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最終更新日 

投稿日 2026.06.02

新事業進出補助金の採択事例まとめ|審査を通過しやすい事業内容とは

中小企業新事業進出補助金採択を勝ち取るためには、審査で高く評価される事業内容の傾向を把握し、自社の計画に反映させることが重要です。

この記事では、実際に採択された事例を業種別に紹介したうえで、審査を通過しやすい事業内容の共通点や、採択率を高めるための実務的なポイントを解説します。

なお、中小企業新事業進出補助金の制度概要や補助対象要件、申請方法などについては下記で詳しく紹介しています。よろしければあわせてご参考にしてください。

当社・中小企業経営支援事務所は、直近の平均採択率約95.2%の実績を持つ補助金申請支援のエキスパートです。

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新事業進出補助金の平均採択率は約35%

中小企業新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出に挑戦する中小企業等を支援する補助金制度です。

補助金額は従業員数に応じて最大7,000万円(賃上げ特例適用時は最大9,000万円)、補助率は原則1/2と、大規模な設備投資を強力に後押しする制度設計となっています。

項目内容
補助対象者日本国内に本社・補助事業実施場所を有する中小企業者等
補助上限額従業員数20人以下:2,500万円
従業員数21〜50人:4,000万円
従業員数51〜100人:5,500万円
従業員数101人以上:7,000万円
(賃上げ特例適用時はそれぞれ500〜2,000万円増)
補助率1/2
(地域別最低賃金引上げ特例適用時は2/3)
補助対象経費機械装置・システム構築費、建物費、技術導入費、外注費など
補助事業実施期間交付決定日から14ヶ月以内(採択発表日から16ヶ月以内)
中小企業新事業進出補助金の概要 参照:公募要領(第4回)

一方で、本補助金の採択審査のハードルは決して低くありません。

第1回公募(2025年)では応募3,006件に対し採択1,118件で採択率は約37.2%、第2回公募(2026年)では応募2,350件に対し採択832件で採択率は約35.4%と、いずれも約3件に1件程度です。

本補助金の採択審査では、新規事業の新市場性・高付加価値性、事業の実現可能性、公的補助の必要性など、複数の審査項目が設けられています。どのような事業内容で申請するかが、この厳しい審査を通過するための鍵を握ります。

新事業進出補助金の採択事例

第1回・第2回公募の採択案件リストをもとに、実際にどのような事業内容が採択されているのかをご紹介します。採択事例は業種・事業内容ともに非常に多岐にわたりますが、大きく以下の8つのカテゴリーに分類できます。

製造業からの新分野進出

事業者名所在地事業計画名
株式会社橋本精機栃木県鹿沼市複合加工機による半導体製造装置部品の精密加工事業への新規参入
株式会社諏訪田製作所新潟県三条市創業100年目鍛冶屋の第2の収益柱(包丁製造)への挑戦!
株式会社アサカ理研福島県郡山市車載用リチウムイオン電池の水平リサイクル
※株式会社アサカ理研のみ第1回採択事例

建設業からの新分野進出

事業者名所在地事業計画名
有限会社ケンシステム北海道札幌市北海道における再生フロン事業の確立と空調業界の環境負荷低減
東管工業株式会社青森県東北町太陽光パネル資源循環中間処理事業の立上げ
ヤマダインフラテクノス株式会社愛知県東海市ロボット活用による国土強靭化、鋼からコンクリートへ新事業進出
※いずれも第2回採択事例

飲食・宿泊業への新規参入(地域資源・インバウンド活用型)

事業者名所在地事業計画名
株式会社布目北海道函館市常温プレミアム惣菜「函館海鮮」シリーズの開発・新規顧客開拓
株式会社鮨勝東京都千代田区寿司文化×禅体験による高付加価値宿泊事業
本江醸造食品株式会社石川県金沢市創業116年の金沢の発酵食品会社が「発酵和菓子」で新市場開拓
※いずれも第2回採択事例

IT・AI・DXを活用した新規事業

事業者名所在地事業計画名
株式会社エフエー北海道札幌市民泊運営者向け業務改善AI搭載PMSの開発と効率化支援事業
Fairy Devices株式会社東京都文京区「モノ」のAI化ソリューション端末の開発・提供
株式会社田口電設愛知県名古屋市AI監視カメラによる建設現場DX支援事業
※いずれも第2回採択事例

環境・資源循環・脱炭素分野への進出

事業者名所在地事業計画名
大青工業株式会社宮城県仙台市太陽光パネルの100%再資源化事業
株式会社コーチク富山県富山市異素材複合廃棄物の完全リサイクル化加工事業
久米商事株式会社兵庫県南あわじ市廃食油由来バイオ燃料(B5)製造・供給事業
※いずれも第2回採択事例

