【2024年】IT導入補助金の概要と2023年からの変更点を解説

IT導入補助金とは、ITツールの導入により、中小企業や小規模事業者の業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する、最大450万円の補助金です。

2024年は、デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス枠が新設されるなど、2023年からいくつかの変更点がありますが、継続して行われます。

この記事では、IT導入補助金の概要と2023年からの変更点、申請の流れをわかりやすく解説します。今までのIT導入補助金におけるITツールの活用事例も紹介しますので、IT導入補助金の申請をお考えの経営者様、活用イメージを膨らませたい方は、ぜひ参考にしてください。

なお、この記事は、IT導入補助金の申請をサポートしている経営コンサルタント・中小企業経営支援事務所が解説します。当社はIT導入補助金の申請のみならず、実績報告もトータルでサポートいたします。初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

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IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の業務効率化やDX、サイバーセキュリティ対策を推進するための「ITツール」の導入を支援する補助金です。中小企業や小規模事業者がデジタル技術を活用し、労働生産性や競争力を強化することを目的としています。

補助金の対象となるITツールは、事務局の審査を受けた以下のようなツールです。

  • 受発注ソフト
  • 決済ソフト
  • 会計ソフト
  • セキュリティ
  • POSレジ
  • 券売機
  • PC・タブレット

補助対象経費には、パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入・初期費用、ITコンサルティング費用、システム改修費用などが含まれます

IT導入補助金の申請者は、事務局に登録した「IT導入支援者」とパートナーシップを組み、ITツールの説明や導入、補助金申請のサポートを受けます。

IT導入補助金の対象者は、「中小企業・小規模事業者(個人事業主、フリーランス)」です。インボイス枠の電子取引類型では、中小企業や小規模事業者と受発注の取引を行っている事業者であれば、大企業も対象となります。

中小企業とは、資本金または従業員規模のどちらか一方が、以下の条件を満たしている企業を指します。

業種・組織形態資本金の額または出資の総額常勤の従業員
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

また、小規模事業者の定義は以下のとおりです。

業種・組織形態常勤の従業員
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

IT導入補助金に申請するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • gBizIDプライムアカウントの取得
  • SECURITY ACTIONの実施
  • みらデジ経営チェックの実施

gBizIDとは、さまざまな行政サービスにログインできる法人・個人事業主向けの共通認証システムです。IT導入補助金以外の補助金の電子申請の際にも必要となります。

SECURITY ACTIONは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。

みらデジ経営チェックは、経営課題解決に向けた「気づき」を見つけるための、チェック&サポートツールです。同業種・同地域の事業者と比較しながら、各種支援施策の紹介を受けられます。

みらデジ経営チェックは、通常枠においては必須要件、インボイス枠とセキュリティ対策推進枠では加点要件です。

2024年のIT導入補助金は、2023年までと比べて、以下のポイントで変更が行われました。

  • デジタル化基盤導入枠からインボイス枠に
  • ECサイト制作が対象外に
  • インボイス対応類型において小規模事業者の補助率が拡大
  • 電子取引類型において大企業も申請可能に

それぞれ詳しく解説します。

2024年のIT導入補助金では申請枠が再編されました従来のデジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス枠と複数社連携IT導入枠が新設されます

このことにより、2024年のIT導入補助金は、以下の4枠(5類型)で行われます。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

廃止されたデジタル化基盤導入枠は受発注ソフトや会計ソフトと並んで、ECサイト制作も対象でした。

しかし、新設のインボイス枠はECサイト制作が対象に含まれていないため、2024年のIT導入補助金では、ECサイト制作が対象外となりました。

インボイス枠のインボイス対応類型では、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトの導入補助額が50万円以下の場合、小規模事業者の補助率が4/5に拡大されます。

中小企業の場合の補助率は3/4であるため、小規模事業者への補助が手厚くなっています。

インボイス枠の電子取引類型のみですが、大企業も申請できるようになりました。

中小企業や小規模事業者と受発注の取引を行っており、中小企業・小規模事業者にITツールを無償で利用させる事業者が対象です。

2024年のIT導入補助金は、以下の4枠(5類型)で申請を受け付けます。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

