ものづくり補助金の採択結果一覧と採択率推移|新補助金への申請ポイントも解説

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者の革新的な設備投資や試作開発を支援する代表的な補助金です。多くの事業者に活用されてきましたが、第23次公募(申請締切日:2026年5月8日)が最後となりました。2026年度は後継制度として「新事業進出・ものづくり補助金」が新たにスタートする予定です。
この記事では、ものづくり補助金の公募回ごとの採択結果や採択率を紹介し、それを踏まえて全体の傾向を紐解きます。また採択事例をもとに見えてきた採択者の共通点と、新補助金制度における申請のポイントを解説します。新制度の活用を検討している人の一助となれば幸いです。
当社・中小企業経営支援事務所では、経営に関する専門知識や支援実績が一定以上あると国が認める「認定経営革新等支援機関」として、補助金の申請支援のトータルサポートを行っています。
補助金の申請ポイントや採択を勝ち取るための事業計画のコツが知りたいとお考えでしたら、ぜひ以下のメールフォームからお気軽にご相談ください。豊富な経験を持つスタッフが、懇切丁寧にアドバイスいたします。初回相談は60分無料です。
目次
ものづくり補助金の採択結果一覧と採択率の推移
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の採択結果は、公式サイトで公表されています。ここでは1次~22次までの結果を振り返ります。
| 締切回 | 採択発表日 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|---|
| 1次 | 2020年4月28日 | 2,287 | 1,429 | 約62.5% |
| 2次 | 2020年6月30日 | 5,721 | 3,267 | 約57.1% |
| 3次 | 2020年9月25日 | 6,923 | 2,637 | 約38.1% |
| 4次 | 2021年2月18日 | 10,312 | 3,178 | 約30.8% |
| 5次 | 2021年3月31日 | 5,299 | 2,337 | 約44.1% |
| 6次 | 2021年6月29日 | 4,980 | 2,362 | 約47.4% |
| 7次 | 2021年9月27日 | 5,507 | 2,768 | 約50.3% |
| 8次 | 2022年1月12日 | 4,653 | 2,780 | 約59.7% |
| 9次 | 2022年3月25日 | 3,613 | 2,247 | 約62.2% |
| 10次 | 2022年7月15日 | 4,294 | 2,612 | 約60.8% |
| 11次 | 2022年10月20日 | 4,744 | 2,817 | 約59.4% |
| 12次 | 2022年12月16日 | 3,256 | 1,907 | 約58.6% |
| 13次 | 2023年2月20日 | 3,322 | 1,927 | 約58.0% |
| 14次 | 2023年6月23日 | 4,865 | 2,470 | 約50.8% |
| 15次 | 2023年9月29日 | 5,694 | 2,861 | 約50.2% |
| 16次 | 2024年1月19日 | 5,608 | 2,738 | 約48.8% |
| 17次 | 2024年5月20日 | 629 | 185 | 約29.4% |
| 18次 | 2024年6月25日 | 5,777 | 2,070 | 約35.8% |
| 19次 | 2025年7月28日 | 5,336 | 1,698 | 約31.8% |
| 20次 | 2025年10月27日 | 2,453 | 825 | 約33.6% |
| 21次 | 2026年1月23日 | 1,872 | 638 | 約34.1% |
| 22次 | 2026年4月30日 | 1,552 | 582 | 約37.5% |
※4次〜13次は一般型とグローバル展開型、14次以降は製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠の合算値
ものづくり補助金の採択結果から読み取れる全体傾向
全22回の採択結果を通じて見ると、累計の申請者数は約10万件超、採択者数は約4万件超にのぼり、多くの中小企業がこの補助金を活用してきたことがわかります。
採択率の傾向
採択率は回によって大きく変動しています。初期の1次・2次では約57~62%と比較的高い水準でしたが、補助金の認知度が高まり申請が殺到した4次では約30.8%まで低下しました。
その後、8次~13次にかけては約58~62%と再び高水準を維持したものの、18次以降は30%台に落ち込む傾向が見られます。これは事業計画に対する審査がより厳格なものになっているためといえます。
申請者数の傾向
申請者数は4次の約10,312件をピークに、その後は概ね3,000~6,000件の範囲で推移してきました。しかし、20次以降は急激に減少し、22次では1,552件にとどまっています。
