが必要になります。

必要な書類補足説明
申請書各補助金・助成金専用の申請書
事業計画書事業の内容、目的、目標、計画などを記載
収支予算書事業にかかる収入と支出を予測
納税証明書納税状況を確認
その他個別で必要となる書類
申請に必要な書類一覧

これらの書類は、事前に準備できるものから着手しましょう。申請書類の中には、作成に時間がかかるものもあります。例えば、事業計画書は、事業の将来像を具体的に示す必要があり、綿密な計画と作成時間が必要です。また、収支予算書も、事業の収益性などを客観的に示す必要があり、正確な数字を把握しておくことが重要です。

加えて、申請書類の提出期限も事前に確認しておきましょう。締め切り間際になると、窓口が混雑したり、不備が見つかった場合の修正時間が不足したりする可能性があります。余裕を持って準備を進めることが大切です。

補助金・助成金の申請書類は、管轄の窓口や郵送、または電子申請システムなどを通じて提出します。提出方法は補助金・助成金の種類によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

補助金・助成金に申請書類を提出すると審査が行われます。審査は大きく分けて以下の3つのステップで進みます。

審査の種類内容
書類審査提出書類の内容が、補助金・助成金の要件を満たしているか、また事業計画が適切かを確認する審査
面接審査申請者と審査員が面談し、事業計画の詳細や熱意、実現可能性などを確認する審査
現地審査実際に事業を行う場所を審査員が訪問し、設備や運営体制などを確認する審査
審査の種類

書類審査では、提出した申請書類の内容に基づき、事業計画の実現可能性や妥当性、補助金・助成金の目的に合致しているかなどが審査されます。

面接審査が必要な補助金・助成金の場合は、申請者と審査員が面談し、事業計画の詳細や申請者の熱意、事業の実現可能性などを審査されます。面接審査では、事業計画についてしっかりと説明できるよう、事前に準備しておくことが重要です。また、質問にも的確に答えられるように、想定される質問と回答をまとめておきましょう。

現地審査が必要な補助金・助成金の場合は、審査員が実際に事業を行う場所を訪問し、申請内容と相違がないか、設備や運営体制が整っているかなどを確認します。現地審査でも、面接審査同様、審査員からの質問に適切に回答できるように事前に準備しておくことが大切です。

これらの審査ステップは、補助金・助成金の種類によって異なる場合や、追加の審査が行われる場合もあります。

補助金や助成金の交付決定通知を受け取ったら、いよいよ事業開始です。交付決定通知には、補助事業(助成事業)の内容や実施機関、支給金額、各種条件などが記載されています。これらの内容をよく確認し、事業計画に基づいて着実に事業を進めていきましょう。

事業開始にあたっては、以下の3つのポイントに注意しましょう。

  1. 事業計画の遵守
    事前に策定した事業計画を遵守することが重要です。計画に変更が生じる場合は、速やかに交付機関に連絡し、変更承認申請の手続きを行う必要があります。無断で計画を変更すると、補助金の返還を求められる場合があります。
  2. 適切な経費管理
    補助金や助成金は、事業実施において生じた経費に対して支払われます。領収書などの証拠書類を適切に保管しましょう。
  3. 事業の進捗管理
    事業の進捗状況を定期的に確認し、計画通りに進んでいるかを確認しましょう。進捗が遅れている場合は、その原因を分析し、改善策を講じる必要があります。必要に応じて、交付機関に相談し、アドバイスを受けることも有効です。

これらのポイントを踏まえながら、事業を着実に進めていきましょう。

補助金・助成金の申請が採択され、事業が完了したら、速やかに実績報告書を提出する必要があります。実績報告書は、交付決定時に指定された期日までに提出するようにしましょう。

実績報告とは、補助事業で実際に行った内容や経費の使途などを報告することです。実績報告の内容に基づいて、補助金の額が確定します。

実績報告に必要な書類は補助金・助成金の種類によって異なりますが、一般的には以下の書類が必要になります。

書類名内容
実績報告書事業の実施状況、成果、経費の使途などを記載した報告書
収支決算書事業に係る収入と支出を記載した決算書
領収書の写し事業に係る経費の支出を証明する領収書
写真など事業の実施状況を証明する写真など
実績報告に必要な書類一覧

実績報告が承認されると、補助金・助成金が交付されます。交付された補助金・助成金は、事業の目的に沿って適切に使用しましょう。補助金・助成金は返済不要の資金ですが、不正受給が発覚した場合には、返還を求められるだけでなく、罰則が科される場合もあります。

農業の補助金・助成金の採択率を高めるコツ

農業の補助金・助成金を活用することは、農業経営の安定や発展に大きく貢献します。しかし、申請は複雑で、採択されるにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。

