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最終更新日 

投稿日 2023.10.18

事業継続力強化計画とは?BCPとの違いや認定を受けるメリット、記入例を解説

事業継続力強化計画とは、災害発生時でも事業を継続できるよう、防災や減災に取り組む中小企業の計画です。経済産業大臣からの認定を受けると、ものづくり補助金などの補助金の審査で加点されたり、税制優遇を受けられたりなど、さまざまなメリットがあります。

この記事では事業継続力強化計画認定制度の概要や策定するメリット、制度活用の流れ、認定を受けるための計画の策定方法を、経営コンサルタントの中小企業経営支援事務所が詳しく解説します。

事業継続力強化計画を策定し、経済産業省が実施する補助金(省力化投資補助金や成長加速化補助金など)の採択率を高めたいとお考えの経営者様は、ぜひご一読ください。

当社・中小企業経営支援事務所は、認定経営革新等支援機関として数多くの企業様の補助金支援を行うプロフェッショナル集団です。事業継続力強化計画の認定を受けるためのポイントだけでなく、補助金採択を勝ち取るためのコツも熟知しています。直近1年間で支援した企業様の平均採択率は95.2%です。

初回相談は無料ですので、補助金の申請をお考えの中小企業の経営者様はぜひお気軽にお問い合わせください。

目次

事業継続力強化計画とは

事業継続力強化計画とは、中小企業等が防災・減災に取り組み、事業活動の継続に向けて策定した計画のことです。ジギョケイと略されることもあります。

事業継続力強化計画は国において認定制度が設けられており、一定の要件をクリアすると経済産業大臣から認定を受けられます。認定されると補助金の加点措置や金融支援、税制優遇などが受けられるメリットがあります。

出典:事業継続力強化計画認定制度の概要 p.1|中小企業庁

なお、事業継続力強化計画には1社で策定する「単独型」と複数の企業が連携する「連携型」の2つのタイプがあります。

事業継続力強化計画とBCP(事業継続計画)との違い

企業が防災・減災に取り組み、事業を継続できるよう定める計画には、BCP(事業継続計画)があるのを知っている人も多いかもしれません。

BCPとは、自然災害、大火災、テロ攻撃、パンデミック、サイバー攻撃などの緊急事態が発生した際に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続や早期復旧を実現するために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続の方法を取り決めておく計画のことです。

事業継続力強化計画と同じく「事業を継続する」という目的を持ちますが、両者には以下のような違いがあります。

項目事業継続力強化計画BCP(事業継続計画)
内容の範囲あり(経済産業大臣認定)。認定により補助金加点・税制優遇などのメリットありなし。策定による公的なメリットはない
事業継続へのアプローチ災害発生時の初動対応、事前の防災・減災対策を具体的に記す中核事業の継続・早期復旧に向けて必要事項を取りまとめる
策定の手間A4用紙5枚程度で完了。「BCPの入門版」とも呼ばれる想定項目が多く、詳細な検討が必要。策定に時間と労力がかかる
事業継続力強化計画とBCPの違い

事業継続力強化計画とBCPは、いわば入門と応用という関係性にあります。

認定制度の有無

事業継続力強化計画は中小企業強靱化法に基づき、申請して要件を満たせば経済産業大臣から認定を受けることができます。認定を受ければ補助金の加点措置や税制優遇などのメリットも得られます。

一方、BCPには公的な認定制度がなく、策定による公的なメリットはありません。

事業継続へのアプローチの仕方の違い

事業継続力強化計画とBCPは、ともに事業継続を目的に策定されるものですが、それに向けてのアプローチの仕方が異なります。

事業継続力強化計画は、災害発生時の初動対応や事前の防災・減災対策を具体的に記すという特徴があります。例えば、従業員の避難方法、従業員の安否確認方法、設備の緊急停止方法、顧客への対応方法などを記載します。

一方、BCPは中核事業の継続・早期復旧に向けて必要事項を取りまとめます。具体的には、優先して復旧すべき中核事業の特定、目標復旧時間の設定、代替拠点や代替生産先の確保、バックアップデータの復旧手順などが詳細に記載されます。

