【2024年保存版】農業の補助金・助成金13選│初めての申請でも安心の手続き解説つき

【2024年版】農業の補助金・助成金13選

近年の農業を取り巻く環境は、地球温暖化による気候変動や、農家の高齢化・後継者不足、ウクライナ紛争に端を発する肥料や飼料の高騰など、さまざなな課題に直面しています。これらの困難を乗り越え、持続可能な農業経営を実現するための手段のひとつが補助金・助成金制度です。

この記事では、農業経営に欠かせない補助金・助成金制度について、2024年最新の情報に基づき、種類や申請方法、活用方法などをわかりやすく解説します。農業に携わる人の一助となれば幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。設備投資緊急支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

なぜ今、農業において補助金・助成金活用が重要なのか

農業を取り巻く経営環境は、さまざまな課題に直面しています。高齢化や担い手不足、地球温暖化による気候変動、農作物価格の低迷など、農業経営を圧迫する要因は枚挙にいとまがありません。これらの課題を乗り越え、持続可能な農業経営を実現するためには、補助金・助成金を戦略的に活用することが重要です。

補助金・助成金は、初期投資や設備投資の負担を軽減したり、経営の安定化を図ったり、新たな技術や販路の開拓を支援したりするものです。これにより、農業経営者は経営リスクを軽減し、競争力を強化することができます。

例えば、新規就農者や農業を始めて間もない人であれば、農業次世代人材投資資金の就農準備資金を活用することで、生活費や研修費用の負担を軽減し、スムーズに農業を始められます。また、既存の農業経営者であれば、強い農業づくり総合支援交付金や産地生産基盤パワーアップ事業などの設備投資向けの補助金を活用することで、スマート農業の導入や農産物加工施設の整備などを進め、生産性向上や高付加価値化を実現できます。

補助金・助成金の種類は多岐にわたり、それぞれに目的や要件が異なります。自らの経営課題や目標に合った補助金・助成金を選択し、適切に活用することが、農業経営の成功につながります。

農業における補助金・助成金活用の3つのメリット

農業における補助金・助成金活用の主なメリットは、以下の3つです。

農業を始めるには、多額の初期投資が必要になります。農地、農業機械、施設などの費用は高額で、新規就農者にとって大きな負担となるでしょう。また、農作物の収穫・販売が始まるまでの間は収入がないため、運転資金も必要です。これらの資金を自己資金のみで賄うことは難しいでしょう。

新規就農者向けの補助金・助成金を利用すれば、資金面での不安を軽減し、農業経営をスムーズにスタートさせることが可能になります。

農業経営は、さまざまなリスクと隣り合わせです。天候不順による不作や、市場価格の変動による収入減、病害虫の発生による損失など、予測できない事態がしばしば起きます。補助金・助成金を活用すれば、これらのリスクを軽減し、より安定した事業運営を実現できる可能性が高まります。

補助金・助成金活用によって設備投資や人材確保がスムーズにできれば、事業拡大のチャンスも広がるでしょう。

最新の農業機械や設備の導入すれば、作業効率を大幅に改善するだけでなく、より高品質な農産物の生産や、これまで手がけていなかった作物や加工品の生産にチャレンジが可能になります。

また、人材の確保・育成ができれば、農業経営の多角化や規模拡大が実現しやすくなります。例えば、販路開拓の専門家を雇用することで、新たな取引先の開拓や輸出事業への挑戦が可能になるでしょう。

このように、補助金・助成金を受給すれば、農業経営者は設備と人材の両面から事業拡大の機会を得ることができます。

目的別!農業の補助金・助成金13選【2024年最新】

農業で活用できる主な補助金・助成金を、目的別に紹介します。

補助金・助成金名内容支給額主な活用シーン
就農準備資金新規就農を目指す研修生を支援月12.5万円・農業大学校での研修
・先進農家での実践的研修
・就農に向けた技術習得
経営開始資金新規就農者の経営確立を支援月12.5万円・新規就農時の生活費確保
・経営基盤確立期の運転資金
・設備投資の自己資金確保
経営発展支援事業就農後の経営発展に必要な機械などの導入を支援1,000万円(最大)・農業機械や施設の導入
・家畜の導入
・果樹、茶の新植、改植
・農地の造成や改良
青年等就農資金新たに農業経営を始める人向けの融資制度3,700万円(最大)・農業用施設や機械の導入
・加工施設や販売施設の整備
・家畜購入、果樹や茶の新植・改植
・借地料などの一括支払い
強い農業づくり総合支援交付金産地の収益力強化と持続的な発展を支援各タイプによって異なる・産地基幹施設の整備
・農業用機械や設備の導入
・スマート農業の推進
・環境負荷低減の取り組み
・輸出拡大に向けた整備
産地生産基盤パワーアップ事業農業の国際競争力強化と産地の収益力向上を支援事業費の1/2以内など
※事業内容により異なる
・農業機械のリース導入・取得
・集出荷施設等の整備
・ヒートポンプなどの省エネ設備導入
・生産資材の導入
農地耕作条件改善事業地域の多様なニーズに応じた耕作条件の改善を支援事業費の1/2など
※型により異なる
・畦畔除去による区画拡大
・暗渠排水の整備
・高収益作物への転換
・スマート農業の導入
・病害虫対策
・水田貯留機能向上
ものづくり補助金生産性向上のための設備投資を支援事業費の1/2など
※申請枠により異なる
・スマート農業を実現する設備投資
・農産物の加工や6次産業化
・輸出向けの農産物生産体制の強化
IT導入補助金ITツール導入費用の一部を補助事業費の1/2など
※申請枠により異なる
・生産管理システム導入
・在庫管理システム導入
・経理ソフト導入
・販売管理システム導入
農産物等輸出拡大施設整備事業産地基幹施設の整備を支援事業費の1/2以内・集出荷貯蔵施設の整備
・農産物処理加工施設の整備
・CA貯蔵施設などの導入
雇用就農資金農業就業や独立就農に必要な研修を支援各タイプによって異なる・新規就農者の雇用と育成
・独立就農に向けた研修
・次世代経営者の育成
キャリアアップ助成金非正規雇用労働者のキャリアアップの促進を支援各コースによって異なる・新規就農者の育成や定着促進
・後継者や若手従業員への農業技術や技能の継承
・スマート農業化のための設備投資と連動した人材育成
雇用調整助成金事業活動を縮小する事業者の雇用維持を支援賃金相当額の1/2など予期せぬ出荷制限や天候不順による不作、農産物価格の低迷で収入減が生じた際の雇用維持
農業の補助金・助成金一覧【2024年最新】

※2024年10月時点での情報です。時期によって実施されていない可能性もあるため、利用するときは必ず公式サイトを確認するか、問い合わせ窓口に確認することをおすすめします。

※補助金・助成金の中には他の補助金・助成金と併願ができないものもあります。

農業次世代人材投資資金(就農準備資金)

農業次世代人材投資資金(就農準備資金)は、新規就農を目指す研修生を対象とした支援制度です。最長2年間にわたり年間150万円を交付し、就農に必要な技術習得を支援します。農業大学校や先進農家などで、確かな技術を身につけてから独立・自営就農、あるいは雇用就農を始めたい人に適した制度といえます。

申請要件として、就農予定時の年齢が原則49歳以下であることや、年間1,200時間以上の研修を受けることなどが定められています。

項目内容
主な支給条件・就農予定時49歳以下
・約1年以上かつ年間約1,200時間以上の研修を受講
・常勤雇用契約を締結していないこと
・前年の世帯所得が600万円以下
・傷害保険に加入していること
支給額月12.5万円(150万円/年)
※交付期間:最長2年間(海外研修の場合は最長3年間)
主な活用シーン・農業大学校での研修
・先進農家での実践的研修
・就農に向けた技術習得
問い合わせ先最寄りの地方農政局
公式ページ就農準備資金・経営開始資金丨農林水産省
農業次世代人材投資資金(就農準備資金)の概要

農業次世代人材投資資金(経営開始資金)

農業次世代人材投資資金(経営開始資金)は、新規就農者の経営確立を支援する制度です。独立・自営就農者に対して、就農直後の経営確立に資する資金を最長3年間交付します。農業を始めてからの生活費や、運転資金の不安を払拭したいときに活用したい補助金です。

交付を受けるためには、就農時の年齢が原則49歳以下であり、独立・自営就農であること、青年等就農計画の認定を受けていることなどの要件を満たす必要があります。

項目内容
主な支給条件・独立・自営就農時49歳以下
・独立・自営就農する認定新規就農者であること
・経営計画が経営開始5年後までに農業で生計が成り立つものであること
・借り受ける農地が「目標地図」などに位置づけられていること
・前年の世帯所得が600万円以下
支給額月12.5万円(150万円/年)
※交付期間:最長3年間
※夫婦共同経営は1.5人分交付
主な活用シーン・新規就農時の生活費確保
・経営基盤確立期の運転資金
・設備投資の自己資金確保
問い合わせ先最寄りの地方農政局
公式ページ就農準備資金・経営開始資金丨農林水産省
農業次世代人材投資資金(経営開始資金)の概要

経営発展支援事業

経営発展支援事業は、就農後の経営発展のために必要な機械・施設などの導入を支援する事業です。都道府県が機械・施設などの導入を支援する場合、国が都道府県支援分の2倍支援します。より安定的な農業経営を確立したいときは、積極的に検討したい補助金制度です。

経営発展支援事業は、49歳以下で、次世代を担う農業者となることについて強い意欲を持ち、事業実施年度または前年度に農業経営を開始した人を対象としています。交付対象者は、農地の所有権や利用権を有し、主要な農業機械・施設を所有または借り受け、自らの名義で生産・販売を行っている必要があります。

項目内容
主な支給条件・49歳以下
・独立・自営就農する認定新規就農者であること
・経営計画が経営開始5年後までに農業で生計が成り立つものであること
・借り受ける農地が「目標地図」などに位置づけられていること
・金融機関から融資を受けていること
支給額1,000万円(最大)
※経営開始資金受給者は最大500万円
※補助率:最大1/2以内
※夫婦共同経営は1.5人分交付
主な活用シーン・農業機械や施設の導入
・家畜の導入
・果樹、茶の新植、改植
・農地の造成や改良
問い合わせ先最寄りの地方農政局
公式ページ経営発展支援事業丨農林水産省
経営発展支援事業の概要

青年等就農資金

青年等就農資金は、新たに農業経営を開始する人を支援する無利子の融資制度です。17年以内に返済が必要になるため、補助金・助成金とは異なりますが、新規就農者の支援する制度としてよく活用されています。

特徴的なのは、担保は原則として融資対象物件のみで済み、個人の場合は保証人が原則不要という点です。法人の場合でも、必要な場合は代表者のみが保証人となります。これにより、新規就農者の資金調達における負担を大きく軽減しています。

ただし、国の補助金を財源に含む補助事業は本資金の対象外となり、また毎年度の予算範囲内での実施となるため、実行時期によっては希望に添えない場合もあるとされています。

項目内容
主な支給条件・認定新規就農者であること
・経営改善資金計画の作成と特別融資制度推進会議の認定を受けていること
支給額3,700万円(最大)
※特認の場合1億円
※無利子
※17年以内に返済(うち据置期間5年以内)
主な活用シーン・農業用施設や機械の導入
・加工施設や販売施設の整備
・家畜購入、果樹や茶の新植・改植
・借地料などの一括支払い
問い合わせ先・農林水産省 経営局就農・女性課
 TEL:03-3502-8111(内線5195)
最寄りの日本政策金融公庫支店(農林水産事業)
公式ページ青年等就農資金(新規就農者向けの無利子資金制度)について丨農林水産省
青年等就農資金丨日本政策金融公庫
青年等就農資金の概要

強い農業づくり総合支援交付金

強い農業づくり総合支援交付金は、産地の収益力強化と持続的な発展を支援するための重要な補助金制度です。農業経営者の産地基幹施設の整備や農業の生産効率化を図るための設備投資を支援します。

強い農業づくり総合交付支援金には、さまざまなタイプがあり(例:令和6年度の場合は「先駆的モデル支援タイプ」「農業支援サービス事業支援タイプ」など)があり、活用するときは各タイプの特徴を把握した上での選択が重要です。

項目内容
主な支給条件各タイプによって異なる
支給額各タイプによって異なる
主な活用シーン・産地基幹施設の整備
・農業用機械や設備の導入
・スマート農業の推進
・環境負荷低減の取り組み
・輸出拡大に向けた整備
問い合わせ先各タイプによって異なる
公式ページ強い農業づくりの支援丨農林水産省
※「強い農業づくりの支援に係る関係通知について」に各年度で実施されている制度の詳細や問い合わせ窓口の記載あり
強い農業づくり総合支援交付金の概要

産地生産基盤パワーアップ事業

産地生産基盤パワーアップ事業は、農業の国際競争力強化と産地の収益力向上を目指す総合的な支援制度です。主に、新市場獲得対策、収益性向上対策、生産基盤強化対策の3つの柱で構成されています。

新市場獲得対策では、輸出や加工・業務用需要に対応するため、拠点事業者の育成や連携産地の体制強化を支援。具体的には、貯蔵・加工・物流拠点施設の整備や、園芸作物における新品目・品種の導入、国産農産物のシェア拡大に向けた取り組みなどが対象となります。

収益性向上対策では、産地の収益力強化に向けた計画的な取り組みを支援。高性能な農業機械の導入や集出荷施設の整備、施設園芸における省エネ設備(ヒートポンプ等)の導入などが含まれます。

生産基盤強化対策では、次世代への円滑な経営継承を見据え、農業用ハウスや果樹園・茶園などの生産基盤の再整備・改修を支援。また、持続可能な農業の実現に向けて、堆肥や緑肥を活用した土づくりの取り組みも支援対象となっています。

項目内容
主な支給条件各事業によって異なる
支給額事業費の1/2以内など
※事業内容により異なる
主な活用シーン・農業機械のリース導入・取得
・集出荷施設等の整備
・ヒートポンプなどの省エネ設備導入
・生産資材の導入
問い合わせ先各タイプによって異なる
公式ページ強い農業づくりの支援丨農林水産省
※「強い農業づくりの支援に係る関係通知について」に各年度で実施されている制度の詳細や問い合わせ窓口の記載あり
産地生産基盤パワーアップ事業の概要

農地耕作条件改善事業

農地耕作条件改善事業は、農地中間管理機構による担い手への農地集積を促進するため、地域の多様なニーズに応じた耕作条件の改善を支援する制度です。

本事業は6つの型で構成されています。「地域内農地集積型」では畦畔除去による区画拡大や暗渠(あんきょ)排水などのきめ細かな耕作条件の改善を支援。「高収益作物転換型」では基盤整備と一体的に行う輪作体系の検討や実証展示ほ場の運営などを支援します。

「スマート農業導入推進型」ではGNSS基地局の設置などのスマート農業導入を、「病害虫対策型」では病害虫の発生予防・まん延防止につながる農地の土層改良や排水対策などを支援。「水田貯留機能向上型」では田んぼダムの実施に必要な基盤整備を、「土地利用調整型」では多様で計画的な農地利用のためのゾーニングに必要な交換分合や基盤整備を支援します。

これらの支援により、農地の大区画化・汎用化等の基盤整備を行い、担い手への農地集積を推進するとともに、生産効率を向上させ、高収益作物等の営農定着を図ることができます。

項目内容
主な支給条件・総事業費200万円以上であること
・農業者数が2者以上であること
・使用する型の目標に沿った事業計画を策定すること
支給額事業費の1/2など
※型により異なる
主な活用シーン・畦畔除去による区画拡大
・暗渠排水の整備
・高収益作物への転換
・スマート農業の導入
・病害虫対策
・水田貯留機能向上
問い合わせ先農林水産省 農村振興局整備部農地資源課 担当者:経営体育成事業企画班
TEL:03-3502-8111(内線5613)
公式ページ農地の整備丨農林水産省
農地耕作条件改善事業の概要

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資を行う際に、費用の一部を補助する制度です。対象となるのは、革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの省力化・高度化を目指す取り組みです。

本補助金は、大きく分けて「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の3つの枠組みで構成されています。

省力化(オーダーメイド)枠では、デジタル技術を活用した専用設備の導入による生産性向上を支援します。農業であれば、スマート農業を実現する設備投資に活用できるでしょう。AIやIoT、センサーなどを活用した自動給水システムや生育状況管理システムを導入することで、人手不足の解消や労働時間の短縮、収穫量の安定化を図れます。

製品・サービス高付加価値化枠は、革新的な製品・サービス開発に向けた設備投資を支援します。例えば、高付加価値な加工食品を製造するための設備や、農産物直売所における販売促進のためのシステム導入などが対象となります。

グローバル枠は、海外事業展開やインバウンド対応、海外企業との共同事業など、国際的な競争力強化を目指すための設備投資を支援します。農業であれば、輸出に対応した選果・包装ラインや、海外市場のニーズに合わせた加工施設の整備などが考えられます。

いずれの枠組みにおいても、事業計画期間における給与支給総額の増加や事業場内最低賃金の引き上げといった、従業員の処遇改善を図るための要件が設けられています。大幅な賃上げに取り組む事業者には、補助上限額の引き上げ措置も用意されています。

項目内容
主な支給条件・中小企業・小規模事業者等であること
・3~5年の事業計画期間において、付加価値額や給与支給総額の増加、事業場内最低賃金の引上げを達成すること
支給額事業費の1/2など
※申請枠により異なる
主な活用シーン・スマート農業を実現する設備投資
・農産物の加工や6次産業化
・輸出向けの農産物生産体制の強化
問い合わせ先ものづくり補助金事務局サポートセンター
TEL:050-3821-7013
公式ページものづくり補助金丨全国中小企業団
ものづくり補助金の概要

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援するための制度です。ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用の一部を補助することで、業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進します。

IT導入補助金には、「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」「複数社連携IT導入枠」の4種類があり、それぞれ異なる目的と要件が設定されています。農業分野では、生産管理システムや在庫管理システム、経理ソフトなどの導入に活用でき、業務の効率化や経営の可視化に役立ちます。

項目内容
主な支給条件・中小企業・小規模事業者等であること
・「SECURITY ACTION」宣言や「みらデジ経営チェック」を実施していること
支給額事業費の1/2など
※申請枠により異なる
主な活用シーン・生産管理システム導入
・在庫管理システム導入
・経理ソフト導入
・販売管理システム導入
問い合わせ先サービス等生産性向上IT導入支援事業コールセンター
TEL:0570-666-376
公式ページIT導入補助金2024丨TOPPAN
※中小企業基盤整備機構および中小企業庁監督
IT導入補助金の概要

農産物等輸出拡大施設整備事業

農産物等輸出拡大施設整備事業は、2030年までに農林水産物・食品の輸出額5兆円という目標達成に向けた支援制度です。国産農産物の輸出拡大に必要な集出荷貯蔵施設や処理加工施設などの産地基幹施設の整備を支援し、「強い農林水産業」の構築を推進することを目的としています。本事業は、海外展開を視野に入れている農業経営者の強い味方となるでしょう。

農産物等輸出拡大施設整備事業を活用するときは、施設整備とあわせて、輸出先の求める品質管理や衛生基準などにも対応しなければいけません。具体的には、GAP認証(GLOBALG.A.P.、ASIAGAP、JGAPなど)の取得、HACCP等認定の取得などです。

項目内容
主な支給条件・受益農業従事者が5人以上
・成果目標の基準を達成していること
・総事業費5,000万円以上であること
・輸出事業計画を策定していること
・GFPの会員であること
支給額事業費の1/2以内
主な活用シーン・集出荷貯蔵施設の整備
・農産物処理加工施設の整備
・CA貯蔵施設などの導入
問い合わせ先最寄りの地方農政局
公式ページ農産物等輸出拡大施設整備事業丨農林水産省
農産物等輸出拡大施設整備事業の概要

雇用就農資金

雇用就農資金は、農業法人等が49歳以下の就農希望者を新たに雇用し、農業就業や独立就農に必要な研修を実施する場合に交付される支援制度です。主に3つのタイプがあり、「雇用就農者育成・独立支援タイプ」「新法人設立支援タイプ」「次世代経営者育成支援タイプ」に分かれています。

申請には、農業法人等が正社員として期間の定めのない雇用契約を締結することや、労働環境の改善に取り組むことなどが求められます。また、新規雇用就農者は49歳以下で、支援開始時点で正社員として採用されてから4ヶ月以上12ヶ月未満である必要があります。

なお、就農希望者が障がい者や生活困窮者などの場合、年間最大15万円が加算される制度も設けられています。

項目内容
主な支給条件・49歳以下の就農希望者を新規雇用
・正社員としての雇用契約締結していること
・労働環境改善にすでに取り組んでいるor新たに取り組むこと
・研修内容などを「農業をはじめる.JP」に掲載していること
支給額・雇用就農者育成・独立支援タイプ
 年間最大60万円(最長4年間)
・新法人設立支援タイプ
 年間最大120万円(最長4年間)
・次世代経営者育成支援タイプ
 月最大10万円(最長2年間)
主な活用シーン・新規就農者の雇用と育成
・独立就農に向けた研修
・次世代経営者の育成
問い合わせ先・全国農業会議所
 TEL:03-6265-6891
各都道府県農業会議
公式ページ雇用就農資金丨農林水産省
雇用就農資金の概要

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者などの非正規雇用の労働者のキャリアアップを促すために設けられた助成金制度です。企業がこれらの労働者を正社員化したり、処遇を改善したりする取り組みを実施した場合、その費用の一部を国が助成します。

この助成金は、大きく「正社員化支援」「処遇改善支援」の2つの支援に分かれています。正社員化支援では、非正規雇用労働者を正社員に登用する際に助成が行われます。処遇改善支援では、賃金規定の改定や共通化、賞与・退職金制度の導入、社会保険適用時の処遇改善など、さまざまな取り組みが助成対象となります。

キャリアアップ助成金を活用することで、農業経営者は新規就農者の育成や定着促進が期待できます。後継者や若手従業員への農業技術や技能の継承もスムーズに行えるでしょう。

項目内容
支給条件企業規模、取り組み内容、労働者数など、コースごとに異なる
支給額・正社員化コース
 中小企業:最大80万円/人
 大企業:最大60万円/人
・賃金規定等改定コース
 中小企業:最大6.5万円/人
 大企業:最大4.3万円/人
・賃金規定等共通化コース
 中小企業:60万円/事業所
 大企業:45万円/事業所
・賞与・退職金制度導入コース
 中小企業:最大56.8万円/事業所
 大企業:最大42.6万円/事業所
・社会保険適用時処遇改善コース
 中小企業:最大40万円/人
 大企業:30万円/人
※そのほか、コースによっては加算措置あり
主な活用シーン・新規就農者の育成や定着促進
・後継者や若手従業員への農業技術や技能の継承
・スマート農業化のための設備投資と連動した人材育成
申請先各都道府県労働局またはハローワーク
公式ページキャリアアップ助成金丨厚生労働省
キャリアアップ助成金の概要

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、経済的な理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用の一部を助成する制度です。景気の変動や産業構造の変化など、さまざまな経済上の理由で事業活動が縮小した場合に活用できます。

農業であれば、鳥インフルエンザ発生などによる出荷制限や、異常気象による不作、価格低迷による収入減などで経営が苦しくなった状況において、従業員の雇用維持を実施する際に活用できるでしょう。

項目内容
主な支給条件・雇用保険適用事業主であること
・売上高や生産量などの事業活動指標が一定数減少していること
・雇用量指標の増加制限をクリアしていること
・労使協定に基づく雇用調整の実施していること
支給額・休業・教育訓練
 休業手当・賃金相当額 × 助成率
 中小企業:2/3
 大企業:1/2
・出向
 賃金負担額 × 助成率
 中小企業:2/3
 大企業:1/2
※休業・教育訓練の助成額について、令和6年4月1日以降開始の対象期間は、支給日数と教育訓練実施率により変動、加算あり。上限額あり
主な活用シーン予期せぬ出荷制限や天候不順による不作、農産物価格の低迷で収入減が生じた際の雇用維持
申請先各都道府県労働局またはハローワーク
公式ページ雇用調整助成金丨厚生労働省
雇用調整助成金の概要

農業の補助金・助成金 受給までに必要な基本6ステップ

農業の補助金・助成金を受給するときは、いくつかの手続きが必要です。各補助金・助成金によって異なる部分もありますが、共通の部分も多くあります。それをもとに、受給までの基本的な手順を以下で紹介します。

まずはどの補助金・助成金が適しているのかを選ぶ必要があります。現在抱えている課題や将来の計画を整理し、補助金・助成金を利用する理由や目的を明確にしましょう。その上で、申請資格、申請期限などを始めとする申請要件などの詳細を公式ページで確認します。

なお、時期によっては対象の補助金・助成金の公募が行われていない可能性があります。また、前回まではあった申請枠が今回はなくなっているケースもしばしば見られます。詳細を調べるときは、「◯◯補助金 令和◯年度」などと検索して、最新の情報にあたるようにしましょう。

申請したい補助金・助成金が決まったら、要件を満たしているかを確認します。主な要件としては、事業内容、規模、所在地などが挙げられます。

要件を満たしていることがわかったら、申請に必要な書類をリストアップします。補助金・助成金の種類によって必要な書類は異なりますが、一般的には以下のものが必要になります。

必要な書類補足説明
申請書各補助金・助成金専用の申請書
事業計画書事業の内容、目的、目標、計画などを記載
収支予算書事業にかかる収入と支出を予測
納税証明書納税状況を確認
その他個別で必要となる書類
申請に必要な書類一覧

これらの書類は、事前に準備できるものから着手しましょう。申請書類の中には、作成に時間がかかるものもあります。例えば、事業計画書は、事業の将来像を具体的に示す必要があり、綿密な計画と作成時間が必要です。また、収支予算書も、事業の収益性などを客観的に示す必要があり、正確な数字を把握しておくことが重要です。

加えて、申請書類の提出期限も事前に確認しておきましょう。締め切り間際になると、窓口が混雑したり、不備が見つかった場合の修正時間が不足したりする可能性があります。余裕を持って準備を進めることが大切です。

補助金・助成金の申請書類は、管轄の窓口や郵送、または電子申請システムなどを通じて提出します。提出方法は補助金・助成金の種類によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

補助金・助成金に申請書類を提出すると審査が行われます。審査は大きく分けて以下の3つのステップで進みます。

審査の種類内容
書類審査提出書類の内容が、補助金・助成金の要件を満たしているか、また事業計画が適切かを確認する審査
面接審査申請者と審査員が面談し、事業計画の詳細や熱意、実現可能性などを確認する審査
現地審査実際に事業を行う場所を審査員が訪問し、設備や運営体制などを確認する審査
審査の種類

書類審査では、提出した申請書類の内容に基づき、事業計画の実現可能性や妥当性、補助金・助成金の目的に合致しているかなどが審査されます。

面接審査が必要な補助金・助成金の場合は、申請者と審査員が面談し、事業計画の詳細や申請者の熱意、事業の実現可能性などを審査されます。面接審査では、事業計画についてしっかりと説明できるよう、事前に準備しておくことが重要です。また、質問にも的確に答えられるように、想定される質問と回答をまとめておきましょう。

現地審査が必要な補助金・助成金の場合は、審査員が実際に事業を行う場所を訪問し、申請内容と相違がないか、設備や運営体制が整っているかなどを確認します。現地審査でも、面接審査同様、審査員からの質問に適切に回答できるように事前に準備しておくことが大切です。

これらの審査ステップは、補助金・助成金の種類によって異なる場合や、追加の審査が行われる場合もあります。

補助金や助成金の交付決定通知を受け取ったら、いよいよ事業開始です。交付決定通知には、補助事業(助成事業)の内容や実施機関、支給金額、各種条件などが記載されています。これらの内容をよく確認し、事業計画に基づいて着実に事業を進めていきましょう。

事業開始にあたっては、以下の3つのポイントに注意しましょう。

  1. 事業計画の遵守
    事前に策定した事業計画を遵守することが重要です。計画に変更が生じる場合は、速やかに交付機関に連絡し、変更承認申請の手続きを行う必要があります。無断で計画を変更すると、補助金の返還を求められる場合があります。
  2. 適切な経費管理
    補助金や助成金は、事業実施において生じた経費に対して支払われます。領収書などの証拠書類を適切に保管しましょう。
  3. 事業の進捗管理
    事業の進捗状況を定期的に確認し、計画通りに進んでいるかを確認しましょう。進捗が遅れている場合は、その原因を分析し、改善策を講じる必要があります。必要に応じて、交付機関に相談し、アドバイスを受けることも有効です。

これらのポイントを踏まえながら、事業を着実に進めていきましょう。

補助金・助成金の申請が採択され、事業が完了したら、速やかに実績報告書を提出する必要があります。実績報告書は、交付決定時に指定された期日までに提出するようにしましょう。

実績報告とは、補助事業で実際に行った内容や経費の使途などを報告することです。実績報告の内容に基づいて、補助金の額が確定します。

実績報告に必要な書類は補助金・助成金の種類によって異なりますが、一般的には以下の書類が必要になります。

書類名内容
実績報告書事業の実施状況、成果、経費の使途などを記載した報告書
収支決算書事業に係る収入と支出を記載した決算書
領収書の写し事業に係る経費の支出を証明する領収書
写真など事業の実施状況を証明する写真など
実績報告に必要な書類一覧

実績報告が承認されると、補助金・助成金が交付されます。交付された補助金・助成金は、事業の目的に沿って適切に使用しましょう。補助金・助成金は返済不要の資金ですが、不正受給が発覚した場合には、返還を求められるだけでなく、罰則が科される場合もあります。