採択率を高めるには、まず申請要件を徹底的に理解することが重要です。申請資格などに加えて、当該の補助金・助成金が目的としているところ(申請者に何を求めているのか)をしっかりと把握し、自身の目的と合致するか確認するようにしましょう。

また、事業者向けの補助金・助成金の場合は、事業計画書の作成が求められます。事業計画書の内容をもとに、事業の将来性や実現可能性、地域への貢献度などが評価され、採択するか否かが決まるため、計画書は論理的にわかりやすく、説得力のある内容でなければなりません。

具体的には、以下の点に注意して作成しましょう。

項目内容
背景なぜこの事業が必要なのか、現状の問題点や課題を明確にする
目的事業を通して何を達成したいのか、具体的な目標を設定する
内容どのような事業を行うのか、具体的な内容を説明する
方法どのように事業を進めるのか、具体的な手順やスケジュールを示す
効果事業によってどのような効果が期待できるのか、定量的な指標を用いて説明する
資金計画事業に必要な資金はどのくらいか、自己資金と補助金の割合を明確にする
事業計画書を作成するときの主なポイント

これらのポイントを踏まえ、事業者の思いを込めたオリジナルな事業計画書を作成することが、採択率を高める鍵となります。

さらに、事業者の場合は、専門家による支援サービスの活用も有効です。特に中小企業診断士は、補助金申請に関する豊富な知識と経験を持っています。中小企業診断士に相談することで、申請書類の作成支援や事業計画のブラッシュアップ、面接対策など、多岐にわたるサポートを受けられるでしょう。

農業の補助金・助成金申請でお悩みでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

補助金・助成金申請は、時間と労力を要する作業です。しかし、採択されれば大きな助けとなります。この記事で紹介したコツを参考に、積極的に補助金・助成金を活用していただけたら幸いです。

弊社・中小企業経営支援事務所では、補助金・助成金申請に悩む事業者に対して、さまざまなサポートを行っています。申請書類の準備だけでなく、採択につながりやすい事業計画書を作るためのアドバイスまで行い、これまで多くの事業者の採択を実現してきました。

農業の補助金・助成金の申請にお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。ご相談者様の場合はどのような補助金・助成金であれば採択につながりやすいのかなども含めて、懇切丁寧に説明いたします。初回相談は無料です。

【最新版】設備投資緊急支援事業とは?概要や申請方法、採択率を上げるコツを徹底解説

設備投資緊急支援事業の概要

働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が強化され、2024年(令和6年)4月からは運輸・物流業や建設業などにも適用されることになりました。この規制強化は、長時間労働の是正を目的としていますが、企業にとっては人手不足の深刻化や売上の減少など、いわゆる「2024年問題」と呼ばれる課題への対応が迫られることになります。

このような背景から、東京都および東京都中小企業振興公社では、「2024年問題」への対策として、中小企業の生産性向上や競争力強化を目的とした「設備投資緊急支援事業」を実施しています。

この記事では、公社が公開している設備投資緊急支援事業の専用ページ第2回募集要項をもとに、「設備投資緊急支援事業」の概要や申請方法、採択率を上げるためのコツなどを詳しく解説します。「2024年問題」への対策として設備投資を検討されている事業者の方は、ぜひ参考にいただけると幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。設備投資緊急支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

設備投資緊急支援事業とは

設備投資緊急支援事業とは、東京都内で運送や物流、建設業などを営む中小企業者等を対象に、「2024年問題」対策として導入する機械設備費用の一部を助成する制度です。

「2024年問題」とは、働き方改革関連法の時間外労働の上限規制が、2024年(令和6年)4月から運送・物流、建設業などにも適用されることで、人手不足の深刻化や売上の減少などが懸念される問題を指します。

本事業では、機械設備の導入費用の一部を東京都が負担することで、都内中小企業の「2024年問題」対策を後押しし、生産性の向上や競争力の強化を支援します。

具体的には、以下の事業・業務を営む中小企業が対象です。

  • 工作物の建設の事業
  • 自動車運転の業務
  • 医業に従事する医師

これらの事業者は、時間外労働の上限規制によって、業務効率化や従業員の負担軽減が急務となっています。設備投資緊急支援事業は、最新の機械設備導入を促進してこれらの課題解決を支援し、ひいては都内経済の活性化に貢献することを目指しています。

項目内容
助成対象者東京都内で運送や物流、建設業などを営む中小企業者等
助成対象事業2024年問題対応に必要な機械設備を新たに導入する事業
助成対象期間交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月間
助成対象経費機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入費用
助成率4/5以内
助成限度額下限100万円 上限1億円
設備投資緊急支援事業の概要