上記の18次以降の採択率が減少していることと照らし合わせてみると、「ものづくり補助金を勝ち取るのは厳しい」という印象が広まり、申請にかかる負担とのバランスから申請自体を控える動きが出ていると考えられます。
ものづくり補助金の採択者一覧の確認方法
各回の採択者一覧は、公式サイトからPDFまたはExcel形式でダウンロードできます。一覧には採択された事業者名・所在地・事業計画名などが記載されており、同業種や同地域の採択事例を調べる際に参考になります。
自社と類似した業種・事業内容の採択事例を分析することで、どのような事業計画が評価されやすいのかを把握でき、今後の補助金申請に向けた計画づくりに活かすことができるでしょう。
ものづくり補助金の採択事業者の共通点
前述のとおり、ものづくり補助金の採択率は30%台まで低下しており、約7割の申請者が不採択となっています。
では、この厳しい競争環境の中で採択を勝ち取った事業者にはどのような共通点があるのでしょうか。ここでは、実際に採択された事業者の事業計画書の事例をもとに、共通する特徴を整理します。
自社の強みと課題が明確に整理されている
採択事業者は、外部環境(市場動向・顧客ニーズ)と内部環境(技術力・人材・設備)の分析を丁寧に行ったうえで、自社が抱える具体的な課題を特定しています。
例えば、採択された大阪府の金属加工会社の事例では、大企業が苦手とする小ロット・短納期・難形状への対応を課題として明確にし、その解決手段として金型を内製化できるマシニングセンターの導入が必要であることをグラフや表で丁寧に説明していました(参照:補助金の申請事例・ものづくり補助金⑤|ミラサポplus)。
このように、課題の特定から設備投資による解決策までを論理的なストーリーとして事業計画書に落とし込んでいる点が、採択事業者に共通する特徴です。
数値やデータにもとづく説得力がある
採択される事業者は、「生産性が向上する」「売上が増加する」といった抽象的な表現ではなく、市場規模・成長率・生産能力の変化・コスト削減効果などを具体的な数値で示しています。
例えば静岡県のミニトマト農家の事例では、日照・温度・湿度・CO2などの栽培データを用いて、設備導入前後の効果をグラフで可視化していました(参照:補助金の申請事例・ものづくり補助金①|ミラサポplus)。
このように、導入前後の比較データで効果を定量的に示すことが、審査員への説得力につながっています。
競合との差別化ポイントが具体的である
単に最新設備を導入するだけでなく、その投資によって他社には真似できない独自の価値を生み出せることを明確に説明しています。
採択された静岡県のベンチャー企業の事例では、独自技術であるCNF(セルロースナノファイバー)濃縮装置の開発において、専門用語を避けながら技術的な優位性をわかりやすく説明し、さらに「顧客からの要望、課題」という項目を設けて顧客ニーズとの結びつきを具体的に示していました(参照:補助金の申請事例・ものづくり補助金②|ミラサポplus)。
自社の技術的優位性とターゲット顧客に提供できる固有のメリットを具体的に記載し、競合優位性の根拠を示している点が採択事業者に共通しています。
事業の実現可能性が高い
採択事業者は、社内体制・技術力・資金調達計画・実施スケジュールを具体的に提示し、計画が絵に描いた餅ではないことを証明しています。
先述のベンチャー企業の事例では、「具体的なターゲット顧客」という項目を設け、想定顧客との現時点の商談状況まで記載していました。また、高知県の養鶏農場の事例では、既存商品である「ゆずたま」と新たに開発する焼き菓子を一緒に販売することで効率的に売上増が見込めること、さらに菓子問屋など新たな販路への展開が可能であることを具体的に示していました。
採択されている事業者には、すでに顧客との接点があることや、具体的な販売戦略が描けていることなど、実行力の根拠となる情報を盛り込んでいる点が共通の特徴として挙げられます。
加点項目を戦略的に獲得している
採択事業者の多くは、事業計画書の質を高めるだけでなく、加点項目を積極的に取得して審査を有利に進めています。1次~16次の採択データによると、加点項目が4個以上の申請者は採択率が大幅に上昇する傾向があります(参照:データポータル〈1~15次〉、データポータル)。
特に「パートナーシップ構築宣言(約10日)」「事業継続力強化計画(約45日)」「成長加速マッチングサービス(即時登録)」の3つは比較的短期間で取得・登録が可能なため、申請準備と並行して対応している事業者が多い傾向です。
採択率が30%台まで低下している近年の状況では、こうした加点の積み上げが採否を分ける重要な要素となっています。
地域経済や社会への貢献を意識している
審査では政策面の評価も行われるため、採択事業者は地域の雇用創出や経済活性化、社会課題の解決といった観点も事業計画に織り込んでいます。
採択された静岡県のパン製造販売会社の事例では、地域企業が学校給食から撤退しつつある状況やアレルギー対応パンを製造する事業者が少ないことを説明したうえで、児童や生徒に寄り添った給食の提供を企業の社会的責任として位置づけていました(参照:補助金の申請事例・ものづくり補助金③|ミラサポplus)。
