省力化投資補助金は建設業で使える?採択事例や対象経費を解説

人手不足への対応としてICT建機や測量機器を導入したくても「建設業は補助対象になるのか」「どのような設備や事業計画が採択されているのか」と迷う方もいるでしょう。
省力化投資補助金は人手不足に悩む中小企業等の省力化投資を支援する制度で、建設業でも活用できます。
本記事では、建設業の採択事例をはじめ、制度の概要や補助対象経費、申請スケジュール、申請前に知っておきたい注意点を解説します。
当社・中小企業経営支援事務所は、国から認定を受けた「認定経営革新等支援機関」として、中小企業省力化投資補助金をはじめとする各種補助金の申請支援を行っています。
事業計画の策定から申請書類の作成、申請手続きまで一貫してサポートしていますので、本補助金の活用をご検討中の方はご相談ください。初回相談は60分無料です。
目次
中小企業省力化投資補助金とは?建設業でも活用しやすい補助金制度
本補助金の「省力化投資」とは、人が行っている作業の一部を設備やシステムに置き換え、作業時間の短縮や人員配置の見直しを図るための投資を指します。
建設業では、測量や施工、施工管理、資材管理、報告業務などに人手や時間を要するケースが多く、省力化投資補助金の活用を検討できます。
たとえば、ICT建機や測量機器、ドローン、3Dスキャナー、現場管理システムなどを、自社の業務や現場に合わせて組み合わせ、現場作業の効率化や手戻りの削減を図る取り組みが考えられます。
ただし、設備名だけで、補助対象になるかどうかが決まるわけではありません。
自社への導入目的や省力化する業務を明確にし、公募要領の要件を確認する必要があります。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の建設業の採択事例
中小企業省力化投資補助金の一般型では、ICT建機や測量機器、ドローンなどを活用する建設業者の事業計画が採択されています。
ただし、採択事例はあくまで参考であり、同じ設備を導入すれば必ず採択されるわけではない点に注意してください。
ICT建機・ICT施工の採択事例
- 株式会社ナカジマ「ICT建機導入による省力化とリソース再配置での土木工事の改善」
- 株式会社つくば開発「測量・丁張の省力化と人材育成を両立するICT建機導入で業務効率化」
- 岸本産業株式会社「ICT建機・自動化施工で省力化と精度向上を実現する取り組み」
ICT建機を活用し、施工や測量の作業負担を減らすとともに、人材育成や人員の再配置につなげる事業計画が採択されています。
測量・ドローン測量の採択事例
- 建基コンサルタント株式会社「新型測量関連機器の導入・連携運用で測量作業の省力化を図る」
- 三国屋建設株式会社「ドローン・AUVと最新レーザー測量機器で海中測量業務を抜本改善!」
- 渡辺充「3D測量による大幅業務効率化と高品質な土地開発支援の実現」
測量機器やドローン、3D測量技術を活用し、測量業務の効率化や作業品質の向上を図る事業計画が採択されています。
解体・施工・設備工事の採択事例
- 株式会社端工務店「下水道管路検査の標準化・省力化事業」
- 吉紀コーポレーション株式会社「ドローン・無線操縦重機導入による斜面における掘削工事の省力化」
- 栄進建設株式会社「大口径水道管の不断水による施工効率向上事業」
管路検査や斜面掘削、水道管工事など、検査や施工業務の省力化を図る事業計画も採択されています。
中小企業省力化投資補助金の一般型とカタログ注文型の違い
中小企業省力化投資補助金には「一般型」と「カタログ注文型」があります。
- 一般型は「応募申請→採択→交付申請→交付決定」
- カタログ注文型は「販売事業者との共同申請による応募・交付申請→交付決定」
と進みます。
導入したい設備の仕様や組み合わせを踏まえて、該当する類型を確認しましょう。
補助対象経費(補助の対象になる費用)の違い
補助対象経費とは、補助金の対象として認められる費用です。
事業にかかった費用がすべて補助されるわけではなく、一般型とカタログ注文型では対象となる費用が異なります。
一般型は、オーダーメイド性のある設備やシステムの導入に対応する類型です。主な補助対象経費は次のとおりです。
- 機械装置・システム構築費
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
このうち、機械装置・システム構築費の計上は必須です。
