ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」とは?採択されるコツも分かりやすく解説

革新的な新製品や新サービス開発のために設備投資を行う中小企業や小規模事業者を支援する「ものづくり補助金」。中でも「グローバル市場開拓枠」は、海外や訪日外国人をターゲットとした事業が対象の申請枠です。

補助金額が100万円~3,000万円と幅広く、小規模事業者も使いやすい点がメリットといえます。

この記事ではものづくり補助金のグローバル市場開拓枠について、経営コンサルタントの中小企業経営支援事務所が分かりやすく解説します。

海外に目を向けた新しい事業に取り組む意欲のある経営者様は、当社とともにグローバル市場開拓枠の採択を勝ち取りましょう。相談無料で受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/

ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」とは

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が取り組む「新製品・新サービス開発、生産性向上に必要な設備投資」などへの支援制度です。その中でもグローバル市場開拓枠は、海外事業の拡大や強化を目的とした「製品・サービス開発」、または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備投資を支援します。

グローバル市場開拓枠の類型

グローバル市場開拓枠では、以下の4つの類型が設けられています。

①海外直接投資グローバルな製品・サービスの開発や提供体制を構築し、海外に直接工場や支店を作る取り組みなどが該当
②海外市場開拓(JAPANブランド)海外顧客に向けて市場を開拓、国内で製品を作り海外へ輸出する事業が該当
③インバウンド市場開拓訪日外国人を対象とした事業が該当
④海外事業者との共同事業外国法人とパートナーシップを組み、海外事業者と共同研究・共同開発を行う取り組みが該当

ものづくり補助金は「ものづくり」という名前から、製造業に限られた補助金であるように感じられますが、実際は業種を問いません。小売業やサービス業でも、生産性向上につながる設備投資を行うことで補助対象となります。

グローバル市場開拓枠の概要

グローバル市場開拓枠16次締切分の概要は、以下のとおりです。

補助金額100万円~3,000万円
補助率1/2
小規模企業者・小規模事業者は2/3
補助対象者・中小企業者(組合関連以外) ・中小企業者(組合・法人関連) ・特定事業者の一部 ・特定非営利活動法人 ・社会福祉法人※業種ごとに資本金や常勤の従業員数の上限が定められています。詳細は公募要領でご確認ください。
補助対象経費・機械装置・システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・海外旅費
・通訳・翻訳費(※②海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみ)
・広告宣伝・販売促進費(※②海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみ)
スケジュール【16次】
公募開始:2023年7月28日(金)
申請受付:2023年8月18日(金)
応募締切:2023年11月7日(火)17時
補助事業実施期間:2024年12月10日まで

(参照元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)2.0版」)

ものづくり補助金には設備投資が不可欠であるため、単価50万円(税抜)以上の「機械装置・システム構築費」は必須である点に注意しましょう。

グローバル展開型からグローバル市場開拓枠への変更点

2023年の14次公募で、ものづくり補助金は大幅に刷新されました。13次公募までの「グローバル展開型」と、別の補助金であった「JAPANブランド育成支援事業」が統合され「グローバル市場開拓枠」が創出されました。

グローバル市場開拓枠と従前のグローバル展開型との違いは、以下のとおりです。

  • 補助下限額が100万円に下がった
  • 対象経費が増えた

グローバル市場開拓枠では、補助下限額が1,000万円から100万円に大きく引き下げられました。これにより使い勝手のよい補助金となり、活用へのハードルが下がったといえます。

また、グローバル市場開拓枠全体で「海外旅費」が補助対象経費に加わりました。

さらに②海外市場開拓(JAPANブランド)類型では、ブランディングやプロモーションの経費も補助対象となりました。具体的には、「通訳・翻訳費」「広告宣伝・販売促進費」で、通訳を依頼する際の費用や海外市場開拓のためのホームページ作成費用なども経費に加えられます。

ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」の申請要件

グローバル市場開拓枠の申請には、ものづくり補助金の基本要件に加え、グローバル市場開拓枠の類型それぞれの独自要件をすべてクリアする必要があります。

それぞれの要件を詳しくみていきましょう。

ものづくり補助金の基本要件

ものづくり補助金の基本要件は、以下の3つです。

・給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる

・事業場内最低賃金を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする

・事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる

(参照元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)」2.0版)

上記の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定する必要があります。

グローバル市場開拓枠①海外直接投資類型の独自要件

①海外直接投資類型に申請する際の追加要件は、以下のとおりです。

・国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること。

・具体的には、国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、又は海外子会社(半数以上の発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を補助事業者が所有している、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(本補助金の補助対象経費の範囲に限る。一般管理費は含まない。事業実施に不可欠な開発・試作にかかる業務等を想定。)若しくは貸与する機械装置・システム構築費(本補助金の補助対象経費の範囲に限る。)に充てられること。

・国内事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置等を取得(設備投資)すること。

・応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料、実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること。

(引用元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)」2.0版)

海外直接投資類型は国内拠点の生産性を高める事業に該当すれば、海外支店や海外子会社に直接投資できます。

グローバル市場開拓枠②海外市場開拓(JAPANブランド)類型の独自要件

②海外市場開拓(JAPANブランド)類型に申請する際の追加要件は、以下のとおりです。

・国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。

・応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書、実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。