設備投資緊急支援事業の申請要件

設備投資緊急支援事業の申請には、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

本事業の申請資格を得るには、2024年4月からの時間外労働の上限規制の対象となる事業・業務に従事していることが必須条件です。

具体的には、以下の表に示す3つの事業・業務のうち、いずれか一つ以上に該当している必要があります。

事業・業務具体的な内容例
工作物の建設の事業建築、土木、設備工事など
自動車運転の業務トラック、バス、タクシーなどの四輪以上の自動車運転業務
医業に従事する医師病院、診療所などで診療に従事する医師(個人開業医かつ本人以外に医師を雇用している場合のみ)
設備投資緊急支援事業の対象事業・業務

加えて、働き方改革関連法の時間外労働の上限規制適用猶予期間(令和2年4月~令和6年3月)中に該当業務に従事する従業員を雇用し、その期間の36協定届を提出できることが条件となります。

設備投資緊急支援事業の申請には、中小企業者または中小企業団体等のいずれかに該当することが条件です。

なお、下記基準に該当するかの判断が難しい場合は、募集要項のP.42「業種(大分類)と日本標準産業分類について」およびP.43「日本標準産業分類及び中小企業者の範囲」を参照するとよいでしょう。

中小企業者

中小企業者とは、中小企業基本法第2条第1項に規定されている資本金または従業員数の基準を満たし、大企業(中小企業投資育成株式会社や投資事業有限責任組合は除く)が実質的に経営に参画していない会社や個人事業者を指します。

業種資本金常用従業員数
製造業・建設業・運輸業・その他の業種
(ソフトウェア業・情報処理サービス業含む)
3億円以下300人以下
ゴム製品製造業の一部3億円以下900人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
小売業(飲食業を含む)5,000万円以下50人以下
中小企業者の要件

大企業が実質的に経営に参画していないとは、主に以下のようなことを指します。

  • 大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の1/2以上を所有、または出資していないとき
  • 大企業が複数で発行済株式総数または出資総額の2/3以上を所有、または出資していないとき
  • 役員総数の1/2以上を大企業の役員または社員が兼務する形になっていないとき
  • そのほか、大企業が実質的に経営を支配・参画していると考えられないとき

中小企業団体等

中小企業団体等とは、中小企業等協同組合法に基づく組合や、中小企業団体の組織に関する法律に基づく中小企業団体で、構成員の半数以上が都内に主たる事業所を有する中小企業である場合が該当します。

本事業に申請するには、ほかにも以下のような条件があります。

要件内容
都内での事業活動の実態基準日(※)現在で東京都内に本店または支店があり、2年以上事業を継続していること。都外に機械設備を設置する場合は、都内に本店があること
納税状況法人事業税、法人都民税、都および公社に対する賃料などの滞納がないこと
過去の採択状況過去に本助成事業の採択を受けていないこと(申請の取り下げや中止は除く)
申請回数同一回において初めての申請であること(申請は同一回につき1企業1申請に限る)
重複助成の禁止同一設備で他の助成事業を受けていないこと
過去の助成事業における実績過去5年間に、都道府県や区市町村などが実施する助成事業で不正がなく、報告書を期日までに提出していること
事業の継続性会社更生法や民事再生法の申立・手続中ではなく、事業の継続に問題がないこと
法令遵守助成事業の実施に必要な許認可を取得しており、関係法令も遵守していること
反社会的勢力との関係申請者、設備購入先などが暴力団関係者ではなく、風俗営業など社会通念上不適切な業態も営んでいないこと
申請書類必要な書類をすべて提出できること
募集要項が示すそのほかの申請資格要件 (※)基準日は募集時期によって変わる

設備投資緊急支援事業の助成対象事業

設備投資緊急支援事業では、運送・物流、建設業およびその他業種において、働き方改革関連法の時間外労働の上限規制による人材不足などに対策するために、新たに機械設備を導入する事業が助成対象となります。

機械設備であれば、人材不足を解消するための自動化設備や省力化設備、工期短縮を実現する業務効率化設備の導入などが挙げられます。

重要なポイントは、導入する設備が2024年問題への対策として直接的に貢献するものでなければならない点です。

以下のような事業は助成の対象外となるため注意しましょう。

  1. 事業計画を伴わず、老朽化した設備を新しい設備に買い替えるだけの事業
  2. 研究開発を目的とし、量産・販売の目途が立っていない事業
  3. 自社工場などに自家発電設備を設置するだけの事業
  4. 助成事業完了後、導入した設備を一定期間継続して使用することが見込めない事業
  5. 運転資金など、設備投資以外の経費への助成を目的としている事業
  6. 申請者以外が事業計画の遂行や設備投資に関与している事業
  7. 助成事業者以外が助成対象設備を使用する事業
  8. 公序良俗に反する事業や公社が適切でないと判断する事業