一方、カタログ注文型では、製品カタログに登録された省力化製品の本体価格と導入経費が補助対象です。販売事業者と共同で申請します。
補助率・補助上限額の違い
一般型とカタログ注文型では、補助率と補助上限額も異なります。
| 項目 | 一般型 | カタログ注文型 |
|---|---|---|
| 補助上限額 | 最大1億円 ※従業員数101人以上で大幅な賃上げの要件を満たす場合 | 最大1,500万円 ※従業員数21人以上で賃上げ要件を満たす場合 |
| 補助率 | 中小企業は原則1/2 小規模企業者・小規模事業者などは2/3 | 1/2以下 |
補助上限額は従業員数によって異なり、賃上げ要件を満たした場合に引き上げられます。最大額を必ず受け取れるわけではない点に注意してください。
中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択に向けた事業計画の作成ポイント
一般型では、導入する設備やシステムだけでなく、建設業務のどこを省力化し、生まれた時間や人材をどの業務に振り向けるのかまで示す必要があります。
主な作成ポイントを見ていきましょう。
- 参照:資料ダウンロード(一般型)
- 参照:事業計画書作成の参考ガイド
公式様式・参考ガイドを確認する
一般型の事業計画書は、公式サイトの資料ダウンロードページにある様式と、参考ガイドを確認して作成します。
参考ガイドでは、経営課題、省力化する業務、導入設備、省力化後の人材活用、実施体制、資金計画などの確認事項が示されています。
事業計画書(その1・その2)は参考様式、事業計画書(その3)は指定様式です。申請時は、対象となる公募回の最新版を確認してください。
省力化する業務プロセスを明確にする
建設業務のどの工程を省力化するのかを特定します。
測量、丁張、施工、施工管理、資材管理、写真管理、報告書作成などの中から、時間や人手がかかっている工程を選びます。
そのうえで、次の点を示します。
- 現在の作業手順と担当人数
- 各作業にかかる時間
- 待ち時間や手戻りが発生している箇所
- 設備導入後に減る作業と新たに発生する作業
たとえば、測量後のデータ転記や図面作成に時間がかかっている場合は、測量からデータ処理、図面作成までの流れを示します。
導入前後の業務プロセスを比較し、どの作業をどの程度減らせるのかを具体的に記載することが重要です。
導入設備と省力化効果の関係を示す
ICT建機や測量機器、ドローン、現場管理システムを導入するだけでは、事業計画として十分とはいえません。
導入する設備やシステムが、現在の課題をどのように解決するのかを示すことが重要です。
たとえば、次のような効果を数値や根拠とともに具体化します。
- 測量や施工にかかる作業時間の削減
- 現場の人員配置の見直し
- データの転記や報告書作成にかかる時間の削減
- 測量や施工の手戻り削減
設備導入そのものを目的にせず、導入前後で業務プロセスがどう変わるのかを説明しましょう。
省力化で生まれる時間や人材の活用方法を示す
省力化後に生まれる時間や人材を、どの業務へ振り向けるのかまで示します。
建設業では、次のような活用が考えられます。
- ベテラン社員が若手の指導や技能継承に時間を使う
- 現場確認や検査を充実させて施工品質を高める
- 空いた人員を新規案件や繁忙現場へ配置する
- 見積もりや提案活動を強化して受注機会を増やす
重要なのは、単に作業時間が減ることではなく、余力を付加価値の高い業務へ振り向けることです。
誰がどの業務へ移り、業績向上や賃上げにどうつながるのかまで具体的に示します。
なお、省力化する工程や導入設備が決まっていても、事業計画への落とし込み方に迷うケースがあります。自社の課題と省力化効果をどのように示せばよいか判断が難しい場合は、申請準備を進める前に専門家へご相談ください。
建設業者が中小企業省力化投資補助金を活用する際の注意点
建設業で本補助金を検討する際は、事前に確認しておきたい点があります。
申請後に手戻りが生じないよう、設備の保管場所や利用方法、発注時期などを確認しておきましょう。
移動して使う建機は保管場所を事業実施場所とする
ICT建機や測量機器などを複数の現場へ移動して使用する場合は、設備を格納・保管し、主に管理する場所が補助事業の実施場所になります。
補助事業の実施場所は応募申請時に特定する必要があり、採択後の変更は原則として認められません。