農業の補助金・助成金の採択率を高めるコツ

農業の補助金・助成金を活用することは、農業経営の安定や発展に大きく貢献します。しかし、申請は複雑で、採択されるにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。

採択率を高めるには、まず申請要件を徹底的に理解することが重要です。申請資格などに加えて、当該の補助金・助成金が目的としているところ(申請者に何を求めているのか)をしっかりと把握し、自身の目的と合致するか確認するようにしましょう。

また、事業者向けの補助金・助成金の場合は、事業計画書の作成が求められます。事業計画書の内容をもとに、事業の将来性や実現可能性、地域への貢献度などが評価され、採択するか否かが決まるため、計画書は論理的にわかりやすく、説得力のある内容でなければなりません。

具体的には、以下の点に注意して作成しましょう。

項目内容
背景なぜこの事業が必要なのか、現状の問題点や課題を明確にする
目的事業を通して何を達成したいのか、具体的な目標を設定する
内容どのような事業を行うのか、具体的な内容を説明する
方法どのように事業を進めるのか、具体的な手順やスケジュールを示す
効果事業によってどのような効果が期待できるのか、定量的な指標を用いて説明する
資金計画事業に必要な資金はどのくらいか、自己資金と補助金の割合を明確にする
事業計画書を作成するときの主なポイント

これらのポイントを踏まえ、事業者の思いを込めたオリジナルな事業計画書を作成することが、採択率を高める鍵となります。

さらに、事業者の場合は、専門家による支援サービスの活用も有効です。特に中小企業診断士は、補助金申請に関する豊富な知識と経験を持っています。中小企業診断士に相談することで、申請書類の作成支援や事業計画のブラッシュアップ、面接対策など、多岐にわたるサポートを受けられるでしょう。

農業の補助金・助成金申請でお悩みでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

補助金・助成金申請は、時間と労力を要する作業です。しかし、採択されれば大きな助けとなります。この記事で紹介したコツを参考に、積極的に補助金・助成金を活用していただけたら幸いです。

弊社・中小企業経営支援事務所では、補助金・助成金申請に悩む事業者に対して、さまざまなサポートを行っています。申請書類の準備だけでなく、採択につながりやすい事業計画書を作るためのアドバイスまで行い、これまで多くの事業者の採択を実現してきました。

農業の補助金・助成金の申請にお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。ご相談者様の場合はどのような補助金・助成金であれば採択につながりやすいのかなども含めて、懇切丁寧に説明いたします。初回相談は無料です。

【最新版】設備投資緊急支援事業とは?概要や申請方法、採択率を上げるコツを徹底解説

設備投資緊急支援事業の概要

働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が強化され、2024年(令和6年)4月からは運輸・物流業や建設業などにも適用されることになりました。この規制強化は、長時間労働の是正を目的としていますが、企業にとっては人手不足の深刻化や売上の減少など、いわゆる「2024年問題」と呼ばれる課題への対応が迫られることになります。

このような背景から、東京都および東京都中小企業振興公社では、「2024年問題」への対策として、中小企業の生産性向上や競争力強化を目的とした「設備投資緊急支援事業」を実施しています。

この記事では、公社が公開している設備投資緊急支援事業の専用ページ第2回募集要項をもとに、「設備投資緊急支援事業」の概要や申請方法、採択率を上げるためのコツなどを詳しく解説します。「2024年問題」への対策として設備投資を検討されている事業者の方は、ぜひ参考にいただけると幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。設備投資緊急支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

設備投資緊急支援事業とは

設備投資緊急支援事業とは、東京都内で運送や物流、建設業などを営む中小企業者等を対象に、「2024年問題」対策として導入する機械設備費用の一部を助成する制度です。

「2024年問題」とは、働き方改革関連法の時間外労働の上限規制が、2024年(令和6年)4月から運送・物流、建設業などにも適用されることで、人手不足の深刻化や売上の減少などが懸念される問題を指します。

本事業では、機械設備の導入費用の一部を東京都が負担することで、都内中小企業の「2024年問題」対策を後押しし、生産性の向上や競争力の強化を支援します。

具体的には、以下の事業・業務を営む中小企業が対象です。

  • 工作物の建設の事業
  • 自動車運転の業務
  • 医業に従事する医師

これらの事業者は、時間外労働の上限規制によって、業務効率化や従業員の負担軽減が急務となっています。設備投資緊急支援事業は、最新の機械設備導入を促進してこれらの課題解決を支援し、ひいては都内経済の活性化に貢献することを目指しています。

項目内容
助成対象者東京都内で運送や物流、建設業などを営む中小企業者等
助成対象事業2024年問題対応に必要な機械設備を新たに導入する事業
助成対象期間交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月間
助成対象経費機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入費用
助成率4/5以内
助成限度額下限100万円 上限1億円
設備投資緊急支援事業の概要

設備投資緊急支援事業の申請要件

設備投資緊急支援事業の申請には、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

本事業の申請資格を得るには、2024年4月からの時間外労働の上限規制の対象となる事業・業務に従事していることが必須条件です。

具体的には、以下の表に示す3つの事業・業務のうち、いずれか一つ以上に該当している必要があります。

事業・業務具体的な内容例
工作物の建設の事業建築、土木、設備工事など
自動車運転の業務トラック、バス、タクシーなどの四輪以上の自動車運転業務
医業に従事する医師病院、診療所などで診療に従事する医師(個人開業医かつ本人以外に医師を雇用している場合のみ)
設備投資緊急支援事業の対象事業・業務

加えて、働き方改革関連法の時間外労働の上限規制適用猶予期間(令和2年4月~令和6年3月)中に該当業務に従事する従業員を雇用し、その期間の36協定届を提出できることが条件となります。

設備投資緊急支援事業の申請には、中小企業者または中小企業団体等のいずれかに該当することが条件です。

なお、下記基準に該当するかの判断が難しい場合は、募集要項のP.42「業種(大分類)と日本標準産業分類について」およびP.43「日本標準産業分類及び中小企業者の範囲」を参照するとよいでしょう。

中小企業者

中小企業者とは、中小企業基本法第2条第1項に規定されている資本金または従業員数の基準を満たし、大企業(中小企業投資育成株式会社や投資事業有限責任組合は除く)が実質的に経営に参画していない会社や個人事業者を指します。

業種資本金常用従業員数
製造業・建設業・運輸業・その他の業種
(ソフトウェア業・情報処理サービス業含む)
3億円以下300人以下
ゴム製品製造業の一部3億円以下900人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
小売業(飲食業を含む)5,000万円以下50人以下
中小企業者の要件

大企業が実質的に経営に参画していないとは、主に以下のようなことを指します。

  • 大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の1/2以上を所有、または出資していないとき
  • 大企業が複数で発行済株式総数または出資総額の2/3以上を所有、または出資していないとき
  • 役員総数の1/2以上を大企業の役員または社員が兼務する形になっていないとき
  • そのほか、大企業が実質的に経営を支配・参画していると考えられないとき

中小企業団体等

中小企業団体等とは、中小企業等協同組合法に基づく組合や、中小企業団体の組織に関する法律に基づく中小企業団体で、構成員の半数以上が都内に主たる事業所を有する中小企業である場合が該当します。

本事業に申請するには、ほかにも以下のような条件があります。

要件内容
都内での事業活動の実態基準日(※)現在で東京都内に本店または支店があり、2年以上事業を継続していること。都外に機械設備を設置する場合は、都内に本店があること
納税状況法人事業税、法人都民税、都および公社に対する賃料などの滞納がないこと
過去の採択状況過去に本助成事業の採択を受けていないこと(申請の取り下げや中止は除く)
申請回数同一回において初めての申請であること(申請は同一回につき1企業1申請に限る)
重複助成の禁止同一設備で他の助成事業を受けていないこと
過去の助成事業における実績過去5年間に、都道府県や区市町村などが実施する助成事業で不正がなく、報告書を期日までに提出していること
事業の継続性会社更生法や民事再生法の申立・手続中ではなく、事業の継続に問題がないこと
法令遵守助成事業の実施に必要な許認可を取得しており、関係法令も遵守していること
反社会的勢力との関係申請者、設備購入先などが暴力団関係者ではなく、風俗営業など社会通念上不適切な業態も営んでいないこと
申請書類必要な書類をすべて提出できること
募集要項が示すそのほかの申請資格要件 (※)基準日は募集時期によって変わる

設備投資緊急支援事業の助成対象事業

設備投資緊急支援事業では、運送・物流、建設業およびその他業種において、働き方改革関連法の時間外労働の上限規制による人材不足などに対策するために、新たに機械設備を導入する事業が助成対象となります。

機械設備であれば、人材不足を解消するための自動化設備や省力化設備、工期短縮を実現する業務効率化設備の導入などが挙げられます。

重要なポイントは、導入する設備が2024年問題への対策として直接的に貢献するものでなければならない点です。

以下のような事業は助成の対象外となるため注意しましょう。

  1. 事業計画を伴わず、老朽化した設備を新しい設備に買い替えるだけの事業
  2. 研究開発を目的とし、量産・販売の目途が立っていない事業
  3. 自社工場などに自家発電設備を設置するだけの事業
  4. 助成事業完了後、導入した設備を一定期間継続して使用することが見込めない事業
  5. 運転資金など、設備投資以外の経費への助成を目的としている事業
  6. 申請者以外が事業計画の遂行や設備投資に関与している事業
  7. 助成事業者以外が助成対象設備を使用する事業
  8. 公序良俗に反する事業や公社が適切でないと判断する事業

設備投資緊急支援事業の助成対象経費

設備投資緊急支援事業の対象となる経費は、「2024年問題」対策として導入する機械装置・器具備品・ソフトウェアの新たな導入、搬入・据付などに要する費用です。

ただし、以下の条件を満たす必要があります。

助成対象経費の条件内容
事業への必要性生産やサービス提供に直接使用する設備やソフトウェアなど、事業目的達成に不可欠な経費であること
見積書の取得同一機種は、同一メーカー・同一型番で2社以上の見積書を取得し、安価な方を選定すること。入手できない場合は、「見積限定理由書」の提出が必要
助成対象期間内の支払い完了交付決定日の翌月1日から4年6ヶ月までに契約・納品・支払いを完了すること。分割払いも、期間内の完了が必須
使途の明確性カタログや仕様書、図面等で設備内容が確認できるもの、見積書にメーカー・型番・内訳が記載されているもの、契約書や振込控などの帳票類がそろっているものなど、経費の使途が明確に確認できるものであること
所有権の帰属リースやレンタルではなく、購入し、所有権が事業者に移転するものであること
設備投資緊急支援事業の助成対象経費の条件

また、1基あたりの下限額が50万円(税抜)以上である必要があります。1基とは、原則として法人税法上の減価償却単位を指し、機械装置であれば1台、器具備品であれば1個、1組、1揃いなどが該当します。ソフトウェアの場合は、1基あたりの下限額の条件に加えて、助成金交付申請額の範囲が300万円以上1,000万円以下と決められています。

なお、搬入・据付などに要する経費は、機械設備本体の購入先が行っていて、かつ機械設備の設置と一体で捉えられる軽微なものに限り対象です。

一方で、以下のような経費は、本事業の主旨から外れることから助成対象外となります。

  1. 申請内容と異なる機械設備や、デモンストレーション用の設備
  2. 既存設備の改良・修繕・撤去など、および中古品
  3. 不動産・構築物・車両・船舶・航空機など
  4. 事業計画に不必要な工具・消耗品など
  5. 資本関係のある会社などとの取引
  6. 消費税・関税・手数料・旅費などの間接経費
  7. 資料収集・調査・会議など事務経費や、内容が不明瞭な経費
  8. 設置場所の整備工事や、ソフトウェア設置後の保守費用など
  9. 目的外使用が可能な汎用的なパソコン・サーバーなど
  10. 市場価格や事業内容に対して高額な経費
  11. 所有権が移転しないリース・レンタルなど
  12. 通常業務と混合した経費や、他の取引と相殺した経費
  13. 現金・手形・クレジットカードなどによる支払い
  14. 実質的な支払金額が見積書と異なる取引
  15. 公的資金の用途として不適切な経費

上記以外にも助成対象外となる場合があります。

なお、助成事業にかかる経費の支払いは、金融機関・郵便局からの振込払い、送金口座は普通預金または当座預金のみと限定されています。

設備投資緊急支援事業の助成限度額

設備投資緊急支援事業の助成限度額は1億円です。助成下限額は100万円と定められています。

設備投資緊急支援事業の助成率

設備投資緊急支援事業の助成率は、助成対象と認められる経費の4/5以内です。1,000円未満は切り捨てとなります。

設備投資緊急支援事業の助成対象期間

設備投資緊急支援事業の助成対象期間は、交付決定日(採択者から交付決定通知書が交付された日)の翌月1日から1年6ヶ月間です。この期間内に、契約・納品・支払いを完了させなければいけません。

第2回募集の助成対象期間は、令和7年4月1日から最長令和8年9月30日です。

設備投資緊急支援事業の流れ

設備投資緊急支援事業の申請から交付後までの大まかな流れについて紹介します。

  1. 公募情報の確認
    公社が公開している設備投資緊急支援事業の専用ページで、最新の募集要項、申請書類を入手し、内容を確認申請要件や事業内容に関する疑問点は、公社や補助金・助成金の申請支援を行う専門家に事前相談をする
  2. ネットクラブ会員サービスへの登録
    本事業への申請予約に必要な「ネットクラブ会員サービス」会員登録を専用フォームから行う
  3. 申請予約
    公社が公開している設備投資緊急支援事業の専用ページにアクセスし、期限内に申請予約する
  4. 申請書類の提出
    デジタル庁の電子システム「jGrants(Jグランツ)」を使って申請書類を公社に提出(電子申請マニュアル)。jGrantsを利用するには「GビズIDプライムアカウント」が必要なので前もって作成する。
  5. 申請書類の準備
    申請に必要な書類を収集して正確に記入
  6. 公社が審査を実施
    公社が提出した申請書類に基づき、事業内容の実現可能性や妥当性などがあるか一次審査を行い、その後、面接審査や価格審査などの二次審査を実施する。審査では場合によって現地調査も行う
  7. 交付決定
    公社が、一次審査・二次審査の結果にもとづき、総合審査会で助成対象事業者を決定する。助成金事業者として採択された場合、企業名や所在地、テーマ名、成果などについて公社のホームページで公表される
  8. 事業の実施
    交付決定の内容に基づき事業を実施
  9. 完了報告書の提出
    助成対象期間内に事業が完了したら、事業実績や経費の執行状況などを記載した完了報告書を公社に提出
  10. 公社が完了検査を実施
    公社が完了検査を行い、事業内容や経費の執行状況などを確認する
  11. 助成金の交付
    完了検査後、助成金の額が確定し、事業者に交付される(完了検査から助成金交付までは約2ヶ月)
  12. 事業化状況報告書の提出
    事業完了後、翌年度以降5年間にわたり、事業の進捗状況などを記載した事業化状況報告書を公社に提出

設備投資緊急支援事業は、申請から助成金の交付まで、概ね上記のような流れで進みます。それぞれの段階で必要な手続きや提出書類が異なるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

企画管理部 設備支援課
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1-9 東京都産業労働局 秋葉原庁舎
TEL:03-3251-7884
設備投資緊急支援事業の申請・問い合わせ先

設備投資緊急支援事業の第2回募集は、以下のスケジュールで実施されます。

項目時期
申請予約令和6年10月23日(水)9時~11月6日(水)17時
申請書類提出令和6年11月1日(金)9時~11月15日(金)17時
一次審査11月中旬~1月中旬
一次審査結果通知1月下旬
二次審査2月中旬~3月上旬
助成対象事業者決定3月中旬
事務手続き説明会3月下旬
助成事業開始令和7年4月1日~(最長令和8年9月30日まで)
設備投資緊急支援事業の第2回募集のスケジュール

上記は2024年10月7日現時点でのスケジュールであり、今後変更となる可能性があります。申請前に今一度公社のホームページなどで最新情報を確認することをおすすめします。

設備投資緊急支援事業の必要書類

設備投資緊急支援事業においては、さまざまな書類の提出が求められます。申請時・助成事業完了時・交付後の3つのタイミングに分けて紹介します。

申請書一式、完了報告書、事業化状況報告書については、設備投資緊急支援事業の専用ページからダウンロードすることが可能です。完了報告書、事業化状況報告書は、時期によってまだ公開されていない場合があります。

なお、提出書類は返却されないため、すべて原本の控えを取っておきましょう。日本語以外の場合は日本語訳の資料も添付する必要があります。

申請時の必要書類詳細備考
申請書一式(1部)・Excel形式とWord形式の両方の提出が必要
・Word形式はWord形式のまま、Excel形式はExcel形式のまま編集し、同じ形式提出する
・Excel形式の書類には外部参照リンクを含まないようにする
確定申告書(直近3期分の確定申告書の写し)【法人】
①税務署の受付印または電子申告の受信通知(メール詳細)
②別表1~16
③貸借対照表
④損益計算書
⑤販売費及び一般管理費明細表
⑥製造原価報告書(未作成の場合、省略可)
⑦株主資本等変動計算書
⑧勘定科目内訳明細書
⑨法人事業概況説明書(両面)

【個人】
①税務署の受付印または電子申告の受信通知(メール詳細)
②第一表~第五表(申告時に提出したもののみ)
③青色申告決算書(貸借対照表を作成している場合、それを含む)
各期ごとに書類を1つのPDFにまとめる
履歴事項全部証明書(1部)【法人】
発行後3ヶ月以内の履歴事項全部証明書

【個人】
開業届
・PDF形式での提出を推奨
・個人事業主は、開業届にマイナンバーが記載されている場合、該当箇所を削除の上、提出する
納税証明書(直近2期分)【法人】
法人事業税・法人都民税の納税証明書

【個人】
納税証明書(個人事業税の納税証明書および代表者の住民税納税証明書、もしくは代表者の直近の所得税納税証明書および代表者の住民税納税証明書)
PDF形式での提出を推奨
積算根拠書類(機種ごとに各1部)①導入機械設備1機種につき2社の見積書
②見積限定理由書
③機械設備の最新カタログ
④見積書採用予定の会社の会社案内
・①③④はPDF形式での提出を推奨、②はWord形式での提出を推奨
・見積限定理由書は相見積もりを入手できない場合のみ
・機械設備のカタログがない場合は、具体的な設計図面や仕様書など機械設備の詳細がわかるもの
機械設備設置場所関連書類(設置場所ごとに各1部)①機械設備を設置する建物の外観写真、および設置場所の写真
②機械設備設置場所の平面図や、それを明示した配置図
PDF形式での提出を推奨
会社関連書類(各1部)①会社案内
②法令上必要な事業許可書、工場設置認可書またはその写し
PDF形式での提出を推奨
休日労働・時間外労働に関する協定届(36協定届)(各1部)休日労働・時間外労働に関する協定届の控え
旧様式の様式第9号の4(労働基準監督署の受理印があるもの)
・PDF形式での提出を推奨
・様式は厚生労働省の「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」ページよりダウンロード可
設備投資緊急支援事業に申請するときの必要書類一覧

助成事業が完了したら、速やかに完了報告書を提出する必要があります。完了報告書とは、事業の実施状況や経費の執行状況を報告する書類です。

あわせて、経理関係の書類も必要となります。例えば、見積書、契約書、仕様書、導入機械設備の写真、機械設備メーカー発行の保証書などが挙げられます。

事業者は助成金を受け取ったあと、事業化状況報告書を事業完了年度の翌年度から5年間、毎年提出しなければいけません。事業化状況報告書とは、事業の成果や設備の活用状況に関して公社に報告する書類です。

設備投資緊急支援事業の交付決定の取り消しについて

設備投資緊急支援事業の交付決定は、虚偽の申請や要件違反など、不正が認められた場合、取り消されることがあります。

交付決定の取消事由としては、申請内容と異なる設備を導入した場合や、不正な手段で助成金を受け取った場合、助成金を他の用途に使用した場合、申請後に申請資格を満たさなくなった場合などが挙げられます。また、暴力団関係者との関与や、風俗営業等の公序良俗に反する事業への関与が判明した場合も、交付決定が取り消されます。

助成金の交付決定が取り消された際に、すでに助成金が交付されている場合は返還を求められ、違約金が加算される場合もあります。また、不正の程度によっては、刑事罰が適用される可能性もあります。

設備投資緊急支援事業の交付決定を受けた後も、以下の点に注意する必要があります。

本事業の交付決定後、事業の実施状況や助成金の収支、帳簿書類、取得した機械設備などに関して、公社の職員による調査や報告を求められることがあります。

本事業の交付が決定して助成金を受けた場合、前述したように事業完了年度の翌年度から5年間、事業化状況報告書を毎年提出する義務があります。それとあわせて、助成事業によって相当の収益を得た場合は、収益の一部を納付する義務が生じます。納付額は助成金額を上限とし、所定の計算式に基づいて算出されます。

本事業の交付が決定した事業者は、助成事業に関する関係書類や帳簿類を、事業完了年度の翌年度から起算して10年を経過する日、または法定耐用年数を経過する日のいずれか早い日まで保存しなければいけません。

助成事業で購入した機械設備は、処分制限期間中は適切に管理し、保存する必要があります。処分制限期間内に目的外使用、譲渡、交換、貸付、担保提供、廃棄、移設などを行う場合は、事前に公社の承認を得る必要があります。また、財産を処分した場合は、残存簿価相当額をもとに算定した金額を公社に納付することが求められます。

本事業の交付が決定した場合、助成を受けた事業者の企業名、所在地、テーマ名、事業内容などが、公社のホームページなどで公表される場合があります。

設備投資緊急支援事業の採択率を上げるコツ

設備投資緊急支援事業に申請するのであれば、審査員の心を掴み、採択につなげたいものです。採択率を上げるには以下のポイントをおさえておきましょう。

設備投資緊急支援事業の採択率を上げるためには、審査の視点を意識した事業計画を策定することが重要です。公社が掲げる審査は4つあり、それぞれ以下のような視点で実施されます。

資格審査(一次審査)

資格審査は、設備投資緊急支援事業の申請資格を満たしているかを確認する一次審査です。「中小企業の定義に合致しているか」「時間外労働の上限規制の対象となる事業・業務を営んでいるか」「東京都内に事業所があり、2年以上事業を継続しているか」などがチェックされます。

これらの要件を満たしていない場合は、申請資格がないと判断され、その後の審査に進めません。募集要項をよく確認し、必要書類を漏れなく提出することが重要です。

経理審査(一次審査)

経理審査では、企業の財務状況を分析し、健全な経営状態であるか、助成事業を適切に遂行できる財務基盤があるかを審査します。具体的には、提出された確定申告などの財務諸表に基づき、安全性、収益性、成長性といった観点から評価が行われます。

例えば、倒産リスクはないか、適切な利益が出ているか、売上高や利益は継続的に伸びているかなどがチェックされます。財務状況に問題があると判断された場合、助成対象事業の実施が困難とみなされ、採択されない可能性があります。

事業計画審査(一次審査・二次審査)

設備投資緊急支援事業の事業計画審査は、一次審査と二次審査の両方で行われ、事業計画の内容を多角的に評価します。主な審査の視点は以下の表の通りです。

審査の視点内容
目的との適合性2024年問題対策として妥当か
優秀性技術や市場での優位性があるか
実現性計画の遂行能力や資金調達の見込みがあるか
成長・発展性将来的な事業拡大が期待できるか
計画の妥当性導入設備の必要性や規模が適切か
事業計画審査の視点

そのため、以下のポイントをおさえながら事業計画書を作成することが重要となります。

  1. 2024年問題との関連性を明確に説明する
  2. 自社の強みや独自性を具体的に示す
  3. 数値目標を含めた実現可能な計画を立てる
  4. 導入設備の詳細とその効果を具体的に記述する
  5. 事業の将来性や社会的意義についても言及する

これらの点に留意し、論理的かつ具体的な事業計画を作成することが、採択率を高める近道です。また、審査員が理解しやすいよう、図表やデータを効果的に活用することも大切です。

価格審査(二次審査)

価格審査は、設備投資緊急支援事業の二次審査で行われる項目の一つです。この審査では、申請する機械設備などの価格が、一般的な市場価格と比較して著しく高額になっていないかを確認します。

審査では、提出された見積書やカタログ、市場調査データなどを参考に、妥当な価格設定が行われているかを判断します。高額な設備や、市場価格との乖離が大きい場合は、採択率が下がる可能性があります。

設備投資緊急支援事業に限らず、補助金・助成金の審査では、事業者の熱意や事業内容の新規性・独創性も重要な要素となります。単に募集要項を満たすだけでなく、これらの要素を加えることで審査員の目にとまりやすくなるからです。

例えば、「なぜこの事業に取り組むのか」「なぜこの設備が必要なのか」「この設備導入によって地域社会にどう貢献できるのか」などについて、事業者の想いやビジョン、事業の独自性を具体的に示すことで、審査員に強い印象を与えることができます。

以下は、事業計画書に事業者の思いやオリジナリティを盛り込む具体的な方法の例です。

項目内容具体例
事業の背景や動機なぜその事業に取り組むことになったのか、きっかけや背景、これまでの経験などを具体的に記述する・長年、地域物流を支えてきたが、2024年問題による人手不足の深刻化を課題に感じ、省人化・自動化を実現する事業に取り組むことを決意した
・従業員の高齢化が進み、技術継承が課題となる中、2024年問題も重なり、若手人材の確保と育成、労働環境改善のためにも、最新鋭の設備投資が必要不可欠だと感じている
事業の独自性や差別化他の事業と比べて、どのような独自性や差別化ポイントがあるのか、具体的な事例を交えて説明する・長年培ってきたノウハウとAI技術を融合させ、地域特性に最適化された独自の配送ルートを開発し、他社にはない効率的な物流サービスを提供する
・単なる運送業ではなく、顧客のニーズに合わせた保管・梱包・ラベル貼りなどの付帯サービスを充実させることで、顧客満足度を高め、差別化を図る
地域貢献事業を通じて、地域社会にどのように貢献できるのか、具体的な目標値などを設定して説明する・新規雇用を創出し、若者や女性の雇用機会の拡大に貢献する(目標値:3年間で10名の新規雇用)
・地域の運送事業者と連携し、共同輸送体制を構築することで、物流の効率化と地域経済の活性化に貢献する
将来展望事業を通じて、将来的にどのような企業を目指していくのか、具体的なビジョンを明確に示す・10年後には、地域物流のリーディングカンパニーとして、地域社会の発展に貢献する企業を目指す
・事業を通じて得られたノウハウを活かし、他の事業者へのコンサルティング事業も展開し、業界全体の底上げを図りたい
熱意や意気込み事業に対する熱い想いや意気込みを、具体的なエピソードなどを交えて訴求する・従業員一丸となって、新技術の習得や業務プロセス改善に取り組んでおり、働き方改革にも積極的に取り組んでいる
・地域住民や行政とも積極的に連携し、2024年問題の解決に貢献できるよう、誠心誠意努力していく所存だ
事業者の思いやオリジナリティを盛り込む具体的な方法の例

これらの要素を盛り込むことで、事業計画書はより魅力のあるものとなり、審査員の評価にもつながりやすくなるでしょう。

採択率を高めたいときは、補助金・助成金の申請支援を行う専門家に相談するのもポイントです。専門家へ相談すると、事業計画の策定や申請書類の準備などをする時間も削減できるため、特に初めて助成金事業を利用する事業者におすすめです。

専門家を探すときは、その専門家が信頼できるかどうかが重要です。以下のポイントを参考にしながら良きパートナーを探してみてください。

  • 補助金・助成金の申請支援実績は豊富か
  • 業種や事業内容に精通しているか
  • 相談しやすい雰囲気を持っているか
  • 費用体系は明確か

なお、専門家には税理士や行政書士などがいますが、できれば中小企業診断士に依頼することをおすすめします。中小企業診断士は経営全般の豊富な知識から、事業の特徴や魅力を的確に見抜き、それを事業計画という具体的な形にできる専門家です。

上記のポイントをクリアした相性の良い中小企業診断士を見つけられると、採択率もぐっと上がるでしょう。

設備投資緊急支援事業と他の事業の違いと併願に関する注意点

公社には、設備投資緊急支援事業と似た助成金制度があります。それが「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」と「デジタルツール導入促進緊急支援事業」の2つです。

それぞれ以下のような違いがあります。

事業名概要対象業種助成対象経費
設備投資緊急支援事業「2024年問題」に対応するための機械設備の導入経費を一部助成運輸・物流、建設業など機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入費用
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業業種を問わず、経営課題解決や成長戦略の実現に資する機械設備の導入経費を一部助成業種不問機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入費用
デジタルツール導入促進緊急支援事業「2024年問題」に対応するためのデジタルツールの導入経費を一部助成建設業、運輸業デジタルツールの購入費用や初期設定・カスタマイズなどにかかる費用
「設備投資緊急支援事業」「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」「デジタルツール導入促進緊急支援事業」の違い

公社が実施している助成金制度は、基本的に併願申請ができません。そのため、どの助成金制度が自社に一番適しているか、よく見極めることが重要です。

例外的に、設備投資緊急支援事業と躍進的な事業推進のための設備投資支援事業については併願申請できますが、その際も各助成金制度の要件を満たしている必要があることに加え、助成対象期間や助成対象経費が重複しないように注意する必要があります。

