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最終更新日 

投稿日 2025.03.06

100億宣言とは?メリットや補助金との関係性、取り組み方を解説

近年、中小企業の成長促進が経済活性化の鍵として重要視されています。特に売上高100億円規模の企業は、経済への影響力も大きく、雇用創出や地域経済の活性化にも大きく貢献するとされています。

そこで、中小企業の飛躍的成長を支援するため、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)によって立ち上げられたのが、「100億宣言」プロジェクトです。

この記事では、「100億宣言」の概要や制度が設けられた背景、宣言する、メリット、申請方法などについて詳しく解説します。

当社・中小企業経営支援事務所は、中小企業経営のトータルサポートを行っています。100億宣言の策定に不安や疑問があれば、ぜひ以下のメールフォームからぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。策定のポイントから制度活用のコツまで、懇切丁寧に解説いたします。

100億宣言とは

100億宣言とは、売上高10億円以上100億円未満の中小企業が、「売上高100億円」という野心的な目標の達成に向けた取り組みを自ら宣言するものです。中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が、中小企業の飛躍的な成長を支援するために開始したプロジェクトの一環として位置づけられています。

宣言には、以下の5つの要素を盛り込むことが求められています。

  1. 企業概要(現在の売上高、従業員数など)
  2. 売上高100億円実現の目標と課題(成長目標、達成までの期間、プロセスなど)
  3. 売上高100億円実現に向けた具体的措置(生産体制の強化、海外展開、M&Aなど)
  4. 実施体制
  5. 経営者のコミットメント(経営者自らのメッセージ)

これらの要素を明確にすることで、売上高100億円を実現するための企業の強い意志と具体的な実現可能性を示すことができます。

宣言を行った企業の取り組みは、中小機構が運営する「100億企業成長ポータル」で公表され、「見える化」されます。これにより、成長を目指す中小企業の機運醸成を図るとともに、宣言企業には補助金・税制の活用、経営者ネットワークへの参加、公式ロゴマークの使用といったメリットが提供されます。

なお、企業グループとして宣言する場合は、親会社が代表してグループ全体の目標を宣言することも可能です。

100億宣言制度が導入された背景

100億宣言の制度が導入された背景には、日本経済の成長には中小企業の存在が欠かせないこと、経済的なインパクトをもたらすには売上高100億円という規模感が必要とされていることが挙げられます。

日本経済はバブル崩壊以降、30年以上にわたりデフレや世界的な金融危機、度重なる自然災害、コロナ禍など幾多の困難に直面してきました。一方で近年、名目GDPは600兆円を超え、設備投資も100兆円を突破、賃金も33年ぶりの高い賃上げ率を実現するなど、「成長と分配の好循環」が動き始めていると政府は述べています。

この流れを止めず、日本が「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へ移行できるかどうかにおいて、政府は中小企業の存在が鍵だとしています。

他方、特に地域経済においては、良質な雇用を生み出し、地域内での仕入れを増やすなど、経済的なインパクトをもたらす一定規模の企業の創出も重要とされています。その際、政府は、売上高100億円規模の企業であれば、大規模な取引先とも対等なパートナーシップを築けるようになり、従業員の待遇向上や事業環境の大幅な改善が期待できるとしています。

こうした背景から始まったのが、売上高100億円を目指す中小企業を官民一体で支援する「100億宣言」プロジェクトです。経営者自らが野心的な目標を掲げ、その実現に向けた取り組みを宣言することで、企業の成長意欲が「見える化」され、日本全体の経済成長に向けた機運の高まる、そうした期待が本プロジェクトには込められています。

100億宣言をするメリット

中小企業が100億宣言をすると、主に以下の5つのメリットを得られます。

中小企業成長加速化補助金に申請できる

100億宣言を行った企業は、中小企業成長加速化補助金に申請することができます。中小企業成長加速化補助金は、この補助金は、売上高100億円を目指す成長志向の中小企業に対し、最大5億円(補助率1/2)の大規模な設備投資支援を行う制度です。