想定項目の数の違い

事業継続力強化計画は、BCPに比べて想定する項目が少なく、A4用紙5枚程度の書式で完了します。

一方、BCPの場合は事業継続力強化計画の項目も含めた詳細な内容となります。このため、事業継続力強化計画は「BCPの入門版」と呼ばれることもあります。

中小企業においてはどちらの計画も策定することが望ましく、まず事業継続力強化計画から策定し、その後BCPも策定することが推奨されています。

事業継続力強化計画認定制度が設けられた背景

事業継続力強化計画認定制度は2019年7月に施行された「中小企業強靱化法」によって設けられた制度ですが、その背景には地理的な部分と昨今の外部環境の変化が挙げられます。

日本は世界でも有数の地震多発地帯であり、近年の異常気象により想定外の豪雨や台風も増加傾向にあります。ひとたび災害が起きれば、地震で社屋が倒壊し社員がケガを負う、倉庫が浸水し在庫に影響が出るなど、事業へのダメージは計り知れません。実際、2011年3月の東日本大震災、2016年4月の熊本地震、2018年7月の西日本豪雨などにおいて多くの工場が操業停止となり、多大な被害額が発生しています(参照:昨今のビジネスをめぐるリスク ~事業継続力強化が大事なわけ~|中小企業基盤整備機構

また、昨今は自然災害以外にも感染症やサイバー攻撃のリスクも顕在化しています。新型コロナウイルスのように市民の外出自粛による売上減少は今後起きないとも限りません。ランサムウェアなどによるサイバー攻撃も、今や誰がいつどこで受けるかわからない状況です。

他方、多くの中小企業・小規模事業者にとって、自然災害を始めとするリスクへの対策には、特に資金面の課題が伴います。必要性は理解していても、対策に踏み切れないケースが少なくありません。事業継続力強化計画認定制度はこうした企業を支援する意図で創設された制度であり、そのため補助金の加点措置や税制優遇などの資金面のメリットが充実しているのです(参照:計画策定・申請のメリット ~うれしい経済的メリットの話|中小企業基盤整備機構)。

事業継続力強化計画認定制度の認定企業一覧と認定件数

事業継続力強化計画の認定企業の一覧は、中小企業庁のWebサイトで確認できます。

認定件数は、令和7年12月末日時点で累計92,523件(うち連携型1,742件)に上ります。各年度の推移は、以下のとおりです。

年度認定件数
令和元年度(8~3月)5,919(25)
令和2年度19,707(120)
令和3年度14,840(287)
令和4年度12,646(301)
令和5年度14,247(344)
令和6年度10,475(388)
令和7年度(4~12月)14,689(277)
制度開始から令和7年12月末日時点での各年度の認定件数一覧 カッコ内の数字は認定件数のうち連携事業継続力強化計画の認定件数
参照:地域別認定件数一覧(令和7年12月末日時点)|中小企業庁

令和2年度からは毎年10,000以上の認定件数があります。中小企業者の多くが、認定のメリットを感じているといえるでしょう。

事業継続力強化計画の事例

事業継続力強化計画の認定を受けた企業の取り組みは、中小企業基盤整備機構のWebサイトで事例集として公開されています。ここでは、代表的な2つの事例を紹介します。

単独型の事例:製造業(山形県)

山形県北部に本社を置く精密機器製造業のアイ・エム・マムロ株式会社では、社長自身の幼少期の水害被災体験を原点に、令和2年に事業継続力強化計画の認定を取得しました。

同社は水害と雪害を主なリスクとして想定し、従業員の安否確認体制の整備や、停電対策として非常用自家発電機を導入。さらに製造データのクラウド移管、安否確認システムの導入、通信型ドライブレコーダーの装着など、認定後も継続的にBCP対策を強化しています(参照:“作って終わり”のジギョケイではなく、想定されるリスクに対応するBCP対策を継続|中小企業基盤整備機構)。

連携型の事例:協同組合(石川県)

