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【令和7年度】事業環境変化に対応した経営基盤強化事業とは?申請要件や採択されるコツ

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の概要を示す図解
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の概要

「事業環境の変化にうまく対応できない」「思い描く経営戦略を実行に移すための資金が足りない」

このような悩みを抱えている経営者も多いのではないでしょうか。

急速に変化する現代社会において、企業が持続的な成長を遂げるためには、時代の流れをいち早く察知し、柔軟かつ戦略的に事業を展開していくことが求められます。

しかし、中小企業やスタートアップ企業にとって、必要な資金やノウハウを確保することは容易ではありません。

そこで、東京都中小企業振興公社では、「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」を通じて、都内の中小企業の挑戦を力強く後押ししています。

この記事では、事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の概要や申請方法、採択されるためのポイントなどを、公社の各ページをもとに具体的に解説していきます。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金・助成金申請のエキスパートです。事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請に不安や疑問があればぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。採択のコツについて懇切丁寧に解説いたします。

目次

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業とは

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業とは、東京都内の中小企業者が変化する事業環境に対応するための取り組みを支援する助成金制度です。コロナ後の需要回復や消費者ニーズの変化への即応、エネルギー・原材料価格や人件費の高騰など、山積する課題に対して、中小企業の創意工夫を活かした経営基盤強化を目的としています。

本事業には、「一般コース」と「小規模事業者向けアシストコース」の2つのコースがあります。小規模事業者は一般コースにも申請可能ですが、両コースへの重複申請はできません。申請の際は自社の状況に合わせて、より適したコースを選択しましょう。

項目一般コース小規模事業者向けアシストコース
対象者東京都内で事業を行う中小企業者や小規模企業者小規模事業者のみ
・製造業・その他:従業員20人以下
・商業・サービス業:従業員5人以下
助成対象経費・原材料・副資材費
・機械装置・工具器具費
・委託・外注費
・産業財産権出願・導入費
・規格等認証・登録費
・設備等導入費
・システム等導入費
・専門家指導費
・不動産賃借料
・販売促進費
・その他経費
・機械装置・工具器具費
・設備等導入費
・システム等導入費
助成限度額800万円(千円未満切捨て)200万円
助成率2/3以内2/3以内
賃金引上げ計画実施時の助成率・中小企業者:3/4以内
・小規模企業者:4/5以内
4/5以内
助成対象期間交付決定日から最大1年間未定
一般コースと小規模事業者向けアシストコースの比較

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)について

一般コースは、東京都内で事業を行う中小企業者や小規模企業者が申し込めるコースです。

本コースの特徴は、助成対象経費が、原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、規格等認証・登録費、設備等導入費、システム等導入費、専門家指導費、不動産賃借料、販売促進費など多岐にわたる点です。

また、助成限度額が800万円と、小規模事業者アシストコースの200万円よりも高いのも違いとして挙げられます。

項目内容
対象者申請要件を満たす、東京都内で事業を行う中小企業者や小規模企業者
助成対象経費原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費など
助成対象期間交付決定日から最大1年間
助成率助成対象経費の2/3以内
※賃金引上げ計画を策定し、実施した場合、中小企業者は3/4以内、小規模企業者は4/5以内
助成限度額800万円(千円未満切り捨て)
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)の概要

一般コースでは、以下のような取り組みが助成対象となります。

項目具体的な取り組み例
既存事業の深化・高性能な機器や設備を導入して競争力を強化する
・既存の商品やサービスの品質を向上させる
・高効率機器や省エネ機器を導入して生産性を向上させる
既存事業の発展・新たな商品やサービスを開発する
・商品やサービスの提供方法に新たなものを導入する
・既存事業で培った知識や経験を活かした新規事業を展開する
助成対象となる具体的な取り組み例

反対に、以下のような取り組みは助成対象外となるので注意が必要です。

  • 申請者がこれまで行ってきた事業内容との関連性が薄い、または全くない取り組み
  • 法改正への対応など、義務的な取り組み
  • 単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取り組み