一つずつ詳しく紹介します。

通常枠は、自社の課題にあったITツールの導入を通して、業務効率化と売上アップをサポートするものです。

たとえば、以下のようなケースで活用できます。

  • 供給・在庫・物流
  • 総務・人事・給与・労務
  • 顧客対応・販売支援

通常枠の補助率、補助額、補助対象、スケジュールは以下のとおりです。

補助率1/2以内
補助額1プロセス*以上5万円以上150万円未満
4プロセス*以上150万円以上450万円以下
補助対象ソフトウェア・ソフトウェア購入費
・クラウド利用料(最大2年分)
導入関連費(オプション)・機能拡張やデータ連携ツールの導入
・セキュリティ対策実施に係る費用
導入関連費(役務の提供)・導入コンサルティング
・導入設定、マニュアル作成、導入研修
・保守サポートに係る費用
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年3月15日(金)17:00
2次締切分締切日:2024年4月15日(月)17:00
3次締切分締切日:2024年5月20日(月)17:00

*プロセスとは?
「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収管理」「供給・在庫・物流」など業務ごとにプロセスが分けられており、1種類以上のプロセスを保有するソフトウェアの申請が求められます。

インボイス枠は、2023年10月に始まったインボイス制度を受けて、中小企業・小規模事業者のインボイス対応システムの導入を支援するものです。

インボイス枠では、「インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト」に加え、PC・レジ・券売機などのハードウェアも補助対象となります。

補助率と補助額、スケジュールは以下のとおりです。

インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト
補助対象補助率補助額
1機能以上を有するソフトの場合中小企業3/4以内
小規模事業者4/5以内
50万円以下
2機能以上を有するソフトの場合2/3以内50万円超~350万円以下※

※補助額50万円超の際の補助率は、補助額のうち50万円以下については3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については2/3

PC・ハードウェア等
補助対象補助率補助額
PC・タブレット等1/2以内10万円以下
レジ・券売機等20万円以下
補助対象ソフトウェア(必須)インボイス制度に対応し、会計・受発注・決済の機能を有するソフトウェア
オプション・機能拡張
・データ連携ツール
・セキュリティ
役務・導入コンサルティング
・導入設定、マニュアル作成、導入研修
・保守サポート
ハードウェア・PC
・タブレット
・プリンター
・スキャナ
・複合機
・POSレジ
・モバイルPOSレジ
・券売機
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年3月15日(金)17:00
2次締切分締切日:2024年3月29日(金)17:00
3次締切分締切日:2024年4月15日(月)17:00
4次締切分締切日:2024年4月30日(火)17:00
5次締切分締切日:2024年5月20日(月)17:00

インボイス対応類型は、以下のページで補助申請可能額をシミュレーションできるため、ぜひご活用ください。
補助金シミュレーター | IT導入補助金2024

インボイス枠の電子取引類型は、インボイス対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者に無償で利用させる場合に、導入費用の一部を支援するものです。

電子取引類型の補助率、補助額、補助対象、スケジュールは以下のとおりです。

補助率中小企業小規模事業者等2/3以内
その他事業者等1/2以内
補助額(下限なし)~350万円以下
補助対象受発注ソフト
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年3月15日(金)
2次締切分締切日:2024年4月15日(月)
3次締切分締切日:2024年5月20日(月)

セキュリティ対策推進枠では、サイバー攻撃によるリスクを低減する取り組みを支援します。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に載っているサービスが対象です。

セキュリティ対策推進枠の補助率、補助額、補助対象、スケジュールは以下のとおりです。

補助率1/2以内
補助額5万円以上100万円以下
補助対象ITツールの導入費用及び、サービス利用料(最大2年分)
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年3月15日(金)17:00
2次締切分締切日:2024年4月15日(月)17:00
3次締切分締切日:2024年5月20日(月)17:00

複数社連携IT導入枠では、複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールを導入し、生産性向上を図る取り組みが支援されます

業務上つながりのあるサプライチェーンや、特定の商圏で事業を営む商業集積地などに属する複数の中小企業・小規模事業者が対象です。ソフトウェアやハードウェアに加え、効果的に連携するためのコーディネート費や、取り組みへの助言を行う外部専門家への謝金なども補助対象に含まれます