設備投資緊急支援事業の助成対象経費

設備投資緊急支援事業の対象となる経費は、「2024年問題」対策として導入する機械装置・器具備品・ソフトウェアの新たな導入、搬入・据付などに要する費用です。

ただし、以下の条件を満たす必要があります。

助成対象経費の条件内容
事業への必要性生産やサービス提供に直接使用する設備やソフトウェアなど、事業目的達成に不可欠な経費であること
見積書の取得同一機種は、同一メーカー・同一型番で2社以上の見積書を取得し、安価な方を選定すること。入手できない場合は、「見積限定理由書」の提出が必要
助成対象期間内の支払い完了交付決定日の翌月1日から4年6ヶ月までに契約・納品・支払いを完了すること。分割払いも、期間内の完了が必須
使途の明確性カタログや仕様書、図面等で設備内容が確認できるもの、見積書にメーカー・型番・内訳が記載されているもの、契約書や振込控などの帳票類がそろっているものなど、経費の使途が明確に確認できるものであること
所有権の帰属リースやレンタルではなく、購入し、所有権が事業者に移転するものであること
設備投資緊急支援事業の助成対象経費の条件

また、1基あたりの下限額が50万円(税抜)以上である必要があります。1基とは、原則として法人税法上の減価償却単位を指し、機械装置であれば1台、器具備品であれば1個、1組、1揃いなどが該当します。ソフトウェアの場合は、1基あたりの下限額の条件に加えて、助成金交付申請額の範囲が300万円以上1,000万円以下と決められています。

なお、搬入・据付などに要する経費は、機械設備本体の購入先が行っていて、かつ機械設備の設置と一体で捉えられる軽微なものに限り対象です。

一方で、以下のような経費は、本事業の主旨から外れることから助成対象外となります。

  1. 申請内容と異なる機械設備や、デモンストレーション用の設備
  2. 既存設備の改良・修繕・撤去など、および中古品
  3. 不動産・構築物・車両・船舶・航空機など
  4. 事業計画に不必要な工具・消耗品など
  5. 資本関係のある会社などとの取引
  6. 消費税・関税・手数料・旅費などの間接経費
  7. 資料収集・調査・会議など事務経費や、内容が不明瞭な経費
  8. 設置場所の整備工事や、ソフトウェア設置後の保守費用など
  9. 目的外使用が可能な汎用的なパソコン・サーバーなど
  10. 市場価格や事業内容に対して高額な経費
  11. 所有権が移転しないリース・レンタルなど
  12. 通常業務と混合した経費や、他の取引と相殺した経費
  13. 現金・手形・クレジットカードなどによる支払い
  14. 実質的な支払金額が見積書と異なる取引
  15. 公的資金の用途として不適切な経費

上記以外にも助成対象外となる場合があります。

なお、助成事業にかかる経費の支払いは、金融機関・郵便局からの振込払い、送金口座は普通預金または当座預金のみと限定されています。

設備投資緊急支援事業の助成限度額

設備投資緊急支援事業の助成限度額は1億円です。助成下限額は100万円と定められています。

設備投資緊急支援事業の助成率

設備投資緊急支援事業の助成率は、助成対象と認められる経費の4/5以内です。1,000円未満は切り捨てとなります。

設備投資緊急支援事業の助成対象期間

設備投資緊急支援事業の助成対象期間は、交付決定日(採択者から交付決定通知書が交付された日)の翌月1日から1年6ヶ月間です。この期間内に、契約・納品・支払いを完了させなければいけません。