(引用元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)」2.0版)

海外市場開拓(JAPANブランド)類型では、新製品や新サービスの売上の1/2以上が海外顧客となる必要があります。

グローバル市場開拓枠③インバウンド市場開拓類型の独自要件

③インバウンド市場開拓類型に申請する際の追加要件は、以下のとおりです。

・国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。

・応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書、実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を追加提出すること。

(引用元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)」2.0版)

インバウンド市場開拓類型は外国人観光客を対象とし、国内で事業を行う旅行業者や観光業者、宿泊業者などを想定していると考えられます。

グローバル市場開拓枠④海外事業者との共同事業類型の独自要件

④海外事業者との共同事業類型に申請する際の追加要件は、以下のとおりです。

・国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)

・応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)、実績報告時に、当該契約の進捗が分かる成果報告書を追加提出すること。

(引用元:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)」2.0版)

海外事業者との共同事業類型では、外国法人との共同研究・共同開発の結果、成果物の権利が発生する必要があります。そのため、何らかの成果が得られると見込まれる研究や開発に取り組む事業者を対象としているとみられます。

ものづくり補助金の活用事例

ものづくり補助金に採択されるためには、どのような企業がどのような事業で補助金を活用しているかを調査し、具体的なイメージを持つことが重要です。

当社、中小企業経営支援事務所がサポートし、ものづくり補助金に採択された事例の一部を紹介します。

業種新事業の内容主な投資内容補助金額
情報通信業インバウンド向け高級不動産アプリ・Webシステムの開発システム開発費1,250万円
製造業職人技術の継承と新製品開発のためのAI制御型焼成オーブンの導入機械装置費1,000万円
製造業DX化×NCルーター×職人技で特注家具の大型・大ロット生産体制の構築機械装置費1,000万円

ものづくり補助金の採択結果はホームページで公表されているので、以下のような方法で調査してみましょう。

ものづくり補助金活用事例の調べ方:①採択結果

ものづくり補助金総合サイトの「採択結果」のページで1次~14次の採択結果がPDFで見られます。貴社の事業に関連するキーワードが含まれる事業計画名がないか検索してみてください。

ものづくり補助金活用事例の調べ方:②成果事例検索

ものづくり補助金総合サイトの「成果事例のご紹介」のページで、成果事例の検索やグッドプラクティス集が閲覧できます。こちらでも事業のテーマとなるキーワードなどで検索し、成果事例を貴社のヒントにして新事業のイメージを膨らませましょう。

ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」がおすすめの事業者

ものづくり補助金の中でも、グローバル市場開拓枠への申請をおすすめできるのは、以下のような事業者です。

  • 海外支店や子会社に新たな設備投資をしたい
  • 国内事業を拡充し、訪日外国人観光客を新たなターゲットとして取り込みたい
  • 海外輸出を検討中だが、ブランディングにかける予算がない
  • 個人事業主やスタートアップ企業

グローバル市場開拓枠の最低補助金額は100万円であるため、個人事業主やスタートアップ企業など小規模事業者でも使い勝手がよい点が特徴といえます。

ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」の受け取りまでの流れ

ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠の申請から採択、受け取りまでの流れは以下のとおりです。

  1. ものづくり補助金の公募開始
  2. 事業計画書の作成
  3. 必要書類の準備
  4. GビズIDの取得
  5. 電子申請項目の入力
  6. 電子申請
  7. 採択発表
  8. 交付申請→交付決定
  9. 補助事業実績報告
  10. 確定検査
  11. 補助金請求
  12. 補助金の受け取り

なお、事業終了後(補助事業実績報告後)5年間にわたって、事業化状況報告や知的財産権等報告を行うことが義務づけられています。

ものづくり補助金で採択されるコツ

事業計画書の作成やその他の事務手続きなど、ものづくり補助金の申請ではやるべきことが多いうえ、ミスは許されません。例えば、交付決定前に契約してしまった経費は補助の対象外となるため注意が必要です。

また、GビズIDは申請から取得まで2週間を要する、締切日当日に申請した応募者の採択率が低いなどのことから、ものづくり補助金の申請は早め早めの準備が大切です。

このような注意点については、ご自身で公募要領を読み込むほか、補助金申請の専門家である認定支援機関からのサポートを受けることで採択に近づけます。

ものづくり補助金「グローバル市場開拓枠」の採択への近道は専門家のアドバイス

ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠は、海外事業の拡大・強化を目的とした設備投資を支援する制度です。グローバル市場開拓枠には4つの類型があり、ものづくり補助金の基本要件とそれぞれの類型の独自要件を満たす必要があります。

当社は実績豊富な中小企業診断士や経営コンサルタントが丁寧なヒアリングを行い、経営者様の想いを汲み取った質の高い事業計画書を策定します。当社の2021年~2023年におけるものづくり補助金の採択実績は100%です。

補助金の申請は注意点が多いものですが、当社では申請準備から入金までしっかり支援いたします。当社のものづくり補助金申請サポートについて、詳しくはこちらをご覧ください。

初回相談は無料で承ります。グローバル市場開拓枠の申請をお考えの経営者様は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.sme-support.co.jp/contact/


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