これらの内容を参考に、自身の事業が助成対象となるか検討してみましょう。

一般コースに申請するためには、以下の申請要件をすべて満たしている必要があります。

申請要件内容
1. 中小企業者の要件• 都内の中小企業者であること
• 大企業が実質的に経営に参画していないこと

中小企業者の定義
・製造業、情報通信業、建設業、運輸業、その他:資本金3億円以下または従業員300人以下
・卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
・サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
・小売業・飲食業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
2. 所在地要件申請受付開始日時点で以下のいずれかに該当すること
• 法人:本店(実施場所が都内の場合は支店でも可)の登記が都内にある
• 個人事業者:納税地が都内にある
3. 経営状況要件申請受付開始日時点で以下のいずれかに該当すること
• 直近決算期の売上高が、令和5年の決算期以降のいずれかの決算期と比較して減少している
• 直近決算期において損失を計上している
• 米国関税措置による影響により、次期決算期の売上高が直近決算期と比較して減少することを見込んでいる
4. 重複申請禁止以下の事業において、1度も交付決定を受けていない、または申請中でないこと
• 本事業(本コースおよび小規模事業者向けアシストコース)
• 新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(経営改善計画策定による経営基盤強化支援(一般コース))
5. 実施場所の条件• 東京都内:申請受付開始日時点で東京都内に登記簿上の本店または支店があること
• 東京都外(神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県)での実施:申請受付開始日時点で東京都内に登記簿上の本店があること
6. 書類提出申請に必要な書類をすべて提出できること
7. 業態要件• 暴力団関係者でないこと
• 風俗関連業、ギャンブル業、賭博等、社会通念上不適切な業態を営んでいないこと
8. その他要件①同一テーマ・内容で他の助成などを受けていないこと
②同一テーマ・内容で公社が実施する他の助成事業に申請していないこと(一部例外あり)
③事業税などを滞納していないこと
④東京都・公社に対する債務の支払いが滞っていないこと
⑤過去5年間に助成事業で不正などの事故を起こしていないこと
⑥過去の助成金交付に関する報告書などを提出していること
⑦民事再生法・会社更生法による申立てなどがないこと
⑧必要な許認可を取得し、関係法令を遵守していること
⑨連鎖販売取引、送り付け商法、催眠商法、霊感商法など不適切な業態を営んでいないこと
⑩その他、公社が助成先として不適切と判断するものでないこと
一般コースの申請要件