第2回募集の助成対象期間は、令和7年4月1日から最長令和8年9月30日です。

設備投資緊急支援事業の流れ

設備投資緊急支援事業の申請から交付後までの大まかな流れについて紹介します。

  1. 公募情報の確認
    公社が公開している設備投資緊急支援事業の専用ページで、最新の募集要項、申請書類を入手し、内容を確認申請要件や事業内容に関する疑問点は、公社や補助金・助成金の申請支援を行う専門家に事前相談をする
  2. ネットクラブ会員サービスへの登録
    本事業への申請予約に必要な「ネットクラブ会員サービス」会員登録を専用フォームから行う
  3. 申請予約
    公社が公開している設備投資緊急支援事業の専用ページにアクセスし、期限内に申請予約する
  4. 申請書類の提出
    デジタル庁の電子システム「jGrants(Jグランツ)」を使って申請書類を公社に提出(電子申請マニュアル)。jGrantsを利用するには「GビズIDプライムアカウント」が必要なので前もって作成する。
  5. 申請書類の準備
    申請に必要な書類を収集して正確に記入
  6. 公社が審査を実施
    公社が提出した申請書類に基づき、事業内容の実現可能性や妥当性などがあるか一次審査を行い、その後、面接審査や価格審査などの二次審査を実施する。審査では場合によって現地調査も行う
  7. 交付決定
    公社が、一次審査・二次審査の結果にもとづき、総合審査会で助成対象事業者を決定する。助成金事業者として採択された場合、企業名や所在地、テーマ名、成果などについて公社のホームページで公表される
  8. 事業の実施
    交付決定の内容に基づき事業を実施
  9. 完了報告書の提出
    助成対象期間内に事業が完了したら、事業実績や経費の執行状況などを記載した完了報告書を公社に提出
  10. 公社が完了検査を実施
    公社が完了検査を行い、事業内容や経費の執行状況などを確認する
  11. 助成金の交付
    完了検査後、助成金の額が確定し、事業者に交付される(完了検査から助成金交付までは約2ヶ月)
  12. 事業化状況報告書の提出
    事業完了後、翌年度以降5年間にわたり、事業の進捗状況などを記載した事業化状況報告書を公社に提出

設備投資緊急支援事業は、申請から助成金の交付まで、概ね上記のような流れで進みます。それぞれの段階で必要な手続きや提出書類が異なるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

企画管理部 設備支援課
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1-9 東京都産業労働局 秋葉原庁舎
TEL:03-3251-7884
設備投資緊急支援事業の申請・問い合わせ先

設備投資緊急支援事業の第2回募集は、以下のスケジュールで実施されます。

項目時期
申請予約令和6年10月23日(水)9時~11月6日(水)17時
申請書類提出令和6年11月1日(金)9時~11月15日(金)17時
一次審査11月中旬~1月中旬
一次審査結果通知1月下旬
二次審査2月中旬~3月上旬
助成対象事業者決定3月中旬
事務手続き説明会3月下旬
助成事業開始令和7年4月1日~(最長令和8年9月30日まで)
設備投資緊急支援事業の第2回募集のスケジュール

上記は2024年10月7日現時点でのスケジュールであり、今後変更となる可能性があります。申請前に今一度公社のホームページなどで最新情報を確認することをおすすめします。

設備投資緊急支援事業の必要書類

設備投資緊急支援事業においては、さまざまな書類の提出が求められます。申請時・助成事業完了時・交付後の3つのタイミングに分けて紹介します。

申請書一式、完了報告書、事業化状況報告書については、設備投資緊急支援事業の専用ページからダウンロードすることが可能です。完了報告書、事業化状況報告書は、時期によってまだ公開されていない場合があります。

なお、提出書類は返却されないため、すべて原本の控えを取っておきましょう。日本語以外の場合は日本語訳の資料も添付する必要があります。

申請時の必要書類詳細備考
申請書一式(1部)・Excel形式とWord形式の両方の提出が必要
・Word形式はWord形式のまま、Excel形式はExcel形式のまま編集し、同じ形式提出する
・Excel形式の書類には外部参照リンクを含まないようにする
確定申告書(直近3期分の確定申告書の写し)【法人】
①税務署の受付印または電子申告の受信通知(メール詳細)
②別表1~16
③貸借対照表
④損益計算書
⑤販売費及び一般管理費明細表
⑥製造原価報告書(未作成の場合、省略可)
⑦株主資本等変動計算書
⑧勘定科目内訳明細書
⑨法人事業概況説明書(両面)

【個人】
①税務署の受付印または電子申告の受信通知(メール詳細)
②第一表~第五表(申告時に提出したもののみ)
③青色申告決算書(貸借対照表を作成している場合、それを含む)
各期ごとに書類を1つのPDFにまとめる
履歴事項全部証明書(1部)【法人】
発行後3ヶ月以内の履歴事項全部証明書

【個人】
開業届
・PDF形式での提出を推奨
・個人事業主は、開業届にマイナンバーが記載されている場合、該当箇所を削除の上、提出する
納税証明書(直近2期分)【法人】
法人事業税・法人都民税の納税証明書

【個人】
納税証明書(個人事業税の納税証明書および代表者の住民税納税証明書、もしくは代表者の直近の所得税納税証明書および代表者の住民税納税証明書)
PDF形式での提出を推奨
積算根拠書類(機種ごとに各1部)①導入機械設備1機種につき2社の見積書
②見積限定理由書
③機械設備の最新カタログ
④見積書採用予定の会社の会社案内
・①③④はPDF形式での提出を推奨、②はWord形式での提出を推奨
・見積限定理由書は相見積もりを入手できない場合のみ
・機械設備のカタログがない場合は、具体的な設計図面や仕様書など機械設備の詳細がわかるもの
機械設備設置場所関連書類(設置場所ごとに各1部)①機械設備を設置する建物の外観写真、および設置場所の写真
②機械設備設置場所の平面図や、それを明示した配置図
PDF形式での提出を推奨
会社関連書類(各1部)①会社案内
②法令上必要な事業許可書、工場設置認可書またはその写し
PDF形式での提出を推奨
休日労働・時間外労働に関する協定届(36協定届)(各1部)休日労働・時間外労働に関する協定届の控え
旧様式の様式第9号の4(労働基準監督署の受理印があるもの)
・PDF形式での提出を推奨
・様式は厚生労働省の「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」ページよりダウンロード可
設備投資緊急支援事業に申請するときの必要書類一覧