石川県のテントシート事業者による工業組合は、南海トラフ地震を想定し、東海北陸ブロック7県の同業組合と連携型事業継続力強化計画を策定しました。この連携体制が令和6年1月の能登半島地震で効果を発揮し、被災した組合員企業への代替生産支援の内諾をLINEグループで迅速に取り付けることができました。

また、事前に締結していた商工中金とのコミットメントライン契約により、行政からの資材調達要請にも資金面の不安なく対応できました(参照:県をまたぐ広域の連携で、自分たちの町を守り、事業継続を図る|中小企業基盤整備機構)。

事業継続力強化計画認定によって得られる5つのメリット

事業継続力強化計画の認定を受けると、補助金の優先採択や加点措置につながる、特定の金融支援が受けられるなどのメリットがあります。

メリット①補助金の加点措置や優先採択が受けられる

事業継続力強化計画の認定を受けた事業者は、以下の補助金で加点措置を受けられます。

また、中小企業成長加速化補助金は、事業継続力強化計画の認定取得などBCPを策定しているかが審査項目のひとつとなっています。

これらの補助金で採択を勝ち取りたいときは、審査でプラスに働く事業継続力強化計画の策定をぜひ検討してみてください。

当社・中小企業経営支援事務所は、補助金の申請支援を行う認定経営革新等支援機関です。各補助金の採択を勝ち取るためのアドバイスを行っておりますので、補助金申請に少しでも不安がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料です。

メリット②金融支援が受けられる

事業継続力強化計画の策定により、以下のような金融支援が受けられる可能性があります。

  • 日本政策金融公庫による低利融資
    設備資金について基準利率から0.9%引下げ、最大7億2,000万円まで融資可能
  • 信用保証枠の拡大
    普通保険2億円、無担保保険8,000万円など、通常枠とは別枠での追加保証
  • 中小企業投資育成株式会社からの投資
    資本金3億円超の企業も投資対象に
  • 日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
    海外展開時の現地通貨建て融資に対する債務保証(最大4億5,000万円)

これらの金融支援の対象となるのは、事業継続力強化計画に記載された取り組みのみですが、次の税制措置のように導入設備に関する細かな定めはありません。

金融支援の活用を検討している場合は、事業継続力強化計画の申請を行う前に、希望する支援策の関係機関に相談してみましょう。

メリット③税制優遇が受けられる

令和元(2019)年7月16日から令和9(2027)年3月31日までの間に、事業継続力強化計画の認定を受けた事業者は、計画に記載した防災・減災設備について特別償却16%が適用できます(中小企業防災・減災投資促進税制)。

認定を受けた日から1年を経過する日までに、計画に記載した設備を取得し事業の用に供することが必要です。

中小企業防災・減災投資促進税制の対象となる設備は、以下のとおりです。

減価償却資産の種類 (取得価額要件)対象となる物の用途または細目
機械および装置 (100万円以上)自家発電設備、浄水装置、揚水ポンプ、排水ポンプ、耐震・制震・免震装置
器具および備品 (30万円以上)自然災害:全ての設備 感染症:サーモグラフィ装置
建物附属設備 (60万円以上)自家発電設備、キュービクル式高圧受電設備、変圧器、配電設備、電力供給自動制御システム、照明設備、無停電電源装置、貯水タンク、浄水装置、排水ポンプ、揚水ポンプ、格納式避難設備、止水板、耐震・制震・免震装置、架台(対象設備をかさ上げするために取得等をするものに限る。)、防水シャッター
中小企業防災・減災投資促進税制の対象となる設備

特別償却は減価償却費とは別で経費を計上できるため、当面の税負担を軽減できます。

メリット④損害保険料の割引が受けられる

事業継続力強化計画の認定を受けた事業者のリスク実態に応じて、保険料の割引を行っている損害保険会社があります。詳しくは、「事業継続力強化計画認定制度の概要」をご確認ください。