設備投資緊急支援事業の申請チェックリスト

内容チェック
申請資格
令和6年4月から規制対象になる事業・業務を営んでいるか
時間外労働の上限規制の適用猶予期間に対象事業・業務を主として従事する従業員を雇用しているか
中小企業者または中小企業団体等であるか
時間外労働の上限規制の適用猶予期間に36協定届を提出できるか
基準日現在で、東京都内に登記簿上の本店または支店があるか
基準日現在で、都内事業所における常用の事業活動拠点としての事業継続が2年以上であるか
東京都に納税し、かつ税金などの滞納がないか
そのほか募集要項に記載されている要件を満たしているか
事業内容
働き方改革関連法の時間外労働の上限規制による人材不足などの対策に必要となる設備投資であるか
導入する設備が2024年問題への対策として直接的に貢献するものであるか
単なる機械設備の更新や、生産性向上に寄与しないものではないか
そのほか募集要項に記載されている事業要件を満たしているか
助成対象経費
助成対象期間内に契約、納品、支払いが完了する経費であるか
助成事業者が生産や役務の提供のために直接使用するものであるか
助成事業を遂行するために必要かつ必要最小限の経費であるか
消費税などの間接経費を除いているか
そのほか募集要項に記載されている対象経費の要件を満たしているか
必要書類
申請書一式(Excel形式とWord形式)は作成したか
直近3期分の確定申告書は用意したか
履歴事項全部証明書は用意したか
納税証明書は用意したか
積算根拠書類(見積書、カタログ、会社案内など)は用意したか
機械設備設置場所関連書類は用意したか
会社関連書類は用意したか
休日労働・時間外労働に関する協定届(36協定届)は用意したか
そのほか募集要項に記載されている必要書類は用意したか
その他
募集要項の内容をすべて確認したか
申請予約はしたか
電子申請システム「JGrants」のアカウントを取得したか
設備投資緊急支援事業の申請チェックリスト

設備投資緊急支援事業についてお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

設備投資緊急支援事業の申請は、複雑な手続きを伴います。判断に迷うまま進めると、申請期限に間に合わない、時間をかけて書類を作成したのに採択されない、などの可能性を高めてしまうでしょう。もし少しでも不安があれば、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

当社・株式会社中小企業経営支援事務所は、数多くの企業の補助金・助成金申請を支援してきた実績を持つ申請のエキスパートです。中小企業診断士と補助金・助成金申請のエキスパートである当社は、これまで多くの事業者の悩みに寄り添ってきました。

設備投資緊急支援事業の申請でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。事業計画書を作成から申請、その後の手続きまで、手厚くサポートいたします。

動画でもわかりやすく解説をしておりますので、あわせてご覧をいただければ幸いです。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業とは?概要や申請方法、採択のポイントを徹底解説

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の概要

近年、エネルギー価格や物価の高騰が深刻化し、多くの製造業者がその影響を受けています。

そのような状況の中、島根県としまね産業振興財団では、県内の中小企業の製造業者を対象に「ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業(エネルギー価格・物価高騰対策分)補助金」を実施しています。これは、エネルギー価格や物価の高騰の影響を受けている製造業者を支援することを目的とした補助金制度です。

具体的には、省人化・自動化による生産プロセスの変革、サプライチェーンの再構築、新製品・技術の開発、新市場への参入といった取り組みを支援します。

この記事では、ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の概要、申請方法、採択されるためのポイントなどを、しまね産業振興財団が公開している本事業の詳細ページ補助金交付要領令和6年度の公募要領をもとに、詳しく解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業とは

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業とは、エネルギー価格・物価高騰の影響を受けている製造業者の競争力強化を支援するために、島根県としまね産業振興財団が実施している補助金事業です。

具体的には、生産プロセスの変革やサプライチェーン再構築への対応に必要な設備投資などにかかる費用の一部を補助します。これにより、県内製造業の収益確保や新市場開拓を促進し、競争力強化を図ることを目指しています。

本事業は2つの類型があります。「生産プロセス変革型」では、省人化や自動化、多能工化を進める取り組みを支援します。「サプライチェーン再構築型」では、新たな受注獲得や新製品・技術開発、新市場参入を目指す取り組みを支援します。

項目内容
対象者島根県内の中小企業の製造業者など
補助対象事業・生産プロセス変革型
・サプライチェーン再構築型
補助率中小企業:1/2以内
小規模事業者:2/3以内
補助限度額下限50万円 上限1,000万円
事業期間令和6年度の場合
交付決定日~令和7年2月28日
公募期間令和6年度の場合
令和6年6月3日(月)~令和6年11月22日(金)※複数回締切あり
ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の概要

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助対象者

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助対象者は、島根県内に主たる事業所を有する中小企業基本法第2条に定める中小企業者のうち、製造業者を対象としています。具体的な要件は以下の表の通りです。

項目要件
業種製造業(主たる事業が製造業である必要あり)
資本金3億円未満
常用従業員数300人未満

常用従業員とは、「期間の定めなく雇用されている」「週40時間以上継続して勤務している」「社会保険に加入している」「賃金が月俸制または年俸制である」という4点におおむね該当する者を指します。

また、従業員数20名以下の製造業者は小規模事業者に該当します。

ただし、以下のいずれかに当てはまる者はみなし大企業と判断され、対象外となります。

  1. 同一の大企業が株式や出資の1/2以上を所有している中業企業者
  2. 大企業が株式や出資の2/3以上を所有している中小企業者
  3. 大企業の役員が役員総数の1/2以上を占める中業企業者
  4. 1~3に該当する中小企業者が株式や出資のすべてを所有している中小企業者
  5. 1~3に該当する中小企業者の役員が役員総数のすべてを占める中小企業者

さらに、申請にあたっては以下の要件も満たす必要があります。

  • エネルギー価格・物価高騰の影響を受けていること
  • 暴力団排除に関する誓約事項に該当しないこと
  • 島根県税の未納がないこと
  • 「パートナーシップ構築宣言」の登録を行うこと

また、過去に特定の補助金を受けた企業は、本事業の類型のひとつである「生産プロセス変革型」への申請ができない場合があります。申請可否は以下の表を参照してください。

申請企業生産プロセス変革型サプライチェーン再構築型
通常(下記2~4にあたらない企業)
交付要領別表3示す補助金や助成金の採択実績あり×
原油価格・物価高騰対策分の「生産プロセス変革型」で助成金交付の実績あり×
原油価格・物価高騰対策分の「サプライチェーン再構築型」で助成金交付の実績あり××
各類型の申請可否

なお、補助金の交付決定は通算で2回まで、同事業年度内では1回限りとなります。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の事業類型および対象事業の要件

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業には、「生産プロセス変革型」と「サプライチェーン再構築型」の2つの事業類型があり、いずれかを選んで申請します。その際、選択した類型の要件を満たす事業計画の策定が求められます。

それぞれの要件は以下の通りです。

対象事業の要件(以下の①~④すべて満たすものが対象)
①エネルギー価格・物価高騰などの影響に対応し、以下のいずれかに該当する取り組みであること
・省人化や自動化を進める事業
・多能工化に向けた人材育成システムの整備や工程変更事業
②3年の事業計画期間で以下を達成すること
・付加価値額を年率平均3%以上増加
・給与支給総額を年率平均1.0%以上増加
③申請時の従業員数を設備導入翌年度末まで維持(最長3年以内に回復も可)
④先駆的な取り組みとして成果を公開できること
生産プロセス変革型の要件
対象事業の要件(以下の①~②いずれかを満たすものが対象)
①エネルギー価格・物価高騰などの影響による市場変化に対応し、以下のいずれかに該当する取り組みであること
・サプライチェーン再構築に対応し、受注を獲得する事業
・新製品・技術開発や新市場参入のための事業
②3~5年の事業計画期間で以下を達成すること
・給与支給総額を年率平均1.0%以上増加
・県外企業からの受注額を補助事業導入年度比3~5%(年率1%)以上増加
・県内企業との取引額を補助事業導入年度比3~5%(年率1%)以上増加
サプライチェーン再構築型の要件

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の対象経費

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の対象経費は、事業類型によって異なります。詳細は以下のとおりです。

対象経費
・設備導入費:機械、装置、ソフトウェアなどの購入費やリース費
・改修費:建物や附属設備の改修、レイアウト変更費用
・システム開発費:システムの開発・導入費
・技術導入費:外部からの技術指導や知的財産権導入費用
・運搬費:運搬料、郵送料など
・その他経費:理事長が特に必要と認める経費
生産プロセス変革型の対象経費

上記に加えて以下も対象となります。

対象経費
・研究開発費:研究や試作開発、研究機関との契約にかかる費用
・市場調査費:展示会出展費、パンフレット作成費など
・原材料費:試作品開発用の原材料
・副資材費・外注費:外注加工費など
・委託費:研究開発・市場調査の委託費
・専門家経費:専門家への謝金など
サプライチェーン再構築型の対象経費

「生産プロセス変革型」「サプライチェーン再構築型」においても、上記のうち、補助事業実施期間内に支払いを行ったことが確認できないものは対象外です(事前着手制度の承認を受けた場合は対象)。

また、消費税や振込手数料、食糧費、通信費、汎用性のある器具・備品購入費(例:パソコンやタブレット端末、家具)などについては対象となりません。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助率

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助率は、「生産プロセス変革型」「サプライチェーン再構築型」ともに、中小企業の場合は補助対象経費の1/2以内、小規模事業者の場合は2/3以内です。千円未満は切り捨てとなります。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助限度額

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の補助限度額は、「生産プロセス変革型」「サプライチェーン再構築型」ともに、下限500千円(50万円)、上限10,000千円(1,000万円)です。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の事業期間

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の事業期間は、令和6年度の場合、交付決定日から最長で令和7年2月28日までとなっています。

事業着手は原則として交付決定後ですが、事前着手申請が認められた場合は令和6年4月1日以降の着手も可能です。ただし、事前着手が承認されても補助金採択を約束するものではありません。また、令和6年4月1日より前の契約や発注は補助対象外となるため注意が必要です。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の公募スケジュール

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業への申請を検討する際は、公募期間や締切日を把握しておくことが重要です。

令和6年度の公募スケジュールは以下の通りです。

締切公募締切審査会(予定)
第1回締切令和6年7月5日(金)17:00令和6年7月下旬頃
第2回締切令和6年9月20日(金)17:00令和6年10月上旬頃
第3回締切令和6年11月22日(金)17:00令和6年12月上旬頃
令和6年度の公募スケジュール

令和6年度は、上記の各締切までに提出された申請案件について、審査会を開催し採否を決定します。事業予算は通年で運用されるため、回が進むにつれて予算残額が少なくなる可能性があり、申請数と予算の状況によっては早期に公募が終了する場合があるとされています。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請方法と必要な書類

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業に申請するときは、要件とあわせて大まかな流れや必要な書類を把握することが重要です。

本事業の公募から交付、成果報告までの流れは以下の通りです。

  1. 公募開始:しまね産業振興財団が募集を開始
  2. 交付申請:必要書類を作成し、財団の下記申請窓口に提出(郵送・持参・メールのいずれか)
  3. 審査・交付決定:財団が交付申請を受理し、県が審査。審査後、採択された場合は財団が申請者に対して交付決定を通知
  4. 事業実施:交付決定後、補助事業を開始。事前着手申請が承認された場合は、令和6年4月1日以降の着手も可能
  5. 遂行状況報告:財団の指示に応じて、事業の進捗状況を報告
  6. 変更申請(必要な場合): 事業内容や経費に大きな変更がある場合、速やかに変更承認申請
  7. 実績報告:事業完了後15日以内に、実績報告書を財団に提出
  8. 確定通知:財団が実績報告を審査し、県が補助金額を確定。財団が確定額を申請者に通知する
  9. 補助金請求:確定通知を受領したら、財団に補助金を請求
  10. 補助金支払:財団が申請者に補助金を支払う
  11. 事業成果報告:事業完了後5年間、毎年成果報告書を財団に提出
本事業の申請先
(財)しまね産業振興財団 経営支援課 総合相談グループ(担当:寺田、梅木)TEL:0852-60-5115 FAX:0852-60-5105  E-mail:con@joho-shimane.or.jp 

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業では、公募から交付、成果報告までに以下の書類が必要となります。なお、「様式第◯号」については、しまね産業振興財団が公開している本事業の詳細ページからダウンロードできます。

交付申請時

書類名概要
交付申請書及び誓約書(様式第1号)申請内容や誓約事項を記載
事業計画書(様式第1号別紙1)事業の概要、内容、目標などを記載
事業収支計画書(様式第1号別紙2)事業の収支計画を記載
支出内訳書(様式第1号別紙3-1)事業収支計画書の支出の詳細内訳を記載
人件費計算書(様式第1号別紙3-2)サプライチェーン再構築型で人件費を計上する場合のみ
従業員名簿(様式第1号別紙4)常用従業員の一覧
会社概要資料パンフレットなど事業内容が確認できるもの
直近2期分の決算書貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販管費内訳書、個別注記表
登記事項証明書の原本または定款の写し最新のもの
投資内容の詳細資料見積書、設備パンフレットなど
納税証明書(県税)の原本発行から3ヶ月以内のもの
「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトに公表された宣言書締切までに公表が間に合わなかった場合は登録申請中の宣言書
交付申請時の必要書類

事業実施中

書類名概要
遂行状況報告書(様式第6号)事務局の指示に応じて事業の進捗状況を報告
事業実施中の必要書類

事業完了後

書類名概要
実績報告書(様式第7号)事業が完了した日から15日以内
精算払請求書(様式第11号)補助金の確定額の通知を受けたら提出
事業成果等報告書(様式第13号)事業が完了した日の属する会計年度の翌年度から5年間、毎年事業成果を報告
財産処分承認申請書(様式第12号)50万円以上の取得財産を処分する場合に提出
事業完了後の必要書類

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の事業着手申請について

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業では、早期の事業着手・事業期間確保の観点から、事業着手申請を受け付けています。

補助事業は交付決定後に開始することを原則としていますが、本制度を利用すると令和6年4月1日以降の事業着手が認められ、その際に発生した経費を本事業の対象経費に含めることができます。

申請期間は令和6年6月3日(月)から11月22日(金)までで、この期間内に「事前着手承認申請書」に必要事項を記入の上、下記申請先に提出する必要があります。申請書は、しまね産業振興財団が公開している本事業の詳細ページからダウンロード可能です。

事前着手承認の申請先
(財)しまね産業振興財団 経営支援課E-mail:con@joho-shimane.or.jp

なお、承認後も交付申請手続きは必要となります。また、本制度の承認を得ても、補助金が必ず採択されるわけではない点にも注意しましょう。

その他の注意点については、「事前着手申請制度対応要領」をご確認ください。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業で補助対象事業者に発生する義務

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業では、補助対象事業者に以下のような義務を課しています。

これらの義務を遵守しない場合、補助金交付の取り消しや返還などのペナルティが発生する場合がありますので、事前によく把握しておきましょう。

  • 経費配分の20%超の変更や事業内容の変更、中止・廃止時は変更承認申請が必要
  • 事務局の指示に応じて、事業の遂行状況の報告が必要
  • 事業完了後15日以内に実績報告書の提出が必要
  • 取得価格50万円以上の財産は台帳管理の作成・提出が必要
  • 事務局による実地検査の要請があった場合は対応が必要
  • 事業完了後5年間、毎年成果報告書の提出が必要
  • 取得価格50万円以上の財産を処分するときは承認申請が必要
  • 財産処分により収入がある場合は全額もしくは一部納付が必要
  • 事業に係る帳簿・証拠書類は5年間保存
  • 「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179 号)」の遵守
  • 「生産プロセス変革型」の交付決定を受けたものの、「従業員数の維持」ができない場合は補助金の一部返還が必要
  • 「生産プロセス変革型」の交付決定を受け、事務局から要請があった場合は事業の成果を「先駆的な取り組み」として公開する必要あり

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の採択率を上げるためのポイント

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業への採択率を上げるには、公募要領が示す注意点と審査項目を理解し、説得力のある事業計画を作成することが重要です。審査員の心を掴む事業計画書の書き方や、採択率アップにつながるポイントを紹介します。

本事業の公募要領には、事業計画作成における注意事項が記載されています。各項目については具体的に数値などを用いてわかりやすく記載するとともに、自社の熱意や独自性をアピールすることが重要です。

項目内容記載例(生産プロセス変革型の場合)
(1)事業の概要
事業名補助事業の内容を端的に示す省エネ型ロボット導入による生産自動化事業
事業概要補助事業の目的、導入する設備、取り組み概要、期待効果を200字以内にまとめる昨今のエネルギー価格高騰に対応し、生産ラインに省エネ型の溶接ロボットを導入する。これまで人手に頼っていた金属部品の溶接作業を自動化することで、生産能力を向上させ、品質の安定化を図る。また、ロボット導入による省人化によって人件費を削減し、エネルギー効率の改善と合わせてコスト削減を実現する。これらの相乗効果により、企業収益の向上と安定化、ひいては従業員の待遇改善を目指す。
事業実施場所補助事業を実施する場所を記載本社工場
(2)事業内容
企業・製品・技術・既存事業などの概要会社概要、主力製品や保有技術、特長や強み創業〇〇年、従業員〇〇名で〇〇の製造販売を行う。主力製品は〇〇であり、高い技術力で国内シェア〇〇%を誇る。
自社の現状分析外部環境と内部環境を分析し、自社の現状、優位性、課題を明確にする〇〇業界は、競合激化や原材料費高騰が課題となっている。当社の強みは〇〇だが、人手不足が深刻化しており、エネルギーコストの上昇も収益を圧迫している。
エネルギー価格・物価高騰の影響エネルギー価格・物価高騰が自社に与える影響を数値等を用いて具体的に記載原材料費が前年比〇〇%上昇、電気料金は〇〇%上昇し、収益を圧迫。このままでは価格転嫁も困難なため、抜本的なコスト削減が急務となっている。
当事業での具体的な取り組み内容生産プロセス変革型の場合は、現状の課題と対応策、導入設備の概要や特長を説明ロボット導入により、〇〇工程を自動化する。最新鋭の省エネ型ロボットを導入することで、従来比〇〇%の電力削減を見込む。
当事業の実施体制社内の実施体制を、担当者名、役職、役割を明確にして説明本社工場の〇〇部長を責任者とし、製造部の〇〇課長、〇〇係長が担当する。
当事業の実施スケジュール補助事業の実施スケジュールを、取り組み項目ごとにガントチャートで説明
(3)事業目標
事業目標取り組みによる効果を定量面と定性面の両面から説明定量面:生産量〇〇%向上、人件費〇〇%削減。定性面:従業員の技能向上、労働環境改善
(4)経営目標・経営計画
経営計画補助事業実施後の3~5年の経営計画を、各事業区分の要件を満たすように記載補助事業により、3年後には売上高〇〇%増、従業員数〇〇名へ拡大
経営目標※「サプライチェーン再構築型」の場合のみ県外企業からの受注額増加、県内企業との取引額増加について具体的な目標を記載県外企業からの受注を、〇〇(具体的な取引内容)により、3年後には〇〇%増加させる。
事業計画作成における注意事項と記載例

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業では、以下のような項目に沿って審査が行われます。事業計画書を作成するときは、これらの点も踏まえるようにしましょう。

審査項目生産プロセス変革型サプライチェーン再構築型
事業の趣旨生産性向上・事業継続性確保に有効か市場変化への対応に有効か
妥当性・実現可能性・導入設備などの事業経費が事業計画の中で重要なものとして位置づけられているか
・実施内容は具体的で実現可能性が高いものか
・事業スケジュールは妥当か
・事業実施による効果は投資規模に対して妥当か
同左
事業の効果・事業実施によって省人化・自動化の実現が図られるか
・事業実施によって生産性が向上するか
・県内企業のモデルとなる事業か
・事業実施によって県外企業からの受注拡大が見込めるか
・事業実施による受注量・受注分やの拡大が県内他社へも波及していくか
経営状況・経営者評価・事業遂行可能な経営状況であるか
・経営者に熱意はあるか、信頼を得られるか
同左
各類型の審査項目

これらの審査項目を踏まえ、事業計画書を作成することが重要です。特に、エネルギー価格・物価高騰への対応策として、具体的かつ実現可能な取り組みを提案し、その効果を定量的・定性的に示すことがポイントとなります。また、県内製造業全体への波及効果や、モデル性の高い先駆的な取り組みであることをアピールすることで、評価向上につながります。

経営者の熱意や事業遂行能力も重要な評価ポイントとなるため、これらを事業計画書に適切に反映させることが採択率向上のカギとなります。

事業計画書は、経営者の熱意や独自性を伝える重要なツールです。審査員は、数多くの計画書に目を通す中で、経営者の事業にかける情熱や、地域への貢献意欲、そして成功への強い意志を感じ取ろうとしています。

そのため、公募要領に示す要件をただ単に満たすだけでは不十分です。

例えば、「生産プロセス変革型」に応募する場合、単に「人手不足のため自動化設備を導入したい」と記載するのではなく、「これまで培ってきた熟練の技を自動化する仕組みを構築することで、後継者不足の課題を解決し、地域のものづくり産業の活性化に貢献したい」といったように、具体的な目標や将来展望、地域貢献への思いを盛り込むことが重要です。

また、「サプライチェーン再構築型」であれば、「エネルギー価格高騰の影響を受けやすい従来のサプライチェーンを見直し、新たな販路開拓や海外調達などを実現することで、より強靭な事業体制を確立したい」というように、現状の課題や、事業を通じて実現したい未来を明確に示すことが大切です。

事業計画書は経営者の想いを審査員に伝える重要な役割を担っています。要件を満たすだけでなく、独自の視点や熱い思いを込めて、他の応募者との差別化を図りましょう。

補助金申請には専門的な知識や書類作成の手間がかかり、時間や労力を大きく費やすことになります。本業で忙しい経営者にとって、補助金申請に専念することは難しいのではないでしょうか。

もしそのような場合は、補助金申請支援の専門家に伴走してもらいましょう。申請書類の作成サポートはもちろん、事業計画のブラッシュアップや、採択率を上げるためのアドバイスを受けることができます。

専門家を選ぶ際には、実績や経験、費用などを比較検討することが大切です。実績や経験が豊富な専門家であれば、安心して依頼することができます。また、費用は専門家によって異なるため、事前に見積もりを取ることが重要です。

補助金申請は、自社の事業を成長させるための大きなチャンスです。専門家の力を借りながら、積極的に活用していきましょう。

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請前チェックリスト

項目チェック
【補助対象者要件】
島根県内に主たる事業所があるか?
中小企業基本法に定める中小企業者であるか?
製造業を主たる事業としているか?
みなし大企業ではないか?
エネルギー価格・物価高騰の影響を受けているか?
暴力団排除に関する誓約事項に該当しないか?
島根県税の未納がないか?
パートナーシップ構築宣言の登録を行っているか?
【事業計画】
事業類型(生産プロセス変革型/サプライチェーン再構築型)を選択しているか?
選択した事業類型の要件を満たす計画となっているか?
エネルギー価格・物価高騰への対応策が具体的に記載されているか?
事業効果が定量的・定性的に示されているか?
実施スケジュールが明確に記載されているか?
【提出書類】
交付申請書及び誓約書(様式第1号)は準備できているか?
事業計画書(様式第1号別紙1)は作成したか?
事業収支計画書(様式第1号別紙2)は作成したか?
支出内訳書(様式第1号別紙3-1)は作成したか?
従業員名簿(様式第1号別紙4)は準備できているか?
会社概要資料は用意したか?
直近2期分の決算書は準備できているか?
登記事項証明書または定款の写しは用意したか?
投資内容の詳細資料(見積書等)は揃っているか?
納税証明書(県税)は取得したか?
パートナーシップ構築宣言の登録証は準備できているか?
ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請前チェックリスト

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業の申請でお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業は、製造業者の生産性向上や競争力強化を支援する重要な制度です。しかし、申請手続きや事業計画の作成に不安を感じる事業者も多いでしょう。

中小企業経営支援事務所では、補助金申請のエキスパートとして、多くの事業者の支援を行っています。どのような事業計画であれば経営者の事業にかける思いが審査員に伝わりやすくなるのか。補助金を受け取るにあたって思わぬトラブルに遭わないためにはどういった対策が必要なのか。そうしたアドバイスをできるのが当社の強みです。

採択につながる事業計画を作成したい、トラブルなくスムーズに補助金を受けたい、とお考えでしたら、ぜひお問い合わせください。初回相談は無料です。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金を徹底解説!採択率UPのポイントも紹介

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の概要

近年、観光業界においてもデジタル化の波が押し寄せています。顧客満足度向上や業務効率化のために、デジタル技術を活用したサービスの導入はもはや必須と言えるでしょう。

しかし、新しいシステムや機器を導入するには、コストがかかることも事実です。そこで、活用したいのが「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」です。

東京都および東京観光財団が実施するこの補助金は、都内の中小企業の観光事業者を対象に、デジタル技術を活用したサービスの導入にかかる費用の一部を補助するものです。

この記事では、本補助金について、東京観光財団の「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」ページや「【令和6年度】 観光事業者のデジタル化促進事業 募集要領(第2回募集)」をもとに、補助対象となる事業や申請資格、補助率、申請方法などを詳しく解説していきます。さらに、採択率を高めるのポイントもご紹介しますので、申請を検討するときの参考としていただけると幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の目的

観光事業者のデジタル化促進事業補助金とは、東京都内にある中小企業の観光事業者のデジタル化やDXを支援する補助金です。

具体的には、都内の観光産業の活性化と、旅行者の利便性の向上させるスマート観光を実現させるために、事業の生産性向上や新サービス・商品の開発などにかかる費用の一部を補助します。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象事業

観光事業者のデジタル化促進事業補助金は、都内の中小企業の観光事業者(これから観光事業を営む予定の者を含む)が、デジタル技術を活用し、自社の生産性向上や新たなサービス・商品の開発などを行うための取り組みを対象としています。募集要領では以下のような例が想定されています。

  • 業務の効率化を図るための独自システムの開発・導入
  • 直販比率拡大のための自社サイト内の予約販売・決済システムの構築・導入
  • AIや位置情報を活用した情報発信ツールの開発・導入
  • ロボットによる受付・案内・掃除・運搬等のためのシステム及び機器の開発
  • IoTを活用した混雑・空室情報サービスの提供
  • 旅行者の行動・購買履歴等のデータを活用した販売促進

補助金対象となるポイントは、「デジタル技術の活用」と「自社事業の強化」です。そのため、例えば単なる設備の老朽化に伴う買い替え、特定の顧客のみを対象とした汎用性のないサービス・商品開発などは対象外となります。

それ以外にも、公序良俗に反する事業、東京都外で利用されるデジタル化やDXへの取り組み、東京が目的地に含まれない旅行商品・サービスに係る取り組み、他県や海外の文化・風習などに強く紐づいたサービス・商品開発なども補助金対象事業にはなりません。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象者

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の対象者は、東京都内の中小企業の観光事業者で、以下のいずれにも当てはまる場合です。

中小企業基本法に定める中小企業者であることが必要です。具体的には、以下のような条件に該当し、大企業が実質的に経営に参画していない事業者であることが求められます。

業種資本金および従業員数
製造業、建設業、運輸業、その他の業種(下記以外)
-ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円以下または300人以下
-3億円以下または900人以下
卸売業1億円以下または100人以下
小売業5,000万円以下または50人以下
サービス業(下記以外)
-ソフトウェア業、情報処理サービス業
-旅館業
5,000万円以下または100人以下
-3億円以下または300人以下
-5,000万円以下または200人以下
中小企業者の定義

大企業とは、上記以外の事業者(中小企業投資育成株式会社、投資事業有限責任組合を除く)のことです。この企業が、大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の1/2以上を所有または出資しているなどの場合、実質的に経営に参画しているとみなされるため、本事業の対象者からは外れることになります。

東京都内で、旅行者向けにサービス・商品を販売・提供する事業を営む、または営む予定の事業者であることも必要です。具体的には、以下のいずれかに該当する事業者が対象となります。

  • 宿泊事業者:旅館業法に基づく許可を受け、東京都内で宿泊施設を運営する事業者。風俗営業などは除く
  • 飲食事業者:食品衛生法に基づく許可を受け、東京都内で飲食店を営業する事業者。風俗営業などは除く
  • 小売事業者:東京都内で販売場を設け、営業を行っている事業者
  • 旅行事業者:旅行業法に基づく登録を受け、東京都内で旅行業を営む事業者
  • その他:体験・アクティビティ提供事業者など、旅行者へ直接サービス・商品を提供する事業者で、東京観光財団理事長が認める者

以下のような事業実績と将来性があることも条件となっています。

  • 令和6年4月1日時点で東京都内に本店または支店があり、2年以上事業を継続して営んでいること(個人事業者を含む)
  • 補助事業の成果を活用し、今後も東京都内で事業を継続する予定であること

東京都内に登記上の本店または支店があり、納税証明書の提出が可能なことも条件です。

個人事業主の場合、事業税の課税対象者は「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し、納税証明書(事業税)、住民税納税証明書を提出できることが求められます。非課税対象者は「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し、所得税納税証明書、住民税納税証明書を提出できることが必要となります。

