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最終更新日 

投稿日 2026.07.28

省力化投資補助金の賃上げ要件とは?一般型とカタログ注文型の違いや返還額を解説

省力化投資補助金を申請する際、賃上げが必ず必要なのか気になる方も多いでしょう。

一般型では賃上げが基本要件に含まれる一方、カタログ注文型では補助上限額を引き上げるための特例として設けられており、必要な水準や未達時の扱いも異なります。

この記事では、両類型の違いや賃上げ要件の判定基準、大幅賃上げ特例の内容について、公式サイトにて公開されている公募要領等の資料をもとに解説します。

目標を達成できなかった場合の返還額や、申請前に確認したいポイントも紹介します。

当社・中小企業経営支援事務所は、国から認定を受けた「認定経営革新等支援機関」として、中小企業省力化投資補助金をはじめとする各種補助金の申請支援を行っています。

事業計画の策定から申請書類の作成、申請手続きまで一貫してサポートしていますので、本補助金の活用をご検討中の方はご相談ください。初回相談は60分無料です。

目次

中小企業省力化投資補助金の概要

中小企業省力化投資補助金は、人手不足を解消する設備やシステムの導入費用を支援する制度です。

本補助金には次の2種類があります。

  • 一般型:自社の業務に合わせた設備やシステムを導入する類型
  • カタログ注文型:国のカタログに登録された汎用製品を選んで導入する類型

対象となる中小企業者の資本金や従業員数の基準は、業種によって定められています。

また同補助金では、生産性の向上だけでなく、成果を従業員の賃上げにつなげることも重視されています。

特に一般型では、賃上げは補助金を受けるための基本要件に含まれます。なお、従業員がいない場合、一般型には申請できません。

以下の記事も参考にしてください。

中小企業省力化投資補助金の賃上げ要件、カタログ注文型と一般型の違い

賃上げ要件とは、給与や事業場内最低賃金の引き上げ目標を事業計画に盛り込む条件です。

賃上げの判定には、給与支給総額や1人当たり給与支給総額、事業場内最低賃金などの指標が用いられます。

ただし、カタログ注文型と一般型では、賃上げ要件や達成すべき水準が異なります。

カタログ注文型では特例を満たす基準として賃上げ要件が設けられている

カタログ注文型の場合、賃上げ要件は補助上限額を引き上げる特例を満たすための基準として設けられています。

具体的には補助事業期間の終了時点で

  • 給与支給総額を申請時と比べて6%以上増加
  • 事業場内最低賃金を申請時と比べて3.0%以上増加
  • 申請時に賃金引き上げ計画を従業員へ表明

これらを満たした場合、補助上限額が最大500万円引き上げられます。

正当な理由なく賃上げ目標を達成できなかった場合は、補助上限額の引き上げを利用しなかった場合と同じ水準まで補助額が減額されます。

また、実績報告後に賃金を引き下げた場合などは、補助金の返還を求められることがあります。

なお、賃上げ要件が特例にしかないからといって、通常申請では賃上げを目指さなくてよいということではありません。省力化投資補助金は賃上げを目指すことを趣旨としていますので、申請するときは賃上げを含めた事業計画を策定する必要があります。

補助上限額を引き上げる必要性と、賃上げ目標を達成できる見込みを踏まえ、特例を利用するかを判断しましょう。

一般型では賃上げが基本要件に含まれる

一般型では、賃上げが補助金を受けるための基本要件に含まれます。

ただし、一般型にも、通常より高い賃上げ目標を達成することで補助上限額を引き上げる「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例」があります。

一般型の特例は、基本要件に上乗せして高い賃上げ水準を求める制度です。カタログ注文型の賃上げ特例とは、達成すべき水準や未達だった場合の扱いが異なります。

ここからは、一般型の賃上げ要件について、具体的な判定基準や大幅賃上げ特例、未達時の返還額を最新の公募要領をもとに詳しく解説します。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の賃上げ要件の判定基準

一般型では、賃上げ要件が基本要件に含まれています。

申請時に3~5年の事業計画を立て、次の水準をそれぞれ定められた時点で達成しなければなりません。

1人当たり給与支給総額は年平均+3.5%以上

事業計画期間の終了時点までに、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上にする必要があります。

3.5%は、日本銀行が定める物価安定目標に1.5%を加えた水準です。

交付申請時までに必要な対応は次のとおりです。

  • すべての従業員または従業員代表者と役員に目標を表明する
  • 「賃金引き上げ計画の表明書」を提出する

1人当たり給与支給総額の算定対象は次のとおりです。

  • 基準年度と各事業年度に全月分の給与を受け取った従業員
  • 中途採用や退職などで全月分の給与を受け取っていない従業員は、その事業年度の対象外

事業場内最低賃金は都道府県の最低賃金+30円以上

事業計画期間中は毎年、補助事業を実施する事業場の最低賃金を、都道府県別最低賃金より30円以上高い水準にする必要があります。

事業場内最低賃金とは、補助事業を実施する事業場で働く従業員のうち、もっとも低い時間給です。

実施場所が複数ある場合は、そのなかで事業場内最低賃金が最も低い事業場を基準に判定されます。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の賃上げ要件の特例とは