メリット⑤ロゴマークの使用で防災対策をアピールできる

事業継続力強化計画の認定を受けると、ロゴマークを名刺やホームページ、会社案内に掲載でき、防災・減災に取り組んでいることをアピールできます。

ロゴマークのデザインは、中小企業庁の事業継続力強化計画ページで確認することが可能です。

事業継続力強化計画の策定から認定、実行までの大まかな流れ

事業継続力強化計画の策定から認定、実行までには、一定の決まった流れがあります。この流れをおさえておくと、実際の手続きもスムーズになるでしょう。

申請に向けた事前確認・準備

金融支援や税制措置の活用を検討している場合は、日本政策金融公庫や信用保証協会などの関係機関に事前相談することが重要です。各支援策には個別の審査があるため、対象要件や必要な手続きを確認しておきましょう。

計画の作成

まず「単独型」(自社のみ)か「連携型」(複数事業者)かを選択します。中小企業庁が提供する「策定の手引き」を参照しながら、最長3年間の計画を作成します。計画には、災害リスクの把握、初動対応、事業継続のための対策などを記載します。計画の具体的な策定方法については、次章で紹介しています。

計画の申請・認定

事業継続力強化計画電子申請システム」から申請を行います。単独型はシステム内で直接入力、連携型は電子申請用様式を添付します(具体的な手続きの仕方や必要書類については詳細後述)。

なお、申請先は各都道府県によって異なります。

申請先住所電話番号担当都道府県
北海道経済産業局中小企業課〒060-0808北海道札幌市北区北8条西2-1-1札幌第1合同庁舎011-709-3140北海道
東北経済産業局中小企業課〒980-8403宮城県仙台市青葉区本町3-3-1仙台合同庁舎(B棟)022-221-4922青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
関東経済産業局中小企業課〒330-9715埼玉県さいたま市中央区新都心1-1さいたま新都心合同庁舎1号館048-600-0394茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡
中部経済産業局経営支援課〒460-8510愛知県名古屋市中区三の丸2-5-2052-951-0521愛知、岐阜、三重、富山、石川
近畿経済産業局経営力向上室〒540-8535大阪府大阪市中央区大手前1-5-4406-6966-6119福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
中国経済産業局中小企業課〒730-8531広島県広島市中区上八丁堀6-30広島合同庁舎2号館082-224-5653鳥取、島根、岡山、広島、山口
四国経済産業局産業振興課〒760-8512香川県高松市サンポート3-33高松サンポート合同庁舎087-811-8566徳島、香川、愛媛、高知
九州経済産業局復興・事業継続推進室〒812-8546福岡県福岡市博多区博多駅東2-11-1092-482-5561福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島
沖縄総合事務中小企業課〒900-0006沖縄県那覇市おもろまち2-1-1098-866-1755沖縄
引用:事業継続力強化計認定制度の概要 p.2|中小企業庁

申請すると審査が始まり(審査期間は標準45日)、認定されると認定通知書が交付されます。また、中小企業庁のWebサイトに事業者名等が公表されます。

計画の開始、取り組みの実行

認定後は計画に記載した防災・減災対策を着実に実行します。年1回以上の訓練実施や計画の見直しを行い、PDCAサイクルを回すことで事業継続力を高めていきます。

取組状況の見直し、2回目申請の検討

計画期間中は変更申請が可能で、期間終了後も継続する場合は2回目の申請を検討します。実施状況報告書の提出が必要となります。

事業継続力強化計画の策定手順と記入例

事業継続力強化計画を策定するときは、策定の手引き」に記載されている5つの検討を通じて行うことが推奨されています。

こちらの検討を通じて策定すれば、申請時のシステム入力(連携型は電子申請用様式を作成)が簡単です。

STEP①事業継続力強化計画の目的

まずは事業継続力を強化する目的を明確にしましょう。

ひとたび災害が起こり自社の事業がストップしてしまえば、従業員やその家族、顧客・取引先、地域の人々に大きな影響が及びます。そのため、事業継続力強化計画の目的を記載する際は、経済社会に与える影響を軽減する観点が重要です。

以下は一般型の申請時に、システム入力するときの記入例となります。

事業継続力強化に取り組む目的
下記3点を目的に、事業継続力強化に取り組む。
1.自然災害発生時において、人命を最優先として、従業員と従業員の家族の安全と生活を守る。
2.地域社会の安全に貢献する。
3.製品(サービス)供給(提供)の継続、又は早期の再開により、お客様への影響を極力少なくする。
引用:事業継続力強化計画 策定の手引き p.5