上記の表を参考に、自身の企業が助成対象に当てはまるかどうか、事前に確認しておきましょう。

なお、申請要件は、特段の記載がある場合を除き、助成対象期間が終了するとき(それより前に助成事業が完了する場合はその完了時)まで引き続き満たす必要があります。

助成対象期間は、交付決定日から1年間となっています。助成対象期間内に契約・実施・支払いが完了していない経費は、助成対象となりません。

助成対象期間の図解 出典:事業環境変化に対応した経営基盤強化事業 【助成金 募集要項(一般コース)】(令和7年度第1回)p.6丨東京都中小企業振興公社

一般コースでは、以下のような経費が助成対象となります。

経費の種類内容
原材料・副資材費事業を行うために必要な原材料や部品などの購入費用
機械装置・工具器具費事業に必要な機械装置や工具器具などの購入費用やリース費用
委託・外注費事業の一部を外部に委託する場合の費用(開発・試験などの委託費、資料の製造や改造などの外注費、共同研究費、製品のマーケティングやモニター調査などの市場調査費)
※市場調査費だけの申請は不可
産業財産権出願・導入費新しい技術やデザインの保護のための特許や意匠などの出願費用や、外部からの権利譲渡や実施許諾にかかる費用
規格等認証・登録費新しい製品やサービスを市場に投入するために必要な規格の認証や登録にかかる費用
設備等導入費事業に必要な設備の購入や設置の費用
システム等導入費業務効率化やサービス向上のためのシステム構築や、ソフトウェア・ハーウェアの導入にかかる費用
専門家指導費専門家から事業に関する指導や助言を受けるときにかかる費用
※専門家指導費だけの申請は不可
不動産賃借料事業を行うために必要な事務所や工場などの賃借費用
販売促進費新しい商品やサービスの販売促進にかかる費用(Webサイト制作・改修費、印刷物製作費・PR動画制作費・広告費・出展小間料・資材費・輸送費・通訳費・オンライン出展基本料・ECサイト出店初期登録料
※上限200万円
※既存事業に係る販売促進は対象外
※販売促進費だけの申請は不可
その他経費上記のいずれにも該当しない経費で、事業を行うために必要と認められる費用
※上限100万円
※その他経費だけの申請は不可
一般コースの助成対象経費一覧

ただし、すべての経費が助成対象となるわけではなく、事業内容との関連性や必要性などについて審査が行われます。

助成を希望する際には、どのような経費がどの程度認められるのか、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

本コースの助成率は対象経費の2/3以内と定められており、上限は800万円です。

項目内容
助成率助成対象経費の2/3以内
※賃金引上げ計画を策定し、実施した場合、中小企業者は3/4以内、小規模企業者は4/5以内
助成限度額800万円(千円未満切り捨て)
一般コースの助成率と助成限度額

例えば、600万円の対象経費が発生した場合、助成額は最大で400万円(600万円×2/3)となります。

一方で、対象経費1,800万円の場合、2/3の金額は1,200万円ですが、助成限度額が800万円なので、800万円のみしか受け取れません。

つまり、事業計画が大きくなっても、受け取れる助成金には上限があるため、事業計画の規模に応じた資金調達計画を立てることが重要になります。

なお、賃上げ引上げ計画を策定して実施した場合、助成率が中小企業者は3/4以内、小規模企業者は4/5以内にそれぞれ引き上げられます。詳しい条件については後述します。

本コースでは、賃金引上げ計画を策定・実施することで、通常の助成率2/3から優遇された助成率が適用される制度を設けています。この計画は任意ですが、経営基盤強化と従業員の待遇改善を同時に実現できる魅力的な選択肢です。

賃金引上げ計画を申請するには、次の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 賃金引上げ計画期間(助成事業完了月の翌月から12ヶ月間)において、従業員への給与支給総額を基準給与支給総額(基準日が属する月の前月から遡る12ヶ月間の給与支給総額)の1.02倍以上に増加させること
  2. 助成事業実施場所内の最低賃金を「地域別最低賃金+30円以上」の水準にすること

適用される助成率は企業規模によって異なり、中小企業者は3/4以内、小規模企業者は4/5以内となります。

助成金の交付は2回に分けて行われ、1回目は通常の助成率(2/3以内)で計算された金額、2回目は賃金引上げ計画達成後に優遇助成率と通常助成率の差額が支給されます。例えば、助成対象経費が600万円の中小企業者の場合、600万円×3/4=450万円のうち、1回目に400万円(2/3)、計画達成後に50万円(差額分)が支給されます。

賃金引上げ計画の実施は、より多くの助成金を受けられる以外にも、企業の持続的成長と従業員のモチベーション向上に寄与するメリットもあります。検討する際は、自社の経営状況を踏まえた実現可能な計画を立てることが重要です。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース)

小規模事業者アシストコースは、小規模事業者のみが申し込めるコースです。基本的には一般コースと同様、既存事業の質を高める「深化」や、既存事業を基に新たな展開を図る「発展」に取り組む企業に対し、必要な経費の一部を助成します。

項目内容
対象者小規模事業者
助成対象経費機械装置・工具器具費、設備等導入費、システム等導入費
助成対象期間未定
助成率助成対象経費の2/3以内
※賃金引上げ計画を策定し、実施した場合4/5以内
助成限度額200万円
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース)の概要

なお、一般コースと小規模事業者向けアシストコースの併用はできません。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の流れ