助成事業が完了したら、速やかに完了報告書を提出する必要があります。完了報告書とは、事業の実施状況や経費の執行状況を報告する書類です。

あわせて、経理関係の書類も必要となります。例えば、見積書、契約書、仕様書、導入機械設備の写真、機械設備メーカー発行の保証書などが挙げられます。

事業者は助成金を受け取ったあと、事業化状況報告書を事業完了年度の翌年度から5年間、毎年提出しなければいけません。事業化状況報告書とは、事業の成果や設備の活用状況に関して公社に報告する書類です。

設備投資緊急支援事業の交付決定の取り消しについて

設備投資緊急支援事業の交付決定は、虚偽の申請や要件違反など、不正が認められた場合、取り消されることがあります。

交付決定の取消事由としては、申請内容と異なる設備を導入した場合や、不正な手段で助成金を受け取った場合、助成金を他の用途に使用した場合、申請後に申請資格を満たさなくなった場合などが挙げられます。また、暴力団関係者との関与や、風俗営業等の公序良俗に反する事業への関与が判明した場合も、交付決定が取り消されます。

助成金の交付決定が取り消された際に、すでに助成金が交付されている場合は返還を求められ、違約金が加算される場合もあります。また、不正の程度によっては、刑事罰が適用される可能性もあります。

設備投資緊急支援事業の交付決定を受けた後も、以下の点に注意する必要があります。

本事業の交付決定後、事業の実施状況や助成金の収支、帳簿書類、取得した機械設備などに関して、公社の職員による調査や報告を求められることがあります。

本事業の交付が決定して助成金を受けた場合、前述したように事業完了年度の翌年度から5年間、事業化状況報告書を毎年提出する義務があります。それとあわせて、助成事業によって相当の収益を得た場合は、収益の一部を納付する義務が生じます。納付額は助成金額を上限とし、所定の計算式に基づいて算出されます。

本事業の交付が決定した事業者は、助成事業に関する関係書類や帳簿類を、事業完了年度の翌年度から起算して10年を経過する日、または法定耐用年数を経過する日のいずれか早い日まで保存しなければいけません。

助成事業で購入した機械設備は、処分制限期間中は適切に管理し、保存する必要があります。処分制限期間内に目的外使用、譲渡、交換、貸付、担保提供、廃棄、移設などを行う場合は、事前に公社の承認を得る必要があります。また、財産を処分した場合は、残存簿価相当額をもとに算定した金額を公社に納付することが求められます。

本事業の交付が決定した場合、助成を受けた事業者の企業名、所在地、テーマ名、事業内容などが、公社のホームページなどで公表される場合があります。

設備投資緊急支援事業の採択率を上げるコツ

設備投資緊急支援事業に申請するのであれば、審査員の心を掴み、採択につなげたいものです。採択率を上げるには以下のポイントをおさえておきましょう。

設備投資緊急支援事業の採択率を上げるためには、審査の視点を意識した事業計画を策定することが重要です。公社が掲げる審査は4つあり、それぞれ以下のような視点で実施されます。

資格審査(一次審査)

資格審査は、設備投資緊急支援事業の申請資格を満たしているかを確認する一次審査です。「中小企業の定義に合致しているか」「時間外労働の上限規制の対象となる事業・業務を営んでいるか」「東京都内に事業所があり、2年以上事業を継続しているか」などがチェックされます。

これらの要件を満たしていない場合は、申請資格がないと判断され、その後の審査に進めません。募集要項をよく確認し、必要書類を漏れなく提出することが重要です。

経理審査(一次審査)

経理審査では、企業の財務状況を分析し、健全な経営状態であるか、助成事業を適切に遂行できる財務基盤があるかを審査します。具体的には、提出された確定申告などの財務諸表に基づき、安全性、収益性、成長性といった観点から評価が行われます。

例えば、倒産リスクはないか、適切な利益が出ているか、売上高や利益は継続的に伸びているかなどがチェックされます。財務状況に問題があると判断された場合、助成対象事業の実施が困難とみなされ、採択されない可能性があります。