その他、以下のような条件も満たさなければいけません。

  • 同一内容の事業で、他の補助金を受けていないこと(ただし、補助対象経費が明確に区分できる場合は対象)
  • 暴力団関係者、風俗関連業、ギャンブル業、賭博業などに該当しないこと
  • 過去5年以内に刑事罰を受けていないこと(法人その他の団体の場合は代表者も含む)
  • 税金の未申告や滞納がないこと
  • 東京都や東京観光財団に対する債務の滞納がないこと
  • 過去に補助金の交付決定取消や法令違反などを起こしていないこと
  • 事業継続に不確実な状況が存在しないこと(民事再生法・会社更生法・破産法適用など)
  • 補助事業の実施に必要な許認可を取得していること、または取得予定であること
  • 東京観光財団の観光経営力強化事業と同一内容の申請を行っていないこと
  • 補助事業の進行管理などに対応できること
  • 補助事業の実施場所を東京都内に有していること
  • 過去に本補助金の交付決定を受けている場合、申請時点で当該補助事業を完了していること
  • 宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助率

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助率は、賃金引上げ計画の有無によって異なります。

賃金引上げ計画を掲げない場合は、補助対象経費の2/3以内となります。一方、賃金引上げ計画を掲げ、実際に達成した場合は補助対象経費の3/4以内と、より高い補助率が適用されます。

賃金引上げ計画を掲げて申請する場合、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 補助対象事業終了後に初めて到来する事業年度の給与支給総額が、申請時の直近決算書の給与支給総額と比べて2.0%以上増加すること。ただし、被用者保険の適用拡大について、制度改革に先立って任意適用に取り組む場合は1.5%以上の増加でよい
  2. 補助対象事業終了後、初めて到来する事業年度の全ての月において、補助対象事業を実施する都内事業場内の最低賃金が「地域別最低賃金+30円以上」を達成すること

なお、賃金引上げ計画を掲げて申請した場合、補助金は2回に分けて交付されます。1回目は補助率2/3以内で算出された金額、2回目は賃金引上げ計画達成後に残りの金額が交付されます。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助限度額

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助限度額は3,000万円で、下限額は100万円です。

ただし、広告費については別途上限が設けられており、補助金予定額の合計が500万円(補助対象経費では750万円)を超えることはできません。また、広告費が含まれる「集客・販路開拓費」のみの申請は受け付けられません。

なお、補助金の交付額は1,000円未満の端数が生じた場合、補助対象費目ごとに切り捨てて計算されます。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の事業実施期間

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の事業実施期間は、第2回募集の場合、令和7年1月1日から令和8年12月31日までの最長2年間です。この期間内に、契約、取得、実施、支払い(口座引き落とし)がすべて完了する経費が補助対象となります。

なお、事業実施期間は申請時に設定しますが、事業の進捗状況によって期間を変更しなければならなくなった場合は、事前に東京観光財団に正当な理由を伝え、承認を得る必要があります。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象経費

観光事業者のデジタル化促進事業補助金では、上記事業に当てはまる経費であればすべて補助の対象となるわけではありません。募集要項にて細かく規定されているので、事前によく確認するようにしましょう。

本補助金の補助対象となる主な経費は以下のとおりです。

経費区分補助対象となる具体的な経費例留意点
①ICT化・DX経費・新システム構築費
・ソフトウェア導入費
・クラウド利用費
・データ取得・解析経費
・システム構築は申請前に要件定義が完了し、仕様や機能が具体的に決まっていることが必要・ソフトウェア導入は、ワードやエクセルなどの汎用性のあるものは対象外
・クラウド利用費は、自社保有でないサーバーに接続して機能提供やデータ保存領域割り当てを受けるための費用であること
・データ取得・解析は、新規の場合であること
②機械設備導入費・生体認証に必要なカメラや周辺機器
・ロボット機器
・デジタル技術を活用した事業に直接必要な機械装置や備品の購入費、リース・レンタル費であること
・老朽化に伴う単なる買い替えや改装は対象外
・自ら調達して設置・工事を行う場合は対象外
・1件100万円(税抜)以上の購入は、単価、数量、規格、メーカー、型番等の記載が必要
・リース・レンタルは、補助対象期間内に新たに契約を締結したものに限る
③専門家指導費・デジタル技術導入に関する専門家からの指導・助言
・社員向けデジタル技術研修
・上記①②の経費申請が必須であり、そのシステムや機械設備についての指導・助言に限る
・補助金予定額は50万円(補助対象経費は75万円)が上限
・専門家へ事業の一部委託をする場合は「外注・委託費」に計上
・指導報告書の提出が必要
・公共交通機関の利用による交通費は対象(ただし、鉄道のグリーン車、航空機のプレミアムシートやファーストクラス・ビジネスクラスは対象外)
・交通費のうち、船舶運賃が複数段階に分かれている場合は、中級以下の等級の運賃が対象
・既存事業や経営に係る顧問契約は対象外
・事務手続きに係る指導・助言は対象外
④新サービス・商品開発費・開発の一部を外部事業者や大学などに外注・委託する費用
・産業財産権の出願(調査を含む)費用、および必要な産業財産権を他の事業者から譲渡または実施許諾を受けた場合の費用
・開発後の事業化(生産、販売など)に係る経費は対象外
・集客・販路開拓費用は「⑤集客・販路開拓費」で申請
・産業財産権の出願は、補助対象期間内に出願手続きが完了していることが必要
・出願後の費用(審査請求、登録料、維持年金など)は対象外
⑤集客・販路開拓費・展示会等出展経費(出展小間料、商談会参加費、資材費、運搬費、旅費、保険料、通訳・翻訳費など)
・イベント開催費(会場借上費、資材費、運搬費、保険料、通訳・翻訳費など)
・広告費(広告制作費、広告掲載料、屋外広告掲出費など)
・上記①②④のいずれかの経費申請が必須であり、その成果・成果物(開発したシステム、新サービス・商品など)の広報に限る。既存事業や補助対象事業以外のものは対象外
・展示会等出展経費、イベント開催費は、原則として出展・参加および支払いが補助対象期間内に行われるものに限る
・広告費は、補助金予定額が合計500万円(補助対象経費では750万円)が上限・旅費は、補助金予定額が20万円(補助対象経費は30万円)が上限
・広告掲載として利用するリスティング広告は「Yahoo!」「Google」への直接契約のみ対象
観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象経費

上記はあくまで一例です。詳細については、最新版の募集要領をご確認ください。

対象外となる主な経費は、以下のとおりです。

  1. 補助対象経費一覧に掲げられていないすべての経費
  2. 申請書に記載されていない物品の購入費
  3. 補助対象期間前または期間終了後に契約・支払いが行われた経費
  4. 補助事業に関係のない物品の購入、外注、業務委託などの経費
  5. 帳票類(見積書、契約書、納品書、請求書など)が不備の経費
  6. 業務内容や成果が不明確な経費
  7. 通常業務・取引と混合して支払われ、区分できない経費
  8. 他社発行の手形や小切手、クレジットカードなどによる支払経費
  9. 親会社、子会社、グループ企業等関連会社との取引
  10. 直接人件費
  11. 間接経費(消費税、振込手数料、交通費、通信費、家賃など)
  12. 資料収集業務、調査業務、会議費、消耗品などの事務的経費
  13. 保守に係る経費
  14. 汎用性があり目的外使用になり得るもの(事務用パソコン、プリンタ、タブレット端末など)
  15. 一般的な電化製品や家庭用機器の購入・設置費
  16. 不動産の取得費
  17. 一般的な市場価格や事業規模に対して著しく高額な経費
  18. 公的資金の用途として社会通念上不適切と認められる経費

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の補助対象者の流れ

観光事業者のデジタル化促進事業補助金は、賃金引上げ計画を掲げない場合と掲げる場合で、交付申請から補助金交付までの流れが異なります。

出典:【令和6年度】 観光事業者のデジタル化促進事業 募集要領(第2回募集)p.14丨東京観光財団

賃金引上げ計画なしの場合の交付申請から補助金交付までの流れは、以下の通りです(具体的な日付は第2回募集の場合)。

  1. 交付申請:令和6年10月11日(金)までに必要書類を東京観光財団に提出します。
  2. 一次審査(書類審査):令和6年11月上旬~中旬に実施されます。
  3. 二次審査(面接審査):令和6年12月上旬~中旬に実施されます。
  4. 交付決定・事業開始:東京観光財団による審査通過後、財団から交付決定通知を受け取り事業を開始します。
  5. 事業終了:最長2年間(令和8年12月31日まで)の期間内に事業を完了させます。
  6. 実績報告:事業終了後1ヶ月以内に、実績報告書を東京観光財団に提出します。
  7. 完了検査:東京観光財団が事業の完了を確認します。
  8. 額確定:補助金の交付額が確定し、確定通知書が東京観光財団から送付されます。
  9. 補助金請求:確定通知書受領後、補助金請求書を東京観光財団に提出します。
  10. 補助金交付:請求書提出から1~2週間程度で補助金が振り込まれます。
出典:【令和6年度】 観光事業者のデジタル化促進事業 募集要領(第2回募集)p.14丨東京観光財団

賃金引上げ計画ありの場合、補助金交付までの流れは2段階に分かれます(具体的な日付は第2回募集の場合)。

【第1段階:補助金交付①】

  1. 交付申請:令和6年10月11日(金)までに必要書類を東京観光財団に提出します。
  2. 一次審査(書類審査):令和6年11月上旬~中旬に実施されます。
  3. 二次審査(面接審査):令和6年12月上旬~中旬に実施されます。
  4. 交付決定・事業開始:東京観光財団による審査通過後、財団から交付決定通知を受け取り事業を開始します。
  5. 事業終了:最長2年間(令和8年12月31日まで)の期間内に事業を完了させます。
  6. 実績報告:事業終了後1ヶ月以内に、実績報告書を東京観光財団に提出します。
  7. 完了検査:東京観光財団が事業の完了を確認します。
  8. 額確定:補助率2/3を上限とした補助金交付額が確定し、確定通知書が東京観光財団から送付されます。
  9. 補助金請求:確定通知書受領後、補助金請求書を東京観光財団に提出します。
  10. 補助金交付①:請求書提出から1~2週間程度で補助金が振り込まれます。

【第2段階:補助金交付②】

  1. 賃上げ達成報告:「事業終了後、初めて到来する事業年度の決算月」から4ヶ月以内に、賃金引上げ計画達成報告書を東京観光財団に提出します。
  2. 審査:賃金引上げ計画の達成状況が東京観光財団で審査されます。
  3. 賃上げ達成確認:計画達成が確認されると、残りの補助金交付額が確定します。
  4. 差額分の請求:確定通知書受領後、残りの補助金分の請求書を東京観光財団に提出します。
  5. 補助金交付②:請求書提出から1~2週間程度で補助金が振り込まれます。

賃金引上げ計画ありの場合、補助率3/4が適用されますが、全額を受け取るまでに時間がかかる点に注意が必要です。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請方法

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請方法は、郵送による申請と電子申請の2種類があります。

郵送による申請の場合、申請期限は令和6年10月11日(金)消印有効です。必要書類をすべてそろえた上で、「簡易書留」などの追跡可能な方法で東京観光財団宛に郵送します。封筒に「観光事業者のデジタル化促進事業補助金 在中」と記載し、以下の宛先に送りましょう。

(書類郵送先)〒162-0801 東京都新宿区山吹町346番地6 日新ビル2階(公財)東京観光財団 観光産業振興部 観光産業振興課「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」担当 宛
観光事業者のデジタル化促進事業補助金の申請書類の宛先

電子申請の場合は、デジタル庁が提供する電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用します。申請期限は令和6年10月11日(金)16:00到着分までです。電子申請を行うには、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要となるため、余裕を持って準備することが重要です。

※令和6年9月10日現在、電子申請による受付は行われていませんが、9月中旬を目処に再開される予定となっています。

申請にあたっては、募集要領で指定された必要書類をすべて提出しなければいけません。書類に不備や漏れがある場合は申請を受け付けられないため、締切日前に余裕を持って提出することが推奨されています。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の必要書類

観光事業者のデジタル化促進事業補助金では、さまざまな書類の提出が求められます。「交付申請時」「実績報告時」「賃金引上げ計画達成報告時」に分けて紹介します。

なお、「第◯号様式」や「別紙◯」などについては、東京観光財団の「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」ページにある申請様式という項目からダウンロードできます。

交付申請時には、以下の書類が必要です。

必要書類備考
交付申請書(第1-1号様式)
事業計画書(第1-2号様式)必要書類チェックリストと申請前確認書を含む
資金計画書(別紙1)
収支計画書(別紙2)
賃上げ計画書・誓約書(別紙3)賃上げ計画を掲げる場合のみ
補足説明資料必要な場合のみ。A4用紙10枚以内
確定申告書直近2期分の写し。受付印または電子申告の受信通知が必要
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)発行後3ヶ月以内の原本。個人事業者の場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し
印鑑証明書発行後3ヶ月以内の原本。電子申請では不要
社歴(経歴)書会社概要(パンフレット)でも可
事業税などの納税証明書直近の原本。個人事業者は個人事業税の納税証明書(もしくは代表の所得税納税証明書)と住民税の納税証明書
見積書発行日、宛名、見積者の会社名・住所・押印がある写し。1件100万円(税抜)以上は原則2社以上
各種許可書写し。該当する事業者のみ(例:旅館営業許可書)
建物の不動産登記簿謄本、または賃借契約書など登記簿謄本は原本、賃借契約書などは写し。補助金交付対象施設の改修などを行う事業を実施する場合のみ
交付申請時に必要な書類

実績報告時に必要な書類は、以下のように決められています。

必要書類留意事項
観光事業者のデジタル化促進事業実績報告書(第6号様式)本表、付表1、付表2、付表3を含む
見積書の写し宛先、金額、消費税額、発行日、発行者名、所在地、購入品などの内容がすべて明記されており、かつ発行者の押印がある写し
契約書または注文書+注文請書金額、消費税額、契約日、契約者名、所在地、購入品などの内容がすべて明記されており、かつ発行者の押印がある写し
納品書/工事完了報告書/業務完了届など契約先が作成した写し。完了日が記載され、かつ発行者の押印があるもの
契約先発行の請求書宛先、金額、消費税額、発行日、発行者名、所在地、購入品などの内容がすべて明記されており、かつ発行者の押印がある写し
領収書の写し、普通預金通帳または当座勘定照合表契約宛先、領収金額、消費税額、領収日、発行者名、所在地、購入品などの内容がすべて明記されており、かつ発行者の押印がある写し
補助事業の成果物システム作成の場合、画面遷移図などの写真
その他、東京観光財団理事長が必要とする資料
実績報告時に必要な書類

また、これらの書類を提出するときは、以下の点に注意しなければいけません。

  • 補助事業が完了してから1ヶ月以内に提出すること
  • 電子契約の場合は、電子契約関連の法律の要件を満たしていること
  • 海外で発行された書類を提出するときは、日本語訳と翻訳内容保証書を添付すること
  • 支払いは原則として振込払いとすること(クレジットカードなどでの支払いは対象外)

賃金引上げ計画を掲げて申請した事業者は、事業終了後に計画達成の報告を行う必要があります。この報告には以下の書類が必要です。

必要書類留意事項
賃金引上げ計画達成報告書(第6-2号様式)
決算報告書事業終了後に初めて到来する決算期のものの写し
賃金台帳上記の決算報告書の事業年度における、決算月のものの写し。代表者1名分
任意特定適用事業所該当通知書写し。該当する場合のみ。被用者保険の適用拡大について、制度改革に先立ち任意適用に取り組んだ場合に必要
その他、東京観光財団理事長が必要とする資料
賃金引上げ計画達成報告に必要な書類

提出期限は、事業終了後(補助対象経費の最後の振込・引き落しが完了)に初めて到来する決算月から4ヶ月以内です。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の交付決定の取り消しと補助金の返還

観光事業者のデジタル化促進事業補助金では、補助事業者、外注先、その他関係者が不正や違反を行った場合、交付決定が取り消される可能性があります。主な取り消し事由は、以下のとおりです。

  1. 交付決定内容と異なる事実が判明した場合
  2. 不正な手段による補助金受給や目的外使用
  3. 補助対象設備の無断処分や移設
  4. 暴力団関係者や不適切な業態と判明した場合
  5. 過去5年以内の刑事罰
  6. 補助対象要件を満たさないことが判明
  7. 交付決定の条件違反
  8. その他法令違反など

すでに補助金が交付されている場合は、期限を定めて返還が命じられます。返還命令を受けた場合、補助金受領日から返還日までの日数に応じて、年10.95%の割合で計算した違約加算金の納付も求められる可能性があります。

また、返還命令の納期日を過ぎても納付されない場合、納期日翌日から納付日までの日数に応じて、年10.95%の割合で計算した延滞金の納付も求められることがあります。

やむを得ない事情がある場合、東京都との協議により、違約加算金や延滞金が免除または減額されることもありますが、返還の対象とならないようにすることが肝要です。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金のその他の留意点

観光事業者のデジタル化促進事業補助金を受ける際には、補助金交付後も以下の点に注意する必要があります。

本補助金では、東京観光財団が補助事業者に対して現地調査を行う場合があります。調査では、補助事業の実施状況、補助金の収支状況、帳簿書類、取得した財産などについて確認されます。補助事業者は、調査に協力し、必要な情報を提供する義務があります。

補助事業者は、補助事業に関連する帳簿や領収書など、すべての関係書類を補助事業完了年度の翌年度から5年間保存する必要があります。

補助事業により取得した財産(設備、試作品など)のうち、単価50万円(税抜)以上のものについては、5年間、原則として処分(売却、譲渡、廃棄など)することができません。もし、やむを得ず処分する場合は、事前に東京観光財団に申請し承認を得る必要があります。承認を得ずに処分した場合、補助金の返還を求められる可能性があります。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金の採択率UPのポイント

観光事業者のデジタル化促進事業補助金に採択されるには、募集要領に記載されている対象要件をクリアし、申請書類を漏れなく用意するだけでなく、いくつかの「コツ」を意識する必要があります。ここでは補助金申請のエキスパートである弊社が、多数の支援を行う中で感じてきた採択率UPのポイントを紹介します。

補助金申請において、募集要領を熟読することは当然ですが、単に字面を追うだけでは不十分です。重要なのは、補助金の目的を理解し、その意図を汲み取った事業計画を作成することです。

観光事業者のデジタル化促進事業補助金であれば、単にデジタル化すれば良いのではなく、それがどのように東京の観光活性化や旅行者の利便性向上につながるのか、そのためになぜこの取り組みなのか、事業計画の中で明確に示す必要があります。

例えば、飲食店が、多言語対応のセルフオーダーシステムを導入する場合、単に「業務効率化のため」と記載するのではなく、「外国人旅行者の利便性を向上させることで、東京の飲食店全体の顧客満足度向上、ひいては観光客の増加、消費拡大による観光産業の活性化につながる」といった具合です。その上でシステム導入によって期待される効果を数値化したり、具体的なターゲット層を明確化したりすることが大切です。

募集要領をよく読み込み、具体的な数字を盛り込んだ事業計画は採択の可能性を高め、ひいては事業者の持続的な発展にも寄与します。

「観光事業者のデジタル化促進事業補助金」の審査では、大きく分けて「資格審査」「経理審査」「事業審査」「面接審査」の4つの視点から評価されます。この視点を把握することも採択率を高める重要なポイントです。

資格審査

補助金の交付要綱や募集要領に記載された申請資格を満たしているかを確認する審査です。具体的には、中小企業者であるか、東京都内で旅行者向けにサービス・商品を販売・提供する事業を営む観光事業者であるかなどがチェックされます。

これらの要件を満たしていない場合は、申請自体が受け付けられません。申請前に、自身の事業が補助対象者の要件を満たしているか、募集要領や交付要綱を熟読して確認しましょう。

経理審査

補助事業を適切に遂行できる財務基盤を持っているか、資金計画に無理がないかなどを評価する審査です。具体的には、以下の項目がチェックされます。

項目内容
資金調達の実現性自己資金や借入金など、補助事業に必要な資金を計画通りに調達できるか
事業の持続可能性補助事業終了後も、事業を継続できる経営状況にあるか
事業予算規模補助事業にかかる費用が、既存の事業規模に対して適切な金額であるか
収支計画補助事業によって収益が向上する見込みがあるか、費用対効果が見込めるか
経理審査の項目

過去の決算書や事業計画書などを参考に、財務状況が健全であることを示す必要があります。

事業審査

補助事業の内容が妥当であるか、実現可能性や効果、波及効果などを評価する審査です。具体的には、以下の項目がチェックされます。

項目説明
新規性デジタル技術を活用した事業であり、他の事業者と差別化できる新規性があるか
優秀性現状の課題を的確に分析し、デジタル技術を活用した具体的な解決策を提案しているか
市場性・競争優位性市場動向や顧客ニーズ、競合などを分析し、事業の成功が見込めるか
実現性必要な人材やノウハウ、設備などを確保し、計画通りに事業を実行できる体制が整っているか
波及性補助事業が、自社だけでなく、地域や観光産業全体に良い影響を与える可能性があるか
適合性東京の観光活性化や旅行者の利便性向上につながる事業内容であるか
事業審査の項目

事業計画書で、これらの項目を具体的に説明し、審査員に事業の意義や価値を理解してもらうことが重要です。

面接審査

一次審査(書類審査)を通過した申請者を対象に、事業計画の詳細や熱意などを直接確認するための審査です。事業計画の内容を簡潔に説明できるよう、事前に準備しておきましょう。また、審査員からの質問に対して、的確に回答できるようにしておくことも重要です。

補助金申請は、要件の確認や書類作成など、複雑な手続きが多く、初めての人にとってはハードルが高いものです。申請をスムーズに進め、採択率を上げるためには、専門家のサポートを受けることが有効です。

補助金申請支援の専門家には、主に中小企業診断士や行政書士などがいます。これらの専門家は補助金制度に精通し、申請書類の作成や事業計画のブラッシュアップ、面接対策など、多岐にわたるサポートを提供しています。

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【最新版】躍進的な事業推進のための設備投資支援事業活用ガイド|申請方法や採択のコツを解説

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の概要

最新の機械設備やソフトウェアを導入すると、生産性向上や業務効率化、人材不足の解消など、さまざまなメリットが期待できます。しかし、多額の初期投資が必要となるため、中小企業にとっては大きな負担となることも事実です。

そのような中小企業を力強く支援するのが、東京都中小企業振興公社が実施する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」です。 本事業では、競争力強化や生産性向上を目的とした設備投資を行う都内の中小企業者に対し、設備導入費用の一部を助成します。

この記事では、東京都中小企業振興公社の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」ページ本事業の募集要項をもとに、助成対象となる事業や設備、助成率・助成限度額、申請方法などを詳しく解説します。 本事業を最大限に活用し、設備投資による事業の成長を加速させましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは、都内の中小企業者のために、「製品・サービスの質的向上」 による競争力強化や 「生産能力の拡大」 による生産性向上に必要な設備導入にかかる費用の一部を助成する事業です。

近年、中小企業を取り巻く経営環境は、少子高齢化やデジタル化の進展など、大きく変化しています。そのような変化の激しい時代において、中小企業が持続的に成長していくためには、積極的な設備投資を行い、競争力の強化やDX・イノベーションの推進をしていくことが不可欠です。

東京都は、本事業を通じて、中小企業の中長期的な発展を支援し、東京の経済をより一層活性化させていきたいと考えています。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請資格の要件

本事業による助成は、すべての企業が受けられるわけではありません。申請するためには、以下のような要件を満たしている必要があります。

本事業による助成を受けるには、申請する企業が中小企業者であること、または中小企業団体等であることが求められます。

中小企業者

中小企業者とは、下表の条件を満たし、かつ大企業が実質的に経営に参画していない事業者を指します。

業種資本金および常用従業員数
製造業・建設業・運輸業・その他の業種3億円以下または300人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円以下または300人以下
ゴム製品製造業の一部3億円以下または900人以下
卸売業1億円以下または100人以下
サービス業5,000万円以下または100人以下
旅館業5,000万円以下または200人以下
小売業(飲食業を含む)5,000万円以下または50人以下
中小企業者の条件

※中小企業者のうち、下表の要件を満たす事業者については小規模企業者と呼ばれます。

業種常用従業員数
製造業・その他20人以下
商業(卸売業・小売業)・サービス業5人以下
小規模企業者の条件

※大企業が実質的に経営に参画しているとは、以下のいずれかに該当する場合を指します。

  • 大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の2分の1以上を所有または出資している場合
  • 大企業が複数で発行済株式総数または出資総額の3分の2以上を所有または出資している場合
  • 役員総数の2分の1以上を大企業の役員または社員が兼務している場合
  • その他、大企業が実質的に経営を支配・参画していると判断される場合

中小企業団体等

中小企業等協同組合法に基づく組合、または中小企業団体の組織に関する法律に基づく中小企業団体のうち、構成員の半数以上が都内に主たる事業所を有する中小企業であることが求められます。

企業形態の要件に加えて、申請する企業が都内において実質的に事業を行っていること、税金の滞納がないこと、過去に不正がないこと、事業継続に問題がないこと、法令等を遵守していること、反社会的勢力との関係がないことなどが求められます。

項目内容
都内で実質的に事業を行っている①基準日現在で、東京都内に登記簿上の本店または支店がある
②基準日現在で、東京都内事業所で継続的に2年以上事業を行っている
③本事業の成果を、都内で引き続き活用し続ける予定がある
東京都に納税し、税金などの滞納もない①法人事業税および法人都民税などを滞納していない
②東京都および公社に対する賃料・使用料などの債務の支払いが滞っていない
基準日現在で助成金額が確定している※過去に本助成事業の採択を受けた場合
本事業の同一回での申請は、一企業一申請に限る
同一機械設備(助成対象設備が同一)で助成を受けていない①同一機械設備で公社が実施する他の助成事業に併願申請していない
②同一機械設備で公社・国・都道府県・区市町村などから助成を受けていないこと
過去の助成事業において、事故がなく、報告書などを期日までに提出している①申請日までの過去5年間に、公社・国・都道府県・区市町村が実施する助成事業などに関して、不正を始めとする事故を起こしていない
②申請日までの過去5年間に、助成金交付時に求められる報告書などを所定の期日までに提出している(過去に公社から助成金の交付を受けている場合)
事業の継続に問題がない①民事再生法、会社更生法、破産法に基づく申立・手続中(再生計画等認可決定確定後は除く)、または私的整理手続中ではない
②休眠会社として解散したものとみなされていない
法令などを遵守している①助成事業の実施に当たって必要な許認可を取得している
②関係法令を遵守している
その他①助成金申請者、設備購入先などの関係者が暴力団関係者、風俗関連業を営むものではない
②公社が公的資金の助成先として適切でないと判断する業態を営むものではない
企業活動に関する要件

※基準日は回ごとに異なるため注意が必要です。第7回は令和6年4月1日でした。

賃金引上計画を掲げて申請する場合は、以下の要件をすべて満たす1年間の事業計画を策定し、実行する必要があります。

  • 賃金引上げ計画期間の全従業員に支払った給与支給総額を、直近決算期のときのそれよりも2.0%以上増加させる
  • 賃金引上げ計画期間において、事業場内で最も低い賃金を地域別最低賃金+30円以上にする

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象期間

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象期間は、交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月です。

  • 第7回:令和6年10月1日~最長令和8年3月31日
  • 第8回:令和7年4月1日~最長令和8年9月30日

助成対象期間より前に発注をした経費や、助成対象期間より後に決済をした経費は対象外となるため注意しましょう。

出典:助成金事業丨東京都中小企業振興公社

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象事業

本事業の助成を受けるには、以下の4つのいずれかに当てはまる事業でなければいけません。

「競争力強化」区分は、都内中小企業がさらなる発展に向けて、製品・サービスの質的向上や生産能力の拡大といった競争力強化を目指し、そのために必要となる機械設備などを新たに導入する事業を指します。例えば、量産体制の構築、安定供給体制の確立、多品種少量精算への対応などが挙げられます。

なお、ゼロエミッションへの取り組みや一定の賃上げを実施する場合は、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。

「DX推進」区分は、IoT、AI、ロボット、デジタル技術を活用し、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。例えば、機械制御の自動化や省力化、生産設備の稼働状況の把握、異常・故障監視による不良率の低減などが挙げられます。

なお、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。

「イノベーション」区分は、国内外で市場拡大が見込まれる産業分野において新たな事業活動に取り組み、イノベーション創出を図るために必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。

国内外で市場拡大が見込まれる産業分野とは、以下の9つです。

  1. 防災・減災・災害対策分野
  2. インフラメンテナンス分野
  3. 安全・安心の確保分野
  4. スポーツ振興・障害者スポーツ分野
  5. 子育て・高齢者・障害者支援分野
  6. 医療・健康分野
  7. 環境・エネルギー・節電分野
  8. 国際的な観光・金融都市の実現分野
  9. 交通・物流・サプライチェーン分野

また、新たな事業活動とは、「新商品の生産」「新役務の提供」「商品の新たな生産または販売の方式の導入」「役務の新たな提供の方式の導入、その他の新たな事業活動」のいずれかを指します。単なる生産能力の強化や製造品目の増加は該当しません。

加えて、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業である必要があります。

「後継者チャレンジ」区分は、事業承継を機に、事業の多角化や新たな経営課題に取り組む際に必要となる機械設備を新たに導入する事業を指します。例えば、事業転換に向けた新製品の精算、新事業分野への参入などが挙げられます。

本区分の対象となるのは、基準日の3年前から助成対象期間開始の前日までに事業承継を行った、または行う予定の事業者です。承継方法は、同一法人における代表者交代、個人事業における廃業・開業を伴う事業譲渡、個人事業主から新設法人への事業譲渡のいずれかである必要があります。

加えて、従業員一人あたりの付加価値額を、設備投資後から年率3%以上向上させる計画の事業でなければいけません。

なお、申請にあたっては、二次審査(面接審査)に後継者本人の出席が必須となります。また、申請書に記載した後継者を変更することは原則認められませんので、ご注意ください。