観光・宿泊・インバウンド向け高付加価値事業

事業者名所在地事業計画名
株式会社小湊館千葉県鴨川市千葉県初!富裕層向け長期滞在型サイクル&ウェルネス事業
株式会社HELM兵庫県神戸市日本三古泉・有馬温泉で日本伝統文化を体験する古民家宿泊事業
株式会社永和地所石川県金沢市インバウンド観光向け地域密着能登体感型オーベルジュの展開
※いずれも第2回採択事例

医療・福祉・健康分野への新規参入

事業者名所在地事業計画名
株式会社サリバテック山形県鶴岡市保険商品組み込み型の乳がん検査キットの新規展開事業
株式会社マエカワ動物病院滋賀県栗東市先進的形態・機能温存型がん治療を実現するCT完備新病院事業
合同会社LIVENOW東京都練馬区AIと急速冷凍機を活用した透析・高齢者向けケアフード製造事業
※いずれも第2回採択事例

農業・食品加工・6次産業化

事業者名所在地事業計画名
杉村久幸北海道七飯町りんご米と酒米を活用した米粉製造・販売による地域資源循環
株式会社名取北釜ファーム宮城県名取市波動熟成技術によるジャンボニンニク製品化と販売事業
株式会社IRON FARM富山県富山市ブランド米対応の個別乾燥・調製サービス構築事業
※いずれも第2回採択事例

【事例から読み解く】新事業進出補助金の審査を通過しやすい事業内容

前章で紹介した採択事例と、第1回・第2回公募の採択案件リスト全体を分析すると、審査を通過しやすい事業内容にはいくつかの明確な傾向が浮かび上がります。

本補助金の最新(第4回)の公募要領も参照しながら、詳しく解説します。

既存事業の強みを新分野に「転用」している

最も多く見られるパターンは、自社がこれまで培ってきた技術・ノウハウ・顧客基盤を、まったく異なる市場に応用する事業です。

例えば、株式会社橋本精機(栃木県)は既存の金属加工技術を半導体製造装置部品に転用し、株式会社諏訪田製作所(新潟県)は鍛冶の技術を包丁製造に展開しています。建設業のヤマダインフラテクノス株式会社(愛知県)がロボット技術を活用してコンクリート分野へ進出した事例も同様です。

審査では「なぜその事業者が新規事業に取り組むのか」という必然性が問われるため、既存の強みとの接続が明確な計画ほど高く評価される傾向があるといえます。

社会課題・政策テーマと合致している

環境・資源循環・脱炭素、DX・AI活用、地方創生・インバウンドといった社会課題や政策テーマに紐づく事業は、採択率が高い傾向にあります。太陽光パネルの100%再資源化(大青工業)、廃食油由来バイオ燃料の製造(久米商事)、AI搭載PMSの開発(エフエー)などが代表例です。

公募要領の審査項目にも「日本経済の構造転換」「低炭素技術の活用」「地域の経済成長」といった政策面の評価軸が明記されており、これらに該当する事業は加点対象となります。

「新市場性」または「高付加価値性」が明確である

審査では、新製品等の社会的な普及度が低い(=新市場性がある)か、同分野の一般的な価格・付加価値と比較して高水準である(=高付加価値性がある)かが重点的に評価されます。

富裕層向け長期滞在型ウェルネス事業(小湊館)や、寿司文化×禅体験による高付加価値宿泊事業(鮨勝)は、高付加価値性の好例といえます。

一方、車載用リチウムイオン電池の水平リサイクル(アサカ理研)は、まだ社会的に普及していない新市場への進出として評価されたと考えられます。

地域資源の活用と差別化が両立している

採択事例には、地域の食材・伝統文化・自然環境を活かしながら、インバウンドや富裕層など新たな顧客層を開拓する事業が数多く含まれています。

有馬温泉の古民家宿泊事業(HELM)、金沢の発酵和菓子(本江醸造食品)、能登体感型オーベルジュ(永和地所)などがその典型です。

地域資源の活用は差別化の源泉となるだけでなく、「地域の事業者等に対する経済的波及効果」や「大規模な雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業」として政策面の加点にもつながるため、審査上有利に働くと思われます。

具体的な収益モデルと実現可能性が示されている

採択事例に共通するもう一つの特徴は、事業計画名から収益モデルや事業の方向性が明確に読み取れる点です。

例えば「保険商品組み込み型の乳がん検査キットの新規展開事業」(サリバテック)や「ブランド米対応の個別乾燥・調製サービス構築事業」(IRON FARM)のように、「誰に・何を・どのように提供するか」が具体的に設計されています。

審査項目には「事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か」「最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか」といった実現可能性の評価が含まれており、絵に描いた餅ではない実行力のある計画が求められます。

新事業進出補助金の審査を通過するためのそのほかのポイント

前章では採択事例の分析から、審査を通過しやすい事業内容の傾向を解説しました。ここでは、事業内容以外の観点から、審査通過の可能性を高めるための実務的なポイントを補足します。

