M&Aに潜む注意点とトラブルとは?売買の前に必ず知っておきたい回避策
近年、国内のM&A牽引役は中小企業企業におけるM&Aであり、実施件数も年間3,000〜4,000件程度実施されていると言われています。
それに比例するかのようにトラブルの件数も増加、契約成立後に問題となるケースが後を絶たない状況です。
M&Aは非常に有効的な戦略である反面、慎重な精査も必要です。
トラブルのリスクを最小限に抑えるための注意点をピックアップしましたので、ご参考下さい。
もくじ
買い手側の注意点
①買収した後のビジョンが見えない
直観的に感じた場合、その感覚は疑いようのない事実です。自分の思いは優先させる方が良いでしょう。
ビジョンが見えない代表的な理由としてあげられるのは、
- 企業理念の理解が出来ない。
- ビジネスモデルに不可解な点を感じる。
このような根本的な理由です。
いくら儲かっていようが、相乗効果が見えない場合は中止を検討するべきでしょう。
②株主が多い
例えば創業者が亡くなり、株を分配する場合に詳細がはっきりしない株主が多数いる。これは注意が必要です。
株式譲渡では、買い手側は最終的に全株取得が一般的です。最終的に株式が一箇所に集中出来るならば問題ありませんが、その見込みが無い場合は参考を中止しても良いでしょう。
③期待外れ
買収前までは、上手くいくはずと準備を進めていたにも関わらず、スタートさせるとなかなか軌道に乗らず、思ったより成果が出ないというケースがあります。
業種や、業態によって注意しなければならない項目は様々ではありますが、共通していることは以下のような内容です。
- 社長以外のキーマンが複数人存在している。
- 社長の顔で仕事を受けている。
このような場合は、社長が変わったタイミングで、上手く機能しなくなる可能性が高いです。営業肌が強い企業や、美容業界なども当てはまるケースが多いです。
売り手側の注意点
①面談での言葉を鵜呑みにしない
交渉を進めていく段階で、売り手の企業価値をとにかく高く見せようとする場合があります。
これは企業経営者の言葉だけではなく、アドバイザーが間に入る場合も注意が必要です。アドバイザーは、契約成立して最終的な報酬額が入るため、なんとかして契約させたい欲が強い方もおられます。
話は耳に入りやすいが、データや実績を基に分析する意識を強く持ちましょう。
②買い手側にも注意を払う
買い手側は、売り手側によりM&A、業界の情報や知識を持っているケースが多いです。
買い手側は主に上場企業であるケースも多く、M&Aは既に何度も繰り返している企業の場合、既に高い専門知識を持ち、なんとか有利に買収出来ないかとしているものです。
特に表明保証違反には注意しましょう。
最終契約時に、簿外債務は無いですか?など契約書を交わすことが出来なかった内容に対して表明を行うことです。
しかし、契約を交わした数ヶ月後に表明違反での賠償請求を行ったりする場合があります。表明保証は安易にせず、信頼出来る専門家への相談、しっかりと内容確認に時間をかけるべきです。
③素人への売買
親族の会社、または良く顔の知れた得意先や同業者などによくあるケースです。この場合、本来の対価より安く見積もられる恐れがあります。
本当に親密な関係性で、対価よりも対象の相手へ会社を譲渡することを優先しているのであれば、問題ありませんが、そうでない場合はきちんと企業算定をして売買単価を見積もるべきです。
早まってしまう前に、アドバイザーや仲介業者への相談も視野に入れても良いでしょう。
アドバイザーや仲介業者の選定
①成功報酬しか見てない
仲介会社の目的は、成約率を上げることに尽きます。専門知識も高く、情報量も豊富。売り手先や、買い手先の情報の財務なども全て把握している状態にあるため、自分の有利な形に持っていきやすい。
売り手側、買い手側の希望条件を大幅に変えて、成約まで早く導こうとする。
このような仲介会社は要注意です。
②素人
M&Aの普及に伴い、仲介会社も非常に増えてきています。会社としては知名度も有り、実績もあるかもしれないが、結局は担当者が悪ければ結果マイナスです。
自分についた担当者へは、経歴や実績、前職の質問を投げかけながら、信用に値するのか否か判断することが重要です。
ほとんどの経営者は、M&A未経験にも関わらず、難しい専門用語で丸め込んでくる方もたまにおられます。こういったトラブルを防ぐためには、ある程度の知識と情報を仕入れておくことが大切です。
企業を売買するためのコツ
知識を付けるために学ぶ姿勢
全てを仲介会社に、またはアドバイザーに一任する。信頼のおける人ならばいいですが、ほとんどの経営者は第三者に依頼するケースが多いのではないでしょうか?
また買い手の策略にはまってしまわないようにするためには、やはり必要最低限の知識を付けることは重要です。
中小企業経営支援事務所では、未経験の経営者に寄り添うご提案とご相談を受け付けております。ご不明な点は分かりやすく解説しながら、ご希望のM&Aを実現させましょう。
仕組み化・可視化・言語化出来ているか?
【仕組み化】
承継した後に、いかに早くその事業を自分の会社なら溶け込ますことが出来るか。これは、業務が仕組み化されているかどうかが重要です。業務内容がマニュアル化され、第三者でも業務習得が早い環境は、大きな強みと言えるでしょう。
例えば、マクドナルドが由来となったマックジョブ。マクドナルドでは、全店舗が共通したクオリティの商品提供が行えています。これは全業務のマニュアル化が撤退されており、その教育方法も確立されているためです。
【可視化】
業績や業務内容が可視化されており、誰が見ても理解出来る環境です。
お客様別の売り上げ順位や、お客様満足の分析データなど、事業戦略が立てやすい環境ならば、その目標に向けた戦術も組み立てやすく、未来の売り上げ見込みも考えやすくなります。
【言語化】
業務を進めていく上で、社員間の伝達や報告におけるスピードに関わります。
例えば、クラウド保存で共有しているファイル名、使用するツールの呼び名の共通化などが挙げられます。
報告する内容や順序が定まっていなかったり、従業員一人一人がバラバラな用語を使ってしまうことで、上司への報告や同部署への伝達もバラバラになってしまい、時には違う伝わり方もしてしまう恐れもあります。
まとめ
M&Aにまつわるトラブルは絶えず起きているという事実を理解し、自分自身の知識や理解度を高めることでリスク回避をしていくことが大切です。
またリスク許容度の範囲内での判断を行なっていくことが重要です。
中小企業経営支援事務所では、未経験に寄り添うサポートを行ってまいります。
是非ご相談ください。