【最新情報】令和7年1月スタートの事業再構築補助金第13回公募を徹底解説!申請要件や流れ、採択率アップのポイント
事業再構築補助金は、新市場進出や事業・業種転換など、大胆な事業再構築に挑戦する中小企業を支援する補助金です。
この記事では、令和7年1月10日にスタートした事業再構築補助金第13回公募について、「公募要領(2025年1月10日版)」をもとに、申請要件や流れ、採択率アップのポイントなどを徹底解説します。
当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として、各補助金のトータルサポートを行っています。本補助金の内容や事業所計画の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。
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事業再構築補助金第13回が令和7年1月に公募開始
事業再構築補助金の第13回公募が、令和7年1月10日から開始されました。今回の公募が最後の新規応募申請受付となります。締め切りは令和7年3月26日18時です。
第13回公募では、ポストコロナ時代の経済社会に対応するために、新しい市場に進出したり、事業や業種を変えたり、事業を再編したりするなど、思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を支援します。それによって、中小企業等の競争力強化や生産性向上を図り、日本経済の構造転換を促すことが本補助金の目的です。
事業再構築補助金第13回の補助対象者
事業再構築補助金第13回の補助対象者は、中小企業者等(中小企業者および中小企業者以外の法人)と中堅企業等です。
①中小企業者
中小企業者とは、次の表に示す資本金・従業員数のいずれかを満たす会社または個人事業主を指します。
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
そのほかの業種(上記以外) | 3億円以下 | 300人以下 |
②中小企業者以外の法人
中小企業者以外の法人とは、中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)や、農業協同組合法にもとづき設立された農事組合法人農事組合法人、労働者協同組合法にもとづき設立された労働者協同組合などを指します。
③中堅企業等
中堅企業等は、「上記の①②に該当しない」「資本金の額または出資の総額が10億円未満」「資本金の額または出資の額が定められていない場合は従業員数2,000人以下」の3つを満たす法人を指します。
ただし、上記3つのカテゴリーのいずれかに当てはまっているとしても、以下の事業者は対象外となります。
- 経済産業省や中小企業庁から補助金等指定停止措置や指名停止措置を受けている事業者
- 補助金または給付金などにおいて過去に不正を行った事業者
- 公募開始日からさかのぼって直近5年以内に法令違反をした事業者
- 暴力団関係者
なお、中小企業等がリースを利用する場合、中小企業等とリース会社の共同申請が認められます。
事業再構築補助金第13回の各事業類型の詳細
事業再構築補助金にはいくつかの事業類型があり、各事業者はいずれかひとつに申請します(上乗せ措置については同時申請可能)。
第13回では、以下の事業類型が用意されています。
- 事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)
- 事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)
- 事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
- 上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置
- 上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
今回は、前回までにあった「事業類型(C):コロナ回復加速化枠(通常類型) 」と「事業類型(E):サプライチェーン強靱化枠」については用意されていないため注意しましょう。
各事業類型の概要、要件、補助金額・補助率、補助事業実施期間、補助対象経費を説明します。
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)
「事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型)」は、成長分野への進出や事業転換を目指す事業者を支援する基本的な枠組みです。
項目 | 内容 |
---|---|
概要 | ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者や、国内市場が縮小しているなど構造的な課題に直面している業種・業態の事業者を支援 |
要件 | 以下の要件を満たすこと(詳細後述) ・事業再構築要件 ・金融機関要件 ・付加価値額要件 ・給与総額増加要件と市場拡大要件、もしくは市場縮小要件 ・補助率等引上要件(補助金額・補助率の引き上げを受ける場合) |
補助金額 | ・従業員数20人以下:100万円~1,500万円(2,000万円) ・従業員数21~50人:100万円~3,000万円(4,000万円) ・従業員数51~100人:100万円~4,000万円(5,000万円) ・従業員数101人以上:100万円~6,000万円(7,000万円) ※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合 ※廃業を伴う場合は廃業費を最大2,000万円上乗せ |
補助率 | ・中小企業者等:1/2(2/3) ・中堅企業等:1/3(1/2) ※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12カ月以内 (補助金交付候補者の採択発表日から14カ月後の日まで) |
補助対象経費 | ・建物費 ・機械装置費やシステム構築費(リース料含む) ・技術導入費 ・専門家経費 ・運搬費 ・クラウドサービス利用費 ・外注費 ・知的財産権等関連経費 ・広告宣伝費や販売促進費 ・研修費 ・廃業費(市場縮小要件を満たして申請する場合のみ) |
本類型においては、短期での大規模な賃上げ(事業完了時点での事業場内最低賃金+45円および給与支給総額+6.0%達成)を行う場合は補助金額・補助率が引き上げられます。また、市場縮小要件を満たして申請し、既存事業の廃止を伴う場合は、廃業費として最大2,000万円が上乗せされます。
事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)
「事業類型(B):成長分野進出枠(GX進出類型)」は、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に取り組む事業者を支援する枠組みです。
項目 | 内容 |
---|---|
概要 | ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みをこれから行う事業者を支援 |
要件 | 以下の要件を満たすこと(詳細後述) ・事業再構築要件 ・金融機関要件 ・付加価値額要件 ・給与総額増加要件 ・GX進出要件 ・補助率等引上要件(補助金額・補助率の引き上げを受ける場合) |
