新事業進出補助金の賃上げ計画の表明書とは?書き方をわかりやすく解説

新事業進出補助金の賃上げ計画の表明書は、賃上げ要件・賃上げ特例要件で設定した目標値以上の賃上げを達成することを従業員等に表明していることを示す書類です。表明が行われていない場合は交付決定の取消や補助金返還の対象となるため、申請を予定している事業者は内容を正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、新事業進出補助金における賃上げ計画の表明書の概要や必要となる理由、具体的な記載内容、よくある質問について詳しく解説します。
なお、新事業進出補助金は2026年6月19日18時締切の第4回公募をもって終了、2026年6月頃からは「新事業進出・ものづくり補助金」の公募開始が予定されています。新制度においても、賃上げ要件や従業員への賃上げ計画の表明に関する仕組みが設けられる可能性があるため、今後申請を検討している事業者様にとっても参考となる内容ですので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として各種補助金の申請支援を行っています。事業計画の策定支援をはじめ、公募要領の確認や必要書類の準備、採択後の手続きまで幅広く対応しています。
初回相談は無料ですので、賃上げ計画の表明書の作成方法や目標設定について不安がある方は、お気軽にご相談ください。
目次
新事業進出補助金における賃上げ計画の表明書とは
新事業進出補助金における賃上げ計画の表明書とは、補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、賃上げ要件・賃上げ特例要件で設定した目標値以上の賃上げを達成することを、すべての従業員または従業員代表者(従業員等)に対して表明したことを示す書類です。
新事業進出補助金の賃上げ要件は、一人当たり給与支給総額について年平均成長率3.5%以上増加させるという本補助金の基本要件のひとつです。賃上げ特例要件とは補助上限額の引き上げ特例を受けるためのルールで、そのひとつに一人当たり給与支給総額について年平均成長率を6.0%以上増加させるというものがあります。どちらも、補助事業による成長の成果を従業員の処遇改善につなげることを目的に設けられたものです。
本補助金を受け取るには、これらいずれかの要件の目標値以上の「賃上げ目標値」や「事業者名」「従業員の代表者名」などを新事業進出補助金の公式サイトにある所定の様式に記載し、交付申請時に提出する必要があります。
新事業進出補助金における賃上げ計画の表明書の書き方
賃上げ計画の表明書では、事業計画期間中にどの水準で賃上げを行うのか、またその内容を従業員等へどのように表明したのかを記載します。
以下では、新事業進出補助金の公式サイトからダウンロードできる賃上げ計画の表明書の様式をもとに、記載する各項目の内容や目標値の設定方法、作成時の留意点について詳しく解説していきます。

事業計画期間
事業計画期間は、補助事業終了後3~5年間に設定する期間を指します。
賃上げ計画の表明書では、この事業計画期間中に賃上げ目標を達成することを表明します。
開始時期と終了時期は、事業計画書で設定した計画期間と一致させる必要があります。
一人当たり給与支給総額目標(年平均成長率)
一人当たり給与支給総額目標値(年平均成長率)とは、従業員1人当たりの給与支給総額を、事業計画期間中に毎年どの程度増加させるかを示す目標値です。
一人当たり給与支給総額は、給与支給総額を従業員数で割って算出します。
例えば、給与支給総額が3,000万円、従業員数が10人の場合、一人当たり給与支給総額は300万円(3,000万円÷10人)となります。
給与支給総額には給料、賃金、賞与などが含まれますが、役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金は含まれません。
新事業進出補助金では、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させることが要件となっているため、賃上げ計画の表明書には3.5%以上の目標値を記載する必要があります。
給与支給総額目標値(年平均成長率)
給与支給総額目標値(年平均成長率)とは、全従業員に支払う給与支給総額を、事業計画期間中に毎年どの程度増加させるかを示す目標値です。
目標値を設定する際は、既存従業員の賃上げだけでなく、今後の採用計画や人員増加の見込みも考慮することが重要です。
事業計画に基づく売上増加や利益計画との整合性を確認しながら、実現可能な数値を設定しましょう。
代表者署名
代表者署名欄では、賃上げ計画の表明書の作成日、および事業者情報を記載します。記載事項は以下のとおりです。
- 年月日
- 住所(補助事業実施場所)
- 社名
- 代表者氏名
住所欄には、本社所在地ではなく補助事業実施場所を記載します。補助金申請書類に記載した事業実施場所と相違がないか確認しましょう。
また、社名や代表者氏名は、申請書類に記載した内容と統一して記載しましょう。
表明を受けた従業員等の署名