一般型には、通常より高い賃上げ目標を掲げる事業者を対象とした「大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例」があります。

特例は補助上限額を上乗せする仕組み

特例を適用すると、従業員数に応じて補助上限額が次のように引き上げられます。

  • 5人以下:250万円
  • 6~20人:500万円
  • 21~50人:1,000万円
  • 51~100人:1,500万円
  • 101人以上:2,000万円

たとえば、従業員5人以下の通常の補助上限額は750万円ですが、特例を適用すると1,000万円になります。

従業員101人以上の場合は、8,000万円から1億円へ引き上げられます。

特例を受けるための水準

特例を受けるには、一般型の基本要件に加えて、次の2つを満たす事業計画を立てる必要があります。

  • 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を6.0%以上にする
  • 事業場内最低賃金を都道府県別最低賃金より50円以上高くする

1人当たり給与支給総額は、基本要件の3.5%以上に、さらに2.5%以上を上乗せした水準です。

事業場内最低賃金も、基本要件のプラス30円以上からプラス50円以上へ引き上げられます。

1人当たり給与支給総額は事業計画の最終年度、事業場内最低賃金は事業計画期間中の毎年、定められた水準を達成する必要があります。

また、目標達成に向けた具体的な取り組みを事業計画書に記載しなければなりません。

特例が使えないケース

次のいずれかに当てはまる場合は、補助上限額の引き上げを受けられません。

  • 常勤従業員がいない
  • 最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例を利用する
  • 通常の補助上限額に達しない
  • 再生事業者に該当する

特例を申請しても、通常の補助上限額を超える補助金額にならない場合は、上限額を引き上げる意味がないため適用されません。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の賃上げ要件を満たせなかった場合の返還額

一般型では、賃上げ目標を達成できなかった場合、交付された補助金の一部または全部を返還する必要があります。

返還額の計算方法は、未達となった要件によって異なります。

1人当たり給与支給総額は目標に対する達成率、事業場内最低賃金は未達となった年数に応じて返還額が決まります。

1人当たり給与支給総額が未達の場合

事業計画の終了時点で、申請時に設定した1人当たり給与支給総額の目標を達成できなかった場合は、達成率に応じた金額を返還します。

達成率は、次の式で算出します。

達成率 = 実績の年平均成長率 ÷ 申請時に設定した目標の年平均成長率

返還額は、補助金交付額に未達成の割合を掛けて計算します。

たとえば、目標に対する達成率が80%の場合、原則として補助金交付額の20%が返還対象です。

なお、1人当たり給与支給総額の年平均成長率が0%またはマイナスの場合は、原則として補助金の全額を返還しなければなりません。

大幅賃上げ特例を利用した場合は、通常の補助上限額を超えて交付された上乗せ分を除いた金額をもとに、基本要件の返還額を計算します。

特例の目標も未達となった場合は、上乗せ分も返還対象です。

最低賃金要件が未達の場合

事業場内最低賃金は、事業計画期間中の毎年3月末時点で判定されます。

都道府県別最低賃金より30円以上高い水準を満たしていない年があった場合は、補助金額を事業計画年数で割った金額を返還します。

たとえば、補助金額が1,500万円で事業計画期間が5年間の場合、1年分の返還額は300万円です。2年間未達であれば、合計600万円が返還対象になります。

返還が免除されるケース

賃上げ要件を達成できなくても、次のような場合は返還を求められないことがあります。

  • 天災など事業者の責任によらない理由がある
  • 再生事業者に該当する

赤字の場合の扱いは、未達となった要件によって異なります。

  • 1人当たり給与支給総額が未達
    付加価値額が増えておらず、事業計画期間の過半数が営業利益赤字
  • 事業場内最低賃金が未達
    付加価値額が増えておらず、未達となった事業年度が営業利益赤字

ここでいう付加価値額とは、営業利益に人件費と減価償却費を加えた金額です。

中小企業省力化投資補助金(一般型)の賃上げ要件を満たすためのポイント

一般型の賃上げ要件を満たすためのポイントについてまとめました。

大幅賃上げ特例を利用する場合も基本的な考え方は同じですが、通常より高い目標を応募申請時の事業計画に盛り込む必要があります。

応募申請と交付申請のタイミングを把握する

一般型の申請は応募申請と交付申請の2段階となっており、賃上げ要件を満たすにはそれぞれの申請において必要な手続きを踏む必要があります。

応募申請時には、電子申請システムから賃上げ目標を盛り込んだ3~5年の事業計画を提出します。大幅賃上げ特例を利用する場合も、この段階で特例の要件を満たす目標と具体的な取り組みを記載します。