補助金額 | 中小企業者等 ・従業員数20人以下:100万円~3,000万円(4,000万円) ・従業員数21~50人:100万円~5,000万円(6,000万円) ・従業員数51~100人:100万円~7,000万円(8,000万円) ・従業員数101人以上:100万円~8,000万円(1億円) 中堅企業等・100万円~1億円(1.5億円) ※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
補助率 | 中小企業者等:1/2(2/3) 中堅企業等:1/3(1/2) ※カッコ内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
補助事業実施期間 | 交付決定日~14カ月以内 (補助金交付候補者の採択発表日から16カ月後の日まで) |
補助対象経費 | ・建物費 ・機械装置費やシステム構築費(リース料含む) ・技術導入費 ・専門家経費 ・運搬費 ・クラウドサービス利用費 ・外注費 ・知的財産権等関連経費 ・広告宣伝費や販売促進費 ・研修費 |
本類型においても、短期での大規模な賃上げ(事業完了時点での事業場内最低賃金+45円および給与支給総額+6.0%達成)を行う場合は補助金額・補助率が引き上げられます。
なお、過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている事業者、または交付決定を受けている事業者も、一定の条件を満たせば本類型に申請できます。ただし、以下の点に注意が必要です。
- グリーン成長枠または成長分野進出枠(GX進出類型)での採択歴がある事業者は申請不可
- 支援を受けられる回数は2回まで
- 既存の事業再構築とは異なる事業内容であること【別事業要件】
- 既存の事業再構築を行いながら事業再構築に取り組めるだけの体制や資金力があること【能力評価要件】
事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
「事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」は、コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援する枠組みです。
項目 | 内容 |
---|---|
類型の説明 | コロナ終息した現段階で、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者を支援 |
要件 | 以下の要件を満たすこと(詳細後述) ・事業再構築要件 ・金融機関要件 ・付加価値額要件 ・コロナ借換要件(任意) ・最低賃金要件 |
補助金額 | ・従業員数5人以下:100万円~500万円 ・従業員数6~20人:100万円~1,000万円 ・従業員数21人以上:100万円~1,500万円 |
補助率 | ・中小企業者等:3/4(※一部2/3) ・中堅企業等:2/3(※一部1/2) ※コロナ借換要件を満たさない場合 |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12カ月以内 (補助金交付候補者の採択発表日から14カ月後の日まで) |
補助対象経費 | ・建物費 ・機械装置費やシステム構築費(リース料含む) ・技術導入費 ・専門家経費 ・運搬費 ・クラウドサービス利用費 ・外注費 ・知的財産権等関連経費 ・広告宣伝費や販売促進費 ・研修費 |
本類型の特徴は、最低賃金の影響を受ける事業者への手厚い支援として、中小企業者等に対して最大3/4という高い補助率を設定している点です。
上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置
「上乗せ措置(F):卒業促進上乗せ措置」は、事業類型(A)~(D)に申請して事業を実施し、中小企業等から中堅企業等へと成長する事業者に対して、追加で支援を行う制度です。
項目 | 内容 |
---|---|
類型の説明 | 各事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等になる事業者に対する上乗せ支援 |
要件 | ・事業類型(A)~(D)のいずれかに申請すること ・卒業要件を満たすこと(詳細後述) |
補助金額 | 各事業類型(A)~(D)の補助金額上限に準じる |
補助率 | 中小企業者等:1/2 中堅企業等:1/3 |
補助事業実施期間 | 交付決定日から各事業類型(A)~(D)の事業計画期間終了まで |
補助対象経費 | 各事業類型(A)~(D)の補助対象経費に準じる ※本上乗せ措置の補助対象経費は、各事業類型(A)~(D)の補助対象経費と明確に分ける必要あり ※同一の建物や設備などを、本上乗せ措置と各事業類型(A)~(D)との両方で対象経費にはできない ※事業類型(A)に申請する場合でも、廃業費は本上乗せ措置の対象経費にはできない |
なお、本上乗せ措置は各事業類型(A)~(D)の申請と同時に行う必要があり、上乗せ措置(G)との両方への申請はできません。また、各事業類型(A)~(D)の事業計画が変更または実施困難となった場合は、本上乗せ措置も採択取り消し、または交付決定取り消しとなります。
上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
「上乗せ措置(G):中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」は、事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援制度です。
項目 | 内容 |
---|---|
類型の説明 | 各事業類型(A)~(D)の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援 |
要件 | ・事業類型(A)~(D)のいずれかに申請すること ・賃金引上要件、従業員増員要件をいずれも満たすこと(詳細後述) |
補助金額 | 100万円~3,000万円 |
補助率 | 中小企業者等:1/2 中堅企業等:1/3 |
補助事業実施期間 | 交付決定日から各事業類型(A)~(D)の事業計画期間終了まで |
補助対象経費 | 各事業類型(A)~(D)の補助対象経費に準じる ※本上乗せ措置の補助対象経費は、各事業類型(A)~(D)の補助対象経費と明確に分ける必要あり ※同一の建物や設備などを、本上乗せ措置と各事業類型(A)~(D)との両方で対象経費にはできない ※事業類型(A)に申請する場合でも、廃業費は本上乗せ措置の対象経費にはできない |
なお、本上乗せ措置も、希望する場合は各事業類型(A)~(D)の申請と同時に行わなければいけません。また、上乗せ措置(F)との両方への申請は不可、各事業類型(A)~(D)の事業計画が変更または実施困難となった場合は採択や交付決定が取り消しとなるルールがあります。
事業再構築補助金第13回における各要件の詳細
事業再構築補助金第13回に申請するときは、各事業類型で規定されている要件をクリアしなければいけません。各要件の詳細について解説します。
事業再構築要件
事業再構築要件とは、支援対象となる事業再構築を定義づける要件です。すべての事業類型に設けられているため、本補助金に申請するときは、どの事業類型であれ、以下の6類型のいずれかの要件を満たす事業再構築計画を立てる必要があります。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
新市場進出 | 以下を満たすこと ・新たな製品・商品・サービスの提供、または提供方法の相当程度の変更 ・新たな市場への進出 ・新規事業の売上高が総売上高の10%以上(付加価値額の場合15%以上) |