賃上げ計画の表明書では、代表者が賃上げ計画を従業員等へ表明した事実を確認するため、給与または経理担当者および従業員代表者による署名を行います。記載事項は以下のとおりです。
- 代表者から表明を受けた日
- 表明方法(説明会、社内会議、書面通知など)
- 社名
- 給与又は経理担当者名
- 従業員代表者名
表明方法については、実際に実施した方法を具体的に記載します。
社名や日付は表明書全体で整合性が取れているか確認しましょう。
賃上げ計画の表明書に記入した目標値を達成できなかった場合は補助金返還の可能性がある
賃上げ計画の表明書に記載した一人当たり給与支給総額目標値は、事業計画期間の最終年度までに達成する必要があります。
事業計画期間最終年度に目標値を達成できなかった場合は、補助金交付額に目標値の未達成率を乗じた額の返還を求められます。
【返還額の計算式】
補助金返還額=補助金交付額 ×(1 -(事業計画期間最終年度における一人当たり給与支給総額の年平均成長率(%)/一人当たり給与支給総額目標値(%)))
また、一人当たり給与支給総額の年平均成長率がゼロまたはマイナスとなった場合は、補助金の全額返還が求められます。
そのため、目標値を設定する際は、売上や利益の見込み、人件費計画などを踏まえ、事業計画期間内に達成可能な水準を検討することが重要です。
新事業進出補助金における賃上げ計画の表明書の提出までのスケジュール
賃上げ計画の表明書は交付申請時に提出しますが、それまでに賃上げ目標値の設定や従業員等への表明を済ませておく必要があります。
以下では、賃上げ計画の表明書を提出するまでのスケジュールを解説します。
応募申請時までに賃上げ目標値を設定する
新事業進出補助金では、応募申請時に一人当たり給与支給総額目標値と給与支給総額目標値(年平均成長率)を設定することが求められています。
設定した目標値は事業計画期間の最終年度に達成する必要があるため、事業計画に沿った数値を検討しましょう。
交付申請時までに従業員等へ表明する
採択後、交付申請時までに設定した賃上げ目標値の内容を全ての従業員または従業員代表者へ表明します。
交付申請時に賃上げ計画の表明書を提出する
賃上げ計画の表明書を作成し、交付申請時に電子申請システムの所定の場所へ添付して提出します。
なお、交付申請は採択発表日から原則2ヶ月以内に行う必要があります。従業員等への表明がされていなかった場合は交付決定の取り消し、および補助金全額の返還対象となるため、応募申請の段階から表明方法や表明書の記載内容を準備する必要があります。
新事業進出補助金における賃上げ計画の表明書でよくある質問
新事業進出補助金における賃上げ計画の表明書申請時によくある疑問について解説します。
賃上げ計画の表明書は自社様式で提出できますか?
自社で作成した様式は使用できません。
賃上げ計画の表明書は、本事業サイトで公開されている所定の様式を使用して作成する必要があります。
申請時は、公式サイトに掲載されている「賃上げ計画の表明書」をダウンロードし、必要事項を記載したうえで提出してください。
賃上げ計画の表明書の表明方法には何を書けばよいですか?
書面、メール、口頭、社内掲示など、従業員または従業員代表者へ賃上げ目標を伝えた方法を記載します。
表明方法について、公募要領では具体的な方法は定められていませんので、すべての従業員または従業員代表者に対して、表明内容が伝わる方法を選択しましょう。
賃上げ計画の表明書の署名は自署でなければなりませんか?
必ずしも手書きの署名や押印を行う必要はありません。
電子入力による記名および電子印鑑でも対応可能です。
賃上げ計画の表明書の記載項目は変更できますか?
記載項目を変更することはできません。
賃上げ計画の表明書は所定の様式を使用し、記載されている項目は全て記入する必要があります。
「一人当たり給与支給総額目標値(年平均成長率)」と「給与支給総額目標値(年平均成長率)」についても、いずれも記入が必要です。
記載漏れがある場合は、申請内容や提出書類の不備と判断され、審査対象とならず不採択となる可能性があります。
補助金申請でお困りでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください
新事業進出補助金における賃上げ計画の表明書は、交付申請時に提出が求められる書類です。申請時には賃上げ目標値を設定するだけでなく、従業員または従業員代表者へ表明を行い、その内容を表明書へ記載する必要があります。
また、表明した賃上げ目標値は事業計画期間の最終年度までに達成することが求められており、未達の場合は補助金返還の対象となる可能性があります。そのため、事業計画や収益見通しに基づいて目標値を設定しましょう。
中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として各種補助金の申請支援を行っています。賃上げ要件への対応や目標値の設定方法など、申請に関するご相談も承っています。
初回相談は無料です。補助金の申請準備や採択後の対応についてご不明な点がある方は、お気軽にご相談ください。
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