本事業では、上記4つの区分のいずれかに当てはまらない事業は対象外となります。加えて、以下のような事業も対象外となるため注意しましょう。

  • 事業計画を伴わない、単なる設備の更新が目的
  • 研究開発を目的とし、量産や販売の目途が立っていない
  • 自社工場への自家発電設備の設置
  • 助成事業完了後、導入した設備の一定期間の継続使用が見込めない
  • 運転資金など設備投資以外の経費の助成が目的
  • 事業計画の遂行や設備投資に対して申請者以外の事業者が関与
  • 助成対象設備を助成事業者以外の事業者が使用
  • 公社が適切ではないと判断

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成率・助成限度額

本事業の助成率と助成限度額は、事業区分や申請者区分、さらにゼロエミッション要件や賃上げ要件の適用状況によって異なります。

事業区分申請者区分ゼロエミッション要件賃上げ要件助成率助成限度額助成下限額
競争力強化中小企業者1/2以内1億円100万円
2/3以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
小規模事業者2/3以内3,000万円100万円
2/3以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
・DX推進
・イノベーション
・後継者チャレンジ
2/3以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
3/4以内1億円100万円
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成率・助成限度額

例えば、競争力強化を目的とした設備投資を行う中小企業者の場合、ゼロエミッション要件や賃上げ要件を満たさない場合は助成率が1/2以内、助成限度額は1億円となります。しかし、省エネ効果の高い設備を導入するなど、ゼロエミッション要件を満たす場合は、助成率が2/3以内に引き上げられます。さらに、特に省エネ効果の高いと認められた場合は、助成率は3/4以内まで拡充されます。

なお、助成下限額は、助成対象経費に助成率を乗じた結果、100万円を下回る場合は助成金の交付対象とならないことを意味します。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象経費

本事業では、機械装置・器具備品・ソフトウェアの導入費用が助成対象となります。ただし、すべての経費が対象となるわけではなく、以下の表に示す条件を満たす必要があります。

区分対象経費1基当たりの下限額助成金交付申請額
・競争力強化
・イノベーション
・後継者チャレンジ
・機械装置
・器具備品
・ソフトウェアA(主に生産や役務の提供のために使用するもの)
50万円(税抜)以上100万円以上1億円以下
(ソフトウェアAは300万円以上1,000万円以下)
DX推進・機械装置
・器具備品
・ソフトウェアA(主に生産や役務の提供のために使用するもの)
・ソフトウェアB(生産性向上に寄与するもの)
50万円(税抜)以上100万円以上1億円以下
(ソフトウェアAは300万円以上1,000万円以下)
(ソフトウェアBは、ソフトウェアAと合わせて1,000万円以下)
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象経費一覧

※ソフトウェアは、自社の要望に合わせて開発するスクラッチ開発ではなく、パッケージ・アドオン・プラグインなど、すでに仕様が決まっており販売されているものが対象(「DX推進」区分以外)

※1基とは、原則として法人税法の減価償却単位に基づく

※搬入・据付費用は、機械設備本体の購入先が行い、機械設備の設置と一体で捉えられる場合のみ対象

本事業では、あくまでも「躍進的な事業推進」のための設備投資を支援することを目的としています。そのため、設備投資に直接関係のない経費や、事業の成長につながらないと判断される経費は助成の対象外となります。

例えば、以下のような経費は助成対象外です。

  • 人件費、材料費、光熱費などの運転資金や、広告宣伝費、旅費交通費など設備投資以外の経費
  • 既存設備の改良・修繕費や中古品の購入費
  • 電気工事や内装工事など、設備を設置するための場所の整備費用
  • 保守費用やソフトウェアのバージョンアップ費用など、設備導入後に継続的に発生する費用

これらの経費は、事業の成長に不可欠な場合もありますが、本事業の趣旨である「躍進的な事業推進」のための設備投資を支援するという観点からは、対象外と判断されます。

助成対象となる経費と対象外となる経費の境界線はわかりにくい場合もあるため、事前に募集要項をよく確認し、不明な点は公社に問い合わせるようにしましょう。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の流れや申請方法

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業による助成を受けるには、募集要項で規定されている流れとスケジュール感を掴み、必要な申請書類を余裕をもって準備することが大切です。手続きをスムーズに進めるために、しっかりと把握しておきましょう。

本事業の流れは以下のとおりです。

  1. 情報収集と申請準備
    まず、東京都中小企業振興公社のホームページなどで、最新の募集要項や説明会情報を収集しましょう。募集要項には、申請資格、助成対象事業、助成率・助成限度額、申請方法、申請スケジュールなどが詳しく記載されています。説明会では、事業内容や申請方法に関する説明を受けることができます。
  2. 申請予約
    公社のホームページから申請予約を行います。申請予約をしないと申請書類を提出できませんので、必ず期限内に手続きを済ませましょう。
  3. 申請書類の作成と提出
    募集要項に基づき、申請書類を作成し、電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」から提出します。申請書類には、事業計画書、収支計画書、見積書、会社案内など、さまざまな書類が必要となります。必要な書類は事業区分や申請内容によって異なるため、募集要項をよく確認することが大切です。
    なお、「Jグランツ」から申請するには、事前に「GビズIDプライムアカウント」を作成しておかなければいけません。余裕をもって行うようにしましょう。
  4. 審査
    提出された申請書類に基づき、公社による審査が行われます。審査は、書類審査と面接審査の二段階で行われます。書類審査では、事業計画の内容、実現可能性、収益性などが評価されます。面接審査では、事業計画の詳細や経営者の熱意、事業への理解度などが評価されます。
  5. 交付決定
    審査の結果、助成対象事業者として採択されると、交付決定通知書が交付されます。交付決定通知書には、助成金額や助成対象期間などが記載されています。
  6. 事業の実施
    交付決定通知書の内容に基づき、設備投資を行います。助成対象となるように、助成対象期間内に契約、納品、支払いを完了する必要があります。
  7. 完了報告
    設備投資が完了したら、公社に完了報告書を提出します。完了報告書には、設備投資の実績や成果などを記載します。
  8. 完了検査
    公社による完了検査が行われ、設備投資の内容や成果が確認されます。
  9. 助成金の交付
    完了検査に合格すると、助成金が交付されます。助成金は後払い制のため、設備投資の完了後に支払われます。
  10. 事業化状況報告
    助成事業完了後、翌年度から5年間、事業化状況報告書を毎年提出する必要があります。事業化状況報告書には、設備投資による成果や収益などが記載されます。

本事業の申請スケジュールは以下のとおりです。

【躍進的な事業推進のための設備投資支援事業第8回募集申請スケジュール】

  • 申請予約(公社HP):令和6年10月23日(水)~11月6日(水)17時
  • 申請受付(Jグランツ):令和6年11月1日(金)~11月15日(金)17時
  • 書類審査&面接審査(公社が指定):令和6年11月中旬~令和7年2月下旬
  • 助成対象者決定(交付決定):令和7年3月中旬
  • 助成事業開始:令和7年4月1日(火)~

申請受付の締切日は混雑によってデータのアップロードに時間がかかるため、早めの申請受付が推奨されています。

本事業の申請に必要な書類には、以下のようなものが挙げられています。なお、申請書一式については、東京都中小企業振興公社の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」ページからダウンロードできます。

書類名内容提出部数備考
申請書一式申請前確認書、申請書(事業計画書)のほか、ゼロエミッション概要書、賃金引上げ計画書など、事業区分・申請内容に応じた書類電子データ1部
確定申告書直近3期分の確定申告書の写し(税務署の受付印または電子申告の受信通知を含む)電子データ1部創業3年未満の企業は直近2期分で可
履歴事項全部証明書発行後3ヶ月以内の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)原本電子データ1部個人の場合は開業届の写し
納税証明書直近2期分の法人事業税・法人都民税の納税証明書原本電子データ1部個人の場合は、直近2期分の個人事業税・住民税の納税証明書、もしくは所得税・住民税納税証明書原本
積算根拠書類導入機械設備1機種につき2社の見積書(写し)など機種ごとに電子データ各1部
機械設備設置場所関連書類機械設備を設置する建物の外観写真、機械設備設置場所の写真、機械設備設置場所の平面図など設置場所ごとに電子データ各1部
会社関連書類会社案内、法令上必要な事業許可書など電子データ各1部
小規模企業者関連書類小規模企業者に該当することの確認書、直近の労働保険 概算・確定保険料申告書の写し電子データ各1部「競争力強化」区分に申請する小規模企業者のみ
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請書類

上記以外にも、加点措置適用を希望する場合や、ゼロエミッション要件・賃上げ要件を適用する場合には、追加で必要書類があります。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業に採択されるためのコツ

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、申請後に助成対象に値するかどうかの審査が行われます。この審査をクリアするには、以下のようなポイントを意識することが重要です。

本事業の審査は、一次審査として「資格審査」「経理審査」「事業計画審査」、二次審査として「面接審査」「価格審査」があり、その後総合審査を経て採択するか否かが決定されます。

これらはいずれも重要ですが、募集要項では「資格審査」「経理審査」「事業計画審査」「価格審査」における審査の視点が提示されています。これらを踏まえ、実現可能性が高く、成長性のある事業計画を策定することが採択を手繰り寄せる鍵となります。

資格審査(一次審査)

まずは、申請企業が本事業の助成対象となる要件を満たしているかを確認します。具体的には、中小企業基本法で定める「中小企業者」または「中小企業団体等」に該当するか、都内において2年以上実質的に事業を行っているか、税金の滞納がないかなどが審査されます。

経理審査(一次審査)

申請企業の財務状況を分析し、事業計画の実行可能性や返済能力などを評価します。直近3期分の決算書などを基に、安全性、収益性、成長性の3つの観点から審査が行われます。

事業計画審査(一次審査・二次審査)

最も重要な審査項目の一つで、事業計画の内容を詳細に評価します。ここでは、以下の5つの視点から多角的に審査が行われます。

評価項目内容ポイント
目的との適合性申請した事業区分と事業計画の内容が整合性を持っているか・事業区分の目的を深く理解する
・事業計画の内容が区分の目的に合致していることを明確に示す
優秀性市場分析や競合との比較を踏まえ、事業計画がいかに優れているか・市場ニーズや競合を分析する
・自社の強みを生かした独自の戦略や差別化要素を明確にする
実現性事業計画が実際に実現可能かどうか・市場性、技術的な実現可能性、資金調達の妥当性、人材確保の見込みを具体的に示す
・数値目標や具体的な行動計画を盛り込む
計画の妥当性設備投資の内容が事業計画に照らして適切か、費用対効果が見込めるか・導入する設備の必要性を明確に説明する
・設備が事業目標達成にどのように貢献するのかを具体的に示す
・費用対効果を数値で示す
成長・発展性設備投資によって、将来的に企業がどのように成長・発展していくのか・生産性向上や売上増加、雇用創出など、設備投資による具体的な効果を予測する
・将来的なビジョンを明確に示す
事業計画審査の内容とポイント

価格審査(二次審査)

導入予定の機械設備やソフトウェアが、一般的な市場価格と比較して著しく高額でないかをチェックします。不当に高額な見積もりは、助成金の不正受給につながる可能性があるため、厳格に審査されます。

本事業においては、一定の条件を満たせば審査に加点される措置があります。加点項目を意識することで、採択の可能性を高めることが可能です。

例えば「DX推進」区分においては、以下の3つの項目が加点対象となります。

  1. 令和2年度までに公社が実施した「IoT、AI導入前適正化診断」または「ロボット導入前適正化診断」を終了し、その診断結果に基づいて申請する
  2. 公社が実施している「DX推進支援事業」または「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」または「企業変革に向けたDX推進支援事業」の支援を受け、その支援内容に基づいて申請する
  3. 公社が実施している「デジタル技術活用推進緊急支援事業」の支援を受け、その支援内容に基づいて申請する

これらの診断や支援事業を活用すると、DX推進に向けた専門的な知見があり、具体的な計画を策定できる事業者であるとみなされ、採択される可能性が高まります。

また、すべての事業区分において、以下の2つの項目が加点対象となります。

  1. 東京都に「地球温暖化対策報告書」を提出している
  2. 東京都に「地球温暖化対策計画書」または「特定テナント等地球温暖化対策計画書」を提出している

環境への配慮を示すことで、企業の社会的責任を果たしている姿勢をアピールできるため、審査においてプラスに評価される可能性があります。

審査項目や加点項目を意識することも重要ですが、その点だけおさえていると形式的な内容になりがちです。採択されるには審査員の心をいかに動かすかも重要になるため、事業に対する熱い想いや、なぜこの事業に取り組むのかといった背景も盛り込むようにしましょう。

例えば、「後継者チャレンジ」区分であれば、事業承継に至るまでのストーリーや、先代から受け継いだ想い、後継者としての決意を表明すると、事業への強い意志を示すことができます。

募集要項を遵守することも大切ですが、それらに加えて、事業者の熱い想いを伝えることで、より採択される可能性が高まるでしょう。

本事業は申請書類の準備や手続きが複雑で、多くの時間と労力を要します。特に、初めて申請する企業にとっては、要件を満たす事業計画の作成や、膨大な書類作成は大きな負担となるでしょう。

そこで、補助金・助成金の申請支援を実施している専門家に、サポートを依頼することをおすすめします。専門家は、豊富な知識と経験に基づき、以下のようなサポートを提供してくれます。

  • 事業計画のブラッシュアップ:審査項目を踏まえ、採択率を高める事業計画の作成を支援します。市場調査、競合分析、収支計画の策定など、専門的な視点からアドバイスを受けることで、より実現可能性が高く、魅力的な事業計画を策定できます。
  • 加点要素の提案:審査において加点される要素を把握しており、事業計画への反映や、必要書類の準備などをサポートしてくれます。採択の可能性を高めるために有効なアドバイスを受けることができます。
  • 申請手続きのサポート:電子申請システム「Jグランツ」の操作方法や、提出書類の確認など、申請手続きのサポートを受けられるのも、補助金・助成金に精通している専門家に依頼するメリットです。
  • ヒアリング・面談対策:審査の過程で行われる面接審査に向けた対策や、公社からのヒアリングに対応するための準備をサポートしてくれます。質疑応答の練習や、プレゼンテーション資料の作成支援などを受けることで、自信を持って審査に臨むことができます。

専門家のサポートを受けることで、申請準備にかかる負担を軽減できるだけでなく、採択率の向上も期待できます。専門家の費用は発生しますが、助成金の受給によって十分に回収できる可能性も高く、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。

補助金・助成金の申請支援を専門とする専門家は、中小企業診断士、経営コンサルタント、税理士、行政書士などがいます。信頼できる専門家を見つけ、積極的に相談して、事業の成長を加速させる設備投資を実現しましょう。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請などでお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、東京都内の中小企業の競争力強化や生産性向上を目的とした設備導入を支援するものです。申請には、事業計画書の作成や審査項目への対応など、複雑な手続きが必要となります。

中小企業経営支援事務所では、補助金・助成金の申請支援の経験を豊富に持つコンサルタントが、採択を勝ち取るためのさまざまなサポートを行っています。募集要項を的確に読み解いて要件を満たしているか判断し、必要な申請書類の準備の支援を実施するだけでなく、事業者の想いを汲み取り、審査員の心を揺さぶるような事業計画書を策定するためのアドバイスも行っているのが弊社の強みです。

本事業の申請を検討している場合は、ぜひ一度、ご相談くださいませ。初回相談は無料です。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは?経営改善計画策定支援(405事業)との違いや申請方法、手続き時の注意点を解説

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違い

近年、中小企業を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの影響や物価高騰、人手不足、デジタル化の進展など、大きく変化しています。このような状況において、中小企業が生き残り、成長していくためには、環境変化に柔軟に対応し、事業の収益力強化や生産性向上に取り組むことが重要です。

しかし、経営資源が限られている中小企業にとって、自社の課題を詳細に分析し、具体的な経営改善計画を策定することは容易ではないでしょう。そこで、公的機関である中小企業活性化協議会は、中小企業の早期の経営改善計画の策定を支援するため、早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)を実施しています。

この記事では、本事業について、同協議会が実施する経営改善計画策定支援(405事業)と比較しながら特徴を紹介した上で、メリットや申請方法、実際に計画を策定する際のポイントについて解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、国が認定する認定経営革新等支援機関であり、補助金・助成金申請のエキスパートです。早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは

中小企業活性化協議会では、中小企業の収益力改善や再生支援、再チャレンジ支援に向けて5つのソリューションを展開しています。その中の「民間プレーヤーを活用した支援」の一つとして提供されているのが、早期経営改善計画策定支援(ポストコロナ持続的発展計画事業:ポスコロ事業)です。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の概要や補助対象事業者などについて、中小企業活性化協議会の「早期経営改善計画策定支援」のページや、「経営改善計画策定支援事業(早期経営改善計画策定支援)に関する手引き」をもとに紹介します。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)とは、事業環境の変化などによる経営上の支障(収益力の低下や資金繰りの悪化)の予防として、経営改善・事業再生に早期に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する事業です。

具体的には、事業者が認定経営革新等支援機関と呼ばれる国認定の専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、それを金融機関に提出することを通じて、事業者自らが経営を見直し、早めの経営改善を図れるように、計画策定に係る費用や専門家の伴走支援などに係る費用の一部を支援します。

なお、本事業における早期経営改善計画の策定は、中小企業収益力改善支援研究会が2022年12月に取りまとめた「収益力改善支援に関する実務指針」に基づく必要があります。これは従来の中小企業再生支援協議会が行っていた経営改善計画策定支援(405事業)の通常枠(詳細後述)と同じ指針ですが、本事業で策定する計画については「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容」に限定されます。

本事業の対象者は、「資金繰り管理や採算管理といった基本的な経営改善に取り組む必要」があり、かつ「専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、金融機関に提出するとともに、経営改善を実行する意思」のある中小企業・小規模事業者です。

ただし、過去に中小企業活性化協議会事業、経営改善計画策定支援、早期経営改善計画策定支援を利用した事業者は対象外となります(新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢、原油価格の高騰などの影響で業況が悪化した事業者は、2022年度または2023年度中の申請に限り1回のみ対象)。

本事業における補助対象費用・補助率・補助上限額は以下のとおりです。

支援枠補助対象経費(※1)補助率補助上限額
通常枠計画策定支援費用2/315万円
伴走支援費用(期中)2/35万円
伴走支援費用(決算期)2/35万円
金融機関交渉費用2/310万円(※2)
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の補助対象費用・補助率・補助上限額

(※1)認定経営革新等支援機関が業務の委嘱に承諾した日以降に発生した費用に限る
(※2)金融機関交渉に対する補助金は、各補助金に上限10万円として加算可能

中小企業活性化協議会が展開するソリューションのうち、早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と同様に、「民間プレーヤーを活用した支援」として展開されているものがあります。それが経営改善計画策定支援(405事業)です。

以下、経営改善計画策定支援(405事業)の概要や補助対象事業者などについて、中小企業活性化協議会の「経営改善計画策定支援」のページや、「経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き」をもとに紹介します。

経営改善計画策定支援(405事業)とは、資金繰りに課題を抱え、自力で経営改善計画を策定することが難しい状況にある中小企業・小規模事業者を支援する事業です。

事業者が専門家である認定経営革新等支援機関の支援を受けながら経営改善計画を策定し、金融機関から融資などを受けて「経営改善・事業再生・再チャレンジ」を目指すために、計画策定に係る費用や専門家の伴走支援などに係る費用の一部を支援します。

本事業には、大きく分けて2つの枠組みがあります。

いずれの枠組みにおいても、専門家の支援を受けながら実現可能な計画を策定することで、事業者自らがPDCAサイクルを構築し、持続可能な経営体制を構築することを目指します。

本事業の対象者は、「通常枠」と「中小版GL枠」によって異なります。

  • 通常枠:借入金の返済負担などで財務状況が悪化し、自力での経営改善計画策定が困難な中小企業・小規模事業者。ただし、専門家の支援を受けることで、金融機関から融資の条件変更や新規融資などを受けられる見込みがあること
  • 中小版GL枠:「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づき計画策定を実施する中小企業・小規模事業者

いずれも、過去に本事業を利用した場合は原則対象外となりますが、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響などで業況が悪化した場合は、再度利用できる場合があります。

なお、金融機関が1行のみで、かつ信用保証協会の保証付き借入がない場合は、金融機関調整が不要となるため、本事業の対象外です。

本事業で補助を受けられる主な費用は、以下のとおりです。

支援枠補助対象経費(※1)補助率補助上限額
通常枠DD(※2)・計画策定支援費用2/3200万円
伴走支援費用(モニタリング費用)2/3100万円
金融機関交渉費用(※3)2/310万円
中小版GL枠DD(※2)費用等2/3300万円
計画策定支援費用2/3300万円
伴走支援費用2/3100万円
経営改善計画策定支援(405事業)の補助対象費用・補助率・補助上限額

(※1)認定経営革新等支援機関が業務の委嘱に承諾した日以降に発生した費用に限る
(※2)デューデリジェンス(事業・財務の状況に関する調査分析)
(※3)経営者保証解除を目指した計画を作成し、金融機関交渉を実施する場合のみ(任意)。金融機関交渉に対する補助金は、各補助金に上限10万円として加算可能

【比較表】早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違い

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違いを以下の表にまとめました。

項目早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)経営改善計画策定支援(405事業)
目的収益力低下や資金繰り悪化を予防を検討する中小企業・小規模事業者が、早期に経営改善を図ることを支援深刻な財務問題を抱える中小企業・小規模事業者が、金融機関からの支援を受けながら本格的な経営改善計画を策定し、事業再生・再チャレンジを図ることを支援
対象となる事業者いずれの条件にも当てはまる中小企業・小規模事業者
・資金繰り管理や採算管理といった基本的な経営改善に取り組む必要がある
・専門家の支援を受けながら早期経営改善計画を策定し、金融機関に提出するとともに、伴走支援を受けながら経営改善を実行する意思がある
【通常枠】
専門家の支援を受けながら経営改善計画を策定し、金融機関からの支援(条件変更や新規融資など)が見込める中小企業・小規模事業者
【中小版GL枠】
「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づき計画策定を実施する中小企業・小規模事業者
計画の内容「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容」に限定された経営改善計画【通常枠】
「収益力改善支援に関する実務指針」に基づく経営改善計画
【中小版GL枠】
「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づく計画
補助対象経費・計画策定支援費用
・伴走支援費用
・金融機関交渉費用
【通常枠】
・DD、計画策定支援費用
・伴走支援費用(モニタリング費用)
・金融機関交渉費用
【中小版GL枠】
・DD費用等
・計画策定支援費用
・伴走支援費用
補助率2/32/3
補助上限額・計画策定支援費用:15万円
・伴走支援費用(期中・決算期):各5万円
・金融機関交渉費用:10万円
【通常枠】
・DD、計画策定支援費用:200万円
・伴走支援費用:100万円
・金融機関交渉費用:10万円
【中小版GL枠】
・DD等:300万円
・計画策定支援費用:300万円
・伴走支援費用:100万円
早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)と経営改善計画策定支援(405事業)の違い

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、比較的早期の段階で経営課題に取り組む事業であるのに対し、経営改善計画策定支援(405事業)は、深刻な状況に陥っている事業者を対象とした、より手厚い内容の事業と言えるでしょう。

どちらの事業が適切かは、事業者の置かれている状況や経営課題の深刻度によって異なります。いずれの場合も、まずは専門家である認定経営革新等支援機関や、中小企業活性化協議会に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)のメリット

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、深刻な経営悪化に陥る前に、早めの対策を講じたい中小企業・小規模事業者にとって、多くのメリットがある事業です。主に以下の3つが挙げられます。

本事業を活用すると、国が認定した専門家である認定経営革新等支援機関のサポートを受けながら、自社の課題や改善策を分析し、具体的な計画を策定できるようになります。また、経営者自身の経営に関する知識やスキルの向上も期待できます。

専門家への費用の一部を国が補助してくれるため、費用負担を軽減しながら、専門家のサポートを受けることができます。計画策定支援だけでなく、計画実行の伴走支援、経営者保証解除に向けた金融機関との交渉支援も補助対象となるため、安心して経営改善に取り組むことが可能となります。

早期に経営課題に取り組み、具体的な改善計画を策定・実行することで、金融機関からの信頼獲得につながり、融資を受けやすくなる可能性があります。また、計画策定の段階から金融機関と情報共有することで、事業内容や今後の見通しについて理解を得やすくなるというメリットもあります。

これらのメリットを最大限に活かすためには、自社の状況を正しく把握し、適切な計画を策定することが重要です。専門家や金融機関と積極的にコミュニケーションを図りながら、計画を進めていきましょう。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請方法

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)の申請の大まかな流れと必要な書類について紹介します。

本事業による支援を受けるには、申請から計画実行、補助金の受け取りまで、いくつかの段階があります。主な流れは以下の通りです。

  1. 支援内容の確認と専門家探し
    中小企業活性化協議会の「早期経営改善計画策定支援」のページや「経営改善計画策定支援事業(早期経営改善計画策定支援)に関する手引き」などで事業内容を確認し、要件に合致しているかを確認します。その後、「認定経営革新等支援機関」を探します。
  2. 専門家との相談・契約
    認定経営革新等支援機関と面談し、自社の経営状況や課題、改善計画策定支援の希望内容などを伝えます。専門家の支援を受けることが決まったら、正式に契約を締結します。
  3. 金融機関への事前相談
    認定経営革新等支援機関と連携し、早期経営改善計画策定支援を利用して計画を策定する予定であることを、メインバンクまたは準メインバンクに事前に相談します。
  4. 利用申請
    認定経営革新等支援機関と連名で、中小企業活性化協議会へ「早期経営改善計画策定支援事業利用申請書」などの必要書類を提出します。
  5. 審査・助言
    中小企業活性化協議会は、提出された申請書類に基づき、要件を満たしているか審査を行います。申請者や認定経営革新等支援機関に「収益力改善支援に関する実務指針」に関する留意事項を説明するとともに、必要に応じて面談やヒアリングを行い、計画策定に関する助言を行います。
  6. 通知・承諾
    中層企業活性化協議会が、早期経営改善計画策定支援に係る費用の一部を負担すると判断したら、認定経営革新等支援機関にその旨を通知します。
  7. 早期経営改善計画の策定
    認定経営革新等支援機関の支援を受けながら、自社の経営課題の分析、改善策の検討、数値計画などを盛り込んだ「早期経営改善計画」を策定します。
  8. 金融機関への計画提出
    策定した計画を、認定経営革新等支援機関とともに、事前に相談した金融機関に提出します。
  9. 計画に係る費用の支払申請
    早期経営改善計画を金融機関に提出したら、中小企業活性化協議会に必要書類を提出して、計画に係る費用の支払い申請をします。中小企業活性化協議会は、申請内容を審査し、問題がなければ費用を認定経営革新等支援機関に支払います。
  10. 伴走支援・報告
    計画策定後1年を経過した最初の決算時までの間、認定経営革新等支援機関による伴走支援を受けながら、計画を実行します。計画期間中は、定期的に認定経営革新等支援機関と面談し、進捗状況の確認やアドバイスを受けるとともに、実施状況を金融機関に共有します。
  11. 伴走支援に係る費用の支払申請
    伴走支援の実施を受けたら、中小企業活性化協議会に必要書類を提出して、伴走支援に係る費用の支払い申請をします(申請の有効期限は伴走支援対象期間最終日から6カ月を経過した日)。中小企業活性化協議会は、計画策定の支払申請のときと同様、申請内容を審査し、問題がなければ費用を認定経営革新等支援機関に支払います。

「早期経営改善計画策定支援」を受ける際に必要な書類は、大きく分けて「利用申請時」「計画費用支払申請時」「伴走支援費用支払申請時」の3つの段階で発生します。事前に内容を確認して準備を進めるようにしましょう。

なお、申請様式は「申請様式(利用申請・支払申請・伴走支援)」からダウンロードできます。

利用申請時

書類補足
早期経営改善計画策定支援事業利用申請書別紙①
申請者の概要(早期経営改善計画策定支援)別紙①-1
業務別見積明細書(早期経営改善計画策定支援)別紙①-2
履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)原本
個人事業主の場合は、開業届(写し)または確定申告書(写し)
認定経営革新等支援機関であることを証する認定通知書等写し
申請者に対する認定経営革新等支援機関の見積書及び単価表
金融機関(メイン行または準メイン行)の事前相談書金融機関が認定経営革新等支援機関として連名で申請する場合は不要
直近3年分の申告書写し
利用申請時の必要書類

計画費用支払申請時

書類補足
早期経営改善計画策定支援事業費用支払申請書別紙②
早期経営改善計画書別紙②-1
呼称は「事業計画書」などでも可
業務別請求明細書(早期経営改善計画策定支援)別紙②-2
従事時間管理表(業務日誌)(早期経営改善計画策定支援)別紙②-3
《計画策定支援》実務指針に基づく実施確認表別紙②-4
認定経営革新等支援機関の請求書類(中小企業活性化協議会宛)原本
申請者と認定経営革新等支援機関が締結する早期経営改善計画策定支援に係る契約書写し
申請者による費用負担額(3分の1)の支払を示す証憑類(振込受付書、払込取扱票など)写し
金融機関に早期経営改善計画を提出したことが確認できる書面(金融機関の受取書など)今後の金融支援を約束するものではなく、普段の業務で使用しているもので可
計画費用支払申請時の必要書類