事業転換 | 以下を満たすこと ・新たな製品、商品、サービスの提供 ・新たな市場への進出 ・主要な業種の中分類レベルでの変更 |
業種転換 | 以下を満たすこと ・新たな製品、商品、サービスの提供 ・新たな市場への進出 ・主要な業種の大分類レベルでの変更 |
事業再編 | 会社法上の組織再編行為を行い、新たな事業形態のもとで新市場進出・事業転換・業種転換のいずれかを実施すること |
国内回帰 | 製造方法が先進的な国内生産拠点の整備をすること ※サプライチェーン強靱化枠のみ選択可 |
地域サプライチェーン維持・強靱化 | 地域の重要製品の製造拠点を整備すること ※サプライチェーン強靱化枠のみ選択可 |
申請するときは、事業再構築の類型の詳細がまとめられている「事業再構築指針」や「事業再構築指針の手引き」をよく確認した上で、これらの類型に該当する事業計画を策定することが必要です。
なお、第13回公募ではサプライチェーン強靱化枠の公募はないため、国内回帰と地域サプライチェーン維持・強靱化の選択はできません。
金融機関要件
金融機関とは、事業計画作成を、金融機関等や認定経営革新等支援機関と連携しながら行うことを義務づける要件です。本要件もすべての事業類型に設けられているため、本補助金に申請するときは、どの事業類型であっても以下の点を満たす必要があります。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
事業計画の策定に関する要件 | ・金融機関等または認定経営革新等支援機関と相談の上で事業計画を作成し、確認を受けること ・「金融機関による確認書」または「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出すること |
金融機関からの資金提供がある場合の要件 | ・資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けること ・必ず「金融機関による確認書」を提出すること |
自己資金のみで実施する場合の要件 | 「認定経営革新等支援機関による確認書」を提出すること |
複数の金融機関から資金提供を受ける場合の要件 | 資金提供元のうち、任意の1者からの「金融機関による確認書」を提出すること |
本要件は、事業計画の実現可能性や資金調達の確実性を確保する目的で設定されており、補助事業の確実な実施のために重要な役割を果たします。
なお、金融機関等とは銀行・信金・ファンドなどのこと、認定経営革新等支援機関とは中小企業の支援に長けていると国によって認められた機関のことを指します。認定経営革新等支援機関には中小企業診断士や税理士、公認会計士などさまざまな立場の専門家がいます。専用の検索システムで簡単に探せるので、この機会に探してみましょう。
付加価値額要件
付加価値額要件とは、事業再構築後の成果目標として、付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)の成長を求める要件です。
付加価値額要件も、いずれの事業類型に設けられています。ただし、各事業類型において具体的な数字が異なります。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
成長分野進出枠(通常類型)での要件 | 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること |
成長分野進出枠(GX進出類型)での要件 | 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)での要件 | 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること |
本要件は、単なる事業の転換だけでなく、生産性の向上や事業の成長性を重視する本補助金の趣旨を反映したものといえます。申請時には、具体的な根拠に基づいた成長計画の策定が求められます。
なお、成果目標の比較基準となる付加価値額は、補助事業終了月の属する(申請者における)決算年度の付加価値額とされています。
給与総額増加要件
給与総額増加要件とは、長期的な給与水準の向上を通じて、従業員の待遇改善と企業の持続的成長を目指すものです。
事業類型(A)では、「給与総額増加要件と市場拡大要件」、もしくは「市場縮小要件」、いずれかを選択して満たす必要があります。また、本要件は事業類型(B)で必須となっています。
以下、主な要件です。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
事業計画に関する要件 | 補助事業実施期間終了時点を含む事業年度の給与支給総額を基準とし、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中、給与支給総額を年平均成長率で2.0%以上増加させる計画を作成・実行すること |
申請書類に関する要件 | 応募時に賃金引上げ計画の誓約書を提出すること |
根拠資料に関する要件 | 法人の場合は給与支給総額の増加を証明する「法人事業概況説明書」を提出すること(個人の場合は所得税青色申告決算書を提出) |
なお、本要件について正当な理由なく達成できなかった場合には、事業者名が公表されることになります。
市場拡大要件
市場拡大要件は、事業類型(A)の申請において、給与総額増加要件を満たす際にクリアしなければならない要件です。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
市場規模に関する要件 | 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模(製造品出荷額、売上高など)が10%以上拡大する業種・業態に属していること |
業種・業態に関する要件 | 日本標準産業分類の小分類以下、またはそれと同程度の粒度の業種・業態であること |
期間に関する要件 | 過去10年の場合は、コロナ前の2019年までを基準とすること(コロナ後の期間を含む場合は、コロナの影響を受けていないと考えられる場合のみ可) |
根拠資料に関する要件 | 事務局指定の業種・業態以外の場合は、10%以上の市場拡大を証明する信頼性の高いデータ・統計などを提出すること |
なお、「2019年だけ極端に値が上昇している」「2009年と比較すると2019年は10%以上拡大しているが、近年は下降トレンドにある」などの場合は対象となりません。
市場縮小要件
市場縮小要件は、事業類型(A)における申請要件の一つです。この要件をクリアするには、以下を満たす必要があります。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
市場規模に関する要件 | 現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること |
業種・業態に関する要件 | 日本標準産業分類の小分類以下、またはそれと同程度の粒度の業種・業態であること |
期間に関する要件 | 過去10年の場合は、コロナ前の2019年までを基準とすること(コロナ後の期間を含む場合は、コロナの影響を受けていないと考えられる場合のみ可) |
基幹大企業の撤退を理由とする場合の要件 | 地域における基幹大企業が撤退すると、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施している、かつ当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めていること |