自然対策以外に感染症対策を含む場合や、サイバー対策に限る場合は適宜文言を変更してください。

STEP②災害等のリスクの確認・影響想定

自治体や国土交通省が出しているハザードマップなどを活用して、事務所や工場が立地している地域の災害リスク(地震や水害、土砂崩れ)を把握し、自社にどのような被害が考えられるかを想定します。

感染症やサイバー攻撃といった自然災害以外のリスクに対しても、同様に被害想定が必要です。中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインの情報セキュリティ自社診断・リスク分析シートなどを活用しましょう。

ハザードマップや中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインについては、以下から入手することが可能です。

また、この被害想定を基に、ヒト(人員)、モノ(建物・設備・インフラ)、カネ(リスクファイナンス)、情報の4つの切り口から自社に及ぶ影響を考えます。リスクファイナンスについては、リスクファイナンス判断シートを活用するとよいでしょう。

以下は一般型の記入例です。

事業活動に影響を与える自然災害等の想定
当社の事業拠点は○○県○○市にあり、以下の自然災害が予想される地域である。
・今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率が○○.○%(J-SHIS地図参照)。
当該地震による津波が20cm。
・水災時に20cm~50cmの浸水(○○市ハザードマップ参照)。
また、例年、年に数回、台風が通過していることから、風害や一時的な豪雨による被害も想定される。
引用:同上 p.6
自然災害等の発生が事業活動に与える影響
(想定する自然災害等)
想定する自然災害等のうち、事業活動に与える影響が最も大きいものは震度6弱以上の地震であり、その被害想定は下記の通り。
(人員に関する影響)
営業時間中に被災した場合、設備・備品の落下、避難中の転倒などにより、けが人が発生する。また、公共交通機関が停止すれば、従業員が帰宅困難者となるほか、夜間に発災した場合、翌営業日の従業員の出勤が困難となる。併せて、従業員の家族へも被害が生ずる。
事業活動に与える影響として、復旧作業の遅れ、事業再開時において、特定の従業員が専属で担当していた部分について業務再開が困難となること、生産量が減少することなどが想定される。
(建物・設備に関する影響)
事業所の建物は、新耐震基準を満たしているため、揺れによる建物自体への被害は軽微。一方、設備は停電による停止のほか揺れによる損傷、配管や配線類の断裂も想定される。津波が発生すれば、中間財や在庫にも被害が出るおそれ。
インフラについては、電気・水道は1週間程度、都市ガスは2週間程度、供給が停止するほか、公共交通機関は1週間ほど機能不全となるおそれ。
事業活動に与える影響として、生産ラインの全部又は一部の停止などが想定される。
(資金繰りに関する影響)
資金繰りについては、設備の稼働停止や営業停止によって営業収入が得られず、○○円程度運転資金がひっ迫するおそれ。建物・設備に被害が発生した場合は、○○円程度復旧費用が必要となる。
(情報に関する影響)
オフィス内にあるサーバー(顧客情報、財務情報、設計図面などを保管)が津波等により破損すれば、バックアップしているデータ以外は喪失するおそれ。
事業活動に与える影響として、重要情報の喪失によって、取引先への支払、売掛金の回収、取引先からの注文受託や納品機器のメンテナンス対応などが、困難となることが想定される。
(その他の影響)
取引先の被災や公共交通機関の影響により、1週間程度、原料である鋼材の調達が困難になれば、最終製品の出荷が不可能になるおそれ。
事業活動に与える影響として、取引先と約定通りの製品納入を行えないなどの事態が想定される。
引用:同上 p.7