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業は、以下のようなプロセスで進みます。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請は、電子申請システム「jGrants」を通じて行います。「jGrants」を利用するために、GビズIDのWebサイトで「GビズID(プライムアカウント)」を事前に取得します。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請には、複数の書類提出が必要です。

全事業者共通の必須書類

初回申請時に提出が必要な基本書類です。

提出書類留意事項入手先
申請様式必要事項を漏れなく記入すること公社HP
誓約書・反社会的勢力排除に関する誓約書
・助成金申請に関する誓約書
※両方とも提出必須
公社HP

書類審査通過後に提出する書類

【法人の場合】

提出書類留意事項入手先
履歴事項全部証明書発行後3ヶ月以内のもの法務局
法人事業税納税証明書直近のもの都税事務所
法人都民税納税証明書直近のもの都税事務所
決算書(損益計算書)申請様式に記入した売上高と対応する決算期の書類各自

【個人事業主の場合】

提出書類留意事項入手先
開業届各自
個人事業税納税証明書直近のもの都税事務所
所得税納税証明書(その1)直近のもの
※非課税の方は所管税務署で証明
所管税務署
住民税納税証明書直近のもの市区町村役所
確定申告書・第一表、収支内訳書または青色申告決算書
・申請様式に記入した売上高と対応する決算期の書類
・マイナンバーが記載されている場合は墨消し必須
各自

申請内容に応じて提出する書類(書類審査通過者のみ)

申請する経費内容によって必要となる書類です。これらは書類審査を通過した場合のみ必要となります。

提出書類留意事項入手先
見積書・カタログ等・税抜30万円以上の申請経費について提出
・「一式」表記は避け、内訳(規格・メーカー・型番・単価・数量等)を明記
各自
見積書(相見積)・税抜100万円以上の申請経費は2社以上の見積書を提出各自
見積限定理由書税抜100万円以上で相見積ができない場合に提出申請様式に内包
図面(設計図、平面図等)・設備・機器等の購入がある場合は設置場所がわかるもの
・住居兼事務所の場合は居住空間と事業空間の物理的区分が確認できるもの
各自

特定の経費区分に応じた追加書類も必要です。例えば、産業財産権出願・導入費を申請する場合は特許証や特許公報等、販売促進費を申請する場合は展示会出展要項やECサイト出店登録要項などが必要となります。

また、賃金引上げ計画を申請する場合は、計画書と賃金台帳の写しも提出が必要です。

書類準備の際は、最新の募集要項を確認し、不明点は事前に事務局へ問い合わせることをおすすめします。提出書類の不備は審査に影響するため、余裕をもった準備が重要です。

jGrantsを利用して電子申請をすると書類審査が行われ、書類審査を通過すると専門家による面接審査が行われます。書類審査および面接審査では、以下の5つの項目を中心に申請書類の内容が見られます。

  • 発展性:既存事業の深化・発展に資する取り組みであるか
  • 市場性:ポストコロナなどにおける事業環境の変化前後の市場分析は十分にされているか
  • 実現性:取り組むための体制は整っているか
  • 優秀性:事業者としての創意工夫や今後の展望はあるか
  • 自己分析力:自社の状況を適切に理解しているか

交付決定とは、審査を経て助成事業者として認められた際に受け取る正式な通知です。書類・面接審査を通過すると、公社から「交付決定通知書」がメールで送付されます。

交付決定は助成金支給の確約ではなく、あくまで上限額を示すものではありません。交付決定額は申請額から減額されることもあり、最終的な助成金額は事業完了後の検査で確定します。つまり、交付決定を受けただけでは助成金は支給されず、事業者が自己資金で事業を実施し、公社による完了検査で適切な実施が確認された範囲内でのみ交付されます。

交付決定を受けた事業者には、経営アドバイザー派遣というサポートも提供されます。これには、事業者が希望する日に実施される任意のアドバイスと、完了検査時に行われる必須のアドバイスがあります。