根拠資料に関する要件 | 事務局指定の業種・業態以外の場合は、市場規模の10%以上の縮小を証明する信頼性の高いデータ・統計などを提出すること |
なお、2019年だけ極端に値が減少しているなど、下降傾向にあると認められない場合は対象となりません。
補助率引上要件
補助率引上要件は、事業類型(A)または(B)に申請する事業者が、より高い補助率や補助金額の適用を受けるための要件です。短期的な賃金の引き上げを通じて、従業員の待遇改善を図ることを目的としています。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
賃金引上げに関する要件 | 補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上引き上げるとともに、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げること |
根拠資料に関する要件 | 応募時に上記を証明する「大規模な賃上げに取り組むための計画書」を提出すること |
補助金額・補助率の引き上げを受ける事業者は、実績報告後の初回の事業化状況報告において要件の達成状況が確認されます。要件未達であった場合は、補助金額・補助率引き上げ分の金額について、返還が必要です。
なお、事業類型(A)(市場縮小要件を満たして申請する場合を除く)、および事業類型(B)に申請する場合は、事業終了後3~5年の事業計画期間に給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させることができなかった場合も、引き上げ分の返還が必要となります。
GX進出要件
GX進出要件は、事業類型(B)成長分野進出枠の申請に必要な要件です。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
対象分野に関する要件 | 令和3年6月18日に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みであること |
根拠資料に関する要件 | 過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている、または交付決定を受けているときに申請する場合は、「別事業要件及び能力評価要件の説明書」を提出すること |
コロナ借換要件
コロナ借換要件は、事業類型(D)において、より高い補助率を受けるための任意要件です。当てはまる場合はぜひ活用しましょう。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
借換時期に関する要件 | 応募申請時において、コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること |
対象制度に関する要件 | 以下の制度による借換であること ・伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)※自治体が実施している制度については、国の全国統一制度「伴走支援型特別保証」に対応した制度であれば対象 ・コロナ経営改善サポート保証 ・新型コロナウイルス感染症特別貸付 ・生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付 ・新型コロナ対策資本性劣後ローン ・生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン ・[新型コロナ関連]マル経融資 ・[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付 ・[新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金 等 |
根拠資料に関する要件 | 借換先の金融機関等による「コロナ借換要件・加点確認書」を提出すること |
留意点として、過去に上記制度を利用した実績があっても、完済している場合は対象外となります。
最低賃金要件
最低賃金要件は、事業類型(D)に申請する際に必須の要件です。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
従業員数に関する要件 | 2023年10月から2024年9月までの間で、3カ月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が、全従業員数の10%以上いること ※全従業員数は、2023年10月から2024年9月までの間の対象月とする3カ月それぞれの時点の常勤従業員数を基準とする ※常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」を指す |
算出方法に関する要件 | 要件を満たす従業員数は、小数点以下を繰り上げて算出すること (例)全従業員数25人の場合、25×10%=2.5人⇒要件を満たす従業員が3人以上必要 |
根拠資料に関する要件 | 事業場内最低賃金が最低賃金+50円以内であるかを証明するため、「賃金台帳」を提出すること |
基準期間に関する要件 | 最低賃金額については、対象月とした期間の最低賃金を基準とする。要参照「地域別最低賃金額丨厚生労働省」 |
卒業要件
卒業要件は、上乗せ措置(F)を申請する際に必要となる要件です。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
法人規模に関する要件 | 本事業を通して以下の規模に成長すること ・中小企業(みなし中堅企業を含む)の場合⇒特定事業者、中堅企業または大企業 ・特定事業者の場合⇒中堅企業または大企業 ・中堅企業の場合⇒大企業に成長 |
成長条件に関する要件 | ・応募申請時点よりも資本金または従業員数が増加していること ・資本金および従業員数の両方が、基準以上となること。みなし中堅企業、みなし大企業になることでは要件を満たさない |
計画書に関する要件 | 卒業計画書に応募申請時点での従業員数・資本金、および補助事業実施期間終了後3~5年までにどのように従業員数・資本金を伸ばしていく予定かを記載すること |
賃金引上要件
賃金引上要件は、上乗せ措置(G)を申請する際に満たすべき要件です。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
賃金引き上げに関する要件 | 各事業類型(A)~(D)の補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること ※補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度の終了月の事業場内最低賃金を基準とする。ただし、当該事業場内最低賃金が申請時点の事業場内最低賃金を下回る場合には、申請時点の事業場内最低賃金を基準とする |
計画表明に関する要件 | 申請時点で、申請要件を満たす賃金引き上げ計画を従業員などに表明し、「賃金引上げ計画の表明書」に事業場内最低賃金で働く従業員から署名、押印をもらうこと |
提出書類に関する要件 | 「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」を提出すること |
従業員増員要件
従業員増員要件は、上乗せ措置(G)を申請する際に満たすべき要件の一つです。
主な要件 | 詳細 |