採択後は交付申請を行います。それまでに賃上げ目標を従業員等へ表明し、交付申請時に「賃金引き上げ計画の表明書」を提出します。

基準年度と事業計画期間を確認する

賃上げ要件を満たすには、前述したとおり、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上にする必要があります。この要件を満たしているかどうかは、基準年度と事業計画の最終年度を比較して判定されます。

基準年度は、応募申請時の直近の決算期です。事業計画期間は、補助事業を完了した事業年度の翌年度を1年目として、3~5年で設定します。

現在の給与水準をもとに、最終年度に必要となる金額をあらかじめ確認しておきましょう。

目標値は交付申請までに社内表明する

設定した賃上げ目標は、交付申請までに、すべての従業員または従業員代表者と役員へ伝える必要があります

たとえば、社内メールや書面、説明会などで、1人当たり給与支給総額の年平均成長率について会社が設定した目標値を知らせます。

交付申請時には、社内へ表明した目標値や表明日などを事務局指定の「賃金引き上げ計画の表明書」に記載して提出します。

給与集計の対象を正しく把握する

一般型の1人当たり給与支給総額には、給料・賃金・賞与・残業手当・職務手当・住宅手当など、給与所得として課税されるものが含まれます。

福利厚生費・法定福利費・退職金は含まれません。

対象となるのは、基準年度と各事業年度に全月分の給与を受け取った従業員です。

中途採用や退職などで全月分の給与を受け取っていない従業員は、その事業年度に限り算定対象から除外します。

中小企業省力化投資補助金の賃上げ要件と最新の変更点

最後に、一般型とカタログ注文型について、最新の賃上げ要件と受付状況を確認します。

一般型第7回公募の賃上げ要件は前回から変更なし

一般型の第7回公募は、2026年7月1日1から7月31日17時まで申請を受け付けています。

一般型第7回公募では、

  • 1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させる要件
  • 毎年の事業場内最低賃金を都道府県別最低賃金より30円以上高い水準にする要件

上記が引き続き適用されます。

一般型の賃上げ特例についても、

  • 1人当たり給与支給総額を年平均6.0%以上増加
  • 毎年の事業場内最低賃金を都道府県別最低賃金より50円以上高い水準

上記の要件に変更はありません。

カタログ注文型の受付期限は2027年3月末頃まで延長

カタログ注文型は公募回制ではなく、受付期間中であれば販売事業者と共同で随時申請できます。

受付終了予定は、2026年3月の制度改定により、2026年9月末頃から2027年3月末頃までへ延長されました。

対象製品の導入をすでに検討している事業者や、賃上げ特例を利用して補助上限額を引き上げたい事業者は、販売事業者への相談や申請準備を早めに進めましょう。

カタログ注文型の最低賃金要件は3.0%以上へ変更

カタログ注文型では、2026年3月19日の制度改定により、賃上げ特例における事業場内最低賃金の要件が変更されました。

事業場内最低賃金とは、事業場で働く従業員のうち最も低い時間額です。申請時と補助事業実施期間の終了時点を比較し、次の水準まで引き上げる必要があります。

  • 改定前:45円以上の増加
  • 改定後:3.0%以上の増加

たとえば、申請時の事業場内最低賃金が時給1,100円の場合、改定前は1,145円以上、改定後は1,133円以上への引き上げが必要です。

計算上、申請時の事業場内最低賃金が1,500円未満の場合は、必要な引き上げ額が45円未満となり、1,500円を超える場合は45円を上回ります。

なお、給与支給総額を増加させる目標は、改定後も従来どおり適用されます。

中小企業省力化投資補助金を検討していたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

中小企業省力化投資補助金の賃上げ要件は、一般型とカタログ注文型で内容が異なります。

一般型では賃上げが基本要件に含まれ、カタログ注文型では補助上限額を引き上げる特例を満たすための条件として設けられています。ただしカタログ型も、補助事業を通して賃上げを目指すことが求められます。

申請時には、賃上げ目標の設定だけでなく、事業計画への記載や社内表明、必要書類の提出も求められます。

目標を達成できなかった場合は補助金の返還や減額につながる可能性があるため、無理のない計画を立てることが重要です。

当社・中小企業経営支援事務所では、中小企業省力化投資補助金の申請支援を行っています。

自社が対象になるかわからない方や、賃上げ要件を満たせるか不安な方は、お気軽にご相談ください。初回相談は60分無料です。

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