なお、交付決定を受けた事業者の名称や代表者名は公表される可能性があり、申請時点でこれに同意したものとみなされます。また、不正行為などが発覚した場合は交付決定が取り消されることもあるため、ルールに則った適正な事業実施が求められます。

助成事業の実施においては、交付決定日から1年間が助成対象期間となります。この期間内に契約・実施・支払いを完了した経費のみが助成対象となるため、期間管理が非常に重要です。

経費の支払い方法としては、振込払いが原則とされています。その他の方法については、振込払いが困難な場合のみ対象です。

支払方法注意事項
振込払い(原則)助成事業者名義の金融機関口座からの振込
クレジットカード・法人の場合は法人カード、個人の場合は代表者カードのみ
・助成対象期間内に購入かつ口座引落が完了していること
現金・税抜10万円以下の契約に限定
・単価・数量等が明確に区分できる明細が必要
手形・小切手・自社発行のみ(他者発行は対象外)
・助成対象期間内に振出し・決済が完了していること
経費の支払い方法

なお、事業実施期間中に事業者情報を変更した場合は、公社への届け出が必要です。

また事業を中止する場合は、公社の承認が求められます。

事業内容の変更は原則認められていません。それでも変更せざるを得ない場合は、変更の申請を公社に行い、承認を得る必要があります。

本事業の助成金を確実に受け取るためには、実績報告の適切な提出が不可欠です。助成事業完了後、原則1ヶ月以内に「実績報告書(公社指定様式)」と必要書類(経理関係書類と履行確認書類)を全て提出する必要があります。期限内の提出がなければ助成金が交付されないため注意しましょう。

実績報告に必要な経理関係書類

全ての経費区分に共通して必要となる経理関係書類の主なものは、以下の通りです。

主な書類の種類必要な内容・条件
契約書または発注書と請書・契約内容の詳細(仕様・単価・数量・支払方法)
・双方の押印または署名と連絡先
納品書等・物品:納品日、納品物件、型番、数量などがわかるもの
・委託・工事等:完了届、報告書など
請求書・宛先、請求日、内容、単価、数量、金額、支払方法がわかるもの
・請求者の押印または署名と連絡先があるもの
振込控・金融機関窓口:取扱日付、領収印のある振込票
・ATM:振込時の伝票
・ネットバンキング:振込完了画面または履歴のプリント
クレジットカード利用明細・利用月の支払明細書
・名義、引落総額とその内訳が記載されているもの
領収書(現金払いの場合)・宛先、金額、消費税額、日付、発行者名、印、所在地、内容などが明記されているもの
※一契約あたり税抜10万円以下の場合のみ
通帳または当座勘定照合表以下の場合は提出が必要・クレジットカード利用時
・総合振込で内訳が不明な場合
・振込控と請求書の内容が一致しない場合

経費区分別の履行確認書類

経費区分によって必要な履行確認書類は異なります。以下に主な経費区分の必要書類を示します。

経費区分主な必要書類
原材料・副資材費・購入品のカタログ
・写真等(保管困難なものの代用)
・使用履歴が分かる受払簿
機械装置・工具器具費・購入品のカタログ
・設置前後の写真
・高額品(税抜50万円以上)はステッカー貼付写真
委託・外注費・委託契約書の写し
・仕様書、図面等
・完了・成果を示す文書(報告書等)
システム等導入費・導入時・導入後の画面写真
・実施場所との関連が分かる写真
・高額品はステッカー貼付写真
販売促進費関連・Web制作:完成ページのハードコピー
・広告:掲載媒体現物
・展示会:出展要項、当日写真

