【ものづくり補助金】事業計画書の書き方を採択事例から解説

革新的な新製品・新サービス開発のために設備投資を行う中小企業を支援する「ものづくり補助金」。採択されるためには、設備投資の必要性や補助事業がもたらす効果を事業計画書に分かりやすく記載しなければなりません。
この記事では、ものづくり補助金の申請事例からみた「採択される事業計画書」の書き方を、ものづくり補助金の採択実績100%(2021~2023年)を誇る中小企業経営支援事務所が解説します。
事業計画書のブラッシュアップには、中小企業診断士など専門家のアドバイスが有効です。当社は経験豊富な中小企業診断士や経営コンサルタントが、事業計画書の作成から採択後のフォローまで徹底サポートします。
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目次
ものづくり補助金の基本情報
ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者が「新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善」のために行う設備投資を支援する制度です。
22次公募においては、以下のように申請枠が2つ用意されています。
| 申請枠 | 補助金額 | 補助率 |
| 製品・サービス高付加価値化枠 | 従業員数5人以下:100~750万円 6~20人:100~1,000万円 21~50人 :100~1,500万円 51人以上:100~2,500万円 | 1/2 小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3 |
| グローバル枠 | 100万円~3,000万円 | 1/2 小規模企業者・小規模事業者は2/3 |
ものづくり補助金の採択率
ものづくり補助金の直近の採択率は、以下のとおり30%台で推移しています。
| 締切回・採択発表日 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 14次・2023年6月23日 | 4,865 | 2,470 | 50.8% |
| 15次・2023年9月29日 | 5,694 | 2,861 | 50.2% |
| 16次・2024年1月19日 | 5,608 | 2,738 | 48.8% |
| 17次・2024年5月20日 | 629 | 185 | 29.4% |
| 18次・2024年6月25日 | 5,777 | 2,070 | 35.8% |
| 19次・2025年7月28日 | 5,336 | 1,698 | 31.8% |
| 20次・2025年10月27日 | 2,453 | 825 | 33.6% |
| 21次・2026年1月23日 | 1,872 | 638 | 34.1% |
ものづくり補助金は、およそ7割の事業者が不採択となる比較的難易度の高い補助金です。採択を勝ち取るには、事業計画書の作り込みが非常に重要になるといえるでしょう。
ものづくり補助金の事業計画書の審査項目
ものづくり補助金の事業計画書を作成する際には、公募要領で公表されている審査項目をすべてクリアした内容にする必要があります。
例えば、22次公募の審査項目は以下のとおりです。
| 審査項目 | 内容 |
| 補助対象事業としての適格性 | ・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2.0%以上増加させる計画であるか ・事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする計画であるか ・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3.0%以上増加させる計画であるか |
| 経営力 | ・経営目標が具体化されているか ・外部環境・内部環境の分析に基づいた事業戦略が策定されており、その中で補助事業が効果的に組み込まれているか。補助事業の売上高が、会社全体の売上高に対して高い水準になると見込まれるか |
| 事業性 | ・高い付加価値の創出や賃上げを実現する目標設定がされ、その目標に達成する可能性が高い事業計画となっているか ・補助事業の課題と、その解決方策が明確か ・市場規模の分析がされているか。その市場は成長する見込みがあるか ・顧客にもたらす価値やターゲットの特徴、ニーズについて、特定や調査・検証などができているか。補助事業によって提供される新製品などを顧客が選ぶ理由を理解しているか ・競合他社の製品などの分析ができているか。またそれらとの差別化がされ、優位性を有しているか |
| 実現可能性 | ・必要な技術力を有しているか。それは他社と比較して優位なものか ・社内外の体制や財務状況から事業を適切に遂行すると期待できるか。金融機関等からの資金調達が十分に見込まれるか ・自強化に至るまでの遂行方法、スケジュールや費用対効果が妥当か ・費用対効果は高いか。それが明確に示されているか |
| 政策面 | ・地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか ・事業者単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取り組むことで、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ企業等が共同して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。経営資源の有効活動が期待できるか。地域の持続的発展につながることが期待できるか ・先端的なデジタル技術の活用や、低炭素技術の活用などを通じて、日本のイノベーションを牽引し得るか ・成長と分配の好循環を実現する投資内容か ・アメリカの追加関税措置によって大きな影響を受ける事業者であるか |
審査員が重視するポイントを把握し、審査員目線を意識した事業計画書の作成が採択への第一歩といえます。
なお、グローバル枠や大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例に申請する場合は、上記以外の審査項目があるため、公募要領で確認しましょう。
【事例からみる】ものづくり補助金の事業計画書の書き方
ものづくり補助金は、申請書の表面的な形式を整えただけで採択されるものではありません。自社の強みを整理し、設備投資によって独自性や革新性を高めていく方法や、他社と差別化する方法を事業計画書で伝える必要があります。
ここでは、実際にものづくり補助金に採択された事業者が、どのように工夫して事業計画書を作成したのか、中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」で紹介されている事例から読み解きます。
全体のポイント①自社のこだわりとビジョンを明確にする
静岡県のミニトマト農家である松下農園は、「環境制御システム導入による高糖度ミニトマトの生産効率向上への挑戦」事業でものづくり補助金の採択を受けました。
よろず支援拠点のコーディネーターと話をしていくうちに、勘や経験を可能な限り排除し、客観的なデータに基づきミニトマトを栽培する「植物工場」という同社のビジョンが明確になっていきます。
この革新的なビジョンを基にストーリーを構築し、以下のような事業計画書を作成しました。
▼実際の事業計画書