事業計画審査(一次審査・二次審査)

設備投資緊急支援事業の事業計画審査は、一次審査と二次審査の両方で行われ、事業計画の内容を多角的に評価します。主な審査の視点は以下の表の通りです。

審査の視点内容
目的との適合性2024年問題対策として妥当か
優秀性技術や市場での優位性があるか
実現性計画の遂行能力や資金調達の見込みがあるか
成長・発展性将来的な事業拡大が期待できるか
計画の妥当性導入設備の必要性や規模が適切か
事業計画審査の視点

そのため、以下のポイントをおさえながら事業計画書を作成することが重要となります。

  1. 2024年問題との関連性を明確に説明する
  2. 自社の強みや独自性を具体的に示す
  3. 数値目標を含めた実現可能な計画を立てる
  4. 導入設備の詳細とその効果を具体的に記述する
  5. 事業の将来性や社会的意義についても言及する

これらの点に留意し、論理的かつ具体的な事業計画を作成することが、採択率を高める近道です。また、審査員が理解しやすいよう、図表やデータを効果的に活用することも大切です。

価格審査(二次審査)

価格審査は、設備投資緊急支援事業の二次審査で行われる項目の一つです。この審査では、申請する機械設備などの価格が、一般的な市場価格と比較して著しく高額になっていないかを確認します。

審査では、提出された見積書やカタログ、市場調査データなどを参考に、妥当な価格設定が行われているかを判断します。高額な設備や、市場価格との乖離が大きい場合は、採択率が下がる可能性があります。

設備投資緊急支援事業に限らず、補助金・助成金の審査では、事業者の熱意や事業内容の新規性・独創性も重要な要素となります。単に募集要項を満たすだけでなく、これらの要素を加えることで審査員の目にとまりやすくなるからです。

例えば、「なぜこの事業に取り組むのか」「なぜこの設備が必要なのか」「この設備導入によって地域社会にどう貢献できるのか」などについて、事業者の想いやビジョン、事業の独自性を具体的に示すことで、審査員に強い印象を与えることができます。

以下は、事業計画書に事業者の思いやオリジナリティを盛り込む具体的な方法の例です。

項目内容具体例
事業の背景や動機なぜその事業に取り組むことになったのか、きっかけや背景、これまでの経験などを具体的に記述する・長年、地域物流を支えてきたが、2024年問題による人手不足の深刻化を課題に感じ、省人化・自動化を実現する事業に取り組むことを決意した
・従業員の高齢化が進み、技術継承が課題となる中、2024年問題も重なり、若手人材の確保と育成、労働環境改善のためにも、最新鋭の設備投資が必要不可欠だと感じている
事業の独自性や差別化他の事業と比べて、どのような独自性や差別化ポイントがあるのか、具体的な事例を交えて説明する・長年培ってきたノウハウとAI技術を融合させ、地域特性に最適化された独自の配送ルートを開発し、他社にはない効率的な物流サービスを提供する
・単なる運送業ではなく、顧客のニーズに合わせた保管・梱包・ラベル貼りなどの付帯サービスを充実させることで、顧客満足度を高め、差別化を図る
地域貢献事業を通じて、地域社会にどのように貢献できるのか、具体的な目標値などを設定して説明する・新規雇用を創出し、若者や女性の雇用機会の拡大に貢献する(目標値:3年間で10名の新規雇用)
・地域の運送事業者と連携し、共同輸送体制を構築することで、物流の効率化と地域経済の活性化に貢献する
将来展望事業を通じて、将来的にどのような企業を目指していくのか、具体的なビジョンを明確に示す・10年後には、地域物流のリーディングカンパニーとして、地域社会の発展に貢献する企業を目指す
・事業を通じて得られたノウハウを活かし、他の事業者へのコンサルティング事業も展開し、業界全体の底上げを図りたい
熱意や意気込み事業に対する熱い想いや意気込みを、具体的なエピソードなどを交えて訴求する・従業員一丸となって、新技術の習得や業務プロセス改善に取り組んでおり、働き方改革にも積極的に取り組んでいる
・地域住民や行政とも積極的に連携し、2024年問題の解決に貢献できるよう、誠心誠意努力していく所存だ
事業者の思いやオリジナリティを盛り込む具体的な方法の例

これらの要素を盛り込むことで、事業計画書はより魅力のあるものとなり、審査員の評価にもつながりやすくなるでしょう。

採択率を高めたいときは、補助金・助成金の申請支援を行う専門家に相談するのもポイントです。専門家へ相談すると、事業計画の策定や申請書類の準備などをする時間も削減できるため、特に初めて助成金事業を利用する事業者におすすめです。