---|---|
従業員数に関する要件 | 各事業類型(A)~(D)の補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させること ※補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度の終了時点の常勤従業員数を基準とする。ただし、当該常勤従業員数が申請時点の常勤従業員数を下回る場合には、申請時点の常勤従業員数を基準とする ※常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」を指す |
算出方法に関する要件 | 増員する必要がある従業員数は、小数点以下を繰り上げて算出すること。ただし、最低でも事業計画期間×1人以上の増員が必要 |
計画書に関する要件 | 「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」に従業員を増加させる計画を記載して提出すること |
事業再構築補助金第13回の補助対象経費の詳細
事業再構築補助金第13回における補助対象経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資を含むもので、本事業の対象として明確に区分できるものでなければいけません。
主な対象経費は以下の通りです。
経費区分 | 内容 |
---|---|
建物費 | 事務所・生産施設といった建物の建設・改修、撤去、原状回復など |
機械装置・システム構築費 | 機械装置、工具・器具の購入、専用ソフトウェア導入など |
技術導入費 | 知的財産権などの導入に要する経費 |
専門家経費 | 専門家の技術指導や助言などに要する経費(1日上限額あり) |
運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料など |
クラウドサービス利用費 | 補助事業専用のクラウドサービス利用料 |
外注費 | 加工や設計などの一部外注費用 |
知的財産権等関連経費 | 特許権などの知的財産権取得関連費用 |
広告宣伝・販売促進費 | 広告作成、展示会出展、市場調査などの費用 |
研修費 | 事業遂行に必要な教育訓練・講座受講費 |
廃業費 | 既存事業の廃止に必要な諸経費(一部要件あり) |
この中で特に気をつけなければいけないのが建物費です。建物費の中でも新築する場合は、改装をしたり、借りたりするのではなく新築をしなければ事業を行えない合理的な理由を説明しなければならないため、ほかの対象経費よりも審査のハードルが高くなります。
また、以下のような経費は補助対象外です。
- 既存事業に活用する経費
- 事務所の家賃や光熱水費
- フランチャイズ加盟料
- 一般的な通信費
- 汎用品(パソコンやプリンタなど)の購入費
- 消耗品費
- 人件費や旅費
- 公租公課
- 各種保険料
加えて、交付決定前に発注・契約したものは、いかなる理由でも補助対象外となります。補助事業実施期間内に、発注、納入、検収、支払いまでをすべて完了させなければいけません。
事業再構築補助金第13回の補助対象外事業
事業再構築補助金第13回では、以下のような事業は補助対象外となります。
- 事業再構築の大半を他社に外注・委託し、企画だけを行う事業
- グループ会社がすでに実施している事業など、容易に実施可能な事業
- 不動産賃貸、駐車場経営、暗号資産マイニングなど、実質的な労働を伴わない事業や資産運用的性格の強い事業
- 会員制ビジネスで会員募集・入会が公に行われていない事業
- 建築・購入した施設・設備を特定の第三者に長期間賃貸する事業
- 農業を行う事業者が単に別の作物を作るなど、新たな事業が1次産業である事業
- 主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させる事業
- 公序良俗に反する事業や法令違反の恐れがある事業
- 風俗営業などの規制対象となる事業
- 暴力団関係者による事業
- 国庫や公的制度からの二重受給となる事業
また、同一法人・事業者による複数申請や、他の法人・事業者と同一または類似内容の事業も対象外となります。さらに、中小企業生産性革命推進事業と同一の補助対象を含む事業や、申請時に虚偽の内容を含む事業も対象外です。
事業再構築補助金第13回 申請から補助金受け取り後までの大まかな流れ
事業再構築補助金第13回の公募から補助金受け取り後までの大まかな流れは、以下のとおりです。
- 公募・申請段階
令和7年1月10日から公募が開始され、令和7年3月26日18時までが応募期限となります。申請受け付けは電子申請システムからのみです。システム利用には、GビズIDプライムアカウントが必要となります - 採択審査・通知
令和7年6月下旬~7月上旬頃に採択結果が通知されます。採択された案件については、事業者名や事業計画名、事業計画書の概要、認定経営革新等支援機関の名称などが公表されます - 交付申請
採択後、補助対象経費を精査して補助金の交付申請手続きを行います。この段階で、計上された経費が補助対象外と判断された場合、交付決定額が減額または全額対象外となる可能性があります - 交付決定
事務局による審査を経て交付決定がなされます。これ以降に発生する経費が補助対象となります - 補助事業実施
交付決定後、事業計画に基づいて補助事業を実施します。事業類型により12カ月または14カ月以内に完了する必要があります - 実績報告
補助事業完了後30日を経過した日、または補助事業完了期限日のいずれか早い日までに、実績報告書を提出します - 確定検査・交付額確定
実績報告を受けて確定検査が行われ、補助金額が確定します - 補助金の支払い
原則として精算払いとなります。その後、事業終了後5年間は毎年の事業化状況報告が必要となります
なお、補助事業の進捗状況確認のため、実地検査が入る場合があります。また、会計検査院等による抜き打ちの実地検査も想定されます。
事業再構築補助金第13回における必要書類
事業再構築補助金第13回では、申請時に多くの書類提出が必要となります。主な提出書類は以下のとおりです。
書類名 | 備考 |
---|---|
事業計画書 | A4サイズ15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は10ページ以内) |
金融機関・認定経営革新等支援機関による確認書 | 金融機関から資金提供を受ける場合は金融機関による確認書が必須 |
決算書 | 直近2年間の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表 |
ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報 | PDF出力したものを提出 |
従業員数を示す書類 | 労働者名簿の写し |
固定資産台帳 | – |
収益事業を行っていることを説明する書類 | 法人の場合:直近の確定申告書別表一および法人事業概況説明書の控え 個人事業主の場合:直近の確定申告書第一表および所得税青色申告決算書の控え(白色申告の場合は直近の確定申告書第一表および収支内訳書の控え) |
建物の新築が必要であることを説明する書類 | 建物の新築費用を計上する場合のみ |
このほかに、申請する事業類型や上乗せ措置に応じて追加の書類提出が必要です。例えば、GX進出類型ではGX進出計画書、最低賃金類型では賃金台帳の写しなどが求められます。
また、リース会社との共同申請や複数事業者での連携申請、加点を希望する場合は、それぞれ定められた追加書類の提出が必要となります。