全体のポイント②地域貢献面をアピールする
静岡県のパン製造販売会社である福田製パン合資会社は、「焼きたてパンの納入及びアレルギー対応パンや地元産品を使ったパンの開発」事業でものづくり補助金の採択を受けました。
同社は事業計画書の中で、地域企業が学校給食から撤退しつつある状況や、アレルギー対応パンを製造する事業者が少ないことを説明しています。その上で、児童や生徒に寄り添った給食の提供を企業の社会的な責任と捉えていると記載しました。
同社の学校給食への取り組みは、ものづくり補助金の審査項目である「政策面」にも合致しています。
▼実際の事業計画書

全体のポイント③専門性・新規性の高い技術をわかりやすく説明する
静岡県のベンチャー企業である西光エンジニアリング株式会社は、「量産用CNF(セルロースナノファイバー)濃縮装置の開発」事業でものづくり補助金の採択を受けました。
同社は事業の核となるCNFについて理解してもらうために、専門用語を避け、専門性の高い部分は注釈をつけるなどして事業計画書に説明を記載します。
また、「解決すべき課題」を説明する部分では、「顧客からの要望、課題」という項目をつくり、顧客の具体的な要望・ニーズを記載し、わかりやすくなるように努めました。
▼実際の事業計画書

その1:補助事業の具体的取組内容のポイント①補助事業が課題解決につながることを説明する
大阪府の福地金属株式会社は、「金型の内製化により、冷間鍛造部品の短納期、低コストでの開発力を強化する」という事業でものづくり補助金の採択を受けました。
同社は、大企業が苦手とする小ロット・短納期の実現を課題とし、そのためには金型を内製化できるマシニングセンターの導入が必要であることを、グラフや表で丁寧に説明しました。
▼実際の事業計画書

その1:補助事業の具体的取組内容のポイント②客観的な数値で課題の解説策を示す
前述の松下農園は、日照や温度、湿度、CO2などの栽培データを用いて、設備導入後のデータと比較したグラフで事業効果を説明しました。
説得力のある客観的な数値で、設備導入によりどのような効果が見込めるかを丁寧に記載しています。
▼実際の事業計画書

その2:将来の展望のポイント①具体的なターゲット顧客や商談状況を記載する
事業計画書の「その2:将来の展望」では、事業のユーザーやマーケットについて記載する必要があります。
西光エンジニアリングは販売先を事前に想定し、「具体的なターゲット顧客」の項目を設けて、「想定顧客との現時点の商談状況」を記載し、誰に売るのかという顧客像を明確にしました。
▼実際の事業計画書

その2:将来の展望のポイント②相乗効果による売上増を強調する
高知県の養鶏農場であるヤマサキ農場は、「「ゆずたま」を使用した焼き菓子の種類を増やし製造能力、安全向上能力の向上」事業でものづくり補助金の採択を受けました。
ゆずたまはゆずの香りがする卵です。同社は関連商品であるゆずたまを使った焼き菓子をゆずたまと一緒に販売し、効率的に売上増が期待できることをアピールします。
また、今まで取引のなかった菓子問屋などへ販路を拡大できる点も記載し、売上増につながる具体的なイメージが伝わるようにしました。
▼実際の事業計画書