その他、産業財産権出願・導入費、規格等認証・登録費、専門家指導費、不動産賃借料などの経費区分についても、それぞれ専用の履行確認書類が必要です。

書類不備は助成金の不交付につながるため、要件を事前に確認し、必要書類を計画的に収集・整理しておくことが重要となります。

実績報告書と関係書類を提出すると、公社の職員などによって助成事業が適正に実施されたかを確認し、助成金交付額を査定する完了検査が行われます。

完了検査では、まず書類審査で実績報告内容が確認されます。続いて実施場所への訪問調査により、購入物や工事の現地確認と経理関係書類の原本照合が実施されます。

購入物や経理関係書類が確認できない場合、該当経費は助成対象外となる可能性があります。

公社職員などによる完了検査が終了すると、公社内で審査が行われます。審査の結果、助成金の交付額が確定すると、公社から「助成金確定通知書」が送付されます。

確定通知書を受領したら、「助成金請求書」(公社指定様式)を提出します。公社による請求書確認後、助成事業者に助成金が振り込まれます。振込先は必ず助成事業者名義の口座でなければなりません。

賃金引上げ計画を策定した事業者は、計画期間終了後、原則15日以内に報告書と関係書類を提出する必要があります。ただし、計画実施中でも給与支給総額が目標額に達した場合は、その時点で計画期間を終了させ報告書を提出可能です。

報告書提出後、公社による現地調査を経て計画達成が認められれば、通常助成率と優遇助成率の差額分の助成金額が確定します。これは、すでに交付された2/3助成率分に加えて支給される追加分です。

なお、計画達成が認められなくても特別な理由がある場合は差額が交付される可能性があります。例えば、天災などの不可抗力、給与総額での評価が適切でない特殊事情(従業員一人当たりの賃金は増加している場合)、その他公社が適当と判断した場合です。

賃金引上げ計画に関する助成金は、2回に分けて交付されます。

まず1回目の交付では、通常の助成率である2/3以内で計算された金額が支給されます。これは助成事業完了後の実績報告と完了検査を経て行われます。

その後、事業者は賃金引上げ計画期間(助成事業完了月の翌月から12ヶ月間)において計画を実施し、期間終了後に実績報告書を提出します。公社による確認の結果、計画達成が認められると、2回目の交付が行われます。

助成金を受け取った後も、事業者には継続的な義務があります。以下の点に注意して適切に対応しましょう。

項目内容期間
関係書類の保存助成事業に関するすべての書類を保存する義務事業完了日の属する公社会計年度終了後5年間
取得財産の管理・助成事業によって取得または効用の増加した財産は、法定耐用年数を経過するまで既存することなく保存
・固定資産としての適正な会計処理
・税抜50万円以上の財産はステッカー管理
法定耐用年数期間中
財産の処分制限・処分前に公社の承認が必要
・無断処分は交付決定取消や返還命令の対象
・処分後は完了報告書の提出義務
・処分による収入は全部または一部を納付
法定耐用年数期間中
立入調査への対応公社職員による実施状況、収支、帳簿書類、取得財産等の調査に応じる義務助成対象期間中および終了後約5年間
事業者に求められる主な義務

特に財産処分については厳格なルールがあり、目的外使用、売却、譲渡、交換、貸付、担保提供、廃棄などを行う場合は事前承認が必須です。これらの義務を怠ると助成金の返還などの厳しい措置を受ける可能性があるため、十分に注意しましょう。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の募集スケジュール

令和7年度の事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の募集スケジュールは、以下のとおりです。

募集回申請受付期間
第1回令和7年5月2日~5月14日
第2回(予定)令和7年7月1日~7月14日
第3回(予定)令和7年9月1日~9月12日
第4回(予定)令和7年11月4日~11月14日
第5回(予定)令和8年1月5日~1月14日
第6回(予定)令和8年3月2日~3月13日
令和7年度の事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)の募集スケジュール

なお、小規模事業者向けアシストコースは別途募集が行われ、以下のスケジュールが予定されています。

募集回申請受付期間
第1回令和7年6月2日~6月13日
第2回(予定)令和7年8月1日~8月14日
第3回(予定)令和7年10月1日~10月14日
第4回(予定)令和7年12月1日~12月12日
第5回(予定)令和8年2月2日~2月13日
令和7年度の事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(小規模事業者向けアシストコース)の募集スケジュール