専門家を探すときは、その専門家が信頼できるかどうかが重要です。以下のポイントを参考にしながら良きパートナーを探してみてください。

  • 補助金・助成金の申請支援実績は豊富か
  • 業種や事業内容に精通しているか
  • 相談しやすい雰囲気を持っているか
  • 費用体系は明確か

なお、専門家には税理士や行政書士などがいますが、できれば中小企業診断士に依頼することをおすすめします。中小企業診断士は経営全般の豊富な知識から、事業の特徴や魅力を的確に見抜き、それを事業計画という具体的な形にできる専門家です。

上記のポイントをクリアした相性の良い中小企業診断士を見つけられると、採択率もぐっと上がるでしょう。

設備投資緊急支援事業と他の事業の違いと併願に関する注意点

公社には、設備投資緊急支援事業と似た助成金制度があります。それが「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」と「デジタルツール導入促進緊急支援事業」の2つです。

それぞれ以下のような違いがあります。

事業名概要対象業種助成対象経費
設備投資緊急支援事業「2024年問題」に対応するための機械設備の導入経費を一部助成運輸・物流、建設業など機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入費用
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業業種を問わず、経営課題解決や成長戦略の実現に資する機械設備の導入経費を一部助成業種不問機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入費用
デジタルツール導入促進緊急支援事業「2024年問題」に対応するためのデジタルツールの導入経費を一部助成建設業、運輸業デジタルツールの購入費用や初期設定・カスタマイズなどにかかる費用
「設備投資緊急支援事業」「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」「デジタルツール導入促進緊急支援事業」の違い

公社が実施している助成金制度は、基本的に併願申請ができません。そのため、どの助成金制度が自社に一番適しているか、よく見極めることが重要です。

例外的に、設備投資緊急支援事業と躍進的な事業推進のための設備投資支援事業については併願申請できますが、その際も各助成金制度の要件を満たしている必要があることに加え、助成対象期間や助成対象経費が重複しないように注意する必要があります。

設備投資緊急支援事業の申請チェックリスト

内容チェック
申請資格
令和6年4月から規制対象になる事業・業務を営んでいるか
時間外労働の上限規制の適用猶予期間に対象事業・業務を主として従事する従業員を雇用しているか
中小企業者または中小企業団体等であるか
時間外労働の上限規制の適用猶予期間に36協定届を提出できるか
基準日現在で、東京都内に登記簿上の本店または支店があるか
基準日現在で、都内事業所における常用の事業活動拠点としての事業継続が2年以上であるか
東京都に納税し、かつ税金などの滞納がないか
そのほか募集要項に記載されている要件を満たしているか
事業内容
働き方改革関連法の時間外労働の上限規制による人材不足などの対策に必要となる設備投資であるか
導入する設備が2024年問題への対策として直接的に貢献するものであるか
単なる機械設備の更新や、生産性向上に寄与しないものではないか
そのほか募集要項に記載されている事業要件を満たしているか
助成対象経費
助成対象期間内に契約、納品、支払いが完了する経費であるか
助成事業者が生産や役務の提供のために直接使用するものであるか
助成事業を遂行するために必要かつ必要最小限の経費であるか
消費税などの間接経費を除いているか
そのほか募集要項に記載されている対象経費の要件を満たしているか
必要書類
申請書一式(Excel形式とWord形式)は作成したか
直近3期分の確定申告書は用意したか
履歴事項全部証明書は用意したか
納税証明書は用意したか
積算根拠書類(見積書、カタログ、会社案内など)は用意したか
機械設備設置場所関連書類は用意したか
会社関連書類は用意したか
休日労働・時間外労働に関する協定届(36協定届)は用意したか
そのほか募集要項に記載されている必要書類は用意したか
その他
募集要項の内容をすべて確認したか
申請予約はしたか
電子申請システム「JGrants」のアカウントを取得したか
設備投資緊急支援事業の申請チェックリスト

設備投資緊急支援事業についてお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

設備投資緊急支援事業の申請は、複雑な手続きを伴います。判断に迷うまま進めると、申請期限に間に合わない、時間をかけて書類を作成したのに採択されない、などの可能性を高めてしまうでしょう。もし少しでも不安があれば、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

当社・株式会社中小企業経営支援事務所は、数多くの企業の補助金・助成金申請を支援してきた実績を持つ申請のエキスパートです。中小企業診断士と補助金・助成金申請のエキスパートである当社は、これまで多くの事業者の悩みに寄り添ってきました。

設備投資緊急支援事業の申請でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。事業計画書を作成から申請、その後の手続きまで、手厚くサポートいたします。

動画でもわかりやすく解説をしておりますので、あわせてご覧をいただければ幸いです。

株式会社中小企業経営支援事務所

〒162-0802

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