補助対象となるのは、建物費・機械装置等費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費で、投資額1億円以上(税抜)の事業が対象となります。「工場・物流拠点の新設・増築」「イノベーション創出のための設備導入」「自動化による革新的な生産性向上」などの活用が想定されています。

なお、申請にあたっては、100億宣言がポータルサイトで公表されていることに加え、一定の賃上げ要件を満たす5年程度の事業計画の策定・達成が求められます。具体的には、補助事業完了後3事業年度の「従業員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率を4.5%以上とする目標を掲げ、実際に達成する必要があります。

事業承継・M&A補助金「専門家活用枠」の特例の適用対象になる

100億宣言を行った企業は、事業承継・M&A補助金の「専門家活用枠(買い手支援類型)」において、「100億企業特例」の適用対象となります。

通常、専門家活用枠(買い手支援類型)の補助上限額は600万円ですが、100億企業特例が適用されると補助上限額が2,000万円に大幅に引き上げられます。補助率は、1,000万円以下の部分が1/2、1,000万円超〜2,000万円の部分が1/3です。

なお、この特例を受けるためには、公募開始時点で100億宣言がポータルサイトに公表されているのに加え、以下の要件も満たす必要があります。

  • 経営資源の引き継ぎにおける最低譲渡価額が5億円以上であること
  • 被承継者の従業員の雇用を3年間維持すること
  • 規定のシナジー要件(水平型・垂直型・集中型のいずれか)を満たすこと

M&Aを活用した成長戦略を検討している企業にとって、FA・仲介費用やデュー・ディリジェンス費用などの専門家活用費用を大幅に軽減できる点は大きなメリットです。100億宣言と組み合わせることで、M&Aによる飛躍的成長をより実現しやすくなります。

事業承継・M&A補助金については、以下で詳しく解説しています。

中小企業経営強化税制のE類型を利用できる

中小企業経営強化税制の「E類型(経営規模拡大設備等)」を活用できるのも、100億宣言を行った企業が得られるメリットです。E類型は、売上高100億円超を目指す成長志向の中小企業に対し、設備投資に係る税制優遇を提供します。

対象となる設備(機械装置・工具・器具備品・建物・建物附属設備・ソフトウェア)を取得した場合、即時償却または取得価額の10%(資本金3,000万円超は7%)の税額控除を選択適用できます。建物及びその附属設備については、一定の給与増加要件を満たすことで特別償却15~25%または税額控除1~2%が適用されます。

なお、E類型の適用を受けるには、売上高10億円超90億円未満の法人であり、事業基盤・財務基盤・組織基盤が整っていることが求められます。

また、売上高100億円超かつ年平均10%以上の売上高成長率を目指すロードマップの策定や、年平均投資利益率7%以上の見込みがあることなど、いくつかの要件を満たさなければいけません。経営力向上計画の認定後2年以内に1億円以上または売上高の5%以上の設備投資を実施することも求められます。

E類型は100億宣言と連動した税制優遇措置であり、大規模な設備投資を計画している企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

経営者ネットワークに参加できる

100億宣言を行った企業の経営者は、地域や業種の垣根を超えた経営者ネットワークに参加できるようになります。

このネットワークは、高い成長意欲を持つ経営者同士が交流し、相互に刺激し合える場として機能します。これにより、以下のようなメリットがあります。

  • 異業種の経営者との交流による新たな気づきの獲得
  • 成長に向けた課題や解決策の共有
  • ビジネスパートナーの発掘や協業機会の創出
  • 地域を超えた事業展開のヒントの入手

経営者ネットワークは単なる交流の場ではなく、100億円企業への成長を実現するための重要な環境として位置づけられています。上記のメリットを通して、より多くの企業が売上100億円を目指しやすくなるような好循環を生み出すのが、経営者ネットワークの狙いです。

公式ロゴマークを活用したPRができる

100億宣言を行った企業は、専用の公式ロゴマークを使用できます。企業はこのロゴマークを名刺やウェブサイト、会社案内、プレスリリースなどの各種広報媒体に掲載することで、以下のようなPR効果が期待できます。

