経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業とは?制度概要を解説

東京都では2026年度、中小企業の経営基盤強化を支援する制度として「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」を実施しています。
この記事では、経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の公募要領等の情報をもとに、制度の概要や対象となる事業者、補助対象経費、事業計画書作成時のポイントまでを詳しく解説します。自社の取り組みが対象となるか確認したい方は、ぜひ参考にしてください。
当社・中小企業経営支援事務所は、国の認定を受けた認定経営革新等支援機関として、補助金申請の支援を行っています。補助金制度の選定から事業計画書の作成、申請手続きまで、事業者様の状況に応じてサポートいたします。
「自社が対象となるかわからない」「どのような事業計画を作成すればよいかわからない」といった場合は、ぜひお問い合わせフォームよりご相談ください。初回相談は無料です。
目次
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業とは?
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業とは、東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する助成金制度です。
長期化する物価高騰や国際情勢の変化などにより厳しさを増す経営環境の中で、中小企業の経営基盤強化を支援することを目的としています。
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業では、既存事業の深化・発展や新市場・新分野への進出など、中小企業が創意工夫を生かして取り組む事業に対し、必要な経費の一部を助成します。
採択事業者には専門家によるアドバイスも提供され、取り組みの改善や次の事業展開に向けた支援を受けることが可能です。
申請枠は、既存事業の改善を対象とする「業務改善コース」、賃上げ計画を伴う「賃上げ重点コース」、新市場や新分野への進出を目指す「新市場・新分野進出コース」の3種類が用意されています。
設備投資や業務効率化、新商品・新サービスの開発、新たな販路開拓など、幅広い取り組みが対象となります。
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業のスケジュール
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の公募スケジュールは、コースによって申請受付期間が異なります。具体的なスケジュールは以下のとおりです。
| 業務改善コース | 賃上げ重点コース | 新市場・新分野進出コース | |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 2026年5月11日(月)から5月29日(金)まで | 2026年6月1日(月)から6月12日(金)まで | 2026年7月1日(水)から7月14日(火)まで |
| 第2回 | 2026年8月3日(月)から8月14日(金)まで | 2026年9月1日(火)から9月14日(月)まで | 2027年1月4日(月)から1月14日(木)まで |
| 第3回 | 2026年11月2日(月)から11月13日(金)まで | 2026年12月1日(火)から12月14日(月)まで | – |
| 第4回 | 2027年2月1日(月)から2月12日(金)まで | 2027年3月1日(月)から3月12日(金)まで | – |
業務改善コースおよび賃上げ重点コースは年4回、新市場・新分野進出コースは年2回の募集が予定されています。
年間を通じて複数回の募集が実施されるため、自社の事業計画や投資時期に合わせて申請を検討しやすい点が特徴です。
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の申請枠
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業には、「業務改善コース」「賃上げ重点コース」「新市場・新分野進出コース」の3つの申請枠が設けられています。
支援対象となる取り組みや助成率、助成上限額などが異なるため、自社の取り組み内容に適したコースを選択することが重要です。
業務改善コース
業務改善コースは、物価高騰や社会情勢の変化などの経営課題に対応するため、既存事業の深化・発展に取り組む都内中小企業等を支援することを目的としています。
高性能設備の導入による競争力強化や生産性向上、既存の商品・サービスの品質向上、新たな商品・サービスの開発など、自社の創意工夫を生かした経営改善の取り組みが対象となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象事業者 | 東京都内で事業を営む中小企業者(個人事業主を含む)で、直近決算期の営業利益が前期比で減少している、または直近決算期に損失を計上している事業者 |
| 助成限度額 | 600万円 |
| 助成率 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 助成対象経費 | 原材料・副資材費 機械装置・工具器具費 委託・外注費 産業財産権出願・導入費 規格等認証・登録費 設備等導入費 システム等導入費 専門家指導費 不動産賃借料 販売促進費 その他経費 ※委託・外注費のうちの市場調査費、および専門家指導費、販売促進費、その他経費の単独の申請は不可 ※販売促進費は、既存事業に係る販売促進については対象外 |
| 助成対象期間 | 交付決定から1年間 |
賃上げ重点コース
賃上げ重点コースは、物価高騰や社会情勢の変化への対応に加え、従業員への賃上げを通じて経営基盤の強化を目指す都内中小企業を支援することを目的としています。