なお、申請するときはすべての書類を電子申請システムで提出する必要があり、ファイル名については指定されたものにすることが求められます。書類の不備や不足があると審査対象外となる可能性があるため、公募要領を熟読し、漏れのないよう準備することが重要です。
事業再構築補助金第13回における事業計画作成のポイント
事業再構築補助金第13回における事業計画作成のポイントを紹介します。
補助事業の具体的な取り組み内容について
事業計画作成における補助事業の具体的な取り組み内容について、以下の4つの観点から記載が必要です。
記載項目 | 必要な内容 |
---|---|
事業再構築の概要 | 1ページ目で、既存製品と新製品、既存市場と新市場、既存事業と新規事業の違いを具体的に記載。事業再構築の定義に合致するか審査の対象となる重要な部分となる |
事業内容の詳細 | 2ページ目以降に、現状分析(強み・弱み・機会・脅威)、事業環境、事業再構築の必要性、具体的な実施内容(設備投資計画など)を記載。投資スケジュールも可能な限り詳細に |
差別化戦略 | 他社との差別化方法や競争力強化の具体的な実現方法、実施体制などを記載。産業雇用安定助成金との併給を希望する場合は、採用予定者の情報も記載する |
従業員への配慮 | 既存事業の縮小・廃止、省人化により従業員の解雇を伴う場合は、再就職支援計画など従業員への適切な配慮を記載 |
連携事業の場合の説明 | 複数事業者での連携事業の場合は、各事業者の取り組み内容や役割などを具体的に記載 |
事業計画書は申請者自身が作成する必要があり、外部へ作成を委託することはできません。また、1ページ目の記載内容で事業再構築の要件を満たすか判断されるため、特に重要な部分となります。
将来の展望について
将来の展望について、事業計画書には以下の内容を記載する必要があります。
記載項目 | 必要な内容 |
---|---|
市場分析 | 本事業の成果が寄与する具体的なユーザー、マーケット、市場規模について記載。成果の優位性や収益性、課題やリスクとその解決方法を説明する |
事業化見込み | 事業化見込みとして、事業化の目標時期、売上規模、量産化時の製品などの価格を記載 |
なお、内閣府では、知財が企業の価値創造メカニズムにおいて果たす役割を的確に評価して経営をデザインするためのツール「経営デザインシート」とその活用事例を公表しています(参照:経営をデザインする丨首相官邸)。事業計画の作成にあたっては、このツールを必要に応じて活用しましょう。
事業計画書における将来の展望は、事業の実現可能性や市場性を判断する重要な要素です。市場分析では客観的なデータに基づく具体的な記述が求められ、事業化見込みについては実現性の高い計画を示す必要があります。説得力のある内容とするため、図表なども効果的に活用しましょう。
本事業で取得する主な資産について
事業計画書には、本事業で取得する主な資産も記載する必要があります。
記載項目 | 必要な内容 |
---|---|
対象資産の詳細 | 単価50万円(税抜き)以上の建物、機械装置・システムなどの名称、分類、取得予定価格などを記載する ※単価500万円(税抜き)以上の機械装置は、機械の種類が具体的にわかる名称を記載 |
これらの資産は、補助事業終了後も適切な管理が求められます。特に、処分制限財産(単価50万円以上の機械などの財産や効用の増加した財産)は、処分制限期間内に取得財産を処分(補助金の交付目的に反する使用、譲渡、交換、貸付け、担保に供する処分、廃棄など)しようとする場合、事前に事務局の承認を受ける必要があります。
また、補助事業により取得した資産は、原則として専ら補助事業に使用される必要があり、既存事業など、補助事業以外で用いた場合、目的外使用と判断され、残存簿価相当額などを国庫に返納する必要がある点にも注意が必要です。
収益計画について
収益計画については、事業計画書に以下の内容を具体的に記載する必要があります。
記載項目 | 必要な内容 |
---|---|
実施体制 | 事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等を具体的に記載 |
収益計画の算出根拠 | 収益計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」(事業類型(A)(B)の場合)の算出根拠を記載 |
収益計画は、補助事業の実現可能性を判断する重要な要素となります。実施体制については、人員配置や役割分担、外部協力者との連携体制などを具体的に示す必要があります。スケジュールは、設備投資や人材採用、販売開始時期などの主要なマイルストーンを明確にしましょう。
資金調達計画では、補助金以外の資金調達方法(自己資金、金融機関からの借入など)も含めて記載します。収益計画の数値については、市場分析や競合状況などを踏まえた現実的な予測にもとづく必要があり、その算出根拠を明確に示すことが求められます。
なお、この計画に基づく達成状況は、補助事業終了後も毎年の事業化状況報告などで確認されるため、確実に実行可能な計画を立てることが重要です。
事業再構築補助金第13回において事業者が果たすべき義務
事業再構築補助金第13回においては、事業者に以下のような義務が課せられます。これらの義務に違反した場合、補助金の交付取消や返還、不正受給の場合の罰則適用などの措置が取られる可能性があります。
- 事務局主催の説明会に参加する
補助金交付候補者として採択された事業者は、事務局が実施する説明会に参加する必要があります。不参加の場合、採択が無効となります - 経費配分や内容などを変更する場合は事前承認を得る
応募申請時に計上していない経費については、交付申請時に新たに計上することは原則認められていません。補助事業の経費配分や内容を変更する場合、事業の中止・廃止、他者への承継を行う場合は、事前に事務局の承認を得る必要があります - 補助事業は申請する事業者自身が実施する
補助事業は採択された事業者自身が実施し、取得した資産の所有権も事業者が持つ必要があります。子会社などによる実施は認められません - 事業完了後は実績報告を行う
補助事業完了後は、完了した日から30日を経過した日、または完了期限日のいずれか早い日までに、実績報告書を提出する必要があります - 事業完了後は事業化状況報告を行う
補助事業完了年度の終了後5年間、毎年の事業化状況を報告する必要があります。未報告や虚偽報告の場合、補助金の返還などが求められます - 収益納付をする
事業による収益が得られた場合、補助金額を上限として収益納付が必要となります - 財産処分をするときは事前承認を得る
単価50万円以上の機械などの財産、または効用の増加した財産を、処分制限期間内に処分するときは事前承認が必要です。不適切な処分の場合、補助金の返還が必要となります - 証拠書類を保管する
補助事業に関する証拠書類は、事業終了後5年間保管する必要があります
このほか、本事業の遂行や収支の状況について、事務局から聞かれたときは速やかに報告しなければならないなどがあります。
事業再構築補助金第13回と新事業進出補助金の違い
中小企業庁では、2024年12月に公表した「令和6年度の中小企業・小規模事業者向け補正予算案」で、事業再構築補助金の後身となる「中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)」を新設しています。場合によっては、新事業進出補助金に応募したほうがよい場合もありますので、比較検討することをおすすめします。
以下は、特に大きな違いをまとめた表です。