事業計画書を具体的に書く

審査では、事業計画書の記載内容そのものが評価の対象となります。公募要領の審査項目には「事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か」「最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか」といった実現可能性に関する評価軸が明記されています。

つまり、いかに優れた事業アイデアであっても、計画書の記載が抽象的であれば高い評価は得られません。以下の点を意識して、具体性のある事業計画書を作成しましょう。

  • SWOT分析を丁寧に行う:自社の強み・弱み・機会・脅威を整理し、なぜ今この新規事業に取り組む必要があるのかを論理的に説明する
  • 競合分析を網羅的に実施する:代替製品・サービスを含めた競合を適切に選定し、顧客ニーズに基づいた自社の優位性を明示する
  • 収益計画の算出根拠を示す:売上高や付加価値額の目標値について、市場規模・想定顧客数・単価設定などの根拠を客観的なデータとともに記載する
  • スケジュールを詳細に記載する:建物の建設・改修予定、機械装置の取得時期、技術導入のタイミングなどを可能な限り具体的に示す
  • 写真・図表を効果的に活用する:特に既存事業と新規事業の相違点については、視覚的にもわかりやすく説明する

また、公募要領では「新市場性」または「高付加価値性」のいずれかを選択して記載する必要があります。いずれを選択する場合も、客観的なデータ・統計等を用いて裏付けることが求められるため、市場調査データや業界レポートなどを事前に収集しておくことが重要です。

加点項目を積極的に獲得する

新事業進出補助金では、審査における加点項目が複数設けられています。採択率が約35%という厳しい競争環境の中では、加点項目の獲得が採否を分ける要因となり得ます。主な加点項目は以下のとおりです。

  • パートナーシップ構築宣言:ポータルサイトで宣言を公表している事業者
  • くるみん認定:次世代育成支援対策推進法に基づく認定を受けた事業者
  • えるぼし認定:女性活躍推進法に基づく認定を受けている事業者
  • 健康経営優良法人認定:健康経営優良法人2025に認定されている事業者
  • 事業場内最低賃金引上げに係る加点:2025年7月と応募申請直近月を比較し、全国目安で示された額(63円以上)の賃上げをした事業者
  • 地域別最低賃金引上げに係る加点:地域別最低賃金以上~改定後の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3カ月以上ある事業者
  • アトツギ甲子園加点:アトツギ甲子園のピッチ大会に出場した事業者
  • 技術情報管理認証制度加点:技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者
  • 成長加速マッチングサービス加点:成長加速マッチングサービスで会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者
  • 再生事業者加点:中小企業活性化協議会等から支援を受けている事業者

これらの加点項目のうち、「パートナーシップ構築宣言」や「成長加速マッチングサービス加点」は比較的取得しやすい項目です。応募締切日時点で要件を満たしている必要があるため、早めに準備を進めておきましょう。

減点項目に該当しないようにする

一方で、加点項目の獲得だけでなく、減点項目にも注意が必要です。公募要領では、以下のようなケースで大幅な減点が行われると明記されています。

  • 過去の補助金で賃上げ加点を受けたにもかかわらず、目標を達成できなかった事業者:未達が報告されてから18か月間、大幅な減点が適用される
  • 特定テーマへの申請集中による過剰投資リスク:類似のテーマ・設備等に関する申請が集中している場合、過剰投資と判断されれば大幅な減点対象となる
  • 過去に受給した補助金の事業化が進展していない事業者:事業再構築補助金やものづくり補助金等の直近の事業化状況報告で事業化段階が3段階以下の場合、減点対象となる

特に「過剰投資の抑制」に関する減点は見落としがちなポイントです。一時的な流行に乗った事業計画は、たとえ個別の事業計画としては優れていても、同様の申請が多数寄せられた場合に減点される可能性があります。自社ならではの独自性・差別化要素を明確に打ち出すことが、この減点リスクを回避する上でも重要です。

新事業進出補助金の申請でお困りでしたら、中小企業経営支援事務所にご相談ください

新事業進出補助金の審査を通過しやすい事業内容は、以下の5つの要素を兼ね備えた事業計画に集約されます。

  1. 既存の強みを活かした新分野への展開であること
  2. 環境・DX・地方創生など政策テーマとの整合性があること
  3. 新市場性または高付加価値性が客観的データで裏付けられていること
  4. 地域資源を活用した差別化戦略があること
  5. 具体的な収益モデルと実現可能な実施体制が示されていること

しかし、これらの要素を漏れなく事業計画書に落とし込むのは容易ではありません。採択率約35%という厳しい競争環境の中では、審査項目への的確な対応や加点項目の戦略的な獲得が採否を左右します。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として新事業進出補助金をはじめとする各種補助金の申請支援を数多く手がけています。

事業計画書の作成から交付申請、実績報告、補助金入金までトータルでサポートいたしますので、補助金申請でお困りでしたらぜひ当社にご相談ください。初回相談は60分無料で承っております。

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