また、1事業者につき1度のみ交付決定を受けられ、不採択の場合は次回以降の募集で再度申請が可能です。ただし、小規模事業者向けアシストコースとの重複申請は受け付けられませんのでご注意ください。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の採択率を上げるポイント

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業に申請するのであれば、採択の可能性を最大限に高めたいものです。

ここでは採択率を上げるためのポイントを、事業計画書作成のコツ、書類不備の対策、面接対策、専門家活用の4つの観点から詳しく解説していきます。

事業計画書は、事業計画が事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の趣旨に合致しているか、実現可能性が高いか、そして経営基盤の強化につながるのかを審査員に理解してもらうための重要な書類です。

採択率を高めるためには、以下のポイントを押さえながら作成しましょう。

項目説明
1.事業の背景と目的なぜこの事業に取り組むのか、その背景や目的を明確に記述する。市場の現状やニーズ、競合との差別化などを分析し、事業の必要性を具体的に示すことが重要
2.事業内容具体的な事業内容をわかりやすく説明。どのような商品・サービスを提供するのか、ターゲットは誰か、どのような方法で販売・展開するのかを明確にする。図表などを活用すると、よりわかりやすい
3.目標と評価指標事業を通じて達成したい目標を具体的かつ定量的に設定。売上目標だけでなく、新規顧客獲得数、市場シェア、顧客満足度など、事業の成功を測る指標を明確にする
4.実施体制事業を推進する体制について説明します。誰がどのような役割を担うのか、社内外の協力体制はどうなっているのかを明記。特に、専門性の高い分野については、外部の専門家との連携体制をアピールすることで、事業の実行可能性を高められる
5.資金計画事業に必要な資金と調達方法、資金の使い道を明確に示す。「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」の助成金をどのように活用するのか、具体的な計画を立てることがポイント
6.予想される効果事業の実施によって、自社の経営基盤がどのように強化されるのか、具体的な効果を記述しておく。売上増加、利益率向上、新規市場開拓、雇用創出など、定量的なデータに基づいた予測を示すことが重要
事業計画書を作成するときのポイント

これらのポイントを踏まえ、審査員があなたの事業計画を理解し、共感し、その成長性を確信できるような説得力のある事業計画書を作成しましょう。

申請書類には、事業計画書以外にも、誓約書や申請要件確認チャートなど、さまざまな書類があります。これらの書類に不備があると、審査に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。例えば、誓約書では記入漏れや押印漏れといった不備がしばしば見受けられるようです。提出前に必ず確認し、漏れなく記入・押印をしておきましょう。

さらに、その他の添付書類においても、形式が指定と異なる、または期限切れの書類を提出してしまうといったケースがあります。募集要項で指定された形式・期限の書類を提出するように心がけましょう。最新の情報を確認し、必要があれば更新することが大切です。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の採択を勝ち取るためには、書類審査を通過した後に行われる面接審査の対策も重要です。面接では、提出した事業計画書の内容をより具体的に説明するだけでなく、審査員からの質問に的確に答える能力も求められます。

面接審査を突破するために、以下のポイントを踏まえ、しっかりと準備しておきましょう。

項目内容
事業計画への深い理解事業計画書の内容を改めて精査し、事業の目的や目標、具体的な内容、予想される効果などを深く理解しておく
想定される質問への回答準備審査員からのさまざまな角度から質問にスムーズに答えられるように、質問を想定し、回答を事前に準備しておく
熱意と明確なビジョン事業にかける熱意や、将来に対する明確なビジョンを審査員に伝えるようにする
質問には正直かつ具体的に回答わからないことや曖昧な点は、正直に伝え、審査員の説明に耳を傾ける。回答は具体的であるように心がけ、根拠やデータを示すと◎
落ち着いて丁寧な受け答えを心がける面接官の目を見て、ハキハキと話すことも大切
面接審査に挑むときのポイント