項目 | 事業再構築補助金第13回 | 新事業進出補助金 | |||
事業類型(A):成長分野進出枠(通常類型) | 事業類型(B):成長分野進出枠(GX類型) | 事業類型(D):コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | |||
補助上限額 | 5人以下 | 1,500(2,000)万円 | 3,000(4,000)万円 | 500万円 | 2,500(3,000)万円 |
6~20人 | 1,500(2,000)万円 | 3,000(4,000)万円 | 1,000万円 | 2,500(3,000)万円 | |
21~50人 | 3,000(4,000)万円 | 5,000(6,000)万円 | 1,500万円 | 4,000(5,000)万円 | |
51~100人 | 4,000(5,000)万円 | 7,000(8,000)万円 | 1,500万円 | 5,500(7,000)万円 | |
101人以上 | 6,000(7,000)万円 | 8,000万(1億)円 | 1,500万円 | 7,000(9,000)万円 | |
中堅企業 | 中小企業者等と同じ | 1(1.5)億円 | 中小企業者等と同じ | ー | |
下限額 | 100万円 | 750万円 | |||
補助率 | 中小企業者等:1/2(2/3) 中堅企業等:1/3(1/2) | 中小企業者等:1/2(2/3) 中堅企業等:1/3(1/2) | 中小企業者等:3/4 中堅企業等:2/3 ※コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない場合 中小企業者等:2/3 中堅企業等:1/2 | 1/2 | |
上乗せ措置 | あり(卒業促進上乗せ措置・中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置) | なし | |||
申請経費 | 構築費:対象外 廃業費:対象 | 構築物費:対象 廃業費(未発表) | |||
収益納付 | あり | なし |
例えば、事業再構築補助金第13回と新事業進出補助金の補助上限額を比較すると、事業類型(B)のほうが新事業進出補助金よりも高くなっています。そのため、GX投資を検討している場合は、事業再構築補助金第13回に応募するのがよいでしょう。ただし、補助率も見た上で判断することをおすすめします。
一方、新事業進出補助金は、事業再構築補助金第13回と異なり収益納付がありません。そのため、アプリの開発などで利益が突き抜けるケースがある情報通信業、インバウンド需要などで利益が一気に出る可能性のある宿泊業など、大きな収益が見込まれる事業を営む場合は新事業進出補助金のほうが向いているでしょう。ただし、新事業進出補助金を待っている間に、ビジネスチャンスを失ってしまわないかも考慮することが大切です。
新事業進出補助金については、下記記事で詳しく解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。
事業再構築補助金第13回の採択率を上げるコツ
事業再構築補助金第13回の採択率を上げるためには、以下のようなポイントをおさえることが重要です。
公募要領の内容を熟読する
事業再構築補助金の公募要領は、事業計画書を作成する上で重要な情報源です。公募要領には、補助金の目的、対象となる事業、申請資格、補助金額、申請方法などが詳細に記載されています。公募要領の内容を熟読することで、事業計画書を作成する際のポイントを把握できます。
また、公募要領に単に書いてある内容を理解するだけでなく、その背景にある政策意図や社会的なニーズを汲み取ることも重要です。事業再構築補助金は、ポストコロナ時代を生き抜くための事業再構築を支援することを目的としています。そのため、事業計画書には、現状を的確に分析し、なぜ新たな事業再構築が必要なのかを論理的に説明した内容を記載する必要があります。
審査項目・加点項目を把握する
本補助金では、交付候補者の選考に際して、書面審査および場合によって口頭審査が行われます。それぞれの審査の観点を把握することも、採択率を上げる重要な要素です。
書面審査(審査項目・加点項目)
事業再構築補助金第13回における書面審査の主な審査項目は以下の通りです。
審査の観点 | 主なポイント |
---|---|
補助対象事業の適格性 | ・当該事業は補助対象事業の要件を満たしているか ・当該事業は事業再構築指針と整合しているか |
新規事業の有望度 | ・継続的な売上や利益を確保できる規模を有しているか ・当該事業で取り組む新規事業は、自社にとって参入可能な事業か ・競合との差別化戦略は図られているか |
補助対象事業の実現可能性 | ・当該事業の事業化について、中長期のスパンでの課題検証ができているか。また、スケジュールや課題の解決方法は明確かつ妥当か ・補助事業を遂行できると期待可能な財務状況になっているか。金融機関等からの資金調達は見込めるか ・実施体制(人材や事務処理能力など)は充実しているか |
公的補助の必要性 | ・補助事業としての費用対効果は高いか ・地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献できる事業か ・感染症などの危機に強い事業か ・自社単独で容易に実現できるなど、補助なしでも実施可能な事業になっていないか |
政策点 | ・日本経済の構造転換の促進に資する事業か ・日本の経済成長を牽引し得る事業か ・グローバル市場でもトップになり得る潜在性がある事業か ・雇用の創出や地域の経済成長を牽引することが期待できる事業か |
上記以外にも、事業類型(B)では「グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する事業か」、上乗せ措置(F)では「事業再構築の実施による売上高や付加価値額の継続的増加は妥当か」など、各事業類型ごとの観点もあります。
また、以下のような取り組みをすると加点対象となります。
- コロナ借換保証等での既往債務借換実施
- 最低賃金類型での申請
- 経済産業和尚が行うEBPMへの協力姿勢
- パートナーシップ構築宣言の実施
- 健康経営優良法人認定
- 大幅な賃上げ計画
- ワーク・ライフ・バランスへの取り組み
加点項目を意識した事業計画の策定が、採択率向上のポイントです。
口頭審査(審査項目)
口頭審査は、一定の審査基準を満たした事業者を対象に、必要に応じてオンラインで実施されます。審査時間は1社あたり15分程度で、申請事業者自身(法人代表者など)のみが対応します。事業計画書作成支援者や経営コンサルタントなどの同席は認められていません。
以下の表に示す観点から事業計画の適格性や実現可能性などが審査されます。
審査の観点 | 主なポイント |
---|---|
補助対象事業の適格性 | ・当該事業は補助対象事業の要件を満たしているか ・当該事業は事業再構築指針と整合しているか |
補助対象事業の優位性 | ・市場における競争力はあるか ・差別化要素は具体的か |
補助対象事業の実現可能性 | ・実施体制は充実しているか ・資金計画は妥当か ・スケジュールは具体的かつ明確か |
補助対象事業の継続可能性 | ・収益計画の実現性はどのくらいあるか ・長期的な成長戦略となっているか |
口頭審査に選ばれた場合、事務局から受験日時の予約案内が行われます。申請完了が早い事業者から優先的に日時を選択できるため、早期の申請完了が推奨されます。また、不参加や接続不良などによる審査不能の場合は不採択となるため、万全の準備が必要です。
よくある質問に目を通す