  • 高い成長意欲を持つ企業としてのアピール
  • 取引先や金融機関に対する信頼性の向上
  • 優秀な人材採用における企業価値の訴求
  • 政府認定の成長企業としてのブランディング

公式ロゴマークの活用は企業の対外的なコミュニケーションツールとして有効に機能し、100億円企業への成長をステークホルダーに印象づける効果的な手段となります。

100億宣言に申請できる企業には、いくつかの要件が定められています。

売上高の要件

100億宣言の対象となるのは、売上高10億円以上100億円未満の企業です。売上高は直近3期分の決算書類によって確認されます。基本的には直近の売上高が10億円以上100億円未満であるかを確認し、直近の売上高がこの範囲外の場合は、直近3期分の決算書の内容をもとに総合的に判断されます。

なお、期間が12ヶ月未満の決算期は、原則として直近3期分の対象に含まれません。

企業規模の要件

対象となる「中小企業」とは、原則として以下のいずれかに該当する企業です。

  • 中小企業基本法上の中小企業者
  • 租税特別措置法上の中小企業者
  • 中小企業等経営強化法上の中小企業者
  • 特定事業者

いずれの法律においても「会社」であれば対象となり、製造業・サービス業・卸売業・旅館業といった業種ごとに、資本金や従業員数により判定されます。

企業グループでの申請する際の要件

企業グループとして申請する場合は、グループ全体の売上高の合計が10億円以上100億円未満である必要があります。グループの範囲は、会社法で規定する子会社および孫会社までとされており、グループ全体を含めて宣言する必要があります(一部の子会社・孫会社だけを抜き出しての宣言は不可)。

また、いわゆる「みなし大企業」に該当する場合でも、売上高要件を満たせば宣言は可能です。ただし、支援策によっては対象外となる場合があります。

100億宣言の申請方法

100億宣言を行うには、補助金申請システム「jGrants」を通じて申請します。jGrantsの利用には事前にGビズIDの取得が必要です。GビズIDの取得には2週間程度かかる場合があるため、早めの準備が推奨されます。

申請に必要な書類

申請時に提出する書類は以下の5点です。

  1. 100億宣言(様式1):企業概要や経営者メッセージ、目標と課題、具体的措置などを記載した宣言書本体
  2. 100億宣言申請書(様式2):申請企業の要件確認のための書類
  3. 決算書等(前々期決算期分):売上高確認用
  4. 決算書等(前期決算期分):売上高確認用
  5. 決算書等(最新決算期分):売上高確認用

企業グループでの申請の場合、様式1・2はグループ共同で1枚を、決算書等は各企業分をそれぞれ提出します。

なお、様式1・2は100億宣言ポータルサイトからダウンロードできます。

申請から公表までの流れ

申請内容に不備がない場合、通常は申請から約10営業日程度でポータルサイトに掲載されます。ただし、申請が集中する時期や不備がある場合は、さらに時間を要することがあります。

特に中小企業成長加速化補助金への申請を検討している場合は注意が必要です。補助金申請時までに100億宣言がポータルサイトに公表されていることが必須条件となるため、補助金の公募締切から逆算し、余裕を持って100億宣言の申請を済ませておく必要があります。

100億宣言の申請様式の書き方

ここからは、100億宣言の申請様式の書き方について解説します。

①企業概要

企業概要では本社所在地、事業内容、従業員数などの情報を記載します。枠内に収まるよう、簡潔かつ正確な記載を心がけましょう。

【記載するときの注意点】

  • 従業員数と現在の売上高は、末尾に括弧書きで時点を明記する(例:「54名(2024年3月期)」)
  • 従業員数は、正社員とパート・アルバイトを分けて記載する
  • グループ会社や子会社がある場合は、100億円を目指す対象となる企業の情報のみを記載する
  • 法人番号とWebサイトのアドレスの記載が必須

②企業理念・100億宣言に向けた経営者メッセージ

企業理念・100億宣言に向けた経営者メッセージは、その企業が目指す方向性と経営者の強い意志を表明する重要なセクションです。具体的には企業理念・ミッションと、100億円への成長を通じて実現したい内容を記載します。