複数社連携IT導入枠の補助対象経費、補助率、補助額、スケジュールは以下のとおりです。

補助対象経費補助率補助額
基板導入経費ソフトウェア3/4以内、4/5以内50万円以下×グループ構成員数3,000万円以下
2/3以内50万円超~350万円以下×グループ構成員数
ハードウェアPC・タブレット等1/2以内10万円×グループ構成員数
レジ・券売機等1/2以内20万円×グループ構成員数
消費動向等分析経費2/3以内50万円以下×グループ構成員数
その他経費2/3以内200万円以下
スケジュール受付開始2024年2月16日(金)予定
1次締切分締切日:2024年4月15日(月)17:00

2024年のIT導入補助金に申請する際は、以下の流れで行います。

  1. 公募要領の確認
  2. gBizIDプライムアカウントの取得、SECURITY ACTIONの実施
  3. みらデジ経営チェックの実施
  4. IT導入支援事業者とのマッチング・ITツールの選定
  5. 交付申請
  6. 交付決定
  7. ITツールの発注・契約・支払い
  8. 事業実績報告
  9. 補助金交付
  10. 事業実施効果報告

IT導入補助金の対象となるITツールの数は、数千個に及びます。自社に最適のITツールを見つけるためには、申請のパートナーであるIT導入支援事業者選びがポイントです。

IT導入補助金公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」で、ITツールやIT導入支援事業者を検索できるため、ぜひ活用して自社に合ったITツールとIT導入支援事業者を見つけましょう。

過去のIT導入補助金でITツールを導入した中小企業・小規模事業者が、どのような課題を解決し、成果を上げたのか、IT導入補助金公式サイトの活用事例から紹介します。

岩手県花巻市の株式会社ポケットマルシェは、クラウド会計ソフト「freee」を導入し、経理業務の効率化と高精度化を実現しました

同社の経理業務では、オフラインの会計ソフトを使用しており、複数人での同時作業が不可能で、さらに仕訳を手入力で行う必要がありました。

クラウド会計ソフトの導入で、オンラインバンキングとの連携により入出金履歴を自動で読み込めるようになり、売上分析など戦略的な業務に工数を割けるようになっています
(参照:株式会社ポケットマルシェ/IT導入補助金2020活用事例

宮崎県都農町の株式会社河北は、工事原価作成システム「Neo原価」を導入し、利益率0.17%が増大、年間120万円のコスト削減にも成功しました

同社では、作業ごとに会計システムとExcelシートが混在しており、二度手間や誤作業の原因となっていましたが、ITツールの導入でシステムの一元化が実現しました

また、クラウド型システムのため、他の現場の情報がリアルタイムに把握できるようになり、テレワークが可能になったというメリットもあります。
(参照:IT導入補助金 ITツール活用事例

大阪府八尾市の理化工業株式会社は、電子帳票ツールやRPAツール「WinActor」を導入し、業務の自動化・無人化を実現し、人件費の削減に成功しました

同社は、製造現場での帳票類が手書きのままで労力がかかっていたと同時に、新しいシステム内のデータを既存システムへ毎日移行する必要があり、再入力の手間がかかっていました。

RPAとは、Robotic Process Automationの略で、パソコンで行っている事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことです。電子帳票化やRPAの活用により、現場作業者の負担が軽減、また生まれた時間をデータ分析や事業アイデアの検討に充てられるようになりました
(参照:IT導入補助金 ITツール活用事例

IT導入補助金は申請枠の再編が行われ、デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス制度への対応を支援するインボイス枠が新設されました

2024年のIT導入補助金は、2024年2月16日(金)に受付開始予定です。公募要領が発表され次第よく確認し、パートナーとなるIT導入支援事業者とともに、自社の課題解決につながるITツールを導入しましょう。

当社・中小企業経営支援事務所は、中小企業様・小規模事業者様のIT導入補助金への申請をサポートしています。申請から実績報告までトータルサポートいたしますので、安心してお任せください。初回相談は無料です。以下からお気軽にご相談ください。

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