伴走支援費用支払申請時

書類補足
早期経営改善計画策定支援事業伴走支援費用支払申請書別紙③
伴走支援報告書(早期経営計画策定支援)(金融機関交渉費用を活用した場合、金融機関交渉の報告書〈早期経営改善計画策定支援〉)別紙③-1
業務別請求明細書(早期経営改善計画策定支援)別紙③-2
従事時間管理表(業務日誌)(早期経営改善計画策定支援)別紙③-3
《伴走支援》実務指針に基づく実施確認表別紙③-4
申請者と認定経営革新等支援機関が締結する伴走支援(または金融機関交渉)業務に係る契約書写し
認定経営革新等支援機関の請求書類(中小企業活性化協議会宛)原本
申請者による伴走支援費用負担額(3分の1)の支払を示す証憑類(振込受付書、払込取扱票など)写し
伴走支援レポート(金融機関への報告に使用した書面の写し、または報告内容を記録した書面)
伴走支援費用支払申請時の必要書類

早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)に申請するときのポイント

早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)にはさまざまな留意点がありますが、特に以下のポイントをおさえることをおすすめします。

本事業は、あくまで「資金繰り管理や採算管理など基本的な内容の経営改善」を目的とする事業者向けです。より本格的な支援が必要な場合は、経営改善計画策定支援(405事業)の活用を検討しましょう。過去に本事業や類似事業を利用していないかも、重要な確認事項です。

本事業では、認定経営革新等支援機関といった専門家のサポートを受けられます。しかし、経営改善の主体は企業自身であることを忘れてはなりません。

専門家に任せきりになると、計画の内容が自社の状況に合わなかったり、計画を実行する上で当事者意識が薄れてしまったりする可能性があります。

経営者自身も経営課題や改善策を深く理解し、主体的に計画策定に関わることが重要です。専門家は、客観的な視点や専門知識を提供してくれる強力なパートナーですが、最終的な判断や実行は経営者が行うという意識を持ち続けるようにしましょう。

早期経営改善計画の策定に主体的に関わっていくには、経営者のほうでも事業の詳細な現状分析を行い、課題の明確にすることが重要となります。そのためには、「収益力改善支援に関する実務指針」を参考に以下の項目を分析する必要があります。

  • 会社基本情報
  • 財務状況
  • 商流
  • 業務フロー
  • 外部環境(顧客ニーズ、競合状況、市場動向など)
  • 内部環境(経営体制、組織文化、従業員意識など)

これらの観点から分析を行った上で、専門家の持つ客観的な視点を取り入れると、自社にとってより重要な課題を洗い出せるでしょう。

早期経営改善計画は、実行可能な内容にすることが重要です。そのためには、現状分析で明らかになった課題に対し、具体的な数値目標と、期限を定めた行動計画を盛り込む必要があります。

中小企業活性化協議会が「早期経営改善計画策定支援」のページで展開している「早期経営改善計画」の策定例や「資金予定表かんたん作成ツール」などを活用してたたき台を作り、その上で専門家の意見も踏まえながら無理のない現実的な計画を立てましょう。

また、計画は策定して終わりではなく、それを実行して進捗状況を定期的に確認・評価し、必要に応じて軌道修正を行うことが重要です。このPDCAサイクルを専門家のアドバイスを踏まえながら回すことで、事業の収益力改善を着実に実現していくことができます。

相性の良い認定経営革新等支援機関の選択方法

早期経営改善計画策定支援の成功には、伴走者である認定経営革新等支援機関との相性が重要です。相性の良い専門家を見つけるためのポイントは以下の通りです。

  1. 専門分野・経験:自社の事業内容や課題に精通した専門知識・経験を持つ機関を選びましょう。飲食店であれば、飲食業界に強い専門家や、実際に飲食店の支援実績がある専門家が考えられます。
  2. 地域性:自社の事業エリアに近い機関を選ぶことで、地域特性に合わせた支援を受けやすくなります。
  3. コミュニケーション:密なコミュニケーションは信頼関係構築に不可欠です。相談しやすい雰囲気があるか、熱意を持って対応してくれるかを見極めましょう。
  4. 費用:支援内容と費用が見合っているか、事前に見積もりを取ることが大切です。

これらのポイントを念頭に、複数の機関に相談し、比較検討することをおすすめします。

なお、中小企業庁の「認定経営革新等支援機関検索システム」を活用すれば、専門分野や地域から機関を探すことができます。

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)などの申請にお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

早期経営改善計画策定支援(ポスコロ事業)は、専門家の力を借りながら資金繰りや収益力改善への対策を早期に講じ、事業の安定化を図るための有効な事業です。

しかし、事業の利用要件や申請手続き、計画策定には専門的な知識が必要となるため、多くの経営者にとってハードルが高いと感じる部分もあるかもしれません。

もし、早期経営改善計画策定支援の利用や経営改善計画の作成にお悩みであれば、ぜひ一度、中小企業経営支援事務所にご相談ください。認定経営革新等支援機関であり、補助金申請の支援経験を豊富に持つ専門家が、貴社の状況に合わせて、わかりやすく丁寧にサポートいたします。

初回相談は無料ですので、お気軽に問い合わせいただけますと幸いです。

インバウンド対応力強化支援補助金とは?補助対象や申請方法、手続きのコツを解説

インバウンド対応力強化支援補助金の概要

日本に訪れる外国人観光客の数は、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年~2022年は大きく落ち込みましたが、2023年は復調の兆しを見せています。

JNTO(日本政府観光局)によれば、2020年の訪日外客数は約412万人(伸率-87.1%)、2021年は約25万人(伸率-94.0%)だったのに対し、2022年は人数は少ないものの約383万人(伸率1458.6%)と伸び、2023年は約2,507万人(伸率554.1%)まで増えました。2019年の約3,188万人には届いていないものの、訪日外国人が「戻りつつある」ということができます(参照:国籍/月別訪日外客数〈2003年~2024年〉丨JNTO)。

2014~2023年の訪日外客数の推移 参照:国籍/月別訪日外客数(2003年~2024年)丨JNTO

インバウンド対応力強化支援補助金とは、東京都にある宿泊施設や飲食店、観光施設などの観光関連事業者を対象に、外国人観光客の受け入れ環境整備を支援する補助金のことです。復調を見せるインバウンド需要に対応し、落ち込んだ事業の回復、持続的な成長を目指す事業者にとって本補助金は大きな支援となるでしょう。

この記事では、インバウンド対応力強化支援補の申請を考えている事業者向けに、東京観光財団が公開している「交付要綱」や「申請の手引」をもとに、本補助金の要点を紹介します。採択率を上げる手続きのコツも解説していますので、申請の参考資料としてご活用いただけますと幸いです。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

インバウンド対応力強化支援補助金とは

インバウンド対応力強化支援補助金とは、訪都外国人旅行者の受け入れ対応力の強化を目的とする、東京観光財団実施の補助金制度です。都内の宿泊施設や飲食店、観光事業者が、「外国人旅行者に安心・快適に過ごしてもらうための環境整備」を目指して設備投資やサービス拡充をする際にかかる費用の一部を補助します。

インバウンド対応力強化支援補助金では、東京都内にある以下の事業者を補助対象としています。

事業種別補助対象事業者
宿泊施設「旅館・ホテル営業」もしくは「簡易宿所営業」を行う施設
飲食店いずれの要件も満たしている店舗
①飲食店営業許可または喫茶店営業許可を受けている
②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している
③多言語メニュー作成支援ウェブサイト「EAT東京」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されている
免税店いずれの要件も満たしている店舗
①一般型消費税免税店か手続委託型消費税免税店
②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している
体験型コンテンツ提供施設等いずれの要件も満たしている施設
①体験型コンテンツの提供を自ら行っている
②中小企業基本法が規定する中小企業者が経営している
観光バス事業者いずれの要件も満たしている事業者
①観光周遊及び空港アクセス等の事業を行っている
②道路運送法の許可を受けている
③車両全長7m以上かつ乗車定員30人以上などの要件を満たした車両を用いて事業を営んでいる
中小企業団体等東京都内に主たる事業者を有している中小企業等協同組合や商工組合及び商工組合連合会など
観光関連事業者グループいずれの要件も満たしているグループ
①東京都内で営業する施設等を有する4者以上の事業者で構成されている
②大企業が実質的に経営に参画していない中小企業者が構成の2分の1以上を占めている
補助対象事業者の一覧

なお、営業停止処分などを受けている場合や風俗営業を行っている場合、大企業が実質的に経営に参画している場合などは対象外となります。

また、補助事業の交付決定取り消しを受けたことがある、過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けている、事業の継続性について不確実な状況(民事再生法や会社更生法、破産法にもとづく申立・手続中)が存在している場合も対象外です。

各対象事業者における補助対象経費、補助率、補助限度額は以下の通りです。

宿泊施設の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応施設の案内表示や館内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
公衆無線LANの設置ロビー、食堂、宴会場、客室などへの設置機器購入費、設置・工事費
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入機器購入費、設置費
館内及び客室内トイレの洋式化和式トイレを洋式トイレに改修備品購入費、工事費
客室の和洋室化既存客室(和室・洋室)を和洋室に改修工事費、資材購入費
館内及び客室内テレビの国際放送設備の整備機器購入費、設置費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
防犯カメラの設置出入口、ロビー、駐車場、フロントなどへの設置機器購入費、設置・工事費
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

1施設当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1施設当たり上限300万円(公衆無線LANと防犯カメラの設置については下記)

事業補助限度額設置箇所数上限
公衆無線LANの設置設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額1施設当たり50箇所
防犯カメラの設置上限90万円1施設当たり15箇所
公衆無線LANと防犯カメラの設置の補助限度額

飲食店・免税店の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応店舗の案内表示や店内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
公衆無線LANの設置客席、その他多くの客が利用する場所への設置機器購入費、設置・工事費
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入機器購入費、設置費
店内トイレの洋式化和式トイレを洋式トイレに改修備品購入費、工事費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
外国人向けグルメサイトへの登録・掲載飲食店のみ。サイト登録費用(初期費用+初月利用料)、コンテンツ作成費用(情報ページ作成、翻訳など)サイト初期登録費、初月月額費、サイト掲載記事等に係る作成・翻訳費など
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

補助率:1店舗当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1店舗当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)

補助対象事業補助限度額設置箇所数上限
公衆無線LANの設置設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額1施設当たり10箇所
公衆無線LANの設置の補助限度額

体験型コンテンツ提供施設等の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応施設の案内表示や施設内設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
公衆無線LANの設置コンテンツの体験場所、その他多くの客が利用する場所への設置機器購入費、設置・工事費
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入機器購入費、設置費
施設内トイレの洋式化和式トイレを洋式トイレに改修備品購入費、工事費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応防災マップの作成、避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

1施設当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1施設当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)

補助対象事業補助限度額設置箇所数上限
公衆無線LANの設置設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額1施設当たり10箇所
公衆無線LANの設置の補助限度額

観光バス事業者の補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応車両設備の利用案内、ホームページ、パンフレットの多言語化など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
車両への公衆無線LANの設置機器購入費、設置・工事費
クレジットカードや電子マネーなどの決済機器の導入機器購入費、設置費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成など講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応避難誘導訓練の実施・マニュアルの作成など翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

1営業所当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1店舗当たり上限300万円(公衆無線LANの設置については下記)

補助対象事業補助限度額設置箇所数上限
公衆無線LANの設置設置箇所数×1万5,000円または補助対象経費の2分の1のいずれか低い額1車両当たり1箇所
公衆無線LANの設置の補助限度額

中小企業団体等、観光関連事業者グループの補助対象事業・補助対象経費・補助率・補助限度額

補助対象事業と補助対象経費の例
事業内容補足補助対象経費の例
多言語対応案内表示・利用案内・ホームページ・パンフレットの多言語化、多言語対応タブレットの導入、翻訳機の購入など翻訳費、制作費、印刷製本費、機器購入費
外国人旅行者の受け入れ対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成講師謝金、会場使用料
災害時における外国人旅行者の受け入れ対応翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
その他、理事長が外国人旅行者の受け入れ対応の強化のために必要と認める事業
補助対象事業と補助対象経費の例
補助率

1団体・グループ当たりの補助対象経費の2分の1以内

補助限度額

1団体・グループ当たり上限1,000万円

インバウンド対応力強化支援補助金を申請する際は、補助対象外となる経費も明確に把握しておくことが重要です。補助対象外経費としては、以下のようなものが挙げられます。

項目内容
1.間接経費補助金申請や事業準備段階で発生する費用(申請書作成代行費、各種証明書取得経費、送料、交通費・宿泊費、収入印紙代、通信費、水道光熱費、振込手数料など)
2.設備・機器設置後の維持費設備や機器導入後のランニングコスト
3.人件費従業員の人件費(給与、賞与、社会保険料など)
4.施設整備費施設全体の改修や修繕費用(不動産取得費、建物管理費、建築・土木委託費など)
5.中古品の購入中古品の購入費用
6.リース・レンタル費用リースやレンタルによる設置機器に係る費用
7.消耗品費一定期間継続して使用できない消耗品の購入費用
8.交付決定前の支出補助金交付決定前に発注・施工・導入した設備などに係る費用
9.不適切な取引親会社、子会社、グループ会社などとの取引や、著しく高額な経費、社会通念上不適切な経費
10.その他理事長が適切でないと判断する経費

インバウンド対応力強化支援補助金の事業実施期間は、交付決定の通知を受けた日から1年間です。この期間内に、事業を完了させ、実績報告書を提出する必要があります。

インバウンド対応力強化支援補助金の募集期間は、令和6年4月1日(月)から令和7年3月31日(月)までです。

ただし、補助金申請額が予算額に達した時点で受付終了となるので注意しましょう。受付終了の場合は、東京観光財団のホームページにて発表されます。

インバウンド対応力強化支援補助金の手続きの流れ

インバウンド対応力強化支援補助金の申請から交付、そして実績報告までの流れを、各ステップの詳細な説明とともに解説します。

①交付申請
指定の申請書類を作成・準備し、東京観光財団に提出します(申請方法・必要書類は詳細後述)。

②東京観光財団による審査
東京観光財団が、提出された申請書類に基づいて審査を行います。必要に応じて、現地調査が行われることもあります。

③交付決定、東京観光財団が申請者に通知
審査の結果、補助金の交付が決定されると、東京観光財団から交付決定通知書が送付されます。

④事業着手
交付決定通知書を受け取った後、補助事業に着手します。交付決定日より前に事業を開始した場合は、補助金の交付対象外となるので注意が必要です。

⑤実績報告
補助事業完了後30日以内、または事業実施期間満了日のいずれか早い期日までに、補助事業実績報告書を東京観光財団に提出します(詳細後述)。

⑥東京観光財団による実績の検査
東京観光財団が、実績報告書の内容に基づき、必要に応じて現地調査を行い、事業の成果が交付決定の内容や条件に適合しているかを確認します。

⑦補助金交付額確定、東京観光財団が申請者に通知
実績報告書の内容が適切と認められると、補助金の交付額が確定し、東京観光財団から交付額確定通知書が送付されます。

⑧補助金請求
交付額確定通知書を受け取った後、東京観光財団に補助金の請求書を提出します。

⑨東京観光財団から補助金支払い
東京観光財団は、請求書を受理後、速やかに補助金を支払います。

⑩受入対応状況報告
実績報告の日から1年後、受入対応状況報告書を東京観光財団に提出します。ただし、災害時における外国人旅行者の受け入れ対応、公衆無線LANの設置、防犯カメラの設置のみを実施した場合は、提出は不要です。

インバウンド対応力強化支援補助金の申請手続きと必要書類

インバウンド対応力強化支援補助金の申請方法は、郵送と電子申請システムの2種類があります。

郵送による申請

必要書類をすべてそろえ、「簡易書留」や「レターパック」など、追跡可能な方法で下記の宛先まで郵送します。

項目内容
申請期限令和7年3月31日(月)当日消印有効
書類郵送先〒162-0801東京都新宿区山吹町346番地6日新ビル2階
公益財団法人 東京観光財団 観光産業振興部 観光インフラ整備課
「令和6年度インバウンド対応力強化支援補助金」担当者宛て
申請様式等のダウンロード先https://www.tcvb.or.jp/jp/project/infra/welcome-foreigner/

電子申請システム(JGrants)による申請

デジタル庁が提供する電子申請システム「JGrants」を利用した申請も可能です。

JGrantsを利用するには、「GビズID」のアカウント(gBizIDプライム)を取得する必要があります。アカウント発行には審査があるため、時間に余裕をもって手続きを行いましょう。

項目内容
申請期限令和7年3月31日(月)当日消印有効
JGrants上の申請URLhttps://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0W5h00000UdEtHEAV
申請様式等ダウンロード先JGrants上の申請URLと同じ ※郵送による申請とは様式が異なるので要注意

なお、JGrantsではシステムの仕様上、代理人による申請代行ができません。申請代行を希望する場合は、郵送で申請してください。

インバウンド対応力強化支援補助金の交付申請には、多数の書類が必要です。

ここでは、宿泊施設・飲食店・免税店・体験型コンテンツ提供施設等・観光バス事業者の提出書類を紹介します。中小企業団体等、観光関連事業者グループについては、「交付要綱」と「申請の手引き」をご参照ください。

書類名備考
交付申請書(第1号様式)印鑑証明書と同じ印鑑を使用
補助事業計画書(別紙1)複数施設等を申請する場合は、施設等ごとに作成
補助事業企画書(別紙2)・公衆無線LANおよび防犯カメラ設置事業は専用の補助事業企画書(別紙3または別紙4)を使用
・複数事業を実施する場合は、事業ごとに作成
・HPやチラシの多言語化などは、同一の多言語化でも別事業として、それぞれ補助事業企画書が必要
代行申請に係る委任状(別紙5)・代行を受けた者は、補助対象事業を請け負うことはできない
・JGrants申請の場合は提出不要
誓約書(第2号様式)・申請書に押印したものと同じ印鑑を使用
・JGrants申請の場合は自署が必要
★印鑑証明書<原本>・申請書および誓約書に押印したものと同じ印鑑のものを提出
・JGrants申請の場合は提出不要
★登記簿謄本等→法人:★履歴事項全部証明書<原本>→個人:★開業等届出書<写し>
社歴書・経歴書
→法人:社歴書
→個人:経歴書
書式任意
直近2期分の確定申告書<写し>→法人:貸借対照表、損益計算書→個人:税務署による収受印を確認できる税務申告書類・当期純利益が2期連続赤字の場合は、経営(改善)計画書(様式任意・原則1年分)を添付
・新規創業した施設や店舗などの場合、創業・経営計画書を提出
納税証明書<原本>
→法人:直近の法人都民税および法人事業税(都税事務所発行)→個人:直近の個人都民税(区市町村発行)および個人事業税(都税事務所発行)
最新の納税証明書(納税直後で発行が受けられない場合は直近納付時の領収証書の写し)を提出
申請内容が確認できる書類申請事業によって提出書類が異なる(詳細は後述)
見積書(経費の積算内訳書または見積内訳書)各事業に係る経費が50万円(税込)以上の場合は、複数の見積書を提出
利用者向けパンフレット施設・店舗の概要がわかるもの。ホームページの写し可
営業許可書<写し>補助金申請後に許可を受ける予定のときは、許可申請書の写し(保健所の収受印があるもの)を提出
EAT東京(飲食店のみ)「EAT東京」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されていることがわかるもの(登録ページの写しなど)を提出
交付申請時に必要な書類 ※★…申請日から3ヶ月以内のものに限る

この他、申請する事業内容によって、以下のような書類を提出する必要があります。

【工事を伴う事業の提出書類】

1.公衆無線LAN

  • 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面
  • 仕様書(工事内容などがわかるもの)
  • 工程表(スケジュール)
  • 購入機器のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
  • 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
  • 設置前速度写真(更新の場合は必須)

2.防犯カメラ

  • 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面
  • 仕様書(工事内容などがわかるもの)
  • 工程表(スケジュール)
  • 購入機器のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
  • 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
  • 防犯カメラ管理規程

3.その他

  • 設置・施工前後の最新の状況を反映した図面・展開図
  • 仕様書(工事内容などがわかるもの)
  • 工程表(スケジュール)
  • 購入資材のカタログ(希望小売価格が記載されているもの)
  • 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)

【研修事業の提出書類】

  • 開催日・開催時間・開催場所がわかるもの
  • 参加者リスト
  • 研修の内容が確認できるもの
  • 使用予定テキストの写し
  • 講師プロフィールなど

【その他事業の提出書類(多言語化など)】

  • 仕様書
  • 工程表
  • 設置・施工前の最新の写真(しるし付き)
  • 施工前のホームページ・パンフレット・メニューなどの写し
  • サイトマップや画面イメージなど

インバウンド対応力強化支援補助金の実績報告と必要書類

インバウンド対応力強化支援補助金の実績報告は、補助事業完了後30日以内、または事業実施期間満了日のいずれか早い期日までに、東京観光財団に必要書類を送付する形で行います。

実績報告は、補助事業を適切に実施したことを証明し、補助金の交付を受けるために非常に重要です。不備や遅延があると、補助金の減額や交付取り消しになる可能性もあります。

以下、実績報告に必要な書類です。事業内容によって追加で必要な書類もありますので、「交付要綱」と「申請の手引き」をよく確認しましょう。

書類名備考
実績報告書(第7号様式、別紙1)
契約書または注文書の写し
契約金額明細書または内訳書の写し個人への支払いの場合は、源泉徴収税分を補助対象外経費として控除
納品書の写しまたは施工業者発行の完了届の写し
請求書の写し
銀行振込受領書または契約先発行の領収書の写し
寄付金その他の収入について、内容及び内訳のわかる資料該当する場合のみ
成果物各種以下を参照
公式ホームページやSNSなどで補助事業実施を周知していることがわかる資料補助金名の記載有無は不問
その他理事長が必要とする資料
実績報告時に必要な書類

成果物各種としては、以下のようなものが挙げられます。

【工事を伴う事業】

1.公衆無線LAN

  • 完了届
  • 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
  • 購入資材のカタログ
  • 保証書の写し
  • 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
  • シリアル№が確認できる書類
  • 全設置前後速度写真

2.防犯カメラ

  • 完了届
  • 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
  • 購入資材のカタログ
  • 保証書の写し
  • 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
  • シリアル№が確認できる書類

3.その他

  • 完了届
  • 施工業者からの工事竣工報告書および引渡書の写し
  • 購入資材のカタログ
  • 保証書の写し
  • 全設置・施工前後の最新の写真(しるし付き)
  • シリアル№が確認できる書類

研修事業

  • カリキュラム
  • テキスト
  • マニュアル
  • 講師一覧、参加者一覧(出欠を確認した出欠表やタイムレコーダーなどの写し)
  • 開催日・開催時間・開催場所のわかるもの
  • 開催の様子がわかる写真(日付入りで講師と参加者全員が映っている様子がわかるもの)
  • 外部セミナー受講の場合は、外部セミナーで受講したことが確認できる書類(受講証など)

その他事業

  • パンフレット・メニュー等の成果物
  • 施工後のホームページの写し
  • 設置・施工後の最新の写真(しるし付き)

インバウンド対応力強化支援補助金の受け入れ対応状況の報告と必要書類

インバウンド対応力強化支援補助金では、補助事業の効果を測定するため、実績報告書提出から1年後に、受入対応状況報告書(第10号様式、別紙1)を提出する必要があります。

ただし、以下の事業のみを実施した場合は、提出が免除されます。

  • 災害時における外国人旅行者の受け入れ対応
  • 公衆無線LANの設置
  • 防犯カメラの設置

インバウンド対応力強化支援補助金の留意点

インバウンド対応力強化支援補助金では、他にもさまざまな留意点があります。ここでは4点を紹介します。

補助事業者様は、インバウンド対応力強化支援補助金の申請に関わる手続きを、他の事業者に代行させることができます。

ただし、代行を依頼された事業者は、補助対象事業を請け負うことはできません。

また、電子申請システム(JGrants)は、システムの仕様上、代理人による申請代行ができないため、申請代行を希望するときは郵送で申請する必要があります。

事業者は、補助事業の内容を変更・中止する場合、または補助事業が予定期間内に完了できない見込みとなった場合、速やかに東京観光財団に申請書類(第4号様式)を提出し、承認を得なければいけません。

期間内に補助事業を完了できない場合も同様です。この場合は、申請書類(第6号様式)を東京観光財団に提出します。

以下のような行為をした場合、補助金の交付決定の取り消しが行われる場合があります。

  • 不正な手段で補助金を交付を受けた、あるいは受けようとしたとき
  • 補助金を別の用途に使用した、あるいは使用しようとしたとき
  • 交付決定を受けた者が暴力団員等に該当することになったとき
  • 補助金の交付決定の内容やそれに関する条件などに違反したとき
  • 実績報告書の提出がなかったとき
  • その他、理事長が補助事業として不適切と判断したとき

すでに補助金が公布されている中で交付の取り消しが決定されたときは、東京観光財団への返還が求められます。その際は、補助金を受け取った日から返還する日までの日数に応じて違約加算金が発生します。

また決められた返還日までに納付しなかった場合は、返還日の翌日から実際に返還した日までの日数に応じて延滞金が発生します。

インバウンド対応力強化支援補助金の採択率を上げるポイント

最後に、インバウンド対応力強化支援補助金の採択率を上げるポイントを3つ紹介します。

インバウンド対応力強化支援補助金の申請では、東京観光財団が公開している交付要綱と申請の手引を読み込むことが重要です。この記事で触れていない注意点も多くありますので、必ず目を通すことをおすすめします。

また、目を通すときは、本補助金の目的や東京観光財団が事業者に対して求めていることを意識することが大切です。そうした姿勢が、審査員に高く評価される申請書類の作成や、必要書類のヌケモレの予防に自ずとつながります。

インバウンド対応力強化支援補助金に採択されるためには、事業の現状と課題を分析し、実現可能な事業計画を立てることが重要です。

例えば、以下のような項目を検討してみましょう。

検討項目具体的な内容
現状分析外国人旅行者の来店状況、国籍や地域、ニーズに加え、自社のインバウンド対応の現状における課題や競合店のインバウンド対応状況を分析する
課題の抽出と優先順位付け現状分析の結果、明らかになった課題を具体的に列挙し、課題の重要度や緊急性を評価して優先順位をつける
事業内容と目標の設定課題を解決するために、どのような事業を行うか具体化するとともに、事業の目標を数値化して設定する
事業の効果と評価方法事業による効果の見込みや、測定・評価方法を明確にする
スケジュールと体制事業のスケジュールを具体的に立て、誰がどのような役割を担うのかを明確にする
補助金の活用計画明確にした事業の詳細に対して、補助金をどのように活用するか計画を立てる
事業の継続性と発展性補助金の交付期間終了後も、事業をどのように継続・発展させていくのかも言語化する
実現可能な事業計画を立てるときの検討ポイント

上記はあくまで一例ですが、これらの項目を検討した上で作成した事業計画書は、審査員にも良い印象を与えることができます。

インバウンド対応力強化支援補助金に申請するときは、補助金申請の専門家にサポートを依頼することも有効です。

専門家には税理士や行政書士などさまざまですが、おすすめは中小企業診断士や補助金申請に精通した経営コンサルタントです。これらの専門家は、中小企業の経営支援の経験が豊富であり、事業の深い部分まで理解した上で、説得力のある事業計画を立てる能力に長けています。

採択されるか不安がある、作成した事業計画に説得力があるかわからないなど、少しでも悩んだときはぜひ相談してみてください。

インバウンド対応力強化支援補助金の申請にお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

インバウンド対応力強化支援補助金は、東京都内の宿泊施設や飲食店、免税店などを対象に、外国人旅行者の受け入れ環境の整備を目的とした補助金です。

一方、本補助金では非常に多くの申請書類が求められ、また注意しなければいけない点も少なくありません。本記事で紹介したとおり、特に初めて補助金申請をする事業者は、中小企業診断士や補助金申請に精通した経営コンサルタントのサポートを受けることをおすすめします。

中小企業経営支援事務所では、補助金申請のエキスパートが事業者の思いや悩みにしっかり寄り添った上で、事業計画書の作成や申請のサポートを実施しています。採択率を上げるだけでなく、補助金を活用して事業を継続・発展できるように支援を行っているのが当社の特徴です。

初回相談は無料ですので、もし申請を検討していましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

【令和6年度】中小企業生産性向上促進事業費補助金とは?概要から採択率を上げるまで徹底解説

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の概要

神奈川県が実施している「令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金」は、人手不足解消や売上アップを目指すなら、ぜひ活用を検討したい補助金制度です。

生産性向上につながる設備投資やITシステム導入などを補助対象とし、補助率は最大で経費の3分の2。採択を通して補助金を受け取ることができれば、経営にとって大きな支えとなるでしょう。

この記事では補助金や申請方法から、採択されるためのポイントやコツまで、最新の公募要領をもとにわかりやすく解説しています。「申請が難しそう……」と感じている人は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金とは?