この記入例はあくまで自然災害対策にフォーカスしたものですので、計画に感染症やサイバー攻撃の対策を含める場合は、内容にあった文言が必要です。

STEP③初動対応の内容・手順

災害発生直後の初動対応について確認し、以下の取り組みを検討します。

  • 人命の安全確保
  • 非常時の緊急時体制の構築
  • 被害状況の把握・被害状況の共有

特に人命の安全確保については、従業員の避難方法、安否確認の方法などを明確にしておきましょう。

以下は一般型の、自然災害の場合の記入例です。

項目初動対応の内容発災後の対応時期事前対策の内容
1.人命の安全確保従業員の避難方法発災直後・自社拠点内の安全エリアの設定
・社内の避難経路の周知・確認
・避難所までの経路確認
従業員の安否確認方法発災直後・安否確認システムの導入
・従業員の連絡網の整備
(携帯電話番号、メールアドレス、SNS等)
設備の緊急停止方法発災直後・緊急時の機器停止手順の周知・確認
顧客への対応方法発災直後・顧客の避難場所の周知、誘導体制の確立
2.非常時の緊急時
体制の構築
代表取締役を本部長とした、災害対策本部の立ち上げ発災後1時間以内・設置基準の策定
・災害対策本部の体制整備等
3.被害状況の把握・被害情報の共有・被災状況や、生産・出荷活動への影響の有無の確認
・当該情報の第一報を顧客及び取引先並びに地元の市当局、商工団体に報告
発災後12時間以内・被害情報の確認手順の整理
・被害情報及び復旧の見通しに関する関係者への報告方法、対外的な情報発信方法の策定等
※把握・共有それぞれの内容について記載してください。
4.その他の取組
引用:同上 p.11

STEP④ヒト・モノ・カネ・情報への事前対策・事後対応

STEP②で検討したヒト・モノ・カネ・情報への影響を踏まえ、事前にどのような対策を取るのか、発災後にどのような対応を行うのかを検討します。それぞれの経営資源について、具体的な取り組み内容を記載してください。

以下は一般型の、自然災害の場合の記入例です。

A:自然災害等が発生した場合における人員体制の整備
<現在の取組>
・現在、具体的な対策は行っていない。
<今後の計画>
・事業所から10km圏内に居住する従業員を緊急参集担当に任命する。非常時に従業員が参集できるよう、緊急参集担当には、電動機付自転車を貸与する。
・自然災害時を想定して、従業員の多能工化を進める。この取組は、増産対応が必要な場合にも有効に機能する。
・他地域(○○県○○市)の自社工場との間で、人員融通のための体制を整備する。また、これらの取組が有効に活用できるよう、平時から複数の工場間の人事交流を行う。
引用:p.15
B:事業継続力強化に資する設備、機器及び装置の導入
<現在の取組>
・現在、具体的な対策は行っていない。
<今後の計画>
・工場及び倉庫の開口部に止水板を設け、床上1mまでの浸水被害を免れるようにする。
・自家発電設備や事務所内にあるサーバー等重要設備を、想定浸水域(20㎝~50㎝)を上回る場所に移設する。
・揺れによる生産設備の損傷を防ぐため、簿価500万円以上の生産設備の全てに、免震装置及び非常時の緊急停止装置を備える。
・他地域の自社工場において代替生産ができるよう、社内の製造設備の金型や作業工程の標準化を進める。これらの取組のため、被災事業所分の生産をカバーするため、○○の生産ラインを増設する。
・主要取引先であるB株式会社と連携し、生産設備に被害が及んだ場合は、同社の生産設備を借り、生産を継続する。
引用:同上 p.16
C:事業活動を継続するための資金の調達手段の確保
<現在の取組>
・火災保険に加入しており、補償の対象範囲は、建物、設備及び在庫等となっている。想定している~~被害発生時には、○○円の補償を見込んでいる。
・火災保険の対象外となっている水害や地震が発生した場合は、補償の対象とならないことに加え、休業等が発生した場合における休業補償も盛り込んでおらず、復旧費用や運転資金などの資金調達が困難となることが想定される。
<今後の計画>
・現在加入している火災保険について、水災補償特約を加えるほか、火災も含めて休業補償も追加して契約する。加えて、地震時の建物補償として地震共済に加入する。
STEP②で想定した必要額以上の被害が発生した際に緊急融資や返済猶予が受けられるよう、メインバンクや地域金融機関の担当者及び支援機関(商工会議所、商工会など)と日々相談を行う。
引用:同上 p.18 太字の部分のみ記事内容にあわせて変更
D:事業活動を継続するための重要情報の保護
<現在の取組>
・現在、具体的な対策は行っていない。
<今後の計画>
・顧客名簿や帳簿について、電子化し、クラウド上のサーバーに保管する。
・事業所内の設備を記録するため、毎月1日に事業所内の写真を撮る。
引用:同上 p.20