事業者が創意工夫により既存事業の深化・発展に取り組み、生産性向上や競争力強化、新商品・新サービスの開発などを実施する際に必要な経費の一部が助成されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象事業者 | 東京都内で事業を行う中小企業者(個人事業主を含む)で、直近決算期の営業利益が前期より減少している、または直近決算期に損失を計上している事業者。加えて、賃金引上げ計画を策定すること |
| 助成限度額 | 600万円 |
| 助成率 | 中小企業者:助成対象経費の3/4以内、小規模企業者:4/5以内 賃金引上げ計画を達成できなかった場合は2/3以内 |
| 助成対象経費 | 原材料・副資材費 機械装置・工具器具費 委託・外注費 産業財産権出願・導入費 規格等認証・登録費 設備等導入費 システム等導入費 専門家指導費 不動産賃借料 販売促進費(上限150万円) その他経費(上限100万円) ※委託・外注費のうちの市場調査費、および専門家指導費、販売促進費、その他経費の単独の申請は不可 ※販売促進費は、既存事業に係る販売促進については対象外 |
| 助成対象期間 | 交付決定から1年間 |
新市場・新分野進出コース
新市場・新分野進出コースは、新製品または新サービスにより、新しい市場への参入を目指す都内中小企業等を支援することを目的としています。
新市場・新分野への進出に向けた取り組みに必要な経費が対象とされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象事業者 | 都内中小企業等のうち、直近決算期の営業利益が前期決算期と比較して減少している、または直近決算期において損失を計上している事業者 |
| 助成限度額 | 1,000万円 |
| 助成率 | 助成対象経費の2/3以内 賃金引上げ計画を策定した場合は3/4以内、小規模事業者は4/5以内 賃金引上げ計画を達成できなかった場合は2/3以内 |
| 助成対象経費 | 新市場・新分野に進出する経営改善計画を作成した中小企業を対象に、その経営改善計画に基づいて実施する取り組みに係る経費 |
| 助成対象期間 | 交付決定から1年間 |
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の大まかな流れ
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業では、申請後に審査や交付決定を経て取り組みを実施し、完了後の報告・検査を経て助成金が支払われます。ここでは、申請から受給後までの流れを整理します。
- 申請
電子申請システムJグランツから申請書類を提出します。 - 審査
書類審査と面接審査が行われます。審査を通過した事業者が採択されます。 - 交付決定
交付決定を受けることで、助成対象事業と助成金額の上限が正式に決定します。 - 助成事業の実施
交付決定後、計画に基づく事業を実施します。この事業実施期間中に支払った経費の一部が、助成金の対象となります。 - 実績報告
事業完了後、原則1ヶ月以内に実績報告書や経理関係書類を提出します。 - 完了検査
提出書類や購入物等について、公社による完了検査が行われます。 - 助成額の確定
完了検査の結果を踏まえ、最終的な助成金額が確定します。実績に応じて交付決定額より減額される場合があります。 - 助成金の請求・受給
助成金を請求し、その後支払いを受けます。本事業は後払い方式のため、事業完了後に助成金が交付されます。 - 助成金交付後
取得した設備等の管理や、必要に応じた報告など、公社が定めるルールに従う必要があります。
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の必要書類
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業では、申請時に複数の書類を提出する必要があります。主な必要書類は以下のとおりです。
【申請時に必要な書類】
- 申請様式:事業内容や経費計画などを記入する書類
- 誓約書:反社会的勢力排除や助成金申請に関する誓約を行う書類。
- 履歴事項全部証明書:法人の場合。発行後3ヶ月以内のもの
- 開業届:個人事業主の場合
- 納税証明書:法人事業税、法人都民税、個人事業税、住民税などの納税状況を確認する書類
- 決算書または確定申告書:営業利益の減少や損失計上の有無を確認するために使用される
- 見積書・カタログ等:申請する経費の内容や金額を確認するために必要
- 相見積書:一契約あたり税抜100万円以上の経費を申請する場合のみ
- 図面:設備や機器の購入、設置場所を確認する場合などに必要
【実績報告時に必要な書類】
- 契約書または発注書・請書:発注内容や契約条件を確認する書類
- 納品書・完了報告書:契約内容が履行されたことを証明する書類
- 請求書:支払金額や請求内容を確認する書類
- 振込控・振込明細:経費の支払いを証明する書類
- クレジットカード利用明細:カード払いによる支払い内容を確認する書類
- 領収書:現金払いを行った際の支払証明書類
- 通帳の写し:実際に支払いが行われたことを確認する書類
- その他資料:源泉徴収、外貨決済、ポイント付与などがある場合に提出する書類
申請様式や誓約書は、各公式サイトでダウンロードできます。
履歴事項全部証明書や各種納税証明書は、法務局や都税事務所、市区町村役所などで取得しましょう。
発行までに時間がかかる場合もあるため、申請を予定している場合は早めに準備を進めることが重要です。
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業における事業計画作成のポイント
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業では、既存事業の深化・発展が経営基盤の強化につながる具体的な事業計画を、申請様式に記載する必要があります。
ここでは業務改善コースの申請書を中心に、書き方のポイントを解説します。
業務改善コースの事業計画は、「計画1(SWOT分析・既存事業の整理)」「計画2(取組内容・取組効果)」「計画3(実施体制と助成事業終了後の収益計画)」「計画4:市場動向と今後の展望」の4つで構成されています。
計画1:SWOT分析・既存事業の整理