不採択になりやすいものづくり補助金の事業計画書の特徴
ものづくり補助金で不採択となる事業計画書には、いくつかの共通した特徴があります。作成するときは、以下に当てはまっていないかチェックするようにしましょう。
数値やデータの不足
具体的な数値目標(KPI)、市場規模や成長率のデータなどが不足していると不採択の可能性が高まります。こうした事業計画は、「大幅に」「高品質な」など抽象的な表現が多用されている傾向にあります。
実現可能性の根拠が弱い
いまの技術力や実施体制、財務状況にあきらかに見合ってない計画は、基本的に採択されません。例えば大企業でさえ実現が難しい計画、投資額が過剰な計画、投資に対する売上等の根拠が明確になっていない計画などがそれにあたります。
競合優位性が不十分
実現可能性が高い事業であっても、競合優位性が低いとみなされれば不採択となります。例えば「生産効率を上げるために最新の工作機械に入れ替える」といった計画は、競合も同じ計画を実行できてしまうことから、優位性が不十分とみなされて不採択になりやすいです。
内容が他社と類似
過去または現在において提出された他社の事業計画と同一・類似した内容は、補助対象外となります。知らず知らずのうちに競合と似てしまうことは十分に有り得るため、注意が必要です。
関連記事:ものづくり補助金で不採択になる理由は?再申請のポイントを徹底解説!
採択率をさらに高める!ものづくり補助金の加点項目
ものづくり補助金には、必須ではありませんが申請しておくと有利になる「加点項目」があります。
22次締切で公表されている加点項目は以下の15個で、最大6項目の申請を行うことが可能です。
| 加点項目 | 加点条件 |
|---|---|
| (1)経営革新計画 | 申請締切日時点で有効な経営革新計画の承認を受けている場合 |
| (2)パートナーシップ構築宣言 | 申請締切日前日までにポータルサイトに宣言を公表している場合 |
| (3)再生事業者 | 中小企業活性化協議会等から支援を受けて事業再生に取り組んでいる場合 |
| (4)DX認定 | 申請締切日時点で有効なDX認定を取得している場合 |
| (5)健康経営優良法人認定 | 日本健康会議から健康経営優良法人認定を受けている場合 |
| (6)技術情報管理認証 | 申請締切日時点で有効な技術情報管理認証を取得している場合 |
| (7)J-Startup/J-Startup地域版 | J-StartupまたはJ-Startup地域版に選定されている場合 |
| (8)新規輸出1万者支援プログラム | グローバル枠申請時、プログラムに登録している場合 |
| (9)事業継続力強化計画 | 経済産業大臣から計画認定を受けている場合 |
| (10)賃上げ | 高い賃上げ目標の設定、最低賃金引上げ等を実施している場合 |
| (11)被用者保険 | 従業員50名以下で被用者保険の任意適用に取り組んでいる場合 |
| (12)えるぼし認定 | 厚生労働大臣から女性活躍推進企業として認定を受けている場合 |
| (13)くるみん認定 | 厚生労働大臣から子育てサポート企業として認定を受けている場合 |
| (14)事業承継/M&A | 一定期間内に事業承継またはM&Aを実施している場合 |
| (15)成長加速化マッチングサービス | サービスに登録し、挑戦課題を掲載している場合 |
この中でも比較的獲得しやすいのが「パートナーシップ構築宣言」「事業継続力強化計画」「成長加速化マッチングサービス」の3つです。それぞれの手続きについて下記で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事:パートナーシップ構築宣言とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説
関連記事:事業継続力強化計画認定制度とは?メリットや申請方法をわかりやすく解説
関連記事:成長加速マッチングサービスとは?仕組みや補助金の加点につなげる方法
なお、加点項目は年度や公募回によって内容が異なります。応募する際は必ず最新の公募要領を確認してください。
関連記事:【2025年11月最新】ものづくり補助金の15の加点項目一覧
ものづくり補助金の事業計画書の作成には専門家の視点を取り入れよう
ものづくり補助金は、採択率約30%と難易度の高い補助金です。狭い門をくぐり採択を勝ち取るためには、自社の強みを審査員に分かりやすく説明する、完成度の高い事業計画書が必要不可欠です。
自社の強みや差別化ポイントは、支援機関など外部の専門家から見たほうが見つかりやすい場合があります。
当社・中小企業経営支援事務所は、不採択になってしまった事業者様を採択に導いた実績も多数ございます。ものづくり補助金の申請をお考えの経営者様は、実績豊富な当社までぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。
株式会社中小企業経営支援事務所
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