STEP⑤平時の推進体制、訓練・見直し方法

事業継続力の強化には計画のみならず、平時の避難訓練などの取り組みも重要です。具体的には以下の4点を検討する必要があります。

  • 経営層指揮の下、平時からの取り組み推進に向けた体制整備
  • 年1回以上の訓練や教育の実施
  • 年1回以上の計画見直し
  • 取り組み内容の社内周知

以下は一般型の記入例です。

<平時の推進体制の整備>
代表取締役の指揮の下、○○部を統括として本計画の推進体制を整備。
社内の管理職全員で組織する「防災・減災対策会議」(年2回開催)において、具体的な取組を検討・決定する。
<訓練・教育の実施>
毎年5月を目処に、全従業員参加の教育・訓練を実施する。
毎年2月頃に経営層の指導の下、全従業員参加の感染症のセミナーを実施するとともに、従業員が感染した場合を想定した訓練(平時からの時差出勤やテレワーク等)を年1回実施する。
<計画の見直し>
訓練結果等を踏まえ実態に則した計画となるように、年1回以上計画の見直しを実行する。
<取組の社内普及>
訓練実施後に社内報にて実施結果やフィードバックの共有を行うとともに、各部署で振り返りを実施する。
引用:同上 p.23

事業継続力強化計画認定制度の申請方法と必要書類

申請方法

事業継続力強化計画認定制度の申請は、「事業継続力強化計画電子申請システム」から行います。

システムを使うためには、GビズIDアカウント(プライムまたはメンバー)が必要です。システムの操作方法のマニュアルは、「事業継続力強化計画の申請方法等について」にあります。

なお、事業継続力強化計画認定制度は、実施期間中であれば、申請システムを通して変更の申請をすることができます。

また、認定期間終了後、計画の内容を希望する場合は、申請システムを通して2回目の申請が必要です。

必要書類

事業継続力強化計画認定制度の申請書類は以下のとおりです。

申請区分必要書類
新規申請(共通)・申請書(単独型はシステム内入力、連携型は電子申請用様式を添付)
・チェックシート(システム内入力)
・自社のBCP等の参考書類【任意】
・(連携型のみ)連携者に大企業がいる場合、当該企業の同意書
・(連携型のみ)連携事業者間の協定書等の写し【任意】
変更申請・変更申請書(変更箇所に下線)
・実施状況報告書(単独型はシステム内入力、連携型は電子申請用様式を添付)
・チェックシート(システム内入力)
・変更前の認定通知書および計画書の写し
・(連携型のみ)新たに参加する大企業がいる場合は、当該事業者の同意書
2回目申請(3回目以降も同様)・新規申請の書類一式
・実施状況報告書(単独型はシステム内入力、連携型は電子申請用様式を添付)
・前回認定時の認定通知書および計画書の写し
事業継続力強化計画認定制度の申請書類一覧

単独型の場合、上述したとおりシステム内で直接入力を行うため、様式のダウンロードなどは必要ありません。

連携型の場合、電子申請様式を添付する必要があるため、「事業継続力強化計画の申請方法等について」、もしくは申請システム内からダウンロードしましょう。

事業継続力強化計画を策定するときの注意点

事業継続力強化計画を策定し、認定を受けるにあたっては、以下の点に注意が必要です。

申請書の記載に関する注意点

申請書は基本的にすべての記入欄を埋める必要があります。任意記載事項や該当がない場合は「該当なし」と記載してください。

特に以下の項目は記載漏れや不備が多いため、注意が必要です。

  • 事業活動の概要:業種に加え、サプライチェーンにおける役割や地域経済における役割を記載する必要があります。これらの記載がない場合、認定の対象となりません
  • 自然災害等の想定:ハザードマップ等の参照元ももれなく記載しましょう。参照元がない場合は修正が必要となります
  • 初動対応の内容:「人命の安全確保」「非常時の緊急時体制の構築」「被害状況の把握・被害情報の共有」の各項目について、すべて記載が必要です。被害状況の把握・共有については、それぞれの内容を分けて記載します