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金とは、神奈川県が実施する、物価高騰や人手不足といった厳しい経済環境にある県内の中小企業を支援するための補助金です。

具体的には、中小企業者が行う「生産性向上や業務プロセスの改善、人手不足の解消に資する設備導入等」を支援するものです。

補助金の申請を考えている事業者は、まず自身が補助の対象となる事業者であるかを確認する必要があります。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の概要は以下の通りです。

項目内容
補助金の目的中小企業者の「稼ぐ力」の安定・強化
補助金の対象者神奈川県内に事業所を有する中小企業者
補助対象事業生産性向上や業務プロセスの改善、人手不足の解消に資する設備の導入等
補助率補助対象経費の2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)
補助上限額500万円(下限は25万円)
事業実施期間交付決定日から令和7年1月31日まで(2次公募の場合は、令和7年2月28日まで)
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の概要

以下、最新の公募要領(令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金〈2次公募〉の公募要領)をもとに詳しく説明します。

本補助金は、中小企業の生産性向上を支援することを目的としています。

目的内容
中小企業の「稼ぐ力」の安定・強化生産性向上に資する設備導入等を支援することで、収益力向上を図る
賃上げによる成長と分配の好循環の創出賃上げの原資となる収益を獲得することで、従業員へ還元し、更なる企業の成長へとつなげる
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の目的

本補助金を通して、中小企業が厳しい経済環境を乗り越え、持続的な成長を実現することが期待されています。

本補助金は、神奈川県内に事業所を持ち、かつ「中小企業支援法(昭和38年法律第147号)」第2条第1項に規定する中小企業者が該当します。

ただし、補助金の対象となる事業を行う事業所が神奈川県内でなければなりません。

補助率と補助上限額は以下のようになっています。

区分補助率補助上限額
生産性向上促進事業補助対象経費の2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)500万円(下限は25万円)
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の補助上限額・補助率

例えば、1,000万円の設備投資を行う場合、中小企業であれば最大500万円、小規模事業者であれば最大666万円が補助されます。

本補助金における補助対象経費は以下の3つです。

費目補助対象経費の内容
①機械装置等費補助事業を実施するために必要な機械装置等の購入費用。中古品も補助対象。リースやレンタルは対象外
②ITサービス導入費補助事業を実施するために必要なITサービスやシステムの導入・開発費用。ソフトウェア、クラウドサービスの購入費用や、導入するITサービスやシステムの月額・年間の利用料・契約料も補助対象
③施設工事費①機械装置等費や②ITサービス導入費で導入する機械やサービスのために必要な施設工事費用。外注費用のみが対象。施設工事費のみの申請は不可
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の補助対象経費

補助対象となる経費は、補助事業を遂行するために必要かつ明確に特定できるもので、交付決定日以降に開始し、補助事業完了日までに完了した経費です。支払金額が証明書類で確認でき、事業実施の証明書類で適切な実施が確認できること、具体的で数量等が明確であること、価格が一般価格や市場価格と比較して適正であると認められることも条件となります。

一方、補助対象外となる経費は、補助対象経費として認められない費用です。例えば、土地や建物の購入費、賃借料、修繕費、人件費、補助事業期間内に使い切らない消耗品費、交際費、既存設備の撤去費用や廃棄費用などが挙げられます。

本補助金の公募は、1次公募と2次公募に分かれており、それぞれ以下の表の通り日程が設定されています。

公募期間備考
1次公募令和6年4月1日(月)9時~令和6年5月31日(金)17時申請は締め切りました
2次公募7月締切分令和6年7月10日(水)9時~令和6年7月31日(水)17時申請は締め切りました
2次公募8月締切分令和6月8月1日(木)9時~令和6年8月30日(金)17時
2次公募9月締切分令和6月9月2日(月)9時~令和6年9月30日(月)17時
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の公募期間

郵送の場合は、当日消印有効となります。8月31日(土)消印の分は8月締切分、9月1日(日)消印の分は9月締切分として審査されます。

1次公募に申請した方は、2次公募に申請することはできません。

本補助金の事業実施期間は、1次公募と2次公募で異なります。

公募事業実施期間
1次公募交付決定日~令和7年1月31日(金)
2次公募交付決定日~令和7年2月28日(金)
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の事業実施期間

補助金の対象となる事業は、交付決定日から上記期間内に実施した事業のみです。交付決定日より前や、1次公募の場合は令和7年2月1日(土)、2次公募の場合は令和7年3月1日(土)以降に実施した事業は補助の対象になりません。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請手続きについて

本補助金の申請方法は、原則としてe-kanagawa電子申請システムを利用します。電子申請システムが使えない場合は、郵送での申請も可能です。

e-kanagawa電子申請システムを利用する場合

  1. e-kanagawa電子申請システムにアクセスする
  2. 利用者登録を行う(GビズIDアカウントを持っている場合はログイン)
  3. 申請書類をダウンロードする
  4. 必要事項を入力し、添付書類をアップロード
  5. 内容を確認し、送信する

郵送で申請する場合

  1. 申請書類をダウンロードする
  2. 必要事項を記入し、必要書類を添付する
  3. 以下の提出先へ郵送する
【令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金 申請書類提出先】
〒231-0033 神奈川県横浜市中区長者町5-60 NTT長者町ビル 2Fテルウェル東日本株式会社内 生産性向上補助金事務局 宛

申請に必要な書類は、大きく分けて以下の3種類です。これらの書類は、すべて正確かつ詳細に記入することが重要です。誤りや不足があると、申請が受理されない場合や、審査に不利になる可能性があります。

チェックリスト

補助金交付申請に用いるチェックリストです。郵送の場合のみ提出が必要となります。神奈川県のホームページからダウンロード可能です。

交付申請書類

交付申請書類は、補助金の申請内容や事業計画を具体的に記載する書類です。申請書の様式は、神奈川県のホームページからダウンロードできます。

・様式1:補助金交付申請書
・様式1-2:役員等氏名一覧表
・様式1-3:補助事業計画書
・様式1-4:経費予算書
・様式1-5:県外調達理由書(県外事業者から調達する場合のみ)
交付申請書類

添付書類

添付書類は、補助対象となる経費の根拠となる見積書や企業の現状を示す決算書など、補助金交付の可否を判断するために必要な書類です。

・申請する経費の見積書等
・工事前の現況写真(該当する場合のみ)
・更新前のECサイトの画面(該当する場合のみ)
・決算書等(直近2期分)
・履歴事項全部証明書または現在事項全部証明書(法人のみ)
・県税の未納がないことを証する納税証明書営業許可証等(該当する場合のみ)
・パートナーシップ構築宣言にかかる宣言書(加点を受ける場合のみ)
・事業継続力強化計画の認定を受けていることを証する書類または申請していることがわかる書類(加点を受ける場合のみ)
添付書類

本補助金の申請から支払いまでの流れは、以下の表の通りです。

手続き内容期間の目安
①申請書類の提出公募期間内に、神奈川県の生産性向上補助金事務局に申請書類を提出
②審査神奈川県が提出された申請書類に基づき、審査を実施1~2カ月程度
③交付決定通知審査の結果、補助金の交付が決定したら、神奈川県が当該事業者に「交付決定通知書」を郵送交付決定後、1週間程度
④補助事業の実施事業者は交付決定通知書を受領したら、補助事業に着手交付決定日から令和7年1月31日まで
2次公募の場合は、令和7年2月28日まで
⑤実績報告書の提出事業者は補助事業完了後、神奈川県の生産性向上補助金事務局に実績報告書を提出補助事業完了後、速やかに
⑥補助金の交付実績報告書の内容に基づき、補助金の額が確定したら、事業者に交付される実績報告書提出後、1~3カ月程度
令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請から支払いまでの流れ

補助金を受けるためには、それぞれの段階で適切な手続きを行う必要があります。また、審査や交付決定、補助金交付にはそれぞれ期間を要しますので、余裕を持って申請を進めるようにしましょう。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の実績報告について

本補助金を受給した場合、交付申請の内容に基づき、補助事業を適切に実施したかどうか、補助金の交付条件どおりに事業が遂行されたかどうかを事務局に報告する義務があります。これを実績報告と言います。

実績報告は、補助金の交付決定を受けた後、事業完了日から起算して30日以内に行わなければいけません。実績報告を怠ったり、虚偽の内容を報告したりすると、補助金の返還を求められる可能性があるため注意しましょう。

項目内容
補助事業の実施状況補助事業の内容を具体的に実施期間、場所、内容の詳細
補助対象経費の支出状況補助金の交付申請書に記載した経費と実際に支出した経費を比較した内容
補助事業の成果補助事業により期待された成果(数値を用いての具体的な内容)
補助事業の今後の活用計画補助事業の成果を踏まえ、今後どのように事業に活用していくか、その具体的な計画

実績報告は、規定の書類を事務局に提出する形で行います。提出書類は大きく分けて、以下の3種類です。

実績報告チェックリスト

実績報告チェックリストは郵送の場合のみに提出する書類です。神奈川県のホームページからダウンロードできます。

実績報告書類

実績報告書類は、補助事業が申請内容や事業計画通りに実施されたかを証明する書類です。こちらも神奈川県のホームページからダウンロードできますので、事業内容に合わせて作成しましょう。

・様式5:補助金実績報告書(電子申請システムで自動作成)
・様式5-2:補助事業報告書
・様式5-3:経費決算書
・様式5-4:補助金取得財産管理台帳
実績報告書類

添付書類

添付書類は、実績報告書類の内容を補足する書類です。補助事業で実際に経費を使用したことを証明する書類や、事業の成果物を示す書類など、さまざまな書類があります。

・補助金の振り込みを受ける金融機関の通帳
・補助対象経費の支出を証する書類(請求書、領収書、契約書など)
・事業の実施状況を証する書類(写真、作業日報など)
添付書類

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金においては、ほかにも以下のような留意点があります。

補助事業を進めていく中で、変更が必要になった場合には、事業実施前かつ令和7年1月17日までに、「補助金変更承認申請書」などの必要書類を提出することが求められます。提出前に、必ず生産性向上補助金事務局に連絡を取り、変更内容について相談するのを忘れないようにしましょう。

補助事業を完全に中止する場合や、令和7年2月28日までに事業が完了しなかった場合、補助金の支払いは行われません。特別な事情により事業完了が遅れる場合は、令和7年1月17日までに生産性向上補助金事務局に連絡する必要があります。

補助金を利用して取得した財産の「処分」とは、補助事業目的以外で使用する、譲渡、交換、貸付、担保権設定、取壊、廃棄、移転等することをいいます。

補助金を使って取得した財産のうち、単価が50万円(税抜)以上のものは「処分制限財産」に該当し、補助事業が完了した後も一定期間は処分が制限されます。例えば、補助金で購入した機械を、別の会社に売却したり、別の事業で使用したりする場合は、処分に該当するため、事前に許可を得る必要があります。

処分制限期間は、原則として10年です。ただし、取得した財産の耐用年数が10年未満の場合は、その耐用年数が処分制限期間となります。

処分制限期間中に処分制限財産を処分する場合は、事前に「補助金取得財産等の処分承認申請書」を生産性向上補助金事務局へ提出し、承認を得る必要があります。

無断で処分した場合は、補助金の返還を求められる可能性があります。返還額は、原則として、処分時の時価に補助率を乗じた金額となります。

ほかにも以下のような留意点があります。

  • 補助金の不正使用の禁止:補助金は、交付決定を受けた事業の遂行のためにのみ使用することができ、他の目的への使用は認められていません。
  • 交付決定内容の遵守:補助事業の内容や経費の使い道は、交付決定の内容に厳格に従う必要があります。
  • 補助対象経費の厳格な管理:補助対象となる経費とそうでない経費を明確に区別し、適切な会計処理を行う必要があります。
  • 関係書類の適切な保管:補助事業に関する書類は、事業完了後も一定期間保管する義務があります。

これらの留意点を守らない場合、補助金の返還を請求されたり、今後の補助金の交付が制限されたりする可能性があります。

また、補助事業の実施期間中は、県の職員による実地検査が行われる場合があります。これは、補助事業が適切に進められているかを確認するために行われるものであり、補助金受給者は、検査に協力する義務があります。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金は、申請したら必ず受け取れるわけではありません。また受給後も、さまざまな点に注意する必要があります。

申請を考えている事業者の人に向けて、特におさえておきたいポイントを三つ紹介します。

補助金に申請するときは、公募要領をよく読み込み、その目的や意図を汲み取ることが大切です。単にルールのクリアだけを意識していると、書類を審査する側に響かない事業計画書になってしまったり、必要な書類の用意を忘れてしまったりする可能性が高くなります。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金補助金は、人手不足や生産性向上といった課題を抱える中小企業を支援し、県経済全体の活性化を目指しています。そのため、補助金を受け取る事業者には、補助金を有効活用し、持続的な成長を実現していくことが求められています。

このことを前提に、なぜこの要件なのか、なぜこういった必要書類が求められているのか、などを意識しながら公募要領を読み込むことをおすすめします。

この補助金を受け取るために重要になってくるのが、申請時に提出する事業計画書のクオリティです。事業計画書をどれだけ作り込めているかが採択の鍵を握ります。

そのためにも、以下の点を意識することが重要となるでしょう。

審査項目・加点項目

公募要領に示されている審査項目・加点項目は、審査側が重要視するポイントを明確に示しています。これらの項目を深く理解し、事業計画書に具体的に反映させることで、採択の可能性を高めることができます。

審査項目には要件審査と事業有効性審査の2つがあります。

1.要件審査

まずは、補助を受けるための基本的な要件を満たしているかどうかの確認が行われます。具体的には、以下の点が挙げられます。

・対象となる事業者であるか
・補助金の要件を満たしているか
・申請書類に不備や不足がないか
・補助事業に必要な経費として認められるか
・見積もりの内容が適正で、補助対象外の経費が含まれていないか
要件審査

2.事業有効性審査

事業の有効性については、提出された事業計画の内容を精査し、実現可能性や収益性、そして生産性向上への効果などが総合的に判断されます。

・事業計画は公募要領に沿っているか、具体的で実現可能な内容となっているか
・社会通念上、問題のない事業内容であるか
・自社の強みや弱みを分析し、それを活かした計画となっているか
・事業収支計画は実現可能で、継続的に収益を上げられる見込みがあるか
・付加価値額を3年間で4.5%以上増加させることができるか
・増加した付加価値額は、従業員の給与にも適切に分配される計画となっているか
・生産性向上に必要な投資であり、費用対効果に見合ったものとなっているか
・資金計画は実現可能で、無理なく事業を進められるものとなっているか
事業有効性審査

また、以下の項目を満たしている場合は、審査において加点される可能性があります(加点項目)。

・「パートナーシップ構築宣言」を行い、宣言日が申請日までであること
・「事業継続力強化計画(単独型・連携型)」の認定を受けている、または申請中であること
加点項目

事業者の事業に対する思い

補助金申請は、単なる事務手続きではありません。事業者の熱い思いや将来へのビジョンを伝える絶好の機会です。審査項目にとらわれすぎることなく、自社の強みや独自性を活かした、魅力的な事業計画書を作成しましょう。

事業者の情熱や具体的な目標が伝わることで、審査側の心を動かし、採択へとつながる可能性が高まります。

各種必要書類は、事業計画の内容を裏付ける根拠となるものです。それぞれの書類がなぜ必要なのか、審査側へどのような情報を伝えるためなのかを理解し、丁寧に準備することが重要です。

例えば、見積書は補助対象経費の妥当性を判断するための資料となります。相見積もりを取得することで、価格の妥当性をより明確に示すことができます。また、事業実施の証明書類(写真等)は、補助事業が実際に実施されたことを証明するための重要な資料となります。写真の内容や撮影方法にも注意を払い、事業内容が明確に伝わるように準備しましょう。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金の申請は、複雑で時間と労力を要します。思った以上に大変……という声は少なくありません。

そこで、おすすめしたいのが、補助金申請の専門家にサポートを依頼することです。ここでは相談するメリットや専門家の探し方について紹介します。

専門家のサポートを受けるメリットは多岐にわたります。特に大きいのが以下の4つです。

メリット説明
時間と労力の削減申請書類の作成や手続きを効率的に進められるようになる
採択率の向上事業計画や申請書類の的確なブラッシュアップによる採択率の向上が期待できる
最新情報の入手頻繁に改定される補助金制度の最新情報を得られる
申請後のフォローアップ採択後に求められる実績報告や精算手続きなど、複雑な手続きのサポートも受けられる
専門家に相談するメリット

このように、専門家のサポートを受けると、時間と労力の削減、採択率の向上、最新情報の入手、申請後のフォローアップといった多くのメリットが得られます。

補助金申請を専門家に依頼するメリットは多岐に渡りますが、いざ専門家を探そうとすると思わぬ苦労をするかもしれません。

大きく分けて、以下の3つの手段があります。

手段具体的な方法メリットデメリット
公的機関の窓口を利用する各都道府県の中小企業支援センターや商工会議所などに相談相談は無料で行うことができたり、専門家を紹介してもらえたりする地域や機関によっては、専門家の数が限られている場合があり、希望する専門家が見つからない可能性がある
インターネットで検索する補助金申請や経営コンサルティングなどのキーワードで検索全国各地の専門家を比較検討することができる情報が多すぎるため、自分に合った専門家を見つけるのが難しい場合がある
紹介を受ける銀行や税理士、弁護士など、普段から付き合いのある専門家に相談して紹介してもらうすでに信頼関係が構築されている専門家を紹介してもらえる可能性が高い必ずしも希望する専門家を紹介してもらえるとは限らない
専門家の見つけ方

どの方法で専門家を探す場合でも、複数の専門家に相談し、実績や費用、対応などを比較検討することが大切です。

面談を通して、自分の事業内容や課題を理解し、親身になって相談に乗ってくれる専門家を選びましょう。

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金をお考えでしたら、中小企業経営支援事務所にご相談ください

令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金は、中小企業の生産性向上を目的とした神奈川県主催の制度です。

中小企業の大きな助けとなる制度ですが、受給するためにはさまざまな点に留意する必要があります。そのため、申請したいけれど、なかなか時間が作れない……と悩んでいる事業者もいるでしょう。

もし申請に関して悩んでいる場合は、ぜひ一度、中小企業経営支援事務所への相談をご検討ください。

中小企業経営支援事務所は、中小企業の経営課題解決をサポートする専門機関です。補助金申請についても豊富な知識と経験を持つ専門家が在籍しており、採択率を高めるための支援体制が整っています。

相談は無料ですので、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業とは?申請方法と採択されるコツを解説

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業

「事業環境の変化にうまく対応できない」「思い描く経営戦略を実行に移すための資金が足りない」

このような悩みを抱えている経営者も多いのではないでしょうか。

急速に変化する現代社会において、企業が持続的な成長を遂げるためには、時代の流れをいち早く察知し、柔軟かつ戦略的に事業を展開していくことが求められます。

しかし、中小企業やスタートアップ企業にとって、必要な資金やノウハウを確保することは容易ではありません。

そこで、東京都中小企業振興公社では、「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」を通じて、都内の中小企業の挑戦を力強く後押ししています。

この記事では、「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」の概要や申請方法、採択されるためのポイントなどを具体的に解説していきます。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業とは

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(経営改善計画策定による経営基盤強化支援)(一般コース)とは、新型コロナウイルス感染症の影響や、その後の物価高騰など、企業を取り巻く事業環境の激変に対応し、事業の強化を図る中小企業を支援するために、東京都が実施している助成事業です。

具体的には、これまで営んできた事業のさらなる深化や発展に取り組み、経営基盤の強化を図る企業に対して、設備投資や人材育成、販路開拓など、その取り組み内容に応じて経費の一部を助成します。

この事業を活用することで、企業は以下のようなメリットを得られます。

  • 助成金により、設備投資や人材育成、販路開拓など、さまざまな取り組みへの資金調達をスムーズに行うことができる
  • 事業の強化や経営基盤の強化を図り、変化の激しい事業環境においても持続的な成長を実現できる

以下、新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の詳細や申請方法を、東京都中小企業振興社のWebサイトに公開されている概要や募集要項などをもとに、詳しく解説します。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業では、ポストコロナ時代を含む新たな事業環境の変化に対応し、事業者がこれまで行ってきた事業のさらなる深化や発展に取り組むことで、経営基盤の強化につなげることを目的としています。

具体的には、以下のような取り組みが助成対象となります。

項目具体的な取り組み例
既存事業の深化・高性能な機器や設備を導入して競争力を強化する
・既存の商品やサービスの品質を向上させる
・高効率機器や省エネ機器を導入して生産性を向上させる
既存事業の発展・新たな商品やサービスを開発する
・商品やサービスの提供方法に新たなものを導入する
・既存事業で培った知識や経験を活かした、新規事業展開(フランチャイズ展開、海外展開なども含む)
助成対象となる具体的な取り組み例

反対に、以下のような取り組みは助成対象外となるので注意が必要です。

  • 申請者がこれまで行ってきた事業内容との関連性が薄い、または全くない取り組み
  • 法改正への対応など、義務的な取り組み
  • 単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取り組み

これらの内容を参考に、自身の事業が助成対象となるか検討してみましょう。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業は、中小企業であればどんな企業でも対象となるわけではありません。申請するためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。

例えば、都税を滞納なく納めていること、事業を継続して営んでいることなどが挙げられます。これらの要件を満たしていない場合、残念ながら助成を受けることはできません。

具体的な対象者は以下の表の通りです。

区分条件
企業規模中小企業基本法第2条に規定する中小企業者
資本金や従業員業種によって異なる
製造業や情報通信業の場合は3億円以下、または従業員数300人以下
サービス業の場合は5,000万円以下、または100人以下
所在地東京都内に事業所を有し、都税を滞納なく納めていること
その他経営革新計画の承認を受けていること、事業を継続して営んでいること、暴力団と関係がないことなど
対象者概要

上記の表を参考に、自身の企業が助成対象に当てはまるかどうか、事前に確認しておきましょう。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業では、対象となる取り組みのために支出する経費の一部が助成対象となります。具体的には、以下の表に示すような種類があり、それぞれの項目で認められる具体的な内容が細かく定められています。

経費の種類内容
原材料・副資材費事業を行うために必要な原材料や部品などの購入費用
機械装置・工具器具費事業に必要な機械や装置、工具、器具などの購入費用やリース費用
委託・外注費事業の一部を外部に委託する場合の費用(市場調査、専門家指導、販売促進、その他)
産業財産権出願・導入費新しい技術やデザインの保護のための特許や意匠などの出願費用、あるいは外部からの技術導入費用
規格等認証・登録費新しい製品やサービスを市場に投入するために必要な規格の認証や登録費用
設備等導入費事業に必要な設備の購入や設置費用
システム等導入費業務効率化やサービス向上のためのシステム開発や導入費用
専門家指導費専門家から事業に関する指導や助言を受けるための費用
不動産賃借料事業を行うために必要な事務所や工場などの賃借費用
販売促進費新しい商品やサービスの販売促進のための広告宣伝費や広報費(既存事業に係る販売促進は対象外)
その他経費上記のいずれにも該当しない経費で、事業を行うために必要と認められる費用
助成対象経費一覧

ただし、すべての経費が助成対象となるわけではなく、事業内容との関連性や必要性などについて審査が行われます。

例えば、委託・外注費のうちの市場調査費や、専門家指導費、販売促進費、その他経費は、それのみでは申請できず、これらの費用とその他の対象経費を組み合わせる必要があります。また、販売促進費については、あくまで新規事業に関するものが対象となり、既存事業の販売促進は認められません。

助成を希望する際には、どのような経費がどの程度認められるのか、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業では、対象となる経費に対して、一定の割合で助成が行われます。助成率は対象経費の2/3以内と定められており、上限は800万円です。

項目内容
助成率助成対象経費の2/3以内
助成限度額800万円
助成率と助成限度額

例えば、600万円の対象経費が発生した場合、助成額は最大で400万円(600万円×2/3)となります。

一方で、対象経費1,800万円の場合、2/3の金額は1,200万円ですが、助成限度額が800万円なので、800万円のみしか受け取れません。

つまり、事業計画が大きくなっても、受け取れる助成金には上限があるため、事業計画の規模に応じた資金調達計画を立てることが重要になります。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業では、助成金の対象となる期間が事業開始日から最長1年間と定められています。

例えば、2023年10月1日に事業を開始し、2024年9月30日に完了する計画の場合、2023年10月1日から2024年9月30日までの1年間が助成対象期間となります。

助成対象となる経費は、この期間内に発注または購入したものが対象です。交付決定前に発注したものや、クレジットカードの引き落とし日が対象期間を超えるものは対象外となるため注意しましょう。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請要件 チェックリストで確認

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請には、いくつかの要件を満たしている必要があります。

まずは、以下のチェックリストで、申請資格があるかを確認しましょう。

項目チェック
都内の中小企業者である
大企業が実質的に経営に参画していない
東京都暴力団排除条例に規定する暴力団関係者ではない
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する風俗関連業、ギャンブル業、賭博など、支援の対象として社会通念上適切でないと判断される業態を営むものではない
同一テーマ・内容で、他の助成金などを受けていない
事業税等を滞納していない
東京都および公社に対する債務を滞納していない
過去5年間に、助成事業などに関して不正などを起こしていない
過去に公社から助成金の交付を受け、
必要な報告書の提出が完了している
民事再生法または会社更生法による申立てなど、助成事業の継続に不確実な状況が存在しない
助成事業の実施に必要な許認可を取得し、
関係法令を遵守している
公社が適切でないと判断する業態を営むものではない
申請要件チェックリスト

すべてチェックが入れば、申請資格を満たしている可能性があります。

ただし、上記以外にも、所在地や売上高に関する要件、申請書類、実施場所に関する要件など、さまざまな要件がありますので、必ず最新の募集要項をご確認ください。

申請から交付までの流れ

助成事業への応募を検討するにあたって、気になるのは申請から交付までのプロセスではないでしょうか。大まかな手続きの流れを紹介します。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請は、電子申請システム「jGrants」を通じて行います。なお「jGrants」を利用するには、GビズIDのWebサイトで「GビズID(プライムアカウント)」を事前に取得しておく必要があります。

GビズID(プライムアカウント)を取得したら、「jGrants」にアクセスし、画面の指示に従って必要書類を送付します。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請には、いくつかの書類を提出する必要があります。主な必要書類は以下の通りです。

書類名内容入手方法
申請書助成金の交付を申請するための書類。事業計画の概要や助成金の申請額などを記載する東京都中小企業振興公社のWebサイトからダウンロード
事業計画書事業の内容、目標、計画などを具体的に記載した書類東京都中小企業振興公社のWebサイトからダウンロード
見積書機械装置や設備などの購入、工事などの費用を証明するための書類各業者から入手
登記事項証明書企業の情報が記載された書類法務局で取得
市町村発行の直近3期分の納税証明書(その1)税金の滞納がないことを証明する書類各市町村の窓口で取得
主な申請書類

他にも多様な書類が必要となりますので、早めの準備が重要です。

jGrantsを利用して電子申請をすると書類審査が行われ、書類審査を通過すると専門家による面接審査が行われます。書類審査および面接審査では、以下の5つの項目を中心に申請書類の内容が見られます。

  • 発展性:既存事業の深化・発展に資する取り組みであるか
  • 市場性:ポストコロナなどにおける事業環境の変化前後の市場分析は十分にされているか
  • 実現性:取り組むための体制は整っているか
  • 優秀性:事業者としての創意工夫や今後の展望はあるか
  • 自己分析力:自社の状況を適切に理解しているか

審査が通り、交付決定通知を受けたら、いよいよ事業開始です。この交付決定以後から1年の間に契約や支払いを行った経費が、助成事業の対象となります。

交付決定後から完了検査までの流れは以下のとおりです。

  1. 交付決定通知の受領
  2. 事業の実施
  3. 事業完了
  4. 完了実績報告書の提出
  5. 完了検査(書類審査、現地調査)
  6. 交付額確定通知書の受領
  7. 助成金の請求

上記を見て気づくように、交付が決定されたといっても、助成金を必ずしも満額受け取れるとは限りません。提出された完了実績報告書に基づき、書類審査や現地調査が行われ、それをもとに初めて実際に交付される助成金の額が決まります。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業への申請は、余裕を持った準備が重要です。特に、GビズIDプライムの取得には時間がかかる場合があるため、注意する必要があります。

申請準備から事業実施までの一般的なタイムラインは以下の通りです。

準備期間内容留意点
3カ月前~GビズIDプライムの取得開始審査に1週間程度かかる場合があり、アカウント発行までに時間を要する可能性がある
2カ月前~募集要項の確認、事業計画の検討開始募集要項は、公社のWebサイトで見られる。事業内容が要件に合致しているか、しっかりと確認すること
1カ月前~事業計画書の作成、必要書類の準備事業計画書は、審査の重要なポイント。具体性、実現可能性を意識して作成する
2週間前~電子申請システム(jGrants)への入力jGrantsの操作に慣れておくことも重要。入力内容に誤りがないか、最終確認を忘れずに
申請受付期間(約2週間)電子申請システム(jGrants)から申請申請期間は、公社のWebサイトで確認可能。締切間際は混雑が予想されるため、余裕を持った申請を
申請後~(審査期間:約3カ月)書類審査、面接審査審査結果が出るまでは、事業計画の内容について、あらためて整理しておくと◎
交付決定後~交付決定通知書の受領、事業開始、事業実施、完了検査交付決定後、速やかに事業に着手。事業実施中は、計画の進捗状況や経費の支出について、こまめな管理が必要。事業完了後は、完了検査を受けること
申請準備から事業実施までの大まかなスケジュール

このように、申請から事業開始、完了までには、数カ月かかる場合もあります。計画的に準備を進め、スムーズな事業の実施を目指しましょう。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業は、申請が集中しており、募集期間が短くなっています。令和6年度は毎月募集が行われていますが、申請件数が各月の予定数に到達すると、当初の申請受付期間が来る前に募集が締め切られることもあります。