計画1では、自社を取り巻く環境をSWOT分析で整理し、補助事業に取り組む必要性を明確にします。
(1)の欄には強み・弱みと、市場環境における機会・脅威を分析したうえで、分析結果の総括では自社の課題や今後の方向性を整理して記載します。
(2)の欄には、自社の主力事業や収益の柱となっている事業内容を具体的に説明します。既存事業のみを記載する点に留意しましょう。そのうえで、なぜその事業を深化・発展させることを選択したかについて、SWOT分析で整理した課題や機会との関連性を示しながら説明します。
計画2:取組内容と期待される効果

計画2では、補助事業で実施する具体的な取り組み内容と、その効果を説明します。
(3)の欄は、取り組み内容を記す箇所です。導入する設備やシステム、業務改善施策などの内容を具体的に記載し、その取り組みがなぜ既存事業との関連がない事業ではないと言えるのかを説明します。今回の取り組みが既存事業の発展・改善につながるものであれば、その説明も必要です。
(4)の欄では今回の取り組みが売上増加や生産性向上、業務時間削減などの効果を具体的に示します。事業の実現可能性や妥当性が伝わるように、取り組み前後の数値や根拠となるデータを用いて説明することも求められます。
計画3:実施体制と助成事業終了後の収益計画

計画3では、助成事業の実施体制と、事業終了後3年間の収益計画を記載します。
(5)の実施体制の欄では、社内の担当者の役割分担や、委託・外注先を含めた体制を具体的に示します。製品・サービスの開発を伴う場合は、開発主担当者の経歴や得意分野、他企業との連携体制についても記載が求められます。
助成事業終了後の収益計画では、(1)の欄に本取り組み単体の売上高・営業損益、(2)の欄に他事業を含む全体の売上高・営業損益を、それぞれ3年分記載します。金額には「単価×数量」などの算出根拠を併記し、計画の妥当性を示すことが重要です。
(3)の欄には収益計画を達成するための具体的方策を記載します。本事業での取り組みと社内の他事業での取り組みを分けて説明し、いつからどのような施策を実施するかを具体的に示しましょう。助成事業終了後も継続的に収益を確保できる見通しを伝えることがポイントです。
計画4:市場動向と今後の展望

計画4では、市場動向の分析と助成事業終了後の展望を記載します。
まず市場動向の(1)の欄では、自社の事業に関連する市場・顧客・競合他社の状況を整理して記載します。物価高騰やエネルギー価格の上昇といった事業環境の変化を踏まえ、変化の前後で市場動向がどのように変遷したかを具体的に説明することが求められます。
また上記を踏まえたうえで、(2)の欄に分析結果をもとに本取り組みにおける顧客獲得策や市場拡大策を記載します。ターゲットや対象市場を明確にし、自社の創意工夫や他社との差別化ポイントを具体的に示すことが重要です。
今後の展望のところでは、助成事業終了後の経営展開について記載します。本取り組みを通じて得た収益や知見を、将来的にどのように活かしていくかを具体的に説明します。自社の方向性や今後の取り組み内容、顧客獲得策・市場拡大策などを示し、助成事業終了後も持続的に成長できる見通しを伝えることがポイントです。
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業に申請するときの注意点
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業では、申請要件を満たしていても、書類不備や計画内容によって審査結果に影響する場合があります。申請前には公募要領を確認し、必要書類や申請要件を整理しておきましょう。
申請時によく見られる不備として、提出書類の不足や記載内容の誤り、添付資料の漏れなどがあります。特に履歴事項全部証明書や納税証明書などは取得に時間を要する場合があるため、早めの準備が必要です。
また、助成対象外の経費を計上しているケースにも注意が必要です。単なる老朽設備の更新や事業との関連性が不明確な支出は対象外となる場合があります。申請前に対象経費を確認し、事業計画との関連性を整理しておくことが求められます。
さらに、課題や導入効果の説明が不十分な場合や、実施スケジュールに無理がある場合は、計画の実現性を判断しにくくなります。現状の課題、取り組み内容、期待される効果を具体的に示し、実行可能な事業計画としてまとめることが重要です。
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業の活用を検討していたら中小企業経営支援事務所にご相談ください
経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業は、既存事業の改善や新市場・新分野への進出に取り組む中小企業を支援する制度です。申請にあたっては、自社の課題や取り組み内容を整理したうえで、事業の必要性や効果を事業計画書で具体的に示すことが求められます。
当社・中小企業経営支援事務所では、本事業をはじめとする各種補助金・助成金の申請支援を行っています。事業計画書の作成支援から申請書類の確認、申請手続きのサポートまで対応しています。
「どのコースに申請すべきかわからない」「自社の取り組みが対象になるか確認したい」「事業計画書の作成に不安がある」といった場合は、お問い合わせフォームよりご相談ください。初回相談は無料です。
株式会社中小企業経営支援事務所
私たちは、経営者の皆様が抱える課題を根本から考え、あらゆる角度から、最善の解決方法をコンサルティングしています。事業拡大のための補助金活用支援や経営改善支援、事業承継支援(M&A・親族内承継)まで、経験豊富な中小企業診断士がしっかり伴走していきます。