事業再構築補助金のWebサイトには、事業再構築補助金に関してよくある質問(FAQ)が掲載されています(参照:よくあるご質問丨事業再構築補助金)。FAQを確認することで、申請前に抱えている疑問を解消できるだけでなく、申請時のミスや漏れを防ぐことにもつながります。
FAQの内容は定期的に更新されるため、最新の情報を確認するようにしましょう。
なお、公募要領やよくある質問集を確認しても解決しない場合は、事務局に問い合わせることが可能です。ただし、事務局に直接連絡するのではなく、「コールバック予約システム」を利用して希望日時を予約する必要があります。
認定経営革新等支援機関に相談する
本補助金においては、金融機関等もしくは認定経営革新等支援機関による事業計画の確認が必須です。どちらでも問題はないのですが、本格的な事業作成のサポートを希望するのであれば、認定経営革新等支援機関(あるいは認定経営革新等支援機関を兼ねている金融機関)がよいでしょう。
また、認定経営革新等支援機関には、さまざまな専門家がいますが、特におすすめなのが中小企業診断士です。経営全般に関するコンサルティングを行う中小企業診断士であれば、各事業者の事業を深く理解した上で、それが的確に伝わるような事業計画の書き方に精通しています。
事業再構築補助金申請チェックリスト
詳細 | チェック |
---|---|
事業概要の理解 | |
事業の目的、補助対象、要件などを理解しているか | □ |
申請資格 | |
自社が補助対象事業者(中小企業者等または中堅企業等)の要件を満たしているか (みなし大企業、みなし同一法人ではないか) | □ |
リース会社や共同申請する場合は、その要件を満たしているか | □ |
事業計画 | |
申請する事業類型(成長分野進出枠、GX進出類型、コロナ回復加速化枠)を決定したか | □ |
事業再構築の類型(新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編)を明確にしているか | □ |
事業再構築指針に沿った事業計画になっているか | □ |
公募要領に記載されている「事業計画作成における注意事項」をおさえた事業計画になっているか | □ |
金融機関等または認定経営革新等支援機関と事業計画を策定し、確認書を取得したか(資金提供を受ける場合は金融機関の確認が必須) | □ |
補助事業終了後3~5年で付加価値額または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率を3.0%~4.0%以上増加させる計画か(事業類型により異なる) | □ |
事業類型(A)成長分野進出枠の場合 | |
給与総額増加要件(年平均成長率2.0%以上増加)を満たしているか、または市場縮小要件を満たしているか | □ |
市場拡大要件を満たす場合は、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に該当するか、または根拠となるデータを示せるか | □ |
市場縮小要件を満たす場合は、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に該当するか、または根拠となるデータを示せるか(あるいは基幹大企業の撤退による影響を受けているか) | □ |
廃業を伴う場合は、廃業計画書を作成したか | □ |
事業類型(B)GX進出類型の場合 | |
給与総額増加要件(年平均成長率2.0%以上増加)を満たしているか | □ |
グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に資する事業か(GX進出計画書を作成) | □ |
過去に採択実績がある場合は、別事業要件および能力評価要件を満たし、説明書を作成したか | □ |
事業類型(D)コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の場合 | |
コロナ借換保証等で既往債務を借り換えているか(任意) | □ |
2023年10月~2024年9月の間、3カ月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いるか | □ |
事業場内最低賃金を証明する賃金台帳を準備したか | □ |
上乗せ措置(F)卒業促進上乗せ措置の場合 | |
事業類型(A)~(D)のいずれかに申請しているか | □ |
補助事業終了後3~5年で中小企業等から中堅企業等に成長する計画か(卒業計画書を作成) | □ |
上乗せ措置(G)中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置の場合 | |
事業類型(A)~(D)のいずれかに申請しているか | □ |
補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画か | □ |
補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年平均成長率1.5%以上増員させる計画か(大規模賃上げ及び従業員増加計画書、賃金引上げ計画の表明書、賃金台帳を作成) | □ |
補助率等引上要件 | |
事業類型(A)または(B)で補助金額・補助率の引上げを希望する場合は、補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画か(大規模な賃上げに取り組むための計画書を作成) | □ |
補助対象経費 | |
補助対象経費(建物費、機械装置費など)を正しく積算しているか | □ |
補助対象外経費(既存事業への活用費用、諸経費、消費税など)を含んでいないか | □ |
原則として3者以上の同一条件による相見積もりを取得しているか | □ |
補助事業により取得した資産は、原則として専ら補助事業に使用する計画か | □ |
補助対象外事業 | |
補助対象外事業(不動産賃貸、実質的労働を伴わない事業、公序良俗に反する事業など)に該当しないか | □ |
重複申請や二重受給に該当しないか | □ |
申請手続き | |
GビズIDプライムアカウントを取得しているか | □ |
電子申請システムの操作方法を確認しているか | □ |
必要な添付書類(事業計画書、決算書、誓約書など)をすべて準備したか(ファイル名も確認) | □ |
公募要領、FAQ、補助金事務局の相談窓口などで疑問点を解消しているか | □ |
交付決定後 | |
交付決定後の義務(説明会参加、計画変更の承認申請、事業化状況報告、財産処分制限など)を理解しているか | □ |
補助事業実施期間を遵守できるか | □ |
事業再構築補助金第13回の申請をご検討でしたら中小企業経営支援事務所までご相談ください
事業再構築補助金の第13回公募は、当該補助金の最後の新規受け付けです。これまでよりも応募が集まり、採択率が低くなる可能性があります。
早めに信頼できる金融機関等、あるいは認定経営革新等支援機関に事業計画の相談をしましょう。
当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請の支援に対して豊富な経験を持つ中小企業診断士が所属する認定経営革新等支援機関です。事業再構築補助金についても、これまで多くの事業者様のサポートをしてきました。
また、当社では、補助金を受け取ったあとの事業運営についても手厚くフォローすることができます。
どの認定経営革新等支援機関に相談しようか迷っていましたら、初回相談無料ですので、ぜひ一度ご相談いただけますと幸いです。