【記載するときの注意点】

  • 他社への批判は避ける
  • 自社製品やサービスの直接的な宣伝は控える
  • 法令違反となる内容は記載しない

③売上高100億円実現の目標と課題

売上高100億円実現の目標と課題のセクションでは、いつ売上高100億円を実現するのか、その目標を達成する上でクリアしなければならない課題は何かを記載します。

なお、事務局側では、売上高100億円の達成までの期間についてはおおよそ10年以内と想定されています。

【記載するときの注意点】

  • 実現目標では定性的なものだけでなく、可能な限り定量的なものを示すこと。またグラフなどを用いて視覚的にわかりやすく説明すること。さらに「売上高100億円の実現に向けた具体的措置」の内容と整合していること
  • 課題については、100億円達成に向けて克服すべき課題を具体的に記載すること

④売上高100億円実現に向けた具体的措置

売上高100億円実現に向けた具体的措置のセクションでは、「目指す成長手段」と「実施体制」の2つの要素を具体的に記載することが求められます。

【記載するときの注意点】

  • 目指す成長手段については、100億円達成に向けて実施する具体的なアクションプランを明確に示すこと
  • 実施体制については、成長施策を実行するための組織体制や外部リソースの活用方針を説明すること。現状の体制に加え、今後整備予定の体制について記載するのも可

100億宣言の注意事項

100億宣言を申請・公表するにあたっては、いくつかの重要な注意事項があります。

宣言内容はすべて公表される

100億宣言に記載した内容は、ポータルサイト上ですべて公表されます。一部の内容だけを非公開にすることはできないため、機密情報や公開したくない情報は記載しないよう注意が必要です。特に上場企業や上場を検討している企業は、記載内容が株価等に影響を与える可能性があるため、十分な配慮が求められます。

掲載の取りやめは原則として認められない

100億宣言は長期的な経営ビジョンを示すものであり、原則として掲載後の取りやめは想定されていません。ただし、大幅な経営方針の変更、被買収企業となる場合、事業再生・民事再生を行う場合など、掲載継続が取引先等に誤ったメッセージを与えかねない特段の事情がある場合に限り、事務局との相談のうえ取りやめが認められることがあります。

宣誓内容を掲載後も維持できないと掲載が取りやめられる可能性がある

申請時に宣誓した内容(暴力団との関係がないこと、法令遵守など)は、掲載後も維持する必要があります。宣誓内容と異なる状況になった場合や、維持が確認できない場合は、事務局により掲載が取りやめられる可能性があります。

掲載取りやめ後は1年間再申請できない

何らかの理由で宣言の掲載が取りやめられた場合、その日から1年間は再び宣言の掲載申請を行うことができません。申請前に自社の状況を十分に検討することが重要です。

補助金申請では公募締切前に公表されている必要がある

中小企業成長加速化補助金等の申請を検討している場合、補助金の公募締切までに100億宣言がポータルサイトに公表されている必要があります。宣言の公表には通常2〜3週間を要するため、余裕を持ったスケジュールで申請を進めることが重要です。

100億宣言に関する問い合わせ先

100億宣言に関する問い合わせ先は、以下のとおりです。申請について困ったときは連絡してみるとよいでしょう。

100億宣言や補助金の申請についてお悩みでしたら中小企業経営支援事務所にご相談ください

100億宣言においては、実現可能性の高い事業計画や適切な数値目標を記載する必要があります。加えて、他社との差別化を図るために、経営者の思いや考えも盛り込まなければいけません。

しかし限られたスペースの中で、説得力があり、かつ魅力のある内容にするにはある程度の専門知識が必要です。

当社・中小企業経営支援事務所は、中小企業の支援事業者として優れていると国に認められた認定経営革新等支援機関として、多くの中小企業のさまざまな悩みに寄り添っています。

特に中小企業の思いを汲み取り、それを盛り込んだ魅力ある事業計画の策定のお手伝いを得意としているため、100億宣言の内容について少しでも不安がある場合は、ぜひ当社にご相談ください。経験豊富な専門家が、魅力あふれる宣言の策定支援と、ひいては貴社の飛躍的な成長に必要なアドバイスもいたします。

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