面接審査は、審査員と直接対話できる貴重な機会です。積極的にコミュニケーションを取り、事業内容への理解を深めてもらい、採択へとつなげましょう。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請は、複雑な手続きや書類作成が求められます。そのため、専門家のサポートを受けることは、採択率を上げるための有効な手段です。

例えば、以下のような専門家が考えられます。

専門家サポート内容
補助金申請に精通したコンサルタントや中小企業診断士事業計画のブラッシュアップ、事業の課題や改善策の提案、事業計画に基づいた実行支援など
税理士助成対象経費の判断、事業計画の財務面の精査、確定申告サポートなど
行政書士助成金申請書類の作成代行、提出書類のチェックなど
助成金申請の主な専門家

これらの専門家は、豊富な知識と経験に基づいて、事業者にとって最適なアドバイスやサポートを提供してくれます。

特に、補助金申請に精通したコンサルタントや中小企業診断士は、採択率を左右する事業計画のブラッシュアップに強みを持っています。これから初めて申請する場合や、なかなか採択されずに悩んでいる場合は、ぜひ積極的に検討することをおすすめします。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業に関してよくある質問

事業の深化・発展につながる場合に限り、従業員への教育研修費用は助成対象となります。ただし、すべての教育研修費用が対象となるわけではありません。

助成対象となるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 教育研修の目的が、既存事業の深化・発展や新規事業開拓につながること
  • 教育研修の内容が、専門性の高い技術・知識の習得など、事業の深化・発展に直接的につながる内容であること
  • 教育研修の実施方法が、外部研修や社内研修など、適切な方法で実施されていること
  • 教育研修の費用が、妥当な金額であること

例えば、新製品開発のための技術研修や、海外進出のための語学研修などは、助成対象として認められる可能性があります。

個別のケースについては、東京都中小企業振興公社に相談することをおすすめします。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請は、電子申請のみです。郵送やFAXでの提出は受け付けていません。

申請には、国が提供する電子申請システム「jGrants」を利用します。jGrantsの利用には、「GビズIDプライム」アカウントが必要です。アカウント発行には1週間程度かかる場合があるので、余裕を持って手続きを行いましょう。

個人事業主も事業環境変化に対応した経営基盤強化事業に申請可能です。

この事業の対象者は「中小企業者」となっていますが、中小企業基本法では、個人事業主も従業員数に応じて「中小企業者」に該当すると定義されています。

つまり、従業員数が一定数以下の個人事業主であれば、本事業の対象となります。ただし、その他の要件も満たしている必要がありますので、申請前に募集要項などで詳細を確認しましょう。

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請をお考えでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

事業環境変化に対応した経営基盤強化事業は、東京都の中小企業が変化をチャンスに変え、持続的な成長を遂げるための大きな支えとなるでしょう。

申請を検討されている人は、募集要項をよく確認し、事業計画をしっかりと策定した上で、申請に臨みましょう。採択の可能性を高めるためには、専門家のサポートを受けることも有効です。

新たな事業環境に即応し、力強く成長を遂げるために、本事業の活用をぜひご検討ください。

中小企業経営支援事務所は、事業環境変化に対応した経営基盤強化事業に熟知している経営コンサルタントです。事業計画書作成のアドバイスをはじめ、申請に際してのお困りごとに丁寧に寄り添い、採択の可能性を高めるためのサポートをしています。これから申請を考えている方や採択されずに悩んでいる方は、ぜひお気軽に当社にご相談ください。初回相談は無料す。

また、以下の動画でも解説をしていますので、合わせてご覧をいただければ幸いです。

株式会社中小企業経営支援事務所

私たちは、経営者の皆様が抱える課題を根本から考え、あらゆる角度から、最善の解決方法をコンサルティングしています。事業拡大のための補助金活用支援や経営改善支援、事業承継支援(M&A・親族内承継)まで、経験豊富な中小企業診断士がしっかり伴走していきます。

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