計画と実態の整合性に関する注意点

  • 計画内容と実態があまりにも乖離している場合は、認定が取り消されることがあります。ただし、自然災害等の影響により計画を実行できなかった場合は、それをもって認定が取り消されることはありません
  • また、権限のない代理申請が判明した場合も認定取消の対象となります。必ず申請者自身がその内容を理解・確認し、計画を実行しましょう

認定後の公表に関する注意点

認定を受けた事業者は、中小企業庁のホームページにおいて事業者名、主たる事務所の所在市区町村、業種、ホームページのURL等が公表されます(計画の内容は公表されません)。

事業継続力強化計画に関してよくある質問

事業継続力強化計画とは何ですか?

事業継続力強化計画とは、中小企業者が自然災害や感染症などの緊急事態に備え、事業を継続するための防災・減災対策をまとめた計画です。経済産業大臣の認定を受けることで、補助金の加点措置や税制優遇、金融支援などのメリットが得られます。認定後は計画に基づいた訓練や見直しを行い、実効性を高めていくことが求められます。

すでにBCPを策定済みの場合、事業継続力強化計画はどのように作成すればいいですか?

すでにBCPを策定済みの場合は、その内容を事業継続力強化計画の様式に転記する形で作成できます。転記する際に「添付BCP Pxx参照」と参照ページを記載すれば問題ありません。

なお申請時には、BCPの該当部分を参考書類として添付する必要があります。

事業継続力強化計画の認定までにかかる日数は?

事業継続力強化計画の認定までにかかる標準的な処理期間は「約45日」とされています。ただし、これはあくまで目安であり、申請書類に不備があった場合や内容の確認が必要となった場合には、審査に時間がかかることがあります。

事業継続力強化計画の認定企業数は?

事業継続力強化計画の認定件数は、令和7年12月末日時点で累計92,523件(うち連携型1,742件)です(参照:地域別認定件数一覧(令和7年12月末日時点)|中小企業庁)。

都道府県別では、東京都が10,067件で最も多く、次いで愛知県(6,948件)、大阪府(7,065件)と続きます。地域別に見ると、関東地方が35,351件と全体の約4割を占めています(もちろん、これらの都道府県、地方が認定を受けやすいという意味ではありません)。

年度別の推移を見ると、令和2年度の19,707件をピークに、毎年10,000件以上の認定が継続しており、中小企業の防災・減災意識の高まりがうかがえます。

事業継続力強化計画の受付番号の確認方法は?

補助金の加点措置を受けるときに必要な受付番号は、事業継続力強化計画電子申請システムにログイン後、上部メニューの「計画申請」から「申請/届出一覧」をクリックし、申請履歴画面を開くと確認できます(参照:事業継続力強化計画(電子申請)における「受付番号」の確認方法|中小企業庁)。

事業継続力強化計画の策定や認定を検討していたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

事業継続力強化計画は、中小企業が自然災害や感染症、サイバー攻撃などが起きても事業を継続できるような計画を策定し、経済産業大臣が認定する制度です。

認定を受けた事業者は、補助金の審査における加点措置や税制優遇、金融支援などの支援策を受けられます。特に補助金は、申し込めば誰でも必ず受け取れるものではないため、採択を勝ち取りたいなら検討をおすすめします。

もちろん補助金は、加点措置を獲得すればよいわけでもなく、各補助金の公募要領をよく読み込んだ上で、審査員が納得する事業計画を作成しなければいけません。

当社・中小企業経営支援事務所では、補助金申請のトータルサポートを行っています。中小企業診断士や経営コンサルタントが丁寧なヒアリングを行い、経営者様の想いを汲み取り事業計画書に反映させます。

事業継続力強化計画の認定取得を通して、補助金の採択率を上げたいとお考えでしたら、ぜひ当社にお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承ります。

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