令和6年7月14日時点では、以下のスケジュールで募集が予定されています。

募集回申請受付期間
第4回(終了)令和6年7月1日~7月12日まで
第5回令和6年8月1日から8月15日まで
第6回令和6年9月2日から9月13日まで
第7回令和6年10月1日から10月15日まで
第8回令和6年11月1日から11月15日まで
第9回令和6年12月2日から12月13日まで
第10回令和7年1月6日から1月15日まで
第11回令和7年2月3日から2月14日まで
第12回令和7年3月3日から3月14日まで
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の募集予定表

ただし、予算の都合などにより、予告なく募集予定が変更される場合もあります。最新の情報は、東京都中小企業振興公社のWebサイトで必ず確認するようにしてください。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の採択率を上げるポイント

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業に申請するのであれば、採択の可能性を最大限に高めたいものです。

ここでは採択率を上げるためのポイントを、事業計画書作成のコツ、書類不備の対策、面接対策、専門家活用の4つの観点から詳しく解説していきます。

事業計画書は、事業計画が新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の趣旨に合致しているか、実現可能性が高いか、そして経営基盤の強化につながるのかを審査員に理解してもらうための重要な書類です。

採択率を高めるためには、以下のポイントを押さえながら作成しましょう。

項目説明
1.事業の背景と目的なぜこの事業に取り組むのか、その背景や目的を明確に記述する。市場の現状やニーズ、競合との差別化などを分析し、事業の必要性を具体的に示すことが重要
2.事業内容具体的な事業内容をわかりやすく説明。どのような商品・サービスを提供するのか、ターゲットは誰か、どのような方法で販売・展開するのかを明確にする。図表などを活用すると、よりわかりやすい
3.目標と評価指標事業を通じて達成したい目標を具体的かつ定量的に設定。売上目標だけでなく、新規顧客獲得数、市場シェア、顧客満足度など、事業の成功を測る指標を明確にする
4.実施体制事業を推進する体制について説明します。誰がどのような役割を担うのか、社内外の協力体制はどうなっているのかを明記。特に、専門性の高い分野については、外部の専門家との連携体制をアピールすることで、事業の実行可能性を高められる
5.資金計画事業に必要な資金と調達方法、資金の使い道を明確に示す。「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」の助成金をどのように活用するのか、具体的な計画を立てることがポイント
6.予想される効果事業の実施によって、自社の経営基盤がどのように強化されるのか、具体的な効果を記述しておく。売上増加、利益率向上、新規市場開拓、雇用創出など、定量的なデータに基づいた予測を示すことが重要
事業計画書を作成するときのポイント

これらのポイントを踏まえ、審査員があなたの事業計画を理解し、共感し、その成長性を確信できるような説得力のある事業計画書を作成しましょう。

申請書類には、事業計画書以外にも、誓約書や申請要件確認チャートなど、さまざまな書類があります。これらの書類に不備があると、審査に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。例えば、誓約書では記入漏れや押印漏れといった不備がしばしば見受けられます。提出前に必ず確認し、漏れなく記入・押印をしておきましょう。

さらに、その他の添付書類においても、形式が指定と異なる、または期限切れの書類を提出してしまうといったケースがあります。募集要項で指定された形式・期限の書類を提出するように心がけましょう。最新の情報を確認し、必要があれば更新することが大切です。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の採択を勝ち取るためには、書類審査を通過した後に行われる面接審査の対策も重要です。面接では、提出した事業計画書の内容をより具体的に説明するだけでなく、審査員からの質問に的確に答える能力も求められます。

面接審査を突破するために、以下のポイントを踏まえ、しっかりと準備しておきましょう。

項目内容
事業計画への深い理解事業計画書の内容を改めて精査し、事業の目的や目標、具体的な内容、予想される効果などを深く理解しておく
想定される質問への回答準備審査員からのさまざまな角度から質問にスムーズに答えられるように、質問を想定し、回答を事前に準備しておく
熱意と明確なビジョン事業にかける熱意や、将来に対する明確なビジョンを審査員に伝えるようにする
質問には正直かつ具体的に回答わからないことや曖昧な点は、正直に伝え、審査員の説明に耳を傾ける。回答は具体的であるように心がけ、根拠やデータを示すと◎
落ち着いて丁寧な受け答えを心がける面接官の目を見て、ハキハキと話すことも大切
面接審査に挑むときのポイント

面接審査は、審査員と直接対話できる貴重な機会です。積極的にコミュニケーションを取り、事業内容への理解を深めてもらい、採択へとつなげましょう。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請は、複雑な手続きや書類作成が求められます。そのため、専門家のサポートを受けることは、採択率を上げるための有効な手段です。

例えば、以下のような専門家が考えられます。

専門家サポート内容
補助金申請に精通したコンサルタントや中小企業診断士事業計画のブラッシュアップ、事業の課題や改善策の提案、事業計画に基づいた実行支援など
税理士助成対象経費の判断、事業計画の財務面の精査、確定申告サポートなど
行政書士助成金申請書類の作成代行、提出書類のチェックなど
助成金申請の主な専門家

これらの専門家は、豊富な知識と経験に基づいて、事業者にとって最適なアドバイスやサポートを提供してくれます。

特に、補助金申請に精通したコンサルタントや中小企業診断士は、採択率を左右する事業計画のブラッシュアップに強みを持っています。これから初めて申請する場合や、なかなか採択されずに悩んでいる場合は、ぜひ積極的に検討することをおすすめします。

経営展開サポート事業に関してよくある質問

事業の深化・発展につながる場合に限り、従業員への教育研修費用は助成対象となります。ただし、すべての教育研修費用が対象となるわけではありません。

助成対象となるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 教育研修の目的が、既存事業の深化・発展や新規事業開拓につながること
  • 教育研修の内容が、専門性の高い技術・知識の習得など、事業の深化・発展に直接的につながる内容であること
  • 教育研修の実施方法が、外部研修や社内研修など、適切な方法で実施されていること
  • 教育研修の費用が、妥当な金額であること

例えば、新製品開発のための技術研修や、海外進出のための語学研修などは、助成対象として認められる可能性があります。

個別のケースについては、東京都中小企業振興公社に相談することをおすすめします。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請は、電子申請のみです。郵送やFAXでの提出は受け付けていません。

申請には、国が提供する電子申請システム「jGrants」を利用します。jGrantsの利用には、「GビズIDプライム」アカウントが必要です。アカウント発行には1週間程度かかる場合があるので、余裕を持って手続きを行いましょう。

個人事業主も新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業に申請可能です。

この事業の対象者は「中小企業者」となっていますが、中小企業基本法では、個人事業主も従業員数に応じて「中小企業者」に該当すると定義されています。

つまり、従業員数が一定数以下の個人事業主であれば、本事業の対象となります。ただし、その他の要件も満たしている必要がありますので、申請前に募集要項などで詳細を確認しましょう。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請をお考えでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業は、東京都の中小企業が変化をチャンスに変え、持続的な成長を遂げるための大きな支えとなるでしょう。

申請を検討されている人は、募集要項をよく確認し、事業計画をしっかりと策定した上で、申請に臨みましょう。採択の可能性を高めるためには、専門家のサポートを受けることも有効です。

新たな事業環境に即応し、力強く成長を遂げるために、本事業の活用をぜひご検討ください。

中小企業経営支援事務所は、新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業に熟知している経営コンサルタントです。事業計画書作成のアドバイスをはじめ、申請に際してのお困りごとに丁寧に寄り添い、採択の可能性を高めるためのサポートをしています。これから申請を考えている方や採択されずに悩んでいる方は、ぜひお気軽に当社にご相談ください。初回相談は無料す。

また、以下の動画でも解説をしていますので、合わせてご覧をいただければ幸いです。

【2次公募開始】大規模成長投資補助金ガイド|採択率UPの秘訣も解説

近年、深刻化する人手不足や生産性向上は、多くの企業にとって喫緊の課題となっています。そこで注目されているのが、政府が推進する「大規模成長投資補助金」です。この補助金は、中堅・中小企業の設備投資やシステム導入を支援し、企業の成長と賃上げを後押しすることを目的としています。

この記事では、令和年6月26日から開始された2次公募の申請を検討している企業経営者に向けて、2次公募の概要や対象経費の例、申請の流れなどをわかりやすく解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、大規模成長投資補助金の1次公募で不採択となった事業者様から多くの相談をいただいています。その豊富な経験を踏まえて2次公募の採択に向けての適切なアドバイスを行っておりますので、申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。懇切丁寧に解説いたします。

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【最新情報】大規模成長投資補助金2次公募の概要

大規模成長投資補助金は、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の略称で、経済産業省が推進する補助金制度です。

中堅・中小企業の生産性向上や事業規模拡大を目指して行う大規模な投資を支援し、当該企業に勤める労働者の持続的な賃上げを目指すことを目的としています。

大規模成長投資補助金は、1次公募は令和6年3月6日から4月30日までだったため終了していますが、2次公募が令和年6月26日から始まっています。公募締め切りは令和6年8月9日です。

項目内容
補助金名中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
公募期間令和6年6月26日(水)~令和6年8月9日(金)17:00
補助事業期間交付決定日から最長で令和8年12月末まで
(特別枠の場合、令和7年3月31日まで)
補助上限額50億円
補助率1/3以内
補助対象者常時使用する従業員数が2,000人以下の会社または個人など
補助事業の要件投資額10億円以上であること、賃上げ要件を満たすことなど
補助対象経費建物費、機械装置費、システム構築費など
大規模成長投資補助金2次公募の概要

2次公募の内容は、1次公募とそれほど大きく変わりません。

ただし、補助金による効果を最大化する観点から、令和6年度内に投資する事業者向けの特別枠を新設したり、同年度内の投資比率が大きい計画に対しては優遇措置を講じたりすることが決められています。

以下、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金公募要領(2次公募)」をもとに詳しく説明します。

大規模成長投資補助金2次公募の補助上限額・補助率

2次公募の補助上限額は50億円です。補助率1/3以内となっています。例えば、3億円の設備投資が認められた場合、補助金は最大1億円まで補助されます。

大規模成長投資補助金2次公募の補助事業期間

交付決定日から最長で令和8年12月末までです。ただし、特別枠の場合、令和7年3月31日までとなっています。

大規模成長投資補助金2次公募の補助対象者

大規模成長投資補助金の2次公募における主な補助対象者は、以下の通りです。

  • 日本国内に本社および補助事業実施場所を有する事業者
  • 常時使用する従業員数が2,000人以下の会社または個人等
  • 政策目的に沿った収益事業を行う会社・個人以外の法人

ただし、「みなし大企業」と呼ばれる一定の条件に該当する事業者は補助対象外となります。例えば、発行済株式の過半数を大企業が所有している場合や、役員の半数以上が大企業の役員を兼務している場合などが該当します。

申請に関しては、同一公募において1事業者1件のみの申請が可能で、みなし同一法人についても同様です。なお、1次公募で交付決定を受けた事業者は2次公募への申請はできません。

また、補助対象外となる事業者も明確に定められています。経済産業省から補助金交付停止措置を受けている者、従業員数を意図的に操作している者、日本円での精算ができない者、事業の大半を外注する者、1次産業のみの事業者などが該当します。

なお、申請にあたっては、EBPM(証拠に基づく政策立案)への協力が求められます。これは、効果的な政策立案や効果検証のためのデータ活用に同意することを意味します。

以上の要件を踏まえ、自社が補助対象者に該当するか慎重に確認した上で、申請を検討することが重要です。

大規模成長投資補助金2次公募の補助事業の要件

大規模成長投資補助金2次公募では、企業の投資計画が補助対象となるかを見極める「補助事業の要件」が重要となります。特に2次公募では、早期の投資効果を重視した「特別枠」が新設され、要件を満たせば、交付決定から短期間での事業完了が可能となりました。

ここでは、一般枠・特別枠の要件について詳しく解説します。

  1. 投資額10億円以上(税抜き。外注費・専門家経費を除く補助対象経費分)であること
    ※投資場所が複数地域になる場合も対象となるが、補助事業の目的・内容が一体的でなければならない
    ※共同申請も可能
  2. 賃上げ要件を達成すること
  1. 一般枠の要件を満たすこと
  2. 令和6年度中(令和7年3月31日まで)に補助事業の完了が見込まれること
    ※対象となる経費は令和6年度中に支払予定のもののみ

一般枠にしても特別枠にしても、大規模成長投資補助金を受け取るためには賃上げ要件を達成する必要があります。賃上げ要件は、企業の持続的な成長と従業員の待遇改善を両立させることを目的としたものです。この要件を達成するには、以下を満たす必要があります。

項目要件
賃上げ目標補助事業終了後3年間の1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、都道府県の最低賃金上昇率以上
対象者補助事業に関わる従業員(非常勤含む)および役員
給与支給総額の範囲給料、役員報酬、賞与、各種手当等の給与所得として課税対象となる経費
目標達成義務・申請時に目標を掲げ、従業員等に表明
・未達成の場合、補助金返還(天災等除く)
その他の条件・基準年度の給与支給総額が申請時点の直近事業年度以上
・目標水準を事務局ホームページで公表
・「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」遵守
賃上げ要件のポイントまとめ

申請を検討する企業は、自社の現状と将来計画を踏まえ、これらの要件を達成できるか慎重に検討しなければいけません。また、要件達成のための具体的な施策(例:生産性向上による利益増、人材育成による付加価値向上など)もあわせて検討することが重要です。

大規模成長投資補助金2次公募の補助対象経費

大規模成長投資補助金では、設備投資やシステム導入など、幅広い経費が補助対象となります。

区分補助対象経費具体例
建物費事業を行うための事務所、工場などの建設、増築、改修費用新工場の建設、事務所のリノベーション
機械装置費事業に必要な機械装置や工具の購入、設置費用最新鋭の生産ロボット導入、省力化のための工作機械導入
システム構築費業務効率化、生産性向上のためのシステム開発、導入費用販売管理システム導入、在庫管理システム導入
ソフトウェア費業務効率化、生産性向上のためのソフトウェア購入、導入費用CAD/CAMシステム導入、生産管理ソフトウェア導入
外注費補助事業遂行に必要な加工、設計などを外部に委託する費用システム開発の一部外部委託、工場レイアウト設計の外部委託
専門家経費補助事業遂行に必要な専門家への謝金、旅費など経営コンサルタントへの依頼、システム導入コンサルタントへの依頼

大規模成長投資補助金の補助対象経費一覧

ただし、すべての経費が補助対象となるわけではありません。補助対象とならない経費もあるので、事前に公募要領をよく確認しましょう。不明点があれば、専門家へ相談することをおすすめします。

大規模成長投資補助金の申請ステップ

次に、申請から採択までの流れや必要書類を紹介します。要点をおさえてスムーズな申請を目指しましょう。

大規模成長投資補助金の申請から採択までの流れは、以下のようになっています。

  1. 公募申請
    申請者は、電子申請システムを通じて申請書類を作成・提出します。この際、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。
  2. 審査
    審査は2段階で行われます。まず書面審査(1次審査)で、形式要件の確認や計画の定量的な評価が行われます。次に、プレゼンテーション審査(2次審査)で、外部有識者による計画の定性的な評価が行われます。この審査は地域ブロック単位で開催されます。
  3. 採択
    審査結果に基づき、採択される事業者が決定され、結果が通知されます。
  4. 補助事業の実施
    採択された事業者は交付申請を行い、事務局による交付決定を受けます。その後、補助事業を実施し、事務局による実施状況の確認を受けます。事業完了後、事業報告と証憑類の提出を行い、補助額が確定します。最後に補助金が交付されます。
  5. 事業化・賃金引上げ状況などの報告
    補助事業者は、補助事業期間終了後、3事業年度にわたり(計4回)、事業化の状況や賃上げの状況などについて報告を行います。

この流れに沿って、申請から補助金受給、そして事後報告までの一連のプロセスが進められます。

大規模成長投資補助金2次公募において、特に重要な日程は以下の通りです。

工程日程
2次公募申請受付期間令和6年6月26日(水)~令和6年8月9日(金)17時
プレゼンテーション審査9月上中旬頃(予定)
採択発表9月中下旬頃(予定)

申請受付期間は上記の通りですが、申請が集中しやすいため、余裕を持った申請が重要です。

プレゼンテーション審査は、2次審査通過者を対象に実施されます。1次審査を通過した場合には、速やかにプレゼンテーション資料作成などの準備を始めましょう。

採択発表は9月中下旬頃を予定していますが、変更となる可能性もあります。最新情報は事務局ホームページを確認するようにしてください。

大規模成長投資補助金の申請には、企業の現状や成長投資計画を具体的に示す書類が必要です。主な必要書類は以下の通りです。

資料名対象ファイル形式命名規則
1. 成長投資計画書(様式1)全申請者PDFA001_成長投資計画書_事業者名.pdf
2. 成長投資計画書別紙(様式2)全申請者ExcelA002_成長投資計画書別紙_事業者名.xlsx
3. ローカルベンチマーク(様式3)全申請者Excel (.xlsm)A003_ローカルベンチマーク_事業者名.xlsm
4. 決算書等(3期分)全申請者PDFA004_決算書(前々期決算分)_事業者名.pdf
A004_決算書(前期決算分)_事業者名.pdf
A004_決算書(最新決算分)_事業者名.pdf
5. 金融機関による確認書(様式4)該当者のみPDFA005_金融機関による確認書_事業者名.pdf
6. リース取引に係る誓約書(様式5)該当者のみPDFA006_リース取引に係る誓約書_事業者名.pdf
7. リース料軽減計算書(様式6)該当者のみPDFA007_リース料軽減計算書_事業者名.pdf
大規模成長投資補助金に公募申請するときの必要書類一覧

これらの様式は、大規模成長投資補助金の資料ダウンロードページから入手することができます。

なお、申請にあたっては、最新の2次公募用の様式を使用し、各資料のファイルサイズを10MB以下に抑えることが重要です。ファイル名は表に示した命名規則に厳密に従い、成長投資計画書は35ページ以内でPDF形式で提出します。様式1、2、3の数値は確定した決算資料と整合させ、決算書は直近3期分を提出(不足分は白紙のPDFを提出)する必要があります。コンソーシアム形式の場合は幹事企業が代表して提出します。

効率的な申請のために、公募締切日の5営業日前までに提出すると事前チェックが可能です。資料の再提出が必要な場合は、事務局サポートセンターへの事前連絡が必須となります。最後に、提出前に不備や不足がないか十分確認することで、スムーズな申請プロセスを実現できます。特に様式や数値の整合性、ファイル形式などに注意を払うことが重要です。

大規模成長投資補助金の申請は、電子申請システム「jGrants」にある申請用ページを通じて行います。

jGrantsは、政府が提供する補助金申請の統一プラットフォームです。初めてjGrantsを利用する場合は、アカウント登録が必要となります。企業情報、代表者情報などを登録し、GビズIDプライムアカウントを取得しましょう。

GビズIDプライムアカウント発行後、jGrantsにログインし、必要書類をアップロードして申請します。

操作方法に関するマニュアルは、経済産業省のウェブサイトで公開されています。不明点があれば、jGrantsヘルプデスクへ問い合わせも可能です。

採択率UP!審査基準と成長投資計画書作成のポイントとプレゼン審査対策

大規模成長投資補助金の採択を目指す上では、審査基準を理解し、それに合致した効果的な計画書を作成したり、プレゼンテーション審査に臨んだりする必要があります。

ここでは、採択率を向上させるための審査基準の詳細と、説得力のある成長投資計画書を作成するためのポイント、プレゼンテーション審査の対策方法を解説します。

審査基準は、「経営力」「先進性・成長性」「地域への波及効果」「大規模投資・費用対効果」「実現可能性」の5つの評価軸からなります。

評価軸内容
経営力長期的な成長ビジョン、事業戦略との整合性、管理体制
先進性・成長性競争優位性、労働生産性の向上、売上高の持続的成長
地域への波及効果雇用創出、賃金上昇、地域経済への貢献
大規模投資・費用対効果投資規模の妥当性、費用対効果の高さ
実現可能性事業計画の具体性、実現可能性、資金計画の妥当性

高評価を得るには、各評価軸を意識し、具体的な数値目標や根拠に基づいた説得力のある成長投資計画書を作成することが重要です。例えば、最新の技術導入や独自のビジネスモデル構築など、他の模倣が困難な事業内容であることを具体的に示しましょう。

審査員が納得できる説得力のある成長投資計画書を作成するには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。

項目具体的な内容
論理性市場分析や競合分析を基に、なぜその投資が必要なのか、具体的な根拠を明確にする
具体性設備投資の内容や新規雇用の計画など、事業内容を出来るだけ具体的に記載する。数値目標は明確に示し、実現可能な範囲で意欲的な目標を設定する
波及効果単なる売上拡大だけでなく、地域経済への貢献や雇用創出など、補助事業の成果がどのように波及するかを具体的に説明する
成長投資計画書の作成ポイント

これらのポイントを踏まえ、各項目を丁寧に記述することで、審査員に事業の将来性や補助金の必要性を効果的に伝えられるでしょう。

例えば、「既存設備の老朽化に伴う最新鋭の省エネ設備への投資」という内容であれば、単に「最新鋭の省エネ設備導入による生産性向上と環境負荷軽減」と書くのではなく、設備の具体的な性能や導入による生産量増加、CO2削減目標などを数値で示し、説得力を高めることが重要です。

具体的な内容を盛り込みながら作成すると高評価につながりやすいため、ぜひ参考にしてみてください。

なお、当社では、1次公募で不採択となった事業者様向けに、不採択となった成長投資計画書を見て、不採択の理由や改善すべき点を分析しています。よければあわせてご参考ください。

プレゼンテーション審査における審査員との質疑応答は、経営者の熱意と計画の具体性を伝える貴重な機会です。以下のポイントを押さえ、自信を持って回答しましょう。

ポイント内容
簡潔明瞭に要点を絞って分かりやすく説明する
具体的な数字や事例を交えて説得力が増し、審査員の理解を深める
熱意を込めて事業への想いや将来展望を語る
質問の意図を汲み取る曖昧な場合は、確認してから回答する
誠実にわからない場合は、正直に伝える
プレゼンテーション審査 質疑応答のコツ

事前に想定される質問への回答を準備しておくことが重要です。また、模擬プレゼンテーションなどで練習を重ねることで、落ち着いて対応できるようになります。

大規模成長投資補助金の申請時の注意点とよくある失敗例

大規模成長投資補助金の申請は、書類作成や手続きに手間と時間がかかるため、注意が必要です。特に、初めて申請する場合は、要件の解釈や書類作成の仕方に迷うこともあるでしょう。

ここでは申請時の注意点とよくある失敗例を具体的に紹介します。

申請書類に不備があると、審査対象外となってしまう可能性があります。よくあるミスとして下記のようなものが挙げられます。

よくある申請ミス内容例対策例
対象外の経費を計上している公募要領で補助対象経費をしっかりと確認する
必要書類が不足しているチェックリストを活用する
記入内容に誤りや漏れがある複数人でダブルチェックを行う
賃上げ目標が基準を満たしていない都道府県別の最低賃金の上昇率を考慮する
事業計画の内容が曖昧で、実現可能性が低い具体的な数値や根拠に基づいた計画を立てる
申請ミスの内容例と対策例

特に、補助対象経費や賃上げ要件は、公募要領でしっかりと確認することが重要です。不明点があれば、専門家に相談するなどして、疑問点を解消してから申請するようにしましょう。

賃上げ要件を達成するには、戦略的な賃金設計と、従業員のモチベーション向上を両立させることが重要です。

項目具体的な内容
賃金テーブルの見直し職務等級制度を導入し、役割や責任に応じた賃金体系を構築する
成果に基づく報酬制度の導入業績や貢献度に応じた賞与やインセンティブ制度を導入し、従業員のモチベーション向上を図る
人材育成制度の充実従業員のスキルアップを支援することで、生産性向上による賃上げを図る
働き方改革の推進業務効率化やワークライフバランスの推進により、従業員の定着率向上と人材確保を強化する
賃上げ要件達成のための戦略例

これらの取り組みを通して、従業員の成長と企業の成長を結びつけ、持続的な賃上げを実現していくことが重要です。

大規模成長投資補助金を受けた後も、以下の義務と注意点があります。

  1. 事業実施状況の報告 • 補助事業終了後5年間、毎年度の事業化状況を報告 • 賃上げ目標の達成状況を含む
  2. 財産処分の制限 • 取得価格50万円以上の財産は、一定期間処分禁止 • やむを得ず処分する場合は事前承認が必要
  3. 書類の保管 • 補助事業に関する書類を事業終了後5年間保管
  4. 会計検査への対応 • 会計検査院による実地検査に協力する義務あり

これらの義務を怠ると、補助金の返還を求められる可能性があります。計画的な事業実施と適切な記録管理を心がけましょう。

大規模成長投資補助金活用のメリットやリスク

大規模成長投資補助金は、企業の成長を力強く後押ししてくれる魅力的な制度です。

しかし、メリットばかりではありません。補助金の活用には、申請の手間や採択されない可能性、交付決定後の計画変更の難しさなど、いくつかのリスクも伴います。そこで、次に、補助金活用におけるメリットとリスク、そしてリスクへの対策を解説します。

大規模成長投資補助金を活用するメリットは以下の3つです。

メリット内容
自己資金の確保補助金は返済不要な資金のため、自己資金を温存できます。他の事業展開や緊急時の資金繰りにも余裕が生まれます。
投資リスクの軽減補助金によって事業資金の一部を賄うことで、投資による損失リスクを軽減できます。安心して挑戦的な投資に取り組めます。
企業価値の向上設備投資や人材育成を通して企業競争力を高め、中長期的な成長を実現できます。結果として、企業価値向上に繋がります。
大規模成長投資補助金のメリット

補助金を効果的に活用することで、企業の成長を力強く後押しすることができます。

補助金活用はメリットばかりではありません。事前にリスクを理解し、対策を講じておくことが重要です。

リスク対策例
申請の手間や時間がかかる専門家への依頼、情報収集の徹底
採択されない可能性がある計画のブラッシュアップ、複数補助金の検討
交付決定後に計画変更が難しい柔軟性のある計画策定、事務局への相談
補助金に依存した経営になる中長期的な視点に立った事業計画
補助金受給に伴う義務の発生会計処理の徹底、報告書作成
大規模成長投資補助金のリスク

リスクを最小限に抑え、補助金を最大限に活用するために、専門家の知見を借りることも有効です。

補助金申請サポートで採択率UP!専門家に依頼するメリットと選び方

大規模成長投資補助金の申請は、書類作成や手続きに手間と時間がかかるため、専門家のサポートを受ける企業が増えています。専門家の知見を活用することで、申請書類の質を高め、採択率の向上につなげることが期待できます。

補助金申請における専門家のサポートはさまざまです。主なサービス内容とメリットを表にまとめてみました。

サービス内容例効果
成長投資計画書の作成支援説得力のある計画書作成による採択率向上
申請書類のチェック及び修正ミスや漏れを防ぎ、スムーズな申請を実現
補助金事業計画のブラッシュアップ事業計画の精度向上による、採択率向上、および事業成功の可能性のアップ
補助金関連情報の提供最新情報や変更点の把握による、申請の円滑化
補助金交付後の実績報告サポート正確な報告による、補助金受給の確実化
補助金申請サポートの主な内容と受けるメリット

これらのサービスを活用することで、企業は本業に集中しながら、補助金の申請プロセスをスムーズに進めることができます。

補助金申請を専門家に依頼する際は、以下のポイントを参考にしましょう。

  • 専門性
    大規模成長投資補助金の申請に精通しているか、豊富な実績を持つ専門家を選びましょう。
  • コミュニケーション能力
    企業の状況やニーズを丁寧にヒアリングし、分かりやすく説明してくれるかを確認しましょう。
  • 費用
    事前に費用体系や追加費用の有無を確認し、予算と照らし合わせて検討しましょう。

専門家の活用方法としては、申請書類の作成サポートだけでなく、事業計画のブラッシュアップやプレゼンテーション審査対策なども依頼することで、より効果的に補助金獲得を目指せます。

大規模成長投資補助金の申請でお悩みなら中小企業経営支援事務所に相談を

大規模成長投資補助金は、単なる資金援助ではありません。企業の未来を創造するための強力なパートナーといえます。

設備投資や人材育成などを積極的に行うことで、企業は生産性向上とコスト削減、新規事業の創出と市場拡大、従業員の待遇改善と人材育成、企業価値の向上と競争力強化といった効果を生み出し、持続的な成長と発展を実現できます。

ただ、大規模成長投資補助金は、事業再構築補助金等で求められる事業計画書と一線を画し、極めて高いレベルの計画書の策定が求められます(パワーポイントで35枚程度のプレゼン資料が必須です。士業であっても、経営コンサル経験やピッチの支援経験がなければ、対応が難しいと言わざるを得ません)。

当社(中小企業経営支援事務所)では、大規模成長投資補助金の申請支援において、

  1. 中小企業診断士、またはMBA取得者
  2. 大手コンサルファーム出身者、大企業の本社で事業戦略立案の経験を有する者、補助金の制度設計(立案)経験者のいずれか
  3. 1、2の両方の条件を満たすコンサルタント

が担当いたします。

※採択後の手続き(交付申請、実績報告)は、上記以外の中小企業診断士や行政書士、あるいは補助金支援業務の経験者が対応することがあります。

成長投資計画書の作成にあたり、サポートが必要な事業者様は、中小企業経営支援事務所にご相談ください。二人三脚で、御社の想いがつまった計画書の策定を支援いたします。初回相談は無料です。お気兼ねなくお問い合わせください。

初回相談無料のお問い合わせフォームはこちら⇒ https://www.sme-support.co.jp/contact/

株式会社中小企業経営支援事務所

〒162-0802

東京都新宿区改代町27-4-1 クレスト神楽坂2F

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