また、交付申請時点で建設中の場所や、土地だけを確保して今後建設する予定の場所は対象外です。
公共工事での使用と補助金の重複を混同しない
本補助金で導入した設備を、国が発注する公共工事で使用すること自体は問題ありません。
一方、同じ設備費を、国や独立行政法人などが実施するほかの補助制度にも計上するなど、補助対象経費が重複する事業は対象外です。
公共工事での使用と、ほかの補助制度との経費重複は分けて確認しましょう。
導入設備を第三者へ長期間貸し出す事業は対象外
補助金で購入した設備を自社で使用せず、特定の第三者へ長期間貸し出す事業は補助対象外です。
ICT建機や測量機器などを導入する場合は、自社が占有し、自社の事業で使用する計画になっているかを確認する必要があります。
採択後すぐに発注できず補助金の受給にも時間がかかる
一般型は、採択された時点ではまだ発注できません。相見積もりの取得や事業者選定を行い、交付申請を経て交付決定を受けてから契約や発注へ進みます。
カタログ注文型も同様に、販売事業者と共同で申請し、交付決定を受けるまでは発注できません。
また、補助金は設備代金を支払った直後に受け取る仕組みではなく、次の手続きを経て支払われます。
- 設備の導入と支払い
- 実績報告
- 確定検査
- 補助金額の確定と支払い
原則として設備代金を先に支払う必要があるため、導入時期だけでなく、補助金を受け取るまでの資金繰りも確認しておきましょう。
なお、一般型では、対象リース会社との共同申請により、中小企業等が支払うリース料から補助金相当分を減額できる場合があります。
建設業者が中小企業省力化投資補助金を申請する前に確認したい公式情報
制度内容や掲載製品は更新されるため、民間サイトだけで判断せず、申請する時点の公式情報を確認しましょう。
公式サイト・チラシ(PDF)・公募要領
制度の概要は公式サイトや案内チラシで確認できます。補助対象者や対象経費、補助率、申請要件などの詳細は公募要領で確認してください。
一般型とカタログ注文型では公募要領や申請方法が異なるため、検討している類型に対応した資料を見る必要があります。
一般型の資料ページには、公募要領のほか、応募申請の手引きや事業計画書作成の参考ガイドも掲載されています。
・参照:広報ツール
製品カタログ・販売事業者一覧
カタログ注文型では、製品カタログに登録された汎用製品が補助対象です。導入したい設備が掲載されているかを確認し、対象となる製品カテゴリや販売事業者を調べます。
カタログの掲載内容は随時更新されるため、以前確認した製品でも申請前に最新情報を見直しましょう。
採択結果・活用事例集
一般型の採択結果ページでは、公募回ごとの申請数や採択数、採択者の事業計画名を確認できます。
建設業の採択事例を探す際は、採択者一覧から建設業者や関連する設備名を確認するとよいでしょう。
活用事例集では、一般型とカタログ注文型それぞれの導入内容や省力化効果が紹介されています。
採択者一覧は採択された事業計画を確認する資料、活用事例集は導入後の取り組みを知る資料として使い分けます。
中小企業省力化投資補助金の申請スケジュール
中小企業省力化投資補助金はいつまで申請できるのか、申請前に最新の日程を確認しましょう。
一般型は公募回制で、第7回の申請受付期間は2026年7月1日から7月31日17時まで、採択発表は2026年11月中旬の予定です。
応募申請の締切から採択発表まで3ヶ月半程度を見込み、補助事業の実施期間は、交付決定日から18ヶ月以内かつ採択発表日から20ヶ月後までです。
カタログ注文型は随時申請を受け付けており、補助事業の実施期間は交付決定日から原則12ヶ月以内です。
どちらもGビズIDプライムが必要なため、早めに取得しておきましょう。
中小企業省力化投資補助金を検討している建設業の方は中小企業経営支援事務所にご相談ください
建設業で省力化投資補助金を活用するには、自社の課題に合う設備を選ぶだけでなく、省力化する工程や導入後の効果を事業計画に落とし込むことが重要です。
早い段階から準備を進めることで、申請期限や設備導入の時期にも余裕を持って対応できます。
当社・中小企業経営支援事務所では、制度の対象確認から事業計画書の作成、申請手続きまで支援しています。
建設業で省力化投資補助金の活用を検討している方は、お気軽にご相談ください。初回相談60分無料です。
株式会社中小企業経営支援事務所
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