このことから、自社の利益だけでなく事業がもたらす地域への波及効果まで視野に入れた計画を策定すると、採択につながりやすくなるといえます。
新制度で活かせる|採択を勝ち取るためのポイント
ものづくり補助金は23次公募をもって終了しましたが、2026年度からは「新事業進出・ものづくり補助金」という後継制度が始まります。
ここでは、上記の採択事業者の共通点を踏まえながら、新制度の採択を勝ち取るために重要なポイントを紹介します。
不採択になりやすい事業計画書の傾向を把握する
補助金申請の準備を進めるうえで、まず不採択になりやすい事業計画書の傾向を知っておくことが重要です。過去の採択結果や不採択事例を分析すると、以下のような傾向が見られます。
- 市場規模や成長率、導入前後の生産能力比較などの定量的な根拠が不足している
- 現在の技術力や財務状況に見合わない計画を立てており、実現可能性の裏付けが弱い
- 設備を導入すること自体が目的化しており、競合との差別化ポイントが不明確
- 過去または現在に提出された他社の事業計画と内容が類似している
自分の計画書がこれらに該当していないかを申請前に確認することで、不採択のリスクを下げることができます。下記記事はものづくり補助金における事業計画書の具体的な書き方を紹介したものですが、新制度の申請においても参考になるかと思いますので、あわせてご一読いただけたらと思います。
【ものづくり補助金】事業計画書の書き方を採択事例から解説
新制度の審査観点を踏まえて計画を立てる
新事業進出・ものづくり補助金では、従来のものづくり補助金の審査基準に加え、以下の3つの観点が新たに重視される見込みです。
- 経営戦略と補助事業の関連性:補助事業が自社の経営戦略に沿ったものであり、付加価値額の向上や賃上げに結びつく計画となっているか
- 過去に活用した補助事業との整合性:過去5年程度の間にものづくり補助金や事業再構築補助金などを活用している場合、それらの事業計画と矛盾がないか
- 経営指標(トラックレコード)の評価:過去3年程度のROIやIRRなどの経営指標や、人材育成・先行投資といった定性的な取り組みが十分か
特に過去の補助金活用実績がある事業者は、以前の事業計画との一貫性を問われる可能性があるため、過去の申請内容を改めて確認しておくことをおすすめします。
加点項目を確認し取得できるものを増やす
前述のとおり、ものづくり補助金の採択事業者の多くは加点項目を戦略的に取得しています。事業計画書の質が同程度であれば、加点の有無が採否を左右する可能性が高いといえます。
「事業継続力強化計画」「パートナーシップ構築宣言」「成長加速マッチングサービス」は比較的短期間で取得・登録が可能なため、申請準備と並行して対応しておくとよいでしょう。
なお、加点項目は今後対象となるものが変わる場合があります。新制度の公募要領が公表された際は、加点項目の内容を必ず確認してください。
専門家の第三者視点を取り入れる
事業計画書の完成度を高めるには、外部の専門家に計画書を見てもらい、第三者の視点からフィードバックを受けることも有効です。自社では当たり前だと思っていた技術や取り組みが実は大きな強みであると気づけたり、計画書の論理構成の弱点を指摘してもらえたりすることがあります。
補助金に関する相談先としては、以下のような選択肢があります。
- 商工会・商工会議所:地域の小規模事業者向けに経営相談や補助金申請の支援を行っている
- よろず支援拠点:国が全国に設置する無料の経営相談所で、補助金に詳しい専門家が在籍している場合がある
- 認定経営革新等支援機関:中小企業支援に関する専門知識や実務経験が一定水準以上あると国が認定した機関で、税理士・中小企業診断士・金融機関などが該当。最寄りの認定経営革新等支援機関は、「認定経営革新等支援機関検索システム」で探せる
初めて補助金に申請する方はもちろん、過去に不採択となった経験がある方も、専門家の視点を取り入れることで改善の糸口が見つかることがあります。
補助金申請を検討していたら中小企業経営支援事務所にご相談ください
ものづくり補助金は23次公募をもって終了し、「新事業進出・ものづくり補助金」に引き継がれます。ものづくり補助金の審査観点がある程度引き継がれると予想されるため、本記事で紹介した採択事業者の共通点や不採択時の対応は、次の制度においても役立つと思います。
もしこれから補助金申請を検討している人や、再度挑戦したいと考えている人は、本記事を参考にしていただけますと幸いです。
当社・中小企業経営支援事務所では、補助金申請に必要な事業計画書の作成支援を行っています。採択後の交付申請や実績報告に関するフォローも一気通貫でサポート可能ですので、確実に補助金を取りに行きたいと考えている事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は60分無料となっています。
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